説明

可変開口を利用したイオン注入方法と注入機

【課題】可変開口を利用したイオン注入方法とイオン注入機を提供する。
【解決手段】イオンビームの形状を変化させ、特に、基板付近で、イオンビームの最終形状を変化させ、その後、成形後のイオンビームにより、基板に対しイオン注入を実行する可変開口を有する開口調整装置を提供する。よって、基板の異なる部分、又は、異なる基板は、複数の固定開口を使用しない、又は、毎回、イオンビームを再調整しない情況下で、それぞれ、異なる成形後のイオンビームにより、イオン注入を実行する。つまり、高コストで、複雑な操作なしでも、それぞれ、特製のイオンビームにより、異なるイオン注入を実行する目的を達成することができる。この他、公知技術と比較すると、可変開口の調整は、機械操作により容易に達成されるので、イオンビーム調整プロセスが加速されて、イオン注入を実行する特定のイオンビームのイオンビーム調整プロセスが達成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板にイオン注入を実行する注入方法(IMPLANT METHOD)とイオン注入機(IMPLANTER)に関するものであって、特に、一つの基板のすぐ前に位置する可変開口(VARIABLE APERTURE)により、イオンビームの形状を変化させて、それぞれ、異なる特製のイオンビーム(CUSTOMIZED ION BEAM)により、少なくとも一つの基板の異なる部分にイオン注入を実行する方法とイオン注入機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、図1Aで示されるように、一台の注入機は、少なくとも一つのイオン源 101(ION SOURCE)と解析磁石 102(ANALYSIS MAGNET)を含む。イオンビーム 103 は、イオン源 101 により生成され、その後、解析磁石 102 により解析され、不要な電荷質量比(CHARGE-MASS RATIO)を有するイオンを選別する。その後、イオンビーム 103 により、基板 104 (ウェハ、又は、パネル等)にイオン注入を実行する。解析磁石 102から出力されるイオンビーム 103の品質は、通常、効果的に基板104にイオン注入をするには十分とは言えない。例えば、イオンビーム 103の横断面上のイオンビーム電流分布は波状(UNDULANT)、又は、ロングテール(LONG TAIL)を有する。追加のステップ/装置を用いて、基板104中に注入されたイオン(又は、原子、及び/又は、分子)の分布状態を改善しない場合、基板104上で実行されるイオンビーム103のイオン注入は、不均一になる。例えば、特定のビーム電流(BEAM CURRENT)、及び/又は、エネルギー範囲(ENERGY RANGE)の特定の種類(SPECIES)のイオンビーム 103中、ビーム形状、サイズ、又は、横断面は、往々にして、規格要求(SPEC REQUIREMENTS)に符合しない。よって、基板104上の少なくとも一つのドーズ領域(DOSE REGION)へのドーズ分布制御は、最適ではなくなる。例えば、ドーズ分割(DOSE SPLIT)、又は、不均一なイオン注入のために、基板104の異なる部分は、異なるドーズ(DOSE)を必要とする。よって、固定のイオンビーム 103の品質が単一のドーズ領域に適していても、異なる部分に対し、異なるイオン注入を実行して、この固定のイオンビーム 103を用いて、異なるドーズを提供する必要がある。注意すべきことは、上述の問題は常用のスポットイオンビーム(SPOT ION BEAM)とリボンイオンビーム(RIBBON ION BEAM)の二種のタイプのビームに適用できることである。
【0003】
図1Bで示されるように、公知技術は、磁石アセンブリ(MAGNET ASSEMBLY) 105 により、解析磁石 102と基板 104との間に位置するビーム103を変形(DEFORMING)、コリメート(COLLIMATING)、及び/又は、偏向(DEFLECTING)する磁石ユニットを更に増加することにより、これらの問題を改善している。磁石アセンブリ 105は、通常、少なくとも一つの磁石を有し、各磁石は、均一な、又は、不均一な磁界(MAGNETIC FIELD)を提供する。しかし、磁石アセンブリ 105 の詳細構造は限定されない。ここで、磁石アセンブリ 105は、例えば、イオンビーム 103の軌道周辺に位置し、磁石アセンブリ 105により生成された磁界により、直接、イオンビーム 103 の各イオンの動きが修正される。よって、磁石に供給される電流を調整する、又は、異なる磁石間の相対幾何的な関係を調整すること等により、磁石アセンブリ 105の操作を適切に調整して、イオンビーム 103 は対応して修正され、その後、イオンビーム 103の基板 104上の投影領域は、それに応じて調整される。しかし、磁石アセンブリ 105 のコストは高く、磁界の精確な調整が困難で、磁界によりイオンビームを修正するプロセスは複雑で、時間がかかる。
【0004】
図示されない別の公知技術は、イオン源 101、及び/又は、解析磁石 102の操作を調整することにより、これらの問題を改善し、解析磁石 102から出力されるイオンビーム 103がしっかりと修正される。しかし、この種の方法はコストが高く、操作が複雑で、また、イオンビーム 103 の調整場所にも制限を受ける。図示されないもう一つの公知技術は、例えば、スキャン経路ピッチ(SCAN PATH PITCH)とスキャン速度(SCAN SPEED)等のスキャンパラメータを調整することにより、これらの問題を改善し、同じイオンビーム 103により、それぞれ、異なるイオン注入を達成する。同様に、この種の方法は、コストが高く、操作が複雑で、スキャンパラメータの調整場所も制限を受ける。
【0005】
図1Cで示されるように、更に別の公知技術で、まず、固定開口(FIXED APERTURE)107を有する開口調整装置(APERTURE DEVICE)106を用いて、イオンビーム103の形状を変化させ、その後、成形後のイオンビーム103により、基板104にイオン注入を実行する。合理的に、この公知技術は、イオンビーム 103自身のいかなる最初のパラメータを修正することなしに、適当に固定開口107を選択することにより、イオンビーム103の形状を変化させることができる。つまり、この公知技術は、磁界/電界により、解析磁石 102 から出力されるイオンビーム103を更に修正する必要がなく、イオン源 101、及び/又は、解析磁石 102の操作を調整する必要もない。しかし、固定開口は、イオンビーム 103の形状を変化させることだけができ、イオンビーム 103、例えば、イオンビーム 103の横断面上のイオンビーム電流分布を調整することができない。よって、図1Dで示される別の公知技術は、磁石ユニットの一端、及び、基板 104のすぐ前に、開口調整装置106内の固定開口 107 を定位させる。よって、イオンビーム 103が磁石ユニットにより修正された後、イオンビーム 103 は、更に、固定開口 107により再び、形状が変化されて、イオンビーム103の基板104上の投影領域の形状をよくする。つまり、固定開口 107を用いる時、磁石ユニットによりイオンビーム 103に提供される調整は、開口を用いないときほど厳格ではない。しかし、二つの公知技術の主な欠点は、フレキシブル性に欠けることである。固定開口 107 の形状とサイズは固定で、成形後のイオンビーム 103 に対する調整は制限を受け、イオンビーム 103に垂直な方向に、開口調整装置106をシフトすることにより、及び/又は、一つの傾斜機構(TILT MECHANISM)、又は、ねじれ機構(TWIST MECHANISM)により、開口調整装置106とイオンビーム 103の交差箇所で、3次元空間中の別の方向へ、開口調整装置106を回転させることにより、イオンビーム 103と固定開口 107間の重複部分を変化させることができても、可能な調整変化には限りがある。
【0006】
よって、異なる固定開口107を有する複数の開口調整装置106が必要で、よって、少なくとも一つの基板 104 上で、イオン注入を実行する時、複数の開口調整装置106を置換するために、何度も中断しないと、異なる固定開口を用いて、異なるイオン注入をすることができない。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
上述の問題を解決するため、本発明は、イオン注入方法とイオン注入機を提供し、まず、イオンビームの形状を変化させ、その後、成形後のイオンビームにより、基板にイオン注入を実行する。ここで、可変開口を有する開口調整装置を利用して、イオンビームの形状を変化させ、可変開口により、イオンビームの形状、及び/又は、サイズが制限、及び、修正される。これにより、可変開口を簡単に調整するだけで、更に、シフト、傾斜、及び/又は、ねじることにより、それぞれ、異なる成形後のイオンビームを提供することができる。つまり、提案された可変開口のフレキシブル性が非常に高い。
【課題を解決するための手段】
【0008】
提案された可変開口のある潜在用途は、基板のイオン注入の最適化に関連する。ここで、可変開口がフレキシブルに調整されて、成形後のイオンビームの基板上の投影領域のサイズと形状、更には、成形後のイオンビームの品質が最適化される。例えば、可変開口はフレキシブルに調整されて、イオンビームを再調整しない、又は、イオンビームを調整するのに用いられるハードウェアを置換しない状況下で、異なる成形後のイオンビームにより、異なるドーズ領域にイオン注入を実行する。本発明の別の潜在用途は、イオンビームの横断面上のイオンビーム電流分布に従って、可変開口をフレキシブルに調整し、イオンビームの所望の部分(DESIRED PORTION)だけにより、基板にイオン注入を実行する。ここで、所望の部分は、定値状(CONSTANT-VALUE-LIKE)の中央部分、又は、ガウス分布状(GAUSSIAN-DISTRIBUTION-LIKE)の中央部分である。例えば、イオンビームがロングテールを有する(例えば、その横断面上に、ロングテールを有する)時、フレキシブルに可変開口を調整し、適切に、ロングテールを切断して、基板上のイオン注入の制御は、ロングテールにより影響を受けない。提案された可変開口の別の潜在用途は、可変開口をフレキシブルに調整して、ドーズ領域の必要用量、ドーズ領域の形状、及び、ドーズ領域のサイズの少なくとも一つに従って、基板上の各ドーズ領域にイオン注入を実行するのに用いられるイオンビームの形状を変化させる。この他、潜在用途は、更に、ドーズ分割特徴を有するウェハに適し、それは、可変開口を調整するだけで、効果的に、同一ウェハ上の異なるドーズ領域にイオン注入するのに必要とされる異なる成形後のイオンビームを得ることができるからである。本発明の更なる潜在用途は、異なるイオンビームを提供して、少なくとも一つの基板で異なるイオン注入を達成するビーム調整プロセスを加速する。まず、イオン源により生成されるイオンビームは、磁石ユニット(解析磁石と磁石アセンブリ等)により修正され、イオンビームの横断面の少なくとも特定部分は十分な品質を有する。その後、イオンビーム自身の最初のパラメータを修正することなく、可変開口をフレキシブルに調整することにより、イオンビームの特定の部分は、それぞれ、形状が調整されて、必要な異なるイオンビームを形成する。
【0009】
本発明の一つの実施例は、基板にイオン注入を実行する方法を提供する。まず、イオンビームと基板が提供される。その後、開口調整装置内の可変開口を調整し、可変開口により形状が調整された成形後のイオンビームにより、基板にイオン注入を実行する。ここで、可変開口のサイズと形状の少なくとも一つは調整可能である。効率向上のために、開口調整装置内の可変開口は、磁石ユニットの一端と基板のすぐ前に定位される。よって、磁石ユニットにより、イオンビームの横断面上の電流分布を調整してから、可変開口を調整するだけで、磁石ユニット上での調整なしに、簡単にイオンビームの形状を変化させることができる。又は、基板にイオン注入を実行後、別の基板にイオン注入する前、可変開口が調整されて、異なる成形後のイオンビームにより、異なる基板にイオン注入が実行される。この他、基板に一回イオン注入する期間中、可変開口が少なくとも二回調整されて、異なる成形後のイオンビームにより、基板の異なる部分にイオン注入が実行される。
【0010】
本発明の別の実施例は、基板にイオン注入する方法を提供する。まず、イオンビームと基板が提供される。その後、開口調整装置内の可変開口のサイズと形状の少なくとも一つにフレキシブルに調整を実行して、可変開口によりイオンビームの形状を変化させ、成形後のイオンビームにより、基板にイオン注入を実行する。ここで、効率向上のために、開口調整装置内の可変開口は、磁石ユニットの一端と基板のすぐ前に定位される。よって、イオンビームの横断面上の電流分布が磁石ユニットにより調節された後、可変開口を調節するだけで、簡単にイオンビームの形状を変化させることができ、磁石ユニット上で更に調節しなくてもよい。又は、基板にイオン注入を実行後、異なる基板にイオン注入を実行する前、可変開口が調整されて、異なる基板は、異なる成形後のイオンビームによりイオン注入される。この他、基板に一回イオン注入する期間中、可変開口は、少なくとも二回調整されて、基板の異なる部分は、異なる成形後のイオンビームによりイオン注入される。
【0011】
注意すべきことは、本発明は、可変開口を有する開口調整装置の機械設計に限定されないことである。例えば、本発明は、それぞれ、開口を有する可動プレート(MOVABLE PLATE)を組み合わせてなるか、又は、開口を有する固定プレート(FIXED PLATE)、及び、いかなる開口も具備しない可動プレートを組み合わせてなる。
【発明の効果】
【0012】
可変開口のフレキシブル性が非常に高い。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1A】公知のイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図1B】公知のイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図1C】公知のイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図1D】公知のイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図2A】本発明の二つの実施例によるイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図2B】本発明の二つの実施例によるイオン注入機の実際の機構を示す図である。
【図2C】公知の固定開口の運用に基づき、どのように異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図である。
【図2D】公知の固定開口の運用に基づき、どのように異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図である。
【図2E】公知の固定開口の運用に基づき、どのように異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図に対応するフローチャートである。
【図2F】本発明の実施例による、どのようにして、異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図ある。
【図2G】本発明の実施例による、どのようにして、異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図である。
【図2H】本発明の実施例による、どのようにして、異なる成形後のイオンビームを生成するかを示す図に対応するフローチャートである。
【図3A】本発明の実施例によるイオン注入方法を示す図である。
【図3B】本発明の実施例によるイオン注入方法を示す図である。
【図4A】本発明の実施例による、イオンビームの実際のイオンビーム電流分布がどのように一つの基板にイオン注入を実行するかを示す図である。
【図4B】本発明の実施例による、イオンビームの実際のイオンビーム電流分布がどのように一つの基板にイオン注入を実行するかを示す図である。
【図4C】本発明の実施例による、イオンビームの実際のイオンビーム電流分布がどのように一つの基板にイオン注入を実行するかを示す図である。
【図5】本発明の実施例による、ドーズ分割の情況がどのように適当に達成されるかを示す図である。
【図6A】本発明の実施例による、どのようにしてビーム調整プロセスが加速されるかを示す図である。
【図6B】本発明の実施例による、どのようにしてビーム調整プロセスが加速されるかを示す図である。
【図6C】本発明の実施例による、どのようにしてビーム調整プロセスが加速されるかを示す図である。
【図6D】本発明の実施例による、どのようにしてビーム調整プロセスが加速されるかを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
図2A は、本発明の一つの実施例によるイオン注入機の基本構造を示す図である。ここで、イオン源 201はイオンビーム 203を生成し、解析磁石 202 は、不要な電荷質量比を有するイオンをイオンビーム 203から選別する。イオン源 201と解析磁石 202両者は、イオンビーム生成アセンブリと見なされる。基板 204 にイオン注入される前、まず、開口調整装置206内の可変開口 207によりイオンビーム 203は形状が変化されて、基板 204 (ウェハとパネル等)にイオン注入を実行するイオンビーム 203の形状とサイズの少なくとも一つは、解析磁石 202から出力されるイオンビーム 203の形状とサイズと異なる。図2A と 図1Cを比較して分かるように、本発明の実施例の主要な特徴は、可変開口 207である。公知技術中、固定開口 107 の形状とサイズは共に固定で、成形後のイオンビーム 103の横断面も固定の形状とサイズを有する。対照的に、実施例中、可変開口 207 の形状とサイズはある範囲内で可変である。よって、成形後のイオンビーム 203の横断面の形状とサイズもこの範囲内で可変である。ここで、可変開口 207 の形状とサイズは特別に限定されない。例えば、可変開口 207の形状は、卵形、楕円形、円形、又は、成形後のイオンビームのイオンビーム電流分布を確実に滑らかにすることができるその他の形状である。この他、必要なイオンビームを獲得する効率を向上するため、図2Bの実施例のように、開口調整装置206中の可変開口 207 は、基板 204のすぐ前と磁石ユニット (解析磁石 202 と 磁石アセンブリ 205の組み合わせ等)の一端に定位される。ここで、磁石ユニットは既知のものであるので、詳細は省略する。この他、開口調整装置206は、傾斜機構、及び/又は、ねじれ機構により、イオンビーム 203との交差箇所で、イオンビーム 203に垂直な方向にそってシフトするか、及び/又は、3次元空間の別の方向へ回転し、イオンビーム 203 と可変開口 207間の重複の部分を更に変化させ、これにより、成形後のイオンビームの調整空間が増加する。注意すべきことは、開口調整装置206のシフト/傾斜/ねじれ機構は、公知技術中のシフト/傾斜/ねじれ機構と同じなので、関連する詳細構造は省略する。
【0015】
図2Cから図2E は、どのようにして、図1C と 図1Dで示される公知の固定開口を用いて、異なる成形後のイオンビームにより、異なるドーズ領域にイオン注入するかを示す図で、図2Fから図2H は、どのようにして、提案された可変開口を用い、異なる成形後のイオンビームにより、異なるドーズ領域にイオン注入するかを示す図である。図2C と図2Dで示されるように、異なる固定開口 1071/1072を有する異なる開口調整装置1061/1062が、それぞれ用いられて、同じイオンビーム 203の形状を変化させ、異なる成形後のイオンビームを形成して、それぞれ、異なるドーズ領域、例えば、基板 104の異なる部分にイオン注入を実行する。対応する方法は図2Eで示される。ここで、重要段階は、第一固定開口と異なる第二固定開口を有する第二開口調整装置により、第一固定開口を有する第一開口調整装置を置換するブロック212である。対照的に、図2F と 図2Gで示される実施例のように、一つの可変開口 207を有する一つの開口調整装置206 が用いられて、同じイオンビーム 203 の形状を変化させ、異なる成形後のイオンビームを形成して、それぞれ、異なるドーズ領域、例えば、基板204の異なる部分にイオン注入を実行する。対応する方法は図2Hで示される。ここで、重要段階は、開口調整装置206 が調整され、可変開口 207のサイズと形状の少なくとも一つが調整されるブロック215である。もちろん、 鍵は、どのようにして、異なる成形後のイオンビームを提供して、異なるドーズ領域にイオン注入を実行するかであり、いかにして、ドーズ領域を分布するかではない。つまり、図2Eから図2H で示される実施例は、異なる基板204 が異なるドーズを有するが、各基板 204は、たった一つのドーズ領域を有する範例をカバーするまで拡張できる。
【0016】
また、提案された可変開口が用いられて、ビーム調整プロセス(BEAM TUNE PROCESS)を加速する。例えば、異なるが類似の成形後のイオンビームは、異なる基板にイオン注入を実行して、異なる基板が、異なる均一のドーズを有するようにすることが必要である。この状況下で、磁石ユニットを適切に調整することにより、最初のイオンビーム(ORIGINAL ION BEAM)が得られた後、繰り返し可変開口を調整することにより、それぞれ、異なる形状のイオンビームが得られる。最初に、可変開口は、第一形状と第一サイズを有するように設定されて、可変開口を用いて、最初のイオンビームの形状を変化させることにより、第一成形後イオンビームが形成される。その後、第一ドーズを有するある基板に全てイオン注入が実行された後、可変開口が調整されて、第二形状と第二サイズを有し、調整後の可変開口を調整することにより、同一の最初のイオンビームの形状を変化させることにより、第二成形後のイオンビームが生成される。上述のステップを繰り返すことにより、異なるドーズを有する異なる基板は、可変開口を調整するだけで、それぞれ、最初のイオンビームの形状を変化させることにより、イオン注入が実行される。つまり、異なるドーズを有する異なる基板にイオン注入を実行するために、磁石ユニット、イオン源に調整を繰り返して、異なるイオンビームを提供する必要がない。また、異なるドーズを有する異なる基板にイオン注入を実行する期間、可変開口を有する開口調整装置を交換する必要がない。従って、ビーム調整プロセスが加速され、このビーム調整プロセスは、上述の公知技術中で用いられるその他のビーム調整プロセスより速い。
【0017】
明らかなのは、同じ成形後のイオンビームの調整範囲に到達するため、それぞれが個々の固定開口 107を有するある開口調整装置106 を、可変開口 207を有する開口調整装置206 に置換し、これにより、ハードウェアの総コストが減少し、成形後のイオンビームを調整するフレキシブル性が増加する。また、開口調整装置206により、可変開口 207 を調整するステップにより、異なる固定開口 107を有する複数の開口調整装置106を置換するステップを置換し、これにより、異なる成形後のイオンビームを提供するのに費やされる時間が減少する。この他、これらの異なる開口調整装置106は、通常、注入機チャンバの外側に格納されて、チャンバサイズを減少させ、異なる開口調整装置106を置換するために、真空通気プロセス(VACUUM VENTING PROCESS)と真空ポンププロセス(VACUUM PUMPING PROCESS)が必要とされる。対照的に、注入機チャンバ内側に位置する開口調整装置206の調整は、真空通気プロセス、又は、真空ポンププロセスなしで達成される。よって、操作が簡単で、汚染(CONTAMINATION)のリスクが減少する。
【0018】
図3A と 図3Bで示されるように、別の実施例は、基板にイオン注入を実行する二種の方法が含まれる。第一実施例中、ブロック 301で示されるように、イオンビームと基板を提供する。ブロック 302で示されるように、開口調整装置内の可変開口を調整して、基板は、可変開口により形状が変化される成形後のイオンビームにより、イオン注入が実行される。この実施例の主な特徴は、可変開口を調整するステップである。第二実施例中、ブロック 303で示されるように、イオンビームと基板を提供する。ブロック 304で示されるように、まず、開口調整装置内の可変開口のサイズと形状の少なくとも一つをフレキシブルに調整して、可変開口によりイオンビームの形状を変化させ、その後、基板は、成形後のイオンビームによりイオン注入が実行される。本実施例の主な特徴は、"可変開口のサイズと形状の少なくとも一つはフレキシブルに調整される"この制限条件である。この他、この二つの実施例にとって、基板へのイオン注入が完成後、別の基板にイオン注入する前、可変開口は再度調整される。よって、異なる基板は、異なる成形後のイオンビームにより、順に、イオン注入される。同様に、二つの実施例中、基板のイオン注入期間、可変開口は、少なくとも二回調整される。よって、基板の異なる部分は、異なる成形後のイオンビームによりイオン注入される。
【0019】
もう一つの実施例は、提案された可変開口の潜在用途である。図4Aで示されるように、イオンビームの横断面の理想のイオンビーム電流分布は対称曲線(SYMMETRIC CURVE)で、滑らかで、非波状部分(SMOOTH AND NON-UNDULANT PORTION)、及び、滑らかで、非波状部分の一端に位置するショートテール(SHORT TAIL)を有する。ここで、ビームプロファール(BEAM PROFILE)の"滑らかで、非波状部分"というのは、スキャンパラメータが調整される時、基板上で、一回以上スキャンされた後、より均一なドーズ分布のことである。しかし、実際の世界では、図4Bで示されるように、イオンビームの横断面の実際のイオンビーム電流分布は非対称である、及び/又は、ロングテールを有する。実際の分布(PRACTICAL DISTRIBUTION)と理想的な分布(IDEAL DISTRIBUTION)間の差異は、通常、イオンビームのサイズに比例し、イオンビーム電流分布の辺縁に分布する。実際の分布と理想的な分布間の差異は時間依存性で、異なる必要なイオンビーム電流とイオンビーム電圧により異なる。これにより、図4Cで示されるように、提案される可変開口 207を有する開口調整装置206 を用いることにより、イオンビームはフレキシブルで、効果的に形状が変化され、成形後のイオンビームの品質は、理想のイオンビーム電流分布と実際のイオンビーム電流分布間の差異にほとんど影響されない。例えば、実際のイオンビーム電流分布がビームプロファールにより検出された後、可変開口はフレキシブルに調整されて、実際のイオンビーム電流分布の必要な滑らかさと非波状部分に対応する特定サイズと特定形状を有する。調整された可変開口を用いて、イオンビームの形状を変化させることにより、実際のイオンビームの所望の部分だけが用いられて、基板にイオン注入を実行する。注意すべきことは、 図4C は理想図で、成形後のイオンビームのサイズと形状が、完全に、調整後の可変開口 207のサイズと形状と等しいことを示すものである。確かに、少なくとも空間電荷効果(SPACE CHARGE EFFECT)により、成形後のイオンビームの基板上の投影領域のサイズと形状は、調整された可変開口 207のサイズと形状と異なる。しかし、可変開口 207は通常、基板に接近して定位するために、可変開口 207の効果は、実質上、劣化されることがない。
【0020】
別の実施例も提案された可変開口の潜在用途を提供する。潜在用途は"ドーズ分割(DOSE SPLIT)"に関連し、特に、同じ基板上の異なるドーズ領域が異なるドーズを必要とする情況に関連する。図5で示されるように、異なるサイズ/形状の二ドーズ領域501/502 は、それぞれ、基板 500上に位置する。その後、可変開口 207を有する開口調整装置206を用いることにより、二つの成形後のイオンビームがそれぞれ用いられて、二つのドーズ領域501/502にイオン注入を実行する。二つのドーズ領域 501/502が異なるドーズを必要とする情況下で、二つの成形後のイオンビームは異なるサイズ (異なる長さ、及び/又は、異なる幅)を有する。疑いなく、異なる成形後のイオンビームが基板 500に対する投影領域は異なるサイズを有し、異なる成形後のイオンビームが同じスキャン速度で、同じスキャン経路に沿って移動しても、異なる成形後のイオンビームの注入面積は異なる。成形後のイオンビームの幅が広くなると、注入面積が大きくなる。これにより、スキャンパラメータの値 (例えば、スキャン経路とスキャン速度) が基板 500に均一に分布しても (少なくともドーズ領域501/502上で均一に分布する)、ドーズ領域501/502 両方がそれぞれ、異なる形状のイオンビームによりスキャンされた後、二つのドーズ領域501/502 は異なるドーズを有する。
【0021】
更に別の実施例は、提案された可変開口の潜在用途を提供する。図5中、各ドーズ領域501/502の形状は簡単、且つ、規則正しい。しかし、時に、ドーズ領域は不規則形状を有する。例えば、前の蒸着プロセス(DEPOSITION PROCESS)の処理が不十分だと、不均一な厚さの蒸着膜(DEPOSITED FILM)が基板上に形成される。注意すべきことは、蒸着膜の品質が原子/分子/イオンの注入により変化する場合、蒸着膜のエッチング速度(ETCHING RATE)は変化することである。よって、不均一注入プロセスが実行されて、後続の均一なエッチング工程が実行される前、蒸着膜の品質が不均一に変化する。ここで、蒸着層の一部の厚さが増加すると、蒸着層のこの部分の注入ドーズが低くなる。これにより、この実施例は一つ重要な長所を有する。イオンビームが基板をスキャンする期間、可変開口の形状/サイズは継続的に調整され、不均一な蒸着膜の異なる部分に対応し、成形後のイオンビームは異なるドーズ領域の形状に適合するように継続的に調整される。
【0022】
更に、図6A から 図6Dで示されるように、別の実施例は、どのようにして、提案された可変開口により、ビーム調整プロセスを加速するかが示される。まず、図6Aで示されるように、最初のイオンビーム 600と可変開口 62を有する開口調整装置61が提供される。ここで、最初のイオンビーム 600 が 解析磁石から出力され、最初のイオンビーム 600の横断面上の最初のイオンビーム電流分布 641はビームプロファール(BEAM PROFILE)により表示される。その後、図6Bで示されるように、イオン源の操作を変化させたとしても、最初のイオンビーム 600は、磁石ユニットの一部である磁石アセンブリ 65により更に修正される。修正されたイオンビーム 601の横断面上で、補正されたイオンビーム電流分布 642が獲得される。ここで、修正されたイオンビーム電流分布 642は、最初のイオンビーム電流分布 641より滑らかで、波状が少なく、実質上、所望の中央部分と中央を包囲するテールを有する。ここで、所望の部分は、一定値状の中央部分、又は、ガウス分布状の中央部分である。修正されたイオンビーム 601の形状とサイズの少なくとも一つは通常、最初のイオンビーム 600と異なる。次に、図6Cで示されるように、開口調整装置61を調整して、可変開口 62を所望の中央部分より小さくするか、等しくする。最後に、図6Dで示されるように、開口調整装置61内の可変開口 62を調整することにより、イオンビーム 601 の形状を変化させることにより、横断面上に好ましいイオンビーム電流分布643を有する成形後のイオンビーム 602が形成され、更に、基板にイオン注入される。従って、提案された可変開口 62を用いることにより、ビーム調整プロセスは二つのステップに簡易化される。最初のステップで、イオンビーム 60 は磁石ユニットにより簡潔に修正されて、少なくとも一つの所望の部分を有する。次のステップで、可変開口 62 がフレキシブルに調整されて、所望の中央部分だけが最終的に基板 66にイオン注入する成形後のイオンビーム 602になる。明らかなのは、磁石ユニットが用いられて、最初のイオンビーム 600 だけを簡単に修正するが、非直接で、最終的な成形後のイオンビーム 602を獲得する時、磁石ユニットの修正が大幅に簡潔になる。磁石ユニットの調整に費やす時間が減少するだけでなく、磁石ユニット調整時に必要な精確性も簡潔化される。この他、固定開口を用いた公知技術と比較すると、可変開口 62は、大きいイオンビーム 600の調整空間をサポートすることができる。よって、複数の固定開口のコストが抑制されるだけでなく、異なる固定開口を置換するステップで費やされる時間と汚染可能性を減少することができる。よって、ビーム調整プロセスは、可変開口の利用により、顕著に加速する。
【0023】
この他、スポットイオンビーム、又は、リボンイオンビームを問わず、提案された可変開口が用いられて、イオンビームの形状をフレキシブルに変化させる。開口調整装置は一部のイオンビームを遮断し、一部のイオンビームが可変開口を通過する。ここで、汚染可能性を回避し、コリジョンにより生じる開口調整装置の高温問題を回避するため、開口調整装置の材料は、通常、グラファイトである。更に、この可変開口を用いたいオン注入の品質を改善するため、イオンビームが基板にまだ投影されていない時、可変開口を調整し、基板は、適当に調整された成形後のイオンビームだけでイオン注入を実行する。つまり、可変開口の調整期間中、イオンビーム、及び/又は、基板の移動 (シフト、傾斜、及び/又は、ねじれ) を停止することができる。例えば、基板がイオンビームが見えない位置にある時、基板が止まり、例えば、イオンビームが変化する、又は、可変開口が調整される時、異なるスキャン経路のスキャン転換点(SCAN TURN AROUND POINT)で基板が停止する。
【0024】
注意すべきことは、磁界、及び/又は、電界は、イオンビームの形状を変化させる、又は、イオンビームの横断面上のイオンビーム電流分布を変化させるにかかわらず、効果的にイオンビームを修正することである。よって、通常は、まず、順に、磁石ユニットを用いて、イオンビームを修正し、その後、開口調整装置内の可変開口を用いて、イオンビームを修正する。しかし、提案された可変開口の潜在用途は、磁石ユニットがいかにしてイオンビームを変化させるかに制限されず、提案された可変開口の特徴は、磁石ユニットの別の部分に制限されない。
【0025】
この他、本発明は、開口調整装置206と可変開口 207の機械設計の詳細を制限しない。例えば、開口調整装置206は、それぞれが開口を有する可動プレートを含む。よって、これらの開口の重複部分は可変開口 207を形成することができ、これらの可動プレート間の相対運動(RELATIVE MOVEMENT)は、重複部分のサイズと形状の少なくとも一つ (即ち、可変開口207のサイズと形状の少なくとも一つ)を調整することができる。例えば、開口調整装置206 は、相対移動できるあるプレートを含み、それぞれ孔を有する固定プレートと可動プレートの組み合わせ、又は、2つは X方向に移動し、別の2つはY方向に移動する4個のプレートの組み合わせである。よって、少なくとも二つのプレート間の相対幾何的関係を変化させることにより、可変開口を定義するか、又は、少なくとも一つのプレートを移動することにより可変開口を定義して、可変開口に調整を実行する。
【0026】
本発明では好ましい実施例を前述の通り開示したが、これらは決して本発明に限定するものではなく、当該技術を熟知する者なら誰でも、本発明の精神と領域を脱しない範囲内で各種の変動や潤色を加えることができ、従って本発明の保護範囲は、特許請求の範囲で指定した内容を基準とする。
【符号の説明】
【0027】
101:イオン源
102:解析磁石
103:イオンビーム
104:基板
105:磁石アセンブリ
106、1061、1062:開口調整装置
107、1071、1072:固定開口
201:イオン源
202:解析磁石
203、600、601、602、60:イオンビーム
204、500、66:基板
205:磁石アセンブリ
206、61:開口調整装置
207、62:可変開口
212、215、301、302、303、304:ブロック
501、502:ドーズ領域
641、642、643:イオンビーム電流分布
65:磁石アセンブリ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
開口調整装置内の可変開口を利用して実行されるイオン注入方法であって、
イオンビームと基板を提供するステップと、
前記可変開口のサイズおよび形状の少なくとも一つをフレキシブルに調整して、前記可変開口により前記イオンビームの形状を変化させて成形して、成形後の成形後イオンビームにより前記基板にイオン注入を実行するイオン注入ステップと
を含むことを特徴とするイオン注入方法。
【請求項2】
更に、
前記可変開口を磁石ユニットの一端と前記基板のイオン注入面との間に定位させるステップ、
前記基板にイオン注入を実行後であって別の基板にイオン注入を実行する前に、前記可変開口を調整して、前記成形後イオンビームと異なる成形後のイオンビームにより、前記別の基板にイオン注入を実行するステップ、及び、
前記イオン注入ステップの期間に、前記可変開口を少なくとも二回調整して、異なる成形後のイオンビームにより、前記基板の異なる部分にイオン注入を実行するステップ
の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1に記載のイオン注入方法。
【請求項3】
更に、前記可変開口を調整する期間、前記イオンビームと前記基板の少なくとも一者の運動を停止するステップを含むことを特徴とする請求項2に記載のイオン注入方法。
【請求項4】
前記可変開口は、
前記基板上のドーズ領域の必要用量、前記ドーズ領域の形状、及び、前記ドーズ領域のサイズの少なくとも一つに従って、前記ドーズ領域にイオン注入を実行するのに用いられる前記イオンビームの形状を変化させるステップ、
異なる成形後のイオンビームにより、前記基板上の異なるドーズ領域にイオン注入を実行するステップ、及び、
前記可変開口による前記イオンビームの形状の変化がなされる前に、前記イオンビームの形状をフレキシブルに変化させて成形して成形後のイオンビームを形成して、異なるイオン注入を達成するステップ
の少なくとも一つを実行することによりフレキシブルに調整されることを特徴とする請求項1から3何れかの一項に記載のイオン注入方法。
【請求項5】
更に、
前記イオンビームに垂直な第一方向へ、前記可変開口をシフトさせるステップ、及び、
傾斜、又は、ねじれ機構により、前記イオンビームと前記可変開口の交差箇所で、3次元空間中の前記第一方向とは異なる第二方向へ、前記可変開口を回転させるステップ
の少なくとも一つを含むことを特徴とする請求項1から4何れかの一項に記載のイオン注入方法。

【図1A】
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【図1B】
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【図1C】
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【図1D】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図2E】
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【図2F】
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【図2G】
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【図2H】
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【図3A】
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【図3B】
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【図4A】
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【図4B】
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【図4C】
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【図5】
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【図6A】
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【図6B】
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【図6C】
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【図6D】
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【公開番号】特開2011−210721(P2011−210721A)
【公開日】平成23年10月20日(2011.10.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61888(P2011−61888)
【出願日】平成23年3月22日(2011.3.22)
【出願人】(506036585)アドバンスト イオン ビーム テクノロジー インコーポレイテッド (4)
【Fターム(参考)】