説明

口腔粘膜を介して催眠剤をデリバリーするための組成物及びその使用方法

本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための新規組成物を提供する。詳細には、本発明に係る組成物中の緩衝系は唾液のpHを約7.8超のpHまで上げ、それにより上記催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への実質的に完全な変換を促進する。その結果、催眠剤の用量は驚くほど低い患者間変動性で口腔粘膜により速やかに及び有効に吸収される。さらに、口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーは上記薬物の肝臓初回通過代謝を有利にバイパスし、及び胃腸腔内での上記薬物の酵素分解を避ける。不眠症の如き睡眠障害を治療するための本発明に係る組成物の使用方法もまた提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願へのクロスリファレンス
本明細書は、米国仮出願に変えられた2004年2月17日出願の米国出願第10/783,118号、及び2004年8月3日出願の米国仮出願第60/598,629号について優先権を請求し、それらのそれぞれを全ての目的についてそれを全体として本明細書中に援用する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
不眠症は人の寝入る又は眠りを維持する能力に影響する状態である。それは毎年何百万人ものアメリカ人に影響する、最もよくある睡眠障害である。短期、中期又は長期活性催眠剤として入手可能なベンゾヂアゼピンは不眠症の治療において有用であることが証明されている。これらのベンゾヂアゼピンはベンゾヂアゼピン1(オメガ1)及びベンゾヂアゼピン2(オメガ2)受容体に非選択的に結合すると考えられる。この非選択的結合は催眠薬としてのベンゾヂアゼピン化合物の使用に関連する、可能性のある問題のいくつかの原因でありうる。例えば、いくつかのベンゾヂアゼピンは記憶、認識、及び精神運動性機能を妨害すると考えられる。さらに、変えられた睡眠体系に関連する問題、ぶり返し不眠症、二日酔いの影響、及び乱用の可能性はベンゾヂアゼピンの使用に関して報告されている。
【0003】
選択的ベンゾヂアゼピン1受容体アゴニストは開発され、及び研究されている。例えば、ゾルピデム(Ambien(商標);Searle and Co.)及びザレプロン(Sonata(商標);Wyeth−Ayerst Co.)はベンゾヂアゼピン(BZ1)受容体に選択的に結合すると考えられる非ベンゾヂアゼピン鎮静剤である。イミダゾピリヂンであるゾルピデムは睡眠潜伏期を減少させ、睡眠期間を増大させ、及び夜間覚醒を減少させることが示されている。さらに、ゾルピデムは段階III及び段階IV睡眠を保持すること、及びより少ないREM(急速眼球運動)睡眠の破壊をもたらすことが発見されている。ザレプロンはピラゾロピリミヂン誘導体であり、それもまた催眠剤として有用であることが証明されている。しかしながら、ゾルピデム及びザレプロンは両方とも水性媒体中にあまり可溶性でない。
【0004】
典型的に、これらの催眠剤は、例えば、飲み込まれる錠剤又はカプセルとして調合される経口投与量としてデリバリーされる。しかしながら、経口投与は肝臓初回通過代謝中の、GI腔内での酵素分解中の、及び吸収中の薬物損失の如きいくつかの不利益を有する。これらの薬物損失は薬物応答における変動性を増大させるのみでなく、しばしば上記医薬がより大きな開始用量で与えられることを必要とする。さらに、上記薬物は血流に入るために胃腸系を通過しなければならないので、治療効果に達する時間はかなり長く、典型的に約45分以上でありうる。
【0005】
したがって、粘膜を介した輸送に関するものを含む、他の薬物投与経路が調べられている。さまざまな粘膜(例えば、口腔、直腸、膣、眼、鼻等)のうち、口腔中の粘膜を介した薬物デリバリーは患者により最も容易に許容されるように見える。伝統的な経口投与に関連する問題を避けることに加えて、口腔粘膜を介した薬物デリバリーは、口腔粘膜それ自体の特性のために、いくつかの他の利点を有する。例えば、口腔粘膜は高度に脈管化され、及びリンパの排液部位でよく供給されている。
【0006】
一般的に、口腔粘膜は5の主な領域に分けられうる:口腔の床(舌下)、頬(頬側)、歯ぐき(歯肉)、口腔の天井(口蓋)、及び唇の内側。これらの領域はそれらの解剖学、薬物透過性、及び薬物への生理学的応答の点で互いに異なる。例えば、透過性の点で、舌下は頬側より透過性であり、頬側は口蓋より透過性である。この透過性は一般的にこれらの膜の相対的厚さ及び角質化の程度に基づき、舌下粘膜は比較的薄く及び非角質化されており、頬側粘膜はより厚く及び非角質化されており、及び口蓋粘膜は厚さにおいては中間であるが、角質化されている。
【0007】
さまざまな粘膜の透過性における差に加えて、薬物デリバリーの程度はまたデリバリーされる薬物の特性によっても影響される。分子の粘膜を通過する能力は他の因子のうち、その大きさ、その脂質可溶性、及びそれがイオン化されている程度に因る。
【0008】
薬物のイオン化の程度は粘膜を介した薬物デリバリーに関してさらに調べられている。イオン化は解離定数(pKa)、及び分子の周りの環境のpHに因る。その脱イオン化形では、薬物は受動拡散を介して粘膜を横断するのに十分に脂肪親和性である。実際に、pH分割仮説にしたがって、脱イオン化された非極性薬物のみが脂質膜を透過するであろう。
【0009】
平衡では、薬物の脱イオン化形の濃度は膜の両方の側で等しい。濃度勾配が受動拡散を駆動するので、薬物の脱イオン化形の割合における増大は上記薬物の粘膜を介した吸収を相応じて増大させる。膜を介した最大吸収は、薬物がその脱イオン化形で100%であるとき起こると考えられる。同様に、膜を介した吸収はイオン化の程度が増大するにつれて減少する。それゆえ、唾液pHを変えることにより口腔粘膜を介した薬物吸収の程度に影響しうる。
【0010】
既知の粘膜を介した投与形態のいくつかは唾液及び頬側粘膜の周りの組織のpHを変えるための単一の緩衝剤の使用を含む。しかしながら、これらの単一の緩衝剤は典型的に酸又は塩基と反応し、使用者の唾液の開始pHに因る最終pHを作出する。使用者の開始pHに因る最終pHを得るために使用される緩衝剤は大きな変動性をもたらす。イオン化の程度、及びそれゆえ粘膜を介した吸収の程度はいかなる種類の正確さをもっても予想されえない。これは、正確な用量を計算し、患者応答における変動性を最小限にし、及び調節された信頼性に対する薬物ローディングにおける一貫性を証明するとき重大な問題を提示しうる。さらに、単一の緩衝剤は典型的に最適吸収のために時間にわたりあるpHを維持することはできない。本分野における他の者が1超の緩衝剤の使用を開示しているが、これらの上記に挙げられた問題は、口腔粘膜に対して安全でない及び不可逆性の損傷を引き起こしうる追加の緩衝剤の無頓着な添加によっては容易に救済されない。そのように、粘膜を介した吸収を増大させるために開始pHに独立に最終pHを達成する及び維持することができる緩衝系は今まで示されていない。
【0011】
同様に、口腔粘膜を介した事実上薬物用量全体の速やかなデリバリーを作出するために重要である、最も短い時間での薬物のイオン化形の脱イオン化形への実質的に完全な変換を促進する緩衝系は今まで示されていない。以前の投与形態は、薬物がその担体から放出される速度における変動性のために、薬物デリバリーにおける大きな変動性をもたらした。すなわち、以前に示されたチューイングガム又はロゼンジにおける薬物放出速度は使用者の噛む又は吸う速度に大きく依存する。使用者毎のこれらの速度における変動性は体系循環に入るであろう最終薬物量を予想する能力を悪化させる。さらに、担体からの薬物放出速度はさらにそこから放出されるべき薬物の能力に因る。しばしば、担体(例えば、ガム基礎)は薬物に強く粘着し、上記薬物の一部を吸収不可能にする。
【0012】
したがって、安全な及び安定な様式で上記剤の吸収を促進する緩衝系を有する、口腔粘膜を介して催眠剤をデリバリーするための組成物について本分野において要求がある。同様に、開始pHに独立に最終pHを作出する、及びある期間その最終pHを維持する緩衝系を有する、口腔粘膜を介して催眠剤をデリバリーするための組成物について本分野において要求がある。さらに、催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への実質的に完全な変換を速やかに促進することができる組成物について本分野において要求がある。本発明はこれらの及び他の要求を満たす。
【発明の開示】
【0013】
発明の要約
本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための新規組成物を提供する。詳細には、本発明に係る組成物中の緩衝系は唾液のpHを約7.8超のpHまで上げ、それにより上記催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への実質的に完全な変換を促進する。その結果、催眠剤の用量は、驚くほど低い患者間変動性(例えば、同じ患者における消化管を介した吸収より低い変動性)で、口腔粘膜により速やかに及び効果的に吸収される。さらに、口腔粘膜を介した上記催眠剤のデリバリーは上記薬物の肝臓初回通過代謝を有利にバイパスし、及び胃腸腔内での上記薬物の酵素分解を避ける。不眠症の如き睡眠障害を治療するための本発明に係る組成物の使用方法もまた提供される。
【0014】
そのように、1の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための固体組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)口腔への投与後約5分以内で完全な頬側の又は舌下の崩壊を提供する担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0015】
他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0016】
また他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び第二の緩衝剤を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0017】
さらにまた他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)酸化金属及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0018】
さらなる局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及び第三の緩衝剤を含む三種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記三種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0019】
他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む緩衝系
を含み、ここで、上記緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0020】
また他の局面において、本発明はその必要のある患者における睡眠障害の治療方法を提供し、上記方法は:
上記患者に治療的に有効な量のイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;担体;及び炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系を含む組成物を投与すること
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0021】
本発明の他の目的、特徴、及び利点は以下の詳細な説明及び図から当業者に明らかであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
発明の詳細な説明
I.定義
本明細書中で使用されるとき、以下の用語は別段の定めなき限り、それらに帰する意味を有する。
【0023】
用語「睡眠障害」は、非限定的に、機能不全睡眠機構、睡眠中の生理機能における異常、生物時計の異常、及び睡眠プロセスに対して外因性の因子により誘発される睡眠妨害を含む多くの原因から生ずる睡眠の妨害パターンをいう。詳細には、上記用語は不眠症(例えば、一過性の、短期の、及び慢性の)、睡眠相後退症候群、催眠薬依存性睡眠障害、及び刺激依存性睡眠障害の如き眠ったままでいること及び/又は寝入ることにおける困難に関連する障害;睡眠時無呼吸、ナルコレプシー、不穏下肢症候群、閉塞性睡眠時無呼吸、中枢性睡眠時無呼吸、特発性過眠症、呼吸筋の弱さに関連した睡眠障害の如き覚醒したままでいることにおける困難に関連する障害;睡眠状態誤解、シフトワーク睡眠障害、慢性時間帯変化症候群、及び不規則睡眠−覚醒症候群の如き規則的な睡眠計画を厳守することにおける困難に関連する障害;睡眠恐怖障害(夜驚症)(すなわち、錯眠)及び睡眠歩行(すなわち、夢遊症)の如き異常な行動に関連する障害;及び睡眠歯ぎしり、線維筋痛症、及び悪夢の如き他の障害を含む。
【0024】
用語「不眠症」は、非限定的に、寝入ることにおける困難、眠ったままでいることにおける困難、間欠性の覚醒、及び/又は早すぎる起床を含む症状により特徴付けられる睡眠障害をいう。上記用語はまた眠け、不安、損なわれた集中、損なわれた記憶、及び短気の如き日中の症状をも含む。本発明に係る組成物での治療に好適な不眠症の型は、非限定的に、一過性の、短期の、及び慢性の不眠症を含む。上記用語「一過性の不眠症」は数夜続く不眠症をいう。上記用語「短期の不眠症」は約2〜約4週間続く不眠症をいう。上記用語「慢性の不眠症」は少なくとも1ヶ月続く不眠症をいう。
【0025】
用語「治療用剤」及び「薬物」は医薬の、薬理学的な、心身の又は治療の効果を有する物質をいうために本明細書中で相互変換可能に使用される。好ましくは、上記治療用剤又は薬物は催眠剤である。本発明における使用のために好適な催眠剤は、非限定的に、ゾルピデム又はアルピデムの如きイミダゾピリヂン化合物;ゾペクロンの如きヂヒドロピロロピラジン化合物;ザレプロン又はインヂプロンの如きピラゾロピリミヂン化合物;それらの医薬として許容される塩;及びそれらの組み合わせを含む。特に好ましい態様において、上記催眠剤は全ての好適な形態のゾルピデムである。
【0026】
用語「治療的に有効な量」はその必要のある患者において治療効果を達成することができる催眠剤の量をいう。例えば、催眠剤の治療的に有効な量は睡眠障害に関連する1以上の症状を予防する又は軽減することができる量でありうる。
【0027】
用語「バイオアベイラビリティ」は、薬物が体内の処置部位に対して吸収される又は使用可能になる速度及び/又は程度をいう。
【0028】
用語「崩壊(分解)」及び「溶解」は本発明に係る固体投与形態の液体形への変形をいうために本明細書中で相互変換可能に使用される。より詳細には、固体投与形態の完全な崩壊又は溶解は約25重量%未満の上記固体投与形態しか投与後適切な期間、例えば、5分又はそれ未満後に口腔内に残っていないことをいう。固体投与形態の崩壊プロファイルを決定するための本分野において知られる好適な方法は、例えば、the United States Pharmacopeia(USP)崩壊試験を含む。固体投与形態の溶解プロファイルを決定するための本分野において知られる好適な方法は、例えば、USP〈711〉Apparatus 1又はUSP〈711〉Apparatus 2の如きUSP溶解試験を含む。
【0029】
本明細書中で使用されるとき、句「催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への実質的に完全な変換」は上記催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への約50%超の変換をいう。例えば、上記緩衝系は上記催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への少なくとも約50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は99%の変換に有利である。いくつかの態様において、上記変換は投与後約10分以内に起こる。
【0030】
用語「変動性」は最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達する時間(Tmax)についての相対標準偏差(RSD)の割合の点における患者間変動性をいう。特に、本発明に係る組成物はAmbien(商標)錠剤の如き市販の経口錠剤についての約45%に対して約27%のCmaxについてのRSDを有する。さらに、本発明に係る組成物はAmbien(商標)錠剤の如き市販の経口錠剤についての約100%に対して約50%のTmaxについてのRSDを有する。
【0031】
用語「投与すること」は口腔の粘膜(すなわち、口腔粘膜)への本発明に係る組成物の投与をいう。口腔粘膜内の投与の好適な部位の例は、非限定的に、口腔の床(舌下粘膜)、頬(頬側粘膜)、歯ぐき(歯肉粘膜)、口腔の天井(口蓋粘膜)、唇の内側の粘膜、及びそれらの組み合わせを含む。好ましくは、本発明に係る組成物は舌下粘膜、頬側粘膜又はそれらの組み合わせに投与される。
【0032】
II.一般
本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための新規組成物を提供する。詳細には、本発明に係る組成物中の緩衝系は唾液のpHを約7.8超のpHまで上げ、それにより上記催眠剤のそのイオン化形からその脱イオン化形への実質的に完全な変換を促進する。その結果、催眠剤の用量は、最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達する時間(Tmax)の点で驚くほど低い患者間変動性で、口腔粘膜により速やかに及び効果的に吸収される。さらに、口腔粘膜を介した上記催眠剤のデリバリーは上記薬物の肝臓初回通過代謝を有利にバイパスし、及び胃腸腔内での上記薬物の酵素分解を避け、経口(例えば、錠剤)投与のための伝統的な投与形態に比較して、上記催眠剤の増大されたバイオアベイラビリティ及び治療活性の開始までの減少された時間をもたらす。さまざまな型の不眠症の如き睡眠障害を治療するための本発明に係る組成物の使用方法もまた提供される。
【0033】
本発明は、本明細書中に示される緩衝系を含むゾルピデム組成物の舌下デリバリーは、Ambien(商標)錠剤の如き市販の経口錠剤及びゾルピデムFlashDose(商標)錠剤(Biovail Technologies Ltd.;Chantilly, VA)の如き頬側錠剤について観察されるものをはるかにしのぐ、上記治療用剤の増大されたバイオアベイラビリティ及び治療活性の開始までの減少された時間の両方を提供するという驚くべき発見に基づく。実際に、本明細書中に示される速やかに崩壊するゾルピデム固体投与形態が観察されたゾルピデムの速い吸収及びバイオアベイラビリティにおける著しい増大を提供するであろうということを予想することは直観に反するものであった。その結果、本発明に係る組成物中のゾルピデムは市販の錠剤組成物のいずれかにおけるゾルピデムよりも実質的により短い時間で及び実質的により高い濃度で体系循環に達する。したがって、本発明に係るゾルピデム組成物は、治療活性の開始までの時間を減少させること、睡眠(例えば、総睡眠時間、覚醒の回数)を維持すること、睡眠の質を高めること、食物の効果を消去すること、及び起床後の残留の効果を減少させることにおいて、市販の錠剤組成物より優れている。
【0034】
III.態様の説明
1の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための固体組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)口腔への投与後約5分以内の完全な頬側の又は舌下の崩壊を提供する担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0035】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9(例えば、約9〜11)超のpHまで上げる。1の態様において、上記イミダゾピリヂン催眠剤はゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる。好ましくは、上記イミダゾピリヂン催眠剤はゾルピデムである。いずれの型のゾルピデム、例えば、ゾルピデムの塩形(例えば、酒石酸ゾルピデム)、ゾルピデムの遊離塩基形又はそれらの混合物も本明細書中に示される組成物における使用のために好適である。他の態様において、上記ヂヒドロピロロピラジン催眠剤はゾペクロンである。また他の態様において、上記ピラゾロピリミヂン催眠剤はザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる。
【0036】
いくつかの場合、上記担体は投与後約2分以内に完全な頬側の又は舌下の崩壊を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は投与後約5分以内の、好ましくは約2分以内の頬側の又は舌下の崩壊時間を提供するような相対的割合で少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。好ましくは、結合剤対崩壊剤の割合は約0.1〜約10.0、より好ましくは約0.1〜約1.0、及び最も好ましくは約0.26〜約0.79である。しかしながら、当業者は、本発明に係る組成物は、例えば、高度にもろい投与形態を作出するために、結合剤なしに作出されうることを理解するであろう。
【0037】
他の態様において、上記炭酸塩は炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸マグネシウムから成る群から選ばれる。また他の態様において、上記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウム、及び重炭酸マグネシウムから成る群から選ばれる。好ましい態様において、上記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む。他の好ましい態様において、上記重炭酸ナトリウムは乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムである。
【0038】
また他の態様において、本発明に係る組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び遅延溶解性錠剤又は即時溶解性錠剤の如き溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である。好ましくは、上記組成物はロゼンジ又は溶解錠剤である。催眠剤を含むロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、遅延溶解性錠剤、及び即時溶解性錠剤組成物の説明は以下の実施例中に提供される。
【0039】
好ましい態様において、上記催眠剤は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる口腔粘膜を介してデリバリーされる。特に好ましい態様において、上記組成物は、上記催眠剤が舌下粘膜を介してデリバリーされるように、舌下投与される。
【0040】
他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤は、非限定的に、マンニトール、ソルビトール、及びキシリトールの如き糖アルコール;ラクトース、デキストロース、スクロース、グルコース、及び粉糖の如き糖;アカシアガム、キサンタンガム、グアールガム、タラガム、メスキートガム、コロハガム、イナゴマメガム、ガティガム、及びトラガカントガムの如き天然ガム;イノシトール、糖蜜、マルトデキストリン、デンプン、セルロース、微晶質セルロース、ポリヴィニルピローリドン、アルギン酸塩、トチャカ抽出物、パンワールガム、isapolの殻の粘液、Veegum(商標)、カラマツarabogalactan、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol)、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ヂカルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコールの如き他の物質;及びそれらの組み合わせを含む。本発明に係る組成物における使用のために好適なガム基礎は、例えば、本分野において知られる多くの水不溶性及び唾液不溶性ガム基礎物質から選ばれる物質を含む。いくつかの場合、上記ガム基礎は少なくとも1の疎水性重合体及び少なくとも1の親水性重合体を含む。ガム基礎に好適な疎水性及び親水性重合体の非限定的な例はエラストマー、生ゴム、及びそれらの組み合わせの如き天然及び合成重合体の両方を含む。好適な天然重合体の例は、非限定的に、チクル、ジェルトン、グッタペルカ、クラウンガム、及びそれらの組み合わせの如き植物起源の物質を含む。好適な合成重合体の例はブタヂエン−スチレン共重合体、イソブチレン及びイソプレン共重合体(例えば、「ブチルゴム」)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリヴィニルエステル(例えば、酢酸ポリヴィニル及び酢酸フタル酸ポリヴィニル)、及びそれらの組み合わせの如きエラストマーを含む。他の場合、上記ガム基礎はブチルゴム(すなわち、イソブチレン及びイソプレン共重合体)、ポリイソブチレン、及び場合により、(例えば、約12,000の分子量を有する)酢酸ポリヴィニルの混合物を含む。
【0041】
また他の態様において、本発明に係る組成物は甘味剤、香味剤、保護剤、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填物質、保存剤又はそれらの組み合わせをさらに含みうる。さらにまた他の態様において、本発明に係る組成物は潤滑剤、浸潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色剤、崩壊剤又はそれらの組み合わせをさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物における薬物の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。他の好ましい態様において、本明細書中に示される組成物における薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0042】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む。上記組成物は舌下投与のためのロゼンジ、キャンディ又は溶解錠剤(例えば、遅延溶解性錠剤又は即時溶解性錠剤)の形態に好ましく調合される。その結果、舌下投与に際して、ゾルピデムは舌下粘膜を介してデリバリーされる。他の好ましい態様において、上記重炭酸ナトリウムは乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムである。ゾルピデムの重量パーセントより大きい又はそれに等しい、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した重量パーセントはまた好ましい。
【0043】
いくつかの場合、上記組成物は約1.0〜約5.5重量パーセントゾルピデム;約6.0〜約10.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約9.0〜約13.0重量パーセント乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムを含む。好ましい態様において、上記組成物は約4.5重量パーセントゾルピデム;約8.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約11.0重量パーセント乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムを含む。上記組成物は好ましくは、約100〜約300mg、例えば、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、及び300mgの質量を有するロゼンジ又はキャンディの形態である。上記ロゼンジ又はキャンディは患者の口腔内で非常に速い速度で、例えば、投与後約2〜3分以内に溶解する。
【0044】
いくつかの他の場合、上記組成物は約1.0〜約5.0重量パーセントゾルピデム;約5.0〜約9.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約7.0〜約11.0重量パーセント重炭酸ナトリウムを含む。好ましい態様において、上記組成物は約4.0重量パーセントゾルピデム;約7.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約9.0重量パーセント重炭酸ナトリウムを含む。上記組成物は好ましくは約100〜約300mg、例えば、約100、110、120、130、140、150、160、170、180、190、200、210、220、230、240、250、260、270、280、290、及び300mgの遅延溶解性錠剤又は即時溶解性錠剤の如き溶解錠剤の形態である。上記即時溶解性錠剤は患者の口腔内で速い速度で、例えば、投与後約5分以内に溶解し、及び上記遅延溶解性錠剤は患者の口腔内でより遅い速度で、例えば、投与後約10分以内に溶解する。
【0045】
他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0046】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。本発明に係る二種混合型緩衝系における使用のために好適な炭酸塩及び重炭酸塩もまた上記に示される。
【0047】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は投与後約10分以内の、好ましくは約5分以内の、及びより好ましくは約2分以内の頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は投与後約10分以内の、好ましくは約5分以内の、及びより好ましくは約2分以内の頬側の又は舌下の崩壊時間を提供するような相対的割合で、少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0048】
また他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロン及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0049】
本発明の他の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む。これらの成分のそれぞれの好ましい量は、好ましい投与形態及びそれらの好ましい重量と共に、上記に示される。
【0050】
また他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体、及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び第二の緩衝剤を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0051】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。本発明に係る二種混合型緩衝系における使用のために好適な炭酸塩及び重炭酸塩もまた上記に示される。
【0052】
1の態様において、上記第二の緩衝剤は酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリデンプンから成る群から選ばれる。好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好ましくは、上記酸化マグネシウムは非晶質酸化マグネシウムである。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸のいずれの塩をも含む。例えば、いくつかの態様において、上記クエン酸塩はクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウムから成る群から選ばれる。他の態様において、上記リン酸塩は一塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸カリウム、二塩基リン酸カリウム、一塩基リン酸カルシウム、二塩基リン酸カルシウム、一塩基リン酸マグネシウム、二塩基リン酸マグネシウム、一塩基リン酸アンモニウム、及び二塩基リン酸アンモニウムから成る群から選ばれる。また他の態様において、上記ホウ酸塩はホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウムから成る群から選ばれる。いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。
【0053】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は上記に示されるような頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は上記に示されるように少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0054】
また他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0055】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及び第二の緩衝剤を含む。上記組成物は好ましくは舌下投与のためのロゼンジ、キャンディ又は溶解錠剤の形態で調合される。
【0056】
さらにまた他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)酸化金属及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0057】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。
【0058】
好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸のいずれの塩をも含む。いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びクエン酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びリン酸塩を含む。さらなる場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びホウ酸塩を含む。
【0059】
1の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は上記に示されるような頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は上記に示されるように少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0060】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0061】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記二種混合型緩衝系は非晶質酸化マグネシウム及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。上記組成物は好ましくは舌下投与のためのロゼンジ、キャンディ又は溶解錠剤の形態で調合される。
【0062】
さらなる局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及び第三の緩衝剤を含む三種混合型緩衝系
を含み、ここで、上記三種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0063】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。本発明に係る三種混合型緩衝系における使用のために好適な炭酸塩及び重炭酸塩もまた上記に示される。
【0064】
1の態様において、上記第三の緩衝剤は酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリデンプンから成る群から選ばれる。好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸のいずれの塩をも含む。いくつかの場合、上記三種混合型緩衝系は炭酸塩、重炭酸塩、及び酸化金属を含む。いくつかの他の場合、上記三種混合型緩衝系は炭酸塩、重炭酸塩、及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。
【0065】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は上記に示されるような頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は上記に示されるように少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0066】
また他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0067】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記三種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び第三の緩衝剤を含む。上記組成物は舌下投与のためのロゼンジ、キャンディ又は溶解錠剤の形態で調合される。上記第三の緩衝剤が酸化金属である場合、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した重量パーセントより大きい酸化金属の重量パーセントは好ましい。
【0068】
他の局面において、本発明は口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物を提供し、上記組成物は:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む緩衝系
を含み、ここで、上記緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0069】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。本発明に係る緩衝系における使用のために好適な炭酸塩及び重炭酸塩もまた上記に示される。
【0070】
好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸のいずれの塩をも含む。いくつかの場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、酸化金属、及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩を含む。いくつかの場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びホウ酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩を含む。
【0071】
1の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は上記に示されるような頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は上記に示されるように少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0072】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0073】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記緩衝系は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム、及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む。上記組成物は舌下投与のためのロゼンジ、キャンディ又は溶解錠剤の形態で調合される。
【0074】
また他の局面において、本発明はその必要のある患者における睡眠障害の治療方法を提供し、上記方法は:
上記患者に治療的に有効な量のイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;担体;及び炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系を含む組成物を投与することを含み、ここで、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる。
【0075】
好ましい態様において、上記組成物は、例えば、舌下粘膜、頬側粘膜又はそれらの組み合わせの如き口腔粘膜を介して上記催眠剤をデリバリーする。特に好ましい態様において、上記組成物は、上記催眠剤が舌下粘膜を介してデリバリーされるように舌下投与される。本発明に係る組成物で治療されうる好適な睡眠障害は、非限定的に、一過性不眠症、短期不眠症、及び慢性不眠症の如き不眠症を含む。
【0076】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超(例えば、約9〜11)のpHまで上げる。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、及びピラゾロピリミヂン催眠剤は上記に示される。本発明に係る二種混合型緩衝系における使用のために好適な炭酸塩及び重炭酸塩もまた上記に示される。
【0077】
炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系に加えて、他の緩衝系は本発明に係る組成物における使用のために好適である。例えば、代替の態様において、上記二種混合型緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリデンプンの如き第二の緩衝剤を含む。他の代替の態様において、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。また他の代替の態様において、上記緩衝系は炭酸塩、重炭酸塩、及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリデンプンの如き第三の緩衝剤を含む三種混合型緩衝系である。さらにまた他の代替の態様において、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む。
【0078】
1の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される投与形態のいずれでもある。好ましくは、上記催眠剤は上記に示されるように口腔粘膜を介してデリバリーされる。また他の態様において、上記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる。本発明に係る組成物における使用のために好適な結合剤及びガム基礎は上記に示される。いくつかの場合、上記担体は上記に示されるような頬側の又は舌下の崩壊時間を提供する。いくつかの他の場合、上記担体は上記に示されるように少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む。
【0079】
他の態様において、本発明に係る組成物は上記に示される1以上の追加の剤をさらに含みうる。好ましい態様において、本明細書中に示される組成物中の薬物の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、及び/又は担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0080】
本発明の好ましい態様において、上記催眠剤はゾルピデムであり、及び上記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む。これらの成分のそれぞれの好ましい量は、好ましい投与形態及びそれらの好ましい重量と共に、上記に示される。
【0081】
A.催眠剤
本発明に係る催眠剤は好ましくはゾルピデム又はアルピデムの如きイミダゾピリヂン化合物;ゾペクロンの如きヂヒドロピロロピラジン化合物;ザレプロン又はインヂプロンの如きピラゾロピリミヂン化合物;それらの医薬として許容される塩;及びそれらの組み合わせから選ばれる。より好ましくは、上記催眠剤は全ての好適な形態のゾルピデムである。
【0082】
一般的に、本発明に係る催眠剤はイオン化形及び脱イオン化形を有する塩基性化合物である。いくつかの場合、上記催眠剤ははじめに少なくとも部分的にイオン化形で存在する。いくつかの他の場合、上記催眠剤ははじめに脱イオン化形で存在する。以下により詳細に示されるように、本明細書中に示される組成物の緩衝系は上記催眠剤の実質的に全てをそのイオン化形からその脱イオン化形へ変換することを助ける。あるいは、上記緩衝系は、はじめに脱イオン化形である上記催眠剤が脱イオン化形のままであることを確実にすることを助ける。
【0083】
本明細書中で使用されるとき、用語「催眠剤」は示される催眠剤の全ての医薬として許容される形態を含む。例えば、上記催眠剤はラセミ体又は異性体混合物、イオン交換樹脂に結合した固体複合体等でありうる。さらに、上記催眠剤は溶媒和化形でありうる。上記用語「催眠剤」はまた示される催眠剤の全ての医薬として許容される塩、誘導体、及びアナログ、並びにそれらの組み合わせを含むと意図される。例えば、上記催眠剤の医薬として許容される塩は、非限定的に、その酒石酸塩、琥珀酸塩、酒石酸塩、重酒石酸塩、二塩酸塩、サリチル酸塩、ヘミ琥珀酸塩、クエン酸塩、マレイン酸塩、塩酸塩、カルバミン酸塩、硫酸塩、硝酸塩、及び安息香酸塩形、並びにそれらの組み合わせ等を含む。上記催眠剤のいずれの形、例えば、上記催眠剤の医薬として許容される塩(例えば、酒石酸ゾルピデム)、上記催眠剤の遊離塩基又はそれらの混合物も本発明に係る組成物における使用のために好適である。
【0084】
上記催眠剤についてのイオン化形から脱イオン化形への変換は式:pH=pKa+Log10(脱イオン化濃度/イオン化濃度)にしたがうpHに関連する。pHがpKaと同じであるとき、等モル濃度の脱イオン化形及びイオン化形が存在する。本明細書中に示される催眠剤の如き塩基性化合物について、pHがpKaより1単位高いとき、脱イオン化形対イオン化形の割合は91:9である。同様に、pHがpKaより2単位高いとき、脱イオン化形対イオン化形の割合は100:1である。上記に示されるように、脱イオン化形は脂肪親和性であり、及びそれゆえ、天然で脂肪非親和性であるイオン化形より口腔粘膜の如き粘膜を通過しやすい。したがって、唾液のpHを増大させることは本明細書中に示される催眠剤の如き塩基性化合物についてのイオン化形の脱イオン化形への変換に有利であり、及び最終pHは上記の式を使用することにより決定されうる。
【0085】
本発明に係る催眠剤はイミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン又はピラゾロピリミヂンファミリー中の化合物のクラスから選ばれ、及び睡眠障害の如き状態の治療において有用である。本発明における使用のために好適なイミダゾピリヂン化合物の例示的な例はゾルピデム、アルピデム、それらの医薬として許容される塩、それらのアナログ、及びそれらの誘導体である。これらのイミダゾピリヂン化合物それぞれは以下に示されるように、イミダゾピリヂン基を有する:
【化1】

【0086】
イミダゾピリヂン化合物について、上記構造の二環状環のイミダゾール部分中の窒素はいかなる媒体中でもイオン化の程度及び脂肪親和性の程度を制御する。典型的に、イミダゾール部分中の窒素は上記分子に約6.8〜約7.5のpKaを与える。それゆえ、上記の式を用いて、脱イオン化形への約90%変換は約7.8〜約8.5のpHでこれらの化合物について達成されうることが示されうる。
【0087】
本発明における使用のために好適なヂヒドロピロロピラジン化合物の例示的な例はゾペクロン、その医薬として許容される塩、そのアナログ、及びその誘導体である。これらのヂヒドロピロロピラジンそれぞれは以下に示されるように、ヂヒドロピロロピラジン基を有する:
【化2】

【0088】
本発明における使用のために好適なピラゾロピリミヂン化合物の例示的な例はザレプロン、インヂプロン、その医薬として許容される塩、そのアナログ、及びその誘導体である。これらのピラゾロピリミヂンそれぞれは以下に示されるように、ピラゾロピリミヂン基を有する:
【化3】

【0089】
ピラゾロピリミヂン化合物について、ピリミヂン基中の窒素はいかなる媒体中でもイオン化の程度及び脂肪親和性の程度を制御する。典型的に、ピリミヂン基中の窒素は上記分子に約8〜約9のpKaを与える。それゆえ、上記の式を用いて、脱イオン化形への約90%変換は約9〜約10のpHでこれらの化合物について達成されうることが示されうる。
【0090】
一般的に、本発明に係る催眠剤はベンゾヂアゼピン受容体アゴニストとしてはたらく。好ましくは、上記催眠剤はベンゾヂアゼピン1受容体に選択的に結合する。特定の理論に拘泥することなく、睡眠障害の治療における本発明に係る催眠剤の治療活性は中枢神経系におけるガンマ−アミノブチル酸(GABA)の阻害活性を高めることに帰する。
【0091】
B.緩衝系
本明細書中に示される組成物の緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げることができる。このようにして、上記緩衝系は上記催眠剤の実質的に全てをそのイオン化形からその脱イオン化形に変換することを助ける。あるいは、上記緩衝系は、はじめに脱イオン化形である上記催眠剤が脱イオン化形のままであることを確実にすることを助ける。塩基性緩衝剤が典型的に本発明に係る緩衝系において使用されるが、当業者は、酸性剤もまた、上記緩衝系が全体として唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる限り、上記緩衝系のpHを合わせるために使用されうることを理解するであろう。
【0092】
1の態様において、本発明は炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系を提供する。それぞれの緩衝系成分の濃度は、最終唾液pHがある期間、例えば、少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間又は少なくとも約60分間達成される及び維持されるように調整される。これは典型的にさまざまな量のそれぞれの緩衝系成分を添加する及びその後時間にわたり最終pHを計測する、感覚の及び安全性の試行錯誤型の手順を含む。このようにして、それぞれの緩衝系成分についての適切な重量比率の選択は数回の試験で容易に決定されうる。例えば、炭酸塩対重炭酸塩の重量比率は約1:10〜約10:1、好ましくは約1:5〜約5:1、より好ましくは約1:3〜約3:1、及びさらにより好ましくは約1:2〜約2:1でありうる。
【0093】
上記炭酸塩は一般的に炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム、炭酸アンモニウム、及び炭酸マグネシウムから選ばれる。好ましくは、上記炭酸塩は炭酸ナトリウム又は炭酸カリウムである。最も好ましくは、上記炭酸塩は炭酸ナトリウムである。同様に、上記重炭酸塩は一般的に重炭酸ナトリウム、重炭酸カリウム、重炭酸カルシウム、重炭酸アンモニウム、及び重炭酸マグネシウムから選ばれる。好ましくは、上記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム又は重炭酸カリウムである。最も好ましくは、上記重炭酸塩は重炭酸ナトリウムである。いくつかの態様において、乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムは好ましい。上記二種混合型緩衝系において使用される炭酸塩及び重炭酸塩の量は、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。
【0094】
いくつかの場合、重炭酸塩の量は炭酸塩の量より多い又はそれに等しい、及び炭酸塩対重炭酸塩の重量比率は約1:1〜約1:10、好ましくは約1:1〜約1:5、及びより好ましくは約1:1〜約1:2、例えば、1:1、1:1.1、1:1.2、1:1.3、1:1.4、1:1.5、1:1.6、1:1.7、1:1.8、1:1.9又は1:2である。あるいは、重炭酸塩の量は炭酸塩の量より少ない又はそれに等しい、及び炭酸塩対重炭酸塩の重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約2:1、例えば、1:1、1.1:1、1.2:1、1.3:1、1.4:1、1.5:1、1.6:1、1.7:1、1.8:1、1.9:1又は2:1である。いくつかの他の場合、炭酸塩及び重炭酸塩の混合した量は上記催眠剤の量より多い又はそれに等しい、及び炭酸塩及び重炭酸塩対催眠剤の重量比率は好ましくは約1:1〜約10:1、例えば、1:1、2:1、3:1、4:1、5:1、6:1、7:1、8:1、9:1又は10:1である。あるいは、炭酸塩及び重炭酸塩の混合した量は上記催眠剤の量より少ない又はそれに等しい、及び炭酸塩及び重炭酸塩対催眠剤の重量比率は好ましくは約1:1〜約1:10、例えば、1:1、1:2、1:3、1:4、1:5、1:6、1:7、1:8、1:9又は1:10である。
【0095】
上記を考慮して、本発明に係る緩衝系は、最も好ましい態様のいくつかにおいて、炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む二種混合型緩衝系である。
【0096】
あるいは、他の態様において、本発明に係る緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩及び第二の緩衝剤を含む二種混合型緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は、最終唾液pHがある期間、例えば、少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間又は少なくとも約60分間達成される及び維持されるように調整される。
【0097】
好適な炭酸塩及び重炭酸塩は上記に示される。上記二種混合型緩衝系において使用される炭酸塩又は重炭酸塩の量は、上記第二の緩衝剤と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系における第二の緩衝剤の量は炭酸塩又は重炭酸塩の量より多い又はそれに等しい。例えば、第二の緩衝剤対炭酸塩又は重炭酸塩の重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系における第二の緩衝剤の量は炭酸塩又は重炭酸塩の量より少ない又はそれに等しい。例えば、第二の緩衝剤対炭酸塩又は重炭酸塩の重量比率は約1:1〜約1:10、好ましくは約1:1〜約1:5、及びより好ましくは約1:1〜約1:3でありうる。
【0098】
上記第二の緩衝剤は一般的に酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムの如き酸化金属;クエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウムの如きクエン酸塩;一塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸カリウム、二塩基リン酸カリウム、一塩基リン酸カルシウム、二塩基リン酸カルシウム、一塩基リン酸マグネシウム、二塩基リン酸マグネシウム、一塩基リン酸アンモニウム、及び二塩基リン酸アンモニウムの如きリン酸塩;ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウムの如きホウ酸塩;アスコルビン酸カリウム又はアスコルビン酸ナトリウムの如きアスコルビン酸塩;酢酸カリウム又は酢酸ナトリウムの如き酢酸塩;及びアルカリデンプンから選ばれる。しかしながら、当業者は、いかなる酸化金属又はクエン酸、リン酸、ホウ酸、アスコルビン酸又は酢酸の塩も本発明に係る緩衝系における使用のために好適であることを理解するであろう。上記二種混合型緩衝系において使用される第二の緩衝剤の量は、炭酸塩又は重炭酸塩と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)まで上げるのに十分な量である。いくつかの態様において、酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムの如き酸化金属は好ましい第二の緩衝剤である。特に好ましい態様において、上記酸化金属は非晶質酸化マグネシウムである。
【0099】
あるいは、また他の態様において、本発明に係る緩衝系は酸化金属及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む二種混合型緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は、最終唾液pHがある期間、例えば、少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間又は少なくとも約60分間達成される及び維持されるように調整される。
【0100】
好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き、本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸の本質的にいかなる塩をも含む。いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びクエン酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びリン酸塩を含む。さらなる場合、上記二種混合型緩衝系は酸化金属及びホウ酸塩を含む。上記二種混合型緩衝系において使用される酸化金属の量は、クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。同様に、上記二種混合型緩衝系において使用されるクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の量は、酸化金属と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。
【0101】
いくつかの場合、上記二種混合型緩衝系における酸化金属の量はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の量より多い又はそれに等しい。例えば、酸化金属対クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。いくつかの他の場合、上記二種混合型緩衝系における酸化金属の量はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の量より少ない又はそれに等しい。例えば、酸化金属対クエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の重量比率は約1:1〜約1:10、好ましくは約1:1〜約1:5、及びより好ましくは約1:1〜約1:3でありうる。
【0102】
あるいは、さらにまた他の態様において、本発明に係る緩衝系は炭酸塩、重炭酸塩、及び第三の緩衝剤を含む三種混合型緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は、最終唾液pHがある期間、例えば、少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間又は少なくとも約60分間達成される及び維持されるように調整される。それぞれの緩衝系成分についての適切な重量比率を決定するための上記に示される手順はまた三種混合型緩衝系にも適用されうる。
【0103】
好適な炭酸塩及び重炭酸塩は上記に示される。上記三種混合型緩衝系において使用される炭酸塩及び重炭酸塩の量は、上記第三の緩衝剤と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。
【0104】
上記第三の緩衝剤は一般的に、酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸カリウム又はアスコルビン酸ナトリウムの如きアスコルビン酸塩、酢酸カリウム又は酢酸ナトリウムの如き酢酸塩、及びアルカリデンプンから選ばれる。好適な酸化金属は、非限定的に、酸化金属及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き本分野において知られるクエン酸、リン酸又はホウ酸のいずれの塩をも含む。上記三種混合型緩衝系において使用される第三の緩衝剤の量は、残りの成分と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。いくつかの態様において、酸化マグネシウム又は酸化アルミニウムの如き酸化金属は好ましい第三の緩衝剤である。特に好ましい態様において、上記酸化金属は非晶質酸化マグネシウムである。
【0105】
いくつかの場合、上記三種混合型緩衝系における炭酸塩又は重炭酸塩の量は上記第三の緩衝剤の量より多い又はそれに等しい。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩対第三の緩衝剤の重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。いくつかの他の場合、上記三種混合型緩衝系における炭酸塩又は重炭酸塩の量は上記第三の緩衝剤の量より少ない又はそれに等しい。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩対第三の緩衝剤の重量比率は約1:1〜約1:10、好ましくは約1:1〜約1:5、及びより好ましくは約1:1〜約1:3でありうる。
【0106】
本発明に係る三種混合型緩衝系は、最も好ましい態様のいくつかにおいて、炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び非晶質酸化マグネシウムを含む。いくつかの場合、重炭酸ナトリウムの量は炭酸ナトリウムの量より多い又はそれに等しい。例えば、重炭酸ナトリウム対炭酸ナトリウムの重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。いくつかの他の場合、非晶質酸化マグネシウムの量は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した量より多い又はそれに等しい。例えば、非晶質酸化マグネシウム対炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。
【0107】
あるいは、さらなる態様において、本発明に係る緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む緩衝系である。それぞれの緩衝系成分の濃度は、最終唾液pHがある期間、例えば、少なくとも約2分間、少なくとも約5分間、少なくとも約10分間、少なくとも約20分間又は少なくとも約60分間達成される及び維持されるように調整される。
好適な炭酸塩及び重炭酸塩は上記に示される。上記緩衝系において使用される炭酸塩又は重炭酸塩の量は、残りの成分と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。
【0108】
上記2以上の緩衝剤は一般的に、酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、酢酸塩、及びアルカリデンプンから選ばれる。好適な酸化金属は、非限定的に、酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムを含む。好適なクエン酸塩、リン酸塩、ホウ酸塩、アスコルビン酸塩、及び酢酸塩は、非限定的に、上記に示されるものの如き本分野において知られるクエン酸、リン酸、ホウ酸、アスコルビン酸又は酢酸の本質的にいかなる塩をも含む。上記緩衝系において使用される追加の緩衝剤の量は、炭酸塩又は重炭酸塩と共に使用されるとき、開始pHに関わらず、唾液pHを約7.8以上、好ましくは約8.5以上、及びより好ましくは約9以上(例えば、約9〜11)のpHまで上げるのに十分な量である。
【0109】
いくつかの場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、酸化金属、及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びリン酸塩を含む。いくつかの場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、クエン酸塩、及びホウ酸塩を含む。いくつかの他の場合、上記緩衝系は炭酸塩又は重炭酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩を含む。好ましくは、上記酸化金属は非晶質酸化マグネシウムである。
【0110】
いくつかの場合、上記緩衝系における炭酸塩又は重炭酸塩の量は酸化金属又はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の量より大きい又はそれに等しい。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩対酸化金属又はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の重量比率は約1:1〜約10:1、好ましくは約1:1〜約5:1、及びより好ましくは約1:1〜約3:1でありうる。いくつかの他の場合、上記緩衝系における炭酸塩又は重炭酸塩の量は酸化金属又はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の量より少ない又はそれに等しい。例えば、炭酸塩又は重炭酸塩対酸化金属又はクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩の重量比率は約1:1〜約1:10、好ましくは約1:1〜約1:5、及びより好ましくは約1:1〜約1:3でありうる。
【0111】
上記議論は、治療用剤の脱イオン化形への実質的な変換に有利であるように唾液pHを変える上記緩衝系の能力に焦点を合わせたが、上記緩衝系はまた口腔粘膜を介した吸収の程度に対して副次的な有益な効果を有しうることが考えられる。例えば、上記緩衝系は、口腔粘膜を介した吸収が増大されるような様式で上記治療用剤の分子配置に影響する最終唾液pHを作出しうる。上記緩衝系のこれらの副次的な有益な効果は本明細書中に示される緩衝系及び組成物の一般的な範囲内にあることが理解されるべきである。
【0112】
C.投与形態
本発明に係る組成物は、例えば、錠剤(例えば、チュワブル、遅延溶解性、即時溶解性)、ピル、カプセル、ロゼンジ、ガム、粉末、溶液、懸濁物、エマルジョン、エーロゾル等の如き、固体、半固体、凍結乾燥粉末又は液体投与形態の形態をとりうる。好ましくは、上記投与形態はチューイングガム、溶解錠剤、チュワブル錠、キャンディ又はロゼンジである。
【0113】
それぞれの被験者又は患者は本明細書中に示される治療用剤の吸収の速度及び程度に影響しうる独特の因子を有するが、本明細書中に示される緩衝系を含む、チューイングガム、チュワブル錠、溶解錠剤又はロゼンジの如き投与形態は経口投与のための伝統的な投与形態(すなわち、Ambien(商標))を超える利点を提供する。例えば、これらの投与形態のそれぞれは肝臓初回通過代謝、胃腸腔内での分解、及び吸収中の薬物損失を避ける。その結果、用量当たりに必要とされる治療用剤の量は、例えば、経口投与のためにピル又は錠剤中に調合される場合に必要とされるであろう量より少ない。同様に、上記治療用剤のバイオアベイラビリティは増大され、それにより経口投与のための伝統的な投与形態に比較して治療活性の開始までの時間を減少させる(以下の実施例5を参照のこと)。
【0114】
さらに、本明細書中に示される緩衝系を含む本発明に係る好ましい投与形態(例えば、チューイングガム、チュワブル錠、溶解錠剤、ロゼンジ)は上記緩衝系を含まない口腔粘膜投与のための投与形態(すなわち、ゾルピデムFlashDose(商標)錠剤)を超える利点を提供する。重要なことに、本発明に係る投与形態中の緩衝系は上記治療用剤の実質的に全てをそのイオン化形からその脱イオン化形へ変換することを助けるので、上記治療用剤のバイオアベイラビリティは増大され、それにより上記緩衝系を含まない口腔粘膜投与のための投与形態に比較して治療活性の開始までの時間を減少させる。例えば、米国特許公開公報第2003/0165566号は、頬側に投与されるゾルピデムFlashDose(商標)錠剤は経口で投与されるAmbien(商標)錠剤について観察されるものと同様の薬物動態プロファイルを有することを開示する。そのように、本発明に係るゾルピデム組成物はゾルピデムのバイオアベイラビリティにおける増大及び治療活性の開始までの時間における減少を提供することにより市販の錠剤組成物の両方にまさる。
【0115】
本明細書中で使用されるとき、用語「投与形態」はヒト患者及び他の哺乳類のための一体の投与量として好適な物理的に別々の単位をいい、それぞれの単位は、担体の如き1以上の好適な医薬賦形剤を伴って、所望の開始、許容性、及び治療効果を作出するよう計算された事前に決定された量の治療用剤を含む。上記投与形態の調製方法は当業者に知られる又は明らかであろう。例えば、いくつかの態様において、本発明に係るチューイングガム投与形態は米国特許第4,405,647号中に示される手順にしたがって調製されうる。他の態様において、本発明に係る錠剤、ロゼンジ又はキャンディ投与形態は、例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 20thEd., Lippincott, Williams & Wilkins (2003);Pharmaceutical Dosage Forms, Volume 1: Tablets, 2ndEd., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y. (1989);及び同様の出版物中に示される手順にしたがって調製されうる。投与される投与形態は、いかなる事件においても、本発明の教示にしたがって投与されるとき処置される状態の軽減のために治療的に有効な量で、ある量の治療用剤を含むであろう。
【0116】
本明細書中で使用されるとき、用語「担体」は治療用剤の如き薬物のための希釈剤又は媒体として使用される典型的に不活性な物質をいう。上記用語はまた上記組成物に粘着性の性質を与える典型的に不活性な物質をも含む。本発明に係る組成物における使用のために好適な担体は、非限定的に、結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせを含む。結合剤の非限定的な例はマンニトール、ソルビトール、キシリトール、マルトデキストリン、ラクトース、デキストロース、スクロース、グルコース、イノシトール、粉糖、糖蜜、デンプン、セルロース、微晶質セルロース、ポリヴィニルピローリドン、アカシアガム、グアールガム、トラガカントガム、アルギン酸塩、トチャカ抽出物、パンワールガム、ガティガム、isapolの殻の粘液、Veegum(商標)、カラマツarabogalactan、ゼラチン、メチルセルロース、エチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリアクリル酸(例えば、Carbopol)、珪酸カルシウム、リン酸カルシウム、リン酸ヂカルシウム、硫酸カルシウム、カオリン、塩化ナトリウム、ポリエチレングリコール、及びそれらの組み合わせを含む。これらの結合剤は凍結乾燥(例えば、Fundamentals of Freeze−Drying, Pharm. Biotechnol., 14:281−360(2002);Lyophilization of Unit Dose Pharmaceutical Dosage Forms, Drug. Dev. Ind. Pharm., 29:595−602(2003)を参照のこと);固体−溶液調製(例えば、米国特許第6,264,987号を参照のこと);及び好適な潤滑剤を伴う潤滑剤ダスティング及び湿性粒状化調製(例えば、Remington: The Science and Practice of Pharmacy, 上記.を参照のこと)の如き本分野において知られる方法によりそれらの流動性及び味を改善するために事前プロセスされうる。例えば、SPI Pharma Group(New Castle, DE)により販売されるMannogem(商標)及びSorbogem(商標)は、それぞれ、マンニトール及びソルビトールの凍結乾燥プロセス形である。典型的に、本発明に係る組成物は約25重量%〜約90重量%、及び好ましくは約50重量%〜約80重量%の結合剤を含む。しかしながら、当業者は、本発明に係る組成物は、例えば、高度にもろい投与形態を作出するために、結合剤なしに作出されうることを理解するであろう。
【0117】
ガム基礎の非限定的な例は本分野において知られる多くの水不溶性及び唾液不溶性ガム基礎物質の中から選ばれる物質を含む。例えば、いくつかの場合、上記ガム基礎は少なくとも1の疎水性重合体及び少なくとも1の親水性重合体を含む。ガム基礎のために好適な疎水性及び親水性重合体の非限定的な例はエラストマー、生ゴム、及びそれらの組み合わせの如き、天然及び合成重合体の両方を含む。好適な天然重合体の例は、非限定的に、チクル、ジェルトン、グッタペルカ、クラウンガム、及びそれらの組み合わせの如き、植物起源の物質を含む。好適な合成重合体の例はブタヂエン−スチレン共重合体、イソブチレン及びイソプレン共重合体(例えば、「ブチルゴム」)、ポリエチレン、ポリイソブチレン、ポリヴィニルエステル(例えば、酢酸ポリヴィニル及び酢酸フタル酸ポリヴィニル)、及びそれらの組み合わせの如きエラストマーを含む。他の場合、上記ガム基礎はブチルゴム(すなわち、イソブチレン及びイソプレン共重合体)、ポリイソブチレン、及び場合により、酢酸ポリヴィニル(例えば、約12,000の分子量を有する)の混合物を含む。典型的に、上記ガム基礎は約25重量%〜約75重量%、及び好ましくは約30重量%〜約60重量%のこれらの重合体を含む。
【0118】
本発明に係る組成物は潤滑剤;浸潤剤;乳化剤;可溶化剤;懸濁剤;メチル−、エチル−、及びプロピル−ヒドロキシ−安息香酸塩、ブチル化ヒドロキシトルエン、及びブチル化ヒドロキシアニソールの如き保存剤;甘味剤;香味剤;着色剤;及びクロスポヴィドン及びクロスカルメロースナトリウム及び他のクロス結合セルロース重合体の如き崩壊剤(すなわち、溶解剤)をさらに含みうる。
【0119】
潤滑剤は打ち型及びパンチの表面への投与形態の付着を妨げるために、及び粒子間摩擦を減少させるために使用されうる。潤滑剤はまた打ち型の穴からの投与形態の排出を促進し及びプロセッシング中の粒状化流動速度を改善しうる。好適な潤滑剤の例は、非限定的に、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シメチコン、二酸化珪素、タルク、水素化植物油、ポリエチレングリコール、鉱油、及びそれらの組み合わせを含む。本発明に係る組成物は約0重量%〜約10重量%、及び好ましくは約1重量%〜約5重量%の潤滑剤を含みうる。
【0120】
甘味剤は、上記組成物が有しうる不快な味を隠すことにより上記組成物の嗜好性を改善するために使用されうる。好適な甘味剤の例は、非限定的に、モノ−、ヂ−、トリ−、ポリ−、及びオリゴサッカライドの如きサッカライドファミリー;スクロース、グルコース(トウモロコシシロップ)、デキストロース、転化糖、フルクトース、マルトデキストリン、及びポリデキストロースの如き糖;サッカリン及びナトリウム及びカルシウム塩の如きその塩;シクラミン酸及びその塩;ヂペプチド甘味剤;スクラロース及びヂヒドロカルコンの如き塩素化糖誘導体;ソルビトール、ソルビトールシロップ、マンニトール、キシリトール、ヘキサ−レソルシノール等の如き糖アルコール、及びそれらの組み合わせから選ばれる化合物を含む。水素化デンプン水解物、及び3,6−ヂヒドロ−6−メチル−1−1,2,3−オキサチアジン−4−オン−2,2−ヂオキシドのカリウム、カルシウム、及びナトリウム塩もまた使用されうる。上記のうち、単独の又は組み合わせの、ソルビトール、マンニトール、及びキシリトールは好ましい甘味剤である。本発明に係る組成物は約0重量%〜約80重量%、好ましくは約5重量%〜約75重量%、及びより好ましくは約25重量%〜約50重量%の甘味剤を含みうる。
【0121】
香味剤もまた上記組成物の嗜好性を改善するために使用されうる。好適な香味剤の例は、非限定的に、ペパーミント、スペアミント、ウィンターグリーン、シナモン、メントール、チェリー、イチゴ、スイカ、ブドウ、バナナ、モモ、パイナップル、アプリコット、洋ナシ、ラズベリー、レモン、グレープフルーツ、オレンジ、プラム、リンゴ、フルーツパンチ、パッションフルーツ、チョコレート(例えば、ホワイト、ミルク、ダーク)、バニラ、キャラメル、コーヒー、ヘーゼルナッツ、それらの組み合わせ等の如き天然及び/又は合成(すなわち、人工)化合物を含む。着色剤は、例えば、その中の治療用剤の型及び投与量を示すように、上記組成物を色分けするために使用されうる。好適な着色剤は、非限定的に、FD&C着色剤、天然ジュース濃縮物、酸化チタン、二酸化珪素、及び酸化亜鉛の如き色素、それらの組み合わせ等の如き天然及び/又は人工化合物を含む。本発明に係る組成物は約0重量%〜約10重量%、好ましくは約0.1重量%〜約5重量%、及びより好ましくは約2重量%〜約3重量%の香味及び/又は着色剤を含みうる。
【0122】
1.チューイングガム
上記投与形態がチューイングガムであるとき、本発明に係る組成物は催眠剤又はその医薬として許容される塩、ガム基礎の如き担体、二種混合型又は三種混合型緩衝系、及び場合により保護剤を含む。上記チューイングガム組成物は潤滑剤、浸潤剤、乳化剤、可溶化剤;懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、及び着色剤をさらに含みうる。典型的に、上記チューイングガム組成物は約0.001重量%〜約10.0重量%、より典型的には約0.01重量%〜約5.0重量%、及びさらにより典型的には約0.1重量%〜約3.0重量%の催眠剤(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形当たりとして計測される)を含む。当業者は、上記割合は利用される催眠剤の特定の起源、最終配合品中に所望される催眠剤の量に、及び所望される催眠剤の特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。チューイングガム組成物の二種混合型又は三種混合型緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。上記チューイングガム組成物は典型的に約20%〜約95%のガム基礎、より典型的には約30%〜約85%、及び最も典型的には約50%〜約70%のガム基礎を含む。
【0123】
上記チューイングガム組成物は保護剤をさらに含みうる。上記保護剤は、典型的に2の剤の混合に際して、上記治療用剤の少なくとも一部を覆う。上記保護剤は重量で約0.1〜約100の割合で、好ましくは約1〜約50の割合で、及びより好ましくは約1〜約10の割合で上記治療用剤と混合されうる。いかなる特定の理論に拘泥することなく、上記保護剤は上記治療用剤及び上記ガム基礎の間の粘着を減少させるので、上記治療用剤は上記ガム基礎からより容易に放出されうる。このようにして、上記治療用剤は噛んで約5〜約20分以内に、好ましくは噛んで約10分以内に口腔粘膜を介してデリバリーされうる。さまざまな異なる保護剤が使用されうる。好適な保護剤の例は、非限定的に、ステアリン酸カルシウム、グリセリンモノステアラート、ベヘン酸グリセリル、パルミトステアリン酸グリセリル、水素化キャスター油、水素化植物油I型、軽質鉱油、ラウリル硫酸マグネシウム、ステアリン酸マグネシウム、鉱油、ポロキサマー、ポリエチレングリコール、安息香酸ナトリウム、塩化ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸、cab−o−sil、タルク、ステアリン酸亜鉛、及びそれらの組み合わせを含む。
【0124】
上記ガム基礎は柔軟剤又は乳化剤の如き可塑剤をさらに含みうる。上記可塑剤は、例えば、上記ガム基礎の粘性を所望の堅さまで減少させること及びその全体的なきめ及びかみ合いを改善することを助けうる。可塑剤はまた咀嚼の際に上記治療用剤の放出を促進しうる。可塑剤の非限定的な例はレシチン、モノ−及びヂグリセリド、ラノリン、ステアリン酸、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、三酢酸グリセリン、モノステアリン酸グリセリン、グリセリン、及びそれらの組み合わせを含む。上記ガム基礎は典型的に約0重量%〜約20重量%、及びより典型的には約5重量%〜約15重量%の可塑剤を含む。
【0125】
上記ガム基礎は蜜蝋及び微晶蝋の如き蝋、大豆及び綿実油の如き脂肪又は油、及びそれらの組み合わせをさらに含みうる。典型的に、上記ガム基礎は約0重量%〜約25重量%のこれらの蝋及び油を含み、及びより典型的には約15重量%〜約20重量%を含む。
【0126】
さらに、上記ガム基礎はロジン及び樹脂の如き1以上のエラストマー溶媒をさらに含みうる。上記溶媒の非限定的な例はロジンのメチル、グリセリン、及びペンタエリスリトールエステル、水素化、二量化又は重合ロジンの如き修飾ロジン又はそれらの組み合わせ(例えば、部分的に水素化されたウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのペンタエリスリトールエステル、ウッドロジンのグリセリンエステル、部分的に二量化されたロジンのグリセリンエステル、重合ロジンのグリセリンエステル、トールオイルロジンのグリセリンエステル、ウッドロジン及び部分的に水素化されたウッドロジンのグリセリンエステル及びアルファ−ピネン又はベータ−ピネンの重合体の如きロジンの部分的に水素化されたメチルエステル、ポリテルペンを含むテルペン樹脂、及びそれらの組み合わせ)を含む。典型的に、上記ガム基礎は約0%〜約75%、及びより典型的には約10%未満のエラストマー溶媒を含む。
【0127】
上記ガム基礎は最終チューイングガム組成物の咀嚼性を高めるために充填物質をさらに含みうる。最終チューイングガム配合品の他の成分と実質的に非反応性である充填剤は好ましい。好適な充填剤の例は、非限定的に、炭酸カルシウム、珪酸マグネシウム(すなわち、タルク)、リン酸ヂカルシウム、金属鉱物塩(例えば、アルミナ、水酸化アルミニウム、及び珪酸アルミニウム)、及びそれらの組み合わせを含む。典型的に、上記ガム基礎は約0重量%〜約30重量%、及びより典型的には約10重量%〜約20重量%の充填剤を含む。
【0128】
当業者は、上記ガム基礎はその個々の成分から調製される必要はないことを理解するであろう。例えば、上記ガム基礎はその中に含まれる所望の成分と共に購入されうる、及び追加の剤を含むよう修正されうる。いくつかの製造業者は示されるチューイングガム組成物での使用に好適なガム基礎を生産する。上記ガム基礎の例は、非限定的に、Pharmagum(商標)M、S又はC(SPI Pharma Group; New Castle, DE)を含む。一般的に、Pharmagum(商標)はガム基礎、甘味剤、可塑剤、及び糖の混合物を含む。
【0129】
いくつかの場合、上記チューイングガム組成物は治療用剤センターフィルを含む。センターフィルは上記治療用剤の即時の放出が好ましいとき特に好適でありうる。さらに、センターフィル中に上記治療用剤をカプセル化することは上記治療用剤が有しうる所望されない味を隠すことを助けうる。これらの場合、上記ガム基礎は、少なくとも部分的に、センターフィルを囲む。上記センターフィルは少なくとも1の治療用剤を含み、及び液体又は半液体物質でありうる。上記センターフィル物質は合成重合体、半合成重合体、低脂肪又は脂肪抜きでありうる、及び1以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は香剤を含む。好ましくは、上記センターフィルは本明細書中に示される二種混合型又は三種混合型緩衝系を含む。センターフィルチューイングガムの調製方法は、例えば、それを全体として本明細書中に援用する米国特許第3,806,290号中に示される。
【0130】
上記チューイングガム組成物はいかなる所望の形、大きさ、及び質感をも有しうる。例えば、上記チューイングガムはスティック、タブ、ガムボール等の形を有しうる。同様に、上記チューイングガムはいかなる所望の色でもありうる。例えば、上記チューイングガムは赤、青、緑、橙、黄、紫、インディゴ、及びそれらの混合のいかなる色合いでもありうる、及びその中の治療用剤の型及び投与量を示すために色分けされうる。上記チューイングガムは本分野において周知の方法により包装のためにばらばらに個々に包装され又は共にグループ分けされうる。
【0131】
2.錠剤
上記投与形態が溶解錠剤(すなわち、崩壊錠剤)又はチュワブル錠の如き錠剤であるとき、本発明に係る組成物は催眠剤又はその医薬として許容される塩、結合剤の如き担体、及び二種混合型又は三種混合型緩衝系を含む。上記錠剤組成物は潤滑剤、浸潤剤、乳化剤、可溶化剤;懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、着色剤、及び崩壊剤をさらに含みうる。典型的に、本発明に係る錠剤組成物は約0.001重量%〜約10.0重量%、及びより典型的には約1.0重量%〜約5.0重量%の催眠剤(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形当たりとして計測される)を含む。いくつかの態様において、約4.0重量%の催眠剤が使用される。当業者は、上記割合は利用される催眠剤の特定の起源、最終配合品中に所望される催眠剤の量に、及び所望される催眠剤の特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。上記錠剤組成物の二種混合型又は三種混合型緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。
【0132】
いくつかの態様において、上記錠剤は噛む必要なしに、患者の唾液により溶解される遅延溶解性又は即時溶解性錠剤の如き溶解錠剤である。例えば、患者の舌上に置かれた溶解錠剤は治療用剤の頬側のデリバリーのために使用されうる。あるいは、患者の舌の下に置かれた溶解錠剤は治療用剤の舌下デリバリーのために使用されうる。小さな子供及び老齢の個人はしばしばある品目を噛むことに困難を有するので、この型の投与形態は小児科及び老人医学の患者のために特に所望されうる。典型的に、上記溶解錠剤は投与後、約1〜約15分以内、好ましくは約2〜約10分以内、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9又は10分以内に溶解するよう調合される。当業者は、即時溶解性錠剤は、典型的に患者の唾液により速やかというよりむしろ徐々に溶解される遅延溶解性錠剤より速く溶解することを理解するであろう。好ましい態様において、上記遅延溶解性又は即時溶解性錠剤は舌下粘膜を介して上記治療用剤をデリバリーする。
【0133】
いくつかの他の態様において、上記錠剤は患者により噛まれ、及び速やかに又は徐々に溶解するよう調合される、チュワブル錠である。例えば、患者の舌上に置かれたチュワブル錠は治療用剤の頬側のデリバリーのために使用されうる。噛む間、上記チュワブル錠は口内を動き回らされうる、及びときどき上記歯ぐき及び頬の間に又は舌の下に置かれうる。その結果、チュワブル錠中に含まれる上記治療用剤の少なくとも一部はまた舌下で(すなわち、舌下粘膜を介して)デリバリーされうる。典型的に、上記チュワブル錠は投与後、約1〜約15分以内、好ましくは約2〜約10分以内、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9又は10分以内に溶解するよう調合される。
【0134】
上記に示されるように、本発明に係る溶解錠剤及びチュワブル錠は典型的に投与後約1〜15分以内に溶解するよう調合される。しかしながら、これらの時間枠は口腔粘膜への(例えば、舌下及び/又は頬側粘膜への)上記治療用剤の最大暴露に従うが、それらは必ずしもユーザーの遵守に従うわけではない(例えば、ユーザーがあまりに頻繁に飲み込み、及びそれゆえ、最大の粘膜を介した吸収を妨げうる)。その結果、いくつかの場合、患者の遵守及び口腔粘膜への上記治療用剤の最大暴露時間の間のバランスを打ち当てることが所望されうる。これは、例えば、上記緩衝系又は上記治療用剤の単位用量当たりの濃度又は量を減少させることなしに、錠剤の大きさを(例えば、約700〜800mgから約200〜300mgに)減少させることにより達成されうる。さらに、例えば、1の香味剤を他のものに(例えば、チョコレートをスペアミントに)置き換えること又は1の結合剤又は甘味剤を他のものに(例えば、ラクトースをマンニトール又はソルビトールに)置き換えることの如き錠剤配合品への微妙な変化が唾液過多を減少させるために使用されうる。
【0135】
本発明に係る錠剤中に存在する担体は典型的に半固体状態に錠剤を維持することにおいて有用な結合剤であり、及び固体又は液体でありうる、及び例えば、高融点脂肪又は蝋物質でありうる。結合剤として好適な物質は上記に詳細に議論され、及び本発明に係る錠剤組成物中で単独で又は組み合わせで使用されうる。さらに、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、及びイノシトールの如き結合剤は、口内でその崩壊を許容する又は高める特性を錠剤に与えうる。
【0136】
上記錠剤組成物は保護剤をさらに含みうる。上記保護剤は、典型的に2の剤の混合に際して、上記治療用剤の少なくとも一部を覆う。上記保護剤は重量で約0.1〜約100の割合で、好ましくは約1〜約50の割合で、及びより好ましくは約1〜約10の割合で、上記治療用剤と混合されうる。いかなる特定の理論に拘泥することなく、上記保護剤は上記治療用剤及び上記結合剤の間の粘着を減少させ、そのため、上記治療用剤は上記結合剤からより容易に放出されうる。このようにして、上記治療用剤は約5〜約20分以内に、好ましくは約10分以内に口腔粘膜を介してデリバリーされうる。保護剤として好適な物質は上記に詳細に議論され、及び本発明に係る錠剤組成物中で単独で又は組み合わせで使用されうる。
【0137】
上記錠剤組成物はまたロジン及び樹脂の如き1以上のエラストマー溶媒をも含みうる。上記溶媒の非限定的な例は上記に詳細に議論され、及び本発明に係る錠剤組成物中で単独で又は組み合わせで使用されうる。さらに、上記錠剤組成物は蜜蝋及び微晶蝋の如き蝋、大豆及び綿実油の如き脂肪又は油、及びそれらの組み合わせをさらに含みうる。さらに、上記錠剤組成物は柔軟剤又は乳化剤の如き可塑剤をさらに含みうる。上記可塑剤は、例えば、所望の堅さまで上記溶解錠剤の唾液溶液の粘性を減少させること及びその全体のきめ及びかみ合いを改善することを助け、及び上記治療用剤の放出を促進することを助けうる。上記可塑剤の非限定的な例は上記に詳細に議論され、及び本発明に係る錠剤組成物中で単独で又は組み合わせで使用されうる。
【0138】
いくつかの場合、上記錠剤組成物は治療用剤センターフィルを含む。センターフィルは上記治療用剤の即時の放出が好ましいとき特に好適でありうる。さらに、センターフィル中に上記治療用剤をカプセル化することは上記治療用剤が有しうる所望されない味を隠すことを助けうる。これらの場合、上記結合剤は、少なくとも部分的に、センターフィルを囲む。上記センターフィルは少なくとも1の治療用剤を含み、及び液体又は半液体物質でありうる。上記センターフィル物質は合成重合体、半合成重合体、低脂肪又は脂肪抜きでありうる、及び1以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は香剤を含む。好ましくは、上記センターフィルは本明細書中に示される二種混合型又は三種混合型緩衝系を含む。
【0139】
いくつかの他の場合、本発明に係る錠剤組成物は多層化されうる。このようにして、上記溶解錠剤又はチュワブル錠は1超の治療用剤、例えば、2以上の催眠剤又は1以上の非催眠治療用剤との組み合わせの1以上の催眠剤を提供するよう設計されうる。例えば、二層錠剤で、第一の層は催眠剤を含み、及び第二の層は同じ又は異なる催眠剤又は非催眠治療用剤を含む。典型的に、第一の層は錠剤の溶解又はチュワブル部分を含み、及び第二の(すなわち、続く)層は第一の層により覆われる。この型の配合品は、上記催眠剤の即時の放出、続く第二の治療用剤の胃腸吸収が所望されるとき、特に好適でありうる。上記第二の治療用剤の胃腸吸収は、例えば、共疾患性の症状を和らげるために又は上記錠剤の溶解又はチュワブル部分中の催眠剤の治療的利点を維持するために所望されうる。あるいは、上記第二の層は上記第一の層の外側の層として存在する。上記第二の層は典型的に少なくとも1の治療用剤を含み、及びまた上記に示されるように1以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び香剤をも含みうる。いくつかの場合、上記第二の層は本明細書中に示される二種混合型又は三種混合型緩衝系をさらに含む。
【0140】
また他の場合、非催眠治療用剤を伴う又は伴わない催眠剤の組み合わせは多層錠剤の形態を取る必要はないが、その代わりに単一の均一な錠剤層を含む。この型の配合品はまた少なくとも1の治療用剤の胃腸吸収が所望される場合に使用されうる。この場合、2以上の治療用剤のイオン化の相対的程度はそれらがどのように吸収されるかを決定する。例えば、脱イオン化された治療用剤は口腔粘膜をとおして吸収されるが、イオン化された剤は胃腸吸入のために飲み込まれる。
【0141】
上記錠剤組成物はいかなる所望の形、大きさ、及び質感をも有しうる。例えば、上記錠剤はスティック、タブ、ペレット、球等の形を有しうる。同様に、上記錠剤はいかなる所望の色でもありうる。例えば、上記錠剤は赤、青、緑、橙、黄、紫、インディゴ、及びそれらの混合のいかなる色合いでもありうる、及びその中の治療用剤の型及び投与量を示すために色分けされうる。上記錠剤は本分野において周知の方法により包装のためにばらばらに個々に包装され又は共にグループ分けされうる。
【0142】
3.ロゼンジ
上記投与形態がロゼンジ又はキャンディであるとき、本発明に係る組成物は催眠剤又はその医薬として許容される塩、結合剤の如き担体、及び二種混合型又は三種混合型緩衝系を含む。上記ロゼンジ又はキャンディ組成物は潤滑剤、浸潤剤、乳化剤、可溶化剤;懸濁剤、保存剤、甘味剤、香味剤、着色剤、及び崩壊剤をさらに含みうる。ロゼンジ及びキャンディの一般的な議論は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms, Volume I: Tablets, 2ndEd., Marcel Dekker, Inc., New York, N.Y., pages 75−418(1989)中に提供される。典型的に、本発明に係るロゼンジ組成物は約0.001重量%〜約10.0重量%、及びより典型的には約1.0重量%〜約5.0重量%の催眠剤(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形当たりとして計測される)を含む。いくつかの態様において、約4.5重量%の催眠剤が使用される。当業者は、上記割合は利用される催眠剤の特定の起源、最終配合品中に所望される催眠剤の量に、及び所望される催眠剤の特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。上記ロゼンジ組成物の二種混合型又は三種混合型緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。
【0143】
いくつかの態様において、上記ロゼンジ又はキャンディは噛む必要なしに、患者の唾液により溶解される。例えば、患者の舌上に置かれたロゼンジは上記治療用剤の頬側のデリバリーのために使用されうる。あるいは、患者の舌の下に置かれたロゼンジは上記治療用剤の舌下デリバリーのために使用されうる。小さな子供及び老齢の個人はしばしばある品目を噛むことに困難を有するので、この型の投与形態は小児科及び老人医学の患者のために特に所望されうる。典型的に、上記ロゼンジは投与後、約1〜約15分以内、好ましくは約2〜約10分以内、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9又は10分以内に溶解するよう調合される。好ましい態様において、上記ロゼンジ又はキャンディは舌下粘膜を介して上記治療用剤をデリバリーする。
【0144】
上記に示されるように、本発明に係るロゼンジは典型的に投与後約1〜15分以内に溶解するよう調合される。しかしながら、これらの時間枠は口腔粘膜への(例えば、舌下及び/又は頬側粘膜への)上記治療用剤の最大暴露に従うが、それらは必ずしもユーザーの遵守に従うわけではない(例えば、ユーザーがあまりに頻繁に飲み込み、及びそれゆえ、最大の粘膜を介した吸収を妨げうる)。その結果、いくつかの場合、患者の遵守及び口腔粘膜への上記治療用剤の最大暴露時間の間のバランスを打ち当てることが所望されうる。これは、例えば、上記緩衝系又は上記治療用剤の単位用量当たりの濃度又は量を減少させることなしに、ロゼンジの大きさを(例えば、約700〜800mgから約200〜300mgに)減少させることにより達成されうる。さらに、例えば、1の香味剤を他のものに(例えば、チョコレートをスペアミントに)置き換えること又は1の結合剤又は甘味剤を他のものに(例えば、ラクトースをマンニトール又はソルビトールに)置き換えることの如きロゼンジ配合品への微妙な変化が唾液過多を減少させるために使用されうる。
【0145】
本発明に係るロゼンジ中に存在する担体は典型的に上記ロゼンジを半固体状態に維持することにおいて有用な結合剤であり、及び固体又は液体でありうる、及び例えば、高融点脂肪又は蝋物質でありうる。結合剤として好適な物質は上記に詳細に議論され、及び本発明に係るロゼンジ組成物中に単独で又は組み合わせで使用されうる。さらに、マンニトール、ソルビトール、ラクトース、スクロース、及びイノシトールの如き結合剤は口腔内でのその崩壊を許容する又は高める特性を上記ロゼンジに与えうる。
【0146】
上記ロゼンジ組成物は保護剤をさらに含みうる。上記保護剤は、2の剤の混合に際して、上記治療用剤の少なくとも一部を覆う。上記保護剤は重量で約0.1〜約100の割合で、好ましくは約1〜約50の割合で、及びより好ましくは約1〜約10の割合で、上記治療用剤と混合されうる。いかなる特定の理論に拘泥することなく、上記保護剤は上記治療用剤及び上記結合剤の間の粘着を減少させ、そのため、上記治療用剤は上記結合剤からより容易に放出されうる。このようにして、上記治療用剤は約5〜約20分以内、好ましくは約10分以内に、口腔粘膜を介してデリバリーされうる。保護剤として好適な物質は上記に詳細に議論され、及び本発明に係るロゼンジ組成物中に単独で又は組み合わせで使用されうる。
【0147】
上記ロゼンジ組成物はまたロジン及び樹脂の如き1以上のエラストマー溶媒をも含みうる。上記溶媒の非限定的な例は上記に詳細に議論され、及び本発明に係る錠剤組成物中に単独で又は組み合わせで使用されうる。さらに、上記ロゼンジ組成物は蜜蝋及び微晶蝋の如き蝋、大豆及び綿実油の如き脂肪又は油、及びそれらの組み合わせをさらに含みうる。さらに、上記ロゼンジ組成物は柔軟剤又は乳化剤の如き可塑剤をさらに含みうる。上記可塑剤は、例えば、所望の堅さまで溶解したロゼンジの唾液溶液の粘性を減少させること及びその全体のきめ及びかみ合いを改善することを助け、及び上記治療用剤の放出を促進することを助けうる。上記可塑剤の非限定的な例は上記に詳細に議論され、及び本発明に係るロゼンジ組成物中に単独で又は組み合わせで使用されうる。
【0148】
いくつかの場合、上記ロゼンジ組成物は治療用剤センターフィルを含む。センターフィルは上記治療用剤の即時の放出が好ましいとき特に好適でありうる。さらに、センターフィル中に上記治療用剤をカプセル化することは上記治療用剤が有しうる所望されない味を隠すことを助けうる。これらの場合、上記結合剤は、少なくとも部分的に、センターフィルを囲む。上記センターフィルは少なくとも1の治療用剤を含み、及び液体又は半液体物質でありうる。上記センターフィル物質は低脂肪又は脂肪抜きでありうる、及び1以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び/又は香剤を含む。好ましくは、上記センターフィルは本明細書中に示される二種混合型又は三種混合型緩衝系を含む。
【0149】
いくつかの他の場合、本発明に係るロゼンジ組成物は多層化される。このようにして、上記ロゼンジは1超の治療用剤、例えば、2以上の催眠剤又は1以上の非催眠治療用剤との組み合わせの1以上の催眠剤を提供するよう設計されうる。例えば、二層ロゼンジで、第一の層は催眠剤を含み、及び第二の層は同じ又は異なる催眠剤又は非催眠治療用剤を含む。典型的に、第一の層はロゼンジの溶解部分を含み、及び第二の(すなわち、続く)層は第一の層により覆われる。この型の配合品は、催眠剤の即時の放出、続く第二の治療用剤の胃腸吸収が所望されるとき、特に好適でありうる。上記第二の治療用剤の胃腸吸収は、例えば、共疾患性の症状を和らげるために又は上記ロゼンジの溶解部分中の催眠剤の治療的利点を維持するために所望されうる。あるいは、第二の層は第一の層の外側の層として存在する。第二の層は典型的に少なくとも1の治療用剤を含み、及びまた上記に示されるように1以上の甘味剤、香味剤、着色剤、及び香剤をも含みうる。いくつかの場合、第二の層は本明細書中に示されるように二種混合型又は三種混合型緩衝系をさらに含む。
【0150】
また他の場合、非催眠治療用剤を伴う又は伴わない催眠剤の組み合わせは多層ロゼンジの形態を取る必要はないが、その代わりに単一の均一なロゼンジ層を含む。この型の配合品はまた少なくとも1の治療用剤の胃腸吸収が所望される場合に使用されうる。この場合、2以上の治療用剤のイオン化の相対的程度はそれらがどのように吸収されるかを決定する。例えば、脱イオン化された治療用剤は口腔粘膜をとおして吸収されるが、イオン化された剤は胃腸吸収のために飲み込まれる。
【0151】
上記ロゼンジ組成物はいかなる所望の形、大きさ、及び質感をも有しうる。例えば、上記ロゼンジはスティック、タブ、ペレット、球等の形を有しうる。同様に、上記ロゼンジはいかなる所望の色でもありうる。例えば、上記ロゼンジは赤、青、緑、橙、黄、紫、インディゴ、及びそれらの組み合わせのいかなる色合いでもありうる、及びその中の治療用剤の型及び投与量を示すために色分けされうる。上記ロゼンジは本分野において周知の方法により包装のためにばらばらに個々に包装され又は共にグループ分けされうる。
【0152】
D.投与方法
本発明に係る組成物は、例えば、睡眠障害の治療のための、治療適用において有用である。重要なことに、本発明に係る組成物は唾液pHを、唾液の開始pHに関わらず、約7.8超のpHまで上げることにより、最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)の点で驚くほど低い患者間変動性で、口腔粘膜を介した催眠剤の速やかな及び予想可能なデリバリーを提供する。特に、口腔粘膜を介した上記治療用剤のデリバリーは肝臓初回通過代謝、胃腸腔内での分解、及び吸収中の薬物損失を避ける。その結果、上記治療用剤は伝統的な経口(例えば、錠剤)投与でより実質的に短い時間で及び実質的に高い濃度で体系循環に達する。
【0153】
さらに、本発明に係る組成物は本明細書中に示される緩衝系を含まない口腔粘膜投与のための組成物にまさる利点を提供する。特に、本発明に係る組成物中の緩衝系は上記治療用剤の実質的に全てをそのイオン化形からその脱イオン化形に変えることを助けるので、上記治療用剤は、上記緩衝系を含まない口腔粘膜投与のための組成物でより実質的に短い時間で(例えば、治療活性の開始までの時間を減少させる)及び実質的に高い濃度で体系循環に達する。
【0154】
本発明に係る組成物はヒト及び獣医学的治療の領域において特定の利用性を有する。一般的に、投与される投与量はピコモーラー〜マイクロモーラー濃度の催眠剤を適切な部位にデリバリーするのに有効であろう。
【0155】
本発明に係る組成物の投与は好ましくは口腔粘膜への許容される投与様式のいずれを介しても行われる。口腔粘膜内の好適な投与部位の例は、非限定的に、口腔の床(舌下粘膜)、頬(頬側粘膜)、歯ぐき(歯肉粘膜)、口腔の天井(口蓋粘膜)、唇の内側の粘膜、及びそれらの組み合わせを含む。これらの領域はそれらの解剖学、薬物透過性、及び薬物への生理学的応答の点で互いに異なる。好ましくは、本発明に係る組成物は舌下粘膜、頬側粘膜又はそれらの組み合わせに投与される。
【0156】
豊富な血液供給及び好適な薬物透過性を有する口腔粘膜は体系薬物デリバリーのための特に魅力的な投与経路である。さらに、口腔粘膜を介した治療用剤のデリバリーは肝臓初回通過代謝をバイパスし、胃腸腔内での酵素分解を避け、及び薬物吸収のためのより好適な酵素的微生物叢を提供する。本明細書中で使用されるとき、用語「舌下デリバリー」は口腔の床の内側の及び/又は舌の下側の粘膜を介した治療用剤の投与をいう。用語「頬側デリバリー」は、本明細書中で使用されるとき、頬の内側の粘膜を介した治療用剤の投与をいう。
【0157】
口腔粘膜は重層扁平上皮の最も外側の層から成る。この層の下に基底膜、すなわち、粘膜固有層、続いて最も内側の層として粘膜下組織がある。口腔粘膜の上皮は、それがいくつかの分化する中間層をとおして表面の層に進む有糸分裂活性な基底細胞層を含む点で、体の残りの部分に見られる重層扁平上皮と同様であり、表面の層では細胞は上皮の表面から捨てられる(Gandhi et al.Ind. J. Pharm. Sci., 50:145−152(1988))。例えば、頬側粘膜の上皮は約40〜50細胞層の厚みであり、一方、舌下上皮のそれはいくらかそれより少ない細胞層しか含まない。上皮細胞は、それらが基底層から表面の層へ移動するにつれて、大きさが増し及びより平らになる。
【0158】
5〜6日に見積もられる頬側粘膜上皮のターンオーバー時間は舌下粘膜上皮及び口腔粘膜中の他の上皮のターンオーバー時間の代表である(Harris et al.J. Pharm. Sci., 81:1−10(1992))。口腔粘膜の厚みは口腔中の部位に因り変化する。例えば、頬側粘膜は約500〜800μmの厚みがあり、一方、硬い及び柔らかい口蓋粘膜、舌下粘膜、舌の下面、及び歯肉粘膜は約100〜200μmの厚みがある。上皮の組成はまた口腔中の部位に因り変化する。例えば、機械的ストレスにかけられる領域の粘膜(すなわち、歯肉及び硬い口蓋)は表皮と同様に角質化される。しかしながら、柔らかい口蓋の粘膜、舌下領域、及び頬側領域は角質化されない(Harris et al.,上記)。角質化上皮は、バリア機能を提供することに関連するセラミド及びアシルセラミドのような中性脂質を含む。その結果、これらの上皮は水に比較的不透過性である。対照的に、舌下及び頬側上皮の如き非角質化上皮はアシルセラミドを含まず、及び少量のセラミドのみを有する(Wertz et al.Crit. Rev. Ther. Drug Carr. Sys., 8:237−269(1991);Squier et al.J. Invest. Dermat., 96:123−126(1991);Squier et al., in Oral Mucosal Drug Delivery, Ed. M. J. Rathbone, Marcel Dekker, Inc., New York, New York, 1−26(1996))。非ケラチン化上皮はまた少量の中性であるが極性の脂質、例えば、硫酸コレステロール及びグルコシルセラミドを含む。そのように、これらの上皮は角質化上皮より水にかなりより透過性であることが発見されている(Harris et al.,上記; Wertz et al.,上記; Squier et al.,上記、1991)。
【0159】
一般に、口腔粘膜は表皮の粘膜及び腸粘膜の中間のいくらか漏りやすい上皮である。例えば、頬側粘膜の透過性は皮膚の透過性より約4〜4000倍大きいと見積もられる(Galey et al.J. Invest. Dermat., 67:713−717(1976))。口腔粘膜の異なる領域の透過性は一般的に舌下粘膜は頬側粘膜より大きく、及び頬側粘膜は口蓋粘膜より大きいという順序で減少する(Harris et al.,上記)。この透過性は一般的にこれらの膜の相対的厚み及び角質化の程度に因り、舌下粘膜は比較的薄く及び非角質化され、頬側粘膜はより厚く及び非角質化され、及び口蓋粘膜は中間の厚みであるが角質化される。
【0160】
口腔粘膜の上皮細胞は、細胞表面上のある領域に結合されうる又は結合されない、主としてタンパク質及び炭水化物の複合体を含む粘液により囲まれる。上記粘液は細胞−細胞接着において役割を果たしうる、及び潤滑剤としてはたらき、細胞が互いに動くことを許容する(Tabak et al.J. Oral Pathol., 11:1−17(1982))。体内の他の場所に見られる重層扁平上皮において、粘液は杯細胞の如き専門化された粘液分泌細胞により合成される;しかしながら、口腔粘膜において、粘液は唾液の一部として主要な及び主要でない唾液腺により分泌される(Tabak et al.,上記;Rathbone et al.Adv. Drug Del. Rev., 13:1−22(1994))。生理学的pHで、粘液ネットワークは炭水化物上に存在するシアル酸及び硫酸残基のために負の電荷を有する。このpHで、粘液はゼラチン状の層として上皮細胞表面に結合する強い粘着性のジェル構造を形成しうる(Gandhi et al.,上記)。いかなる特定の理論に拘泥することなく、本発明に係る緩衝系は炭水化物上に存在するシアル酸残基を中和し、及びそれらが治療用剤と相互作用することを妨げ、それにより薬物透過をさらに高める。
【0161】
口腔の環境の他の特徴は唾液腺により生成される唾液の存在である。唾液は口腔の全ての組織にとって保護性の流体である。唾液は約1%の有機及び無機物質を含む水性流体である。唾液組成の主要な決定基は流速であり、それは今度は日の時間、刺激の型、及び刺激の程度の如き因子に因る。唾液pHは典型的に流速に因り約5.5〜約7.0に及ぶ。例えば、高い流速では、ナトリウム及び重炭酸塩濃度が増大し、pHにおける増大を引き起こす。毎日の唾液体積は約0.5〜約2リットルであるので、口腔は本発明に係る口腔粘膜投与形態の水和及び/又は溶解のための水性環境を提供する。
【0162】
舌下粘膜は口腔の最も高度に透過性の領域であり、及び便利な、利用しやすい、及び十分に許容される投与経路で、薬物の速やかな吸収及び高いバイオアベイラビリティを提供する(Harris et al.,上記)。好適な舌下投与形態は、非限定的に、錠剤(例えば、即時溶解性、遅延溶解性)、ロゼンジ、キャンディ、及び液体薬物で満たされた柔らかいゼラチンカプセルを含む。上記系は、それらが舌下粘膜を介して体系的に吸収される前に、舌下領域中で非常に高い薬物濃度を作出する。その結果、舌下粘膜は活性の速やかな開始を作出するために特によく適し、及び舌下投与形態はより短いデリバリー時間の必要性及び/又はより頻繁でない用量計画で、薬物をデリバリーするために使用されうる。頬側粘膜は舌下領域よりかなり透過性でないが、薬物の速やかな吸収及び高いバイオアベイラビリティはまた頬側投与でも観察されうる。好適な頬側投与形態は、非限定的に、チューイングガム、錠剤(例えば、即時溶解性、遅延溶解性)、ロゼンジ、キャンディ等を含む。頬側粘膜及び舌下粘膜の両方は薬物の増大された吸収及びバイオアベイラビリティを提供することについて胃腸腔に対してはるかに優れている。
【0163】
口腔粘膜をとおした薬物の透過性を増大させるために、透過エンハンサーは本発明に係る投与形態中に含まれうる。透過エンハンサーは、透過を高めるよう口腔粘膜の性質を変える型のもの又は口腔粘膜をとおした透過を高めるよう上記治療用剤の性質を変える型のものでありうる。好適な透過エンハンサーは、非限定的に、ポリオキシエチレン23−ラウリルエーテル、アプロチン、アゾン、塩化ベンズアルコニウム、塩化セチルピリヂニウム、臭化セチルトリメチルアンモニウム、サイクロデキストリン、硫酸デキストラン、ラウリン酸、プロピレングリコール、リソフォスファチヂルコリン、メントール、メトキシサリチル酸塩、メチルオレイン酸塩、オレイン酸、フォスファチヂルコリン、ポリオキシエチレン、ポリソルベート80、ナトリウムエチレンヂアミン四酢酸(「EDTA」)、デオキシコール酸ナトリウム、グリココール酸ナトリウム、グリコデオキシコール酸ナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、サリチル酸ナトリウム、タウロコール酸ナトリウム、タウロデオキシコール酸ナトリウム、及びあるスルフォキシド及びグリコシド、及びそれらの組み合わせを含む。
【実施例】
【0164】
IV.実施例
以下の実施例は請求される発明を例示するために、限定するためではなく、提供される。
実施例1.ゾルピデム膜分析
この実施例はゾルピデム投与形態についての膜透過に対するpH調節の有益な効果を例示する。
【0165】
イオン化の程度、及びしたがって、治療用剤が粘膜を透過するであろう程度に対するpH調節の効果は膜分析を用いて示されうる;例えば、Kansy et al.J. Med. Chem., 41:1007−1010(1998);及びAvdeef, Curr. Topics Med. Chem., 1:277−351(2001)を参照のこと。この分析は脂質粘膜透過を予想するために脂質でコーティングされた膜を使用する。上記膜器官は供与及び受容細胞の間にはさまれたドデカン膜から成る。上記脂質でコーティングされた膜は口腔粘膜より多孔性でない。したがって、上記膜分析において見られる高まりはin vivoで拡大されるようである。
【0166】
膜分析を5.8、6.8、及び7.8のpHで酒石酸ゾルピデム溶液を用いて行った。7.8のアルカリpH値を新たに調製された0.01M重炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム緩衝溶液を用いて合わせた。5.8の酸性pHを0.01M酢酸緩衝溶液(酢酸ナトリウム及び酢酸の混合物)を用いて達成した。6.8の中性pHを0.01M酢酸溶液を重炭酸ナトリウム/炭酸ナトリウム緩衝溶液に添加することにより達成した。上記膜をとおした透過を受容細胞中のゾルピデムの濃度を決定することにより計測し、及びPc(毎秒当たりのセンチメートルでの有効透過性)として表す。以下の表1中に示されるように、ゾルピデムの有効透過性は6.8のpHに比較して7.8のpHで53%、及び5.8のpHに比較して129%超増大した。図1はpH及びゾルピデム膜透過性の間の関係を示す棒グラフを示す。
【0167】
【表1】

【0168】
実施例2.ゾルピデムガム組成物
この実施例は本発明に係るゾルピデムチューイングガム組成物を示す。
ゾルピデムは上記に示されるようにチューイングガム組成物として調合されうる。これらの態様において、上記チューイングガムの単位用量又は一盛りは(その酒石酸塩形で計測されるとき)約0.1〜約100ミリグラム(mg)、好ましくは約1〜約50mg、及びより好ましくは約2〜約25mgのゾルピデムを含む。他の態様において、上記単位用量は約2〜約20mg、好ましくは約5〜約15mgのゾルピデムを含む。例えば、約10重量%〜約25重量%までの過剰のゾルピデムは「過多量」として又は「洗い流される」ことが予想されうる、及びそうでなければ咀嚼中に放出されない又は吸収されない量として添加されうる。
【0169】
他の態様において、上記チューイングガムの単位用量又は一盛りは約0.81〜約42mg、及びより好ましくは約1.64〜約20.5mgのその塩基形のゾルピデムを含む。他の態様において、上記単位用量は約1.64〜約16.4mg、好ましくは約1.64〜約12.3mg、及びより好ましくは約1.64〜約8.2mg、例えば、約1.64、2.46、3.28、4.1、4.92、5.78、6.56、7.38又は8.2mgのその遊離塩基形のゾルピデムを含む。さらなる態様において、上記単位用量は遊離塩基形及び塩形(例えば、酒石酸ゾルピデム)のゾルピデムの混合物を含む。
【0170】
重量パーセントでは、上記ゾルピデムチューイングガム組成物は約0.001%〜約10.0%、好ましくは約0.05%〜約2.0%、及びより好ましくは約0.1%〜約1.0%のゾルピデム(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形当たりとして計測される)を含む。いくつかの態様において、約0.25%のゾルピデムが使用される。当業者は、上記割合は利用されるゾルピデムの特定の起源、最終配合品中に所望されるゾルピデムの量に、及び所望のゾルピデムの特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。上記ゾルピデムチューイングガム組成物の緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。
【0171】
ゾルピデムチューイングガムを以下の手順にしたがって作出した。二酸化珪素USP(0.35kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及びその後0.810kgマンニトール顆粒状USP及び9.569kg Pharmagum(商標)Cを含む配合器中にロードした。上記材料を10分間配合した。酒石酸ゾルピデムEP(0.034kg)を二酸化珪素(0.02kg)と共に乳鉢と乳棒を用いて挽いた。残りの二酸化珪素を0.228kgのステアリン酸マグネシウムと共に挽き続けながら上記乳鉢に添加した。上記挽いた材料をプラスティック袋に移し、及び上記乳鉢を0.01kg二酸化珪素を用いてすすぎ、及び上記袋に移した。上記袋の内容物をその後5分間配合した。
【0172】
上記配合した袋の内容物の均等な部分及び配合したマンニトールガム基礎混合物をさらなる5分間配合した。このプロセスを全ての上記ゾルピデム及びガム基礎混合物が共に配合されるまで繰り返した。炭酸ナトリウム(0.110kg)、重炭酸ナトリウム(0.570kg)、アカシアガム(0.43kg)、キサンタンガム(0.013kg)、及びアスパルテーム(0.072kg)をその後天然及び人工香味剤と共に上記配合器にロードし、及び0.090kgの二酸化珪素と共に10分間配合した。使用された香味剤は以下のとおりであった:天然及び人工ブドウフレーバーS.D.(0.215kg)、天然及び人工チェリーフレーバー(0.108kg)、天然及び人工フルーツパンチフレーバーS.D.(0.180kg)、天然チェリーWONF DURAROME(商標)フレーバー(0.215kg)、及び天然パッションフルーツ型DURAROME(商標)フレーバー(0.035kg)。
【0173】
上記配合物を#12メッシュスクリーンにとおし、及びその後さらなる15分間配合した。ステアリン酸マグネシウム(0.114kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及び上記配合物に添加し、及び5分間配合した。上記配合物を集め、及びプラスティック袋に入れた。2のシリカゲル乾燥剤袋を環境水分を吸収するために上記プラスティック袋の周りに置いた。上記配合物をその後錠剤に圧縮した。上記に示される手順を用いることにより、上記チューイングガム中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。さらに、上記チューイングガム中の薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0174】
本発明に係るゾルピデムチューイングガム組成物は、例えば、不眠症の治療のために使用されうる;Holm et al.Drugs, 59:865−889(2000)を参照のこと。いくつかの場合、口内への一盛りの大きさ片の上記チューイングガム組成物の導入後、患者は毎分約10〜約45噛みのおよその平均速度で、約5〜約20分間非医療型のチューイングガムで通常なされるように上記チューイングガムを噛む。上記ガムはその後捨てられる。
【0175】
本発明に係るゾルピデムチューイングガムの典型的な投与形態は血漿ミリリットル当たり少なくとも約20〜約300ナノグラムのゾルピデムの平均血漿濃度を作出するよう設計される。例えば、5mgのゾルピデムチューイングガムは約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約20〜約100ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。同様に、10mgのゾルピデムチューイングガムは約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約100〜約300ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。
【0176】
本発明に係るチューイングガム組成物は口腔粘膜を介してゾルピデムをデリバリーするための便利な、信頼できる、実用的な、及び痛みのないシステムを提供する。特に、上記チューイングガム組成物は、最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)の点で低い患者間変動性で、ゾルピデムを速やかにデリバリーすることができ、そのため、治療的に有効な量のゾルピデムはゾルピデムが担体から放出された後に、約30分、20分、15分、10分、5分以内に又は約1〜2分以内にさえ血流に入る。
【0177】
実施例3.ゾルピデム錠剤組成物
この実施例は本発明に係る遅延溶解性、即時溶解性、及びチュワブルゾルピデム錠剤組成物を示す。
ゾルピデムは上記に示されるように錠剤組成物として調合されうる。これらの態様において、上記錠剤の単位用量又は一盛りは約0.1〜約100ミリグラム(mg)、好ましくは約1〜約50mg、及びより好ましくは約2〜約25mgのゾルピデム(その酒石酸塩形で計測される)を含む。他の態様において、上記単位用量は約2〜約20mg、好ましくは約2〜約15mg、及びより好ましくは約2〜約10mg、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9又は10mgのゾルピデムを含む。特に好ましい態様において、上記単位用量は市販の経口錠剤中で典型的に使用される用量より少ない用量のゾルピデムを含むが、同等の又はより大きいバイオアベイラビリティ及び治療活性の開始、並びに薬物吸収のより低い変動性を有する。上記態様において、約2〜約5mgのゾルピデムの単位用量は好ましく、約4mgのゾルピデムの単位用量は特に好ましい。例えば、約10重量%〜約25重量%までの過剰のゾルピデムは「過多量」として又は「洗い流される」ことが予想されうる及びそうでなければ錠剤溶解及び/又は咀嚼中に放出されない又は吸収されない量として添加されうる。
【0178】
他の態様において、上記錠剤の単位用量又は一盛りは約0.81〜約42mg、及びより好ましくは約1.64〜約20.5mgのその塩基形のゾルピデムを含む。他の態様において、上記単位用量は約1.64〜約16.4mg、好ましくは約1.64〜約12.3mg、及びより好ましくは約1.64〜約8.2mg、例えば、約1.64、2.46、3.28、4.1、4.92、5.78、6.56、7.38又は8.2mgのその遊離塩基形のゾルピデムを含む。さらなる態様において、上記単位用量は遊離塩基形及び塩形(例えば、酒石酸ゾルピデム)のゾルピデムの混合物を含む。
【0179】
重量パーセントでは、上記ゾルピデム錠剤組成物は約0.001%〜約10.0%、好ましくは約0.1%〜約8.0%、より好ましくは約1.0%〜約7.0%、及びさらにより好ましくは約1.0%〜約5.0%のゾルピデム(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形当たりとして計測される)を含む。いくつかの態様において、約4.0%のゾルピデムが使用される。当業者は、上記割合は利用されるゾルピデムの特定の起源、最終配合品中に所望されるゾルピデムの量に、及び所望されるゾルピデムの特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。上記ゾルピデム錠剤組成物の緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。
【0180】
ゾルピデム遅延溶解性錠剤:
ゾルピデム遅延溶解性錠剤を以下の手順にしたがって作出した。ステアリン酸マグネシウムUSP(0.35kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及びその後0.810kgマンニトール顆粒状USP及び9.569kgソルビトールを含む配合器にロードした。上記材料を10分間配合した。酒石酸ゾルピデムEP(0.034kg)を乳鉢及び乳棒を用いてステアリン酸マグネシウム(0.02kg)と共に挽いた。残りの二酸化珪素を0.228kgのステアリン酸マグネシウムと共に、挽き続けながら上記乳鉢に添加した。上記挽いた材料をプラスティック袋に移し、及び上記乳鉢を0.01kg二酸化珪素を用いてすすぎ、及び上記袋に移した。上記袋の内容物をその後5分間配合した。
【0181】
上記配合した袋の内容物の均等な部分及び配合したマンニトール混合物をさらなる5分間配合した。このプロセスを全ての上記ゾルピデム及びマンニトール混合物が共に配合されるまで繰り返した。炭酸ナトリウム(0.110kg)、重炭酸ナトリウム(0.570kg)、アカシアガム(0.43kg)、キサンタンガム(0.013kg)、及びアスパルテーム(0.072kg)をその後天然及び人工香味剤と共に上記配合器にロードし、及び0.090kgの二酸化珪素と共に10分間配合した。使用された香味剤は以下のとおりであった:天然及び人工ブドウフレーバーS.D.(0.215kg)、天然及び人工チェリーフレーバー(0.108kg)、天然及び人工フルーツパンチフレーバーS.D.(0.180kg)、天然チェリーWONF DURAROME(商標)フレーバー(0.215kg)、及び天然パッションフルーツ型DURAROME(商標)フレーバー(0.035kg)。
【0182】
上記配合物を#12メッシュスクリーンにとおし、及びその後さらなる15分間配合した。ステアリン酸マグネシウム(0.114kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及び上記配合物に添加し、及び5分間配合した。上記配合物を集め、及びプラスティック袋に入れた。2のシリカゲル乾燥剤袋を環境水分を吸収するために上記プラスティック袋の周りに置いた。上記配合物をその後錠剤に圧縮した。この手順を用いることにより、上記遅延溶解性錠剤中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。さらに、上記遅延溶解性錠剤中の薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0183】
第二のゾルピデム遅延溶解性錠剤を表2中に示される配合及び以下の手順にしたがって作出した。二酸化珪素と、ゾルピデム、重炭酸ナトリウム、及び炭酸ナトリウム;マンニトール及びソルビトール;及びスペアミントフレーバー、スクラロース、ステアリン酸、及びステアリン酸マグネシウムの3の別々の配合物を調製した。上記3の配合物を別々にふるいにかけ、及び混合して単一の配合物を形成した。上記単一の配合物をその後内容物の均一性についての試験後に錠剤に圧縮した。この手順を用いることにより、上記遅延溶解性錠剤中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。それぞれの錠剤についての単位重量は250mgであった。錠剤のpHは約9.8であり、及び安定なままであった。これらの錠剤は舌下投与後約10分以内に溶解する。
【0184】
【表2】

【0185】
ゾルピデム即時溶解性錠剤:
ゾルピデム即時溶解性錠剤を以下の手順にしたがって作出した。マンニトール(3.633kg)及びソルビトール(0.469kg)を10分間配合した。炭酸ナトリウム(0.330kg)、重炭酸ナトリウム(0.165kg)、天然ペパーミントフレーバー(0.125kg)、天然メントールフレーバー(0.025kg)、及びスクラロース(0.020kg)を別々に10分間配合した。ステアリン酸マグネシウム(0.075kg)、及び酒石酸ゾルピデム(0.034kg)を10分間配合し、及びその後#12メッシュスクリーンにとおした。上記配合した混合物をその後共に添加し、及び錠剤に圧縮した。この手順を用いることにより、上記即時溶解性錠剤中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。さらに、上記即時溶解性錠剤中の薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0186】
第二のゾルピデム即時溶解性錠剤を表3中に示される配合及び以下の手順にしたがって作出した。二酸化珪素と、ゾルピデム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウム;マンニトール及びソルビトール;及びポリエチレングリコール、スペアミントフレーバー、スクラロース、ステアリン酸マグネシウム、クロスポヴィドン、及びクロスカルメロースナトリウムの3の別々の配合物を調製した。上記3の配合物を別々にふるいにかけ、及び混合して単一の配合物を形成した。上記単一の配合物をその後内容物の均一性についての試験後に錠剤に圧縮した。この手順を用いることにより、上記即時溶解性錠剤中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは約20ミクロンであり、それは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。それぞれの錠剤についての単位重量は250mgであった。錠剤のpHは約9.8であり、及び安定なままであった。これらの錠剤は舌下投与後約5分以内に溶解する。
【0187】
【表3】

【0188】
ゾルピデムチュワブル錠:
ゾルピデムチュワブル錠を以下の手順にしたがって作出した。ステアリン酸マグネシウムUSP(0.35kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及びその後0.810kgマンニトール顆粒状USP、9.569kgソルビトール、及び0.020kgステアリン酸を含む配合器にロードした。上記材料を10分間配合した。酒石酸ゾルピデムEP(0.034kg)を乳鉢と乳棒を用いてステアリン酸マグネシウム(0.02kg)と共に挽いた。残りの二酸化珪素を0.228kgのステアリン酸マグネシウムと共に、挽き続けながら上記乳鉢に添加した。上記挽いた材料をプラスティック袋に移し、及び上記乳鉢を0.01kgの二酸化珪素を用いてすすぎ、及び上記袋に移した。上記袋の内容物をその後5分間配合した。
【0189】
上記配合した袋の内容物の均等な部分及び配合したマンニトール混合物をさらなる5分間配合した。このプロセスを全ての上記ゾルピデム及びマンニトール混合物が共に配合されるまで繰り返した。炭酸ナトリウム(0.110kg)、重炭酸ナトリウム(0.570kg)、アカシアガム(0.43kg)、キサンタンガム(0.013kg)、及びアスパルテーム(0.072kg)をその後天然及び人工香味剤と共に上記配合器にロードし、及び0.090kgの二酸化珪素と共に10分間配合した。使用された香味剤は以下のとおりであった:天然及び人工ブドウフレーバーS.D.(0.215kg)、天然及び人工チェリーフレーバー(0.108kg)、天然及び人工フルーツパンチフレーバーS.D.(0.180kg)、天然チェリーWONF DURAROME(商標)フレーバー(0.215kg)、及び天然パッションフルーツ型DURAROME(商標)フレーバー(0.035kg)。
【0190】
上記配合物を#12メッシュスクリーンにとおし、及びその後さらなる15分間配合した。ステアリン酸マグネシウム(0.114kg)を#20メッシュスクリーンにとおし、及び上記配合物に添加し、及び5分間配合した。上記配合物を集め、及びプラスティック袋中に入れた。2のシリカゲル乾燥剤袋を環境水分を吸収するために上記プラスティック袋の周りに置いた。上記配合物をその後錠剤に圧縮した。この手順を用いることにより、上記チュワブル錠中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。さらに、上記チュワブル錠中の薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。
【0191】
本発明に係るゾルピデム錠剤組成物は、例えば、不眠症の治療のために使用されうる。いくつかの場合、口内へのチュワブル錠の導入後、患者は毎分約10〜約45噛みのおよその平均速度で、非医療型のチュワブル錠で通常なされるように上記チュワブル錠を噛む。いくつかの他の場合、口内への溶解錠剤の導入後、患者は舌の下に上記錠剤を保持し、及び上記錠剤が溶解する間に飲み込む又は上記錠剤が溶解した後に飲み込む。
【0192】
本発明に係るゾルピデム錠剤の典型的な投与形態は血漿ミリリットル当たり少なくとも約20〜約300ナノグラムのゾルピデムの平均血漿濃度を作出するよう設計される。例えば、5mgのゾルピデム錠剤は約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約20〜約100ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。同様に、10mgのゾルピデム錠剤は約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約100〜約300ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。
【0193】
本発明に係る錠剤組成物は口腔粘膜を介してゾルピデムをデリバリーするための、便利な、信頼できる、実用的な、及び痛みのないシステムを提供する。特に、上記錠剤組成物は最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)の点で低い患者間変動性でゾルピデムを速やかにデリバリーすることができ、そのため、治療的に有効な量のゾルピデムはゾルピデムが担体から放出された後約30分、20分、15分、10分、5分以内に又は約1〜2分以内にさえも血流に入る。
【0194】
実施例4.ゾルピデムロゼンジ組成物
この実施例は本発明に係るゾルピデムロゼンジ組成物を例示する。
ゾルピデムは上記に示されるようにロゼンジ又はキャンディ組成物として調合されうる。これらの態様において、上記ロゼンジの単位用量又は一盛りは約0.1〜約100ミリグラム(mg)、好ましくは約1〜約50mg、及びより好ましくは約2〜約25mgのゾルピデム(その酒石酸塩形で計測されるとき)を含む。他の態様において、上記単位用量は約2〜約20mg、好ましくは約2〜約15mg、及びより好ましくは約2〜約10mg、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9又は10mgのゾルピデムを含む。特に好ましい態様において、上記単位用量は市販の経口錠剤中で典型的に使用される用量より少ない用量のゾルピデムを含むが、同等の又はより大きなバイオアベイラビリティ及び治療活性の開始、並びに薬物吸収のより低い患者間変動性を有する。上記態様において、約2〜約5mgのゾルピデムの単位用量は好ましく、約4mgのゾルピデムの単位用量は特に好ましい。例えば、約10重量%〜約25重量%までの過剰のゾルピデムは「過多量」として又は「洗い流される」ことが予想されうる及びそうでなければロゼンジ溶解及び/又は咀嚼の間に放出されない又は吸収されない量として添加されうる。
【0195】
他の態様において、上記ロゼンジの単位用量又は一盛りは約0.81〜約42mg、及びより好ましくは約1.64〜約20.5mgのその塩基形のゾルピデムを含む。他の態様において、上記単位用量は約1.64〜約16.4mg、好ましくは約1.64〜約12.3mg、及びより好ましくは約1.64〜約8.2mg、例えば、約1.64、2.46、3.28、4.1、4.92、5.78、6.56、7.38又は8.2mgのその遊離塩基形のゾルピデムを含む。さらなる態様において、上記単位用量は遊離塩基形及び塩形(例えば、酒石酸ゾルピデム)のゾルピデムの混合物を含む。
【0196】
重量パーセントでは、上記ゾルピデムロゼンジ組成物は約0.001%〜約10.0%、好ましくは約0.1%〜約8.0%、より好ましくは約1.0%〜約7.0%、及びさらにより好ましくは約1.0%〜約5.5%のゾルピデム(いかなる選択された形態でも、その遊離塩基形として計測される)を含む。いくつかの態様において、約4.5%のゾルピデムが使用される。当業者は、上記割合は利用されるゾルピデムの特定の起源、最終配合品中に所望されるゾルピデムの量に、及び所望されるゾルピデムの特定の放出速度に因り変化するであろうことを理解する。上記ゾルピデムロゼンジ組成物の緩衝系は少なくとも約7.8、好ましくは少なくとも約8.5、及びより好ましくは少なくとも約9(例えば、約9〜11)を超える最終唾液pHを提供する。
【0197】
ゾルピデムロゼンジを表4中に示される配合及び以下の手順にしたがって作出した。二酸化珪素とゾルピデム、炭酸ナトリウム、及び重炭酸ナトリウム;Pharmaburst;及びスペアミントフレーバー、スクラロース、ステアリン酸マグネシウム、及びクロスカルメロースナトリウムの3の別々の配合物を調製した。上記3の配合物を別々にふるいにかけ、及び混合して単一の配合物を形成した。上記単一の配合物をその後内容物の均一性についての試験後ロゼンジに圧縮した。この手順を用いることにより、上記ロゼンジ中の薬物(すなわち、ゾルピデム)の平均粒子サイズは、約75〜約100ミクロンの典型的な平均薬物粒子サイズに比較して、約20ミクロンである。さらに、上記ロゼンジ中の薬物の平均粒子サイズは担体成分(例えば、ガム基礎、結合剤等)の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい。それぞれのロゼンジの単位重量は210mgであった。上記ロゼンジのpHは約9.8であり、及び安定なままであった。これらのロゼンジは舌下投与後約2〜3分以内に溶解する。
【0198】
【表4】

【0199】
本発明に係るゾルピデムロゼンジ組成物は、例えば、不眠症の治療のために使用されうる。いくつかの場合、口内へのロゼンジの導入後、患者は舌の下に上記ロゼンジを保持し、及び上記ロゼンジが溶解する間に飲み込む又は上記ロゼンジが溶解した後に飲み込む。本明細書中に示されるロゼンジは非常に速い溶解速度を有し、及び舌下投与後約2〜3分以内に溶解することができる。
【0200】
本発明に係るゾルピデムロゼンジの典型的な投与形態は血漿ミリリットル当たり少なくとも約20〜約300ナノグラムのゾルピデムの平均血漿濃度を作出するよう設計される。例えば、5mgのゾルピデムロゼンジは約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約20〜約100ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。同様に、10mgのゾルピデムロゼンジは約5分〜約2時間以内に血漿ミリリットル当たり約100〜約300ナノグラムのゾルピデムの範囲内の平均ピーク血漿濃度を作出するよう設計されうる。
【0201】
本発明に係るロゼンジ組成物は口腔粘膜を介してゾルピデムをデリバリーするための便利な、信頼できる、実用的な、及び痛みのないシステムを提供する。特に、上記ロゼンジ組成物は最大血漿濃度(Cmax)及び最大血漿濃度に達するまでの時間(Tmax)の点で低い患者間変動性で、ゾルピデムを非常に速やかにデリバリーすることができ、そのため、治療的に有効な量のゾルピデムはゾルピデムが担体から放出された後約30分、20分、15分、10分、5分以内に又は約1〜2分以内にさえも血流に入る。
【0202】
実施例5.ゾルピデム錠剤及びロゼンジ組成物についての溶解プロファイル
この実施例は表3にしたがって作出されたゾルピデム即時溶解性錠剤及び表4にしたがって作出されたゾルピデムロゼンジについての平均溶解プロファイルを示す。
試験される組成物は以下のとおりであった:
1.ゾルピデム即時溶解性錠剤(典型的に約5分で舌下で溶解する)。
2.ゾルピデムロゼンジ(典型的に約2〜3分で舌下で溶解する)。
【0203】
実験条件は以下のとおりであった:
方法=USP
装置=USP装置II
媒体=リン酸緩衝液pH6.8
媒体体積=500ml
スピンドルスピード=25rpm
温度=37℃
【0204】
以下の表5は溶解データを示し、及び図2はリン酸緩衝媒体(pH6.8)中での5、10、15、20、及び30分での、本発明に係るゾルピデム即時溶解性錠剤及びゾルピデムロゼンジについての平均溶解プロファイルを示す。
【0205】
【表5】

【0206】
実施例6.ゾルピデム薬物動態研究
この実施例は用量が同等の市販の経口錠剤に比較した、本発明に係るゾルピデム錠剤の薬物動態プロファイルを示す2の研究を提供する。
【0207】
ゾルピデム舌下粉末化錠剤対Ambien経口錠剤:
舌下投与されるゾルピデム配合品の薬物動態プロファイルを評価するために、23mgの重炭酸ナトリウム及び17mgの炭酸ナトリウムで9.8のpHに緩衝した10mgのゾルピデム粉末化錠剤(配合品A)を8人の健康な患者(5人男性、3人女性)において決定した。配合品Aは患者の舌の下に投与され、及び非常に速い溶解速度、すなわち、約1〜約3分以内を有した。行われた研究は固定シークエンスオープンラベル薬物動態研究であり、その中で患者は10分間の期間(「飲み込み時間」)にわたり2、5又は10分毎の速度で唾液を飲み込んだ。例えば、2分の飲み込み時間は10分間の期間にわたり2分毎に唾液を飲み込むことをいう(すなわち、それぞれ2分間の5ブロック);5分の飲み込み時間は10分間の期間にわたり5分毎に唾液を飲み込むことをいう(すなわち、それぞれ5分間の2ブロック);及び10分の飲み込み時間は10分間の期間にわたり10分毎に唾液を飲み込むことをいう(すなわち、10分間の1ブロック)。血清血液サンプルを8時間の期間にわたり集め、及び上記血漿を、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)−タンデムマススペクトロメトリー(MS)を用いて、ゾルピデム値について分析した。
【0208】
図3〜5は、それぞれ2、5、及び10分の飲み込み時間での配合品Aについてのそれぞれの患者における時間にわたる血漿濃度を示す。以下の表6〜8は、それぞれ2、5、及び10分の飲み込み時間での配合品Aについてのそれぞれの患者おいて決定された薬物動態パラメーターについての値を示す。
【0209】
【表6】

【0210】
【表7】

【0211】
【表8】

【0212】
配合品Aについて得られた薬物動態結果をその後用量が同等のAmbien(商標)経口錠剤配合品(配合品B)についての包装挿入物及び文献から得られた薬物動態データに比較した。図6は3の異なる飲み込み時間での配合品A(ゾルピデム舌下粉末化錠剤)についての、及び文献(Greenblatt et al.Clin. Pharmacol. Ther., 64:553−561(1998);Greenblatt et al.Clin. Pharmacol. Ther., 64:661−671(1998))から得られた配合品B(経口(PO)Ambien(商標))についての時間にわたる平均血漿濃度を示す。以下の表9は3の異なる飲み込み時間での配合品Aについて決定された薬物動態パラメーターについての平均値及び文献(Greenblatt et al.Clin. Pharmacol. Ther., 64:553−561(1998))からの配合品Bについてのそれらを示す。
【0213】
【表9】

【0214】
この研究は、口腔粘膜を介したゾルピデムのデリバリーは投与後8時間の期間中に市販の経口錠剤について観察されたものより約45%〜約67%大きい平均血漿ゾルピデム濃度を作出したことを示す。さらに、ピーク血漿ゾルピデム濃度は舌下投与後約45〜約70分以内に達成され、一方、ピーク血漿ゾルピデム濃度は市販の経口錠剤投与後96分(Ambien(商標)包装挿入物)又は102分(Greenblatt et al.Clin. Pharmacol. Ther., 64:553−561(1998))まで達成されなかった。そのように、本研究は粉末化舌下錠剤からのゾルピデムは速やかに吸収され、及び市販の経口錠剤より実質的に優れたバイオアベイラビリティを有することを示す。本研究はまた、バイオアベイラビリティにおける改善は飲み込み時間に独立であることをも示す。
【0215】
図7は全ての8人の患者からのデータを用いた2及び5分の飲み込み時間での配合品Aについての時間にわたる平均血漿濃度、及び明らかに彼らの計画された飲み込み時間より早く飲み込んだ患者3、6、及び7からのデータを除いた2及び5分の飲み込み時間での配合品Aについての時間にわたる平均血漿濃度を示す。以下の表10は全ての8人の患者からのデータを用いた又は患者3、6、及び7からのデータを除いた、配合品Aについて決定された薬物動態パラメーターについての平均値を示す。明らかに研究プロトコルに従わなかった患者が分析から除かれたとき、残りの患者についてのピーク血漿ゾルピデム濃度は舌下投与後約45〜約70分ではなく、約30分以内に達成された。
【0216】
【表10】

【0217】
図8は図6中に示されるはじめの90分間の拡大図である。詳細には、図8は配合品B(右点線)を取る患者における睡眠開始時間と比較した、配合品A(左点線)を取る患者における睡眠開始について見積もられた時間を示す。睡眠開始を誘導するために有効な平均血漿ゾルピデム濃度は図8中の水平な線により示される。以下の表11は3の異なる飲み込み時間での配合品Aを取るそれぞれの患者における日中の睡眠開始について報告された時間を示す。
【0218】
【表11】

【0219】
この研究は、ゾルピデム粉末化舌下錠剤を取る患者についての睡眠開始は市販の経口錠剤で達成されたものより実質的に速いことを示す。実際に、本発明に係る舌下錠剤を取る患者についての睡眠開始は投与後約12.5分以内のように早い場合があり、それは市販の経口錠剤を取る患者についての睡眠開始より3倍超速い。当業者は日中に観察される睡眠開始は夜の睡眠開始に対応することを理解するであろう。
【0220】
さらに、舌下投与されたゾルピデムについての薬物動態プロファイルはゾルピデムのよりソフトな及びより長く続くピークを提供し(図6を参照のこと)、及びしたがって静脈内投与されたゾルピデムについての薬物動態プロファイルに似る。その結果、この注入のような薬物動態プロファイルは治療活性の開始までの時間を減少させること、睡眠(例えば、総睡眠時間、覚醒の回数)を維持すること、睡眠の質を高めること、食物の効果を消去すること、及び起床後の残留効果を減少させることにおいて、市販の経口錠剤と同等である又はそれより優れている。
【0221】
ゾルピデム遅延溶解性及び即時溶解性舌下錠剤対Ambien経口錠剤:
舌下投与されるゾルピデム配合品の薬物動態プロファイルをさらに評価するために、表2にしたがって作出された10mgのゾルピデム遅延溶解性錠剤(配合品C)及び表3にしたがって作出された10mgのゾルピデム即時溶解性錠剤(配合品D)を8人の健康な患者において用量が同等のAmbien(商標)経口錠剤配合品(配合品B)と比較した。配合品C(SL錠剤)は患者の舌の下に投与され、及び遅い溶解速度、すなわち、約10分以内を有した。配合品D(FS錠剤)は患者の舌の下に投与され、及び速い溶解速度、すなわち、約5分以内を有した。配合品B(PO Ambien)は180mlの水と共に経口で投与された。行われた研究は3方向クロスオーバー固定シークエンス薬物動態研究であり、その中で患者は配合品C及びDについて10分間の期間(「飲み込み時間」)にわたり2又は5分毎の速度で唾液を飲み込んだ。血清血液サンプルを12時間にわたり集め、及び血漿を、例えば、高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)−タンデムマススペクトロメトリー(MS)を用いて、ゾルピデム値について分析した。
【0222】
図9は2及び5分の飲み込み時間での配合品C(SL錠剤)についての及び配合品B(PO Ambien)についての時間にわたる平均血漿濃度を示す。そのように、図10は2及び5分の飲み込み時間での配合品D(FS錠剤)についての及び配合品B(PO Ambien)についての時間にわたる平均血漿濃度を示す。この研究は、口腔粘膜を介したゾルピデムのデリバリーは市販の経口錠剤投与について観察されたより、舌下投与後実質的に早い時間で及び実質的に高い値でピーク血漿ゾルピデム濃度を作出したことを示す。そのように、本研究は両方の溶解錠剤からのゾルピデムは速やかに吸収され、及び市販の経口錠剤より実質的に優れたバイオアベイラビリティを有することを示す。さらに、いずれかのゾルピデム溶解錠剤を取る患者についての睡眠開始は市販の経口錠剤で達成されたものより実質的に速い。本研究はまた、バイオアベイラビリティにおける改善は飲み込み時間及び溶解錠剤の配合に独立であることを示す。
【0223】
それぞれの個々の公開公報又は特許出願が特に及び個々に本明細書中に援用されることを示されたように、この明細書中に引用される全ての公開公報及び特許出願を本明細書中に援用する。上記発明は理解の明確さの目的のために例示及び実施例のためにいくらか詳細に示されているが、ある変化及び修正は付属の請求項の本質又は範囲から離れることなしに本発明になされうることは、本発明の教示に照らして当業者に容易に明らかであろう。
【図面の簡単な説明】
【0224】
【図1】図1は、pHと酒石酸ゾルピデムの膜透過性の間の関係を示す棒グラフである。
【図2】図2は、本発明に係るゾルピデム即時溶解性錠剤及びゾルピデムロゼンジについての平均溶解プロファイルを示す。
【図3】図3は、2分の飲み込み時間での配合品A(ソルピデム舌下粉末化錠剤)についてのそれぞれの患者における時間にわたる血漿濃度を示す。
【図4】図4は、5分の飲み込み時間での配合品Aについてのそれぞれの患者における時間にわたる血漿濃度を示す。
【図5】図5は、10分の飲み込み時間での配合品Aについてのそれぞれの患者における時間にわたる血漿濃度を示す。
【図6】図6は、3の異なる飲み込み時間での配合品Aについての及び文献から得られた配合品B(PO Ambien(商標))についての時間にわたる平均血漿濃度を示す。
【図7】図7は、全ての患者からのデータを用いた又は患者3、6、及び7からのデータを除いた、2及び5分の飲み込み時間での配合品Aについての時間にわたる平均血漿濃度を示す。
【図8】図8は、図4中に示されるはじめの90分間の拡大図である。
【図9】図9は、2及び5分の飲み込み時間での配合品C(SL錠剤)についての及び配合品Bについての時間にわたる代表的な血漿濃度を示す。
【図10】図10は、2及び5分の飲み込み時間での配合品D(FS錠剤)についての及び配合品Bについての時間にわたる代表的な血漿濃度を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための固体組成物であって:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)口内への投与後約5分以内に完全な頬側の又は舌下の崩壊を提供する担体;及び
(c)炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、組成物。
【請求項2】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記担体は投与後約2分以内に完全な頬側の又は舌下の崩壊を提供する、請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記担体は、投与後約5分以内の頬側の又は舌下の崩壊時間を提供するような相対的割合で、少なくとも1の結合剤及び少なくとも1の崩壊剤を含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項6】
前記結合剤対前記崩壊剤の割合は約0.26〜約0.79である、請求項5に記載の組成物。
【請求項7】
前記結合剤は糖、糖アルコール、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項5に記載の組成物。
【請求項8】
前記糖アルコールはマンニトール、ソルビトール、キシリトール、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項7に記載の組成物。
【請求項9】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項10】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
前記炭酸塩は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項13】
前記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項14】
前記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項15】
前記組成物は甘味剤、香味剤、保護剤、可塑剤、ワックス、エラストマー溶媒、充填物質、保存剤、潤滑剤、浸潤剤、乳化剤、可溶化剤、懸濁剤、着色剤、崩壊剤又はそれらの組み合わせをさらに含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項1に記載の組成物。
【請求項17】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項1に記載の組成物。
【請求項19】
前記催眠剤はゾルピデムであり、及び前記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む、請求項1に記載の組成物。
【請求項20】
前記ゾルピデムはその医薬として許容される塩、その遊離塩基、及びそれらの混合物から成る群から選ばれる、請求項19に記載の組成物。
【請求項21】
前記組成物はロゼンジ及び溶解錠剤から成る群から選ばれる、請求項19に記載の組成物。
【請求項22】
前記組成物は舌下投与される、請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
前記重炭酸ナトリウムは乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムである、請求項19に記載の組成物。
【請求項24】
炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した重量パーセントはゾルピデムの重量パーセントより大きい又はそれに等しい、請求項19に記載の組成物。
【請求項25】
前記組成物は約1.0〜約5.5重量パーセントゾルピデム;約6.0〜約10.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約9.0〜約13.0重量パーセント乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項26】
前記組成物は約4.5重量パーセントゾルピデム;約8.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約11.0重量パーセント乾燥剤コーティングされた重炭酸ナトリウムを含む、請求項25に記載の組成物。
【請求項27】
前記組成物はロゼンジである、請求項26に記載の組成物。
【請求項28】
前記ロゼンジの重量は約200〜約300mgである、請求項27に記載の組成物。
【請求項29】
前記組成物は約1.0〜約5.0重量パーセントゾルピデム;約5.0〜約9.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約7.0〜約11.0重量パーセント重炭酸ナトリウムを含む、請求項24に記載の組成物。
【請求項30】
前記組成物は約4.0重量パーセントゾルピデム;約7.0重量パーセント炭酸ナトリウム;及び約9.0重量パーセント重炭酸ナトリウムを含む、請求項29に記載の組成物。
【請求項31】
前記組成物は溶解錠剤である、請求項30に記載の組成物。
【請求項32】
前記溶解錠剤は遅延溶解性錠剤及び即時溶解性錠剤から成る群から選ばれる、請求項31に記載の組成物。
【請求項33】
前記溶解錠剤の重量は約200〜約300mgである、請求項31に記載の組成物。
【請求項34】
口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物であって:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び第二の緩衝剤を含む二種混合型緩衝系
を含み、前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、組成物。
【請求項35】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項34に記載の組成物。
【請求項36】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項34に記載の組成物。
【請求項37】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項38】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項34に記載の組成物。
【請求項39】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項40】
前記炭酸塩は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項41】
前記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項42】
前記第二の緩衝剤は酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項43】
前記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項44】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項34に記載の組成物。
【請求項45】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項34に記載の組成物。
【請求項46】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項34に記載の組成物。
【請求項47】
前記催眠剤はゾルピデムであり、及び前記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム又は重炭酸ナトリウム及び第二の緩衝剤を含む、請求項34に記載の組成物。
【請求項48】
前記組成物はロゼンジ及び溶解錠剤から成る群から選ばれる、請求項47に記載の組成物。
【請求項49】
前記組成物は舌下投与される、請求項48に記載の組成物。
【請求項50】
口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物であって:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)酸化金属及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む二種混合型緩衝系
を含み、前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、組成物。
【請求項51】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項50に記載の組成物。
【請求項52】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項50に記載の組成物。
【請求項53】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項54】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項50に記載の組成物。
【請求項55】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項56】
前記酸化金属は酸化マグネシウム及び酸化アルミニウムから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項57】
前記酸化マグネシウムは非晶質酸化マグネシウムである、請求項56に記載の組成物。
【請求項58】
前記クエン酸塩はクエン酸ナトリウム、クエン酸カリウム、クエン酸カルシウム、クエン酸マグネシウム、及びクエン酸アンモニウムから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項59】
前記リン酸塩は一塩基リン酸ナトリウム、二塩基リン酸ナトリウム、一塩基リン酸カリウム、二塩基リン酸カリウム、一塩基リン酸カルシウム、二塩基リン酸カルシウム、一塩基リン酸マグネシウム、二塩基リン酸マグネシウム、一塩基リン酸アンモニウム、及び二塩基リン酸アンモニウムから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項60】
前記ホウ酸塩はホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸カルシウム、ホウ酸マグネシウム、及びホウ酸アンモニウムから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項61】
前記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項62】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項50に記載の組成物。
【請求項63】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項50に記載の組成物。
【請求項64】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項50に記載の組成物。
【請求項65】
前記催眠剤はゾルピデムであり、及び前記二種混合型緩衝系は非晶質酸化マグネシウム及びクエン酸塩、リン酸塩又はホウ酸塩を含む、請求項50に記載の組成物。
【請求項66】
前記組成物はロゼンジ及び溶解錠剤から成る群から選ばれる、請求項65に記載の組成物。
【請求項67】
前記組成物は舌下投与される、請求項66に記載の組成物。
【請求項68】
口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物であって:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩、重炭酸塩、及び第三の緩衝剤を含む三種混合型緩衝系
を含み、前記三種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、組成物。
【請求項69】
前記三種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項68に記載の組成物。
【請求項70】
前記三種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項68に記載の組成物。
【請求項71】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項72】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項68に記載の組成物。
【請求項73】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項74】
前記炭酸塩は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項75】
前記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項76】
前記第三の緩衝剤は酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項77】
前記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項78】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項68に記載の組成物。
【請求項79】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項68に記載の組成物。
【請求項80】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項68に記載の組成物。
【請求項81】
前記催眠剤はゾルピデムであり、及び前記三種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム、重炭酸ナトリウム、及び第三の緩衝剤を含む、請求項68に記載の組成物。
【請求項82】
前記組成物はロゼンジ及び溶解錠剤から成る群から選ばれる、請求項81に記載の組成物。
【請求項83】
前記組成物は舌下投与される、請求項82に記載の組成物。
【請求項84】
前記第三の緩衝剤は非晶質酸化マグネシウムである、請求項81に記載の組成物。
【請求項85】
非晶質酸化マグネシウムの重量パーセントは炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した重量パーセントより大きい、請求項84に記載の組成物。
【請求項86】
口腔粘膜を介した催眠剤のデリバリーのための組成物であって:
(a)イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる催眠剤;
(b)担体;及び
(c)炭酸塩又は重炭酸塩及び酸化金属、クエン酸塩、リン酸塩、及びホウ酸塩から成る群から選ばれる2以上の緩衝剤を含む緩衝系
を含み、前記緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、組成物。
【請求項87】
前記緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項86に記載の組成物。
【請求項88】
前記緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項86に記載の組成物。
【請求項89】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項90】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項86に記載の組成物。
【請求項91】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項92】
前記炭酸塩は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項93】
前記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項94】
前記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項95】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項86に記載の組成物。
【請求項96】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項86に記載の組成物。
【請求項97】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項86に記載の組成物。
【請求項98】
前記組成物は舌下投与される、請求項86に記載の組成物。
【請求項99】
その必要のある患者における睡眠障害の治療方法であって:
前記患者に、イミダゾピリヂン、ヂヒドロピロロピラジン、ピラゾロピリミヂン、及びそれらの医薬として許容される塩から成る群から選ばれる治療的に有効な量の催眠剤;担体;及び炭酸塩及び重炭酸塩を含む二種混合型緩衝系を含む組成物を投与すること
を含む方法であって、前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約7.8超のpHまで上げる、方法。
【請求項100】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約8.5超のpHまで上げる、請求項99に記載の方法。
【請求項101】
前記二種混合型緩衝系は唾液の開始pHに関わらず、唾液のpHを約9超のpHまで上げる、請求項99に記載の方法。
【請求項102】
前記組成物は口腔粘膜を介して前記催眠剤をデリバリーする、請求項99に記載の方法。
【請求項103】
前記口腔粘膜は舌下粘膜、頬側粘膜、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項102に記載の方法。
【請求項104】
前記睡眠障害は不眠症である、請求項99に記載の方法。
【請求項105】
前記不眠症は一過性不眠症、短期不眠症、及び慢性不眠症から成る群から選ばれる、請求項104に記載の方法。
【請求項106】
前記イミダゾピリヂンはゾルピデム及びアルピデムから成る群から選ばれる、請求項99に記載の方法。
【請求項107】
前記ヂヒドロピロロピラジンはゾペクロンである、請求項99に記載の方法。
【請求項108】
前記ピラゾロピリミヂンはザレプロン及びインヂプロンから成る群から選ばれる、請求項99に記載の方法。
【請求項109】
前記炭酸塩は炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項99に記載の方法。
【請求項110】
前記重炭酸塩は重炭酸ナトリウム及び重炭酸カリウムから成る群から選ばれる、請求項99に記載の方法。
【請求項111】
前記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項112】
前記担体は結合剤、ガム基礎、及びそれらの組み合わせから成る群から選ばれる、請求項99に記載の方法。
【請求項113】
前記組成物はロゼンジ、チューイングガム、チュワブル錠、及び溶解錠剤から成る群から選ばれる投与形態である、請求項99に記載の方法。
【請求項114】
前記催眠剤の平均粒子サイズは前記担体の平均粒子サイズより小さい又はそれに等しい、請求項99に記載の方法。
【請求項115】
前記催眠剤はゾルピデムであり、及び前記二種混合型緩衝系は炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムを含む、請求項99に記載の方法。
【請求項116】
前記組成物はロゼンジ及び溶解錠剤から成る群から選ばれる、請求項115に記載の方法。
【請求項117】
前記組成物は舌下投与される、請求項116に記載の方法。
【請求項118】
炭酸ナトリウム及び重炭酸ナトリウムの混合した重量パーセントはゾルピデムの重量パーセントより大きい又はそれに等しい、請求項115に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2007−523091(P2007−523091A)
【公表日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−553364(P2006−553364)
【出願日】平成17年2月16日(2005.2.16)
【国際出願番号】PCT/US2005/005021
【国際公開番号】WO2005/079761
【国際公開日】平成17年9月1日(2005.9.1)
【出願人】(506058510)トランスオーラル ファーマシューティカルズ,インコーポレイティド (2)
【Fターム(参考)】