合成樹脂製ボトル
【課題】ボトル内部の減圧に対応する容量変化が小とされていても、脚部の座屈強度を確実に向上させることができる合成樹脂製ボトルを提供する。
【解決手段】底部４を、脚部６と、胴部３内方乃至胴部３外方に向かって凹凸反転自在の反転傾斜部７と、底部中央部８とにより構成する。脚部６に、周方向に所定間隔を存して複数の凹部１３を設ける。各凹部１３間により複数の下方突出部１４を形成し、下方突出部１４の下端面を接地面９とする。
【解決手段】底部４を、脚部６と、胴部３内方乃至胴部３外方に向かって凹凸反転自在の反転傾斜部７と、底部中央部８とにより構成する。脚部６に、周方向に所定間隔を存して複数の凹部１３を設ける。各凹部１３間により複数の下方突出部１４を形成し、下方突出部１４の下端面を接地面９とする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、口部と、該口部の下方に連設された筒状の胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の合成樹脂製ボトルとして、例えばポリエチレンテレフタレート製のブロー成形ボトル（ＰＥＴボトル）が知られている。
【０００３】
この種のボトルにおいては、キャップにより口部を密封した後に内容物が冷却されると、内容物の体積減少等によりボトル内が減圧状態となり、この影響からボトルの胴部が変形して外観上好ましくない。
【０００４】
そこで、ボトルの底部に、一部を凹凸反転自在とする反転傾斜部を設け、その反転傾斜部を底部の外側に凸出させた状態で液状内容物を充填し、ボトル口部をキャップによって封止した後に反転傾斜部をボトルの内方に凹入させるようにしたものが知られている（特許文献１参照）。反転傾斜部は、ボトルの底部において接地面を有する脚部に包囲された領域に形成され、少なくとも胴部内方に凹入状態では、接地面よりも上方位置に収納されるようになっている。
【０００５】
特許文献１記載のボトルにおいては、ボトル底部の反転傾斜部を外側に凸出させた状態でボトルの内部に液状内容物を充填し、ボトル口部をキャップにより封止する。その後、外側に凸出した状態のボトル底部の反転傾斜部をボトル内部方向に押し上げ凹入する。これによって、ボトル内部の圧力が増加された状態となり、液状内容物が冷却される等により減圧状態となっても、ボトル内部の圧力が相殺されて容器の胴部の減圧変形が生じない。このように、ボトル底部に凹凸反転自在の反転傾斜部を設け、内容物を封止した後に反転傾斜部を反転させるようにすれば、ボトルの減圧変形が防止でき、反転傾斜部により底部を薄肉化されるので、ボトルの材料コストを低減することができる。
【特許文献１】特表２００６−５０１１０９
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、常温に近い飲料を内容物として無菌環境で充填を行う所謂アセプティック充填が採用されるボトルでは、充填された内容物の冷却に伴うボトル内部の体積減少も比較的小さい。このために、反転傾斜部の大きさを小さく形成する等により、反転傾斜部が反転したときのボトル内部の容量変化を小として、比較的小さな体積減少に対応させる必要がある。
【０００７】
しかし、反転傾斜部は、脚部に包囲された領域に形成されるために、反転傾斜部の大きさを小さく形成すると、相対的に脚部の接地面が過剰に大きく（幅広に）なる。通常、脚部は下方に膨出する形状で湾曲して形成されているので、接地面が過剰に大きい場合には、湾曲する曲率も大きくなり、曲率が小さい脚部に比べて、落下時の衝撃等による凹み変形等が生じやすく座屈強度が低下する不都合がある。
【０００８】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ボトル内部の減圧に対応する容量変化が小とされていても、脚部の座屈強度を確実に向上させることができる合成樹脂製ボトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
かかる目的を達成するために、本発明は、口部と、該口部の下方に連設された胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルにおいて、前記底部は、胴部の下端に連設されて接地面を有する脚部と、該脚部に包囲された領域に形成されて胴部内方乃至胴部外方に向かって対称形状に凹凸反転自在に傾斜する二軸延伸された反転傾斜部と、該反転傾斜部に包囲された底部中央部とを備え、前記脚部は、周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部を備え、各凹部間により形成される複数の下方突出部の下端面が接地面とされていることを特徴とする。
【００１０】
本発明の合成樹脂製ボトルによれば、その底部に前記反転傾斜部を備え、所定の押圧力を加えることによって反転傾斜部は胴部の内方と外方とに向かって凹凸反転自在となっている。これによって、反転傾斜部を胴部の外側下方に凸出状態として内容物をボトル内部に充填し、口部にキャップ等を嵌着して封止した後に反転傾斜部を胴部の内側上方に押し上げて凹入反転させるだけで、ボトル内部の容量を減少させることができるので、ボトル内部の減圧状態を容易に解消することができる。
【００１１】
更に、前記反転傾斜部は、二軸延伸されていることにより反転時の強度を十分に高くすることができ、反転傾斜部の亀裂や割れの発生を確実に防止することができる。、
そして、本発明においては、前記脚部に複数の凹部を設けることにより各凹部の間に相対的に突出する複数の下方突出部を設け、各下方突出部の下端面を接地面とするので、アセプティック充填を採用するために反転傾斜部の大きさを小さく形成しても、複数の凹部によって脚部が補強され、脚部の座屈強度を確実に向上させることができる。
【００１２】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形されることを特徴とする。反転傾斜部を胴部の外方に向かってブロー成形することにより、反転傾斜部を十分に延伸させることができる。しかも、反転傾斜部を胴部の外方に突出した状態でブロー成形金型から取り出せば、充填作業に先立って反転傾斜部を胴部の外側下方に突出させる作業が不要となり、充填後に反転傾斜部を胴部の内側に凹入させるだけで冷却による減圧変形を防止することができるので、作業効率を向上させることができる。
【００１３】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形され、ブロー成形後にブロー成形金型内において胴部内方に押圧されて凹入状態に成形されることを特徴とする。これによれば、ブロー成形金型によって胴部外方に向かって突出させた形状にブロー成形され、反転傾斜部を十分に延伸させることができるだけでなく、ボトルをブロー成形金型から取り出すときには、底部の反転傾斜部が胴部内方に凹入されており、ボトルを自立させることができる。これにより、ブロー成形金型から取り出した後に、コンベア等による安定した自立搬送を行うことができる。
【００１４】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、前記胴部の外方に突出した状態のとき、前記脚部の接地面よりも上方位置で該脚部に包囲された内方に収納するようにしてもよい。これにより、前記反転傾斜部が胴部の外方に突出した状態であっても、反転傾斜部が脚部の接地面よりも下方に張り出さず、脚部の接地面によりボトルを自立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明の第１実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図、図２は第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図、図３は第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部の断面説明図、図４はブロー成形工程の一部を模式的に示す説明図、図５は傾斜部の反転作業を示す説明図、図６は第１実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図、図７は図６に示す底部の断面説明図、図８は本発明の第２実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図、図９は第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図、図１０は第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す断面説明図、図１１は第２実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図である。
【００１６】
本発明の第１実施形態に係る合成樹脂製ボトル１は、図１に示すように、口部２と、該口部２の下方に連設された筒状の胴部３と、該胴部３の下部を閉塞する底部４とを備えている。ボトル１は、射出成形されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の図示しないプリフォームから二軸延伸ブロー成形され、これによって、胴部３及び底部４が二軸延伸された状態で形成されている。また、口部２の外周にはキャップ（図示しない）を螺着するための螺着部５が形成されている。
【００１７】
次に、第１実施形態の合成樹脂製ボトル１の底部４について詳しく説明する。底部４は、図２及び図３に示すように、胴部３の下端に連続して形成された脚部６と、該脚部６に包囲された領域に形成された反転傾斜部７と、底部４の中央部に形成された内方突出部８（底部中央部）とを備えている。脚部６は胴部３の下方に向かって突出するように湾曲した形状であり、その下方先端に、ボトル１を自立させるときに接地する接地面９を備えている。
【００１８】
前記反転傾斜部７は、その外周縁（脚部６の内周縁との境界）に外周ヒンジ部１０を備えている。また、前記反転傾斜部７は、その内周縁（内方突出部８の外周縁との境界）に内周ヒンジ部１１を備えている。これにより、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１の屈曲により、胴部３の内方乃至胴部３の外方に向かって対称形状に凹凸反転自在とされている。
【００１９】
反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１と共に、後述するブロー成形時に二軸延伸される。外周ヒンジ部１０は、反転傾斜部７よりも薄肉に形成されており、ボトル１の内方に窪んだ断面視湾曲形状とされている。内周ヒンジ部１１は、反転傾斜部７よりも薄肉に形成されている。これによって、外周ヒンジ部１０と内周ヒンジ部１１とは、ヒンジとしての折り曲げ易さを確保しながら反転傾斜部７の反転動作に対する高い折り曲げ強度を得ている。
【００２０】
内方突出部８は、内周ヒンジ部１１から胴部３の軸線に向かって立ち上がって胴部３の内部に突出し（外側から見て凹入されている）、頂部が略平坦に形成されている。内方突出部８の頂部の中心はボトル１の軸心（即ち、底部４の中心）に略一致している。なお、内方突出部８は、底部４の外径に応じて適宜大きさを選択することができる。
【００２１】
なお、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１を介して反転するようになっているが、突出又は凹入させた後に不用意に戻り方向に反転しないように、反転傾斜部７の面形状、反転傾斜部７の傾斜角度、及び反転傾斜部７の大きさ等が適切に設定されている。また、底部４の反転傾斜部７には、放射状に形成された筋状の複数の窪み部１２が形成されている。窪み部１２を設けておくことにより、反転傾斜部７を反転させるときに反転傾斜部７の不用意な変形が防止でき、また、突出状態や凹入状態からの不用意な反転を防止することができる。なお、窪み部１２の数量や放射角度等は反転傾斜部７の傾斜角度や大きさにより適宜定めれるものであり、場合によっては窪み部１２を設けなくてもよい。
【００２２】
また、前記脚部６には、図２及び図３に示すように、その周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部１３が設けられている。各凹部１３の間には、相対的に下方に突出する複数の下方突出部１４が形成されている。そして、各下方突出部１４の下端面が前記接地面９とされている。脚部６には、複数の凹部１３を設けたことにより、各凹部１３が補強ビードとして作用し、落下等の衝撃を受けても脚部６の不用意な変形が防止でき、座屈強度を向上させることができる。
【００２３】
ボトル１は、図４（ａ）及び（ｂ）に模式的に示すように、ブロー成形金型１５により成形される。該金型１５は、胴部成形部１６と底部成形部１７とストレッチロッド１８とを備えている。ストレッチロッド１８は、その周壁にエアノズル１９を備えている。胴部成形部１６は、胴部３の外形に対応し、底部成形部１７は、脚部６と、反転傾斜部７が胴部３の下方に向かって傾斜した状態の反転傾斜部７（即ち反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態）とに対応している。更に、底部成形部１７における脚部６の成形部分には凹部１３に対応する突起２０が設けられている。また、底部成形部１７の中央部には内方突出部８及び凹入状態の反転傾斜部７に対応する形状の押圧部材２１が設けられている。
【００２４】
ブロー成形金型１５によるボトル１の成形においては、先ず、図示しないプリフォームがブロー成形金型１５に取り付けられ、次いで、図４（ａ）に示すように、ストレッチロッド１８の押し下げ引き伸ばしとエアノズル１９からのエア供給とにより二軸延伸ブロー成形が行われる。これにより、胴部成形部１６と底部成形部１７とに密着するようにして胴部３と底部４とが形成される。このとき、底部成形部１７は、反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態の底部４の形状に対応していることにより、反転傾斜部７と各ヒンジ部１１，１２とが底部成形部１７に沿って確実に二軸延伸される。同時に底部成形部１７により脚部６が成形され、突起２０により凹部１３が成形される。そして、底部成形部１７に沿って底部４が形成されたとき、続いて、図４（ｂ）に示すように、ストレッチロッド１８が上昇し、押圧部材２１が内方突出部８及び反転傾斜部７を胴部３の内方に向かって押し上げる。これにより、反転傾斜部７が底部成形部１７から離反し、ブロー成形金型１５内部において、傾斜部８及び内方突出部８が脚部６の接地面９よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納された状態となる。その後、図示しないが、ブロー成形金型１５が分割され、内部からボトル１が取り出される。
【００２５】
以上のようにブロー成形されてブロー成形金型１５から取り出されたボトル１は、反転傾斜部７と内方突出部８とが脚部６に包囲された内方に収納された状態となっている。これにより、次の工程（例えば、内容物を充填する工程）までのコンベア等によるボトル１の自立搬送を安定して行うことができる。また、脚部６には複数の凹部１３が形成されていることにより、脚部６の不用意な変形を確実に防止することができる。
【００２６】
そして、ボトル１に内容物が充填されるときには、例えば、図示しないプッシャー等により胴部３の内側から押圧力を加えることで反転傾斜部７が押し下げられ、次いで、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出した状態のボトル１に内容物が充填される。続いて、内容物が充填されたボトル１には、その口部２にキャップが嵌着されて封止される。その後、ボトル１内部の内容物の温度低下に伴う減圧時に、図５（ａ）に示すように底部４の下方からアクチベータパンチ２２を内方突出部８の内側に突き当て押圧力を加えて底部４を押し上げる。これにより、反転傾斜部７は、外側ヒンジ部１１及び内周ヒンジ部１１を介して胴部３の内方に向かって反転し、図５（ｂ）に示すように胴部３の内方に凹入される。そして、反転傾斜部７は容易に再反転することなく、また、反転傾斜部７が凹入された分のボトル１の内容量が減少してボトル１の減圧変形が防止される。
【００２７】
なお、第１実施形態においては、図４（ｂ）に示すように、ブロー成形金型１５の内部で底部４の反転傾斜部７が胴部３の内側に凹入された状態に形成する方法を示したが、これに限るものではなく、例えば、押圧部材２１による押し上げを行わずにブロー成形金型１５の内部から反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態のボトル１を取り出してもよい。これによれば、コンベア等によるボトル１の自立搬送ではなく、例えば、口部２を把持する等による搬送を行う必要があるが、プッシャー等により反転傾斜部７を胴部３の内側から押し下げる工程を省略することができ、効率の向上を図ることができる。
【００２８】
また、本発明の第１実施形態の底部４においては図２及び図３に示す形状の凹部１３に替えて、図６及び図７に示す凹部２３を採用してもよい。該凹部２３は、脚部６の外周側に延びて形成されている。これによって、該凹部２３が脚部６に対して広範囲にわたって補強ビードとして作用し、底部４に一層高い座屈強度を付与することができる。
【００２９】
また、第１実施形態においては、反転傾斜部７が断面視平坦に傾斜する例を示したが、それ以外に、図示しないが、反転傾斜部７の傾斜を胴部３の内側に向かって断面視凸形状（即ち、内側に向かって湾曲する形状）とすることもでき、これによって、胴部３の内方に凹入反転した後には胴部３の外方への不用意な突出反転を一層し難くすることができる。
【００３０】
また、第１実施形態においては、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出状態のとき、その一部が接地面９よりも下方に張り出すものを示したが、図示しないが、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出状態のときであっても、接地面９よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納された状態となるような形状に反転傾斜部７を形成してもよい。
【００３１】
次に、本発明の第２実施形態について説明する。第２実施形態に係る合成樹脂製ボトル２４は、図８に示すように、口部２５と、該口部２５の下方に連設された筒状の胴部２６と、該胴部２６の下部を閉塞する底部２７とを備えている。ボトル２４は、射出成形されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の図示しないプリフォームから二軸延伸ブロー成形され、これによって、胴部２６及び底部２７が二軸延伸された状態で形成されている。また、口部２５の外周にはキャップ（図示しない）を螺着するための螺着部２８が形成されている。
【００３２】
第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４の底部２７は、図９及び図１０に示すように、胴部２６の下端に連続して形成された脚部２９と、該脚部２９に包囲された領域に形成された反転傾斜部７と、底部２７の中央部に形成された内方突出部８とを備えている。反転傾斜部７及び内方突出部８は第１実施形態において説明したものと同じ構成を有しており、反転傾斜部７の外周縁と内周縁とには、夫々外周ヒンジ部１０と内周ヒンジ部１１とが備えられている。そして、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１の屈曲により、胴部２６の内方乃至胴部２６の外方に向かって対称形状に凹凸反転自在とされている。
【００３３】
また、反転傾斜部７には、第１実施形態において説明したものと同様に、放射状に形成された筋状の複数の窪み部１２が形成されている。そして、この窪み部１２も、その数量や放射角度等は反転傾斜部７の傾斜角度や大きさにより適宜定めれ、場合によっては設けなくてもよいものである。
【００３４】
また、前記脚部２９には、図９及び図１０に示すように、その周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部３０が設けられ、各凹部３０の間には、相対的に下方に突出する複数の下方突出部３１が形成されている。凹部３０は、図１０に示すように、胴部２６に連続して比較的大きく凹入された形状を有しており、下方突出部３１が比較的大きく下方に延びてその下端に平坦な接地面３２が形成されている。なお、底部２７は、一般に炭酸飲料を内容物とするものに採用される所謂ペタロイド形状と同様な外形を有しているが、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４は、充填される内容物として炭酸飲料に限定されるものではない。また、図示しないが、従来のペタロイド形状の底部を有するボトルは底部の中央部の肉厚が極めて厚く形成されるが、図１０に示すように、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４の底部２７は、二軸延伸されて肉薄の反転傾斜部７を備えることによって材料コストを飛躍的に軽減することができて有利である。
【００３５】
そして、ボトル２４に内容物が充填されるときには、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出した状態で内容物が充填される。続いて、内容物が充填されたボトル２４には、その口部２５にキャップが嵌着されて封止され、ボトル２４内部の内容物の温度低下に伴う減圧時に反転傾斜部７を胴部２６の内側に凹入させる。これにより、反転傾斜部７が凹入された分のボトル２４の内容量が減少してボトル２４の減圧変形が防止される。
【００３６】
そして、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４においても、脚部２９に複数の凹部３０を設けたことにより、脚部２９が各凹部３０によって十分に補強され、落下等の衝撃を受けても脚部２９の不用意な変形を防止して、極めて高い座屈強度を得ることができる。
【００３７】
なお、第２実施形態においては、反転傾斜部７が断面視平坦に傾斜する例を示したが、それ以外に、図１０に仮想線示するように、反転傾斜部７の傾斜を胴部２６の内側に向かって断面視凸形状（即ち、内側に向かって湾曲する形状）とすることもでき、これによって、胴部２６の内方に凹入反転状態とのとき不用意に胴部２６の外方に突出反転し難くすることができる。
【００３８】
また、第２実施形態においては、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出状態のとき、接地面３２よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納さるように形成されたものを示したが、それ以外に、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出状態のとき、その一部が接地面３２よりも下方に張り出すように形成してもよい。この場合には、一例として、図１１に示すように、接地面３２の内側に隣接する外周ヒンジ部１０を介して反転傾斜部７を形成することが挙げられる。
【００３９】
また、ボトル２４を炭酸飲料用として採用することも考えられ、この場合には、反転傾斜部７が胴部２６の内側に凹入した状態で炭酸飲料を充填し、キャップにより封止する。これによれば、内容物である炭酸飲料によりボトル２４の内圧が極度に上昇しても、反転傾斜部７が胴部２６の外側に反転して減圧させることができるので、胴部２６が膨らむような加圧変形を解消することができる。このように、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４によれば、充填する内容物に応じて反転傾斜部７を反転させることができるので、ボトル２４の減圧変形と加圧変形との何れにおいても解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の第１実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図。
【図２】第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図。
【図３】第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部の断面説明図。
【図４】ブロー成形工程の一部を模式的に示す説明図。
【図５】傾斜部の反転作業を示す説明図。
【図６】第１実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図。
【図７】図６に示す底部の断面説明図。
【図８】本発明の第２実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図。
【図９】第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図。
【図１０】第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す断面説明図。
【図１１】第２実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図。
【符号の説明】
【００４１】
１，２４…合成樹脂製ボトル、２，２５…口部、３，２６…胴部、４，２７…底部、６，２９…脚部、７…反転傾斜部、８…内方突出部（底部中央部）、９，３２…接地面、１３，２３，３０…凹部、１４，３１…下方突出部、１５…ブロー成形金型。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、口部と、該口部の下方に連設された筒状の胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルに関する。
【背景技術】
【０００２】
従来、この種の合成樹脂製ボトルとして、例えばポリエチレンテレフタレート製のブロー成形ボトル（ＰＥＴボトル）が知られている。
【０００３】
この種のボトルにおいては、キャップにより口部を密封した後に内容物が冷却されると、内容物の体積減少等によりボトル内が減圧状態となり、この影響からボトルの胴部が変形して外観上好ましくない。
【０００４】
そこで、ボトルの底部に、一部を凹凸反転自在とする反転傾斜部を設け、その反転傾斜部を底部の外側に凸出させた状態で液状内容物を充填し、ボトル口部をキャップによって封止した後に反転傾斜部をボトルの内方に凹入させるようにしたものが知られている（特許文献１参照）。反転傾斜部は、ボトルの底部において接地面を有する脚部に包囲された領域に形成され、少なくとも胴部内方に凹入状態では、接地面よりも上方位置に収納されるようになっている。
【０００５】
特許文献１記載のボトルにおいては、ボトル底部の反転傾斜部を外側に凸出させた状態でボトルの内部に液状内容物を充填し、ボトル口部をキャップにより封止する。その後、外側に凸出した状態のボトル底部の反転傾斜部をボトル内部方向に押し上げ凹入する。これによって、ボトル内部の圧力が増加された状態となり、液状内容物が冷却される等により減圧状態となっても、ボトル内部の圧力が相殺されて容器の胴部の減圧変形が生じない。このように、ボトル底部に凹凸反転自在の反転傾斜部を設け、内容物を封止した後に反転傾斜部を反転させるようにすれば、ボトルの減圧変形が防止でき、反転傾斜部により底部を薄肉化されるので、ボトルの材料コストを低減することができる。
【特許文献１】特表２００６−５０１１０９
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００６】
ところで、常温に近い飲料を内容物として無菌環境で充填を行う所謂アセプティック充填が採用されるボトルでは、充填された内容物の冷却に伴うボトル内部の体積減少も比較的小さい。このために、反転傾斜部の大きさを小さく形成する等により、反転傾斜部が反転したときのボトル内部の容量変化を小として、比較的小さな体積減少に対応させる必要がある。
【０００７】
しかし、反転傾斜部は、脚部に包囲された領域に形成されるために、反転傾斜部の大きさを小さく形成すると、相対的に脚部の接地面が過剰に大きく（幅広に）なる。通常、脚部は下方に膨出する形状で湾曲して形成されているので、接地面が過剰に大きい場合には、湾曲する曲率も大きくなり、曲率が小さい脚部に比べて、落下時の衝撃等による凹み変形等が生じやすく座屈強度が低下する不都合がある。
【０００８】
本発明は、上記の問題点に鑑みてなされたものであり、ボトル内部の減圧に対応する容量変化が小とされていても、脚部の座屈強度を確実に向上させることができる合成樹脂製ボトルを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【０００９】
かかる目的を達成するために、本発明は、口部と、該口部の下方に連設された胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルにおいて、前記底部は、胴部の下端に連設されて接地面を有する脚部と、該脚部に包囲された領域に形成されて胴部内方乃至胴部外方に向かって対称形状に凹凸反転自在に傾斜する二軸延伸された反転傾斜部と、該反転傾斜部に包囲された底部中央部とを備え、前記脚部は、周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部を備え、各凹部間により形成される複数の下方突出部の下端面が接地面とされていることを特徴とする。
【００１０】
本発明の合成樹脂製ボトルによれば、その底部に前記反転傾斜部を備え、所定の押圧力を加えることによって反転傾斜部は胴部の内方と外方とに向かって凹凸反転自在となっている。これによって、反転傾斜部を胴部の外側下方に凸出状態として内容物をボトル内部に充填し、口部にキャップ等を嵌着して封止した後に反転傾斜部を胴部の内側上方に押し上げて凹入反転させるだけで、ボトル内部の容量を減少させることができるので、ボトル内部の減圧状態を容易に解消することができる。
【００１１】
更に、前記反転傾斜部は、二軸延伸されていることにより反転時の強度を十分に高くすることができ、反転傾斜部の亀裂や割れの発生を確実に防止することができる。、
そして、本発明においては、前記脚部に複数の凹部を設けることにより各凹部の間に相対的に突出する複数の下方突出部を設け、各下方突出部の下端面を接地面とするので、アセプティック充填を採用するために反転傾斜部の大きさを小さく形成しても、複数の凹部によって脚部が補強され、脚部の座屈強度を確実に向上させることができる。
【００１２】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形されることを特徴とする。反転傾斜部を胴部の外方に向かってブロー成形することにより、反転傾斜部を十分に延伸させることができる。しかも、反転傾斜部を胴部の外方に突出した状態でブロー成形金型から取り出せば、充填作業に先立って反転傾斜部を胴部の外側下方に突出させる作業が不要となり、充填後に反転傾斜部を胴部の内側に凹入させるだけで冷却による減圧変形を防止することができるので、作業効率を向上させることができる。
【００１３】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形され、ブロー成形後にブロー成形金型内において胴部内方に押圧されて凹入状態に成形されることを特徴とする。これによれば、ブロー成形金型によって胴部外方に向かって突出させた形状にブロー成形され、反転傾斜部を十分に延伸させることができるだけでなく、ボトルをブロー成形金型から取り出すときには、底部の反転傾斜部が胴部内方に凹入されており、ボトルを自立させることができる。これにより、ブロー成形金型から取り出した後に、コンベア等による安定した自立搬送を行うことができる。
【００１４】
また、本発明において、前記反転傾斜部は、前記胴部の外方に突出した状態のとき、前記脚部の接地面よりも上方位置で該脚部に包囲された内方に収納するようにしてもよい。これにより、前記反転傾斜部が胴部の外方に突出した状態であっても、反転傾斜部が脚部の接地面よりも下方に張り出さず、脚部の接地面によりボトルを自立させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。図１は本発明の第１実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図、図２は第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図、図３は第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部の断面説明図、図４はブロー成形工程の一部を模式的に示す説明図、図５は傾斜部の反転作業を示す説明図、図６は第１実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図、図７は図６に示す底部の断面説明図、図８は本発明の第２実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図、図９は第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図、図１０は第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す断面説明図、図１１は第２実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図である。
【００１６】
本発明の第１実施形態に係る合成樹脂製ボトル１は、図１に示すように、口部２と、該口部２の下方に連設された筒状の胴部３と、該胴部３の下部を閉塞する底部４とを備えている。ボトル１は、射出成形されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の図示しないプリフォームから二軸延伸ブロー成形され、これによって、胴部３及び底部４が二軸延伸された状態で形成されている。また、口部２の外周にはキャップ（図示しない）を螺着するための螺着部５が形成されている。
【００１７】
次に、第１実施形態の合成樹脂製ボトル１の底部４について詳しく説明する。底部４は、図２及び図３に示すように、胴部３の下端に連続して形成された脚部６と、該脚部６に包囲された領域に形成された反転傾斜部７と、底部４の中央部に形成された内方突出部８（底部中央部）とを備えている。脚部６は胴部３の下方に向かって突出するように湾曲した形状であり、その下方先端に、ボトル１を自立させるときに接地する接地面９を備えている。
【００１８】
前記反転傾斜部７は、その外周縁（脚部６の内周縁との境界）に外周ヒンジ部１０を備えている。また、前記反転傾斜部７は、その内周縁（内方突出部８の外周縁との境界）に内周ヒンジ部１１を備えている。これにより、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１の屈曲により、胴部３の内方乃至胴部３の外方に向かって対称形状に凹凸反転自在とされている。
【００１９】
反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１と共に、後述するブロー成形時に二軸延伸される。外周ヒンジ部１０は、反転傾斜部７よりも薄肉に形成されており、ボトル１の内方に窪んだ断面視湾曲形状とされている。内周ヒンジ部１１は、反転傾斜部７よりも薄肉に形成されている。これによって、外周ヒンジ部１０と内周ヒンジ部１１とは、ヒンジとしての折り曲げ易さを確保しながら反転傾斜部７の反転動作に対する高い折り曲げ強度を得ている。
【００２０】
内方突出部８は、内周ヒンジ部１１から胴部３の軸線に向かって立ち上がって胴部３の内部に突出し（外側から見て凹入されている）、頂部が略平坦に形成されている。内方突出部８の頂部の中心はボトル１の軸心（即ち、底部４の中心）に略一致している。なお、内方突出部８は、底部４の外径に応じて適宜大きさを選択することができる。
【００２１】
なお、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１を介して反転するようになっているが、突出又は凹入させた後に不用意に戻り方向に反転しないように、反転傾斜部７の面形状、反転傾斜部７の傾斜角度、及び反転傾斜部７の大きさ等が適切に設定されている。また、底部４の反転傾斜部７には、放射状に形成された筋状の複数の窪み部１２が形成されている。窪み部１２を設けておくことにより、反転傾斜部７を反転させるときに反転傾斜部７の不用意な変形が防止でき、また、突出状態や凹入状態からの不用意な反転を防止することができる。なお、窪み部１２の数量や放射角度等は反転傾斜部７の傾斜角度や大きさにより適宜定めれるものであり、場合によっては窪み部１２を設けなくてもよい。
【００２２】
また、前記脚部６には、図２及び図３に示すように、その周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部１３が設けられている。各凹部１３の間には、相対的に下方に突出する複数の下方突出部１４が形成されている。そして、各下方突出部１４の下端面が前記接地面９とされている。脚部６には、複数の凹部１３を設けたことにより、各凹部１３が補強ビードとして作用し、落下等の衝撃を受けても脚部６の不用意な変形が防止でき、座屈強度を向上させることができる。
【００２３】
ボトル１は、図４（ａ）及び（ｂ）に模式的に示すように、ブロー成形金型１５により成形される。該金型１５は、胴部成形部１６と底部成形部１７とストレッチロッド１８とを備えている。ストレッチロッド１８は、その周壁にエアノズル１９を備えている。胴部成形部１６は、胴部３の外形に対応し、底部成形部１７は、脚部６と、反転傾斜部７が胴部３の下方に向かって傾斜した状態の反転傾斜部７（即ち反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態）とに対応している。更に、底部成形部１７における脚部６の成形部分には凹部１３に対応する突起２０が設けられている。また、底部成形部１７の中央部には内方突出部８及び凹入状態の反転傾斜部７に対応する形状の押圧部材２１が設けられている。
【００２４】
ブロー成形金型１５によるボトル１の成形においては、先ず、図示しないプリフォームがブロー成形金型１５に取り付けられ、次いで、図４（ａ）に示すように、ストレッチロッド１８の押し下げ引き伸ばしとエアノズル１９からのエア供給とにより二軸延伸ブロー成形が行われる。これにより、胴部成形部１６と底部成形部１７とに密着するようにして胴部３と底部４とが形成される。このとき、底部成形部１７は、反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態の底部４の形状に対応していることにより、反転傾斜部７と各ヒンジ部１１，１２とが底部成形部１７に沿って確実に二軸延伸される。同時に底部成形部１７により脚部６が成形され、突起２０により凹部１３が成形される。そして、底部成形部１７に沿って底部４が形成されたとき、続いて、図４（ｂ）に示すように、ストレッチロッド１８が上昇し、押圧部材２１が内方突出部８及び反転傾斜部７を胴部３の内方に向かって押し上げる。これにより、反転傾斜部７が底部成形部１７から離反し、ブロー成形金型１５内部において、傾斜部８及び内方突出部８が脚部６の接地面９よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納された状態となる。その後、図示しないが、ブロー成形金型１５が分割され、内部からボトル１が取り出される。
【００２５】
以上のようにブロー成形されてブロー成形金型１５から取り出されたボトル１は、反転傾斜部７と内方突出部８とが脚部６に包囲された内方に収納された状態となっている。これにより、次の工程（例えば、内容物を充填する工程）までのコンベア等によるボトル１の自立搬送を安定して行うことができる。また、脚部６には複数の凹部１３が形成されていることにより、脚部６の不用意な変形を確実に防止することができる。
【００２６】
そして、ボトル１に内容物が充填されるときには、例えば、図示しないプッシャー等により胴部３の内側から押圧力を加えることで反転傾斜部７が押し下げられ、次いで、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出した状態のボトル１に内容物が充填される。続いて、内容物が充填されたボトル１には、その口部２にキャップが嵌着されて封止される。その後、ボトル１内部の内容物の温度低下に伴う減圧時に、図５（ａ）に示すように底部４の下方からアクチベータパンチ２２を内方突出部８の内側に突き当て押圧力を加えて底部４を押し上げる。これにより、反転傾斜部７は、外側ヒンジ部１１及び内周ヒンジ部１１を介して胴部３の内方に向かって反転し、図５（ｂ）に示すように胴部３の内方に凹入される。そして、反転傾斜部７は容易に再反転することなく、また、反転傾斜部７が凹入された分のボトル１の内容量が減少してボトル１の減圧変形が防止される。
【００２７】
なお、第１実施形態においては、図４（ｂ）に示すように、ブロー成形金型１５の内部で底部４の反転傾斜部７が胴部３の内側に凹入された状態に形成する方法を示したが、これに限るものではなく、例えば、押圧部材２１による押し上げを行わずにブロー成形金型１５の内部から反転傾斜部７が胴部３の外方に突出した状態のボトル１を取り出してもよい。これによれば、コンベア等によるボトル１の自立搬送ではなく、例えば、口部２を把持する等による搬送を行う必要があるが、プッシャー等により反転傾斜部７を胴部３の内側から押し下げる工程を省略することができ、効率の向上を図ることができる。
【００２８】
また、本発明の第１実施形態の底部４においては図２及び図３に示す形状の凹部１３に替えて、図６及び図７に示す凹部２３を採用してもよい。該凹部２３は、脚部６の外周側に延びて形成されている。これによって、該凹部２３が脚部６に対して広範囲にわたって補強ビードとして作用し、底部４に一層高い座屈強度を付与することができる。
【００２９】
また、第１実施形態においては、反転傾斜部７が断面視平坦に傾斜する例を示したが、それ以外に、図示しないが、反転傾斜部７の傾斜を胴部３の内側に向かって断面視凸形状（即ち、内側に向かって湾曲する形状）とすることもでき、これによって、胴部３の内方に凹入反転した後には胴部３の外方への不用意な突出反転を一層し難くすることができる。
【００３０】
また、第１実施形態においては、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出状態のとき、その一部が接地面９よりも下方に張り出すものを示したが、図示しないが、反転傾斜部７が胴部３の外側に突出状態のときであっても、接地面９よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納された状態となるような形状に反転傾斜部７を形成してもよい。
【００３１】
次に、本発明の第２実施形態について説明する。第２実施形態に係る合成樹脂製ボトル２４は、図８に示すように、口部２５と、該口部２５の下方に連設された筒状の胴部２６と、該胴部２６の下部を閉塞する底部２７とを備えている。ボトル２４は、射出成形されたポリエチレンテレフタレート樹脂製の図示しないプリフォームから二軸延伸ブロー成形され、これによって、胴部２６及び底部２７が二軸延伸された状態で形成されている。また、口部２５の外周にはキャップ（図示しない）を螺着するための螺着部２８が形成されている。
【００３２】
第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４の底部２７は、図９及び図１０に示すように、胴部２６の下端に連続して形成された脚部２９と、該脚部２９に包囲された領域に形成された反転傾斜部７と、底部２７の中央部に形成された内方突出部８とを備えている。反転傾斜部７及び内方突出部８は第１実施形態において説明したものと同じ構成を有しており、反転傾斜部７の外周縁と内周縁とには、夫々外周ヒンジ部１０と内周ヒンジ部１１とが備えられている。そして、反転傾斜部７は、外周ヒンジ部１０及び内周ヒンジ部１１の屈曲により、胴部２６の内方乃至胴部２６の外方に向かって対称形状に凹凸反転自在とされている。
【００３３】
また、反転傾斜部７には、第１実施形態において説明したものと同様に、放射状に形成された筋状の複数の窪み部１２が形成されている。そして、この窪み部１２も、その数量や放射角度等は反転傾斜部７の傾斜角度や大きさにより適宜定めれ、場合によっては設けなくてもよいものである。
【００３４】
また、前記脚部２９には、図９及び図１０に示すように、その周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部３０が設けられ、各凹部３０の間には、相対的に下方に突出する複数の下方突出部３１が形成されている。凹部３０は、図１０に示すように、胴部２６に連続して比較的大きく凹入された形状を有しており、下方突出部３１が比較的大きく下方に延びてその下端に平坦な接地面３２が形成されている。なお、底部２７は、一般に炭酸飲料を内容物とするものに採用される所謂ペタロイド形状と同様な外形を有しているが、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４は、充填される内容物として炭酸飲料に限定されるものではない。また、図示しないが、従来のペタロイド形状の底部を有するボトルは底部の中央部の肉厚が極めて厚く形成されるが、図１０に示すように、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４の底部２７は、二軸延伸されて肉薄の反転傾斜部７を備えることによって材料コストを飛躍的に軽減することができて有利である。
【００３５】
そして、ボトル２４に内容物が充填されるときには、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出した状態で内容物が充填される。続いて、内容物が充填されたボトル２４には、その口部２５にキャップが嵌着されて封止され、ボトル２４内部の内容物の温度低下に伴う減圧時に反転傾斜部７を胴部２６の内側に凹入させる。これにより、反転傾斜部７が凹入された分のボトル２４の内容量が減少してボトル２４の減圧変形が防止される。
【００３６】
そして、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４においても、脚部２９に複数の凹部３０を設けたことにより、脚部２９が各凹部３０によって十分に補強され、落下等の衝撃を受けても脚部２９の不用意な変形を防止して、極めて高い座屈強度を得ることができる。
【００３７】
なお、第２実施形態においては、反転傾斜部７が断面視平坦に傾斜する例を示したが、それ以外に、図１０に仮想線示するように、反転傾斜部７の傾斜を胴部２６の内側に向かって断面視凸形状（即ち、内側に向かって湾曲する形状）とすることもでき、これによって、胴部２６の内方に凹入反転状態とのとき不用意に胴部２６の外方に突出反転し難くすることができる。
【００３８】
また、第２実施形態においては、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出状態のとき、接地面３２よりも上方位置で脚部６に包囲された内方に収納さるように形成されたものを示したが、それ以外に、反転傾斜部７が胴部２６の外側に突出状態のとき、その一部が接地面３２よりも下方に張り出すように形成してもよい。この場合には、一例として、図１１に示すように、接地面３２の内側に隣接する外周ヒンジ部１０を介して反転傾斜部７を形成することが挙げられる。
【００３９】
また、ボトル２４を炭酸飲料用として採用することも考えられ、この場合には、反転傾斜部７が胴部２６の内側に凹入した状態で炭酸飲料を充填し、キャップにより封止する。これによれば、内容物である炭酸飲料によりボトル２４の内圧が極度に上昇しても、反転傾斜部７が胴部２６の外側に反転して減圧させることができるので、胴部２６が膨らむような加圧変形を解消することができる。このように、第２実施形態の合成樹脂製ボトル２４によれば、充填する内容物に応じて反転傾斜部７を反転させることができるので、ボトル２４の減圧変形と加圧変形との何れにおいても解消することができる。
【図面の簡単な説明】
【００４０】
【図１】本発明の第１実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図。
【図２】第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図。
【図３】第１実施形態の合成樹脂製ボトルの底部の断面説明図。
【図４】ブロー成形工程の一部を模式的に示す説明図。
【図５】傾斜部の反転作業を示す説明図。
【図６】第１実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図。
【図７】図６に示す底部の断面説明図。
【図８】本発明の第２実施形態の合成樹脂製ボトルの外観形状を示す説明的側面図。
【図９】第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す説明的底面図。
【図１０】第２実施形態の合成樹脂製ボトルの底部を示す断面説明図。
【図１１】第２実施形態の合成樹脂製ボトルにおいて採用可能な他の底部形状を示す説明的底面図。
【符号の説明】
【００４１】
１，２４…合成樹脂製ボトル、２，２５…口部、３，２６…胴部、４，２７…底部、６，２９…脚部、７…反転傾斜部、８…内方突出部（底部中央部）、９，３２…接地面、１３，２３，３０…凹部、１４，３１…下方突出部、１５…ブロー成形金型。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
口部と、該口部の下方に連設された胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルにおいて、
前記底部は、胴部の下端に連設されて接地面を有する脚部と、該脚部に包囲された領域に形成されて胴部内方乃至胴部外方に向かって対称形状に凹凸反転自在に傾斜する二軸延伸された反転傾斜部と、該反転傾斜部に包囲された底部中央部とを備え、
前記脚部は、周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部を備え、各凹部間により形成される複数の下方突出部の下端面が接地面とされていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。
【請求項２】
前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形されることを特徴とする請求項１記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項３】
前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形され、ブロー成形後にブロー成形金型内において胴部内方に押圧されて凹入状態に成形されることを特徴とする請求項１記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項４】
前記反転傾斜部は、前記胴部の外方に突出した状態のとき、前記脚部の接地面よりも上方位置で該脚部に包囲された内方に収納されていることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項１】
口部と、該口部の下方に連設された胴部と、該胴部の下部を閉塞する底部とを備える合成樹脂製ボトルにおいて、
前記底部は、胴部の下端に連設されて接地面を有する脚部と、該脚部に包囲された領域に形成されて胴部内方乃至胴部外方に向かって対称形状に凹凸反転自在に傾斜する二軸延伸された反転傾斜部と、該反転傾斜部に包囲された底部中央部とを備え、
前記脚部は、周方向に所定間隔を存して形成された複数の凹部を備え、各凹部間により形成される複数の下方突出部の下端面が接地面とされていることを特徴とする合成樹脂製ボトル。
【請求項２】
前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形されることを特徴とする請求項１記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項３】
前記反転傾斜部は、ブロー成形金型におけるブロー成形により胴部外方に突出した状態に成形され、ブロー成形後にブロー成形金型内において胴部内方に押圧されて凹入状態に成形されることを特徴とする請求項１記載の合成樹脂製ボトル。
【請求項４】
前記反転傾斜部は、前記胴部の外方に突出した状態のとき、前記脚部の接地面よりも上方位置で該脚部に包囲された内方に収納されていることを特徴とする請求項１乃至３の何れか１項記載の合成樹脂製ボトル。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図１１】
【公開番号】特開２００８−４４６３３（Ｐ２００８−４４６３３Ａ）
【公開日】平成２０年２月２８日（２００８．２．２８）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−２１９６４０（Ｐ２００６−２１９６４０）
【出願日】平成１８年８月１１日（２００６．８．１１）
【出願人】（５０５４４０２９５）北海製罐株式会社 (58)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年２月２８日（２００８．２．２８）
【国際特許分類】
【出願日】平成１８年８月１１日（２００６．８．１１）
【出願人】（５０５４４０２９５）北海製罐株式会社 (58)
【Ｆターム（参考）】
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