説明

含フッ素共重合体の製造方法、ポリマー電解質、リチウム電池用電極及びリチウム電池

【課題】 ポリマー電解質又は結着剤としてリチウム電池に用いた場合、溶媒の保持性に優れ、高イオン伝導性であり、かつ安定性に優れる含フッ素共重合体の製造方法を提供する。
【解決手段】 本発明は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、含フッ素エチレン性モノマーと−SOLi基を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素共重合体の製造方法、並びに、リチウム二次電池に好適に用いられるポリマー電解質、リチウム電池用電極、及び、リチウム電池に関する。
【背景技術】
【0002】
電極活物質としてアルカリ金属、アルカリ金属イオンを吸蔵、放出可能な材料を用いる電池が高エネルギー密度を有するものとして注目されており、なかでもリチウム二次電池は特にエネルギー密度が高いため、電子機器の電源として広く用いられつつある。
【0003】
近年、一次電池及び二次電池に液状の電解液を用いることによって生じる漏液の対策、可燃性電解液の着火性低減対策、及び電池のフィルム状化による電子機器への組み込み性の向上とスペースの有効利用等の見地より、ポリマー電解質を用いることが提案されている(例えば、特許文献1及び2参照。)。
【0004】
上記ポリマー電解質のなかで、ポリエチレンオキシド系ポリマー電解質は電気化学的には安定であるが、有機電解液の溶媒の保持性が低い難点がある。三次元構造のポリアクリレート系ポリマー電解質は、溶媒の保持性はよいものの電気化学的に不安定で4V級電池には適さない。
【0005】
また、ポリフッ化ビニリデンからなるポリマー電解質は電気化学的に安定であり、フッ素原子を含むのでポリマーが燃えにくい特徴があるが、ポリマー電解質の温度を上げると電解液がポリマーよりにじみ出るおそれがあった。これに対し、フッ化ビニリデン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体を使用することによりこの問題を解決する試みもある(例えば、特許文献3参照。)。しかし、ヘキサフルオロプロピレンの含量が増えると電解液のにじみだしは少なくなるものの、ポリマー電解質の強度が低下する課題があった。
【0006】
したがって、電解液のにじみだし防止と強度向上の両立が課題となっており、さらにイオン伝導度のより高いポリマーマトリックスの開発が要請されている。また、従来のポリマー電解質を使用したリチウム二次電池は、充放電サイクル耐久性が液体電解質を用いた電池より劣る欠点があった。
【0007】
特許文献4には、フッ化ビニリデンに基づく重合単位と−CFCOOLi又は−CFSOLiを含有する側鎖を有する重合単位とからなる共重合体をマトリックスとし、有機溶媒を含有するポリマー電解質であることを特徴とするリチウム電池が提案されている。
【0008】
特許文献5には、フルオロアルコキシスルホン酸及びこの金属塩のペンダント基を有するポリエチレン主鎖からなるイオノマーに関する発明が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特表平8−507407号公報
【特許文献2】特表平4−506726号公報
【特許文献3】米国特許第5,296,318号明細書
【特許文献4】特開平10−284128号公報
【特許文献5】特表2002−503734号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献4では、−CFCOOCHや−CFSOFを有する単量体を用いて、共重合体を得た後、LiOHのような強アルカリ性の化合物を用いてリチウム塩に変換する方法がとられている。このようにして得られたポリマー電解質は、フッ化ビニリデンの脱HF反応が進行して、主鎖に不安定な二重結合を生成するので、リチウム電池に用いた場合に安定性に乏しい課題があった。
【0011】
また、特許文献5では、−CFSOFを炭酸リチウムを用いてリチウム塩に変換する方法がとられている。炭酸リチウムは水溶液のpHが11程度と、塩基性の強い化合物であり、上記フッ化ビニリデンの脱HF反応を防ぐためには不十分であった。
【0012】
本発明は、ポリマー電解質又は結着剤としてリチウム電池に用いた場合、溶媒の保持性に優れ、高イオン伝導性であり、かつ安定性に優れる含フッ素共重合体の製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、含フッ素エチレン性モノマーと−SOLi基を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法である。
【0014】
本発明は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、含フッ素エチレン性モノマーとイオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOLi基を除く)を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して前駆体を得る工程、及び、前記前駆体をpH8以下の溶液に接触させて前記スルホン酸誘導体を−SOLi基に変換して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法でもある。
【0015】
本発明は、上記製造方法により得られた含フッ素共重合体から形成されることを特徴とするポリマー電解質でもある。
【0016】
本発明は、上記製造方法により得られた含フッ素共重合体を含むことを特徴とするリチウム電池用電極でもある。
【0017】
本発明は、上記ポリマー電解質及びリチウム電池用電極の一方又は両方を含むことを特徴とするリチウム電池でもある。
【発明の効果】
【0018】
本発明の製造方法は、上記の構成からなるので、リチウム電池に用いた場合、溶媒の保持性に優れ、高イオン伝導性であり、かつ、安定性に優れる含フッ素共重合体を製造することができる。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の第1の製造方法は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、含フッ素エチレン性モノマーと−SOLi基を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする。
【0020】
本発明の第2の製造方法は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、含フッ素エチレン性モノマーとイオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOLi基を除く)を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して前駆体を得る工程、及び、前記前駆体をpH8以下の溶液に接触させて前記スルホン酸誘導体を−SOLi基に変換して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする。
【0021】
本発明の製造方法は、いずれも、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体を得るにあたり、イオン解離性の官能基、すなわち−SOLi基又はイオン解離性のスルホン酸誘導体、を有する共単量体を使用するところに特徴がある。この特徴によって、本発明の含フッ素共重合体の製造方法は、pHが8を超える強アルカリ性の溶液と接触させる工程を必要としないので、得られる含フッ素共重合体はリチウム電池に用いた場合にも高い安定性を示す。
【0022】
本発明の第1の製造方法における、−SOLi基を有する共単量体としては、下記式(I−I)
CF=CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−SOLi(I−I)
(式中、Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表されるビニルエーテルであることが好ましい。
【0023】
本発明の第2の製造方法における、イオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体とは、−SOLi基とは異なる側鎖を有する共単量体であって、得られる含フッ素共重合体の側鎖に相当する部分にイオン解離性のスルホン酸誘導体を有するものである。
【0024】
イオン解離性のスルホン酸誘導体とは、水中で容易にイオンを解離する性質を持った官能基である。
【0025】
イオン解離性のスルホン酸誘導体は、−SOH、−SONR、−SONR及び−SO1/L
(但し、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子若しくはM1/Lを表し、Rは水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基若しくはスルホニル含有基を表し、M及びMは、同一若しくは異なって、L価の金属を表し、前記L価の金属は、周期表の1族、2族、4族、8族、11族、12族又は13族に属する金属(但し、Liを除く)を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1種の官能基であることが好ましい。上記Lは、1、2又は3であることが好ましく、1又は2であることがより好ましい。中でも−SOHは、リチウムとのイオン交換が容易である点で好ましい。側鎖にイオン解離性のスルホン酸塩基を有する共重合体を、イオン交換樹脂などを用いて−SOHを有する共重合体に変換し、その後リチウム塩に変換する方法は、容易に純度の高い−SOLiが得られるため、工業的に有利な方法である。
【0026】
本発明の第2の製造方法において、上記前駆体が含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOH基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体である場合、上記前駆体を得る工程は、含フッ素エチレン性モノマーと、イオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOH基及び−SOLi基を除く)を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して重合体を得て、該重合体が有するイオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOH基及び−SOLi基を除く)を−SOH基に変換して前駆体を得るものであることも好ましい。
イオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOH基及び−SOLi基を除く)を−SOH基に変換する方法としては、特に限定されないが、例えば、イオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOH基及び−SOLi基を除く)がイオン解離性のスルホン酸塩基(但し、−SOLi基を除く)である場合、イオン解離性のスルホン酸塩基(但し、−SOLi基を除く)を側鎖に有する含フッ素共重合体を、酸型に変換したイオン交換樹脂(例えば、ローム&ハース社製のアンバーライトIR120B等)に接触させる方法が挙げられる。より具体的には、イオン交換樹脂を硫酸を用いて酸型に変換した後、純水で洗浄し、酸型に変換したイオン交換樹脂を充填した容器に上記含フッ素共重合体を含む前駆体エマルションを通過させる方法が挙げられる。
【0027】
本発明は、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)と、−SOH基を側鎖に有する重合単位と、からなる含フッ素共重合体でもある。本発明はまた、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)と、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)と、−SOH基を側鎖に有する重合単位と、からなる含フッ素共重合体でもある。
【0028】
イオン解離性の官能基を有する共単量体は、ラジカル重合可能なビニル基と、−SOLi基に変換可能なイオン解離性の官能基とを有し、かつ含フッ素エチレン性モノマーと共重合可能な共単量体であることが好ましい。−SOLi基に変換可能なイオン解離性のスルホン酸誘導体としては、上述したイオン解離性のスルホン酸誘導体が挙げられる。また、−SOLi基に変換可能なイオン解離性のスルホン酸誘導体とは、pH8以下の溶液に接触させることで−SOLi基に変換可能な官能基である。
【0029】
イオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体としては、下記一般式(I−II)
CF=CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−A (I−II)
(式中、Aは、−SOH、−SONR、−SONR及び−SO1/Lからなる群より選択される少なくとも1種の官能基である。R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子若しくはM1/Lを表し、Rは水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基若しくはスルホニル含有基を表し、M及びMは、同一若しくは異なって、L価の金属を表し、前記L価の金属は、周期表の1族、2族、4族、8族、11族、12族又は13族に属する金属(但し、Liを除く)を表す。Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表されるビニルエーテルであることが好ましい。
【0030】
イオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体としては、含フッ素エチレン性モノマーとの共重合性が良い点、工業的に容易に合成できる点から、下記一般式(II)
CF=CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−SOX (II)
(式中、Xは、H、Na、K又はNHを表し、Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表されるビニルエーテルがより好ましい。
【0031】
含フッ素エチレン性モノマーとしては、例えばフッ化ビニリデン、テトラフルオロエチレン、トリフルオロエチレン、フッ化ビニル、ヘキサフルオロプロピレン、パーフルオロ(メチルビニルエーテル)、パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)等が挙げられる。
【0032】
含フッ素エチレン性モノマーとしては、中でも、含フッ素共重合体から得られるポリマー電解質や電池用電極が電気化学的に安定でイオン伝導性に優れることから、フッ化ビニリデンが好ましい。
【0033】
また、含フッ素エチレン性モノマーとして、フッ化ビニリデンと、フッ化ビニリデン以外の含フッ素エチレン性モノマーと、を使用することも好ましい。
【0034】
本発明者らの知見によれば、フッ化ビニリデンに基づく重合単位を含む共重合体は、塩基性の強い電極活物質と接触すると脱HF反応が起こることがあり、電極ペーストがゲル化する問題がある。フッ化ビニリデン以外の含フッ素エチレン性モノマーを共重合せしめることにより、フッ化ビニリデンの連鎖を短くすることで、脱HF反応を緩和して生産性を改善する効果があることが見出された。
【0035】
フッ化ビニリデン以外の含フッ素エチレン性モノマーとしては、中でも、共重合が容易であり、また電池系内で安定である点から、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーが好ましく、テトラフルオロエチレンがより好ましい。本発明は、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)と、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)と、−SOLi基を側鎖に有する重合単位と、からなることを特徴とする含フッ素共重合体でもある。
【0036】
上記含フッ素共重合体は、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)とフッ化ビニリデン以外の含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位(b)とのモル比A/(A+b)が0.50〜0.95であることが好ましく、0.60〜0.90であることがより好ましい。また、上記含フッ素共重合体は、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)とテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)とのモル比A/(A+B)が0.50〜0.95であることが好ましく、0.60〜0.90であることがより好ましい。
【0037】
フッ化ビニリデンの比率が多すぎると、上記脱HF反応により生産性が悪くなるおそれがある。少なすぎると、イオン伝導性が悪化するおそれがある。
【0038】
本発明の製造方法は、含フッ素エチレン性モノマーと−SOLi基又はイオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して含フッ素共重合体を得る工程を含む。
【0039】
ラジカル重合は、−SOLi基又はイオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体を水性媒体に溶解させ、含フッ素エチレン性モノマーと該共単量体とをラジカル重合することが好ましい。
【0040】
上記水性媒体は、液状であり、水を含むものであれば特に限定されない。水性媒体であることによって、環境負荷やコストに優れる。また、分散安定性も向上する。水性媒体中の水の含有量は、10質量%以上であることが好ましく、30質量%以上であることがより好ましく、50質量%以上であることがさらに好ましく、90質量%以上であることが特に好ましい。また、最も好ましくは、水性媒体が実質的に水からなることである。
【0041】
上記水性媒体は、水と共に、アルコール、エーテル、ケトン等のフッ素非含有有機溶媒、沸点が40℃以下であるフッ素含有有機溶媒等を含んでもよい。
【0042】
ラジカル重合は、界面活性剤の存在下に行ってもよいが、本発明は−SOLi基又はイオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体を重合させるものであることから、界面活性剤は必ずしも必要でない。むしろ界面活性剤を使用しないでラジカル重合する事で、不純物の少ないポリマーが得られる点で好ましい。
【0043】
ラジカル重合は、重合開始剤を添加して行うことが好ましい。重合開始剤としては、重合温度でラジカルを発生しうるものであれば特に限定されず、公知の油溶性及び/又は水溶性の重合開始剤を使用することができる。また、レドックス開始剤を使用してもよい。上記重合開始剤の濃度は、目的とする含フッ素共重合体の分子量、反応速度によって適宜決定される。
【0044】
上記重合開始剤としては、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム等の過硫酸塩、ジコハク酸パーオキシド、ジグルタル酸パーオキシド、tert−ブチルヒドロパーオキシド等の有機過酸化物が挙げられる。上記レドックス開始剤としては、過硫酸塩又は有機過酸化物と、亜硫酸ナトリウム等の亜硫酸塩、亜硫酸水素ナトリウム等の重亜硫酸塩、臭素酸塩、ジイミン、シュウ酸等の還元剤とを組み合わせたものが挙げられる。
【0045】
ラジカル重合は、0.05〜5.0MPaの圧力下で行うことができる。好ましい圧力の範囲は1.5〜3.0MPaである。また、ラジカル重合は、10〜100℃の温度で行うことができる。好ましい温度の範囲は50〜90℃である。ラジカル重合では、また、目的に応じて、公知の安定剤、連鎖移動剤等を添加してもよい。
【0046】
なお、本発明の第1の製造方法は、イオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOLi基を除く)を有する共単量体を、pH8以下の溶液に接触させて−SOLi基を有する共単量体を得る工程を含んでいてもよい。
【0047】
本発明の第2の製造方法は、ラジカル重合により得られた前駆体をpH8以下の溶液に接触させて、前駆体が有するイオン解離性のスルホン酸誘導体を−SOLi基に変換して含フッ素共重合体を得る工程を含む。
【0048】
本発明の第2の製造方法は、ラジカル重合で共重合せしめる共単量体がイオン解離性のスルホン酸誘導体を有するものであるので、極めて温和な条件で行われる−SOLi基に変換する工程を経ることによって、リチウム電池に好適な含フッ素共重合体を得ることができる。
【0049】
上記pH8以下の溶液としては、塩化リチウム、臭化リチウム、硝酸リチウム及び硫酸リチウムからなる群から選択されるリチウム塩の水溶液が好ましい。
【0050】
本発明の製造方法により得られる含フッ素共重合体は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる。
【0051】
フッ化ビニリデンに基づく重合単位は、下記式(1)
−CF−CH− (1)
で表される重合単位である。
【0052】
−SOLi基を側鎖に有する重合単位としては、下記式(2)
−CF−C(−O−(CFCFY−O)−(CFY−SOLi)F− (2)
(式中、Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表される重合単位であることが、工業的に容易に合成できる点から好ましい。
【0053】
本発明の製造方法により得られる含フッ素共重合体は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とのモル比が50/50〜97/3であることが好ましい。
【0054】
上記含フッ素共重合体は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位が多すぎると、結晶性が高くなり、柔軟性が低下して成形加工性が低下したり、ポリマー電解質の電気伝導度が低くなったりするおそれがある。また、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位が少なすぎると、柔軟性が高くなりすぎ、強度が低下するおそれがある。
【0055】
上記含フッ素共重合体は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位及び−SOLi基又はイオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体と共重合体を形成できる他の単量体に基づく重合単位を20モル%を超えない範囲で適宜含有させた共重合体であってもよい。
【0056】
他の単量体としては、例えばエチレン、プロピレン、イソブチレン、エチルビニルエーテル、酢酸ビニル、安息香酸ビニル、エチルアリルエーテル、シクロヘキシルアリルエーテル、ノルボルナジエン、クロトン酸及びそのエステル、アクリル酸及びそのアルキルエステル、メタクリル酸及びそのアルキルエステル等が挙げられる。
【0057】
上記含フッ素共重合体は、数平均分子量が1万〜100万であることが好ましい。数平均分子量が100万を超えると、溶解粘度が著しく高くなるため加工性がわるくなったり、ポリマー電解質の電気伝導度が低下したりするので好ましくない。一方、1万未満であると、ポリマー電解質の機械的強度が著しく低下するので好ましくない。数平均分子量として、特に好ましくは3万〜50万である。
【0058】
上記数平均分子量は、GPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフ)法により測定する値であり、例えば、以下に示す方法により、標準ポリスチレンを基準として数平均分子量を算出することができる。
TOSOH社製 HLC−8020を用い、カラムはポリスチレンゲル製MIXカラム(東ソーGMHシリーズ、30cmサイズ)を3本、40℃、NMP(5mmol/L LiBr含有)溶剤、流速0.7mL/分で行うことができる。サンプル濃度は、0.1重量%で打ち込み量は500μLで行うことができる。数平均分子量がポリスチレン換算値で100,000〜500,000程度のもの、好ましくは130,000〜450,000程度のもの、更に好ましくは、160,000〜400,000程度のものがより好ましい。
【0059】
本発明の製造方法としては、pH8以下の溶液に接触させて前駆体の官能基を−SOLi基に変換する工程を必要としない観点から、第1の製造方法であることが好ましい。
【0060】
本発明の製造方法により得られる含フッ素共重合体は、リチウム電池を構成する正極及び負極の少なくともいずれかを構成する電極、又は、電解質として好適に使用できる。
【0061】
本発明の製造方法により得られる含フッ素共重合体は、一次電池及び二次電池のいずれの電池にも使用できる。特に二次電池として使用する場合は、負極へのリチウムの析出がなく安全であり、上記含フッ素共重合体は、負極にリチウムの層間化合物を用いるリチウムイオン二次電池に用いることが特に好ましい。
【0062】
本発明は、上記製造方法により得られた含フッ素共重合体から形成されることを特徴とするポリマー電解質でもある。
【0063】
上記ポリマー電解質は、本発明の含フッ素共重合体を例えば膜状に加工し、リチウムイオンを伝導する機能を付与したものである。ポリマー中のリチウムイオンの移動度を高めるためには、リチウム塩を含浸して、ポリマー中のリチウムイオン濃度を高くする方法、リチウムイオンに配位する性質を持った化合物(リチウムイオン配位溶媒)を含浸する方法などがある。
【0064】
上記リチウム塩としては、LiCFSO、LiBF、LiPF、LiAsF、LiSbF、CFCOOLi、Li(CFSON等を使用できる。
【0065】
ポリマー電解質中のリチウム塩の含有量は0〜15重量%が好ましい。15重量%を超えて添加してもイオン伝導度の改善幅は乏しい。より好ましくは、10重量%である。
本発明のポリマーは−SOLiを含むので、リチウム塩を含浸しなくてもイオンを伝導することができる。上記リチウム塩の多くは毒性を示すので、含有量が少ないほど安全性が高く好ましい。
【0066】
上記リチウムイオン配位溶媒は、リチウムイオンに配位することで、リチウム塩を安定に電離せしめるものであり、主に非プロトン性の極性溶媒が用いられ、エーテル類、炭酸エステル類、カルボン酸エステル類、リン酸エステル類、スルホキシド等が好ましく用いられる。中でも、沸点が適度に高く、リチウムイオンへの配位能力が高い点で、炭酸エステル類が好ましい。
【0067】
上記炭酸エステルとしては環状又は鎖状のいずれも使用でき、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジメチルカーボネート、ジエチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、メチルプロピルカーボネート、メチルイソプロピルカーボネート等を使用することができる。さらに、水素原子の一部がフッ素原子で置換されていてもよい。また、上記炭酸エステルは、単独で又は2種以上を混合して使用できるし、他の溶媒と混合して使用してもよい。
【0068】
ポリマー電解質中のリチウムイオン配位溶媒の含有量は30〜80質量%が好ましい。30質量%未満であると電気伝導度が低くなる場合がある。80質量%を超えるとポリマー電解質が固体状態を保てなくなるおそれがある。リチウムイオン配位溶媒の含有量は35〜70質量%がより好ましい。
【0069】
本発明のポリマー電解質は種々の方法で作製できる。例えば、上記含フッ素共重合体を有機溶媒に溶解又は均一に分散させ、リチウムイオン配位溶媒と混合してポリマー電解質形成用混合液を得る。このポリマー電解質形成用混合液をガラス板上にバーコータ若しくはドクターブレードによる塗布、キャスト又はスピンコートした後、乾燥して主として前記共重合体を溶解又は分散させた有機溶媒を除去し、上記含フッ素共重合体がマトリックスを形成したポリマー電解質フィルムを得ることができる。乾燥時にリチウムイオン配位溶媒の溶媒が一部蒸発する場合は、該フィルムに新たにその溶媒を含浸させるか又はフィルムをその溶媒蒸気に暴露して所望の組成にする。
【0070】
上記含フッ素共重合体を溶解又は分散させる有機溶媒としては、テトラヒドロフラン(以下、「THF」という)、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、トルエン、キシレン、N−メチルピロリドン、アセトン、アセトニトリル、ジメチルカーボネート、酢酸エチル、酢酸ブチル等が使用できる。乾燥により選択的にこの有機溶媒を除去する観点からは、揮発性の有機溶媒であることが好ましく、THF、アセトン等の沸点100℃以下の有機溶媒がより好ましい。
【0071】
本発明はまた、上記製造方法により得られる含フッ素共重合体を含むリチウム電池用電極でもある。上記製造方法により得られる含フッ素共重合体は、結着剤として正極及び負極の一方又は両方に、好適に使用することができる。結着剤は、電極活物質を結着して電極の形状を維持する目的で使用するものである。
【0072】
正極に用いられる活物質は、一次電池の場合はリチウムイオンを吸蔵可能な物質であり、二次電池の場合はリチウムイオンを吸蔵、放出可能な物質である。例えば、周期表4族のTi、Zr、Hf、5族のV、Nb、Ta、6族のCr、Mo、W、7族のMn、8族のFe、Ru、9族のCo、10族のNi、11族のCu、12族のZn、Cd、13族のAl、Ga、In、14族のSn、Pb、15族のSb、Bi及び16族のTe等の金属を主成分とする酸化物及び複合酸化物、硫化物等のカルコゲン化物、オキシハロゲン化物、リン酸塩、前記金属とリチウムとの複合酸化物等が使用できる。また、ポリアニリン誘導体、ポリピロール誘導体、ポリチオフェン誘導体、ポリアセン誘導体、ポリパラフェニレン誘導体、又はそれらの共重合体等の導電性高分子材料も使用できる。
【0073】
正極に用いられる活物質として使用するリチウム含有化合物としては、特にリチウムとマンガンの複合酸化物、リチウムとコバルトの複合酸化物、リチウムとニッケルの複合酸化物、及び、オリビン構造のLiFePOからなる群より選択される少なくとも一種であることが好ましい。
【0074】
負極に用いられる活物質は、一次電池の場合はリチウムイオンを放出可能な材料であり、二次電池の場合はリチウムイオンを吸蔵、放出可能な材料である。これらの負極活物質を形成する材料は特に限定されないが、炭素材料、周期表14、15族の金属を主体とした酸化物、炭素化合物、炭化ケイ素化合物、酸化ケイ素化合物、硫化チタン、炭化ホウ素化合物等が挙げられる。
【0075】
炭素材料としては、様々な熱分解条件で有機物を熱分解したものや人造黒鉛、天然黒鉛、土壌黒鉛、膨張黒鉛、鱗片状黒鉛等を使用できる。また、周期表14、15族の金属を主体とした酸化物としては、酸化スズを主体とする化合物が使用できる。
【0076】
リチウムを吸蔵、放出可能な物質を負極活物質に使用した二次電池とする場合、負極及び正極の一方又は両方にリチウムを含有させる。一般的には正極活物質の合成時にリチウム含有化合物とし、正極活物質の固体マトリックス中にリチウムを含有させておく。また、電池組立前に負極に化学的又は電気化学的方法でリチウムを含有させたり、電池組立時にリチウム金属を負極及び正極の一方又は両方に接触させて組み込むといった方法でリチウムを含有させることもできる。
【0077】
本発明における正極及び負極は、活物質を有機溶媒と混練してスラリーとし、該スラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥して得ることが好ましい。より好ましくは、前記金属箔集電体にポリマー電解質形成用混合液を塗布し又は前記金属箔集電体をポリマー電解質形成用混合液に含浸させ、電極層の内部までポリマー電解質を浸透させる。また、上記ポリマー電解質形成用混合液をスラリーに混合してから金属箔集電体に塗布してもよい。
【0078】
また、上記含フッ素共重合体を有機溶媒に溶解又は分散させずに、多孔質フィルム状に形成し、活物質を含むスラリーを金属箔集電体に塗布、乾燥して得た正極及び負極の間にはさみ、その後にリチウムイオン配位溶媒を吸収せしめて電池素子を形成することもできる。
【0079】
本発明は、上記ポリマー電解質及び上記リチウム電池用電極の一方又は両方を含むことを特徴とするリチウム電池でもある。
【0080】
上記リチウム電池としては、所謂、リチウムイオン一次電池、リチウムイオン二次電池等が挙げられる。
【0081】
上記リチウム電池の形状には特に制約はない。シート状(いわゆるフィルム状)、折り畳み状、捲回型有底円筒形、ボタン形等が用途に応じて選択される。
【実施例】
【0082】
以下に、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。
【0083】
[実施例1]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSOLiを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して50℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.5MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、フッ化ビニリデンが消費されて圧力が低下するので、ゲージ圧0.5MPaを維持するようにフッ化ビニリデンを追加供給した。
6時間後、フッ化ビニリデンを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0084】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了した。
【0085】
上記エマルションを120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とCF=CFOCFCFSOLiに基づく重合単位とのモル比が82/18であることを確認した。
【0086】
上記エマルション50gに、ジメチルスルフォキシド20gを加え、ガラスシャーレに展開し、ホットプレート上で150℃に加熱して乾燥させ、厚さ90μmのフィルムを得た。
【0087】
他方、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、ジエチルカーボネートとプロピレンカーボネート1:1の混合溶媒にLiPFを溶解して、重量比で45/45/10の溶液を作成した。グローブボックス中で、上記溶液を40℃に加熱し、上記フィルムを浸漬した。2時間後、上記フィルムを取り出して、リチウムイオン伝導性の電解質膜を得た。
【0088】
上記電解質膜を、四端子交流インピーダンス法により電気伝導度を40℃、アルゴン雰囲気中で測定した。電気伝導度は7×10−4S/cmであった。
【0089】
[実施例2]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSOLiを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して50℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンが9/1の組成であるガスを導入してゲージ圧0.45MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、圧力が低下するので、ゲージ圧0.45MPaを維持するようにフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=7/3の組成のガスを追加供給した。
6時間後、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=7/3の組成のガスを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0090】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了した。
【0091】
上記エマルションを120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位、CF=CFOCFCFSOLiに基づく重合単位とのモル比がそれぞれ56/24/20であることを確認した。
【0092】
上記エマルション50gに、ジメチルスルフォキシド20gを加え、ガラスシャーレに展開し、ホットプレート上で150℃に加熱して乾燥させ、厚さ100μmのフィルムを得た。
【0093】
他方、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、ジエチルカーボネートとプロピレンカーボネート1:1の混合溶媒にLiPFを溶解して、重量比で45/45/10の溶液を作成した。グローブボックス中で、上記溶液を40℃に加熱し、上記フィルムを浸漬した。2時間後、上記フィルムを取り出して、リチウムイオン伝導性の電解質膜を得た。
【0094】
上記電解質膜を、四端子交流インピーダンス法により電気伝導度を40℃、アルゴン雰囲気中で測定した。電気伝導度は7×10−4S/cmであった。
【0095】
[実施例3]
実施例2で得られたエマルション50重量部に、Nメチル−2−ピロリジノン50重量部を加え、正極活物質としてLiCoO粉末を85重量部、導電材としてアセチレンブラック5重量部を加え、ホモジナイザーで混合して、スラリーを得た。このスラリーを厚さ20μmのアルミニウム箔にバーコータにて塗布、乾燥して、リチウム二次電池に用いられる正極を得た。
【0096】
[比較例1]
市販のポリフッ化ビニリデン(ダイキン工業社製 VP−850)20重量部をNメチル−2−ピロリジノン80重量部に溶解し、正極活物質としてLiCoO粉末を85重量部、導電材としてアセチレンブラック5重量部を加え、ホモジナイザーで混合した。ペーストはゲル化したため、塗布できなかった。
【0097】
[実施例4]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSONaを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して50℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンが9/1の組成であるガスを導入してゲージ圧0.45MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、圧力が低下するので、ゲージ圧0.45MPaを維持するようにフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=7/3の組成のガスを追加供給した。
6時間後、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=7/3の組成のガスを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0098】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了し、純水を加えて全量を3.0kgに調整した。
【0099】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを硫酸を用いて酸型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。
上記エマルション200gを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOH基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0100】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを飽和炭酸リチウム水溶液に浸漬してリチウム塩型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。上記エマルションを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOLi基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0101】
上記エマルションを120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位、CF=CFOCFCFSOLiに基づく重合単位とのモル比がそれぞれ55/27/18であることを確認した。
【0102】
また、上記ポリマーのNMP溶液をGPCで測定したところ、数平均分子量は30万であった。
【0103】
上記エマルション50gに、ジメチルスルフォキシド20gを加え、ガラスシャーレに展開し、ホットプレート上で150℃に加熱して乾燥させ、厚さ100μmのフィルムを得た。他方、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、ジエチルカーボネートとプロピレンカーボネート1:1の混合溶媒にLiPFを溶解して、重量比で45/45/10の溶液を作成した。グローブボックス中で、上記溶液を40℃に加熱し、上記フィルムを浸漬した。2時間後、上記フィルムを取り出して、リチウムイオン伝導性の電解質膜を得た。
上記電解質膜を、四端子交流インピーダンス法により電気伝導度を40℃、アルゴン雰囲気中で測定した。電気伝導度は1.0×10−3S/cmであった。
【0104】
[実施例5]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSONaを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して42℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンが9/1の組成であるガスを導入してゲージ圧0.35MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、圧力が低下するので、ゲージ圧0.35MPaを維持するようにフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=9/1の組成のガスを追加供給した。
9時間後、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=9/1の組成のガスを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0105】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了し、純水を加えて全量を3.0kgに調整した。
【0106】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを硫酸を用いて酸型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。
上記エマルション200gを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOH基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0107】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを飽和炭酸リチウム水溶液に浸漬してリチウム塩型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。上記エマルションを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOLi基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0108】
上記エマルションを120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位、CF=CFOCFCFSOLiに基づく重合単位とのモル比がそれぞれ64/7/29であることを確認した。
【0109】
また、上記ポリマーのNMP溶液をGPCで測定したところ、数平均分子量は23万であった。
【0110】
上記エマルション50gに、ジメチルスルフォキシド20gを加え、ガラスシャーレに展開し、ホットプレート上で150℃に加熱して乾燥させ、厚さ100μmのフィルムを得た。他方、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、ジエチルカーボネートとプロピレンカーボネート1:1の混合溶媒にLiPFを溶解して、重量比で45/45/10の溶液を作成した。グローブボックス中で、上記溶液を40℃に加熱し、上記フィルムを浸漬した。2時間後、上記フィルムを取り出して、リチウムイオン伝導性の電解質膜を得た。
上記電解質膜を、四端子交流インピーダンス法により電気伝導度を40℃、アルゴン雰囲気中で測定した。電気伝導度は1.1×10−3S/cmであった。
【0111】
[実施例6]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSONaを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して50℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンが9/1の組成であるガスを導入してゲージ圧0.60MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、圧力が低下するので、ゲージ圧0.60MPaを維持するようにフッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=9/1の組成のガスを追加供給した。
6時間後、フッ化ビニリデン/テトラフルオロエチレン=9/1の組成のガスを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0112】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了し、純水を加えて全量を3.0kgに調整した。
【0113】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを硫酸を用いて酸型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。
上記エマルション200gを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOH基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0114】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 200gを飽和炭酸リチウム水溶液に浸漬してリチウム塩型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。上記エマルションを、上記ビュレットを1時間かけて通過させて、側鎖に−SOLi基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0115】
上記エマルションを120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とテトラフルオロエチレンに基づく重合単位、CF=CFOCFCFSOLiに基づく重合単位とのモル比がそれぞれ78/9/13であることを確認した。
【0116】
また、上記ポリマーのNMP溶液をGPCで測定したところ、数平均分子量は60万であった。
【0117】
上記エマルション50gに、ジメチルスルフォキシド20gを加え、ガラスシャーレに展開し、ホットプレート上で150℃に加熱して乾燥させ、厚さ100μmのフィルムを得た。他方、アルゴン雰囲気のグローブボックス中で、ジエチルカーボネートとプロピレンカーボネート1:1の混合溶媒にLiPFを溶解して、重量比で45/45/10の溶液を作成した。グローブボックス中で、上記溶液を40℃に加熱し、上記フィルムを浸漬した。2時間後、上記フィルムを取り出して、リチウムイオン伝導性の電解質膜を得た。
上記電解質膜を、四端子交流インピーダンス法により電気伝導度を40℃、アルゴン雰囲気中で測定した。電気伝導度は0.9×10−3S/cmであった。
【0118】
[参考例1]
内容積3Lの撹拌機付きステンレス製オートクレーブを用い、イオン交換水を1500g、CF=CFOCFCFSONaを300g仕込んだ。次いで、オートクレーブを窒素置換した後、フッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.2MPaまで昇圧して50℃まで昇温した。その後、さらにフッ化ビニリデンを導入してゲージ圧0.50MPaまで昇圧した後、過硫酸アンモニウム3gを水20gに溶解した溶液を仕込んで重合を開始した。重合が進行するにつれて、圧力が低下するので、ゲージ圧0.50MPaを維持するようにフッ化ビニリデンを追加供給した。6時間後、フッ化ビニリデンを200g仕込んだ時点で、オートクレーブの圧力を開放して重合を終了して、エマルションを得た。
【0119】
上記エマルション1.5kgを水1.5kgで希釈した後、ミリポア社製限外ろ過装置(Pellicon−2 Cassette Biomax−10)を用いて、未反応の水溶性モノマーと水溶性の不純物とを除去しながらエマルションの全量が2.0〜3.0kgになるように純水を追加して精製した。ハンディ型のイオン伝導率計(コンパクト導電率計 B−173型)を用いて調べた濾液のイオン伝導度が0S・cm−1になった時点で、精製を終了し、純水を加えて全量を3.0kgに調整した。
【0120】
別途ローム&ハース社製、アンバーライトIR120B 3kgを硫酸を用いて酸型に変換した後、純水で十分に洗浄し、硝子製ビュレットに充填した。上記エマルションを、上記ビュレットを6時間かけて通過させて、側鎖に−SOH基を有するポリマーのエマルションを得た。
【0121】
上記エマルションの一部を120℃で乾燥し、得られたポリマーをNメチル−2−ピロリジノンに溶解して、NMR(ブルカー社製 フーリエ変換核磁気共鳴装置(FT−NMR)AC300P)で分析して、ポリマー組成を調べたところ、ポリマーに含まれるフッ化ビニリデンに基づく重合単位とCF=CFOCFCFSOHに基づく重合単位とのモル比がそれぞれ85/15であることを確認した。また、エマルションの乾燥前後の重量変化から、エマルションの固形分は10.1%であった。
【産業上の利用可能性】
【0122】
本発明の製造方法は、リチウム電池を構成するポリマー電解質や電極に適した含フッ素共重合体を製造する方法として好適に利用できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、
含フッ素エチレン性モノマーと−SOLi基を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項2】
含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とからなる含フッ素共重合体の製造方法であって、
含フッ素エチレン性モノマーとイオン解離性のスルホン酸誘導体(但し、−SOLi基を除く)を有する共単量体とを水性媒体中でラジカル重合して前駆体を得る工程、及び、
前記前駆体をpH8以下の溶液に接触させて前記スルホン酸誘導体を−SOLi基に変換して含フッ素共重合体を得る工程を含むことを特徴とする含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項3】
含フッ素エチレン性モノマーは、フッ化ビニリデンである請求項1又は2記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項4】
含フッ素エチレン性モノマーは、フッ化ビニリデンと、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーと、である請求項1、2又は3記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項5】
−SOLi基を有する共単量体は、下記式(I−I)
CF=CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−SOLi(I−I)
(式中、Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表されるビニルエーテルである請求項1、3又は4記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項6】
イオン解離性のスルホン酸誘導体は、−SOH、−SONR、−SONR及び−SO1/L
(但し、R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子若しくはM1/Lを表し、Rは水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基若しくはスルホニル含有基を表し、M及びMは、同一若しくは異なって、L価の金属を表し、前記L価の金属は、周期表の1族、2族、4族、8族、11族、12族又は13族に属する金属(但し、Liを除く)を表す。)
からなる群より選択される少なくとも1種の官能基である請求項2、3又は4記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項7】
イオン解離性のスルホン酸誘導体を有する共単量体は、下記一般式(I−II)
CF=CF−O−(CFCFY−O)−(CFY−A (I−II)
(式中、Aは、−SOH、−SONR、−SONR及び−SO1/Lからなる群より選択される少なくとも1種の官能基である。R、R、R及びRは、同一又は異なり、水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基を表し、Rは水素原子若しくはM1/Lを表し、Rは水素原子若しくは炭素数1〜4のアルキル基若しくはスルホニル含有基を表し、M及びMは、同一若しくは異なって、L価の金属を表し、前記L価の金属は、周期表の1族、2族、4族、8族、11族、12族又は13族に属する金属(但し、Liを除く)を表す。Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表されるビニルエーテルである請求項2、3、4又は6記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項8】
含フッ素共重合体において、−SOLi基を側鎖に有する重合単位は、下記式(2)
−CF−C(−O−(CFCFY−O)−(CFY−SOLi)F− (2)
(式中、Yは、F、Cl又はCFを表し、YはF又はClを表し、n及びmは0〜2の整数を表す。)
で表される請求項1、2、3、4、5、6又は7記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項9】
含フッ素共重合体は、含フッ素エチレン性モノマーに基づく重合単位と−SOLi基を側鎖に有する重合単位とのモル比が50/50〜97/3である請求項1、2、3、4、5、6、7又は8記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項10】
含フッ素共重合体は、フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)とテトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)とのモル比A/(A+B)が0.50〜0.95である請求項4、5、6、7、8又は9記載の含フッ素共重合体の製造方法。
【請求項11】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の製造方法により得られた含フッ素共重合体から形成されることを特徴とするポリマー電解質。
【請求項12】
請求項1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10記載の製造方法により得られた含フッ素共重合体を含むことを特徴とするリチウム電池用電極。
【請求項13】
請求項11記載のポリマー電解質及び請求項12記載のリチウム電池用電極の一方又は両方を含むことを特徴とするリチウム電池。
【請求項14】
フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)と、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)と、−SOLi基を側鎖に有する重合単位と、からなることを特徴とする含フッ素共重合体。
【請求項15】
フッ化ビニリデンに基づく重合単位(A)と、テトラフルオロエチレン及びヘキサフルオロプロピレンからなる群より選択される少なくとも1種のモノマーに基づく重合単位(B)と、−SOH基を側鎖に有する重合単位と、からなることを特徴とする含フッ素共重合体。

【公開番号】特開2011−174032(P2011−174032A)
【公開日】平成23年9月8日(2011.9.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−139853(P2010−139853)
【出願日】平成22年6月18日(2010.6.18)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】