説明

含フッ素重合体の製造方法

【課題】化学的に安定な末端構造を有する、狭分子量分布の含フッ素ノルボルネン類の重合体を提供すること。
【解決手段】下式(c1)で表される化合物と下式(c2)で表される化合物とを反応させてなる触媒の存在下に、下式(m)で表される単量体の1種以上、または下式(m)で表される単量体の1種以上と該単量体と共重合する単量体の1種以上とを含む単量体、の付加重合を行うことを特徴とする、下式(p)で表される繰り返し単位を必須とする含フッ素重合体の製造方法。
(RP)→(M(R)(L (c1)
(L (c2)
【化1】

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、含フッ素重合体の製造方法を提供する。
【背景技術】
【0002】
含フッ素重合体は、撥水撥油性、耐熱性、薬品耐性、透明性等の物性に優れており、種々の機能性材料として使用されている。より優れた物性を有する含フッ素重合体を製造するために、様々な含フッ素単量体の合成が検討されている。
重合性環構造を有する含フッ素単量体である含フッ素ノルボルネン類に関しても、いくつかの合成例が報告されている。
含フッ素ノルボルネン類の重合体は、撥水撥油性、耐熱性、薬品耐性、透明性等の物性が要求される各種用途への応用が期待されている。
【0003】
該重合体の製造原料となりうる含フッ素−2−ノルボルネンとしては、たとえば、非特許文献1にはペルフルオロアルキル基を有する含フッ素ノルボルネンである下記化合物(m)が、特許文献1にはヒドロキシ基を有する含フッ素ノルボルネンである下記化合物(m)が、特許文献2にはフルオロスルホニル基を有する含フッ素ノルボルネンである下記化合物(m)が、記載されている。
ノルボルネンを重合に試みた例としては、特許文献3に(a)パラジウムジ(エタノアート)[(CHCOO−)Pd]、(b)トリシクロヘキシルホスフィン[CyP]、および(c)[PhC・B(C]の3成分からなる多成分触媒を用いて、非フッ素のノルボルネン類を重合させた例が報告されている。
含フッ素ノルボルネン類の重合の試みについては、特許文献4の実施例270に、[(CyP)Pd(CHCH=CH)(OCOCF)]とLi[B(C]の存在下に、化合物(m)を単独で重合させた例が記載されている(Cyはシクロヘキシル基である。)
【0004】
【化1】

【0005】
【非特許文献1】Journal of Fluorine Chemistry,39(1988)173〜196
【特許文献1】特開2003−137939号公報
【特許文献2】特開2007−077141号公報
【特許文献3】特開2006−321912号公報
【特許文献4】国際公開第00/20472号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、含フッ素ノルボルネンの付加重合法に関しては、精緻な検討がされておらず、得られる含フッ素重合体の種類(重合体組成、分子量、分子量分布、重合体末端構造等。)も限定されているのが実情である。
たとえば、特許文献4に記載の触媒を用いた場合には、重合体の末端構造がCHCH=CHとなるため、重合体の化学的安定性が劣る問題を有する。実際に本発明者らが該触媒を用いた重合反応を行った結果、モノマーと触媒を一括で仕込んで重合反応を行おうとしたが重合体は得られず、また、含フッ素ノルボルネンを連続添加しながら重合反応を行ったところ、ポリマー中への含フッ素ノルボルネンの繰り返し単位の導入割合はきわめて低いとする結果であった。
発明の目的は、化学的に安定な末端構造を有し、狭分子量分布の、含フッ素ノルボルネンのモノマー単位が導入された重合体を得ることにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者らは、含フッ素ノルボルネンの付加重合法に関して鋭意検討を行った結果、不飽和基を含まない特定の触媒を用いることにより、化学的に安定な末端構造を有する、狭分子量分布の含フッ素ノルボルネン類の重合体が得られるという知見を得た。
すなわち、本発明は下記の発明を提供する。
[1]下式(c1)で表される化合物と下式(c2)で表される化合物とを反応させてなる触媒の存在下に、下式(m)で表される単量体の1種以上、または下式(m)で表される単量体の1種以上と該単量体と共重合する単量体の1種以上とを含む単量体、の付加重合を行うことを特徴とする、下式(p)で表される繰り返し単位を必須とする含フッ素重合体の製造方法。
(RP)→(M(R)(L (c1)
(L (c2)
【0008】
【化2】

【0009】
ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
(RP)→:(RP)がMに配位結合していることを示す(ただし、R、RおよびRは、それぞれ独立に、1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基)。
:8〜11族の2価遷移金属原子。
:1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価飽和炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、または、ヘテロ原子を含む1価芳香族炭化水素基。
:ハロゲン原子アニオン。
:アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、11族原子カチオン、または13族原子カチオン。
n:Mの価数に対応し、Mがアルカリ金属カチオン、11族原子カチオン、または13族原子カチオンである場合は1であり、Mがアルカリ土類金属カチオンである場合は2。
:RCOO、RSO、(R−SO−)(R−SO−)N、または式E(X)(ただし、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基を示し、RとRは共同で、2価炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価炭化水素基、2価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価ハロゲン化炭化水素基を形成していてもよい。Eはホウ素原子、アルミニウム原子、窒素原子、リン原子、ヒ素原子、またはアンチモン原子。Xはハロゲン原子または1価ハロゲン化炭化水素基。mはEがリン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子である場合には6であり、Eがホウ素原子、アルミニウム原子または窒素原子である場合には4。)。
F1、F2、RF3、およびRF4:それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または1価含フッ素有機基であり、かつ、少なくとも1つは1価含フッ素有機基。または、RF1とRF3は共同で2価含フッ素有機基を形成し、RF2とRF4は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子。
Z:炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子。
[2]下式(m)で表される単量体の1種以上と該単量体と共重合する単量体の1種以上とを含む単量体の付加重合において、下式(m)で表される単量体の1種以上に、該単量体と共重合する単量体の1種以上を添加しながら付加重合を行う上記[1]に記載の製造方法。
[3]Rが、炭素数1〜6の1価飽和炭化水素基、炭素数1〜6のヘテロ原子を含む1価飽和炭化水素基、または、炭素数6〜20の1価芳香族炭化水素基である上記[1]または[2]に記載の製造方法。
[4]Rが、メチル基またはフェニル基である上記[1]〜[3]のいずれかに記載の製造方法。
[5]含フッ素重合体の重合末端の少なくとも1つが、メチル基またはフェニル基である上記[1]〜[4]のいずれかに記載の製造方法。
[6]RF1が、炭素数1〜8のフルオロアルキル基または炭素数1〜8の置換フルオロアルキル基であり、RF2、RF3、およびRF4が水素原子である上記[1]〜[5]のいずれかに記載の製造方法。
[7]含フッ素重合体の分子量分布が、1.0〜1.5である上記[1]〜[6]のいずれかに記載の製造方法。
[8]含フッ素重合体の重量平均分子量が、2000超である上記[1]〜[7]のいずれかに記載の製造方法。
[9]R、RおよびRが、それぞれ独立して、1価脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価脂肪族炭化水素基、1価ハロゲン化脂肪族炭化水素基、およびヘテロ原子を含む1価ハロゲン化脂肪族炭化水素基から選ばれる基でありかつ3級炭素原子を含む基である、または、
、RおよびRが、それぞれ独立して、1価芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価芳香族炭化水素基、1価ハロゲン化芳香族炭化水素基、およびヘテロ原子を含む1価ハロゲン化芳香族炭化水素基から選ばれる基でありかつハロゲン原子以外の置換基を有する基である、上記[1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法。
[10]Mが、パラジウム原子、ニッケル原子または白金原子である上記[1]〜[9]のいずれかに記載の製造方法。
[11]式(m)で表される単量体と共重合する単量体が、2−ノルボルネン骨格を有し、かつ、フッ素原子を含まない化合物である上記[1]〜[10]のいずれかに記載の製造方法。
[12]式(p)で表される繰り返し単位が、下式(p)で表される繰り返し単位であり、含フッ素重合体の分子量分布が1.0〜1.5である上記[1]〜[11]のいずれかに記載の製造方法。
【0010】
【化3】

【0011】
式中の記号は下記の意味を示す。
:メチレン基、モノメチルメチレン基、ジメチルメチレン基または酸素原子。
F10:炭素数4〜12の含フッ素アルキル基または炭素数4〜12のエーテル性酸素原子を含む含フッ素アルキル基。
[13]全繰り返し単位の総モル量に対する式(p)で表される繰り返し単位の割合が1〜75モル%である上記[12]に記載の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明の製造方法によれば、化学的に安定な末端構造を有する、狭分子量分布の含フッ素ノルボルネンの重合体が提供される。本発明の含フッ素重合体は、耐熱性、耐候性、耐光性、非固着性、透明性に、特に優れている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
本明細書において、式(m)で表される単量体を単量体(m)と、式(c1)で表わされる化合物を化合物(c1)と、式(p)で表される繰り返し単位を繰り返し単位(p)と、記すことがある。他の化合物と他の繰り返し単位も同様に記す。また、基中の記号は、特に記載しない限り前記の意味と同じ意味を示す。
【0014】
本発明者らは、有機金属錯体を触媒として含フッ素ノルボルネンを付加重合させる場合には、有機金属錯体の触媒能が、含フッ素ノルボルネン由来のフッ素原子により阻害され重合が進行しない可能性があると考えた。また、重合したとしても、重合体の重合末端に結合する有機金属錯体中の配位子が、重合体の物性を低下させると考えた。
【0015】
そこで本発明者らは、立体的に嵩高く化学的に安定な単座配位子を有する有機金属錯体を含フッ素ノルボルネン類の重合触媒として検討した。その結果、重合末端が化学的に安定であり、分子量が高く、分子量分布が狭い含フッ素ノルボルネン類の重合体を得ることに成功した。得られた重合体は、撥水撥油性、機械的強度等の物性および溶媒溶解性に優れることから、該重合体を溶剤溶液とすることによって前記物性を有する被膜を形成しうる。
【0016】
本発明においては、下記化合物(c1)と下記化合物(c2)とを反応させてなる触媒の存在下に付加重合を行う。
(RP)→(M(R)(L (c1)
(L (c2)
【0017】
式(c1)の表記において、(RP)→は、(RP)なる原子団が、Mに配位結合し、MとLとはイオン結合を形成し、RはMに共有結合で結合している。
、RおよびRは、それぞれ独立に、1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、ハロゲン化1価炭化水素、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基を示し、1価炭化水素基、または、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基が好ましい。ヘテロ原子としては、エーテル性酸素原子、窒素原子が好ましい。
、RおよびRは、炭素数1〜6のアルキル基または炭素数6〜20の芳香族炭化水素基が好ましく、中でも分岐構造を有する炭素数1〜6のアルキル基、1価の有橋炭化水素基、フェニル基、およびフェニル置換フェニル基から選ばれる基、またはこれらの基中の水素原子の1個以上が置換された基、が特に好ましい。さらに、R、RおよびRは、同一の基であることが好ましい。
【0018】
、RおよびRの具体例としては、嵩高い化学構造を有する前記の基が好ましく、t-ブチル基、1−アダマンチル基、ならびにアルキル基、アルコキシ基、置換アミノ基、フッ素原子、フルオロアルキル基およびフェニル基から選ばれる基が1個以上置換したフェニル基から選ばれる基が好ましい。これらの基の具体例は、後述する具体例中に示される。
【0019】
(RP)部分の具体例としては、下記の例が挙げられる。
【0020】
【化4】

【0021】
化合物(c1)におけるMは、8〜11族の2価遷移金属原子である。なかでもパラジウム原子、ニッケル原子または白金原子であるのが好ましく、パラジウムであるのが特に好ましい。
【0022】
化合物(c1)におけるRは、1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価飽和炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、または、ヘテロ原子を含む1価芳香族炭化水素基である。Rは、付加重合において重合開始末端を形成する基であるため、本発明の製造方法により得られる含フッ素重合体末端には、化学的に安定な構造の基が結合する。Rは、炭素数1〜6の1価飽和炭化水素基または炭素数6〜12の1価芳香族炭化水素基であるのが好ましく、メチル基またはフェニル基であるのが特に好ましい。
【0023】
化合物(c1)におけるLとしては、塩素イオンが好ましい。
【0024】
化合物(c1)の具体例としては、{[(CHC]P}Pd(CH)Cl、{[(CHC]P}Pd(CH)Ph、{(1、3、5−(CHP}Pd(CH)Cl等が挙げられる。
【0025】
化合物(c2)は、n(1〜2)価の金属カチオンであるMに、n個のLが結合または配位している化合物を示す。Mは、アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、11族原子カチオン、または13族原子カチオンであり、アルカリ金属カチオン、11族原子カチオンが好ましい。
化合物(c2)は、助触媒として機能すると考えられる。すなわち、化合物(c2)を反応系中に存在させることにより、化合物(c1)を単独で用いる場合に比して格段に重合反応の収率を向上させうる。
におけるアルカリ金属としては、リチウム原子、ナトリウム原子、カリウム原子が挙げられ、アルカリ土類金属としては、マグネシウム原子、カルシウム原子が挙げられ、11族原子としては、銀原子が挙げられ、13族原子カチオンとしては、タリウムカチオンが挙げられる。
【0026】
化合物(c2)におけるLは、RCOO、RSO、(R−SO−)(R−SO−)N、または式E(X)で表される原子団である。
、R、RおよびRは、それぞれ独立に、1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基を示し、ハロゲン化1価炭化水素基が好ましく、特に炭素数1〜8のフルオロアルキル基が好ましい。
【0027】
また、RとRは共同で、2価炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価炭化水素基、2価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価ハロゲン化炭化水素基を形成していてもよい。この場合、RとRの炭素数は1〜8であることが好ましい。
【0028】
式E(X)において、Eはホウ素原子、アルミニウム原子、窒素原子、リン原子、ヒ素原子、またはアンチモン原子であり、ホウ素原子、リン原子が好ましい。Xはハロゲン原子または1価ハロゲン化炭化水素基であり、ハロゲン原子が好ましい。mはEがリン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子である場合には6であり、Eがホウ素原子、アルミニウム原子または窒素原子である場合には4である。
【0029】
なかでも、Lはフルオロアルキルカルボキシラート、フルオロアルキルスルホナート、ビス(フルオロアルキルスルホニル)イミド、(B(X)(Xは、フッ素原子または1価フルオロ芳香族炭化水素基を示す。)、Al(X(Xは、1価フルオロ芳香族炭化水素基を示す。)またはE(Eは、リン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子を示す。)から選ばれる原子団のアニオンが好ましい。
【0030】
化合物(c2)中のLの具体例としては、CFSO、CFCOO、(CFSO、BF、B(C、B[3,5−(CF、Al(C、Al[3,5−(CF、PF、AsF,SbFが挙げられる。
【0031】
本発明の製造方法においては、触媒を得るにあたり、化合物(c1)に対して化合物(c2)を0.5〜50倍モル用いるのが好ましく、1〜10倍モル用いるのが特に好ましい。
【0032】
化合物(c1)と化合物(c2)との反応では、下式(c3)で表される化合物が生成し、該化合物が触媒として作用しているものと考えられる(ただし、下式における記号は、前記と同じ意味を示す)。
(RP)→(M(R)(L (c3)
【0033】
化合物(c3)の具体例としては、下記の例が挙げられる。
[(CHC]P→[Pd(CH)][B(C
[(CHC]P→[Pd(CH)]{[3,5−(CFB}
[(CHC]P→[Pd(Ph)]{[3,5−(CFB}
{[1、3、5−(CHP}→[Pd(CH)]{[3,5−(CFB}
【0034】
本発明においては、上記触媒の存在下、単量体(m)の1種以上、または単量体(m)の1種以上と該単量体(m)と共重合しうる単量体(以下、コモノマー(n)ともいう。)の1種以上とを含む単量体の、付加重合を行い、繰り返し単位(p)を必須とする重合体を得る。
【0035】
【化5】

【0036】
単量体(m)および繰り返し(p)中のZは、炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり、メチレン基、メチルメチレン基、ジメチルメチレン基または酸素原子が好ましい。
【0037】
本発明における単量体(m)および繰り返し単位(p)中の4個のRF1〜RF4の好ましい態様としては、それぞれ独立に水素原子、フッ素原子または1価含フッ素有機基であって少なくとも1個のRが1価含フッ素有機基である場合、または異なる炭素原子に結合した2個のRがそれぞれ独立に水素原子またはフッ素原子であって残余の2個のRが共同して2価含フッ素有機基を形成する場合、が挙げられる。なかでも3個が水素原子であって残余の1個が1価含フッ素有機基である場合、または2個が水素原子であって残余の2個が1価含フッ素有機基である場合、または異なる炭素原子に結合する2個すなわちRF1とRF3がフッ素原子であり残余の2個が共同して2価含フッ素有機基を形成する基である場合、が特に好ましい。
【0038】
1価含フッ素有機基である場合、フルオロアルキル基、または、ヒドロキシ基、カルボキシ基、チオール基、アミノ基、フルオロスルホニル基、スルホン酸基およびリン酸基からなる群から選ばれる基を1以上有する置換フルオロアルキル基が好ましい。
また前記フルオロアルキル基および置換フルオロアルキル基中の炭素原子−炭素原子間には、−O−、−S−、−C(O)−、−C(O)O−、−または−SON(Y)−(ただし、Yは炭素数1〜10のアルキル基または炭素数1〜10のポリフルオロアルキル基を示す。)が挿入されていてもよい。
1価含フッ素有機基の炭素数は、1〜20が好ましく、1〜8が特に好ましく、4〜8がとりわけ好ましい。ポリフルオロアルキル基とは、アルキル基の水素原子の1以上がフッ素原子に置換された基をいい、アルキル基の水素原子の全てがフッ素原子に置換されたペルフルオロアルキル基が好ましい。
【0039】
F1とRF3が共同で2価含フッ素有機基を形成している場合の該基としては、ペルフルオロアルキレン基が好ましい。2価含フッ素有機基の炭素数は、2〜6が好ましい。残余のRF2およびRF4は、フッ素原子であるのが好ましい。
【0040】
本発明における単量体(m)の具体例としては、下記の例が挙げられる。
【0041】
【化6】

【0042】
本発明における繰り返し単位(p)の具体例としては、下記単位が挙げられる。
【0043】
【化7】

【0044】
本発明の製造方法においては、単量体(m)を単独でビニル付加重合させてもよく、単量体(m)と、単量体(m)とコモノマー(n)とをビニル付加重合させてもよい。
【0045】
コモノマー(n)としては、フッ素原子を含まないノルボルネン類が好ましく、下記化合物(n−1)または下記化合物(n−2)が特に好ましい。ただし、下式中のR10〜R30は、それぞれ独立に、水素原子、フルオロスルホニル基、加水分解性シリル基、またはアルコキシカルボニル基を示し、または、R20とR30は共同で酸無水物基を形成していてもよい。
【0046】
【化8】

【0047】
化合物(n−1)または化合物(n−2)の具体例としては、下記の例が挙げられる。
【0048】
【化9】

【0049】
含フッ素重合体がコモノマー(n)の繰り返し単位を含む場合は、含フッ素重合体の全繰り返し単位に対する化合物(m)の繰り返し単位の割合は、0.1〜99.9モル%が好ましく、1〜20モル%が特に好ましく、コモノマー(n)の繰り返し単位の割合は、99.9〜0.1モル%が好ましく、99〜80モル%が好ましい。コモノマー(n)の繰り返し単位を含む含フッ素重合体は、化合物(m)の繰り返し単位に由来する物性である撥水撥油性、静電性、光学特性等と、有機溶媒に対する良好な溶解性とを併せ持つことから、コーティング組成物として種々の用途に用いうる。
【0050】
また、本発明の製造方法においては、化合物(c1)と化合物(c2)の総質量に対して、単量体(m)を含む単量体を10倍質量以上用いるのが好ましく、200倍質量以上を用いるのが特に好ましい。また、上限としては10倍質量以下が好ましく、10倍質量以下が特に好ましい。
【0051】
重合反応は、溶媒の存在下に行うのが好ましい。溶媒は、単量体を良好に溶解する溶媒が好ましく、脂環式飽和炭化水素溶媒(シクロヘキサン、シクロペンタン、メチルシクロペンタン等。)、鎖式脂肪族飽和炭化水素溶媒(ヘキサン、ヘプタン、オクタン等。)、芳香族炭化水素溶媒(トルエン、ベンゼン、キシレン、エチルベンゼン、メシチレン。)、ハロゲン化炭化水素溶媒(ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエタン、テトラクロロエタン、クロロベンゼン、ジクロロベンゼン等。)、アルコール(メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノール、)、水が特に好ましい。
【0052】
溶媒量は、単量体(m)の総質量[ただし、コモノマーを用いる場合には、単量体(m)とコモノマー(n)との総質量]に対して、0超〜20倍質量部用いるのが好ましい。
【0053】
重合反応は、−20℃〜120℃の温度範囲で行うのが好ましく、圧力は、減圧、加圧、大気圧のいずれの範囲でもよい。重合反応は、不活性ガス(窒素ガス、アルゴンガス等。)の雰囲気下で実施するのが好ましい。
【0054】
本発明の重合反応により得られる含フッ素重合体は、分子量分布(数平均分子量に対する重量平均分子量の比)が1.0〜1.5が好ましく、1.0〜1.3が特に好ましい。
【0055】
また、含フッ素重合体の重量平均分子量は、2000超が好ましく、10000以上が特に好ましい。重量平均分子量の上限は、500000が好ましく、300000が特に好ましい。
【0056】
本発明の重合方法により得られる含フッ素重合体として特に好ましい重合体としては、下記繰り返し単位(p)を含み、分子量分布が1.0〜1.5である含フッ素重合体(P)が挙げられる。
【0057】
【化10】

【0058】
繰り返し単位(p)におけるZは、メチレン基、モノメチルメチレン基、ジメチルメチレン基または酸素原子であり、なかでもメチレン基であるのが好ましい。
【0059】
繰り返し単位(p)におけるRF10は、炭素数4〜12の含フッ素アルキル基または炭素数4〜12のエーテル性酸素原子を含む含フッ素アルキル基であり、なかでも式−(CH(CFFで表される基(ただし、kは0〜2の整数を、lは4〜8の整数を示す。)が好ましい。
【0060】
繰り返し単位(p)の具体例としては、下記繰り返し単位が挙げられる。
【0061】
【化11】

【0062】
含フッ素重合体(P)の重量平均分子量は、2×10超が好ましく、1×10以上が特に好ましい。重量平均分子量の上限は、5×10が好ましく、3×10が特に好ましい。
【0063】
含フッ素重合体(P)は、繰り返し単位(p)のみからなる単重合体であってもよく、繰り返し単位(p)と、単量体(m)とビニル付加重合しうる重合性単量体すなわちコモノマー(n)の繰返し単位(以下、単に他の繰り返し単位(N)ともいう。)とを含む共重合体であってもよい。
【0064】
本発明の製造方法によれば、重合末端が化学的に安定な基(R)であり、高分子量かつ狭分子量分布の含フッ素ノルボルネンの重合体を製造できる。
すなわち、本発明の含フッ素重合体は、アリル基を末端とする重合体に比較して、耐熱性、耐候性、耐光性、非固着性、透明性等の物性に優れている。特に、前記重合体は、ガラス転移温度が高く耐熱性に優れているため、容易に成型可能である。また、前記重合体を適当な溶媒に溶解・分散させることにより、塗膜形成能に優れた含フッ素重合体溶液組成物を容易に調製できる。特にRがメチル基またはエチル基である含フッ素重合体は、化学的に安定な重合体であり、優れた前記物性を有する。
【0065】
本発明の重合反応により得られた含フッ素重合体は、そのままを目的とする用途に用いてもよく、さらに化学変換を行った後に目的とする用途に用いてもよい。
【0066】
該化学変換によって、含フッ素重合体の重合末端に結合する有機金属錯体触媒の残渣(例えば有機パラジウム化合物)を容易に除去できるだけでなく、含フッ素重合体の重合末端の一部または全部を他の構造に変換できる。
【実施例】
【0067】
次に、本発明の実施例について具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。
実施例において、化合物(c1)として{[(CHC]P}Pd(CH)Cl(以下、化合物(c1−1)という。)を、化合物(c2)としてNa{B[3,5−(CF]}(以下、化合物(c2−1)という。)を、用いた。また、単量体(m)として下記化合物(m)および(m)を、コモノマーとして下記化合物(n)を用いた。
【0068】
【化12】

【0069】
重合体の重量平均分子量をMwと、重合体の数平均分子量をMnと、ガラス転移点温度をTgと、記す。MwとMnは、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー法にて測定したポリスチレン換算値である。
【0070】
[実施例1]重合体の製造例(その1)
化合物(c1−1)(3.6mg,10μmol)と化合物(c2−1)(8.9mg,10μmol)をシュレンク容器に量り取った.シュレンク容器内をアルゴン雰囲気に置換した後に、シュレンク容器に脱水クロロホルム(2ml)を加えて、触媒溶液を調製した。
別のシュレンク容器に化合物(m)(5mmol)をシリンジを用いて加え、凍結脱気した後に、容器内雰囲気をアルゴンガスで置換した。シュレンク容器に、触媒溶液をキャヌラーを用いて添加し、添加後、容器内を25℃にて5分間撹拌した。さらに、化合物(n)(5.00mmol)を脱水クロロホルム(8.1ml)に溶解させた後に凍結脱気して得られた溶液を、シリンジポンプを用いて、25℃にて41時間かけて滴下した。滴下終了後、容器内を25℃にて22時間撹拌し、つぎに容器にクロロホルム(10ml)を加えた。
容器内溶液を激しく撹拌したメタノール(200ml)に滴下して得られた沈殿物を、ろ過により回収して、メタノールで洗浄し、さらに真空乾燥して固形物(1.238g)を得た。トリフルオロメチルベンゼンを内部標準とし、該固形物をNMRにより分析した結果、固形物は、下記繰り返し単位(p1−1)と下記繰り返し単位(N)を含み、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(p1−1)を45モル%含み、繰り返し単位(N)を55モル%含む重合体であることを確認した。重合体のMnは182000であり、Mwは203000であり、Mw/Mnは1.12であった。
【0071】
重合体のNMRデータを以下に示す。
H NMR (溶媒:CDCl): δ (ppm) 0.8〜2.85.
19F NMR (溶媒:CDCl): δ (ppm) −81,−111,−115,−121,−126.
【0072】
【化13】

【0073】
[実施例2]重合体の製造例(その2)
雰囲気がアルゴンガス置換されたシュレンク容器に、化合物(m)(1.00mmol)、化合物(m)(1.00mmol)および脱水クロロホルム(1.8ml)をこの順に加えた。つきに、化合物(c1−1)(18.0mg,50μmol)と化合物(c2−1)(44.3mg,50μmol)を脱水クロロホルム(1ml)に溶解させて得られた触媒溶液(0.2ml)を、25℃にて添加した。添加終了後、容器内を25℃にて29.5時間撹拌した。つぎに、容器内溶液を、激しく撹拌したヘキサンとメタノールの混合溶媒(混合比 ヘキサン:メタノール=100:1)(100ml)に滴下して沈殿物を得た。
沈殿物を、ろ過により回収して、メタノールで洗浄し、さらに真空乾燥して固形物(245.2mg)を得た。該固形物をNMRにより分析した結果、固形物は、繰り返し単位(p1−1)と下記繰り返し単位(p)を含み、全繰り返し単位に対して、繰り返し単位(p1−1)を51モル%含み、繰り返し単位(p)を49モル%含む重合体であることを確認した。重合体のMnは18700であり、Mwは21800であり、Mw/Mnは1.17であった。
【0074】
重合体のNMRデータを以下に示す。
H NMR (溶媒:CDCl,内部標準C):δ (ppm), 0.7−3.0 (9.23H),3.8−4.5 (1.00H)。
【0075】
【化14】

【0076】
[実施例3]重合体の製造例(その3)
化合物(c1−1)(7.2mg,20μmol)および化合物(c2−1)(17.8mg,20μmol)をシュレンク容器に量り取った。容器をアルゴン置換した後、脱水クロロホルムを1mL加えた。別のシュレンク容器に化合物(n)(471mg,5.00mmol)を量り取り、素早くアルゴン置換した後、化合物(m)(1.56mL,5.00mmol)および脱水クロロホルムを1.5mL加えた。これに対し、先に調製した触媒溶液のうち0.5mLをキャヌラーを用いて添加し、室温で30時間攪拌した。反応混合物に対してクロロホルム10mLを加え、これを激しく攪拌したメタノール(200mL)に滴下し、沈殿物を得た。ろ過、メタノールで洗浄、真空乾燥して固体571mgを得た。元素分析より、コポリマーの成分比は、[化合物(m)のモノマー単位]:[化合物(n)のモノマー単位]=5:95であった。
【0077】
[比較例1]
実施例3における化合物(c1−1)および化合物(c2−1)を、特許文献4に記載の触媒である[(CyP)Pd(CHCH=CH)(OCOCF)](Cyはシクロヘキシル基である)およびLiB(Cに変更して、実施例3と同様に重合反応を行ったが、反応系中に沈殿は認められず、反応混合物をメタノールに投入後も重合体は生成しなかった。
【0078】
[比較例2]
比較例1と同じ触媒を用いて、モノマーを連続添加しながら重合反応を試みた。
すなわち、パラジウム触媒[(CyP)Pd(CHCH=CH)(OCOCF)](Cyはシクロヘキシル基である)(5.4mg,10μmol)および助触媒LiB(C(8.7mg,10μmol)をシュレンク容器に量り取った。容器をアルゴン置換した後、脱水クロロホルムを2mL加えた。このシュレンク容器に化合物(m)(1.56mL,5.00mmol)を素早く加えた後、凍結脱気を行った。これに対し、別のシュレンク容器にて化合物(n)(471mg,5.00mmol)を脱水クロロホルム8.1mLに溶解させ凍結脱気した溶液を、シリンジポンプを用いて室温で41時間かけて滴下した。滴下終了後の混合物を室温でさらに22時間攪拌した後、反応混合物に対してクロロホルム10mLを加え、これを激しく攪拌したメタノール(200ml)に滴下し、沈殿物を得た。ろ過、メタノールで洗浄、真空乾燥して固体187mgを得た。得られた重合体の元素分析から、[化合物(m)のモノマー単位]:[化合物(n)のモノマー単位]=1:99であった。
【産業上の利用可能性】
【0079】
本発明によれば、従来に比較して、特に、耐熱性、耐候性、耐光性、非固着性、透明性とに優れた含フッ素ノルボルネン類の重合体が提供される。本発明の含フッ素重合体は、TFT基板材料、導光板、保護フィルム材料、偏向フィルム材料、位相差フィルム材料、透明電極基板材料、近赤外フィルム材料、光学記録媒体基板材料、レンズ材料、発光素子封止材料等として有用である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
下式(c1)で表される化合物と下式(c2)で表される化合物とを反応させてなる触媒の存在下に、下式(m)で表される単量体の1種以上、または下式(m)で表される単量体の1種以上と該単量体と共重合する単量体の1種以上とを含む単量体、の付加重合を行うことを特徴とする、下式(p)で表される繰り返し単位を必須とする含フッ素重合体の製造方法。
(RP)→(M(R)(L (c1)
(L (c2)
【化1】

ただし、式中の記号は下記の意味を示す。
(RP)→:(RP)がMに配位結合していることを示す(ただし、R、RおよびRは、それぞれ独立に、1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基)。
:8〜11族の2価遷移金属原子。
:1価飽和炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価飽和炭化水素基、1価芳香族炭化水素基、または、ヘテロ原子を含む1価芳香族炭化水素基。
:ハロゲン原子アニオン。
:アルカリ金属カチオン、アルカリ土類金属カチオン、11族原子カチオン、または13族原子カチオン。
n:Mの価数に対応し、Mがアルカリ金属カチオン、11族原子カチオン、または13族原子カチオンである場合は1であり、Mがアルカリ土類金属カチオンである場合は2。
:RCOO、RSO、(R−SO−)(R−SO−)N、または式E(X)(ただし、R、R、RおよびRは、それぞれ独立に1価炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価炭化水素基、1価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む1価ハロゲン化炭化水素基を示し、RとRは共同で、2価炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価炭化水素基、2価ハロゲン化炭化水素基、またはヘテロ原子を含む2価ハロゲン化炭化水素基を形成していてもよい。Eはホウ素原子、アルミニウム原子、窒素原子、リン原子、ヒ素原子、またはアンチモン原子。Xはハロゲン原子または1価ハロゲン化炭化水素基。mはEがリン原子、ヒ素原子またはアンチモン原子である場合には6であり、Eがホウ素原子、アルミニウム原子または窒素原子である場合には4。)。
F1、F2、RF3、およびRF4:それぞれ独立に、水素原子、フッ素原子または1価含フッ素有機基であり、かつ、少なくとも1つは1価含フッ素有機基。または、RF1とRF3は共同で2価含フッ素有機基を形成し、RF2とRF4は、それぞれ独立に、水素原子またはフッ素原子。
Z:炭素数1〜3のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子。
【請求項2】
下式(m)で表される単量体の1種以上と該単量体と共重合する単量体の1種以上とを含む単量体の付加重合において、下式(m)で表される単量体の1種以上に、該単量体と共重合する単量体の1種以上を添加しながら付加重合を行う請求項1に記載の製造方法。
【請求項3】
が、炭素数1〜6の1価飽和炭化水素基、炭素数1〜6のヘテロ原子を含む1価飽和炭化水素基、または、炭素数6〜20の1価芳香族炭化水素基である請求項1または2に記載の製造方法。
【請求項4】
が、メチル基またはフェニル基である請求項1〜3のいずれかに記載の製造方法。
【請求項5】
含フッ素重合体の重合末端の少なくとも1つが、メチル基またはフェニル基である請求項1〜4のいずれかに記載の製造方法。
【請求項6】
F1が、炭素数1〜8のフルオロアルキル基または炭素数1〜8の置換フルオロアルキル基であり、RF2、RF3、およびRF4が水素原子である請求項1〜5のいずれかに記載の製造方法。
【請求項7】
含フッ素重合体の分子量分布が、1.0〜1.5である請求項1〜6のいずれかに記載の製造方法。
【請求項8】
含フッ素重合体の重量平均分子量が、2000超である請求項1〜7のいずれかに記載の製造方法。
【請求項9】
、RおよびRが、それぞれ独立して、1価脂肪族炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価脂肪族炭化水素基、1価ハロゲン化脂肪族炭化水素基、およびヘテロ原子を含む1価ハロゲン化脂肪族炭化水素基から選ばれる基でありかつ3級炭素原子を含む基である、または、
、RおよびRが、それぞれ独立して、1価芳香族炭化水素基、ヘテロ原子を含む1価芳香族炭化水素基、1価ハロゲン化芳香族炭化水素基、およびヘテロ原子を含む1価ハロゲン化芳香族炭化水素基から選ばれる基でありかつハロゲン原子以外の置換基を有する基である、請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法。
【請求項10】
が、パラジウム原子、ニッケル原子または白金原子である請求項1〜9のいずれかに記載の製造方法。
【請求項11】
式(m)で表される単量体と共重合する単量体が、2−ノルボルネン骨格を有し、かつ、フッ素原子を含まない化合物である請求項1〜10のいずれかに記載の製造方法。
【請求項12】
式(p)で表される繰り返し単位が、下式(p)で表される繰り返し単位であり、含フッ素重合体の分子量分布が1.0〜1.5である請求項1〜11のいずれかに記載の製造方法。
【化2】

式中の記号は下記の意味を示す。
:メチレン基、モノメチルメチレン基、ジメチルメチレン基または酸素原子。
F10:炭素数4〜12の含フッ素アルキル基または炭素数4〜12のエーテル性酸素原子を含む含フッ素アルキル基。
【請求項13】
全繰り返し単位の総モル量に対する式(p)で表される繰り返し単位の割合が1〜75モル%である請求項12に記載の製造方法。

【公開番号】特開2009−256468(P2009−256468A)
【公開日】平成21年11月5日(2009.11.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−107111(P2008−107111)
【出願日】平成20年4月16日(2008.4.16)
【出願人】(000000044)旭硝子株式会社 (2,665)
【Fターム(参考)】