説明

可変容量型斜板式圧縮機

【課題】低回転時に容量復帰性を確保できると共に、高回転時に動力低減を図ることのできる可変容量型斜板式圧縮機を提供することにある。
【解決手段】クランク室16と、回転軸17と、斜板23と、ピストン29とを備え、クランク室16と吐出室39とを接続する給気通路42に設けられた容量制御弁35の開度調整に基づいてクランク室16の圧力Pcを変更することにより、斜板23の傾斜角を変更し吐出容量を制御するようにした可変容量型斜板式圧縮機10において、クランク室16と吸入室38とを接続する第1抽気通路48及び第2抽気通路58を回転軸17及びシリンダブロック12にそれぞれ設け、第1抽気通路48は、回転軸17の回転に伴う遠心力により、第1抽気通路48を閉じる方向に移動される開閉弁50を有し、第2抽気通路58は、固定絞りとしての絞り孔59を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、例えば、車両空調装置等に用いられる可変容量型圧縮機に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に、車両用空調装置等に用いられる圧縮機として、吐出容量を可変制御することができる可変容量型圧縮機(以下、単に「圧縮機」と呼ぶ)が知られている。
この種の圧縮機では、斜板が納められたクランク室の圧力を容量制御弁を利用して制御することにより、斜板の傾斜角を調節し各ピストンのストロークを変化させて吐出容量を変化させている。
【0003】
例えば、特許文献1で開示された従来技術では、クランク室15と吸入圧領域13aとを連通する抽気通路29の途中に開閉弁33が配設されている。開閉弁33は、弁体36と、弁体36を開放方向に付勢するバネ37と、カウンタウェイト38によって構成されている。回転軸16の回転数が所定値以上になると、カウンタウェイト38に作用する遠心力によって、弁体36が弁孔34を閉止する位置に移動される。これにより、抽気通路29が遮断され、その抽気通路29を介したクランク室15から吸入圧領域13aへの冷媒ガスの抽出が停止される。このため、大吐出容量の圧縮運転時に、回転軸16の回転数が所定値以上になると、開閉弁33により抽気通路29が閉じられて、クランク室15内の圧力がブローバイガスの流入によって緩やかに高められる。従って、クランク室15の圧力を徐々に上昇させて、吐出容量を減少させることができ、圧縮負荷が低減されて、各摺動部の面圧低減を図れるとしている。
【特許文献1】特開平10−54350号公報(第4〜6頁、図1〜図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、特許文献1で開示された従来技術では、回転軸16の回転数が所定値以上の場合には、開閉弁33により抽気通路29が閉じられて、クランク室15から吸入圧領域13aへの冷媒ガスの導出量がゼロとなる。この状態で、圧縮機の吐出容量を増大させようとすると、抽気通路29が閉じられているためにクランク室15からの冷媒ガスの抽出が速やかに行われずに、圧縮機の吐出容量が増大するまでに時間がかかり、容量復帰性が悪化する問題がある。
【0005】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたもので、本発明の目的は、低回転時に容量復帰性を確保できると共に、高回転時に動力低減を図ることのできる可変容量型斜板式圧縮機を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を達成するため、請求項1記載の発明は、ハウジングと、該ハウジング内に区画形成されたクランク室と、該クランク室内に回転可能に軸支された回転軸と、該回転軸に一体回転可能かつ傾動可能に連結された斜板と、前記ハウジングに形成されたシリンダボアに往復動可能に収容されたピストンとを備え、前記クランク室と吐出圧領域とを接続する給気通路に設けられた容量制御弁の開度調整に基づいて前記クランク室の圧力を変更することにより、前記斜板の傾斜角を変更し吐出容量を制御するようにした可変容量型斜板式圧縮機において、前記クランク室と吸入圧領域とを接続する抽気通路を設け、該抽気通路は、前記回転軸の回転に伴う遠心力により、前記抽気通路を閉じる方向に移動される開閉弁と固定絞りとを有していることを特徴とする。
【0007】
請求項1記載の発明によれば、低回転時においては、回転軸の回転に伴う遠心力は小さいので開閉弁は抽気通路を開いた状態で保持されている。また、抽気通路にはクランク室と吸入圧領域とを常時連通する固定絞りが設けられている。従って、開閉弁の設けられた抽気通路と、固定絞りの設けられた抽気通路とは、共に開いた状態にあることにより、クランク室から吸入圧領域への冷媒ガスの流出は速やかに行われ、起動時における容量復帰性、即ち、OFF運転から容量運転への復帰を速やかに行うことができる。
一方、高回転時においては、回転軸の回転に伴う遠心力により、開閉弁は抽気通路を閉じる方向に移動されることにより閉鎖される。従って、固定絞りのみが開いた状態にあることにより、クランク室から吸入圧領域への冷媒ガスの流出量は少なくなるが、高回転によってピストン及び斜板に作用する慣性力が大きくなるために、起動時における容量復帰性が低下することを防止することができる。加えて、この時には、内部循環される冷媒ガスの流量低減により、本来の目的に使用される冷媒ガスの流量が増えるので、圧縮機の動力低減を図ることができる。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の可変容量型斜板式圧縮機において、前記抽気通路は、前記回転軸に形成される第1抽気通路とハウジングに形成される第2抽気通路とを有し、前記第1抽気通路に開閉弁を設け、前記第2抽気通路に固定絞りを設けたことを特徴とする。
請求項2記載の発明によれば、回転軸に形成された第1抽気通路に開閉弁を設ければ良いので、回転軸の回転によって生じる遠心力を利用して開閉弁の開閉動作を行うことができる。また、第1抽気通路と別にハウジングに第2抽気通路を形成することで、一定量のガス流出量を有する固定絞りを容易に配設可能である。
【0009】
請求項3記載の発明は、請求項2記載の可変容量型斜板式圧縮機において、前記第1抽気通路の一端側は前記クランク室に開口され、該第1抽気通路の他端側は前記開閉弁が配置されていることを特徴とする。
請求項3記載の発明によれば、回転軸に形成された第1抽気通路の一端をクランク室に開口させ、他端に開閉弁を設けることにより、第1抽気通路の開閉作動を簡単に行うことができる。
【0010】
請求項4記載の発明は、請求項1記載の可変容量型斜板式圧縮機において、前記抽気通路は、前記回転軸の中心に形成された通路を含み、該通路の一端側は前記クランク室に開口され、該通路の他端側には前記開閉弁が配置され、該回転軸の他端側に前記固定絞りが形成されていることを特徴とする。
請求項4記載の発明によれば、開閉弁を有する抽気通路が設けられた回転軸と同じ部材に固定絞りを設ければ良いので、それぞれ別の場所に設ける場合と比較して、製造工数とコストを削減可能である。
【0011】
請求項5記載の発明は、請求項1〜4のいずれか一項記載の可変容量型斜板式圧縮機において、前記開閉弁は、弁体と、前記弁体を開放位置に向かって付勢する付勢部材と、前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記付勢部材の付勢力に抗して前記弁体を閉止位置に移動させるカウンタウェイトとを備えたことを特徴とする。
請求項5記載の発明によれば、回転軸の回転数が高回転になるとカウンタウェイトに作用する遠心力により、カウンタウェイトは付勢部材の付勢力に抗して外周方向に移動され、弁体は閉止位置に移動される。一方、回転軸の回転数が低回転の場合には、付勢部材の付勢力が優勢となることにより、弁体は開放位置に保持される。このように、開閉弁の構造が簡単であり、回転軸の回転数に応じて、抽気通路を確実に開閉させることができる。
【発明の効果】
【0012】
この発明によれば、抽気通路に回転に伴う遠心力により移動可能とされた開閉弁と常時連通された固定絞りを設けることにより、低回転時に容量復帰性を確保できると共に、高回転時に圧縮機の動力低減を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態に係る可変容量型斜板式圧縮機(以下、単に「圧縮機」と呼ぶ)を図1〜図5に基づいて説明する。
図1に示す圧縮機10には、圧縮機10の外殻であるハウジング11が形成されているが、このハウジング11は、複数のシリンダボア12aが形成されたシリンダブロック12と、そのシリンダブロック12の前部側に接合されるフロントハウジング13と、シリンダブロック12の後部側に接合されるリヤハウジング14とから構成されている。尚、図1において、左側を前部側とし、右側を後部側とする。
そして、フロントハウジング13からリヤハウジング14まで通される通しボルト15の前後方向の締め付けにより、フロントハウジング13、シリンダブロック12及びリヤハウジング14が一体的に固定され、ハウジング11が形成される。
【0014】
フロントハウジング13には、クランク室16が形成され、該クランク室16は後部側がシリンダブロック12により閉鎖された状態となっている。
そして、回転軸17がそのクランク室16の中央付近を貫通するように備えられており、この回転軸17はフロントハウジング13に設けられるラジアル軸受18と、シリンダブロック12に設けられる別のラジアル軸受19により回転自在に支持されている。
この回転軸17の前部を支持するラジアル軸受18の前方に、回転軸17の周面に亘って摺接する軸封機構20が備えられている。
この軸封機構20はリップシール部材等を有し、クランク室16内の冷媒がフロントハウジング13と回転軸17の間から漏れ出すことを防止するものとなっている。
この実施形態における回転軸17の前端には、図示しない動力伝達機構を介して外部駆動源に連結されており、回転軸17は外部駆動源により回転可能となっている。
【0015】
クランク室16における回転軸17には、ラグプレート21が一体回転可能に固着されている。
ラグプレート21の後方における回転軸17には、容量可変機構22を構成する斜板23が、回転軸17の軸線方向へスライド可能及び傾動可能に支持されている。
斜板23とラグプレート21との間にはヒンジ機構24が介在され、このヒンジ機構24を介して斜板23がラグプレート21および回転軸17に対して、同期回転可能及び傾動可能に連結されている。
【0016】
回転軸17におけるラグプレート21と斜板23との間にはコイルスプリング25が巻装されているほか、コイルスプリング25の押圧により後方へ付勢される摺動自在の筒状体26が回転軸17に嵌挿されている。
斜板23は、コイルスプリング25の付勢力を受けた筒状体26により常に後方、すなわち、斜板23の傾斜角度が減少する方向へ向けて押圧される。
なお、斜板23の傾斜角度とは、ここでは回転軸17と直交する面と斜板23の面により成す角度を意味している。
斜板23の前部にはストッパ部23aが突設され、図1に示すように、このストッパ部23aがラグプレート21に当接することにより、斜板23の最大傾斜位置が規制されるようになっている。斜板23の後方における回転軸17には止め輪27が取り付けられ、
斜板23の後部がこの止め輪27に当接することにより斜板23の最小傾斜角位置が規制されるようになっている。尚、図1で実線で示す位置は斜板23の最大傾斜角位置を示し、図1で二点鎖線で示す位置は斜板23の最小傾斜角位置を示している。
【0017】
前記シリンダブロック12の各シリンダボア12aには、片頭型のピストン29が夫々往復移動可能に収容され、これらのピストン29の首部がシュー30を介して斜板23の外周に係留されている。
そして、回転軸17の回転に伴って斜板23が回転運動されるとき、シュー30を介して各ピストン29が往復移動される。
一方、図1に示されるように、リヤハウジング14の前部側とシリンダブロック12の後部側との間は、バルブプレート32を介して接合されている
【0018】
このリヤハウジング14内の中心側には、吸入室38が形成されており、吸入室38はバルブプレート32に設けられる吸入ポート36によりシリンダボア12a内の圧縮室31と連通されている。
また、リヤハウジング14の外周側には、吐出室39が形成されており、この吐出室39と吸入室38は隔壁14aにより隔絶されている。
バルブプレート32はシリンダボア12aにおいてピストン29とともに圧縮室31を形成するためのものであるが、リヤハウジング14側の吸入室38と連通する吸入ポート36と、吐出室39と連通する吐出ポート37を有しており、それぞれ吸入弁33及び吐出弁34が備えられている。
【0019】
ところで、吸入室38の冷媒はピストン29の上死点位置から下死点位置への移動により、吸入ポート36及び吸入弁33を介して圧縮室31内に吸入される。
圧縮室31内に吸入された冷媒はピストン29の下死点位置から上死点位置への移動により所定の圧力にまで圧縮され、吐出ポート37及び吐出弁34を介して吐出室39へ吐出される。
【0020】
シリンダブロック12及びリヤハウジング14には、吐出室39とクランク室16とを連通する給気通路42が設けられている。この給気通路42の途中に電磁式の容量制御弁35が配設されている。また、容量制御弁35は感圧通路61を介して吸入室38に連通している。容量制御弁35を吸入室38の圧力を検知又は外部からの指令によりその弁開度を変更可能である。
この容量制御弁35の弁開度の調整により、給気通路42を介して吐出室39からクランク室16に供給される高圧の冷媒ガスの供給量が変更される。そして、ピストン29を挟んだクランク室16内と圧縮室31内の圧力の差が変更されて、斜板23の傾斜角が変更される。これにより、ピストン29のストロークが変えられ、吐出容量が調整されるようになっている。
【0021】
シリンダブロック12の中央には、前端側に回転軸17を挿通するための軸孔43と、後端側に軸孔43と連通された収容凹部44とが形成されている。この軸孔43には、ラジアル軸受19を介して回転軸17の後端部が挿通されている。
回転軸17の中心には第1抽気通路48を構成する通路孔45が形成されており、この通路孔45はその前端側がラジアル軸受18と軸封機構20の近傍において、クランク室16に開口されている。収容凹部44内において、回転軸17の後端部には、開閉弁50が配設されている。開閉弁50については、後で詳述する。なお、通路孔45の後端には栓体60が嵌着され、通路孔45の後端部を閉塞している。
【0022】
回転軸17の後端とバルブプレート32との間には、スラストベアリング46及び支持バネ47が介装されている。
収容凹部44と吸入室38とは、バルブプレート32の中心に形成された連通孔49により連通されている。連通孔49は、クランク室16から吸入室38へ流出する冷媒ガスの流出量を絞り込む絞り孔として形成されている。
第1抽気通路48は、通路孔45、収容凹部44、開閉弁50及び連通孔49から構成されており、クランク室16と吸入室38を接続するように形成されている。
【0023】
開閉弁50はこの第1抽気通路48を開閉するように設けられている。図2に示されるように、回転軸17の後端周面は上部と下部が切り取られて平面状の座面51、52が形成されている。この座面51と座面52とを連通し、且つ通路孔45と連通する開閉弁孔53が径方向に形成されている。なお、開閉弁孔53は座面51側の孔径が大きく設定されている。
弁体としての開閉弁体54は、開閉弁孔53に開閉移動可能に挿通されている。
座面51側には開閉弁体54が配置され、座面52側には質量体としてのカウンタウェイト55が配置され、開閉弁体54とカウンタウェイト55とは連結部56によって一体連結されている。
そして、座面51と開閉弁体54の間には、開閉弁体54を開放位置に向かって付勢する付勢部材としてのバネ57が設けられている。
【0024】
回転軸17の回転数が高回転となったときには、このカウンタウェイト55に作用する遠心力が大きくなり、カウンタウェイト55は回転軸17の軸心より遠ざかる方向に移動される。このため、開閉弁体54はバネ57の付勢力に抗して回転軸17の軸心側に移動し、座面51と当接し開閉弁孔53は閉鎖される。
一方、回転軸17の回転数が低回転の時には、このカウンタウェイト55に作用する遠心力は小さいので、開閉弁体54を開放位置に向かって付勢しているバネ57の付勢力が優勢となる。このため、開閉弁体54はバネ57の付勢力によって回転軸17の軸心より遠ざかる方向に移動し、開閉弁孔53は開放される。
なお、図1及び図2で示す開閉弁50は、低回転時における開弁状態を表し、図3で示す開閉弁50は、高回転時における閉弁状態を表している。
【0025】
図1に示されるように、クランク室16と吸入室38を接続する第2抽気通路58は、シリンダブロック12に設けられている。第2抽気通路58には、冷媒ガスの流量を絞り込むための固定絞りに相当する絞り孔59がバルブプレート32に形成されている。第2抽気通路58はクランク室16と吸入室38を常時連通する通路として形成されている。
【0026】
図4は、本実施形態を模式的に示すブロック図である。
吐出室39とクランク室16とは、給気通路42により連通されており、途中に容量制御弁35が設けられている。クランク室16と吸入室38とは第1抽気通路48及び第2抽気通路58により連通されており、第1抽気通路48には遠心力により作動する開閉弁50が設けられ、第2抽気通路58には固定絞りとしての絞り孔59が形成されている。
【0027】
図5は、本実施形態における回転軸17の回転数Nと絞り孔総断面積Asの関係を示す模式図である。ここで、第1抽気通路48に設けられた連通孔49の断面積をAaとし、第2抽気通路58に設けられた絞り孔59の断面積をAbとすれば、低回転時には、第1抽気通路48に設けられた開閉弁50は開放位置にあるので、開口状態にある絞り孔の総断面積As1は、As1=Aa+Abとなる。一方、高回転時には、第1抽気通路48に設けられた開閉弁50は閉止位置にあり、第2抽気通路58しか開口していないので、開口状態にある絞り孔の総断面積As2は、回転数Nc1以上にてAs2=Abとなる。
第1抽気通路48及び第2抽気通路58を介してクランク室16から吸入室38へ流出する冷媒ガスの流量は、この絞り孔の総断面積Asに比例するので、低回転時にはAs1=Aa+Abで流量が多くなり、高回転時には、As2=Abで流量が少なくなる。なお、Aa及びAbの通路断面積は、容量復帰性と動力低減性の両立が可能な適切な値に予め設定されている。なお、開閉弁体54が全開状態の場合において、開閉弁孔53の開口断面積はAa以上に設定されている。
【0028】
次に上記のように構成された可変容量型斜板式圧縮機について、以下に作用説明を行う。
車両エンジンなどの外部駆動源により回転軸17が回転されると、ラグプレート21及びヒンジ機構24を介して斜板23が一体回転される。この斜板23の回転運動がシュー30を介してピストン29の往復直線運動に変換され、そのピストン29がシリンダボア12a内を往復動される。このピストン29の往復動により、冷媒ガスが吸入室38から吸入ポート36及び吸入弁33を介して圧縮室31に吸入され、所定の圧力に達するまで圧縮されて、吐出ポート37及び吐出弁34を介して吐出室39へ吐出される。吐出室39へ吐出された高圧の冷媒ガスの大部分は図示しない外部冷媒回路へ導かれる。高圧の冷媒ガスの一部は、給気通路42を介してクランク室16へ導かれ、斜板23の傾斜角制御に供される。
【0029】
給気通路42に配設された容量制御弁35の開度が変更されることにより、給気通路42を通じた吐出室39からクランク室16への冷媒ガスの導入量と、第1抽気通路48及び第2抽気通路58を通じたクランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量とのバランスが制御される。クランク室16への冷媒ガスの導入量とクランク室16からの冷媒ガスの導出量のバランスが制御されることにより、クランク室16のクランク圧力Pcが決定される。
容量制御弁35の開度が変更されてクランク室16のクランク圧力Pcが変わると、ピストン29を介したクランク室16内と圧縮室31内の差圧が変更され、斜板23の傾斜角度が変動する。斜板23の傾斜角度が変動することによりピストン29のストロークが変更され、ピストン29のストロークの変更に応じて圧縮機の吐出容量が変化する。
【0030】
さて、車室内の温度が高く冷房負荷が大きい状態では、吸入室38内の吸入圧力Psが高く、圧縮室31とクランク室16のクランク圧力Pcとのピストン29を介した差圧はほとんどない(Ps≒Pc)。この時、容量制御弁35は閉じる方向に制御され、給気通路42は遮断された状態となって、吐出室39からクランク室16への高圧の冷媒ガスの導入は停止されている。また、Ps≒Pcのため第1抽気通路48及び第2抽気通路58を通じたクランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出も行われない。このため、斜板23は、図1に実線で示す最大傾斜角位置に配置されて、ピストン29のストロークは増大され、圧縮機は大吐出容量にて運転される。
このような最大容量運転時においては、給気通路42及び第1、第2抽気通路48、58を通じた冷媒ガスの循環はないので、圧縮機は効率良く運転される。
【0031】
次に、車室内の温度が低下して、冷房負荷が低下すると、吸入室38内の吸入圧力Psが低下する。この時、吸入圧力Psの低下に応じて容量制御弁35は開度が開く方向に制御される。それに伴い、吐出室39から高圧の冷媒ガスが、給気通路42を通してクランク室16に導入される。この結果、クランク室16のクランク圧力Pcが上昇して、クランク室16のクランク圧力Pcと圧縮室31内の圧力とのピストン29を介した差圧が大きくなる。この差圧に応じて、斜板23の傾斜角が減少されて、吐出容量が減少される。
【0032】
このような可変容量運転時において、回転軸17の回転数が低回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は小さいので、第1抽気通路48の途中に設けられた開閉弁50の開閉弁体54が開閉弁孔53を開放した状態に保持されている。また、第2抽気通路58にはクランク室16と吸入室38とを常時連通する絞り孔59が設けられている。従って、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48と、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58とは、共に開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの流出は速やかに行われ、冷房負荷に応じた容量制御が適宜行われる。
【0033】
一方、回転軸17の回転数が高回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は大きくなり、開閉弁50のカウンタウェイト55に作用する遠心力は増大する。この遠心力により、図3に示すように、開閉弁体54がバネ57の付勢力に抗して回転軸17の軸心側に移動し、座面51と当接し開閉弁孔53は閉鎖される。従って、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48は閉鎖され、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58のみが開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなる。このことにより、内部循環される冷媒ガスの流量低減により、本来の目的に使用される冷媒ガスの流量が増えるので、圧縮機の動力低減を図ることができる。
【0034】
次に、車室内の温度がさらに低下して、冷房負荷がほとんどない状態に近づいていくと、吸入室38内の吸入圧力Psもさらに低下して、容量制御弁35は開度が全開状態となる。この状態では、吐出室39から高圧の冷媒ガスが、給気通路42を通してクランク室16に大量に導入される。このため、クランク室16のクランク圧力Pcが上昇して、クランク室16のクランク圧力Pcと圧縮室31内の圧力とのピストン29を介した差圧がさらに大きくなる。斜板23は、図1に二点鎖線で示す最小傾斜角位置に配置されて、ピストン29のストロークがさらに減少され、圧縮機は最小吐出容量にて運転される。
このようなOFF容量運転時においては、最小容量はゼロではなく、若干の容量を有しているが、高回転時には内部循環される冷媒ガスの流量低減により、最小容量がさらに減少されるので、OFF容量運転時における動力低減を図れる。
【0035】
次に、起動時における容量復帰性について述べる。
OFF運転から容量運転への復帰については、第1抽気通路及び第2抽気通路を介したクランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出性の影響を受ける。
回転軸17が低回転にある時には、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48と、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58とは、共に開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出は速やかに行われ、クランク室16のクランク圧力Pcを速やかに下げることができるので、起動時における容量復帰性の改善を図れる。
【0036】
また、回転軸17が高回転にある時には、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48は閉鎖され、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58のみが開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなる。しかし、高回転時にはピストン29及び斜板23に作用する慣性力が大きくなるために、主に慣性力によって圧縮容量が増大する方へ移動する。従って、冷媒ガスの導出量が低減しても、速やかに
起動時における容量復帰を図ることができる。
【0037】
この実施形態に係る可変容量型斜板式圧縮機10によれば以下の効果を奏する。
(1)回転軸17の回転数が低回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は小さいので、第1抽気通路48の途中に設けられた開閉弁50の開閉弁体54が開閉弁孔53を開放した状態に保持されている。また、第2抽気通路58にはクランク室16と吸入室38とを常時連通する絞り孔59が設けられている。従って、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48と、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58とは、共に開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの流出は速やかに行われ、クランク室16のクランク圧力Pcを速やかに下げることができるので、起動時における容量復帰性の改善を図れる。
(2)容量運転時において、回転軸17の回転数が高回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は大きくなり、開閉弁50のカウンタウェイト55に作用する遠心力は増大する。この遠心力により、開閉弁体54がバネ57の付勢力に抗して回転軸17の軸心側に移動し、座面51と当接し開閉弁孔53は閉鎖される。従って、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48は閉鎖され、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58のみが開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなる。このことにより、圧縮機内部で循環される冷媒ガスの流量低減により、本来の目的に使用される冷媒ガスの流量が増えるので、圧縮機の動力低減と効率アップを図ることができる。
(3)回転軸17が高回転にある時には、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48は閉鎖され、絞り孔59の設けられた第2抽気通路58のみが開いた状態にあることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなり、特にOFF運転時において最小容量がさらに小さくなるので動力低減を図れる。なお、高回転時にはピストン29及び斜板23に作用する慣性力が大きくなるために、冷媒ガスの導出量が低減してもこれを補い、起動時における容量復帰性が低下することを防止することができる。
(4)回転軸17に形成された第1抽気通路48に開閉弁50を設ければ良いので、回転軸17の回転によって生じる遠心力を利用して開閉弁50の開閉動作を行うことができる。また、第1抽気通路48と別にシリンダブロック12に第2抽気通路を形成し絞り孔59を設ければよいので、一定量のガス流出量を有する絞り孔59を容易に配設可能である。
(5)回転軸17に形成された通路孔45の一端をクランク室16に開口させ、他端に開閉弁50を設けることにより、シリンダブロック12内に効果的に開閉弁50を配置することができる。
(6)開閉弁50は、開閉弁体54と、開閉弁体54を開放位置に向かって付勢するバネ57と、回転軸17の回転に伴う遠心力によりバネ57の付勢力に抗して開閉弁体54を閉止位置に移動させるカウンタウェイト55とを備えている。よって、回転軸17の回転数が高回転になるとカウンタウェイト55に作用する遠心力により、カウンタウェイト55はバネ57の付勢力に抗して外周方向に移動され、開閉弁体54は閉止位置に移動される。一方、回転軸17の回転数が低回転の場合には、バネ57の付勢力が優勢となることにより、開閉弁体54は開放位置に保持される。このように、開閉弁50の構造が簡単であり、回転軸17の回転数に応じて、第1抽気通路48を確実に開閉させることができる。
【0038】
(第2の実施形態)
次に第2の実施形態に係る可変容量型斜板式圧縮機について図6に基づき説明する。
この実施形態の圧縮機は、第1の実施形態の第2抽気通路58に相当する機能を回転軸17に設けたものであり、その他の構成は共通である。
従って、ここでは説明の便宜上、先の説明で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、変更した個所のみ説明を行う。
【0039】
この実施形態の圧縮機は、図6に示すように、回転軸17の後端側の開閉弁50の設けられた位置より前側(クランク室16側)に、通路孔45に連通した絞り孔70が径方向に穿孔されている。この絞り孔70は固定絞りに相当する。この絞り孔70によって通路孔45と収容凹部44とは連通されている。
ここで、絞り孔70の径をd1とし、連通孔49の径をd2とすれば、d1<d2となるように形成されている。
なお、第1の実施形態においては、連通孔49の断面積をAa、絞り孔59の断面積をAbとして、低回転時の総断面積As1は、As1=Aa+Ab、高回転時の総断面積As2は、As2=Abとして説明したが、本実施形態においては、d1=Ab=As2、
d2=Aa+Ab=As1となるように、d1及びd2の設定が行われている。
【0040】
回転軸17の回転数が低回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は小さいので、第1抽気通路48の途中に設けられた開閉弁50の開閉弁体54が開閉弁孔53を開放した状態に保持されている。また、回転軸17にはクランク室16と吸入室38とを常時連通する絞り孔70が設けられている。この場合における冷媒ガスの流量は、連通孔49の通路断面積(径d2)により決定される。ところで、連通孔49の径d2と絞り孔70の径d1との間にはd1<d2の関係があることにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの流出は収容凹部44を通って速やかに行われ、クランク室16のクランク圧力Pcを速やかに下げることができるので、起動時における容量復帰性の改善を図れる。
【0041】
また、回転軸17の回転数が高回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は大きくなり、開閉弁50のカウンタウェイト55に作用する遠心力は増大する。この遠心力により、開閉弁体54がバネ57の付勢力に抗して回転軸17の軸心側に移動し、座面51と当接し開閉弁孔53は閉鎖される。従って、開閉弁50の設けられた第1抽気通路48は閉鎖され、絞り孔70のみが開いた状態にあり、この場合における冷媒ガスの流量は、絞り孔70の通路断面積(径d1)により決定される。よってクランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなる。しかし、高回転時にはピストン29及び斜板23に作用する慣性力が大きくなるために、主に慣性力によって圧縮容量が増大する方へ移動する。従って、冷媒ガスの導出量が低減しても、速やかに起動時における容量復帰を図ることができる。加えて、この場合には、容量運転時において圧縮機内部で循環される冷媒ガスの流量が低減することにより、本来の目的に使用される冷媒ガスの流量が増えるので、圧縮機の動力低減を図ることができる。さらに、OFF運転時においても最小容量が減少し、動力低減を図ることができる。なお、図6で示す開閉弁50は、閉弁状態を表している。
【0042】
この実施形態においては、第1抽気通路48と絞り孔70とを同じ回転軸17上に形成することができるので、それぞれ別の場所に設ける場合と比較して、製造工数とコストを削減可能である。
【0043】
(第3の実施形態)
次に第3の実施形態に係る可変容量型斜板式圧縮機について図7及び図8に基づき説明する。
この実施形態の圧縮機は、第2の実施形態の絞り孔70を開閉弁50に設けたものであり、その他の構成は共通である。
従って、ここでは説明の便宜上、先の説明で用いた符号を一部共通して用い、共通する構成についてはその説明を省略し、変更した個所のみ説明を行う。
【0044】
この実施形態の圧縮機は、図7に示すように、開閉弁50の設けられた開閉弁孔53の座面51側の入口部に一定の深さを有する溝80が形成されている。開閉弁50に遠心力が作用し、開閉弁体54が座面51に当接したとき、開閉弁体54と溝80とによって溝孔81が形成され、この溝孔81を介して通路孔45と収容凹部44は連通される。この溝孔81が固定絞りに相当する。
ここで、開閉弁体54が座面51に当接したときの溝孔81の通路断面積は連通孔49の通路断面積(径d2)より小さく設定されており、第2の実施形態における絞り孔70の通路断面積(径d1)と同等に形成されている。
【0045】
回転軸17の回転数が低回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は小さいので、第1抽気通路48の途中に設けられた開閉弁50の開閉弁体54が開閉弁孔53を開放した状態に保持されている。また、溝孔81は形成されていないので、この場合における冷媒ガスの流量は、連通孔49の通路断面積(径d2)により決定される。従って、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの流出は速やかに行われ、クランク室16のクランク圧力Pcを速やかに下げることができるので、起動時における容量復帰性の改善を図れる。
【0046】
また、回転軸17の回転数が高回転の場合には、回転軸17の回転に伴う遠心力は大きくなり、開閉弁50のカウンタウェイト55に作用する遠心力は増大する。この遠心力により、開閉弁体54がバネ57の付勢力に抗して回転軸17の軸心側に移動し、座面51と当接し開閉弁孔53は閉鎖される。この時、溝孔81のみが開口され、この溝孔81の通路断面積は連通孔49の通路断面積より小さいことにより、クランク室16から吸入室38への冷媒ガスの導出量は少なくなる。しかし、高回転時にはピストン29及び斜板23に作用する慣性力が大きくなるために、主に慣性力によって圧縮容量が増大する方へ移動する。従って、冷媒ガスの導出量が低減しても、速やかに起動時における容量復帰を図ることができる。加えて、この場合には、容量運転時において圧縮機内部で循環される冷媒ガスの流量が低減することにより、本来の目的に使用される冷媒ガスの流量が増えるので、圧縮機の動力低減を図ることができる。さらに、OFF運転時においても最小容量が減少し、動力低減を図ることができる。なお、図7で示す開閉弁50は、閉弁状態を表している。
【0047】
この実施形態においては、開閉弁50の設けられる開閉弁孔53に溝80を形成するだけでよいので、さらに構成の簡略化と製造工数及びコストを削減可能である。
【0048】
なお、本発明は、上記した第1〜第3の実施形態に限定されるものではなく発明の趣旨の範囲内で種々の変更が可能であり、例えば、次のように変更してもよい。
○ 第2及び第3の実施形態では、回転軸17の他端に設ける固定絞りを絞り孔70又は、溝孔81として説明したが、通路孔45の後端部を閉塞している栓体60の部分に固定絞りを設けて、通路孔45と収容凹部44とを常時連通させても良い。
○ 第3の実施形態では、開閉弁孔53の座面51側に溝80を設けるとして説明したが、開閉弁体54表面に溝を設けても良い。また、開閉弁体54の内部に通路孔45と収容凹部44とを連通させる貫通孔を設けて固定絞りとしても良い。
○ 第1〜第3の実施形態では、冷媒の種類を特に指定しなかったが、冷媒の種類は特に問われず、例えば、フロン系ガスや二酸化炭素を用いることが好ましい。また、冷媒は気体又は液体でもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1の実施形態に係る圧縮機の全体構成を示す縦断面図である。
【図2】第1の実施形態に係る開閉弁を拡大して示す側断面図である。
【図3】第1の実施形態に係る要部拡大断面図である。
【図4】第1の実施形態を模式的に示すブロック図である。
【図5】第1の実施形態に係る回転数と絞り孔総断面積の関係を示す模式図である。
【図6】第2の実施形態に係る要部拡大断面図である。
【図7】第3の実施形態に係る要部拡大断面図である。
【図8】第3の実施形態に係るD方向矢視図である。
【符号の説明】
【0050】
10 圧縮機
11 ハウジング
12 シリンダブロック
12a シリンダボア
16 クランク室
17 回転軸
23 斜板
31 圧縮室
35 容量制御弁
38 吸入室
39 吐出室
42 給気通路
48 第1抽気通路
49 連通孔
50 開閉弁
58 第2抽気通路
59 絞り孔(固定絞り)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ハウジングと、該ハウジング内に区画形成されたクランク室と、該クランク室内に回転可能に軸支された回転軸と、該回転軸に一体回転可能かつ傾動可能に連結された斜板と、前記ハウジングに形成されたシリンダボアに往復動可能に収容されたピストンとを備え、前記クランク室と吐出圧領域とを接続する給気通路に設けられた容量制御弁の開度調整に基づいて前記クランク室の圧力を変更することにより、前記斜板の傾斜角を変更し吐出容量を制御するようにした可変容量型斜板式圧縮機において、
前記クランク室と吸入圧領域とを接続する抽気通路を設け、該抽気通路は、前記回転軸の回転に伴う遠心力により、前記抽気通路を閉じる方向に移動される開閉弁と固定絞りとを有していることを特徴とする可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項2】
前記抽気通路は、前記回転軸に形成される第1抽気通路とハウジングに形成される第2抽気通路とを有し、前記第1抽気通路に開閉弁を設け、前記第2抽気通路に固定絞りを設けたことを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項3】
前記第1抽気通路の一端側は前記クランク室に開口され、該第1抽気通路の他端側は前記開閉弁が配置されていることを特徴とする請求項2に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項4】
前記抽気通路は、前記回転軸の中心に形成された通路を含み、該通路の一端側は前記クランク室に開口され、該通路の他端側には前記開閉弁が配置され、該回転軸の他端側に前記固定絞りが形成されていることを特徴とする請求項1に記載の可変容量型斜板式圧縮機。
【請求項5】
前記開閉弁は、弁体と、前記弁体を開放位置に向かって付勢する付勢部材と、前記回転軸の回転に伴う遠心力により前記付勢部材の付勢力に抗して前記弁体を閉止位置に移動させるカウンタウェイトとを備えたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の可変容量型斜板式圧縮機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−203888(P2009−203888A)
【公開日】平成21年9月10日(2009.9.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−47022(P2008−47022)
【出願日】平成20年2月28日(2008.2.28)
【出願人】(000003218)株式会社豊田自動織機 (4,162)
【Fターム(参考)】