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含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法
説明

含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法

【課題】 導電性材料、有機EL材料、高屈折率材料などとして利用し得る含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法を提供する。
【解決手段】本発明は、式(1)


(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示し、nは1〜100の整数を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法に関する。より詳細には、導電性材料、有機EL材料、高屈折率材料などとして利用し得る含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
π−共役系ポリマーは一般に2重結合と単結合が交互に並んだ構造、つまり長い共役二重結合を有する有機ポリマーや芳香環及び/又は複素環を有する有機ポリマーからなり、導電性材料、有機EL素子の正孔輸送層、透明電極などの素材として利用し得ることから、その開発が広く行われている(例えば、特許文献1〜3)。既に、ポリアセチレン、ポリ−p−フェニレン、ポリ−p−フェニレンビニレンなどのポリマーが知られている。更に、π−共役系にカルコゲン原子を導入することによる機能強化も検討されており、例えば硫黄原子を含むπ−共役系ポリマーとしてポリチオフェンが有名であり、他にも特許文献4〜6に記載されるポリマーが知られているが、硫黄が触媒毒になるなどの問題があり、十分な性能を示すまでには至っていない。
ところで、本願発明者らは、ロジウム触媒の存在下、エチニルベンゼンとチオフェノールを反応させると、三重結合の末端側にフェニルチオ基がシス−シスの立体配置で導入されるという知見を得ている。
そこで、本願発明者らは、この反応を利用すれば、立体配置が規制された含硫黄π−共役系ポリマーが得られることを想起し、1,4−ジ(1−ペンチニル)ベンゼンと1,4−ジメルカプトベンゼンを反応させたところ、目的とする含硫黄π−共役系ポリマーが得られることが見出している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平8−134189号公報
【特許文献2】特開2004−206981号公報
【特許文献3】特開2011−213843号公報
【特許文献4】特許第2813987号公報
【特許文献5】特許第4085438号公報
【特許文献6】特開2009−132717号公報
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Am. Chem. Soc. 1999, 121, 5108
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記非特許文献1に記載された含硫黄π−共役系ポリマーは、本願発明者らが意図する所期の目的を満たすものであったが、より共役系の伸長したポリマーの方が、電子移動が容易なると共に吸収光が長波長側にシフトすることが予期される。更に製膜性やポリマーの単離性も向上すると考えられる。
係る観点から、本願発明者らは、より共役系の伸長した含硫黄π−共役系ポリマーを得ることを目的として種々検討したところ、非特許文献1に記載されたπ−共役系ポリマーの製造に使用した1,4−ジメルカプトベンゼンに代えてジメルカプトナフタレンを使用すると、優れた性状を有する含硫黄π−共役系ポリマーが得られることを見出した。
本発明は係る知見に基づくもので、導電性材料、有機EL材料、高屈折率材料などとして利用し得る含硫黄π−共役系化合物及びその製造方法を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するためになされた本発明の要旨は、
下記式(1)
【0007】
【化1】

【0008】
(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示し、nは1〜100の整数を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される含硫黄π−共役系化合物である。
上記式中、ナフタレン環の置換位置としては、1,5−又は2,6−位で結合していることが好ましい。またQで示されるベンゼン環又はチオフェン環において、ベンゼン環の置換位置としては1,4−位、またチオフェン環の置換位置としては2,5−位で結合していることが好ましい。更に、R及びRの低級アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル基が好ましい。
また、本発明は、式(2)
【0009】
【化2】

【0010】
(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される化合物と、式(3)
【0011】
【化3】

【0012】
で表される化合物をロジウム触媒の存在下に反応させることを特徴とする、式(1)
【0013】
【化4】

【0014】
(式中、R、R及びQは前記と同じ。nは1〜100の整数を示す)
で表される含硫黄π−共役系化合物の製造方法である。
【0015】
更に、本発明は、式(4)で表される含硫黄π−共役系化合物である。
【0016】
【化5】

【0017】
(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)。
【0018】
そして、本発明は、式(5)
【0019】
【化6】

【0020】
(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される化合物と、式(3)
【0021】
【化7】

【0022】
で表される化合物を、式(3)で表される化合物に対して式(5)で表される化合物を2倍モル以上使用し、ロジウム触媒の存在下に反応させることを特徴とする、式(4)
【0023】
【化8】

【0024】
(式中、R及びQは前記と同じ)
で表される含硫黄π−共役系化合物の製造方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明の含硫黄π−共役系化合物においてはπ−共役系が長いという特長を有し、前述のように電子移動の容易性や光学的性状の向上を図ることができる。しかもポリマー伸長は立体制御のもとに行われ、ランダムなポリマー伸長に比べて立体障害の要因が少ないので長鎖長のポリマーを得ることができ、製膜性や単離性の向上が期待できる。更に、置換基の導入が容易であることから、種々の機能を有する含硫黄π−共役系化合物とすることができる。
また、本発明の製造方法によれば、上記の特性を有する含硫黄π−共役系化合物を簡便且つ容易に製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
【図1】図1は、実施例1で得られた化合物の1H NMRチャート(溶媒:CDCl、以下同様)である。
【図2】図2は、実施例1及び実施例3で得られた化合物の紫外可視吸収スペクトル(以下、便宜上UVスペクトルという)を示す図である。図中、点線は実施例1で得られた化合物の、実線は実施例3で得られた化合物のスペクトルである。
【図3】図3は、実施例2及び実施例4で得られた化合物のUVスペクトルを示す図である。図中、点線は実施例2で得られた化合物の、実線は実施例4で得られた化合物のスペクトルである。
【図4】図4は、実施例2及び実施例4で得られた化合物の蛍光スペクトルを示す図である。図中、点線は実施例2で得られた化合物の、実線は実施例4で得られた化合物のスペクトルである。
【図5】図5は、実施例3で得られた化合物の1H NMRチャートである。
【図6】図6は、実施例4で得られた化合物の1H NMRチャートである。
【図7】図7は、実施例6で得られた化合物のUVスペクトルを示す図である。
【図8】図8は、実施例8で得られた化合物の1H NMRチャートである。
【図9】図9は、実施例9で得られた化合物の1H NMRチャートである。
【図10】図10は、実施例8及び実施例9で得られた化合物の蛍光スペクトルを示す図である。図中、点線は実施例8で得られた化合物の、実線は実施例9で得られた化合物のスペクトルである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明は上記の構成よりなり、前記式(1)で表される含硫黄π−共役系化合物において、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基である。低級アルキル基は炭素数1〜6の直鎖状又は分岐状アルキル基を意味し、係るアルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、ペンチル、イソペンチル、t-ペンチル、ヘキシル、イソヘキシルなどが例示され、メチル、エチル、n−プロピルが好ましい。
【0028】
nは1〜100の整数であり、電子移動の点ではnが大きい方が好ましいが、溶解性などの点からnは3〜70、好ましくは10〜60が好適である。
【0029】
上記式中、ナフタレン環の置換位置としては特に限定はないが、対称性の点から1,5−又は2,6−位で結合していることが好ましい。
またQで示されるベンゼン環又はチオフェン環において、同様に対称性の点から、ベンゼン環の置換位置としては1,4−位、またチオフェン環の置換位置としては2,5−位で結合していることが好ましい。
【0030】
上記式(1)で示される化合物は種々の方法で調製することができるが、本発明の方法、即ち、前記式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物をロジウム触媒の存在下に反応させることにより得ることができる。
【0031】
この方法において、式(2)及び(3)で表される化合物は公知である。
式(2)で表される化合物において、Qがベンゼン環の化合物としては、例えば、1,4−ジエチニルベンゼン、1,4−ジ(1−プロペニル)ベンゼン、1,4−ジ(1−ブチニル)ベンゼン、1,4−ジ(1−ペンチニル)ベンゼン、1,2−ジエチニルベンゼン、1,3−ジエチニルベンゼンなどが挙げられる。また、式(2)で表される化合物において、Qがチオフェン環の化合物としては、2,5−ジエチニルチオフェン、2,5−ジ(1−プロペニル)チオフェン、2,5−ジ(1−ブチニル)チオフェン、2,5−ジ(1−ペンチニル)チオフェン、3,4−ジエチニルチオフェン、2,4−ジエチニルチオフェンなどが挙げられる。
【0032】
なお、上記のベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよく、当該低級アルキル基としては前述のアルキル基が例示でき、係る化合物としては、例えば、1,4−ジエチニル−3−メチルベンゼン、3,4−ジブチル−2,5−ジエチニルチオフェンなどが挙げられる。
【0033】
式(3)で表される化合物としては、例えば、1,5−ナフタレンジチオール、2,6−ナフタレンジチオール、1,4−ナフタレンジチオール、1,8−ナフタレンジチオールなどが挙げられる。
【0034】
上記反応で使用されるロジウム触媒としては、例えば、クロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウム、ロジウム炭素担持触媒、ロジウムアルミナ担持触媒、ロジウムカルボニル、臭化ロジウム、塩化ロジウム、ヨウ化ロジウム、ロジウムアセテートダイマー、ロジウムアセチルアセトナート、ロジウムトリフルオロアセテートダイマー、酸化ロジウムなどが挙げられ、特にクロロトリス(トリフェニルホスフィン)ロジウムを使用するのが好ましい。
【0035】
ロジウム触媒の使用量としては、式(2)で表される化合物に対して、1〜10、好ましくは1.5〜8、より好ましくは2〜5モル%である。1モル%未満では反応の進行が遅く、10モル%を超えると重合度が低下する傾向にある。
【0036】
上記反応は通常溶媒中で行われ、使用される溶媒としては反応に悪影響を与えない溶媒であれば特に限定されないが、例えば、塩化メチレン、クロロホルム、1,2−ジクロルエタン等のハロゲン化炭化水素、テトラヒドロフラン、ジオキサン、1,2−ジメトキシエタン等のエーテル系溶媒、アセトン、メチルイソブチルケトン等のケトン系溶媒、アセトニトリル、DMF、DMSO等の極性溶媒などが挙げられる。有機溶媒は2種以上を混合して使用してもよい。
反応温度はこの反応が進行する温度であれば特に限定されないが、通常室温〜60℃、好ましくは30〜40℃程度であり、反応時間は反応温度にもよるが10〜48時間、通常は15〜24時間程度で終了する。
なお、反応は遮光下に行うのが好ましい。
式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物との使用割合は等モルであるが、どちらかを多少多めに使用してもよい。
【0037】
反応終了後、ロジウム触媒を濾別し、濾液を濃縮することにより、式(1)で表される化合物を得ることができる。得られた生成物は、例えば塩化メチレンに溶解した後、n−ヘキサンのような貧溶媒中に再沈殿することやGPCにより精製することができる。
【0038】
また、本発明は前記式(4)で表される含硫黄π−共役系化合物であり、含硫黄π−共役系低分子化合物として種々の用途に使用し得る。
【0039】
前記式(4)で表される化合物において、Rは低級アルキル基であり、具体的には前記R及びRで例示したアルキル基が挙げられる。
また、ナフタレン環の置換位置としては特に限定はないが、対称性の点から1,5−又は2,6−位で結合していることが好ましい。
更に、Qはベンゼン環(即ち、フェニル基)又はチオフェン環であり、またチオフェン環の置換位置としては2位(即ち、2−チエニル基)又は3位(即ち、3−チエニル基)であってよい。
【0040】
式(4)で表されるは種々の方法で調製することができるが、本発明の方法、即ち、前記式(5)で表される化合物と式(3)で表される化合物を、式(3)で表される化合物に対して式(5)で表される化合物を2倍モル以上使用し、ロジウム触媒の存在下に反応させることにより得ることができる。
【0041】
この方法において、式(5)で表される化合物は公知であり、Qがベンゼン環の化合物としては、例えば、1−エチニルベンゼン、1−プロペニルベンゼン、1−ブチニルベンゼン、1−ペンチニルベンゼン、4−メチル(1−エチニル)ベンゼンなどが挙げられる。また、式(5)で表される化合物において、Qがチオフェン環の化合物としては、2−エチニルチオフェン、2−(1−プロペニル)チオフェン、2−(1−ブチニル)チオフェン、2−(1−ペンチニル)チオフェン、3,4−ジブチル−2−エチニルチオフェン、3−エチニルチオフェンなどが挙げられる。
【0042】
この反応は、式(3)で表される化合物に対して式(5)で表される化合物を2倍モル以上、好ましくは2.0〜2.5倍モル使用する点を除いては、前記式(2)で表される化合物と式(3)で表される化合物を反応させる方法と同様に行うことができ、ロジウム触媒、反応溶媒、反応温度、反応時間、後処理などは当該反応の説明を引用することができる。
【実施例】
【0043】
以下、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明は実施例に限定されるものではない。
【0044】
実施例1
下記構造式の化合物の合成
【0045】
【化9】

【0046】
二口試験管にRhCl(PPh3)3
(0.1398 g, 0.151 mmol)、塩化メチレン(1 mL)、1,4-ジ(1−ペンチニル)ベンゼン(0.2113 g, 1.00 mmol)、1,5-ナフタレンジチオール(0.2080 g, 1.08 mmol)を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過して触媒を除去した後、溶媒を減圧留去した。その後、GPCにより分子量分布の大きい部分を回収し、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。得られた化合物の分子量は、Mnが4831、Mwが12845であり、多分散度は2.66であった。高性能マススペクトル測定の結果、モノマー理論値は402であるのに対し、実測結果は402、804であった。
また、当該生成物の1H NMRを図1に、またUVスペクトルを図2に示した。図1に示されるように、6.2ppm付近にビニレン基のプロトンのシングレットピークが認められ、目的とする化合物が立体選択的に得られていることが分かった。
また、図2のUVスペクトルから、後記の実施例3で得られた化合物より吸収が長波長側にシフトしていることが認められた。一般的にπ-共役系が広がれば広がるほど吸収は長波長側にシフトする。このことから、分子量が大きくなることでπ-共役系が広がっていると考えられる。
【0047】
実施例2
下記構造式の化合物の合成
【0048】
【化10】

【0049】
二口試験管に RhCl(PPh3)3
(0.1390 g, 0.150 mmol)、塩化メチレン(1 mL)、1,4-ジ(1−ペンチニル)ベンゼン(0.2163 g, 1.03 mmol)、2,6-ナフタレンジチオール(0.2004 g, 1.04 mmol)を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。その後、GPCにより分子量分布の大きい部分を回収し、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。得られた化合物の分子量は、Mnが2033、Mwが4000であり、多分散度は1.97であった。高性能マススペクトル測定の結果、モノマー理論値は402であるのに対し、実測結果は402、804、1206であった。
また、得られた化合物のUVスペクトルを図3に、蛍光スペクトルを図4に示した。図3に示されるように、後記実施例4で得られた化合物より吸収が長波長側にシフトしていることが認められた。また、図4に示されるように、実施例4で得られた化合物より蛍光発光が大きくなっていることが認められた。
【0050】
実施例3
下記構造式の化合物の合成
【0051】
【化11】

【0052】
二口試験管に RhCl(PPh3)3
(0.077 g, 0.083 mmol)、塩化メチレン(1 mL)、1-ペンチニルベンゼン(0.346 g, 2.4 mmol)、1,5-ナフタレンジチオール(0.1944g, 1.01 mmol) を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。その後、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。高性能マススペクトル測定の結果、理論値は480.1945であるのに対し、実測結果は480.1945であった。
また、生成物の1H NMRを図5に、UVスペクトルを図2に示した。図5に示されるように、6.3ppm付近にビニレン基のプロトンのシングレットピークが認められ、目的とする化合物が立体選択的に得られていることが分かった。
【0053】
実施例4
下記構造式の化合物の合成
【0054】
【化12】

【0055】
二口試験管に RhCl(PPh3)3
(0.044 g, 0.0476 mmol)、塩化メチレン(1 mL)、1-ペンチニルベンゼン(0.216 g, 1.5 mmol)、 2,6-ナフタレンジチオール(0.115g, 0.598 mmol) を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。その後、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。高性能マススペクトル測定の結果、理論値は480.1945であるのに対し、実測結果は480.1946であった。
また、生成物の1H NMRを図6に、UVスペクトルを図3に、蛍光スペクトルを図4に示した。図6に示されるように、6.7ppm付近にビニレン基のプロトンのシングレットピークが認められ、目的とする化合物が立体選択的に得られていることが分かった。
【0056】
実施例5
3,4-ジブチル-2,5-ジエチニルチオフェンの合成
30 mL三ツ口ナスフラスコを真空にしてフレームドライを行い、窒素雰囲気下でMg (562 mg, 23.1 mmol)を細かく砕いて入れ、エーテルを少量入れた後、滴下ロートを用いてBuBrを少しずつ加えていった。発熱したら氷水で冷却し、以降エーテルとBuBrを交互に加えていき、エーテルを計15 mL、BuBrを計4.670 g (33.9 mmol)加えた。Mgが完全に無くなるまで撹拌した。
200 mL三ツ口ナスフラスコを真空にしてフレームドライを行い、窒素ガス雰囲気下でエーテル30 mL中に、Ni(dppp)Cl2 (90 mg,0.16 mmol)、3,4-ジブロモチオフェン(2.03 g, 8.31 mmol)を加え、カニューレを経由して30 mL三ツ口ナスフラスコの反応溶液を送り込んで、40 ℃で22時間加熱撹拌した。反応終了後、10%塩酸水溶液を適量加えて分液ロートで分液し、水と食塩水で洗浄後有機層を取り出した。硫酸マグネシウムを適量加えて乾燥させ、溶媒を減圧留去し、1H NMRスペクトルを測定し、目的物(3,4-ジブチルチオフェン)であることを確認した。
3,4-ジブチルチオフェン(0.1688 g, 1.2 mmol)とNIS (0.55 g, 2.5 mmol)を酢酸(0.6 mL)、クロロホルム(0.8 mL)溶媒中に加え、室温で23時間撹拌した。反応終了後10%チオ硫酸ナトリウム水溶液とクロロホルムを適量加えて分液し、有機層を取り出して硫酸マグネシウムを適量加えて乾燥させた。その後溶媒を減圧留去し、1H NMRスペクトルを測定し、目的物(1,2-ジヨード-2,5-ジブチルチオフェン)であることを確認した。
50 mLナスフラスコに1,2-ジヨード-2,5-ジブチルチオフェン(0.267 g, 0.6 mmol)とTMSアセチレン(0.124 g, 1.25 mmol)とPd(PPh3)2Cl2 (0.021 g, 0.03 mmol)とCuI (0.012 g, 0.06 mmol)とトリエチルアミン(1.2 mL)を加え、窒素ガス雰囲気下で13時間室温で撹拌した。反応終了後水とトリエチルアミンを適量加えて分液し、有機層を取り出して硫酸マグネシウムを適量加えて乾燥させた。その後溶媒を減圧留去し、1H NMRスペクトルを測定した。その後CH3OH (80 mL)、KOH (0.5 N, 1 mL)を加え、室温で12時間撹拌し、水とヘキサンを加えて分液し、有機層を取り出して硫酸マグネシウムを加えて乾燥させ、溶媒を減圧留去し、3,4-ジブチル-2,5-ジエチニルチオフェンを得た。
【0057】
実施例6
下記構造式の化合物の合成
【0058】
【化13】

【0059】
二口試験管に3,4-ジブチル-2,5-ジエチニルチオフェン(0.298 g, 1.2 mmol)と1,5-ナフタレンジチオール(0.231 g, 1.2 mmol)とRhCl(PPh3)3 (0.164 g, 0.18 mmol)、塩化メチレン(4 mL)を加え、遮光条件下、室温で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。GPCにより分子量分布の大きいところを回収し、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。生成物のUVスペクトルを図7に示した。図7に示されるように、吸収が長波長側にシフトしていることが認められた。
【0060】
実施例7
下記構造式の化合物の合成
【0061】
【化14】

【0062】
二口試験管に3,4-ジブチル-2,5-ジエチニルチオフェン(0.295 g, 1.2 mmol)と2,6-ナフタレンジチオール(0.228 g, 1.2 mmol)とRhCl(PPh3)3 (0.167 g, 0.18 mmol)、塩化メチレン(4 mL)を加え、遮光条件下、室温で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、溶媒を減圧留去した。GPCにより分子量分布の大きいところを回収し、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。
【0063】
実施例8
下記構造式の化合物の合成
【0064】
【化15】

【0065】
二口試験管に、3,4-ジブチル-2-エチニルチオフェン (0.15 g, 0.68
mmol)、1,5-ナフタレンジチオール (0.054 g, 0.34
mmol)、RhCl(PPh3)3
(0.025 g, 0.027 mmol)、塩化メチレン(1 mL)を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、減圧留去した。その後、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。生成物の1H NMRを図8に示した。図8に示されるように、6.6〜6.9ppm付近にビニレン基のプロトンのピークが認められ、目的とする化合物が立体選択的に得られていることが分かった。
【0066】
実施例9
下記構造式の化合物の合成
【0067】
【化16】

【0068】
二口試験管に、3,4-ジブチル-2-エチニルチオフェン(0.15 g, 0.68
mmol)、2,6-ナフタレンジチオール(0.055 g, 0.34
mmol)、RhCl(PPh3)3
(0.025 g, 0.027 mmol)、塩化メチレン(1 mL)を加え、遮光条件下において40 ℃で22時間加熱した。得られた生成物をセライトろ過し、減圧留去した。その後、塩化メチレン−ヘキサン系で再沈殿することにより精製した。生成物の1H NMRを図9に示した。図9に示されるように、6.6〜7.0ppm付近にビニレン基のプロトンのピークが認められ、目的とする化合物が立体選択的に得られていることが分かった。
また、実施例8及び9で得られた化合物の蛍光スペクトルを図10に示した。図10に示されるように、実施例9で得られた化合物は強い蛍光発光を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(1)
【化1】

(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示し、nは1〜100の整数を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される含硫黄π−共役系化合物。
【請求項2】
ナフタレン環の1,5−又は2,6−位で結合している請求項1記載の含硫黄π−共役系化合物。
【請求項3】
ベンゼン環の1,4−位又はチオフェン環の2,5−位で結合している請求項1又は2記載の含硫黄π−共役系化合物。
【請求項4】
及びRがメチル基、エチル基又はn−プロピル基である請求項1〜3のいずれかに記載の含硫黄π−共役系化合物。
【請求項5】
式(2)
【化2】

(式中、R及びRは同一又は異なって水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される化合物と、式(3)
【化3】

で表される化合物をロジウム触媒の存在下に反応させることを特徴とする、式(1)
【化4】

(式中、R、R及びQは前記と同じ。nは1〜100の整数を示す)
で表される含硫黄π−共役系化合物の製造方法。
【請求項6】
式(4)
【化5】

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)。
で表される含硫黄π−共役系化合物。
【請求項7】
式(5)
【化6】

(式中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示し、Qはベンゼン環又はチオフェン環を示し、当該ベンゼン環又はチオフェン環は1又は2の低級アルキル基で置換されていてもよい)
で表される化合物と、式(3)
【化7】

で表される化合物を、式(3)で表される化合物に対して式(5)で表される化合物を2倍モル以上使用し、ロジウム触媒の存在下に反応させることを特徴とする、式(4)
【化8】

(式中、R及びQは前記と同じ)
で表される含硫黄π−共役系化合物の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2013−112700(P2013−112700A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−257763(P2011−257763)
【出願日】平成23年11月25日(2011.11.25)
【出願人】(505127721)公立大学法人大阪府立大学 (688)
【出願人】(000107561)スガイ化学工業株式会社 (5)
【Fターム(参考)】