説明

可変焦点マイクロレンズ

マイクロレンズチップは、可変焦点流体マイクロレンズ及びアクチュエータを備える。アクチュエータは、マイクロレンズチップの流体チャンネルの圧力を変え、この流体チャンネルは、マイクロレンズを含むアパーチャ開口部に結合されている。アクチュエータに電界を印可することで、流体チャンネルの流体圧力の変化が生じ、これが、今度は、流体マイクロレンズの曲率半径(すなわち、焦点距離)を変える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的にマイクロレンズに関する。より詳細には、本発明は、可変焦点液体マイクロレンズに関する。
【背景技術】
【0002】
図1は、従来の流体マイクロレンズ101を示す。図示のように、マイクロレンズは、基板110を備えている。基板は、第1の制御電極123aと第2の制御電極123bの間に接地電極121を含む。接地電極は、接地基準電圧に接続されているが、一方で、制御電極は、可変電圧源に接続されている。誘電体層130及び被膜層135が、電極の上に配置されている。被膜層は、ポリテトラフルオロエチレン(例えば、テフロン)などの疎水性材料から成る。誘電体層及び被膜層は、接地電極を露出させるウィンドウ139を作るようにパターン形成されている。
【0003】
1滴の導電性液体140が、被膜層の上に配置される。この滴がマイクロレンズとして作用する。この滴は、表面接地電極に接触している。非作動状態では(制御電極に電圧が加えられていない)、この滴は、実線141で示されるように、第1の形になる。この形は、滴の大きさ及び疎水性被膜層の表面エネルギーに依存する。制御電極に電圧が印加されたとき、この電圧による電位によって、疎水性被膜層は親水性になり(例えば、ぬれ性の変化)、それによって、点線142で示されるように滴の曲率が変化する。曲率の変化で、焦点距離が変わる。流体マイクロレンズの焦点距離を変えるために電界を使用して被膜層のぬれ性を変えることは、「エレクトロウェッティング(electrowetting)」として知られている。
【0004】
しかし、様々な問題が、エレクトロウェッティングで制御される流体マイクロレンズに関連し、その性能を制限している。そのような問題には、例えば、液体蒸発、接触角ヒステリシス、低焦点距離調整性、及び高い駆動電圧がある。その上、疎水性層の表面エネルギーは、滑らかで連続的な変化ではなく不連続で急なジャンプをマイクロレンズの曲率変化に生じさせる。これは、スティックスリップ現象と呼ばれている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
したがって、前述の議論を考慮して、従来のマイクロレンズに関連した問題を起こさない改良されたマイクロレンズを提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、一般的に、マイクロレンズに関する。一実施形態では、本発明は、可変焦点マイクロレンズに関する。マイクロレンズは、例えば、マイクロレンズパッケージに組み込まれて、マイクロレンズチップを形成する。このパッケージは、アパーチャ開口部を有する上面を含む。アパーチャ開口部は、パッケージ中に形成された流体チャンネルに結合されている。流体チャンネルは、流体で満たされ、この流体が、アパーチャ開口部にマイクロレンズを形成するために使用される。アパーチャ開口部の流体マイクロレンズの焦点を合わせるために、ポンプなどのアクチュエータが、流体チャンネルに流体圧力を発生させる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
本発明は、一般的に、流体マイクロレンズに関する。一実施形態では、流体マイクロレンズは、微小電気機械システム(MEMS)に組み込まれて、マイクロレンズチップを形成する。マイクロレンズチップは、レンズとアクチュエータの両方を一体化する。マイクロレンズチップは、マイクロマシニングプロセスの助けになる。本発明の一実施形態に従って、流体マイクロレンズの操作(形成及び焦点合せを含む)は、流体圧力を変えることによって達成される。また、マイクロレンズを操作する他の技術も有用である。
【0008】
図2は、本発明の一実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の断面図を示す。図示のように、マイクロレンズチップは、パッケージ206を備える。パッケージを形成するために、様々な材料を使用することができる。例えば、パッッケージは、ガラス、石英、重合体、セラミック、又はこれらの組合せで形成することができる。また、他の材料も有用であることがある。一実施形態では、パッケージは実質的に剛体である。また、可撓性のあるパッケージを設けることも有用である。
【0009】
パッケージは、上面209を備えている。上面には、アパーチャ開口部239がある。アパーチャ開口部は、液体マイクロレンズを含むように、又は支持するように働く。一実施形態では、上面は、疎水材料から成る。例えば、疎水材料は、重合体を備える。ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ナイロン、又はテフロン等の重合体も、また有用である。また、他のタイプの材料が有用であることもある。
【0010】
レンズアパーチャ開口部は、例えば、円形の形を備える。開口部の直径は、約5μmから5mmである。また、他の寸法が有用であることもある。また、円形以外の形を有するアパーチャ開口部を設けることも有用である。例えば、アパーチャは、楕円形、正方形、又は長方形を備えることができる。また、他の幾何学的形状が、用途に依存して有用であるかもしれない。レンズアパーチャは、例えば、球状レンズ又は円柱状レンズを形成するために使用される。また、他のタイプのレンズを形成するレンズアパーチャを設けることも有用である。
【0011】
パッケージの中に、レンズアパーチャと連通した流体チャンネル240がある。流体チャンネルは、レンズアパーチャに液体マイクロレンズ241を形成するために使用される流体で、満たされている。一実施形態では、流体は、透明な流体を備える。流体の表面張力は、液体レンズを形成するために十分であるべきである。流体は、大きな表面張力を有することが好ましい。流体は、好ましくは、例えば約1.3から1.75の高い屈折率を備えるべきである。また、他の屈折率を有する流体も有用である。好ましくは、流体は、水又は多価アルコールなどの極性液体を備える。図示のように、流体チャンネルは、矢印Lで示されるように、パッケージの長さに沿って走っている。また、流体チャンネルの他の構成(例えば、異なる方向)も有用である。
【0012】
一実施形態では、少なくともレンズアパーチャに対応する部分のパッケージの下面208は、光を通過させるように透明である。好ましくは、レンズアパーチャに対応しない部分のパッケージの下面は、光反射の悪影響を最小限にするように不透明である。パッケージは、ガラス、石英、又は重合体などの様々な型の材料で形成することができる。パッケージの形成で使用される材料は、また、透明材料、不透明材料、又はそれらの組合せであることがある。その上、パッケージは、上部、下部、又は複数部分などの2以上の部分で形成することができる。
【0013】
透明材料又は透明材料と不透明材料の組合せで形成されたパッケージの場合、望み通りに透明部分を残すために必要なようにパターン形成された1つ又は複数の不透明層を、パッケージの上に形成することができる。パッケージの下面又は下部分が不透明材料で形成される場合、レンズアパーチャに対応する下面の部分の不透明材料を除去して、ウィンドウを作ることができる。ウィンドウは、ウィンドウを封止する透明層で覆うことができる。代わりに、ウィンドウを封止するように下面に透明なカバーを付着することができる。さらに他の実施形態では、ウィンドウは、第2のレンズアパーチャを形成するように覆われない状態で残されている。
【0014】
レンズアクチュエータ245が、パッケージ中に設けられる。レンズアクチュエータは、流体チャネルと連通している。レンズアクチュエータは、レンズ形成及びレンズ焦点合せを含んで液体マイクロレンズを操作する。一実施形態では、レンズアクチュエータは、流体チャンネルを流れる流体を引き起こして、又は誘起して、液体マイクロレンズを操作する。より好ましくは、レンズアクチュエータは、レンズアパーチャに流れ込む液体、すなわちレンズアパーチャの液体レンズに流れ込む液体の量を制御することによって、液体マイクロレンズを操作する。流体の流れの方向(例えば、レンズアパーチャから遠ざかる、又はレンズアパーチャの方に向かう)に依存して、レンズを形成することができ、又はその曲率半径を変えることができる(例えば、大きくするか、小さくする)。
【0015】
流体チャンネルの流体流れ、すなわち、レンズに流れ込む又はレンズから流れ出る流体を引き起こすか、又は誘起するために様々な技術を使用することができる。例えば、ポンプは、流体流れを引き起こすために使用することができるが、一方で、流体チャンネル(又は、流体チャンネルと連通している流体タンク)の容積変化は、流体流れを誘起する。また、流体流れ技術の組合せを使用するアクチュエータ又は複数のアクチュエータを設けることも有用である。代わりに、流体チャンネルの外の圧力を制御して、チャンネルの中に流体流れを引き起こすことができる。例えば、流体チャンネル内部の圧力はレンズを形成するように維持され、一方で、外部(例えば、レンズアパーチャの外)の圧力を変えて、レンズに流れ込む流体の量を増やすか減らしてレンズの曲率を変えることができる。レンズの曲率を変えることで、その焦点距離が変化する。
【0016】
一実施形態では、流体流れは、流体チャンネルの圧力変化に対応する。例えば、圧力の上昇は、第1の方向に流れる流体と関連し、一方で、圧力の減少は第2の方向に流れる流体と関連する。
【0017】
流体球面レンズの焦点距離は、一実施形態では、次の式に従って、内部流体圧力(P)に反比例し、液体の表面張力(σ)に正比例する。
【数1】

ここで、Δnは、液体と空気の屈折率の差である。電気制御レンズアクチュエータを使用して焦点距離を変えることができることで、マイクロレンズは非常にコンパクトな設計にすることができる。さらに、内部流体圧力を使用する焦点合せ機構の制御によって、より広い焦点距離の調整能力と共に連続的な実時間精密焦点合せが可能になる。
【0018】
マイクロレンズを操作するために、レンズアクチュエータの電極に電圧が印加される(加えられる)。電極に電圧を印加することで、アクチュエータを作動するための電位が生じる。電位のバイアスに依存して、流体は、アパーチャに向かって第1の方向(矢印280)に流れるか、又はアパーチャから遠ざかって第2の方向(矢印281)に流れる。
【0019】
発生した流体の流れは、チャンネルの内部流体圧力を変える。このことは、レンズの曲率に影響を及ぼし、これが、今度は、レンズの焦点距離に影響を及ぼす。例えば、電気バイアスの無い状態で、レンズの曲率は、線241aで示される形をとることができる。最初の形は、使用される流体の型に依存して、凸状か凹状であることがある。液体をアパーチャの方向に向かって流すように電極に正バイアスが加えられるときに、内部流体圧力は上昇する。これによって、点線241bで示されるように、レンズの曲率半径の減少が起こる。曲率の変化は、次式で定義されるように、レンズ表面を横切る圧力平衡の結果である。
Pint=Pext+Pst
ここで、Pintは流体の内部圧力であり、Pstは表面張力による圧力であり、Pextは外部圧力である。
【0020】
正の電気バイアスを増すと、点線241cで示されるように、レンズの曲率半径はさらに減少する。逆に、電気バイアスを減少させると、レンズの曲率半径は、電気バイアスの量に依存して、例えば、線241b又は241aで示される点まで増加する。点線241dで示されるような凹レンズの形は、また、レンズアパーチャから遠ざかるように流体の流れをさらに制御することによって達成することができる。
【0021】
一実施形態では、レンズアクチュエータは、電気制御レンズアクチュエータを備える。流体流れの量及び方向は、異なる大きさ及び極性の電圧又は電流を加えることによって制御することができる。また、操作制御の他の技術も有用である。例えば、熱的(例えば、熱空気圧)技術、磁気的(例えば、磁気流体力学)技術、光学的(例えば、光歪)技術、エレクトロウェッティングポンプ技術、電気機械的(例えば、圧電)技術、又はこれらの組合せも有用である。
【0022】
一実施形態では、レンズアクチュエータは、流体流れの方向を制御する界面動電ポンプを備える。界面動電ポンプは、電圧を印加することによって流れの方向を制御する。一実施形態では、界面動電ポンプは、電気浸透ポンプを備える。また、流体流れを制御することができる他のタイプのアクチュエータも有用である。例えば、他の実施形態では、印加された電圧に依存して形を変える電気機械レンズアクチュエータを使用して、流体流れを制御することができる。また、流体流れの方向を変える他の技術又は技術の組合せも有用である。
【0023】
一実施形態では、アクチュエータを制御するために、制御ユニットが設けられる。一実施形態では、制御ユニットは、電極に接続されて、電極に印加される電圧を制御してアクチュエータに対する電界を調節する。その結果、制御ユニットは、レンズの曲率すなわち焦点距離を制御する。制御ユニットは、マイクロレンズチップユニットに一体化することができる。制御ユニットは、例えば、閉ループ/自動焦点又は開ループ制御を有する撮像システムを備える。閉ループ制御すなわち自動焦点では、影像が供給され、撮像システムが、レンズの焦点合せを変える程度を計算する。焦点の合った(鮮明な)影像を自動的に維持するために、撮像システムは、操作信号(電気信号)をマイクロレンズチップユニットに送る。開ループ制御では、手動でレンズの焦点を合わせるように手動制御が組み込まれる。また、開ループ制御と閉ループ制御の両方を有する制御システムを設けることも有用である。
【0024】
一実施形態では、レンズパッケージに流体を充填し、またフラッシングを容易にするために液体注入口及び排出口が設けられる(図示されていない)。また、2以上の液体注入口及び排出口を設けることも有用である。液体注入口及び排出口は、流体チャンネルと連通している。液体注入口及び排出口の位置は、システムの充填及びフラッシングを容易にするように選ばれるべきである。システムのフラッシングは、流体チャンネルに新しい流体を充填することができるようにする。一実施形態では、液体注入口は、チャンネルの第1の端の近くにあり、一方で、排出口は、チャンネルの第2の端の近くにある。好ましくは、排出口は、レンズアパーチャに近いチャンネルの端の近くにあり、一方で、液体注入口は、タンクのある端の近くにある。また、液体注入口及び排出口をパッケージの異なる位置に位置づけすることも有用である。非封止システムでは、レンズアパーチャは、排出口として作用することができる。
【0025】
流体チャンネルと連通している流体タンク(図示されていない)を設けることができる。流体タンクは、例えば、流体チャンネルの一部、すなわち流体チャンネルと一体化することができる。一実施形態では、流体タンクは、アクチュエータによって向けられた流体の流れを容易にするために使用される。例えば、タンクは、流体が流体チャネル中で第1又は第2の方向に流れることができるようにする空間を提供する。レンズアクチュエータは、一実施形態では、流体タンクとレンズアパーチャの間にある。また、流体タンクを流体チャンネルの他の部分に位置づけすることも有用である。
【0026】
さらに加えて、又は代わりに、流体タンクは、流体チャンネルに充填する流体の追加の貯蔵を行うことできる。このことは、流体がレンズアパーチャを通ってチャンネルから蒸発することができる非封止システムのために特に有用である。
【0027】
図3〜4は、本発明の他の実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の断面図を示す。マイクロレンズチップは、図2に示すマイクロレンズチップに似ている。同様な参照番号は、マイクロレンズチップの同様な部品を指す。図3を参照すると、透明膜343は、少なくともレンズアパーチャを覆って、パッケージの上面に配置されている。レンズアパーチャを含んだパッケージの全表面又は一部、又はレンズアパーチャ239だけを覆う膜を設けることが、また、有用である。この膜は、例えば、ラテックス、シリコンをベースにしたエラストマ、又はフルオロポリマエラストマを備える。また、他の透明弾性材料も有用である。
【0028】
流体チャンネル中の流体圧力は、例えば、レンズを操作する。透明膜は、レンズアパーチャを封止し、さらに流体圧力の変化により片寄る。封止システムを実現することによって、マイクロレンズを形成する流体を、損傷又は流体の蒸発から保護することができる。
【0029】
代わりに、図4に示されるように、少なくともレンズアパーチャ239の大きさを覆う面積を密閉して、パッケージの上面に透明なカバー443が設けられる。透明なカバーは、例えば、ガラス、石英又は透明な重合体を備え、これはパッケージに付着される。カバーをパッケージに付着するために、様々な技術を使用することができる。カバーをパッケージに取り付けるために、他の技術だけでなく他の透明材料もまた有用である。
【0030】
図5〜6は、本発明の他の実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の断面図を示す。共通の参照番号は、共通な部品を指す。図5を参照すると、マイクロレンズチップのパッケージ206は、パッケージの長さLに沿った第1の流体チャンネル240を含む。レンズアパーチャ239は、流体チャンネルの第1の端の近くにある。レンズアクチュエータ245が、パッケージ中に流体チャンネルと連通して配置されている。流体タンク558は、流体チャンネルと連通している。好ましくは、アクチュエータは、流体タンクとレンズアパーチャの間にある。一実施形態では、アパーチャ開口に対応する部分のパッケージの下面は、透明である。
【0031】
本発明の一実施形態に従って、レンズカバー590は、パッケージの上面209を内部に封じ込めて、第2の流体チャンネル593を形成する。レンズカバーは、例えば、石英又はガラスなどの透明材料で形成される。また、不透明材料でレンズカバーを形成することも有用である。不透明レンズカバーの場合、開口は、レンズアパーチャに対応する部分に作られ、透明材料又は透明なアパーチャカバーで封止される。
【0032】
一実施形態では、流体チャンネルは、閉ループを作る。例えば、閉ループは、第1の流体チャンネルと第2の流体チャンネルをアクチュエータの両側で結合することによって作られる。一実施形態では、第1及び第2の流体チャンネルは、流体タンクで結合されている。第1の流体チャンネルと第2の流体チャンネルがアクチュエータの両側で連通していない開ループシステムを設けることも、また有用である。
【0033】
一実施形態では、第1の流体チャンネルは第1の透明流体で満たされ、第2の流体チャンネルは第2の透明流体で満たされている。第1及び第2の流体は、互いに非混和性である。レンズを形成する第1の流体は、高い表面張力及び高い屈折率を備えるべきである。第2の流体は、好ましくは、第1の流体と実質的に同じ密度を備える。第2の流体は、また、第1の流体と異なる屈折率を備えるべきである。また、異なる密度及び/又は同じ屈折率を有する流体を設けることも有用である。
【0034】
図6を参照すると、レンズ641は、第1の流体チャンネル中の流体の内圧を変えることによって形成される。例えば、第1の流体がレンズアパーチャの方に向かって(矢印380)流れるようにすることによって、この圧力は上昇する。これによって、結果として、点線641bで示されるように凸状の形を有するレンズになる。レンズの形の変化によって、第2の流体は、第1の流体の反対方向に流れるようになる(矢印381)。
【0035】
第1の流体の流れを逆にすることによって(矢印381)圧力を減少させると、例えば線641aで示されるように、レンズの曲率半径が大きくなる。これによって、第2の流体は、アパーチャの方に向かう方向に(矢印380)流れるようになる。圧力をさらに減少させると、例えば、点線641cで示されるように、凹状レンズができる。
【0036】
他の実施形態では、図7に示すように、パッケージ201は、流体チャンネル240と連通している第1及び第2のレンズアパーチャ239a〜bを含む。一実施形態では、第1及び第2のレンズアパーチャは、パッケージの相対する側にある。例えば、レンズアパーチャは、パッケージの上面及び下面にある。好ましくは、レンズアパーチャは、互いに同心すなわち心合せされている。互いに同心でない、すなわち心合せされていないレンズアパーチャを設けることも、また有用である。第1及び第2のレンズは、レンズアパーチャに形成される。好ましくは、しかし必ずとは限らないが、レンズアパーチャは、同じ形及び大きさを備える。第1及び第2のアパーチャを設けることで、第1及び第2のマイクロレンズを同じアクチュエータで制御することができる。例えば、両凸又は両凹レンズを相対する表面に作ることができる。
【0037】
代わりに、第2の流体チャンネル843は、図8に示すように、1つのレンズアパーチャと連通している。第2の流体チャンネルは、第2の流体を含む役目をする。第1及び第2の流体は、プッシュプル的に動作する(例えば、反対方向に流れる)。レンズアパーチャ(843a〜b)ごとに第2の流体チャンネルを設けること(843a〜b)も、また、有用である。しかし、理解されることであるが、これらの第2の流体チャンネルの流体が同じである必要はない。
【0038】
他の実施形態では、レンズアレイを作るために、封止された及び/又は封止されない複数のレンズアパーチャをパッケージに設けることができる。これらのアパーチャは、単一のアクチュエータで制御することができ、又は各アパーチャをそれ自体のアクチュエータと関連付けることができる。レンズのいくつか又はグループを制御するアクチュエータを設け、一方で、他のものが単一のレンズ又は他のグループのレンズを制御することも、また、有用である。アクチュエータ及びレンズ構成の様々な組合せが、また有用である。その上、レンズアパーチャは、一方又は両方の表面に設けることができる。レンズアパーチャは、封止しなくてもよく、又は既に説明した技術を使用して封止してもよい。
【0039】
例えば、図9に示すように、パッケージは、第1及び第2の隔離された流体チャンネル240a〜bを含む。各流体チャンネルは、それ自体のアクチュエータ(245a又は245b)及びレンズアパーチャ(239a又は239b)と関連付けられている。一実施形態では、レンズアパーチャは、相対する表面にあり、かつ互いに同心すなわち心合せされている。また、同心でないレンズアパーチャを設けることも有用である。レンズアパーチャが同じ大きさ又は形である必要はないが、好ましいことではある。アクチュエータを各レンズアパーチャと関連付けて、レンズの様々な組合せを形成することができる。例えば、一方は凹状であり、他方は凸状であることが可能である。
【0040】
図10〜13は、本発明の異なる実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の上面図を示す。共通の参照番号は、共通の部品を指す。図10を参照すると、マイクロレンズチップのパッケージ206は、パッケージの長さLに沿って流体チャンネル240を含む。レンズアパーチャ239は、流体チャンネルの第1の端の近くにある。電気制御レンズアクチュエータ245は、流体チャンネルと連通して配置されている。
【0041】
一実施形態では、レンズアクチュエータは、少なくとも1つの界面動電ポンプを備える。図示のように、レンズアクチュエータは、流体チャンネルに沿って直列に配列された第1、第2、及び第3の界面動電ポンプ546a−cを備える。並列又は直列と並列の組合せなどの他のポンプ配列も、また、有用である。電界を発生するために、各ポンプに第1及び第2の電極(図示されていない)が設けられる。2以上のポンプを制御する第1及び第2の電極を設けることが、また有用である。例えば、3個のポンプを制御するために、第1及び第2の電極をポンプ配列のそれぞれの端に位置づけすることができる。電界を加えることによって、ポンプは、流体が流体チャンネルで動くようにする。移動方向に依存して、チャンネルの流体圧力を上げるか下げることができる。
【0042】
界面動電ポンプは、例えば、電気浸透ポンプを備える。また、他のタイプ(型)の界面動電ポンプも有用である。電気浸透ポンプは、例えば、Goodson et al. "Electroosmotic Microchannel Cooling System"(米国特許出願公開第2003/0062149号)で説明されている。これは、全ての目的のために参照して本明細書に組み込まれる。電気浸透ポンプ使用の場合、流体チャンネルの流体は、誘電性流体又は極性流体を備える。
【0043】
電気浸透ポンプは、電界を使用して液体−固体界面の近傍の電荷を動かすので、流体チャンネルは、好ましくは、流量及び圧力を増すために非常に大きな表面積と容積の比を有している。一実施形態では、電気浸透ポンプは、液体と接触する表面積を増して電気浸透ポンプ効率を高めるように流体チャンネル中に複数のマイクロチャンネル548を備える。
【0044】
一実施形態では、マイクロチャンネルは、複数の微小構造で実現される。ポンプ効率は、微小構造の数を増やすことによって、高められるかもしれない。また、微小構造のグループを、流体チャンネルの異なる位置に設けて、表面積を増すことができる。各グループは、例えば、ポンプを形成する。また、ポンプを形成するグループを設けることも有用である。マイクロチャンネルの他のタイプの構成又は形状も、また、有用である。その上、焼結された微孔質媒体、多孔質シリカ、ナノ構造化媒体、マイクロチャンネル板構造、多孔質セラミック/重合体材料、又は高い表面積と容積の比を有する他の材料を使用して、ポンプ効率をさらに高くするように流体チャンネルを製作することができる。
【0045】
極性液体が誘電体固体と接触するとき、界面に表面電位が生じる。この帯電した液体−固体界面を横切って電界が加えられるとき、電気浸透が起こる。使用することができる液体には、例えば、水、水溶性緩衝液、有機溶剤の電解質溶液、及び有機溶剤−水混合物がある。他のタイプの液体も、また、使用することができる。
【0046】
図11を参照すると、電気制御レンズアクチュエータは、電気機械レンズアクチュエータ646(例えば、圧電ディスク又はボイスコイル)を備える。ただ1つの電気機械レンズアクチュエータが示されているが、2以上を設けることもまた有用であることは、理解される。圧電ディスクは、例えば、Nguyen et al., "A fully polymeric micropump with piezoelectric actuator", Sensors and Actuators B-Chemical 97 (1):139 - 145, Jan 1 2004、Kim JH et al., "A disposable polydimethylsiloxane-based diffuser micropump actuated by piezoelectric-disc", Microelectronic Engineering 71 (2): 119 - 124, Feb. 2004、及び Nguyen et al., "Miniature valveless pumps based on printed circuit board technique", Sensors and Actuators A 88 (2001) 104 - 111に説明されている。これによって、これら全ては、全ての目的のために参照して組み込まれる。電界を加えることで、電気機械アクチュエータが片寄って、流体チャンネル中の圧力を変える。これが、今度は、チャンネルでの流体の容積の置換(volume displacement)を制御して、レンズアパーチャ239のマイクロレンズを操作する。
【0047】
図12を参照すると、レンズアクチュエータは、異なる型の電気制御アクチュエータを備える。図示のように、レンズアクチュエータは、直列に配列された界面動電ポンプ746a及び電気機械アクチュエータ746bを備える。1つ又は複数の電気機械アクチュエータと直列に1つ又は複数の界面動電ポンプを設けることも、また有用である。さらに理解されることであるが、同じ型のアクチュエータを一グループにする必要はない。代わりに、図13に示すように、レンズアクチュエータ245は、レンズアパーチャ239に対して並列に配列された少なくとも1つの界面動電ポンプ846a及び少なくとも1つの電気機械アクチュエータ846bを備える。また、レンズアクチュエータの他の配列も有用である。
【0048】
マイクロレンズチップは、流体タンク(図示されていない)を備えることができる。その上、マイクロレンズチップの流体システムに充填するために、少なくとも1つの液体注入口(図示されていない)が設けられる。また、システムのフラッシングを容易にするために、排出口(図示されていない)をさらに設けることができる。
【0049】
一実施形態では、パッケージ206は、下部及び上部を備える。上部はアパーチャ開口239を備え、一方で、下部は流体チャンネル240を備える。一実施形態では、上部は、マイクロレンズの形成を容易にする重合体又は他の材料で形成される。下部は、石英、ガラス又は重合体材料などの透明材料を備える。また、不透明材料で下部分を形成することも有用である。
【0050】
図14a〜bは、本発明の一実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の上面図及び対応する断面図を示す。図示のように、マイクロレンズはパッケージ206を備える。本発明の一実施形態に従って、パッケージは、下部907a及び上部907bを備える。パッケージの上面209を形成する上部は、マイクロレンズが形成されるアパーチャ開口部239を含む。
【0051】
一実施形態では、上部は、疎水性材料で形成される。上部は、例えば、重合体を備える。ポリイミド、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ナイロン、及びテフロンなどの様々なタイプの重合体も、また、有用である。また、ガラス又は石英のような他のタイプの材料も有用である。図3に示すように、レンズアパーチャを覆って上面に薄膜を設けることができる。図4に示すように、レンズアパーチャの上にレンズカバーを設けることも、また、有用である。
【0052】
下部は、レンズアパーチャと連通している流体チャンネル240を含む。一実施形態では、下部は、非導電性材料を備える。好ましくは、非導電性材料は透明である。例えば、下部は、石英で形成することができる。ガラス、ポリジメチルシロキサン(PDMS)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリカーボネート、ナイロン、及びテフロンなどの他のタイプの非導電性透明材料も、また有用である。ポリイミド又はセラミックスなどの不透明材料が、また、下部を形成するのに有用である。
【0053】
流体チャンネルは、一実施形態で、パッケージの長さLに沿って走っている。また、他の構成を有する流体チャンネルを設けることも有用である。流体タンク964は、下部に流体チャンネルと連通して位置づけすることができる。流体タンクを上部に、又は上部と下部の組合せで位置づけすることが、また、有用である。好ましくは、流体タンクは、流体チャンネルのレンズアパーチャと反対側の端、又は端の近くに位置づけされる。また、流体タンクの他の位置も有用である。流体タンクは、マイクロレンズを形成するために流体をチャンネルに供給する。
【0054】
一実施形態では、流体チャンネルと連通している液体注入口960は、レンズパッケージの充填を容易にするように設けられる。一実施形態では、液体注入口は、チャンネルの第1の端の近くにある。液体注入口をパッケージの他の部分に設けることも、また、有用である。また、排出口(図示されていない)は、例えば、システムのフラッシングを容易にするように設けることができる。
【0055】
流体チャンネルは、マイクロレンズを操作するための電気制御レンズアクチュエータ245を備える。他のタイプのレンズアクチュエータも有用である。一実施形態では、レンズアクチュエータは、流体タンクとアパーチャ開口部の間にある。一実施形態では、レンズアクチュエータは、流体チャンネルに形成されて複数のマイクロチャンネルを作る複数の微小構造548を有する電気浸透ポンプを備える。
【0056】
第1及び第2の電極934a〜bは、例えば、パッケージの上部の内部表面に形成される。代わりに、第1及び第2の電極は、パッケージの下部の内部表面に形成することができる。電極は、流体チャンネルと連通している。電極は、レンズアクチュエータの微小構造で隔てられている。電極にアクセスするために、上部は、電極アクセスウィンドウ923a〜bを作るようにパターン形成されている。一実施形態では、電極は、パラジウムなどの導電性材料を備える。他の型の金属(例えば、白金、金、又はそれらの合金)、導電性重合体、導電性セラミックス、導電性酸化物(例えば、酸化インジウム錫)、イオン液体電極又は重合体電極が、また、有用である。マイクロレンズの焦点合せは、制御ユニット(図示されていない)を使用することによって容易にすることができ、この制御ユニットは、電極に印加される電圧を調節してアクチュエータを制御する。
【0057】
マイクロレンズの製作は、微細加工技術を使用して達成することができる。例えば、レンズアパーチャ、電極ウィンドウ、及び液体注入口開口部などのパッケージ上部の様々な部品は、例えば、標準技術と結合したフォトリソグラフィ及びマイクロマシニングによって形成される。また、アパーチャ及び開口部を形成する他の技術も、有用である。例えば、アパーチャ及び開口部は、レーザ加工又は他の加工技術によって形成することができる。代わりの実施形態では、上部は、成形技術によって形成される。電極は、望み通りに、上部の内部表面に電極層を堆積して形成し、パターン形成することができる。
【0058】
下部の様々な部品(例えば、流体タンク、流体チャンネル、及びポンプ)は、リソグラフィ技術及びエッチング技術を使用して形成することができる。例えば、部品を形成する深い反応性イオンエッチング(DRIE)のために、エッチングマスクとして作用するマスクが使用される。下部は、また、標準的な成形技術又は加工技術を使用して形成することができる。上部及び下部が形成された後で、パッケージを完成するように上部と下部が付着される。一実施形態では、これらの部分は、酸素プラズマ活性化を使用して付着される。また、融着又は重合体結合などの他の付着プロセスも有用である。
【0059】
図15a〜bは、本発明の他の実施形態に従ったマイクロレンズチップ201の断面図を示す。図15aを参照すると、マイクロレンズチップパッケージ206は、電気機械レンズアクチュエータ245を含む。電気機械レンズアクチュエータは、流体チャンネル240で流体の容積置換を引き起こすことによって、流体チャンネル240の圧力を変える。圧力の変化によって、マイクロレンズがレンズアパーチャ239で操作されるようになる。
【0060】
一実施形態では、流体タンク1246は、流体チャンネルに設けられる。好ましくは、流体タンクは、流体チャンネルの寸法よりも比較的大きい。流体タンクは、例えば、流体チャンネルの一方の端にある。また、流体タンクの他の位置も有用である。一実施形態では、タンクは、楕円形又は円形を備える。他の幾何学的形状も、また、有用である。
【0061】
一実施形態では、レンズアクチュエータは、流体チャンネルと連通したダイアフラム1255を備える。ダイアフラムは、流体チャンネルの表面を覆っている。ダイアフラムは、例えば、パッケージの上面にある。ダイアフラムをパッケージの他の部分に位置づけすることも、また、有用である。ダイアフラムは、レーザエッチング又は成形などのマイクロマシニング技術でパッケージの部分1907a(例えば、下の方の部分又は上の方の部分)の一部として形成することができる。そのような部分は、例えば、流体チャンネルなどのパッケージの他の部分を含む。代わりに、ダイアフラムは、レンズパッケージ又はアクチュエータケース1257の表面に付着することができる。流体チャンネルを封止するように他の部分1907bを設けることができる。レンジアパーチャは、どちらかの部分に位置づけすることができる。
【0062】
ダイアフラムは、V方向に撓ませて(片寄って)、流体の容積置換を引き起こすことができる。例えば、ダイアフラムを撓ませることによって、流体チャンネル中の液体に圧力が加わる。これが、今度は、チャンネルで流体の容積置換を引き起こし、したがって、レンズを操作する。例えば、正のL方向の流体の容積置換は、負のV方向にダイアフラムを撓ませることによって生じさせることができる。逆に、負のL方向の流体の容積置換は、正のV方向にダイアフラムを撓ませることによって達成することができる。
【0063】
ダイアフラムは、様々なタイプの材料で形成することができる。例えば、ダイアフラムは、ポリエチレン、ポリプロピレン、又はポリイミドのような重合体で形成することができる。メイラー(Maylar)、セラミックス、又は曲げやすい金属などの他のタイプの材料も、また有用である。ダイアフラムの厚さは、ダイアフラムが壊れることなく撓むことができるようにすべきである。
【0064】
一実施形態では、電気機械応力インデューサ1256がダイアフラムと連通して設けられる。応力インデューサに加えられた電界によって、応力インデューサがV方向に拡大するか収縮するようになり、ダイアフラムに誘起される応力を制御する。方向及び大きさ(例えば、拡大又は収縮の量)は、印加される電圧又は電流の大きさ及び極性に依存する。これによって、マイクロレンズを操作するように流体チャンネルで流体の容積置換が有効に生じる。
【0065】
一実施形態では、応力インデューサは、直線ボイスコイルなどのボイスコイルを備える。コイルは、金属(例えば、銅、白金、金又はアルミニウム)の線を備える。また、他のタイプの線も有用である。圧電応力インデューサなどの他のタイプの応力インデューサが、また、有用である。
【0066】
一実施形態では、ケース1257は、電気機械応力インデューサを内部に封入するように設けられる。ケースは、例えば、パッケージの表面に付着される。一実施形態では、ケースは、電気機械応力インデューサの構造上の支持物を実現し、電気機械応力インデューサがダイアフラムに対して応力を作用させることができるようにする。重合体材料又は金属材料などの様々なタイプの材料が、ケースを形成するために使用できる。
【0067】
一実施形態では、ダイアフラムは、固有応力のない状態で形成される。これによって、結果として、比較的平坦なプロファイルを有するダイアフラムになる。応力インデューサによって応力が及ぼされるときに、ダイアフラムは、負の方向に撓む。電界を減少させるか、無くならせたときに、ダイアフラムは、それの自然プロファイルに戻る。
【0068】
他の実施形態では、ダイアフラムは、固有応力のある状態で形成されて、弓形になる。好ましくは、応力によって、ダイアフラムは上向きに弓形に曲がって、凸状の形を形成する。ダイアフラムに固有応力を生じさせるために、応力誘起層を設けること、又はダイアフラムの形成で使用される処理パラメータを変えることなどの様々な技術を使用することができる。電界の無い状態で(例えば、中世位置)、ダイアフラムは、自然に、応力インデューサの方に上向きに弓形に曲がる。応力インデューサに電界を加えることによって、応力インデューサが拡大して、ダイアフラムを負のV方向に撓ませる。ダイアフラムに固有応力を与えることで、凹レンズ又は凸レンズを形成することが容易になる。代わりに、応力インデューサで、ダイアフラムを正及び負のV方向に撓ませて、凹レンズか凸レンズかのどちらかを形成することができる。さらに他の実施形態では、ダイアフラムがそれの自然な位置すなわち正常位置にあるとき、凸レンズが形成される。
【0069】
液体注入口及び排出口は、流体システムの充填及びフラッシングを容易にするように設けることができる。マイクロレンズを保護するために、図4及び5に説明するように、薄い膜又はレンズカバーを設けることができる。同じタイプか異なるタイプかのどちらかの追加のアクチュエータを設けることも、また有用である。
【0070】
図15bを参照すると、マイクロレンズパッケージ206の部分は、第1及び第2の流体チャンネル240a〜bを備える。一実施形態では、第1の流体チャンネルは、ダイアフラム1255で覆われた流体タンク1246を含む。第1の流体チャンネルと第2の流体チャンネルは、レンズタンクで隔てられている。一実施形態では、流体チャンネル及びダイアフラムは、パッケージの第1の部分(例えば、中央部分)の一部として形成される。ダイアフラム及び/又は流体チャンネルを実現する他の技術も、また有用である。
【0071】
一実施形態では、応力インデューサ1256は、ダイアフラムと連通して設けられる。応力インデューサは、ダイアフラムを撓ませるようにダイアフラムに応力を作用させ、それによって、流体チャンネルの容積を変える。一実施形態では、応力インデューサ1256は、ダイアフラムと連通して第2の流体チャンネルに位置づけされている。ダイアフラムと連通している部分及び第1の流体チャンネル中の部分などのパッケージの他の部分に応力インデューサを位置づけすることが、また、有用である。応力インデューサは、例えば、ボイスコイルを備える。また、他の型の電気機械応力インデューサも有用である。
【0072】
レンズアパーチャ1239は、パッケージの他の部分で第1及び第2の流体チャンネルと連通している。レンズアパーチャは、好ましくは、チャンネル及びダイアフラムを含む基板の部分に形成される。パッケージの他の部分にレンズアパーチャを形成することも、また有用である。第1の流体チャンネルは第1の液体を備え、第2の流体チャンネルは第2の液体を備える。第1の液体は、例えば、マイクロレンズを形成するのに役立つ。第2の液体で、又は第1の液体か第2の液体かのどちらかでマイクロレンズを形成することも、また有用である。
【0073】
チャンネルの流体は、プッシュプル配列で動作する。例えば、第1のチャンネルの流体が正のL方向に移動するときに、第2のチャンネルの流体は、負のL方向に移動し、また、逆に、第1のチャンネルの流体が負のL方向に移動するときに、第2のチャンネルの流体は正のL方向に移動する。一実施形態では、第1の流体が正のL方向に流れるときに、レンズの曲率半径は大きくなる。逆に、第1の流体が負のL方向に流れるようにすることによって、レンズの曲率半径は減少する。負のL方向の流量に依存して、凹レンズを形成することができる。また、他の構成も有用である。パッケージを形成するようにチャンネルを封止するために、上部及び下部は、例えば、中央部に付着される。
【0074】
他の実施形態では、パッケージは、流体チャンネル及びレンズアパーチャを含む。外部アクチュエータがパッケージに結合されて、アパーチャのマイクロレンズを操作するように流体チャンネルに流体流れを引き起こす。さらに他の実施形態では、第1及び第2の同心のレンズアパーチャがパッケージに設けられる。非同心アパーチャも、また有用である(異なる表面又は同じ表面で)。レンズアパーチャは、外部アクチュエータによって制御される。各レンズアパーチャにそれ自体の流体チャンネル及び外部アクチュエータを設けることも、また、有用である。パッケージの一方の表面又は両方の表面にあり、かつ1つ又は複数のアクチュエータで制御される複数のアパーチャを設けることが、また、有用である。
【0075】
本発明は、様々な実施形態を参照して特に図示し、また説明したが、本発明の趣旨及び範囲から逸脱することなしに本発明に修正及び変更を加えることができることは、当業者は認めるであろう。したがって、本発明の範囲は、上の説明を参照してではなく、その同等物の全範囲と共に添付の特許請求の範囲を参照して決定されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】従来の液体マイクロレンズを示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に従ったマイクロレンズを示す断面図である。
【図3−9】本発明の他の実施形態に従ったマイクロレンズを示す断面図である。
【図10−13】本発明の様々な実施形態に従ったアクチュエータを示す上面図である。
【図14a−b】本発明の一実施形態に従ったマイクロレンズを示す上面図及び断面図である。
【図15a−b】様々な実施形態に従ったマイクロレンズを示す断面図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
マイクロレンズパッケージと、
前記マイクロレンズパッケージの第1の表面のレンズアパーチャと、
前記マイクロレンズパッケージ中に配置された流体チャンネルであって、前記レンズアパーチャと連通している流体チャンネルと、
前記流体チャンネルと連通して前記マイクロレンズパッケージに一体化されたアクチュエータと、を備える可変焦点マイクロレンズであって、前記アクチュエータが、レンズ流体で充填されたときの前記流体チャンネル中の流体流れを制御することによって、前記レンズアパーチャのマイクロレンズを操作する、可変焦点マイクロレンズ。
【請求項2】
レンズアパーチャが、円形又は長方形を含む任意の幾何学的形状である、請求項1に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項3】
液体レンズが、再生可能な液体レンズを備える、請求項1に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項4】
レンズアパーチャが、円形又は長方形を含む任意の幾何学的形状である、請求項3に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項5】
レンズアパーチャを覆う保護膜又はレンズカバーをさらに備える、請求項1に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項6】
レンズアパーチャが、円形又は長方形を含む任意の幾何学的形状である、請求項5に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項7】
液体レンズが、再生可能な液体レンズを備える、請求項5に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項8】
レンズアパーチャが、円形又は長方形を含む任意の幾何学的形状である、請求項7に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項9】
アクチュエータが、電気制御アクチュエータを備える、請求項1から8のいずれかに記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項10】
アクチュエータが、界面動電ポンプを備える、請求項9に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項11】
電気制御アクチュエータが、電気浸透ポンプを備える、請求項9に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項12】
アクチュエータが、流体チャンネルで流体の容積置換を引き起こすことによって、前記流体の流れを制御する、請求項9に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項13】
電気制御アクチュエータが、電気制御電気機械アクチュエータを備え、前記電気制御電気機械アクチュエータが、
流体チャンネルと連通している流体タンクと、
前記流体タンクを覆うダイアフラムと、
前記ダイアフラムと連通している電気制御応力インデューサと、を含み、前記電気制御応力インデューサが、レンズ操作のために前記流体チャンネルの圧力を制御するように前記ダイアフラムを撓ませる、請求項12に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項14】
電気制御応力インデューサが、ボイスコイル、マイクロスピーカ、又は圧電応力インデューサを備える、請求項13に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項15】
アクチュエータが、流体チャンネルの容積を変えることによって流体の流れを制御する、請求項1から8のいずれかに記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項16】
電気制御アクチュエータが、電気制御電気機械アクチュエータを備え、前記電気制御電気機械アクチュエータが、
流体チャンネルと連通している流体タンクと、
前記流体タンクを覆うダイアフラムと、
前記ダイアフラムと連通している電気制御応力インデューサと、を含み、前記電気制御応力インデューサが、レンズ操作のために前記流体チャンネルの圧力を制御するように前記ダイアフラムを撓ませる、請求項15に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項17】
電気制御応力インデューサが、ボイスコイル、マイクロスピーカ、又は圧電応力インデューサを備える、請求項16に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項18】
アクチュエータが、レンズアパーチャの液体マイクロレンズに流れ込む流体の量を制御することによって、前記レンズを操作する、請求項1から8のいずれかに記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項19】
レンズアパーチャと連通している第2の流体チャンネルをさらに備え、前記第2の流体チャンネルが第2の流体を含むのに役立つ、請求項1から8のいずれかに記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項20】
第2の流体チャンネル及び流体チャンネルが閉ループを形成する、請求項19に記載の可変焦点マイクロレンズ。
【請求項21】
第1及び第2の主表面を有するマイクロレンズパッケージと、
前記第1の表面の第1のレンズアパーチャと、
前記第2の表面の第2のレンズアパーチャと、
前記マイクロレンズパッケージ中に配置された第1の流体チャンネルであって、前記第1のレンズアパーチャと連通している第1の流体チャンネルと、
前記マイクロレンズパッケージ中に配置された第2の流体チャンネルであって、前記第2のレンズアパーチャと連通している第2の流体チャンネルと、
前記第1の流体チャンネルと連通して前記マイクロレンズパッケージに一体化された第1のアクチュエータであって、第1のレンズ流体で充填されたときの前記第1の流体チャンネル中の流体流れを制御して、前記第1のレンズアパーチャの第1のマイクロレンズを操作する第1のアクチュエータと、
前記第2の流体チャンネルと連通して前記マイクロレンズパッケージに一体化された第2のアクチュエータであって、第2のレンズ流体で充填されたときの前記第2の流体チャンネル中の流体流れを制御して、前記第2のレンズアパーチャの第2のマイクロレンズを操作する第2のアクチュエータと、を備える可変焦点マイクロレンズ。
【請求項22】
液体レンズの焦点を合わせる方法であって、
マイクロレンズパッケージの表面のレンズアパーチャと連通した、レンズ流体を含む流体チャンネルを、前記マイクロレンズパッケージ中に設けるステップと、
前記マイクロレンズパッケージに一体化された電気制御アクチュエータを設けるステップであって、前記アクチュエータが前記流体チャンネルと連通しているものであるステップと、
前記アクチュエータに電圧又は電流を加えて、前記レンズアパーチャの前記液体レンズを操作するように前記流体チャンネルの流体圧力を制御するステップと、を含む方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14a】
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【図14b】
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【図15a】
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【図15b】
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【公表番号】特表2008−507724(P2008−507724A)
【公表日】平成20年3月13日(2008.3.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522467(P2007−522467)
【出願日】平成16年7月20日(2004.7.20)
【国際出願番号】PCT/SG2004/000217
【国際公開番号】WO2006/009514
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.テフロン
【出願人】(506425505)エージェンシー フォー サイエンス,テクノロジー アンド リサーチ (21)
【氏名又は名称原語表記】AGENCY FOR SCIENCE, TECHNOLOGY AND RESEARCH
【住所又は居所原語表記】20 Biopolis Way #07−01, Centros, Singapore 138668, Singapore
【Fターム(参考)】