説明

周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法及び中継器ユニット

【課題】手間とコストをできるだけ抑制し、その上で、実情や法規制に即した柔軟な運用が可能となるようにすること。
【解決手段】有人操作地点1から監視地点5,7の無人走行車9,11を遠隔操作するための制御信号と、無人走行車9,11上の監視カメラ9cで撮影された監視地点5,7の周辺の画像を有人操作地点1に通知するための監視画像信号とを、有人操作地点1と監視地点5,7との間に設定される中継地点13,15,17において中継して、有人操作地点1と監視地点5,7の無人走行車9,11との間で無線を用いて伝送する際、有人操作地点1から監視地点5,7に向けて、中継地点13,15,17をもれなく経由して無人走行車9,11を移動させ、経由した中継地点13,15,17において無人走行車9,11から中継器ユニット19,21,23を降ろして設置させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有人操作地点から監視地点の無人走行車を遠隔操作して、無人走行車上の周辺状況捕捉手段により捕捉される監視地点の周辺状況を有人操作地点において管理する周辺状況捕捉システムに係り、特に、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を、有人操作地点と監視地点との間の信号伝送経路中に少なくとも1箇所設定される中継地点において中継する信号中継伝送方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、無人の監視地点に無人走行車を走行させ、無人走行車上の監視カメラにより撮影された監視地点の画像を遠隔地の有人操作地点で見ながら、無人走行車を操縦し監視地点を監視することが行われている。このような遠隔地の無人監視を行う場合は、監視地点の無人走行車を有人操作地点から遠隔操作するための遠隔操作信号や、監視カメラにより撮影された監視地点の画像を有人操作地点に伝送するための周辺状況信号を、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間で伝送する必要がある。
【0003】
このとき、上述した信号の伝送には無線が用いられるが、無線による信号の送信源の出力には自ずと限界があるので、有人操作地点と監視地点の無人走行車との距離が大きくなると、信号が受信側において充分な強度で受信できなくなる。また、有人操作地点と監視地点の無人走行車との見通しが利かないと、送信側の信号出力が充分であっても受信側において充分な強度で信号が受信できなくなってしまう。
【0004】
そこで、上述した有人操作地点と無人走行車との間のような、固定点と移動点との間の無線による信号伝送を、中継点を介して行うことが提案されている。具体的には、空中を飛翔する無人機と地上の管制装置との間の通信を中継衛星経由で行うものや(例えば特許文献1)、地上の無人建設機械と有人操作部との間の通信を、両者の間に配置した中継車の送受信機を介して行うもの(例えば特許文献2)、あるいは、例えば携帯電話の通信設備のように、事前に設置した多数の地上アンテナを用いて、基地局と携帯電話との間の通信をセルラー方式により常時確保するもの等がある。
【特許文献1】特開平8−84375号公報
【特許文献2】特開平10−285099号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、中継衛星を経由した通信は、無人機のように上空を移動する移動体でなく地上を移動する移動体に利用すると、立木や建物等の存在が影響して中継衛星との間の通信が確保できなくなる恐れがあるので、地上を移動する無人走行車に対する通信手段として適切なものとは言い難い。
【0006】
また、地上の無人建設機械と有人操作部との間の通信を両者間に配置した中継車の送受信機で中継する方式は、中継車と無人建設機械又は有人操作部との間、あるいは、各中継車間の見通しを確保することで、通信状態を常時確保することができるので、中継衛星を経由した通信に比べれば、地上を移動する無人走行車に対する通信手段としての適性を有していると言うことができる。しかし、実際には、中継車に搭載した監視用カメラの画像を有人操作部で監視しながら各中継車を遠隔操作してそれぞれの中継地点まで移動させて配置する必要があるので、各中継車の配置に多大な手間がかかる上、監視用カメラ等の遠隔操作のための装備を各中継車に搭載する必要がある分、設備コストが嵩むという不具合がある。
【0007】
さらに、携帯電話のセルラー方式による通信の確保は、多数の地上アンテナを事前に設置する必要があることから、携帯電話のような多数のユーザが利用するインフラストラクチャーとしては設備コストも回収可能であるであろうが、有人操作地点から監視地点の無人走行車の遠隔操作を行うような単一(又はそれに近い少数の)ユーザしか利用しないインフラストラクチャーとしては、利用規模に対して設備コストが膨大で到底ペイする範囲には収まらない。
【0008】
従来技術には上述したような種々の問題点が存在するため、これらを解消するためには結局、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間の信号伝送に用いる無線周波数の波長を選択したり、送信源の出力を高める等の対策が不可欠となり、実情や法規制に即した運用の妨げとなるか、あるいは、膨大な手間とコストをかける必要があり、採用するに至っていないのが実情である。
【0009】
本発明は前記事情に鑑みなされたもので、本発明の目的は、手間とコストをできるだけ抑制し、その上で、実情や法規制に即した柔軟な運用が可能となるような信号中継伝送方法や、その方法を実施する際に用いて好適な中継器ユニットを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するため、請求項1に記載した本発明の周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法は、有人操作地点から監視地点の無人走行車を遠隔操作するための遠隔操作信号と、前記無人走行車上の周辺状況捕捉手段により捕捉される前記監視地点の周辺状況の情報を前記有人操作地点に通知するための周辺状況信号とを、前記有人操作地点から前記監視地点に至る信号伝送経路中に少なくとも1箇所設定される中継地点において中継して、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送する周辺状況捕捉システムにおいて、前記有人操作地点から前記監視地点に向けて、前記中継地点をもれなく経由して前記無人走行車を移動させ、経由した前記中継地点において、前記無人走行車から中継器を降ろして設置し、少なくとも前記無人走行車の前記監視地点への到着以後、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間における信号の無線を用いた伝送を、前記中継地点に設置した前記中継器により中継するようにしたことを特徴とする。
【0011】
また、上記目的を達成するため、請求項5に記載した本発明の中継器ユニットは、無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、本体と、前記本体に設けられ、受信した信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信する無線信号中継手段と、前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に前記無線信号中継手段を起動する起動手段とを備えることを特徴とする。
【0012】
さらに、上記目的を達成するため、請求項7に記載した本発明の中継器ユニットは、無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、本体と、前記本体に設けられ、受信した信号を、前記無人走行車に接続された有線の通信線を介して該無人走行車に出力すると共に、該無人走行車から前記通信線を介して入力される信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信するハイブリッド信号中継手段と、前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に前記ハイブリッド信号中継手段を起動する起動手段とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、上記目的を達成するため、請求項9に記載した本発明の中継器ユニットは、無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、本体と、前記本体に設けられ、受信した信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信する無線信号中継手段と、前記本体に設けられ、受信した信号を、前記無人走行車に接続された有線の通信線を介して該無人走行車に出力すると共に、該無人走行車から前記通信線を介して入力される信号を、前記基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信するハイブリッド信号中継手段と、前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に、前記無線信号中継手段及び前記ハイブリッド信号中継手段のうち指定された一方の中継手段を選択的に起動する選択起動手段とを備えることを特徴とする。
【発明の効果】
【0014】
請求項1に記載した本発明の周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法によれば、有人操作地点から監視地点に向けて中継地点をもれなく経由して移動する無人走行車が、中継地点において中継器を降ろして設置することから、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間における信号の無線を用いた伝送を中継する中継地点の中継器を、有人操作地点からの遠隔操作によって、1又は複数の中継地点に移動させる必要がない。
【0015】
このため、有人操作地点からの遠隔操作を可能とするための装備を中継器に搭載したり、中継器を有人操作地点からの遠隔操作により対応する中継地点に移動させたりする必要がなくなり、また、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間の信号伝送に用いる無線周波数の波長を選択したり、送信源の出力を必要以上に高める等の対策も不要になる。
【0016】
よって、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間の無線を用いた信号伝送について、手間とコストをできるだけ抑制し、かつ、実情や法規制に即した柔軟な運用を可能にすることができる。
【0017】
また、請求項5に記載した本発明の中継器ユニットと、請求項7に記載した本発明の中継器ユニットと、請求項9に記載した本発明の中継器ユニットとによれば、本体が無人走行車から降ろされて中継地点に設置されることが設置検出手段により検出されると、無線信号中継手段と、ハイブリッド信号中継手段と、無線信号中継手段及びハイブリッド信号中継手段のうち指定された一方の中継手段とのうちいずれかが、対応する起動手段により起動されて、起動された中継手段が本体の設置された中継地点において、受け取った信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により通信相手に送信するようになる。
【0018】
このため、本体が設置された中継地点を介して行われる無線による信号の伝送が、無線信号中継手段と、ハイブリッド信号中継手段と、無線信号中継手段及びハイブリッド信号中継手段のうち指定された一方の中継手段とのうちいずれかの、対応する起動手段によって起動された中継手段によって、基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅した状態で行われるようになる。
【0019】
よって、有人操作地点からの遠隔操作を可能とするための装備を搭載したり、中継器を有人操作地点からの遠隔操作により対応する中継地点に移動させたりすることなく、また、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間の信号伝送に用いる無線周波数の波長を選択したり、出力を高める等の対策も講じることなく、有人操作地点と監視地点の無人走行車との間の無線を用いた信号伝送を、手間とコストをできるだけ抑制し、かつ、実情や法規制に即した柔軟な運用で実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0021】
図1は本発明による信号中継伝送方法を適用した周辺状況捕捉システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【0022】
そして、本実施形態の周辺状況捕捉システムは、図1に示すように、有人操作地点1からの操作ユニット3を用いた遠隔操作によって、遠隔地の監視地点5に配置した無人走行車9や監視地点7に配置した無人走行車11を各監視地点5,7においてそれぞれ移動させ、各監視地点5,7の無人走行車9,11と有人操作地点1の操作ユニット3との間で無線を用いて行う信号伝送を、各監視地点5,7と有人操作地点1との間の中継地点13,15,17にそれぞれ設置した中継器ユニット19,21,23を用いて中継するものである。
【0023】
そして、有人操作地点1に配置される操作ユニット3は、図2にブロック図で示すように、無人走行車9,11に対する制御信号の送信や無線走行車9,11からの監視画像信号の受信を行うための通信機3aと、通信機3aの動作を制御するための制御装置3bと、制御装置3bの制御に必要なデータ等が格納される外部記憶装置3cとを有している。
【0024】
また、操作ユニット3は、無人走行車9,11の遠隔操作に関連する制御装置3bへの指令やデータの入力を行うための入力装置3dと、制御装置3bの動作状態の表示や入力装置3dによる入力内容の表示、あるいは、入力装置3dによる指令やデータの入力を要求する画面の表示、無人走行車9,11において撮影、取得された監視地点5,7の監視画像の表示等を行う表示器3eと、通信機3aによる信号の送受信用のアンテナ3fと、電源としてのバッテリ3gとを有している。尚、バッテリ3gは発電機に置き換えてもよい。
【0025】
前記通信機3aは、本実施形態では、制御信号を始めとする比較的データ量の少ない信号用の送受信機と、監視画像信号を始めとする比較的データ量の多い信号用の送受信機とを内蔵している。そして、データ量の少ない信号用の送受信機は、比較的低周波で障害物の回り込みに強い超短波(VHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う。また、データ量の多い信号用の送受信機は、比較的高周波で伝送信号量に勝る極超短波(UHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う。なお、通信機3aの各送受信機は、制御装置3bとの間で信号の授受を行うために、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータをそれぞれ有している。
【0026】
また、本実施形態では、どちらの周波数帯の送受信機も、後述する制御装置3bの制御によって、監視地点5の無人走行車9を通信相手とする信号送受信と、監視地点7の無人走行車11を通信相手とする信号送受信とを、それぞれ多重アクセス方式で行う。具体的な多重アクセス方式としては、例えば、CSMA/CA(搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)やTDMA(時分割多重方式)を用いることができる。以後、代表例として、CSMA/CAを用いるものとして説明することにする。
【0027】
前記制御装置3bは、例えば、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)を有している。
【0028】
そして、制御装置3bは、無人走行車9,11に対する制御信号を、通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機に出力する。この制御信号は、キャリアが他の無線通信で使用されていないことを確認した上で、通信機3aの超短波周波数帯用の送受信機から送信先の無人走行車9,11に無線で送信される。また、制御装置3bには、無人走行車9,11から送信されて通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機により受信された監視画像信号が入力される。この監視画像信号は、キャリアが他の無線通信で使用されていないことを確認した上で、送信元の無人走行車9,11から無線で送信され、通信機3aの極超短波周波数帯用の送受信機により受信される。
【0029】
前記外部記憶装置3cには、無人走行車9に対して制御装置3bが制御信号として出力する移動経路のデータ等、制御装置3bからの要求に応じて制御装置3bに出力するデータ類が格納されている。尚、上述した無人走行車9の移動経路のデータには、有人操作地点1と監視地点5との間に設けられる中継地点13,15の位置データが含まれている。この位置データは、有人操作地点1と監視地点5との間の地形や構造物の配置等から予め割り出された、有人操作地点1の操作ユニット3と監視地点5の無人走行車9との無線による通信を確保するのに適したポイント(地点)の位置座標を示すものである。
【0030】
また、外部記憶装置3cには、通信機3aで受信されて制御装置3bに入力される監視地点5,7の無人走行車9,11からの監視画像信号等、制御装置3bから出力されるデータが格納される。
【0031】
前記入力装置3dは、キーボードやマウス、ジョイスティック、トラックボール等の、入力内容に適した1又は複数のデバイスからなる。表示器3eは、制御装置3bの動作状態の表示や入力装置3dによる入力内容の表示、あるいは、入力装置3dによる指令やデータの入力を要求する画面の表示、無人走行車9,11において撮影、取得された監視地点5,7の監視画像の表示等を行うのに適した、例えば液晶ディスプレイを有している。
【0032】
各監視地点5、7に配置される無人走行車9,11は、図3にブロック図で示すように、本体9aと、この本体9aに搭載された雲台9bと、この雲台9bに載置されて無人走行車9,11の周辺の画像を撮影する監視カメラ9c(請求項中の周辺状況捕捉手段に相当)と、監視カメラ9cで撮影された画像の信号である監視画像信号(請求項中の周辺状況信号に相当)の操作ユニット3に対する送信や操作ユニット3からの制御信号の受信を行うための通信機9dと、本体9a上に搭載された中継器ユニット19,21,23を路面に設置するための設置ユニット9fとを有している。通信機9dは、受信した信号の強度を検出する受信強度検出ユニット9eを内蔵している。
【0033】
また、無人走行車9,11は、中継器ユニット23に先端が接続された通信ケーブル23a(請求項中の通信線に相当)を繰り出し、巻き取るためのリールユニット9gと、本体9aを走行移動させるための走行装置9hと、雲台9bや監視カメラ9c、通信機9d、設置ユニット9f、リールユニット9g、走行装置9hの動作を制御するための制御装置9iと、制御装置9iの制御に必要なデータ等が格納される外部記憶装置9jと、通信機9dによる信号の送受信用のアンテナ9kと、電源としてのバッテリ9lと、無人走行車9,11の現在位置を検出するGPS装置9m及びGPSアンテナ9nとを有している。尚、バッテリ9lは発電機に置き換えてもよい。
【0034】
前記監視カメラ9cは、本実施形態では、外部からの制御信号によりワイド/テレの各方向に駆動されるズームレンズ機構や、内部のモータにより作動するオートフォーカス機構を有するCCDカメラで構成されている。なお、赤外光領域に感度を有するCCDカメラを監視カメラ9cに用いれば、夜間等の暗所における監視も可能となる。また、前記雲台9bは、監視カメラ9cを支持しており、外部からの制御信号により監視カメラ9cの向きをチルト、パンの各方向に移動させると共に、外部からの制御信号により監視カメラ9cを昇降させるように構成されている。
【0035】
前記通信機9dは、操作ユニット3の通信機3aと同様に、制御信号を始めとする比較的データ量の少ない信号用の、超短波(VHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う送受信機と、監視画像信号を始めとする比較的データ量の多い信号用の、比較的高周波で伝送信号量に勝る極超短波(UHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う送受信機とを内蔵している。
【0036】
また、本実施形態では、通信機9dのどちらの周波数帯の送受信機にも、操作ユニット3の通信機3aと同様の多重アクセス方式が採用されている。これにより、監視地点5の無人走行車9の通信機9dと監視地点7の無人走行車11の通信機9dとは、キャリアが他の無線通信で使用されていないことを確認した上で、共通のキャリアを用いて操作ユニット3との通信を行う。なお、通信機9dの各送受信機は、制御装置9iとの間で信号の授受を行うために、A/Dコンバータ及びD/Aコンバータをそれぞれ有している。
【0037】
前記通信機9dに内蔵された前記受信強度検出ユニット9eは、内蔵先の通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機で受信された信号の受信強度を、送信先(送信元)の無人走行車9,11別に検出する回路と、極超短波周波数帯用の送受信機で受信された信号の受信強度を、送信先(送信元)の無人走行車9,11別に検出する回路とを有している。各受信強度検出回路で検出される、超短波周波数帯用の送受信機で受信された信号の受信強度や、極超短波周波数帯用の送受信機で受信された信号の受信強度は、通信機9dから制御装置9iに出力される。
【0038】
前記設置ユニット9fは、本体9a上に搭載された中継器ユニット19,21,23を把持するチャックと、そのチャックを昇降方向、水平方向に移動させるアームとを有している。この設置ユニット9fは、外部からの制御信号により制御装置9iの制御の元に駆動される。したがって、制御装置9iの制御により設置ユニット9fは、本体9a上に搭載された中継器ユニット19,21,23のうち任意の一つを選択して、路面に設置することができる。
【0039】
前記リールユニット9gは、通信ケーブル23aが巻回されたリールとこのリールを正逆両方向に回転させるモータとを有している。このモータは、外部からの制御信号により正逆各方向に回転される。尚、通信ケーブル23aの基端は、リールユニット9gから引き出されて、インターフェース9pを介して制御装置9iに接続されている。
【0040】
前記走行装置9hは、ホイール又はクローラ等の左右の走行回転部と、各走行回転部を個別に独立してそれぞれ回転させる左右のモータとを有している。これら左右のモータはそれぞれ、外部からの制御信号により個別に正逆各方向に回転される。
【0041】
前記制御装置9iは、操作ユニット3の制御装置3bと同様に、例えば、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)を有している。
【0042】
そして、制御装置9iは、監視カメラ9cから入力される監視画像信号を、通信機9dの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機に出力する。この監視画像信号は、キャリアが他の無線通信で使用されていないことを確認した上で、通信機9dの極超短波周波数帯用の送受信機から送信される。また、制御装置9iには、操作ユニット3から送信されて通信機9dの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機により受信された制御信号が入力される。この制御信号は、キャリアが他の無線通信で使用されていないことを確認した上で、送信元の操作ユニット3又は後述する中継器ユニット19,21,23から無線で送信され、通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機により受信される。尚、操作ユニット3からの制御信号は、通信ケーブル23aを介してその先端に接続された中継器ユニット23から制御装置9iに入力される場合もある。
【0043】
前記外部記憶装置9jには、制御装置9iから出力されるデータが格納される。無人走行車9の外部記憶装置9jに格納されるデータには、通信機9dにより受信されて制御装置9iに入力された制御信号中の、有人操作地点1と監視地点5との間に設けられる中継地点13,15の位置データを含む無人走行車9の移動経路のデータが含まれる。外部記憶装置9jに格納されたデータは、制御装置9iからの要求により読み出されて制御装置9iに出力される。
【0044】
前記GPS装置9mは、上空の好ましくは4つ以上のGPS衛星(図示せず)からの信号をGPSアンテナ9nを介して受信し、このGPS装置9mが搭載された無人走行車9,11の本体9aの現在位置(緯度、経度、標高)の座標値を取得するものである。GPS装置9mが取得した無人走行車9,11の本体9aの現在位置の座標値は、制御装置9iに出力される。
【0045】
中継器ユニット19,21,23は、図4にブロック図で示すように、本体19aと、操作ユニット3の通信機3aと各無人走行車9,11の通信機9dとの間で伝送される監視画像信号や制御信号の中継を行うための中継器19b(請求項中の無線信号中継手段に相当)と、中継器ユニット19,21,23の路面上での姿勢を検出する姿勢センサ19c(請求項中の姿勢検出手段に相当)と、中継器ユニット19,21,23の路面上での姿勢を調整する起立水平機構19d(請求項中の姿勢調整手段に相当)とを有している。
【0046】
また、中継器ユニット19,21,23は、中継器19bによる信号の送受信用のアンテナ19eと、このアンテナ19eの伸縮ロッド機構19fと、中継器19bや起立水平機構19d、伸縮ロッド機構19fの動作を制御するための制御装置19gと、電源としてのバッテリ19hと、インターフェース19iとを有している。このインターフェース19iは、無人走行車9,11のリールユニット9gから繰り出された通信ケーブル23aの先端と制御装置19gとの間に介設されている。尚、バッテリ19hは発電機と置き換えてもよい。
【0047】
前記中継器19bは、受信機、増幅器、送信機を有している。このうち受信機及び送信機は、操作ユニット3や無人走行車9,11の通信機3a,9dと同様に、制御信号を始めとする比較的データ量の少ない信号用の、超短波(VHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う送信機及び受信機と、監視画像信号を始めとする比較的データ量の多い信号用の、比較的高周波で伝送信号量に勝る極超短波(UHF)の周波数帯において無線による信号送受信を行う送信機及び受信機とを有している。また、増幅器は、超短波周波数帯用の受信機で受信された信号を所定の信号強度に増幅する増幅器と、極超短波周波数帯用の受信機で受信された信号を所定の信号強度に増幅する増幅器とを有している。なお、中継器19bの各送信機は、制御装置19gからの信号を受け取るためにD/Aコンバータをそれぞれ有している。また、中継器19bの各受信機は、制御装置19gに信号を受け渡すためにA/Dコンバータをそれぞれ有している。
【0048】
尚、ここで言う所定の信号強度とは、或る中継器ユニット19,21,23の中継器19bの送信機から送信される信号を、隣り合う他の中継器ユニット19,21,23の中継器19bの受信機や、隣り合う操作ユニット3又は無人走行車9,11の通信機3a,9aの送受信機において、基準受信強度以上の受信強度で受信できる状態に保つために必要な、或る中継器ユニット19,21,23の中継器19bの送信機から信号を送信するときの信号強度のことである。したがって、所定の信号強度は当然、基準受信強度を上回る値に設定される。
【0049】
ちなみに、上述した基準受信強度とは、監視地点5の無人走行車9や監視地点7の無人走行車11と有人操作地点1の操作ユニット3との間で無線を用いて行う信号伝送を、後述する中継器ユニット19,21,23により中継して行うのに必要な目安となる基準的な受信強度である。したがって、或る中継器ユニット19,21,23を設置する中継地点13,15,17の位置は、隣り合う他の中継地点13,15,17の中継器ユニット19,21,23や、隣り合う有人操作地点1の操作ユニット3又は監視地点5,7の無人走行車9,11との間で、上述した基準受信強度以上の受信強度で無線による信号が常に受信できるような位置に設定する必要がある。
【0050】
また、先に説明したように、操作ユニット3及び無人走行車9,11の通信機3a,9dのどちらの周波数帯の送受信機にも、多重アクセス方式が採用されている。したがって、本実施形態では、中継器19bの超短波周波数帯用の受信機及び送信機や、極超短波周波数帯用の受信機及び送信機も、多重アクセス方式に対応したものを用いている。
【0051】
前記姿勢センサ19cは、無人走行車9,11の設置ユニット9fによって路面に設置された中継器ユニット19,21,23の重力方向に対する姿勢を検出するものである。この姿勢センサ19cは、例えばジャイロスコープや加速度センサ、歪ゲージ、あるいは、それらの組み合わせによって構成することができる。姿勢センサ19cで検出される中継器ユニット19,21,23の姿勢を示す信号は、制御装置19gに出力される。
【0052】
前記起立水平機構19dは、無人走行車9,11の設置ユニット9fによって路面に設置された中継器ユニット19,21,23の重力方向に対する姿勢を調整するためのものである。この水平起立機構19dは、例えば、本体19aの下部から四方に360度揺動可能に延出された支持脚を有している。各支持脚を個別に制御して揺動させることで、路面に設置された時点の姿勢が転倒状態であっても起立した姿勢に復帰し、かつ、その姿勢に保持されるように本体19aを路面に対して固定することができる。
【0053】
前記伸縮ロッド機構19fは、前記アンテナ19eを本体19aに対して昇降可能に支持する伸縮ロッドと、この伸縮ロッドを伸縮させるためのモータとを有している。このモータは、外部からの制御信号により正逆各方向に回転されて、伸縮ロッドを伸縮させる。
【0054】
前記制御装置19gは、例えば、CPU、ROM、RAM等からなるマイクロコンピュータ(マイコン)を有している。
【0055】
そして、制御装置19gは、中継器19bの超短波周波数帯用の受信機で受信された信号が、超短波周波数帯用の増幅器で所定の信号強度に増幅されて、超短波周波数帯用の送信機から送信されるように、中継器19bを制御する。また、制御装置19gは、中継器19bの極超短波周波数帯用の受信機で受信された信号が、極超短波周波数帯用の増幅器で所定の信号強度に増幅されて、極超短波周波数帯用の送信機から送信されるように、中継器19bを制御する。
【0056】
ちなみに、中継器19bの超短波周波数帯用の受信機で受信される信号や、中継器19bの極超短波周波数帯用の受信機で受信される信号は、いずれも、監視地点5の無人走行車9の通信機9dを送信先又は送信元とする信号と、監視地点7の無人走行車11の通信機9dを送信先又は送信元とする信号とが共通のキャリアを使用して無線伝送される、多重アクセス信号である。そのため、中継器19bの超短波周波数帯用の増幅器で所定の信号強度に増幅されて、超短波周波数帯用の送信機から送信される信号や、中継器19bの極超短波周波数帯用の増幅器で所定の信号強度に増幅されて、極超短波周波数帯用の送信機から送信される信号も、共に、監視地点5の無人走行車9の通信機9dを送信先又は送信元とする信号と、監視地点7の無人走行車11の通信機9dを送信先又は送信元とする信号とが、共通のキャリアを使用して無線伝送される、多重アクセス信号となる。
【0057】
また、制御装置19gには、中継器19bの超短波周波数帯用の受信機で受信された信号や、中継器19bの極超短波周波数帯用の受信機で受信された信号が入力される。入力されたそれらの信号は、必要に応じて、インターフェース19i、通信ケーブル23a、及び、インターフェース9pを介して、無人走行車9,11の制御装置9iに出力される。さらに、制御装置19gには、無人走行車9,11の制御装置9iから出力された信号が、インターフェース9p、通信ケーブル23a、及び、インターフェース19iを介して入力されることがある。入力された信号は、その内容に応じて、中継器19bの超短波周波数帯用の増幅器又は極超短波周波数帯用の増幅器に出力される。出力された信号は、増幅器において所定の信号強度に増幅されて、中継器19bの超短波周波数帯用の送信機又は極超短波周波数帯用の送信機から送信される。
【0058】
尚、制御装置19gは、バッテリ19hからの暗電流によりスリープモードで動作しており、外部からの起動指令信号が入力されるとアクティブモードに移行する。制御装置19gがアクティブモードになると、バッテリ19hからの電源が、制御装置19g以外の姿勢センサ19c、起立水平機構19d、伸縮ロッド機構19f、インターフェース19iにも供給されるようになる。
【0059】
ここで、制御装置19gのCPUがROMに格納されたプログラムにしたがって実行する処理の概略を、図5及び図6のフローチャートを参照して説明する。
【0060】
バッテリ19hからの電源の供給が開始されてスリープモードで起動されると、制御装置19gのCPUは、図5のフローチャートに示すように、所定のウェークアップ周期が到来したか否かを確認する(ステップS1)。ウェークアップ周期が到来していない場合は(ステップS1でN)、ウェークアップ周期が到来するまでステップS1をリピートする。
【0061】
一方、ウェークアップ周期が到来した場合は(ステップS1でY)、制御装置19gのCPUは、中継器19bの超短波の周波数帯用の受信機から、無人走行車9,11の制御装置9iからの起動を指令する起動指令信号が制御信号として入力されたか否かを確認する(ステップS3)。入力された場合は(ステップS3でY)、後述するステップS13に進む。
【0062】
また、中継器19bの超短波の周波数帯用の受信機から起動指令信号が入力されていない場合は(ステップS3でN)、制御装置19gのCPUは、通信ケーブル23a及びインターフェース19iを介して、無人走行車9,11の制御装置9iからの起動指令信号が制御信号として超短波の周波数帯用の受信機に入力されたか否かを確認する(ステップS5)。入力された場合は(ステップS5でY)、制御装置19gのCPUは、有線通信フラグFを「0」から「1」に変更した後(ステップS7)、ステップS13に進む。
【0063】
一方、通信ケーブル23a及びインターフェース19iを介して起動指令信号が入力されていない場合は(ステップS5でN)、バッテリ19hからの電源の供給が終了されたか否かを確認する(ステップS9)。電源の供給が終了されていない場合は(ステップS9でN)、ステップS1にリターンし、電源の供給が終了された場合は(ステップS9でY)、所定の終了処理を実行した後(ステップS11)、一連の処理を終了する。
【0064】
ステップS5において、中継器19bの超短波の周波数帯用の受信機から起動指令信号が入力された場合(Y)や、ステップS7において有線通信フラグFを「0」から「1」に変更した後に進むステップS13では、制御装置19gのCPUはアクティブモードに移行して、姿勢センサ19cによって検出された自ら(中継器ユニット19,21,23)の重力方向に対する姿勢が、起立した正常な状態にあるか否かを確認する。
【0065】
正常な状態にない場合は(ステップS13でN)、制御装置19gのCPUは、姿勢センサ19cによって検出される姿勢が正常な状態にあると確認されるように、起立水平機構19dによって自ら(中継器ユニット19,21,23)の重力方向に対する姿勢を調整した後(ステップS15)、後述するステップS17に進む。自らの姿勢が正常な状態である場合は(ステップS13でY)、ステップS15をスキップしてステップS17に進む。
【0066】
ステップS17では、制御装置19gのCPUは、アンテナ19eが最も感度のよい状態となるように、収縮した状態の伸縮ロッド機構19fの伸縮ロッドを伸長させ、次に、制御装置19gのCPUは、図6のフローチャートに示すように、有線通信フラグFが「1」であるか否かを確認する(ステップS19)。有線通信フラグFが「1」でない場合は(ステップS19でN)、後述するステップS29に進む。
【0067】
また、有線通信フラグFが「1」である場合は(ステップS19でY)、中継器19bの超短波の周波数帯用の受信機から制御信号が入力されたか否かを確認する(ステップS21)。制御信号が入力された場合は(ステップS21でY)、入力された制御信号を、インターフェース19i及び通信ケーブル23aを介して無人走行車9,11の制御装置9iに出力した後(ステップS23)、ステップS21にリターンする。
【0068】
一方、中継器19bの超短波の周波数帯用の受信機から制御信号が入力されていない場合は(ステップS21でN)、制御装置19gのCPUは、通信ケーブル23a及びインターフェース19iを介して、無人走行車9,11の制御装置9iからの監視画像信号が入力されたか否かを確認する(ステップS25)。監視画像信号が入力されていない場合は(ステップS25でN)、ステップS29に進む。
【0069】
また、監視画像信号が入力された場合は(ステップS25でY)、入力された監視画像信号を中継器19bの極超短波の周波数帯用の増幅器に出力し、この増幅器で所定の信号強度に増幅させ、中継器19bの極超短波の周波数帯用の送信機から送信させた後(ステップS27)、ステップS21にリターンする。
【0070】
ステップS19において、有線通信フラグFが「1」でない場合(N)と、ステップS25において、通信ケーブル23a及びインターフェース19iを介して無人走行車9,11からの監視画像信号が入力されていない場合(N)とに進むステップS29では、バッテリ19hからの電源の供給が終了されたか否かを確認する。電源の供給が終了されていない場合は(ステップS29でN)、ステップS19にリターンし、電源の供給が終了された場合は(ステップS29でY)、所定の終了処理を実行した後(ステップS31)、一連の処理を終了する。
【0071】
以上の説明からも明らかなように、本実施形態では、制御装置19gと中継器19bとで請求項中のハイブリッド信号中継手段が構成されており、また、制御装置19gが、請求項中の設置検出手段、請求項5中の起動手段、請求項7中の起動手段、請求項9中の選択起動手段、及び、請求項中の姿勢制御手段として機能している。
【0072】
次に、上述のように構成された本実施形態の周辺状況捕捉システムにおいて、中継地点13,15,17に中継器ユニット19,21,23を設置する場合の動作について説明する。
【0073】
まず、中継地点13,15に中継器ユニット19,21を設置する場合の動作について説明する。有人操作地点1の不図示のオペレータが、操作ユニット3の入力装置3dを操作して、外部記憶装置3cに予め格納されている無人走行車9の移動経路のデータを無人走行車9に送信させる指令を入力する。すると、この指令の入力を検出した操作ユニット3の制御装置3bが、外部記憶装置3cから無人走行車9の移動経路のデータを読み出して、制御信号(請求項中の遠隔操作信号に相当)として通信機3aの超短波周波数帯用の送受信機から送信させる。
【0074】
操作ユニット3から送信された上述の移動経路のデータが、中継器ユニット19,21,23を本体9aに搭載して有人操作地点1に待機している無人走行車9の通信機9dの、超短波周波数帯用の送受信機によって制御信号として受信されると、受信された移動経路のデータが無人走行車9の制御装置9iに入力される。そして、制御装置9iは、GPS装置9mによって取得された本体9aの現在位置の座標値と照合しながら、受信した移動経路のデータにしたがって走行装置9hを駆動させる。これにより、無人走行車9が、操作ユニット3から受信したデータにより指定された移動経路と、移動中の実際の位置とにずれがあるか否かを確認し、また、ずれがある場合はそれを補正しながら、受信した移動経路のデータ通りに有人操作地点1から移動することになる。
【0075】
そして、有人操作地点1を出発した無人走行車9が移動経路中に存在する中継地点13に到着すると、そのことが、移動経路のデータ中に存在する中継地点13の位置データと、GPS装置9mによって取得された本体9aの現在位置の座標値との一致により、制御装置9iによって確認される。そこで、制御装置9iは、走行装置9hによる無人走行車9の移動を一旦停止させて、設置ユニット9fにより中継器ユニット19を中継地点13の路面に設置させる。
【0076】
中継器ユニット19を中継地点13の路面に設置させると、無人走行車9の制御装置9iは、通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機から起動指令信号を送信させる。この起動指令信号は、中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯用の受信機によって受信されて、中継器ユニット19の制御装置19gに入力される。すると、制御装置19gは、CPUをスリープモードからアクティブモードに移行させ、バッテリ19hからの電源が供給されるようになった姿勢センサ19cを用いて、中継器ユニット19の姿勢が正常な起立状態であるか否かを確認する。起立状態にない場合は、制御装置19gの制御により、起立水平機構19dによって中継器ユニット19が起立状態に姿勢調整される。中継器ユニット19が起立状態に姿勢調整されると、伸縮ロッド機構19fの伸縮ロッドが制御装置19gの制御により伸長されて、アンテナ19eが最も感度のよい状態とされる。これにより、中継器ユニット19の中継地点13への設置が完了し、以後、操作ユニット3と無人走行車9との間の無線による通信は、中継地点13の中継器ユニット19により中継される。
【0077】
中継地点13への中継器ユニット19の設置が完了すると、制御装置9iは再び、先に受信した移動経路のデータにしたがって走行装置9hを駆動させる。これにより、無人走行車9が、操作ユニット3から受信したデータにより指定された移動経路と、移動中の実際の位置とにずれがあるか否かを確認し、また、ずれがある場合はそれを補正しながら、受信した移動経路のデータ通りに中継地点13から移動することになる。
【0078】
そして、中継地点13を出発した無人走行車9が移動経路中に存在する次の中継地点15に到着すると、そのことが、移動経路のデータ中に存在する中継地点15の位置データと、GPS装置9mによって取得された本体9aの現在位置の座標値との一致により、制御装置9iによって確認される。そこで、制御装置9iは、走行装置9hによる無人走行車9の移動を一旦停止させて、設置ユニット9fにより中継器ユニット21を中継地点15の路面に設置させる。
【0079】
中継器ユニット21を中継地点15の路面に設置させると、無人走行車9の制御装置9iは、通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機から起動指令信号を送信させる。この起動指令信号は、中継器ユニット21の中継器19bの超短波周波数帯用の受信機によって受信されて、中継器ユニット19の制御装置19gに入力される。すると、制御装置19gは、CPUをスリープモードからアクティブモードに移行させ、バッテリ19hからの電源が供給されるようになった姿勢センサ19cを用いて、中継器ユニット21の姿勢が正常な起立状態であるか否かを確認する。起立状態にない場合は、制御装置19gの制御により、起立水平機構19dによって中継器ユニット21が起立状態に姿勢調整される。中継器ユニット21が起立状態に姿勢調整されると、伸縮ロッド機構19fの伸縮ロッドが制御装置19gの制御により伸長されて、アンテナ19eが最も感度のよい状態とされる。これにより、中継器ユニット21の中継地点15への設置が完了し、以後、操作ユニット3と無人走行車9との間の無線による通信は、中継地点13,15の中継器ユニット19,21により中継される。
【0080】
尚、中継地点15への中継器ユニット21の設置が完了すると、制御装置9iは再び、先に受信した移動経路のデータにしたがって走行装置9hを駆動させる。これにより、無人走行車9が、操作ユニット3から受信したデータにより指定された移動経路と、移動中の実際の位置とにずれがあるか否かを確認し、また、ずれがある場合はそれを補正しながら、受信した移動経路のデータ通りに中継地点15から移動することになる。
【0081】
そして、中継地点15を出発した無人走行車9が移動経路の最終目的地である監視地点5に到着すると、そのことが、移動経路のデータ中に存在する監視地点5の位置データと、GPS装置9mによって取得された本体9aの現在位置の座標値との一致により、制御装置9iによって確認される。そこで、制御装置9iは、走行装置9hによる無人走行車9の移動を停止させる。
【0082】
以上のようにして無人走行車9が有人操作地点1から監視地点5に移動するまでの間、及び、監視地点5に到着した以降を通じて、無人走行車9の監視カメラ9cから入力される監視画像信号は、通信機9dの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から常時送信される。送信された監視画像信号は、無人走行車9が有人操作地点1と中継地点13との間を移動している間は、有人操作地点1の操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機によって直接受信される。
【0083】
また、無人走行車9が中継地点13を過ぎて次の中継地点15までの間を移動している間、無人走行車9の監視カメラ9cから入力されて、通信機9dの極超短波周波数帯用の送受信機から送信される監視画像信号は、中継地点13に設置した中継器ユニット19の中継器19bによって中継されて、有人操作地点1の操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機で受信される。
【0084】
さらに、無人走行車9が次の中継地点15を過ぎて監視地点5までの間を移動している間、及び、監視地点5に到着した以後、無人走行車9の監視カメラ9cから入力されて、通信機9dの極超短波周波数帯用の送受信機から送信される監視画像信号は、中継地点13,15に設置した中継器ユニット19,21の各中継器19bによって中継されて、有人操作地点1の操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機で受信される。
【0085】
操作ユニット3の通信機3aで受信された監視画像信号は操作ユニット3の制御装置3bに入力され、この制御装置3bから表示器3eに出力される。したがって、表示器3eには、無人走行車9の監視カメラ9cで撮影された画像が表示される。この画像は、無人走行車9が有人操作地点1から監視地点5に移動する間は、無人走行車9の移動に支障がないかどうかを確認するために利用され、監視地点5に到着した以後は、監視地点5を有人操作地点1から遠隔監視するために利用される。
【0086】
次に、上述したように中継地点13,15に中継器ユニット19,21が設置された後に、中継地点13から見て中継地点15とは異なる方向の中継地点17に中継器ユニット23を設置する場合の動作について説明する。有人操作地点1の不図示のオペレータが、操作ユニット3の入力装置3dを操作して、無人走行車11の移動方向を入力する。すると、この入力を検出した操作ユニット3の制御装置3bが、制御信号(請求項中の遠隔操作信号に相当)として通信機3aの超短波周波数帯用の送受信機から送信させる。
【0087】
操作ユニット3から送信された上述の移動経路の制御信号が、中継器ユニット19,21,23を本体9aに搭載して有人操作地点1に待機している無人走行車11の通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機によって受信されると、受信された制御信号が無人走行車11の制御装置9iに入力される。そして、制御装置9iは、受信強度検出ユニット9eによって検出された超短波周波数帯用の送受信機による制御信号の受信強度が基準受信強度まで低下していないかどうか監視しながら、受信した制御信号によって示される移動方向に走行装置9hを駆動させる。これにより、無人走行車11が、操作ユニット3の入力装置3dの操作により指定された方向に有人操作地点1から移動することになる。
【0088】
上述のようにして無人走行車11が遠隔操作により有人操作地点1から移動されている間、無人走行車11の監視カメラ9cから入力される監視画像信号は、通信機9dの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から常時送信される。
【0089】
無人走行車11の通信機9dから送信された監視画像信号は、無人走行車11の最寄りに有人操作地点1が存在する場合は、有人操作地点1の操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機によって直接受信される。また、無人走行車11の最寄りに中継地点13が存在する場合は、中継地点13に設置した中継器ユニット19の中継器19bの極超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機によって中継されて、有人操作地点1の操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機によって受信される。
【0090】
操作ユニット3の通信機3aの極超短波周波数帯で送受信を行う送受信機で受信された監視画像信号は操作ユニット3の制御装置3bに入力され、この制御装置3bから表示器3eに出力される。したがって、表示器3eには、無人走行車11の監視カメラ9cで撮影された画像が表示される。そこで、有人操作地点1のオペレータは、表示器3eの画像を見て無人走行車11の付近に移動の支障となる障害物がないかどうかを確認しながら、入力装置3dを操作して無人走行車11の移動方向を入力し、その方向に無人走行車11を移動させることになる。
【0091】
また、移動中の無人走行車11の制御装置9iは、受信強度検出ユニット9eによって検出された監視画像信号や制御信号の受信強度が基準受信強度まで低下すると、その旨を示す制御信号を、通信機9dの超短波周波数帯用の送受信機から送信させる。この制御信号は、直接、又は、中継地点13の中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機により中継されて、操作ユニット3の通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機により受信される。
【0092】
受信した制御信号は操作ユニット3の制御装置3bに入力され、制御装置3bは、移動中の無人走行車11における監視画像信号や制御信号の受信強度が基準受信強度まで低下している旨のメッセージを、表示器3eに表示させる。したがって、オペレータは、この表示器3eの表示により無人走行車11が無線通信を正常に確立できない場所に移動しないように遠隔操作することができる。とはいえ、操作ユニット3と無人走行車11との通信状態を正常に確立し続けるために、無人走行車11は、中継地点13を経由して目標とする監視地点7に移動させることが望ましい。
【0093】
そして、中継地点13を通過した無人走行車11がさらに移動を続けると、やがて、中継地点13からの距離が遠くなって、無人走行車11における監視画像信号や制御信号の受信強度が基準受信強度まで低下するようになる。すると、その旨を示す制御信号が無人走行車11の通信機9dの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から送信されて操作ユニット3の通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機により受信され、操作ユニット3の表示器3eにメッセージが表示されるようになる。
【0094】
そこで、オペレータは、操作ユニット3の入力装置3dを操作して、無人走行車11の走行を停止させ、停止した地点を中継地点17として、設置ユニット9fに中継器ユニット19,21,23のいずれかを路面に設置させるための指令を入力する。尚、ここでは、操作ユニット3の表示器3eに表示された無人走行車11の付近の画像に、通信の支障となる障害物が存在するものとして、有線により無人走行車11との通信を確立できる中継器ユニット23を中継地点17に設置させるための指令を入力するものとする。
【0095】
すると、この入力を検出した操作ユニット3の制御装置3bが、通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から制御信号を送信させ、送信された制御信号が、中継地点13の中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機により中継されて、無人走行車11の通信機9dの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機によって受信される。受信された制御信号は無人走行車11の制御装置9iに入力され、制御装置9iは、設置ユニット9fにより中継器ユニット23を中継地点17の路面に設置させる。
【0096】
中継器ユニット23を中継地点17の路面に設置させると、無人走行車11の制御装置9iは、インターフェース9p及び通信ケーブル23aを介して起動指令信号を出力させる。この起動指令信号は、インターフェース19iを介して中継器ユニット23の制御装置19gに入力される。すると、制御装置19gは、CPUをスリープモードからアクティブモードに移行させ、バッテリ19hからの電源が供給されるようになった姿勢センサ19cを用いて、中継器ユニット23の姿勢が正常な起立状態であるか否かを確認する。起立状態にない場合は、制御装置19gの制御により、起立水平機構19dによって中継器ユニット23が起立状態に姿勢調整される。中継器ユニット23が起立状態に姿勢調整されると、伸縮ロッド機構19fの伸縮ロッドが制御装置19gの制御により伸長されて、アンテナ19eが最も感度のよい状態とされる。これにより、中継器ユニット23の中継地点17への設置が完了し、以後、操作ユニット3と無人走行車9との間の通信は、中継地点13,17の中継器ユニット19,23により、一部無線を用いて中継される。
【0097】
尚、中継地点17への中継器ユニット23の設置が完了すると、オペレータは、操作ユニット3の入力装置3dを操作して、無人走行車11の移動方向を再び入力する。すると、この入力を検出した操作ユニット3の制御装置3bが、通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から制御信号を送信させる。この制御信号は、中継地点13の中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機により中継されて、中継地点17の中継器ユニット23の中継器19bの超短波周波数帯で受信を行う受信機により受信される。受信された制御信号は中継器ユニット23の制御装置19gに入力される。そして、制御装置19gは、インターフェース19i及び通信ケーブル23aを介して制御信号を出力させる。この制御信号は、インターフェース9pを介して無人走行車11の制御装置9iに入力される。すると、制御装置9iは、入力された制御信号によって示される移動方向に走行装置9hを駆動させる。これと共に、制御装置9iは、巻回された通信ケーブル23aがリールから繰り出される方向にリールユニット9gのモータを回転させる。これにより、中継器ユニット23の制御装置19gと無人走行車11の制御装置9iとが通信ケーブル23aにより有線接続された状態で、無人走行車11が、操作ユニット3の入力装置3dの操作により指定された方向に中継地点17から移動することになる。
【0098】
そして、中継地点17を出発した無人走行車11が移動経路の最終目的地である監視地点7に到着したことを、操作ユニット3の表示器3eに表示された監視カメラ9cの撮影画像によってオペレータが認識すると、オペレータは、操作ユニット3の入力装置3dを操作して、無人走行車11の走行を停止させるための指令を入力する。
【0099】
すると、この入力を検出した操作ユニット3の制御装置3bが、通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機から制御信号を送信させ、送信された制御信号が、中継地点13の中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機により中継されて、中継地点15の中継器ユニット23の中継器19bの超短波周波数帯で受信を行う受信機により受信され、さらに、中継器ユニット23の制御装置19gから通信ケーブル23aを介して無人走行車11の制御装置9iに入力される。そして、制御装置9iは、走行装置9hによる無人走行車11の移動を停止させる。
【0100】
以後、無人走行車11の監視カメラ9cで撮影した監視地点7の付近の画像は、監視画像信号として無人走行車11の制御装置9iから通信ケーブル23aを介して中継器ユニット23の制御装置19gに出力され、さらに、中継器ユニット23の中継器19bの超短波周波数帯で送信を行う送信機から無線で送信されて中継器ユニット19の中継器19bの超短波周波数帯で送受信を行う送信機及び受信機で中継され、操作ユニット3の通信機3aの超短波周波数帯で送受信を行う送受信機で受信される。受信された監視画像信号は操作ユニット3の制御装置3bに入力され、この制御装置3bから表示器3eに出力される。したがって、表示器3eには、無人走行車9の監視カメラ9cで撮影された画像が表示される。この画像は、監視地点7を有人操作地点1から遠隔監視するために利用される。
【0101】
このように、本実施形態の周辺状況捕捉システムによれば、有人操作地点1から監視地点5,7に向けて移動させる遠隔監視用の無人走行車9,11に、有人操作地点1の操作ユニット3と無人走行車9,11とが無線を用いて行う通信を中継する中継器ユニット19,21,23を搭載し、移動中の無人走行車9,11が有人操作地点1から遠ざかって無線を用いた操作ユニット3との通信を確立できなくなる前に、有人操作地点1と監視地点5,7との間の中継地点13,15,17において、無人走行車9,11から中継器ユニット19,21,23を降ろして設置するようにした。
【0102】
そして、中継地点13,15,17に設置された中継器ユニット19,21,23の制御装置19gに、無人走行車9,11の制御装置9iからの起動指令信号が、中継器19b又は通信ケーブル23aを介して入力されると、中継器ユニット19,21,23の中継機能が実質的に起動されて、操作ユニット3と無人走行車9,11との通信が中継器ユニット19,21,23によって中継されるようにした。
【0103】
そのため、移動中の無人走行車9,11が、操作ユニット3との無線による通信の可能な範囲を、移動経路上の中継地点13,15,17に設置する中継器ユニット19,21,23により有人操作地点1の遠方に実質的に順次拡大しながら、有人操作地点1から監視地点5,7に移動することになる。
【0104】
よって、無人走行車9,11が監視地点5,7まで移動するまでの間、及び、監視地点5,7に移動した後を通じて、操作ユニット3と無人走行車9,11との通信が継続して確保される。しかも、中継器ユニット19,21,23を有人操作地点1からの遠隔操作で個々に設置先の中継地点13,15,17に移動させたり、それを可能とするための装備を各中継器ユニット19,21,23に搭載したりする必要がない。また、操作ユニット3や無人走行車9,11の通信機3a,9dの送信周波数を、送信する情報量とは無関係に、遠距離通信に適した周波数帯に限定する必要が無く、かつ、送信出力を必要以上に高める必要もない。勿論、広範囲の無線通信を可能とする固定通信装置を既設する必要もない。
【0105】
このため、本実施形態の周辺状況捕捉システムによれば、有人操作地点1の操作ユニット3と監視地点5,7の無人走行車9,11との間の無線を用いた信号伝送を、手間とコストをできるだけ抑制し、かつ、実情や法規制に即した柔軟な運用で実現することができる。
【0106】
尚、本実施形態では、中継地点13,15,17に設置された中継器ユニット19,21,23の制御装置19gに、無人走行車9,11の制御装置9iからの起動指令信号が中継器19b又は通信ケーブル23aを介して入力された際に、中継器ユニット19,21,23の姿勢が正常な起立状態であるか否かを姿勢センサ19cを用いて確認し、起立状態にない場合は起立水平機構19dによって、中継器ユニット19,21,23を起立状態に姿勢調整する構成を採用した。
【0107】
この構成は省略してもよいが、本実施形態のようにこの構成を設けた方が、無人走行車9,11から中継地点13,15,17の路面に中継器ユニット19,21,23を起立した姿勢で降ろさなくても、中継機能を損なわないように中継器ユニット19,21,23に自らの姿勢を起立した状態に修正させることができるので、有利である。
【0108】
また、本実施形態では、中継地点13,15の位置データを含む移動経路のデータを受信して、GPS装置9mにより取得される現在位置と照合しながら、中継地点13,15を経由して目的の監視地点5に自律的に移動する無人走行車9と、有人操作地点1のオペレータによる操作ユニット3の操作で遠隔操作されて、中継地点17を経由して目的の監視地点7に移動する無人走行車11とを、同時に運用する場合について説明した。しかし、どちらか一方の無人走行車9,11だけを運用する場合にも、本発明は適用可能である。
【0109】
さらに、本実施形態では、無人走行車11が、無人走行車9の設置した中継地点13の中継器ユニット19を共用して中継地点17乃至監視地点7に移動するものとした。しかし、有人操作地点1からの出発直後に、中継地点13から中継地点17に移動し中継器ユニット23を設置するまでの動作と同様の動作を行うことで、有人操作地点1のオペレータによって遠隔操作される無人走行車11が中継地点13,17の両方に中継器ユニット19,23を設置するものとしてもよい。
【0110】
また、監視地点5,7の無人走行車9,11が最寄りの中継地点15,17の中継器ユニット21,23との通信を、無人走行車9のように無線によって行うか、それとも、無人走行車11のように通信ケーブル23aを用いて有線で行うかは、いずれも任意である。但し、無人走行車9,11と最寄りの中継器ユニット19,21,23とを結ぶ直線上に、中継器ユニット19,21,23に対する見通しが無線通信上利かなくなるような障害物が存在する場合は、有線により通信を行う方が好ましい。
【0111】
さらに、本実施形態では、無人走行車9と無人走行車11とが、CSMA/CA(搬送波感知多重アクセス/衝突回避方式)やTDMA(時分割多重方式)のような多重アクセス方式により、同じ周波数の信号を使用して無線通信を行う場合について説明したが、それぞれが別の周波数の信号を使用して無線通信するようにしてもよい。同様に、本実施形態では、監視画像信号と制御信号とで無線通信に用いる信号の周波数を異ならせる(極超短波と超短波)場合について説明したが、同一周波数の信号で監視画像信号と制御信号との無線通信を行うように構成してもよい。
【0112】
また、本実施形態では、周辺状況捕捉手段を監視カメラ9cで構成し、監視カメラ9cで撮影される画像や監視画像信号が、監視地点の周辺状況の情報や周辺状況信号である場合を例に取って説明した。しかし、周辺状況捕捉手段は監視カメラ9c以外のものであってもよく、例えば、立体物の表面位置を検出するレーザスキャナを周辺状況捕捉手段として用いるように構成することもできる。さらに、無人走行車9,11の走行装置9hは、本実施形態で示した回転式のものに限らず、脚式等の他の形式によるものであってもよい。
【0113】
さらに、本実施形態では、請求項中の設置検出手段として機能する中継器ユニット19,21,23の制御装置19gに、無人走行車9,11から無線で送信されて中継器19bの超短波周波数帯用の受信機で受信された起動指令信号、又は、無人走行車9,11から通信ケーブル23aを介して出力された起動指令信号が入力されることにより、中継器ユニット19,21,23の本体19aが無人走行車9,11から降ろされて中継地点13,15,17に設置されたことを検出する構成とした。しかし、無人走行車9,11から降ろした際に本体19aに生じる衝撃を避けるために、センサ等を用いて中継器ユニット19,21,23の制御装置19gで検出することで、中継器ユニット19,21,23の中継地点13,15,17への設置を検出する構成とする等、中継器ユニット19,21,23の中継地点13,15,17への設置を検出する設置検出手段の構成は、本実施形態で示した構成に限らず任意である。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】本発明による信号中継伝送方法を適用した周辺状況捕捉システムの一実施形態を示す概略構成図である。
【図2】図1に示す操作ユニットの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図3】図1に示す無人走行車の電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図4】図1に示す中継器ユニットの電気的な概略構成を示すブロック図である。
【図5】図4の中継器ユニットの制御装置のCPUがROMに格納された制御プログラムにしたがって実行する処理の概略を示すフローチャートである。
【図6】図4の中継器ユニットの制御装置のCPUがROMに格納された制御プログラムにしたがって実行する処理の概略を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0115】
1 有人操作地点
3 操作ユニット
5,7 監視地点
9,11 無人走行車
13,15,17 中継地点
19,21,23 中継器ユニット
19a 本体
19b 中継器(無線信号中継手段、ハイブリッド信号中継手段)
19c 姿勢センサ(姿勢検出手段)
19d 起立水平機構(姿勢調整手段)
19g 制御装置(ハイブリッド信号中継手段、設置検出手段、起動手段、選択起動手段、姿勢制御手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
有人操作地点から監視地点の無人走行車を遠隔操作するための遠隔操作信号と、前記無人走行車上の周辺状況捕捉手段により捕捉される前記監視地点の周辺状況の情報を前記有人操作地点に通知するための周辺状況信号とを、前記有人操作地点から前記監視地点に至る信号伝送経路中に少なくとも1箇所設定される中継地点において中継して、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送する周辺状況捕捉システムにおいて、
前記有人操作地点から前記監視地点に向けて、前記中継地点をもれなく経由して前記無人走行車を移動させ、
経由した前記中継地点において、前記無人走行車から中継器を降ろして設置し、
少なくとも前記無人走行車の前記監視地点への到着以後、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間における信号の無線を用いた伝送を、前記中継地点に設置した前記中継器により中継するようにした、
ことを特徴とする周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法。
【請求項2】
移動中の前記無人走行車の現在位置が予め決定された前記中継地点の位置と一致するように該無人走行車を誘導することで、前記有人操作地点から前記監視地点に向けて移動する前記無人走行車に、前記中継地点をもれなく経由させるようにした請求項1記載の周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法。
【請求項3】
前記有人操作地点から前記監視地点に向けて移動中の前記無人走行車において受信された無線による前記遠隔操作信号の受信強度を計測し、計測した前記受信強度が、無線による前記遠隔操作信号及び前記周辺状況信号の伝送に必要な基準受信強度まで低下した地点を検出し、検出した前記地点を前記中継地点として決定し、決定した前記中継地点において前記中継器を前記無人走行車から降ろして設置し、該中継器の設置後は、この中継器の設置前に既に設置された前記無人走行車の最寄りの前記中継器、又は、前記有人操作地点と、前記無人走行車との間で直接行われていた信号の無線による伝送を、今回設置した前記中継器により中継して行うようにした請求項1又は2記載の周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法。
【請求項4】
前記監視地点の前記無人走行車と前記監視地点の最寄りの前記中継地点に設置した前記中継器との間の信号の伝送を、有線によって行うようにした請求項1、2又は3記載の周辺状況捕捉システムの信号中継伝送方法。
【請求項5】
無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、
本体と、
前記本体に設けられ、受信した信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信する無線信号中継手段と、
前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、
前記設置検出手段による前記検出が行われた際に前記無線信号中継手段を起動する起動手段と、
を備えることを特徴とする中継器ユニット。
【請求項6】
前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を調整する姿勢調整手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に、前記姿勢検出手段により検出される前記本体の重力方向に対する姿勢に基づいて、前記本体の重力方向に対する姿勢を前記姿勢調整手段により、前記無線信号中継手段による信号の送受信に有利な所定の姿勢に調整させる姿勢制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項5記載の中継器ユニット。
【請求項7】
無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、
本体と、
前記本体に設けられ、受信した信号を、前記無人走行車に接続された有線の通信線を介して該無人走行車に出力すると共に、該無人走行車から前記通信線を介して入力される信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信するハイブリッド信号中継手段と、
前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、
前記設置検出手段による前記検出が行われた際に前記ハイブリッド信号中継手段を起動する起動手段と、
を備えることを特徴とする中継器ユニット。
【請求項8】
前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を調整する姿勢調整手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に、前記姿勢検出手段により検出される前記本体の重力方向に対する姿勢に基づいて、前記本体の重力方向に対する姿勢を前記姿勢調整手段により、前記ハイブリッド信号中継手段による信号の無線による送受信に有利な所定の姿勢に調整させる姿勢制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項7記載の中継器ユニット。
【請求項9】
無人走行車に搭載され、該無人走行車が有人操作地点から監視地点に向けて移動する際にもれなく経由する少なくとも1箇所の中継地点において、前記無人走行車から降ろされ前記中継地点に設置されて、前記有人操作地点と前記監視地点の前記無人走行車との間で無線を用いて伝送される信号を中継する中継器ユニットであって、
本体と、
前記本体に設けられ、受信した信号を、無線による信号の伝送に必要な基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信する無線信号中継手段と、
前記本体に設けられ、受信した信号を、前記無人走行車に接続された有線の通信線を介して該無人走行車に出力すると共に、該無人走行車から前記通信線を介して入力される信号を、前記基準受信強度を上回る所定の信号強度に増幅して無線により送信するハイブリッド信号中継手段と、
前記本体が前記無人走行車から降ろされて前記中継地点に設置される際にこれを検出する設置検出手段と、
前記設置検出手段による前記検出が行われた際に、前記無線信号中継手段及び前記ハイブリッド信号中継手段のうち指定された一方の中継手段を選択的に起動する選択起動手段と、
を備えることを特徴とする中継器ユニット。
【請求項10】
前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を検出する姿勢検出手段と、前記本体に設けられ該本体の重力方向に対する姿勢を調整する姿勢調整手段と、前記設置検出手段による前記検出が行われた際に、前記姿勢検出手段により検出される前記本体の重力方向に対する姿勢に基づいて、前記本体の重力方向に対する姿勢を前記姿勢調整手段により、前記選択起動手段により選択的に起動された中継手段による信号の送受信に有利な所定の姿勢に調整させる姿勢制御手段とをさらに備えることを特徴とする請求項9記載の中継器ユニット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−33565(P2009−33565A)
【公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−196460(P2007−196460)
【出願日】平成19年7月27日(2007.7.27)
【出願人】(000000099)株式会社IHI (5,014)
【Fターム(参考)】