説明

含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物

【課題】Si-H結合を有する含フッ素オルガノ水素シロキサン化合物を必要としないで硬化可能であり、その上耐熱性、耐化学薬品性および成形加工性に優れ、しかも低温特性および機械的強度が改善された硬化物を与える含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物を提供する。
【解決手段】F(CORfCOZ)nCORfCOF 〔Rf:-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-〕に XC6H4NHR1を反応させ、含フッ素ポリエーテル化合物


を得る。この化合物に、芳香族ボロン酸エステル化合物、有機パラジウム化合物、塩基性の無機または有機化合物(および有機リン化合物)を配合して硬化性含フッ素ポリエーテル組成物を形成させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物に関する。さらに詳しくは、耐熱性および耐薬品性に優れ、その上良好な低温特性を示す硬化物を与え得る含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
分子末端に官能基を有する含フッ素ポリエーテル化合物としては、例えば一般式

で表わされる化合物が知られている。
【特許文献1】特開平11−343336号公報
【0003】
また、上記化合物の主鎖構造をオリゴマー化したより一般的な化合物として、一般式

で表わされる化合物が知られている。
【特許文献2】特許2990646号公報
【0004】
これらの一般式で表わされる化合物群は、Si-H基を分子内に複数個有する含フッ素オルガノ水素シロキサン化合物および白金化合物触媒により硬化し、非常に優れた特性(耐薬品性、耐熱性、低温特性)を有するエラストマー性成形物を与え得るとされ、特に-50℃程度の低温条件下でも柔軟性を失わずに、使用に耐え得るとされる。また、これらを主成分とする硬化性組成物は、室温条件下で適度な流動性を示すなどすぐれた成形加工性を有し、RIM成形も可能とさせる。しかしながら、この硬化物は、架橋構造にシロキサン結合を有するため、フッ素水素などの酸性物質が存在する条件下で使用されると、化学的劣化によりそれの機械的な強度が低下するなどの好ましくない結果を与えることもある。
【0005】
また、これらの背景技術に示された含フッ素ポリエーテル化合物の硬化物は、そのガラス転移温度Tgがいずれも-50〜-60℃程度であり、それ以下の使用温度環境では弾性を失うため、使用することができない。
【0006】
本発明者は先に、下記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物を主成分とする硬化性組成物を提案している(特願2007-99998号)。

(X:ヨウ素原子または臭素原子)
【0007】
上記含フッ素ポリエーテル化合物は、適当な硬化剤と有機パラジウム化合物触媒を用いて硬化させ、エラストマー性成形物を得ることができる。この硬化性組成物は、室温で適度な流動性を示し、硬化物の架橋構造にシロキサン結合を含まないため酸性条件下でも化学的劣化が起り難いとされる。しかしながら、そのガラス転移温度Tgは-50〜-60℃であり、それ以下の温度環境では弾性を失うため、使用することができない。
【0008】
また、下記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物を主成分とする硬化性組成物も提案されている(特願2007-165023号)。

X:ヨウ素原子または臭素原子
【0009】
上記含フッ素ポリエーテル化合物を主成分とする硬化性組成物から得られる硬化物のガラス転移温度Tgは-80〜-110℃であり、-50℃以下の苛酷な条件下での使用には耐え得る。しかしながら、その主鎖構造 -CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2- の分子量は、それの製造上10000程度が限度とされ、また主鎖構造それ自体の剛性が低いこともあって、最終成形物の機械的強度が低い傾向にあり、かつそれを向上させることは困難である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明の目的は、Si-H結合を有する含フッ素オルガノ水素シロキサン化合物を必要としないで硬化可能であり、その上耐熱性、耐化学薬品性および成形加工性に優れ、しかも低温特性および機械的強度が改善された硬化物を与える含フッ素ポリエーテル化合物、その製造方法およびそれを含有する硬化性組成物を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明によって、一般式

(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位であり、Rfは下記一般式で表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基であり、
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
ただし(CF2CF2O)および(CF2O)は、パーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダム分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、その数平均分子量Mnは500〜20000であり、Zは

であり、ただしR2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基あるいは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数2〜10の2価のヘテロ環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上の整数である)で表わされ、25℃における粘度が10〜3000Pa・sである含フッ素ポリエーテル化合物が提供される。
【0012】
かかる含フッ素ポリエーテル化合物は、一般式

(ここで、Rfは下記一般式で表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基であり、
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
ただし(CF2CF2O)および(CF2O)は、パーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダム分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、その数平均分子量Mnは500〜20000であり、Zは

であり、ただしR2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基あるいは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数2〜10の2価のヘテロ環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上の整数である)で表わされる含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物を、一般式

(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である)で表わされる芳香族1級または2級アミン化合物と、好ましくはピリジン等の活性水素を有しない塩基性含窒素複素環化合物またはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下で反応させることにより製造される。
【0013】
このようにして得られる含フッ素ポリエーテル化合物は、以下の硬化性組成物の主成分として用いられる。具体的には、本発明に係る硬化性組成物は、以下の各成分より構成される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
【発明の効果】
【0014】
本発明に係る含フッ素ポリエーテル化合物は、特定の硬化剤および硬化触媒とともに、硬化性含フッ素ポリエーテル組成物を形成することができる。これを硬化して得られた成形物は、耐熱性、耐化学薬品性にすぐれているという含フッ素ポリエーテル化合物の特性を維持しつつ、機械的特性を向上させることができる。さらに、その低温特性は著しく改善され、ガラス転移温度Tgは-80〜-110℃にも達し、-50℃以下の低温使用環境での使用に十分に耐え得るようになる。また、この硬化性含フッ素ポリエーテルから形成された組成物は、室温で適度な流動性を示すなど良好な加工性を有し、射出成形、RIM等種々の成形方法に適用できる。かかる組成物を硬化して得られる成形物は、上述の如き諸特性を有するため、自動車燃料供給系シール材、オイルシール材、航空機燃料系および油圧系シール材、半導体製造装置シール材等の各種用途に好適に使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
本発明の含フッ素ポリエーテル化合物

において、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、特に製造面から水素原子またはメチル基であることが好ましい。ただし、水素原子の場合には、得られる含フッ素ポリエーテル化合物の粘度が高くなる傾向にある。Xは、ヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である。
【0016】
Rfは、下記一般式で表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基であり、
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
(CF2CF2O)および(CF2O)は、パーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダム分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、その数平均分子量Mnは500〜20000である。
【0017】
また、Zは、

であり、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基または窒素原子、酸素原子、硫黄原子等のヘテロ原子を含む2価の炭素数2〜10の複素環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基である。
【0018】
Zの具体例としては、







等が挙げられる。また、本発明の含フッ素ポリエーテル化合物の25℃における粘度は、10〜3000Pa・sであり、nは1以上の整数である。
【0019】
本発明の含フッ素ポリエーテル化合物は、例えば以下のような一連の工程を経て製造することができる。

【0020】
この第1工程の反応は、特許文献3〜4記載の方法によって行うことができる。また、第2工程のジアミン化合物によるオリゴマー化反応は、特許文献5記載の方法によって行うことができる。
【特許文献3】特公昭55−50052号公報
【特許文献4】USP 3,847,978
【特許文献5】USP 6,111,050
【0021】
最終工程の、含フッ素ジカルボン酸フルオリドと芳香族1級または2級アミン化合物との反応は、ピリジン等の塩基性含窒素複素環化合物またはトリエチルアミン等の3級アミン化合物の存在下で、ハイドロクロロフルオロカーボン、ハイドロフルオロカーボン、ハイドロフルオロエーテル等の含フッ素溶媒、またはこれらの含フッ素溶媒と非プロトン性非フッ素系溶媒との混合溶媒中で-50〜150℃、好ましくは0〜100℃で行われる。含フッ素溶媒の具体例としては、HCFC-225、HFE-449(住友3M製品HFE7100)、HFE-569(住友3M製品HFE-7200)等が挙げられる。非プロトン性非フッ素系溶媒としては、ジエチルエーテル、ジイソプロピルエーテル、シクロペンチルメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4-ジオキサン等が挙げられる。芳香族1級アミンまたは2級アミンの溶解性を考慮すると、含フッ素溶媒と非プロトン性非フッ素系溶媒の混合溶媒を用いるのがより好ましい。
【0022】
本発明により提供される含フッ素ポリエーテル化合物は、後述の硬化性組成物の主成分となり得るものである。本発明の含フッ素ポリエーテル化合物の具体例として、






Rf:-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
等が挙げられる。
【0023】
本発明の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物は、上記含フッ素ポリエーテル化合物〔(A)成分〕を主成分とする、以下の各成分から構成される。
(A)成分 含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B)成分 芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C)成分 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D)成分 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E)成分 有機リン化合物 0〜5重量部
上述の硬化性組成物の硬化反応は、パラジウム触媒による、アリールボロン酸またはそのエステルとハロゲン化アリールのクロスカップリング反応(鈴木−宮浦反応)に基づくものである。
【非特許文献1】Chem. Rev. 95巻 2457頁 (1995)
【0024】
以下各成分の実施形態について順次説明する。
(A)成分である前記一般式で表わされる含フッ素ポリエーテル化合物において、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、分子内または分子間水素結合および硬化における副反応を避けるために、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基が好ましい。特に、原料の入手のし易さの点から、メチル基が選ばれる。Xはヨウ素原子または臭素原子の何れかであるが、より迅速な硬化速度が得られるのでヨウ素原子が好ましい。また、Xのフェニル基上の置換位置は、NR1結合置換基に対してm-またはp-位である。Xの置換位置がo-位の場合、立体的要因により硬度速度が低下するので好ましくない。また、Rfで表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基において、p/qは0.2〜5、好ましくは0.5〜2であり、その数平均分子量Mnは500〜20000、好ましくは1000〜10000である。
【0025】
Zは、

である。ここで、R2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であるが、分子内または分子間水素結合および硬化における副反応を避けるために、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基が好ましい。特に原料の入手のし易さから、メチル基が選ばれる。R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基、または窒素原子、酸素原子、硫黄原子等ヘテロ原子を含む2価の素炭数2〜10の複素環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基である。Zの具体例としては、前記したものが挙げられる。
【0026】
(A)成分として用いられる、含フッ素ポリエーテル化合物の25℃における粘度は、10〜3000Pa・sであるが、硬化後に得られる成形物の機械的強度および成形加工性を考慮すると、50〜1000Pa・sであることが好ましい。
【0027】
(B)成分は、下記一般式で表わされる芳香族ボロン酸エステル化合物

を用いることができる。ここで、R5は炭素数2〜10の直鎖状または分岐状の2価の脂肪族炭化水素基であり、例えば-CH2C(CH3)2CH2-、-CH2CH2CH2-、-C(CH3)2C(CH3)2-、-C(CH3)2CH2C(CH3)2-等が挙げられる。具体的な例としては、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(5,5-ジメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼン、1,3,5-トリス(4,4,6,6-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボリナン-2-イル)ベンゼンが挙げられる。好ましくは、1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼンが製造の容易さから選ばれる。
【非特許文献2】J. Appl. Poly. Sci. 76巻 1257頁 (2000)
【0028】
(B)成分芳香族ボロン酸エステル化合物は、(A)成分含フッ素ポリエーテル化合物100重量部当り0.1〜10重量部、好ましくは0.5〜5重量部の割合で用いられる。(B)成分がこれより少ないと、硬化が不十分となるかまたは得られる硬化物の機械的強度が低下する。一方、これより多い割合で用いることは、それに見合った効果が見込めず、経済的でない。
【0029】
硬化触媒として用いられる(C)成分有機パラジウム化合物としては、0価または2価の有機パラジウム化合物が用いられる。0価のパラジウム化合物は、そのまま0価の状態で硬化反応の触媒として作用する。2価の有機パラジウム化合物は、(A)成分、(B)成分または後述の(E)成分有機リン化合物により0価に還元された後、触媒作用を発現する。(C)成分有機パラジウム化合物は、(A)成分含フッ素ポリエーテル化合物100重量部当り、0.0001〜1重量部、好ましくは0.001〜0.2重量部の割合で用いられる。(C)成分がこれより少ないと、十分な硬化が行われず、一方これより多い割合で用いることは経済的でない。
【0030】
0価の有機パラジウム化合物としては、テトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム等が用いられる。2価の有機パラジウム化合物としては、例えば酢酸パラジウム、アリルパラジウムクロリド、ビス(トリフェニルホスフィン)パラジウムクロリド、ビス(トリ第3ブチルホスフィン)パラジウムクロリド、〔1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン〕ジクロロパラジウム等が用いられる。特に、酢酸パラジウムが好適に用いられる。
【0031】
なお、酢酸パラジウム、ビス(ジベンジリデンアセトン)パラジウム、トリス(ジベンジリデンアセトン)ジパラジウム、アリルパラジウムクロリドのように分子内にリン化合物を含まない有機パラジウム化合物を用いる場合、その安定剤として、一般式

で表わされる(E)成分有機リン化合物を併用することが好ましい。
【0032】
ここで、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、置換基を有し得る炭素数1〜10の鎖状脂肪族炭化水素基、炭素数5〜12の環状脂肪族炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基である。脂肪族炭化水素基を有する有機リン化合物の具体例としては、トリシクロヘキシルホスフィン、トリ第3ブチルホスフィン、トリイソプロピルホスフィン等が挙げられる。
【0033】
また、芳香族炭化水素基を有する有機リン化合物としては、一般式

で表わされるトリフェニルホスフィン化合物類または一般式

で表わされる、Buchwald配位子と総称される化合物群を用いることもできる。
【特許文献6】USP 6,307,087
【特許文献7】USP 6,294,627
【0034】
ここで、A、B、Cはそれぞれ独立に、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基あるいは炭素数1〜3のアルキル基を有するアルコキシ基またはジアルキルアミノ基である。R10は炭素数1〜6の鎖状または環状の脂肪族炭化水素基である。トリフェニルホスフィン化合物類としては、トリフェニルホスフィン、トリス(4-メトキシフェニル)ホスフィン、トリス(1,3,5-トリイソプロピルフェニル)ホスフィン等が例示される。Buchwald配位子の具体例としては、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′,6′-ジメトキシビフェニル、2-ジ-第3ブチルホスフィノ-2′,4′,6′-トリイソプロピルビフェニル、2-ジシクロヘキシルホスフィノ-2′-(N,N-ジメチルアミノ)ビフェニル等の化合物が例示される。
【0035】
その他、分子内に2個のリン原子を有する、一般式

で表わされる二座配位子有機リン化合物も用いることができる。ここで、R9は置換基を有し得るフェニル基または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、Yは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタロセン基である。
【0036】
具体例には、1,2-ビス(ジフェニルホスフィノ)エタン、1,3-ビス(ジフェニルホスフィノ)プロパン、1,4-ビス(ジフェニルホスフィノ)ブタン、1,1′-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン、1,1′-ビス(ジ第3ブチルホスフィノ)フェロセン、2,2′-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1′-ビナフタレン等の化合物が例示される。
【0037】
(E)成分有機リン化合物は、(C)成分有機パラジウム化合物のPd原子に対して0.5〜10モル当量、好ましくは1〜4モル当量用いられる。(A)成分に対しては、その100重量部当り0.1〜2重量部の割合で用いられることが好ましい。
【0038】
(D)成分の塩基性無機化合物または塩基性有機化合物としては、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸水素リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウム等のアルカリ金属炭酸塩あるいは炭酸水素塩、リン酸リチウム、リン酸ナトリウム、リン酸カリウム等のアルカリ金属リン酸塩あるいはリン酸水素塩、酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ナトリウム等のアルカリ金属またはアルカリ土類金属の酸化物または水酸化物、フッ化カリウム、フッ化ナトリウム、フッ化セシウム等のアルカリ金属フッ化物、酢酸カリウム等のアルカリ金属酢酸塩、ナトリウムメトキシド、有機アミン類が挙げられる。好ましい例は、リン酸カリウムである。(D)成分塩基性無機化合物または塩基性有機化合物は、(A)成分含フッ素ポリエーテル化合物100重量部に対して、0.1〜10重量部、好ましくは1〜10重量部の割合で用いられる。(D)成分を添加しないと硬化反応がきわめて遅いかあるいは全く起こらない場合がある。
【0039】
硬化性含フッ素ポリエーテル組成物中には、これらの各成分以外に、硬化反応を阻害しない量および純度を有する各種充填剤、補強剤、顔料等適宜配合して用いられる。組成物の調製は、3本ロールミル、プラネタリミキサー等を用いて混練することにより行われ、混合物の硬化は、室温〜200℃で圧縮成形、射出成形、RIM成形等により約1〜60分間行われ、必要に応じて50〜250℃で1〜30時間程度のオーブン加硫(二次加硫)が行われる。
【実施例】
【0040】
次に、実施例について本発明を説明する。
【0041】
参考例1
(1) 含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物の調製

攪拌装置、温度センサ、ガス導入口およびドライアイス/エタノール冷却凝縮器を備えた内容量1Lのガラス製反応容器を低温恒温槽に設置し、ジアルコキシド化合物 CsOCF2CF(CF3)OCF2CF2OCF(CF3)CF2OCs を23ミリモルを含むテトラグライム溶液60gを仕込んだ。内温を-33〜-30℃に調整した後、ガス導入口よりヘキサフルオロプロペンを36g仕込んだ。次に、ヘキサフルオロプロペンオキシドを10g/hr、ヘキサフルオロプロペンを4g/hrの供給速度で反応容器内に仕込んだ。43時間経過後、ガスの供給を停止し、さらに1時間-33〜-30℃に内温を保った。減圧下でヘキサフルオロプロペンを反応系内より除去した後、室温までゆっくり昇温した。さらに100℃まで昇温し、減圧下でヘキサフルオロプロペンオリゴマーを反応混合物より除去した。このようにして、フッ化セシウム、テトラグライムおよび含フッ素ジカルボン酸フルオリドからなる混合物を淡黄色粘稠な懸濁液として478g得た。これを精製せずに、次の工程に用いた。
【0042】
また、上記混合物の一部をメタノールによりエステル体とした後、19F-NMRによりヘキサフルオロプロペンオキシド数平均重合度および二官能性比(ヘキサフルオロプロペンオキシドオリゴマーとのモル分率)を求めた。

s=Fa(-131ppm)ピーク積分値
t=Fb(-133ppm)ピーク積分値
u=Fc(-146ppm)ピーク積分値
注) ケミカルシフトはCFCl3基準
二官能性比=(t/s-0.5)/(t/s+0.5)=0.89
ヘキサフルオロプロペンオキシド数平均重合度=4u/(2t+s)=102
【0043】
(2) 上記(1)で得られた含フッ素ジカルボン酸フルオリド、フッ化セシウムおよびテトラグライムからなる混合物120g(約6.9ミリモル)を、含フッ素系溶媒(住友3M製品HFE-7100)100mlに溶解し、そこにトリエチルアミン2.7g(27ミリモル)およびジエチルエーテル40mlを加えた。これに、p-ヨード-N-メチルアニリン3.9g(17ミリモル)を加え、室温で1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水に加え、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物〔PFPE-I〕

を、僅かに黄色味を帯びた透明な液体として104g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、15Pa・s(25℃)であった。
19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl3基準): -123ppm(Fb)
-146ppm(Fc)
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.5ppm(Ha)
6.7ppm(Hb)
3.0ppm(Hc)
IR(neat): 1702cm-1(C=O)
1488cm-1(Ar)
【0044】
参考例2
含フッ素ジカルボン酸フルオリド

50g(約6.1ミリモル)を、含フッ素系溶媒(HFE-7100)50mlに溶解し、そこにトリエチルアミン3.5g(15ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これに、p-ヨード-N-メチルアニリン4.3g(18ミリモル)を室温で加えて、1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水中に加え、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物

を黄色味を帯びた液体として35g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、6.0Pa・s(25℃)であった。

19F-NMR(ケミカルシフトはCFCl3基準): -52ppm -OCF2CF2OCF2OCF2CF2O-
-53ppm -OCF2OCF2OCF2CF2O-
-55ppm -OCF2OCF2OCF2O-
-89ppm -OCF2CF2OCF2CF2OCF2CF2O-
-OCF2OCF2CF2OCF2CF2O-
-90ppm -OCF2OCF2CF2OCF2CF2O-
-OCF2OCF2CF2OCF2O-
-68ppm -OCF2OCF2CON(CH3)-
-70ppm -OCF2CF2OCF2CON(CH3)-
1H-NMR(ケミカルシフトはTMS基準): 7.5ppm(Ha)
6.7ppm(Hb)
3.0ppm(Hc)
IR(neat): 1710cm-1(C=O)
1490cm-1(Ar)
【0045】
実施例1
参考例2で用いられた含フッ素ジカルボン酸フルオリド60g(約7.4ミリモル)を、含フッ素系溶媒(HFE-7100)50mlに溶解し、そこにトリエチルアミン3.0g(30ミリモル)およびジエチルエーテル20mlを加えた。これにN,N′-ジメチル-p-フェニレンジアミン0.5g(3.7ミリモル)のジエチルエーテル溶液20mlを、室温で30分間かけて加え、さらに30分間反応を行った。次いで、p-ヨード-N-メチルアニリン2.6g(11ミリモル)を加えて、さらに1時間反応を行った。得られた反応混合物を飽和食塩水中に加え、分離した有機層を無水硫酸マグネシウムで乾燥、ロ過した。減圧下でロ液から含フッ素系溶媒およびジエチルエーテルを留去した後、得られた粘稠な液体をジエチルエーテルで数回洗浄し、次いで減圧下でジエチルエーテルを完全に留去した。このようにして、含フッ素ポリエーテル化合物

Rf:-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
を黄色味を帯びた液体として45g得た。E型粘度計(東機産業製TEV-22)により粘度を測定したところ、50Pa・s(25℃)であった。なお、19F-NMR、1H-NMRおよびIRの特性値は、参考例2と同じ値であった。
【0046】
実施例2
実施例1の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- 1.5重量部
ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン
酢酸パラジウム 0.07重量部
(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン 0.23重量部
リン酸カリウム 2.3重量部
以上の各成分をエタノール 120重量部、水 25重量部およびベンゾトリフルオリド 300重量部からなる混合溶媒中に加え、窒素雰囲気下に室温で10分間混合し、次いで減圧下に40℃で揮発性物質を除去した。得られた混合物に、アセチレンカーボンブラック10重量部を混合し、硬化性組成物を調製した。
【0047】
この硬化性組成物を、130℃で10分間圧縮成形し、次いで80℃、5時間および200℃、10時間のオーブン加硫(二次加硫)を順次窒素雰囲気下で行い、試験片を得た。
【0048】
得られた硬化性組成物および硬化物について、次の各項目の測定を行った。
硬化試験:モンサント・ディスク・レオメーターを使用し、130℃でt10、t90、ML、M Hの値を測定
常態物性:JIS K6250、K6253準拠
圧縮永久歪:ASTM D395 Method B準拠
P-24 Oリングについて、200℃、70時間の値を測定
低温特性:示差走査熱量分析計(SIIナノテクノロジー社製)を用い、ガラス転移温度 (Tg)の値を測定
メタノール浸漬試験:25℃のメタノール中に70時間浸漬後の体積変化率を測定
【0049】
実施例3
実施例2において、(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィンの代りに、トリフェニルホスフィンを0.18重量部用いた硬化性組成物が用いられた。
【0050】
比較例1
参考例1の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2- 3重量部
ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン
酢酸パラジウム 0.15重量部
(2-ビフェニル)ジシクロヘキシルホスフィン 0.5重量部
リン酸カリウム 5重量部
以上の各成分をエタノール 120重量部、水 25重量部およびベンゾトリフルオリド 300重量部からなる混合溶媒中に加え、窒素雰囲気下に室温で10分間混合し、次いで減圧下に40℃で揮発性物質を除去した。得られた混合物に、アセチレンカーボンブラック10重量部を混合し、硬化性組成物を調製した。この硬化性組成物を、130℃で10分間圧縮成形し、次いで80℃、5時間および200℃、10時間のオーブン加硫(二次加硫)を順次窒素雰囲気下で行い、試験片を得た。得られた硬化性組成物および硬化物について、実施例2と同様に各項目の測定を行った。
【0051】
比較例2
比較例1において、参考例1の含フッ素ポリエーテル化合物の代りに、参考例2の含フッ素ポリエーテル化合物が同量用いられた。
【0052】
以上の実施例2〜3および比較例1〜2の測定結果は、次の表に示される。

測定項目 実施例2 実施例3 比較例1 比較例2
〔硬化試験〕
試験温度 (℃) 130 130 130 130
t10 (分) 0.4 0.5 0.4 0.4
t90 (分) 0.8 0.9 1.0 1.2
ML (dN・m) 0.3 0.3 0.2 0.2
MH (dN・m) 3.8 4.0 2.5 1.9
〔常態物性〕
硬さ 46 46 52 45
100%モジュラス (MPa) 1.7 1.8 1.3 0.8
破断時強度 (MPa) 3.5 3.4 2.6 2.0
破断時伸び (%) 320 320 280 300
〔圧縮永久歪〕
200℃、70時間 (%) 50 52 58 65
〔低温特性〕
Tg (℃) -100 -100 -55 -105
〔メタノール浸漬試験〕
体積変化率 (%) +3 +3 +3 +4
【0053】
以上の結果から、次のようなことがいえる。
(1)比較例1では、ヘキサフルオロプロペンオキシドくり返し単位を有する含フッ素ポリエーテル化合物を用いてはいるが、その硬化物のTgは-55℃である。
(2)比較例2では、(CF2CF2O)と(CF2O)とのランダムくり返し単位からなる含フッ素ポリエーテル化合物が用いられており、その硬化物のTgは-105℃となるが、その硬化物強度は比較例1よりも低くなる傾向にある。
これは、その合成原料となるFOCCF2(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2COFでは分子量10000以上の高分子量物を得ることがその製法上困難であることおよび -OCF2O- の回転障壁が -CF(CF3)CF2O- よりも低く、主鎖構造の剛性が低いことによる。
(3)このような点を考慮して、硬化物の機械的強度を増加させるために、本発明のような主鎖構造をオリゴマー化する方法がとられ、これにより主鎖構造を高分子量化することで低温特性を維持しながら、硬化物の機械的強度の向上を図ることができる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一般式

(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位であり、Rfは下記一般式で表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基であり、
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
ただし(CF2CF2O)および(CF2O)は、パーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダム分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、その数平均分子量Mnは500〜20000であり、Zは

であり、ただしR2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基あるいは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数2〜10の2価のヘテロ環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上の整数である)で表わされ、25℃における粘度が10〜3000Pa・sである含フッ素ポリエーテル化合物。
【請求項2】
上記一般式において、Xがヨウ素原子である請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物。
【請求項3】
一般式

(ここで、Rfは下記一般式で表わされる2価のパーフルオロポリエーテル基であり、
-CF2O(CF2CF2O)p(CF2O)qCF2-
ただし(CF2CF2O)および(CF2O)は、パーフルオロポリエーテル高分子主鎖に沿ってランダムに分布しているパーフルオロオキシアルキレン基であって、p/qは0.2〜5であり、その数平均分子量Mnは500〜20000であり、Zは

であり、ただしR2は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、R3は2価の炭素数2〜10の脂肪族炭化水素基、2価の炭素数6〜20の芳香族炭化水素基あるいは窒素原子、酸素原子または硫黄原子を含む炭素数2〜10の2価のヘテロ環化合物基であり、R4は2価の炭素数2〜6の脂肪族炭化水素基であり、nは1以上の整数である)で表わされる含フッ素ジカルボン酸フルオリド化合物を、一般式

(ここで、R1は水素原子、炭素数1〜3のアルキル基またはフェニル基であり、Xはヨウ素原子または臭素原子であり、Xのフェニル基上の置換位置はNR1結合置換基に対してm-またはp-位である)で表わされる芳香族1級または2級アミン化合物と反応させることを特徴とする請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。
【請求項4】
活性水素を有しない塩基性含窒素複素環化合物または3級アミン化合物の存在下で反応が行われる請求項3記載の含フッ素ポリエーテル化合物の製造方法。
【請求項5】
(A) 請求項1記載の含フッ素ポリエーテル化合物 100重量部
(B) 一般式

(ここで、R5は炭素数2〜10の直鎖状または
分岐状の2価の脂肪族炭化水素基である)
で表わされる芳香族ボロン酸エステル化合物 0.1〜10重量部
(C) 0価または2価の有機パラジウム化合物 0.0001〜1重量部
(D) 塩基性無機化合物または塩基性有機化合物 0.1〜10重量部
(E) 一般式

(ここで、R6、R7、R8はそれぞれ独立に、それ
ぞれ置換基を有し得る炭素数1〜10の鎖状脂
肪族炭化水素基、炭素数5〜12の環状脂肪族
炭化水素基または炭素数6〜20の芳香族炭化
水素基である)
または一般式

(ここで、R9は置換基を有し得るフェニル基
または炭素数1〜6の脂肪族炭化水素基であり、
Yは2価の炭素数1〜10の脂肪族炭化水素基、
炭素数6〜20の芳香族炭化水素基またはメタ
ロセン基である)
で表わされる有機リン化合物 0〜5重量部
を含有してなる硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項6】
Xがヨウ素原子である含フッ素ポリエーテル化合物が(A)成分として用いられた請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項7】
(B)成分芳香族ボロン酸エステル化合物が1,3,5-トリス(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)ベンゼン

である請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項8】
(C)成分2価の有機パラジウム化合物が酢酸パラジウムである請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項9】
(D)成分塩基性無機化合物がリン酸カリウムである請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項10】
(E)成分有機リン化合物が、下記一般式

(ここで、A、B、Cはそれぞれ独立に、水
素原子、炭素数1〜5のアルキル基あるい
は炭素数1〜3のアルキル基を有するアル
コキシ基またはジアルキルアミノ基であ
る)
で表わされる請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。
【請求項11】
(E)成分有機リン化合物が、下記一般式

(ここで、A、B、Cはそれぞれ独立に、水
素原子、炭素数1〜5のアルキル基あるい
は炭素数1〜3のアルキル基を有するアル
コキシ基またはジアルキルアミノ基であ
り、R10は炭素数1〜6の鎖状または環状の
脂肪族炭化水素基である)
で表わされる請求項5記載の硬化性含フッ素ポリエーテル組成物。

【公開番号】特開2009−1738(P2009−1738A)
【公開日】平成21年1月8日(2009.1.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−166143(P2007−166143)
【出願日】平成19年6月25日(2007.6.25)
【出願人】(502145313)ユニマテック株式会社 (169)
【Fターム(参考)】