説明

吸収性樹脂粒子及びこの製造方法

【課題】
ゲルブロッキングが防止でき、かつ尿や水に対する吸収速度が低下しない吸収性樹脂粒子を提供すること、そして、漏れの生じにくい吸収性物品を提供すること。
【解決手段】
(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)と、無機多孔質微粒子(c1)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、
(A)の表面の少なくとも一部を(b1)で被覆したものと(c1)とを混合して得られる吸収性樹脂粒子。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、吸収性樹脂粒子、これを含有してなる吸収体及びこれを配してなる吸収性物品に関する。また、本発明は吸収性樹脂粒子の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
尿や水を吸液後の吸収性樹脂粒子のゲルブロッキング(ままこ現象)を防止する目的で、吸水性ポリマーの表面を、非揮発性炭化水素、ステアリン酸カルシウム粉末、フッ素活性剤等の疎水性物質により疎水化処理する方法が知られている(特許文献1、特許文献2)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−60014号公報
【特許文献2】特開2003−301019号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、吸収性樹脂粒子の表面を疎水化するとゲルブロッキングを生じにくくなるものの、尿や水に対する吸収速度が低下するという問題がある。そして、この吸収性樹脂粒子を吸収性物品に適用した場合、吸収性物品から尿や水が漏れるという問題がある。
すなわち本発明の目的は、ゲルブロッキングが防止でき、かつ尿や水に対する吸収速度が低下しない吸収性樹脂粒子を提供すること、そして、漏れの生じにくい吸収性物品を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者は、上記の目的を達成すべく鋭意検討した結果、本発明に到達した。
すなわち、本発明の吸収性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)と、無機多孔質微粒子(c1)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、(A)の表面の少なくとも一部を(b1)で被覆したものと(c1)とを混合して得られる点を要旨とする。
【0006】
本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法は、水の存在下で(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を重合して得られた架橋重合体(A)の表面の少なくとも一部を水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)で被覆したものと、無機多孔質微粒子(c1)とを混合する工程を含んでなる点を要旨とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明の吸収性樹脂粒子は、尿や水を吸液後にゲルブロッキングを生じにくく、かつ尿や水に対する吸収速度が低下しない。そして、本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収性物品(紙おむつ等)は、使用者が装着した状態で座ったり横になったような場合でも、漏れが生じにくい。
また、本発明の吸収性樹脂粒子の製造方法は、尿や水を吸液後にゲルブロッキングを生じにくく、かつ尿や水に対する吸収速度が低下しない吸収性樹脂粒子を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】生理食塩水に対する30秒後の吸収量(Z)を測定するためのDW装置{Demand Wettability法による装置}を模式的に表した垂直断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の吸水性樹脂粒子は、(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)と、無機多孔質微粒子(c1)とを含有するが、吸水性樹脂粒子中に適宜、40重量%を超えない量の他の物質を含有させてもよい。
【0010】
本発明において、「・・・酸(塩)」は、「・・・酸」及び「・・・酸塩」を意味し、「(メタ)アクリル酸」は、「メタクリル酸」及び「アクリル酸」を意味する。
【0011】
塩としては、アルカリ金属塩(ナトリウム塩及びカリウム塩等)、アルカリ土類金属塩(カルシウム塩及びマグネシウム塩等)、アンモニウム塩{アンモニウム塩、テトラアルキル(アルキル基の炭素数1〜8)アンモニウム塩(テトラメチルアンモニウム等)等}及び有機アミン塩等が挙げられる。なお、有機アミン塩を構成する有機アミンとしては、炭素数1〜8のアルキルアミン、炭素数2〜8のアルカノールアミン、ポリアルキレン(アルキレンの炭素数1〜8)ポリアミン(アミノ基数2〜10)若しくはポリアルキレンポリアミンの誘導体{炭素数1〜8のアルキル基でアルキル化された化合物、あるいは炭素数2〜12のアルキレンオキサイドが付加された化合物(アミノ基1個あたりの平均付加モル数1〜30モル)}等が挙げられる。
【0012】
内部架橋剤(b)としては特に限定はなく、たとえば、特開2001−220415公報に記載の内部架橋剤が使用できる。
内部架橋剤(b)のうち、吸収性能の観点等から、エチレン性不飽和基を2個以上有する内部架橋剤が好ましく、さらに好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート及び炭素数2〜10のポリオールのポリ(メタ)アリルエーテル、特に好ましくはトリアリルシアヌレート、トリアリルイソシアヌレート、テトラアリロキシエタン及びペンタエリスリトールトリアリルエーテル、最も好ましくはペンタエリスリトールトリアリルエーテルである。
【0013】
内部架橋剤(b)単位の含有量(重量%)は、(メタ)アクリル酸(塩)の合計重量に基づいて、0.001〜5が好ましく、さらに好ましくは0.002〜2、特に好ましくは0.003〜1.6である。
【0014】
(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)の他に、これらと共重合可能なその他のビニルモノマー(a)を含むことができる
【0015】
共重合可能なその他のビニルモノマー(a)としては特に限定はなく公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の疎水性ビニルモノマー等が使用できる。
【0016】
その他のビニルモノマー(a)を含む場合、その他のビニルモノマー(a)の使用量(モル%)は、(メタ)アクリル酸(塩)のモル数に基づいて、0.01〜5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜3、次に好ましくは0.08〜2、特に好ましくは0.1〜1.5である。なお、吸収性能等の観点から、その他のビニルモノマー(a)を使用しないことが最も好ましい。
【0017】
(メタ)アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)を得る方法としては、(メタ)アクリル酸(塩)及び架橋剤(b)を必須構成単量体として、公知の水溶液重合{断熱重合、薄膜重合及び噴霧重合法等;特開昭55−133413号等}や、公知の逆相懸濁重合{特公昭54−30710号、特開昭56−26909号及び特開平1−5808号等}と同様にしてできる。
【0018】
水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)において、水素結合性官能基とは、(メタ)アクリル酸(塩)と水素結合を形成し得る官能基を指す。すなわちカルボキシル基、エーテル基及びエステル基等である。
【0019】
(b1)において、共有結合性官能基とは、(メタ)アクリル酸(塩)と反応し共有結合を形成し得る官能基を指す。すなわちアミノ基、ヒドロキシル基及びエポキシ基等である。
【0020】
(b1)において疎水性物質とは、シリコーン、変性シリコーン、長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸塩、長鎖脂肪酸エステル及び長鎖脂肪族アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物を指す。
【0021】
(b1)のうち、水素結合性官能基を有する疎水性物質としては、ポリエーテル変性シリコーン、カルボキシ変性シリコーン、長鎖脂肪酸及びその塩並びに長鎖脂肪酸エステル等が挙げられる。
【0022】
ポリエーテル変性シリコーンの有機基(変性基)としては、ポリオキシエチレン基又はポリ(オキシエチレン・オキシプロピレン)基を含有する基等が含まれる。ポリエーテル変性シリコーンに含まれるオキシエチレン基及び/又はオキシプロピレン基の含有量(個)は、ポリエーテル変性シリコーン1分子あたり、2〜40が好ましく、さらに好ましくは5〜30、特に好ましくは7〜20、最も好ましくは10〜15である。この範囲であると、吸収速度が良好となる。また、オキシエチレン基及びオキシプロピレン基を含む場合、オキシエチレン基の含有量(重量%)は、シリコーンの重量に基づいて、1〜30が好ましく、さらに好ましくは3〜25、特に好ましくは5〜20である。この範囲であると、吸収速度がさらに良好となる。
【0023】
カルボキシ変性シリコーンの有機基(変性基)としてはカルボキシ基を含有する基等が含まれ、エポキシ変性シリコーンの有機基(変性基)としてはエポキシ基を含有する基等が含まれ、アミノ変性シリコーンの有機基(変性基)としてはアミノ基(1、2、3級アミノ基)を含有する基等が含まれる。これらの変性シリコーンの有機基(変性基)の含有量(g/mol)は、カルボキシ当量、エポキシ当量又はアミノ当量として、200〜11000が好ましく、さらに好ましくは600〜8000、特に好ましくは1000〜4000である。この範囲であると、吸収特性がさらに良好となる。なお、カルボキシ当量は、JIS C2101:1999の「16.全酸価試験」に準拠して測定される。また、エポキシ当量は、JIS K7236:2001に準拠して求められる。また、アミノ当量は、JIS K2501:2003の「8.電位差滴定法(塩基価・塩酸法)」に準拠して測定される。
【0024】
長鎖脂肪酸及び長鎖脂肪酸塩としては、炭素数8〜30の脂肪酸{たとえば、ラウリン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、ダイマー酸及びベヘニン酸等}が挙げられ、その塩としては亜鉛、カルシウム、マグネシウム又はアルミニウム(以下、Zn、Ca、Mg、Alと略す)との塩{たとえば、パルミチン酸Ca、パルミチン酸Al、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Al等}が挙げられる。吸収性物品の耐漏れ性の観点等から、ステアリン酸Zn、ステアリン酸Ca、ステアリン酸Mg、ステアリン酸Alが好ましく、さらに好ましくはステアリン酸Mgである。
【0025】
長鎖脂肪酸エステルとしては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12のアルコールとのエステル{たとえば、ラウリン酸メチル、ラウリン酸エチル、ステアリン酸メチル、ステアリン酸エチル、オレイン酸メチル、オレイン酸エチル、グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐漏れ性の観点等から、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステルが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステル及びショ糖ステアリン酸ジエステルである。
【0026】
(b1)のうち、共有結合性官能基を有する疎水性物質としては、エポキシ変性シリコーン及びアミノ変性シリコーン並びに長鎖脂肪族アルコール等が挙げられる。
【0027】
長鎖脂肪族アルコールとしては、炭素数8〜30の脂肪族アルコール{ラウリルアルコール、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコール等}が挙げられる。吸収性物品の耐漏れ性の観点から、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール及びオレイルアルコールが好ましく、さらに好ましくはステアリルアルコールである。
【0028】
水素結合性及び共有結合性の両方の官能基を有する疎水性物質(b1)としては、炭素数8〜30の脂肪酸と炭素数1〜12でヒドロキシル基を2つ以上持つアルコールとのエステル(b12){グリセリンラウリン酸モノエステル、グリセリンステアリン酸モノエステル、グリセリンオレイン酸モノエステル、ペンタエリスリットラウリン酸モノエステル、ペンタエリスリットステアリン酸モノエステル、ペンタエリスリットオレイン酸モノエステル、ソルビットラウリン酸モノエステル、ソルビットステアリン酸モノエステル、ソルビットオレイン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸モノエステル、ショ糖パルミチン酸ジエステル、ショ糖パルミチン酸トリエステル、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステル及び牛脂等}、炭素数8〜30の脂肪族アルコールと炭素数1〜12でカルボキシル基を2つ以上持つカルボン酸とのエステル(b14){アジピン酸ステアリルモノエステル、マロン酸ステアリルモノエステル、コハク酸ステアリルモノエステル等}等が挙げられる。これらのうち、吸収性物品の耐漏れ性の観点等から、ショ糖ステアリン酸モノエステル、ショ糖ステアリン酸ジエステル、ショ糖ステアリン酸トリエステルが好ましく、さらに好ましくはショ糖ステアリン酸モノエステル及びショ糖ステアリン酸ジエステルである。
【0029】
本発明の吸収性樹脂粒子中の疎水性物質(b1)の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.002〜5、特に好ましくは0.005〜1である。この範囲であると、吸収速度の観点から好ましい。
【0030】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A)の表面の少なくとも一部が疎水性物質(b1)で被覆される。被覆とは、架橋重合体(A)の表面のカルボキシル基又はカルボキシレート基と疎水性物質(b1)とが水素結合を形成、又は共有結合を形成して結合して存在することである。吸収性樹脂粒子のゲル状態のブロッキング性の観点から、架橋重合体(A)の表面のカルボキシル基又はカルボキシレート基の全てが疎水性物質(b1)で被覆されていることが好ましい。
【0031】
架橋重合体(A)に対する疎水性物質(b1)は、架橋重合体(A)表面の少なくとも一部に疎水性物質(b1)が存在するように被覆されれば制限がない。被覆方法としては、粒子状の架橋重合体と固体状の疎水性物質を混合する、粒子状の架橋重合体と液状の疎水性物質を混合する、架橋重合体(A)の含水ゲルと固体状の疎水性物質を混合する、架橋重合体(A)の含水ゲルと液状の疎水性物質を混合する等が挙げられる。
【0032】
無機多孔質微粒子(c1)としては、酸化物{酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化鉄、酸化チタン、酸化マグネシウム及び酸化ジルコニウム等}、炭化物{炭化珪素及び炭化アルミニウム等}、窒化物{窒化チタン等}及びこれらが複合体{ゼオライト及びタルク等}等が挙げられる。これらのうち、酸化物が好ましく、さらに好ましくは酸化ケイ素である。
無機多孔質微粒子(c1)の体積平均粒子径(μm)は、1〜500が好ましく、さらに好ましくは3〜100、特に好ましくは5〜75、最も好ましくは9〜50である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。
なお、体積平均粒子経は、動的光散乱法により、溶媒中で測定される{たとえば、装置:ナノトラック粒度分布測定装置UPA−EX150(日機装株式会社)、光源:He-Neレーザー、測定温度:25℃、溶媒:シクロヘキサン}。
【0033】
無機多孔質微粒子(c1)の比表面積(m/g)は、20〜400が好ましく、さらに好ましくは30〜350、特に好ましくは40〜300である。この範囲内であると、吸収性能がさらに良好となる。
なお、比表面積は、JIS Z8830:2001(窒素、容量法、多点法)に準拠して測定される。
【0034】
無機多孔質微粒子(c1)は、市場から容易に入手でき、たとえば{以下、商品名(化学組成、体積平均粒子径μm、比表面積m/g)}、アエロジル130(二酸化ケイ素、16、130)、アエロジル200(二酸化ケイ素、12、200)、アエロジル300(二酸化ケイ素、7、300)、アエロジルMOX80(二酸化ケイ素、30、80)、アエロジルCOK84(二酸化ケイ素、12、170)、アエロジルOX50T(二酸化ケイ素、7、40)、酸化チタンP25(酸化チタン、20、30)及びアルミニウムオキサイドC(酸化アルミニウム、13、100){日本アエロジル株式会社};デンカ溶融シリカF−300(二酸化ケイ素、11、160){電気化学工業株式会社};マイクロイド850(二酸化ケイ素、13、150){株式会社東海化学工業};非晶質シリカSP−1(二酸化ケイ素、14、45){株式会社ノザワ};サイロイド622(二酸化ケイ素、17、350);サイロイドED50(二酸化ケイ素、8、400){グレースジャパン株式会社};アドマフィンSO−C1(複合酸化物、0.1、20){アドマッテクス株式会社};アエロジル200(二酸化ケイ素、100、12){デグサAG:ドイツ};トクシール(二酸化ケイ素、2.5、120)及びレオロシール(二酸化ケイ素、2.5、110){株式会社トクヤマ };ニップシールE220A(二酸化ケイ素、2.5、130){日本シリカ工業株式会社};及びクレボゾール30CAL25(酸化ケイ素、12、200){クラリアントジャパン株式会社}等が好ましく例示できる。
【0035】
無機多孔質微粒子(c1)の含有量(重量%)は、架橋重合体粒子(A)の重量に基づいて、0.01〜2.5が好ましく、さらに好ましくは0.05〜2、特に好ましくは0.1〜1である。この範囲内であると、吸収速度がさらに良好となる。
【0036】
本発明の吸収性樹脂粒子には、他の添加剤{たとえば、公知(特開2003−225565号、特開2006−131767号等)の防腐剤、防かび剤、抗菌剤、酸化防止剤、紫外線吸収剤、着色剤、芳香剤、消臭剤及び有機質繊維状物等}を含むこともできる。これらの添加剤を含有させる場合、添加剤の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0.001〜10が好ましく、さらに好ましくは0.01〜5、特に好ましくは0.05〜1、最も好ましくは0.1〜0.5である。
【0037】
本発明の吸収性樹脂粒子は、前述の方法で得た架橋重合体(A)を以下に述べる方法で、(b1)で被覆し、(c1)と混合することで得られる。
【0038】
重合工程で得られる含水ゲル{架橋重合体(A)と水とを含む}は、必要に応じて例えば含水率10%以上70%未満の含水重合物の状態で細断して細断ゲルとし、さらに乾燥される。含水ゲルや細断ゲルを乾燥する条件は特に限定されるものではないが、通常150℃〜250℃の温度範囲で行われる。
なお、乾燥温度はオイルや蒸気を熱媒として用いる場合は熱媒の温度、電子線を照射するなど熱媒を使用せずに乾燥する場合は、材料(乾燥するもの)の温度で規定される。また、乾燥温度を段階的に変化させてもよい。乾燥時間は含水ゲル又は細断ゲルの表面積、含水率や乾燥機の種類等に依存し、目的とする含水率になるよう選択すればよいが、例えば、10〜180分間、より好ましくは、30〜120分間である。
【0039】
用いられる乾燥方法としては、加熱乾燥、熱風乾燥、減圧乾燥、赤外線乾燥、マイクロ波乾燥、疎水性有機溶媒との共沸による脱水、高温の水蒸気を用いた高湿乾燥等目的の含水率となるように種々の方法を採用することができ、特に限定されるものではない。
【0040】
架橋重合体(A)の重合に溶媒(水を含む)を使用する場合、重合後に溶媒を留去することができる。溶媒に有機溶媒を含む場合、留去後の有機溶媒の含有量(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、10〜0.01が好ましく、さらに好ましくは5〜0.05、特に好ましくは3〜0.1、最も好ましくは1〜0.5である。この範囲であると、吸収性樹脂粒子の吸収性能(特に保水量)がさらに良好となる。
【0041】
また、溶媒に水を含む場合、留去後の水分(重量%)は、架橋重合体(A)の重量に基づいて、0〜20が好ましく、さらに好ましくは0〜10、特に好ましくは0〜5、最も好ましくは0〜2である。この範囲であると、吸収性能(特に保水量)及び乾燥後のハンドリング性(架橋重合体粒子の粉体流動性等)がさらに良好となる。
【0042】
架橋重合体(A)に対する疎水性物質(b1)の被覆は、架橋重合体(A)表面の少なくとも一部が疎水性物質(b1)で被覆されれば制限がない。被覆方法としては、粒子状の架橋重合体と固体状の疎水性物質を混合する、粒子状の架橋重合体と液状の疎水性物質を混合する、架橋重合体(A)の含水ゲルと固体状の疎水性物質を混合する、架橋重合体(A)の含水ゲルと液状の疎水性物質を混合する等が挙げられる。
架橋重合体(A)と疎水性物質(b1)との混合において、温度(℃)は特に限定ないが、10〜130が好ましく、さらに好ましくは15〜125、特に好ましくは20〜120である。
【0043】
固体状の疎水性物質(b1)を混合する場合、混合装置としては通常の混合機でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等が挙げられる。
【0044】
液状の疎水性物質(b1)を混合する場合には、疎水性物質(b1)が液状である場合だけでなく、疎水性物質(b1)を溶媒に溶解又は乳化・分散させる、又は疎水性物質(b1)の融点以上に加熱して溶融して、液体として用いることも含まれる。
【0045】
ここで用いる溶媒としては、水及び揮発性有機溶媒が含まれる。揮発性有機溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。揮発性有機溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性有機溶媒を使用する場合、これらの含有量(重量%)は、疎水性物質(b1)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、さらに好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性有機溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性有機溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0046】
液状の疎水性物質(b1)を混合する場合、架橋重合体(A)に液状の疎水性物質を噴霧するか、液状の疎水性物質に架橋重合体(A)を浸漬することにより達成できる。なお、架橋重合体(A)粒子に固体状の疎水性物質(b1)を接触させた後、(b1)の融点以上に加熱して混合することもできる。
噴霧、浸漬又は接触に適用できる混合装置としては、ナウターミキサー及びタービュライザ等が挙げられる。
【0047】
本発明の吸収性樹脂粒子は、架橋重合体(A)の表面の少なくとも一部を疎水性物質(b1)で被覆したものと無機多孔質微粒子(c1)とを混合して得られる。架橋重合体(A)の(b1)で被覆したものと無機多孔質微粒子(c1)との混合において、温度(℃)は特に限定ないが、10〜130が好ましく、さらに好ましくは15〜125、特に好ましくは20〜120である。
【0048】
無機多孔質微粒子(c1)を固体として混合する場合、混合装置としては通常の混合機でよく、例えば、円筒型混合機、スクリュー型混合機、スクリュー型押出機、タービュライザー、ナウター型混合機、双腕型ニーダー、流動式混合機、V型混合機、リボン型混合機、流動式混合機、気流型混合機、回転円盤型混合機、コニカルブレンダー及びロールミキサー等が挙げられる。
無機多孔質微粒子(c1)を液体として混合する場合には、無機多孔質微粒子(c1)が液状である場合だけでなく、無機多孔質微粒子(c1)を溶媒に溶解又は乳化・分散させる、又は無機多孔質微粒子(c1)の融点以上に加熱して溶融して、液体として用いることも含まれる。
【0049】
ここで用いる溶媒としては、水及び揮発性有機溶媒が含まれる。揮発性有機溶媒としては、除去しやすさの観点等から、20℃での蒸気圧(Pa)が0.13〜5.3のものが好ましく、さらに好ましくは0.15〜4.5、特に好ましくは0.23〜3.8のものである。揮発性有機溶媒としては、炭素数1〜3のアルコール(メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコール等)、炭素数5〜8の炭化水素(ペンタン、ヘキサン、シクロヘキサン及びトルエン等)、炭素数2〜4のエーテル(ジメチルエーテル、ジエチルエーテル及びテトラヒドロフラン等)、炭素数3〜4のケトン(アセトン及びメチルエチルケトン等)、及び炭素数3〜5のエステル(蟻酸エチル、酢酸エチル、酢酸イソプロピル及び炭酸ジエチル等)等が挙げられる。水及び/又は揮発性有機溶媒を使用する場合、これらの含有量(重量%)は、無機多孔質微粒子(c1)の重量に基づいて、1〜900が好ましく、さらに好ましくは5〜700、特に好ましくは10〜400である。水及び揮発性有機溶媒を使用する場合、水の使用量(重量%)は、水及び揮発性有機溶媒の重量に基づいて、50〜98が好ましく、さらに好ましくは60〜95、特に好ましくは70〜90である。
【0050】
無機多孔質微粒子(c1)を液体として混合する場合、(b1)で被覆された架橋重合体(A)に上記液体を噴霧するか、上記液体に(b1)で被覆された架橋重合体(A)を浸漬することにより達成できる。なお、架橋重合体(A)粒子に固体状の無機多孔質微粒子(c1)を接触させた後、(c1)の融点以上に加熱して混合することもできる。
噴霧、ディッピング又は接触に適用できる混合装置としては、ナウターミキサー及びタービュライザ等が挙げられる。
【0051】
<粉砕>
粉砕は溶媒を留去した後に行うことが好ましい。
粉砕方法は特に限定がなく、公知の粉砕装置{たとえば、ハンマー式粉砕機、衝撃式粉砕機、ロール式粉砕機及びシェット気流式粉砕機}等により粉砕できる。
【0052】
<粒度調節>
粉砕された粒子は、必要によりふるい分け等により粒度調節される。
本発明の吸収性樹脂粒子の重量平均粒径(μm)は、355〜395が好ましく、さらに好ましくは360〜390、特に好ましくは365〜385、最も好ましくは370〜380である。この範囲であると、吸収性能がさらに良好となる。なお、重量平均粒径は上記と同様にして求められる。
吸収性樹脂の形状は粒子状であれば制限はないが、不定形(破砕状)、真球状、板状及び棒状が好ましく、さらに好ましくは不定形(破砕状)、真球状又は板状、特に好ましくは不定形(破砕状)又は板状である。
【0053】
<表面架橋>
裁断された細断ゲル又は粉砕された粒子は、必要に応じて、表面架橋剤により表面架橋処理を行うことができる。
表面架橋剤としては、公知{たとえば、特開昭59−189103号、特開昭58−180233号、特開昭61−16903号、特開昭61−211305号、特開昭61−252212号、特開昭51−136588号及び特開昭61−257235号等}の表面架橋剤{多価グリシジル、多価アルコール、多価アミン、多価アジリジン、多価イソシアネート、シランカップリング剤及び多価金属等}等が使用できる。これらの表面架橋剤のうち、経済性及び吸収性能の観点から、多価グリシジル、多価アルコール及び多価アミンが好ましく、さらに好ましくは多価グリシジル及び多価アルコール、特に好ましくは多価グリシジル、最も好ましくはエチレングリコールジグリシジルエーテルである。
【0054】
表面架橋をする場合、表面架橋剤の使用量(重量%)は、表面架橋剤の種類、架橋の条件、目標とする性能等により種々変化させることができるため特に限定はないが、吸収性能の観点等から、必須構成単量体(a)の重量に基づいて、0.001〜3が好ましく、さらに好ましくは0.005〜2、特に好ましくは0.01〜1である。
【0055】
表面架橋をする場合、表面架橋方法は、公知{たとえば、特許第3648553号、特開2003−165883号、特開2005−75982号、特開2005−95759号}の方法が適用できる。
【0056】
<添加剤の混合>
細断ゲル、乾燥粒子、粉砕粒子又は表面架橋粒子等には、前述の他の添加剤を混合することができる。
他の添加剤を混合する場合、均一混合できれば混合方法に制限はなく、公知の混合方法が適用できる。
【0057】
本発明の吸収性樹脂粒子は、繊維と共に吸収体とすることができる。吸収体の構造及び製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。また、この吸収体は吸収性物品{紙おむつや生理用ナプキン等}を構成することが好ましい。吸収性物品の製造方法等は、公知のもの{特開2003−225565号公報、特開2006−131767号公報及び特開2005−097569号公報等}と同様である。
【0058】
吸収体に対する本発明の吸収性樹脂粒子の添加量(重量%)は、吸収体の種類やサイズ、目標とする吸収性能に応じて種々変化させることができるが、吸収性樹脂粒子と繊維状物の合計重量に基づいて、30〜95が好ましく、さらに好ましくは40〜94、特に好ましくは50〜93である。この範囲であると、得られる吸収体の吸収能がさらに良好となる。
【0059】
本発明の吸収性樹脂粒子を用いた吸収体は、被吸収液(汗、尿及び血液等の体液並びに海水、地下水及び泥水等の水等)を吸収した場合であってもさらっとした感触を示すため、紙おむつ及び生理用ナプキン等の衛生用品に適用した場合、優れた吸収性能のみならず、漏れの少ない優れた特徴を発揮する。
従って、本発明の吸収性樹脂粒子を用いることにより、どのような状態においても高い吸収性能を発揮する吸収性物品を容易に製造することができる。すなわち、繰り返し吸水する必要がある状況であっても吸収量及び吸収速度が低下せず、その結果漏れ等の問題が極めて発生しにくい。
【0060】
吸収性物品のうち、吸収体、液体透過性シート、通気性バックシートを備える吸収性物品が好ましく、さらに好ましくは衛生用品としての吸収性物品である。
衛生用品としては、紙おむつ(子供用紙おむつ及び大人用紙おむつ等)、ナプキン(生理用ナプキン等)、紙タオル、パッド(失禁者用パッド及び手術用アンダーパッド等)及びペットシート(ペット尿吸収シート)等が挙げられる。これらの衛生物品のうち、紙おむつにより適している。
【0061】
<吸収速度の測定法{DW(Demand Wettability)法;JIS K7224−1996の解説3〜4頁}>
25℃、湿度50%の室内で、図1に示す装置{ビューレット(1)の容量25ml、長さ55cm、小穴(2)の直径2mm}を用い、空気流入細管(3)の最下端部と支持板(4)の最上端部とを同一水平面になるように調整した後、バルブ(5)及び(6)を閉じた状態で、約25mlの生理食塩水をビューレット(1)に入れ、ゴム栓(7)を装着した後、バルブ(5)及び(6)を開けることにより配管(8)を生理食塩水で充填すると共に、支持板(4)の中央に設けられた小穴(2)から生理食塩水を溢れ出させ、バルブ(5)を閉じてから、溢れ出た生理食塩水を拭き取り、ビューレット(1)の液面(h1)を読み取る。引き続き、支持板(4)上に、平織りナイロンメッシュ(9)(目開き63μm、5cm×5cm)をのせ、さらにこの平織りナイロンメッシュ(9)の上に、1.0gの測定試料(10)を散布し、30秒後に、ビューレットの液面(h2)を読み取り、液面の差{(h1)−(h2)}を吸収量(Z)とする。
【0062】
<ゲルブロッキング率(%)>
吸水性樹脂のうち、目開き850μmの金属ふるいを5回タッピングしてパスする粒子を測定試料とした。この測定試料10gを、直径5cmのアルミニウム製円柱皿内に均一になるように入れて、円柱皿を30±1℃、80±5%RHの恒温恒湿槽内で3時間静置した。3時間後、測定試料の重量(TW)を計測してから、850μmの金属ふるいで5回タッピングして、金属フルイに残った測定試料の重量(OW)を計測し、次式からブロッキング率(%)を算出した。

(ゲルブロッキング率(%))=(OW)×100/(TW)
【実施例】
【0063】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。以下、特記しない限り、部は重量部、%は重量%を示す。
【0064】
<実施例1>
アクリル酸81.8部(1.14モル部)、内部架橋剤(b){N,N’−メチレンビスアクリルアミド}0.3部(0.002モル部)及び脱イオン水241部を攪拌・混合しながら、温度を1〜2℃に保ち、この混合液中に窒素を流入して、混合液中の溶存酸素量を0.02ppm以下とした。引き続き、この混合液に、1%過酸化水素水溶液1部、0.2%アスコルビン酸水溶液1.2部及び2%の2,2’−アゾビスアミジノプロパンジハイドロクロライド水溶液2.8部を添加・混合して重合を開始させ、反応温度が70℃に達した後、重合温度75±5℃で約8時間重合することにより含水重合体(ゲル)を得た。
【0065】
この含水重合体(ゲル)をインターナルミキサーで3〜7mmの大きさに細断して細断ゲルを得た後、この細断ゲル325部に48%の水酸化ナトリウム水溶液67.5部を添加してカルボキシル基の72当量%を中和(インターナルミキサーで混合した。)して、中和細断ゲルを得た。なお、JIS K0113−1997に準拠(0.1規定水酸化カリウム水溶液を滴定液として使用、電位差滴定法、変曲点法)して測定した酸価から算出した中和細断ゲルの中和度は70.1当量%であった。
【0066】
次いで、縦20cm×横20cm×高さ10cmで、天板を有さず、底板に目開き4mmの金網を装着したステンレス製のトレイに、この混合ゲルを約5cmの厚さに積層し、150℃、風速2.0m/sの条件で、通気型バンド乾燥機(井上金属製)で乾燥して、乾燥重合体(D1)を得た。
この乾燥重合体(D1)をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器株式会社製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながら、カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製:X−22−162C)/エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=0.005/1/60/40(重量比)1部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、100℃で30分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより複合粒子を得た。
【0067】
複合粒子100部と無機多孔質微粒子(c1){株式会社トクヤマ製二酸化ケイ素、トクシール、体積平均粒子経2.5μm、比表面積120m/g}0.01部とをコニカルブレンダー{ホソカワミクロン株式会社製}で均一混合して、本発明の吸収性樹脂粒子(1)を得た。
吸水剤の生理食塩水に対する1分後の吸収量(Z)(g/g)は、下記方法にて測定される。
【0068】
<実施例2>
実施例1と同様に得られた中和細断ゲル400部に、ステアリルアルコール0.1部を加え、ミンチ機(目皿の穴径:6mm、飯塚工業社製 12VR−400K)にて25℃で5分間混練した後、インターナルミキサーにて25℃で5分間混練し、次いで、縦20cm×横20cm×高さ10cmで、天板を有さず、底板に目開き4mmの金網を装着したステンレス製のトレイに、この混合ゲルを約5cmの厚さに積層し、150℃、風速2.0m/sの条件で、通気型バンド乾燥機(井上金属製)で乾燥して、乾燥重合体(D2)を得た。
この乾燥重合体(D2)をジューサーミキサー(National MX−X53、松下電器株式会社製)で粉砕し、目開き150及び710μmのふるいを用いて150〜710μmの粒子径範囲に調整した後、この100部を高速攪拌(細川ミクロン製 高速攪拌タービュライザーミキサー:回転数2000rpm)しながら、エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=1/60/40(重量比)2部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、90℃で15分間静置し加熱架橋(表面架橋)することにより複合粒子を得た。
【0069】
複合粒子100部と無機多孔質微粒子(c1)0.01部とをコニカルブレンダー{ホソカワミクロン株式会社製}で均一混合して、本発明の吸収性樹脂粒子(2)を得た。
【0070】
<実施例3>
カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製:X−22−162C)をアミノ変性シリコーン(信越シリコーン社製:KF−864)に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(3)を得た。
【0071】
<実施例4>
カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製:X−22−162C)をエポキシ変性シリコーン(信越シリコーン社製:KF−1001)に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(4)を得た。
【0072】
<実施例5>
ステアリルアルコール0.1部をジメチルシリコーン(信越シリコーン社製:KF−96Aー6cs)0.005部に変更した以外は実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(5)を得た。
【0073】
<実施例6>
ステアリルアルコール0.1部をステアリン酸0.02部に変更した以外は実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(6)を得た。
【0074】
<実施例7>
{カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製:X−22−162C)/エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=0.005/1/60/40(重量比)2部をスプレー噴霧しながら添加・混合}を{エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=1/60/40(重量比)2部をスプレー噴霧しながら添加・混合し、さらにステアリン酸0.1部を添加・混合}に変更した以外は実施例1と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(7)を得た。
【0075】
<実施例8>
ステアリルアルコール0.1部をショ糖ステアリン酸モノエステル0.1部に変更した以外は実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(8)を得た。
【0076】
<比較例1>
{カルボキシ変性シリコーン(信越化学工業社製:X−22−162C)/エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=0.005/1/60/40(重量比)2部をスプレー噴霧しながら添加・混合}を{エチレングリコールジグリシジルエーテル/水/メタノール=1/60/40(重量比)2部をスプレー噴霧しながら添加・混合し}に変更した以外は実施例1と同様にして、吸収性樹脂粒子(9)を得た。
【0077】
<比較例2>
無機多孔質微粒子を使用しなかったこと以外は実施例2と同様にして、吸収性樹脂粒子(10)を得た。
【0078】
<比較例3>
ステアリルアルコール0.1部をイコサン0.1部に変更した以外は実施例2と同様にして、本発明の吸収性樹脂粒子(11)を得た。
【0079】
実施例1〜8及び比較例1〜3で得た吸収性樹脂粒子について、ゲルブロッキング率及び吸収量を表1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
表1から判るように、本発明の吸収性樹脂粒子は、比較の吸収性樹脂粒子に比べ、ゲルブロッキング率が少なく、吸収量が大きい。
【産業上の利用可能性】
【0082】
本発明の吸収性樹脂粒子は、吸収性樹脂粒子と繊維状物とを含有してなる吸収体に適用でき、この吸収体を備えてなる吸収性物品{紙おむつ、生理用ナプキン及び医療用保血剤等}に有用である。また、ペット尿吸収剤、携帯トイレ用尿ゲル化剤、青果物用鮮度保持剤、肉類・魚介類用ドリップ吸収剤、保冷剤、使い捨てカイロ、電池用ゲル化剤、植物・土壌用保水剤、結露防止剤、止水剤、パッキング剤及び人工雪等の種々の用途にも使用できる。
【符号の説明】
【0083】
1 ビューレット
2 小穴
3 空気流入細管
4 支持板
5 バルブ
6 バルブ
7 ゴム栓
8 配管
9 平織りナイロンメッシュ
10 測定試料


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を必須構成単位とする架橋重合体(A)と、水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)と、無機多孔質微粒子(c1)とを含んでなる吸収性樹脂粒子であって、
(A)の表面の少なくとも一部を(b1)で被覆したものと(c1)とを混合して得られる吸収性樹脂粒子。
【請求項2】
疎水性物質(b1)がシリコーン及び/又は変性シリコーンである請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項3】
疎水性物質(b1)が長鎖脂肪酸、長鎖脂肪酸塩、長鎖脂肪酸エステル及び長鎖脂肪族アルコールからなる群より選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項1に記載の吸収性樹脂粒子。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の吸収性樹脂粒子と繊維とを含有してなる吸収体。
【請求項5】
請求項4に記載の吸収体を配してなる吸収性物品。
【請求項6】
水の存在下で(メタ)アクリル酸(塩)及び内部架橋剤(b)を重合して得られた架橋重合体(A)の表面の少なくとも一部を水素結合性官能基及び/又は共有結合性官能基を有する疎水性物質(b1)で被覆したものと、無機多孔質微粒子(c1)とを混合する工程を含んでなる吸収性樹脂粒子の製造方法。



【図1】
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【公開番号】特開2011−178969(P2011−178969A)
【公開日】平成23年9月15日(2011.9.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47314(P2010−47314)
【出願日】平成22年3月4日(2010.3.4)
【出願人】(301023009)サンダイヤポリマー株式会社 (57)
【Fターム(参考)】