説明

呼吸データ収集システム

【課題】顔に被着する呼吸データ収集装置について洗浄を可能とし、開口部を有する接点式入出力ポートを用いることなく、呼吸データ収集装置と解析表示装置との間で充電とデータ転送を行なうことを可能とすることである。
【解決手段】呼吸データ収集システムは、防水性樹脂によって覆われる呼吸データ収集装置20と、呼吸データ収集装置20を収納する解析表示装置70とから構成される。解析表示装置70のくぼみ76には、受光センサ78が設けられ、呼吸データ収集装置20のLEDとの間で光データ転送が行われる。また、解析表示装置70の下筐体72と上筐体74に分けて設けられる下側ヨーク82と上側ヨーク84とで構成される送信コイル部と、呼吸データ収集装置20の受電コイル部との間で無線電力供給が行なわれる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸データ収集システムに係り、特に無呼吸に関係する呼吸の変化を収集する呼吸データ収集システムに関する。
【背景技術】
【0002】
本願発明者は、先に特許文献1に開示されるように、日常の中で無呼吸に関する定量的なデータを収集することを可能とする呼吸データ収集システムを提案した。ここでは、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムが用いられる。
【0003】
【特許文献1】特開2005−160644号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置として、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着する着脱可能な被着パッドと、被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサとを用い、データ収集部等の電子回路と、電源である2次電池等は被着パッドの中に内蔵される構造を採用している。また、ティーチング等を行なうため、被着パッドには、呼吸ピッチを知らせる知らせ手段としてLEDが設けられている。そして、呼吸データ収集が終わった被着パッドは、解析表示装置の挿入部に収納され、着脱可能な入出力ポートを通して充電とデータ転送が行なわれる。
【0005】
このように、特許文献1に開示した呼吸データ収集システムは、顔に被着可能な小型の呼吸データ収集装置を用い、これを被着して睡眠中の呼吸データを収集することで、日常の中で無呼吸に関する定量的なデータの収集を可能にする。
【0006】
この開発を通し、さらに利便性を上げるには、次のような課題があることが明らかになった。1つは、被着パッドが顔に被着するものであるので、清潔感のあるユーザにとっては、洗浄を好むことである。特許文献1に開示される構造は、着脱可能な接点式の入出力ポートを用いて充電とデータ転送を行なうので、被着パッドの洗浄を行なうには、開口部である入出力ポートを洗浄の都度一々封止しなければならない。他の1つは、着脱可能な入出力ポートであるので、開口部である入出力ポートからノイズを拾い、特に静電気によって内部の電子回路に損傷を与える可能性があることである。
【0007】
本発明の目的は、顔に被着する小型の呼吸データ収集装置について、特別な封止を要せずに洗浄を可能とする呼吸データ収集システムを提供することである。他の目的は、開口部を有する接点式入出力ポートを用いることなく、呼吸データ収集装置と解析表示装置との間で充電またはデータ転送を行なうことを可能とする呼吸データ収集システムを提供することである。以下の手段は、これらの目的の少なくとも1つに貢献する。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係る呼吸データ収集システムは、顔に被着して呼吸データを収集する呼吸データ収集装置と、呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、呼吸データ収集装置は、防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、被着パッドに内蔵され、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集部と、被着パッドに内蔵され、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従って無線電波によって送信する送信手段と、を備え、解析表示装置は、送信手段からの無線電波を受信し、呼吸データに変換する受信手段を備えることを特徴とする。
【0009】
本発明に係る呼吸データ収集システムは、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、呼吸データ収集装置は、防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、被着パッドに内蔵され、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集部と、被着パッドに内蔵され、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従ってLEDを点滅させて送信する送信手段と、を備え、解析表示装置は、送信手段からのLED点滅データを受信し、呼吸データに変換する受信手段を備えることを特徴とする。
【0010】
また、データ収集部は、データ収集の際に呼吸センサによって呼吸を検出するのと同期させてLEDを点滅させる同期点灯手段を有することが好ましい。
【0011】
また、本発明に係る呼吸データ収集システムは、顔に被着して呼吸データを収集する呼吸データ収集装置と、呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、解析表示装置は、1次電源と、1次電源により駆動され高周波信号を生成する高周波発振回路と、高周波信号を送信する送信コイル部と、を備え、呼吸データ収集装置は、防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、被着パッドに内蔵され、解析表示装置からの高周波信号を受信する受電コイル部と、被着パッドに内蔵され、受電コイルにより受信された高周波信号を整流し、2次電池に充電する整流充電回路と、を備えることを特徴とする。
【0012】
また、解析表示装置は、顔から外された呼吸データ収集装置を上下から挟んで収納する開閉型筐体を有し、送信コイル部は、ヨークとコイルとを含み、ヨークは、開閉型筐体の上側筐体に上側ヨークが、下側筐体に下側ヨークがそれぞれ分けて設けられ、呼吸データ収集装置を収納して開閉型筐体を閉じたときに、上側ヨークと下側ヨークとの間に呼吸データ収集装置の受電コイル部が配置されるように閉じた磁気回路を形成することが好ましい。
【0013】
また、本発明に係る呼吸データ収集システムは、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、呼吸データ収集装置は、防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、被着パッドに取り付けられ、焦電性高分子フィルムを含み、呼吸状態を検出する呼吸センサと、被着パッドに内蔵される2次電池と、被着パッドに内蔵され、解析表示装置から送信される電源用高周波信号を受信する受電コイルと、受電コイルにより受信された高周波信号を整流し2次電池を充電する整流充電回路と、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集回路と、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従ってLEDを点滅させて解析表示装置に対し送信するLED送信部とを含み、被着パッドに内蔵される回路基板と、被着パッドに内蔵され、顔の鼻孔又は口の近傍の顔形状に適合させるためために形状変形可能で、かつ変形された形状を保持できる金属板と、を含むことを特徴とする。
【0014】
また、被着パッドは、少なくともLEDから点滅する光の経路部分が透光性を有することが好ましい。また、被着パッドは、LEDから点滅する光の経路部分に設けられる透光性の導光体を有し、抗菌剤を含むシリコン樹脂で一体成形されることが好ましい。
【0015】
また、被着パッドは、粘着性を有するゲル状樹脂で一体成形され、顔と接触する内面側以外の部分が非粘着性フィルムで覆われることが好ましい。
【発明の効果】
【0016】
上記構成の少なくとも1つにより、呼吸データ収集装置の被着パッドが防水性の樹脂で成形され、データ収集部と送信手段とは防水性被着パッドに内蔵される。そして、収集された呼吸データは予め定められた送信プロトコルに従った無線電波で解析表示装置に送信される。このようにデータ転送を無線通信によって行うので、データ転送のための開口部を有する接点式入出力ポートを必要としない。またこれによって特別な封止を要せずに、呼吸データ収集装置である被着パッドを洗浄することができる。
【0017】
上記構成の少なくとも1つにより、呼吸データ収集装置の被着パッドが防水性の樹脂で成形され、データ収集部と送信手段とは防水性被着パッドに内蔵される。そして、収集された呼吸データは予め定められた送信プロトコルに従ったLEDの点滅で解析表示装置に送信される。このようにデータ転送を光通信によって行うので、データ転送のための開口部を有する接点式入出力ポートを必要としない。またこれによって特別な封止を要せずに、呼吸データ収集装置である被着パッドを洗浄することができる。
【0018】
また、データ収集の際に呼吸センサによって呼吸を検出するのと同期させてLEDを点滅させる同期点灯手段を有するので、1つのLEDによって、データ転送と呼吸検出知らせの2つの機能を持たせることができ、構成が簡単になる。
【0019】
また、呼吸データ収集装置の被着パッドが防水性の樹脂で成形されるので、例えば電源用の2次電池が内部に封止される。したがって、小型で子供等が誤って飲み込む等の事故を防止できる。仮に被着パッドごと口に入れたりすることがあっても、防水性の樹脂で覆われているので、2次電池が唾液や胃液等で直接腐食されることがなく、安全である。
【0020】
また、上記構成の少なくとも1つにより、呼吸データ収集装置の被着パッドが防水性の樹脂で成形され、解析表示装置からの電源充電用高周波信号を受信する受電コイル部と、受電コイルにより受信された高周波信号を整流し2次電池に充電する整流充電回路等が防水性被着パッドに内蔵される。そして、解析表示装置から1次電源により駆動され生成された高周波信号が送信されるので、無線電力送信手段によって呼吸データ収集装置に電力が供給される。したがって、充電のための開口部を有する接点式入出力ポートを必要としない。またこれによって特別な封止を要せずに、呼吸データ収集装置である被着パッドを洗浄することができる。
【0021】
また、解析表示装置の送信コイル部は、開閉型筐体の上側筐体に上側ヨークが、下側筐体に下側ヨークがそれぞれ分けて設けられる。そして、呼吸データ収集装置を収納して開閉型筐体を閉じたときに、上側ヨークと下側ヨークとの間に呼吸データ収集装置の受電コイル部が配置されるように閉じた磁気回路が形成される。したがって、呼吸データ収集装置を解析表示装置の開閉型筐体に収納して閉じる簡単な操作だけで、呼吸データ収集装置に充電することができる。
【0022】
また、上記構成の少なくとも1つにより、呼吸データ収集装置の被着パッドが防水性の樹脂で成形され、データ収集部と送信手段と、解析表示装置からの電源充電用高周波信号を受信する受電コイル部と、受電コイルにより受信された高周波信号を整流し2次電池に充電する整流充電回路等が防水性被着パッドに内蔵される。そして解析表示装置から1次電源により駆動され生成された高周波信号が送信されるので、無線電力送信手段によって呼吸データ収集装置に電力が供給される。また、収集された呼吸データは予め定められた送信プロトコルに従ったLEDの点滅で解析表示装置に送信される。したがって、充電及びデータ転送のための開口部を有する接点式入出力ポートを必要としない。またこれによって特別な封止を要せずに、呼吸データ収集装置である被着パッドを洗浄することができる。
【0023】
また、被着パッドのLEDから点滅する光の経路部分が透光性を有するので、データ転送が確実に行なえると共に、被着パッドのその他の部分の材料選択の自由度が増える。また、被着パッドは、抗菌剤を含むシリコン樹脂で一体成形されるが、LEDから点滅する光の経路部分には透光性の導光体が設けられる。一般的に抗菌剤を含む樹脂は半透明又は不透明となる。上記構成により、顔に被着される被着パッドを抗菌剤によって衛生的とすると共に、光によるデータ転送を確実にすることができる。
【0024】
また、被着パッドは粘着性を有するゲル状樹脂で一体成形されるが、顔と接触する内面側以外の部分が非粘着性フィルムで覆われるので、顔に被着することが容易となるとともに、それ以外の部分がべたつかず、装着性が向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0025】
以下に図面を用いて本発明に係る実施の形態につき詳細に説明する。図1は、呼吸データ収集システム10の構成を説明する図で、ここに示されるように、呼吸データ収集システム10は、顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置20と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置70とを含んで構成される。
【0026】
呼吸データ収集装置20は、顔2において鼻孔4と口6との間の口蓋部の上に相当する皮膚に着脱自在に取り付けられ、鼻孔4からの鼻呼吸と、口からの口呼吸とを区別して検出する呼吸センサと、検出された呼吸データを収集し記憶し、解析表示装置70に送信する機能を有する。呼吸データ収集装置20は、顔に被着されるのに適した形状を有し、その意味で、データ収集機能を有する被着パッドと呼ぶこともできる。解析表示装置70は、呼吸データ収集装置20から受信した呼吸データを解析し表示する機能を有すると共に、呼吸データ収集装置20に電力を供給する機能を有する。
【0027】
図2は、呼吸データ収集装置20を構成する要素を説明するための分解図である。呼吸データ収集装置20は、鼻呼吸を検出する鼻呼吸センサ22と、口呼吸を検出する口呼吸センサ24と、回路要素等が搭載されている回路基板26と、顔2の鼻孔4又は口6の近傍の顔形状に適合させるために形状変形可能で、かつ変形された形状を保持できる金属板28とを含み、これらを粘着性と防水性とを有するゲル状の樹脂50で顔に被着しやすいパッド形状に一体化成形し、ゲル状の樹脂50のうち、顔2と接触する内面側以外の部分を非粘着性フィルム54で覆って構成される。一体化成形等の詳細な手順は後述する。
【0028】
鼻呼吸センサ22と、口呼吸センサ24は、焦電性高分子フィルムを用いて呼吸の有無を検出するためのセンサである。焦電性高分子フィルムは、温度変化に応じて電圧を出力するいわゆる焦電性と、歪に応じて電圧を出力するいわゆる圧電性とを備える高分子フィルムである。したがって、鼻呼吸あるいは口呼吸の有無に応じて生じる気流の温度変化、気流の圧力変化を検出して電圧を生じる。この電圧を出力するために、焦電性高分子フィルムの両面に電極薄膜が形成され、この両電極薄膜から端子をそれぞれ取り出し、適当な検出回路に接続することで、鼻呼吸又は口呼吸の有無を検出することができる。また、湿度等の外部環境から保護するために、全体が適当な保護膜で覆われる。かかる焦電性高分子フィルムとしては、例えば呉羽化学のKFピエゾフィルム(商品名)を用いることができる。このKFピエゾフィルムの例では、電極薄膜層を含む全体の厚さが約100μmから数分の1mm程度のものを用いることができる。図2においては、鼻呼吸センサ22から両電極端子32,34が引き出され、口呼吸センサ24から両電極端子36,38が引き出されている様子が示されている。
【0029】
回路基板26は、呼吸データ収集装置20の各要素が搭載されている基板である。回路基板26は、配線パターンを有する基板上に、鼻呼吸センサ22の両電極端子32,34を接続するための両接続端子33,35、口呼吸センサ24の両電極端子36,38を接続するための両接続端子37,39、充電可能な2次電池40、解析表示装置70からの充電用高周波信号を受信する受電コイル部42、制御LSI44、解析表示装置との間で光データ通信等を行うためのLED46、呼吸データ収集装置20の回路系のリセットを行なうためのリセットスイッチ48等が搭載される。なお、図2では図示を省略してあるが、制御LSI44以外にもIC、電子部品が回路基板26に搭載される。例えば、受電コイル部42によって受信された高周波信号は、整流等の処理が行われて2次電池に充電されるが、これらの機能は制御LSI44以外の電子部品等で実行される。
【0030】
回路基板26用の配線パターンを有する基板としては、両面配線あるいは多層配線のガラスエポキシ基板等を用いることができる。2次電池40は、例えば小型ボタン型のマンガンリチウム電池等を用いることができる。
【0031】
受電コイル部42は、解析表示装置70から送信される2次電池充電用の高周波信号を受電する機能を有するコイルである。図3に受電コイル部42の構造を示す。受電コイル部42は、両側にフランジ62,64を有するドラム型フェライトに、適当な巻数で巻回されたコイル66を含んで構成される。受電コイル部42は、回路基板26の表面に搭載されるのではなく、回路基板26に穴を開け、受電コイル部42の一方端が回路基板26の裏側に露出するように取り付けられる。
【0032】
再び図2に戻り、制御LSI44は、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24からの検出信号を処理し、鼻呼吸の有無データ及び口呼吸の有無データに変換し、その呼吸データを収集し記憶する機能を有する集積回路である。これらの機能の一部を他のICや電子部品等に分担させて行わせてもよい。また、受電コイル部42によって受信された高周波信号の処理等の機能の一部を制御LSI44に持たせてもよい。
【0033】
金属板28は、略T字型の平面形状を有する薄板で、回路基板26の裏側、つまり制御LSI44等が搭載される側の反対側に配置され、ゲル状の樹脂50によって回路基板26と一体化される。金属板28の材質及び厚さは、ゲル状の樹脂50によって一体化されたパッド状の呼吸データ収集装置20を指等で顔2に押し付けたときに、顔の形状に倣って容易に形状を変形でき、かつ変形された形状を保持できるものとして選択される。例えば厚さ0.1mmから0.3mm程度の銅板等を用いることができる。また、金属板28を、回路基板26の接地端子に接続し、回路基板26の背後からの電気的ノイズに対するシールド板の機能を持たせるものとしてもよい。
【0034】
LED46は、制御LSI44のデータ送信機能部分に接続され、収集され記憶されている呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従って解析表示装置70に送信するために点滅を行なう発光素子である。この光データ転送は、呼吸データ収集装置20が呼吸データの収集が終わって顔2から外されたときに実行される。また、LED46は制御LSI44のデータ収集機能部分に接続され、呼吸データ収集装置20が顔2に被着されて呼吸データを収集しているときに、呼吸ピッチをユーザに知らせる等のために、呼吸データを検出するのと同期して点滅する同期点滅機能を実行するためにも用いられる。制御LSI44のデータ転送機能と同期点滅機能との切換は、呼吸データ収集装置20である被着パッドを顔から外し、解析表示装置70に搭載したことを検出して行うことができる。
【0035】
リセットスイッチ48は、呼吸データ収集装置20の回路系の初期リセット、及び異常動作の際の強制リセットを行なうためのスイッチである。例えば、呼吸データ収集装置20を解析表示装置70に搭載するごとに、このリセットスイッチ48を作動させて、制御LSI44等に設けられるリセット回路により、回路系のリセットを行なわせることができる。かかるリセットスイッチ48としては、例えば検出ピンのストロークによってオンオフを制御する機械式スイッチや、押し付け圧を検出する感圧スイッチ等を用いることができる。機械式スイッチを用いる場合、防水性を確保するため、ゲル状の樹脂50によって覆われた状態で、ストローク検出あるいは押し付け圧を検出する構造とする必要がある。
【0036】
ゲル状の樹脂50は、回路基板26と回路基板26に搭載される各要素、及び金属板28を完全に覆い、外部から遮断し、防水性を確保するためのもので、金型等を用いて一体化成形される。この場合に、鼻呼吸センサ22と口呼吸センサ24は、各電極端子32,34,36,38の部分を覆うようにされ、呼吸を検出する部分はゲル状の樹脂50の外側に残される。一体化成形された後の外形は、顔2に被着しやすいようにパッド形状とされる。ゲル状の樹脂50は、防水性と粘着性とを有している材料の中から選択される。かかるゲル状の樹脂50としては、例えばシリコン樹脂を用いることができる。また、ゲル状の樹脂50に、適当な抗菌剤を添加することが望ましい。
【0037】
導光体30は、この一体化成形のときにLED46の上部の位置52に設けられ、LED46からの光をゲル状の樹脂50を通すことなく外部に放射する機能を有する透光性の光学部材である。導光体30の屈折率は、ゲル状の樹脂50との界面でLED46からの光が全反射するように選ばれることが好ましい。特に、ゲル状の樹脂50に抗菌剤が添加される場合は、ゲル状の樹脂50が半透明あるいは不透明となるので、この導光体30を用いることがLED46からの光を解析表示装置70に効率的に送信するために有効である。
【0038】
非粘着性フィルム54は、ゲル状の樹脂50で一体化成形されたパッド形状のうち、顔2と接触する内面側以外の部分、すなわち、回路基板26の表側に対応する部分を覆い、その部分のべたつきをなくすためのプラスチックフィルムである。かかる非粘着性フィルム54としては、適当な厚さのシリコンシート等を用いることができる。非粘着性フィルム54をゲル状の樹脂50で一体化されたパッド形状の上に取り付けるには、ゲル状の樹脂50の粘着性をそのまま利用できる。非粘着性フィルム54が貼られる側は、LED46及び導光体30、受電コイル部42、リセットスイッチ48のように、解析表示装置70との間で光データ転送、充電用高周波信号の送信、リセット指示等を行なうので、それらの機能を損なわないように、適当な開口部あるいは局部的に薄い厚さの部分を設けられてもよい。図2では、受電コイルの位置58、LED46及び導光体30の位置56に開口部が設けられている。かかる開口部を非粘着性フィルム54に設けても、呼吸データ収集装置20の防水性は、ゲル状の樹脂50によって確保されている。
【0039】
図4は、呼吸データ収集装置20を製作する手順を説明する図である。図2と同様の要素には同一の符号を付し、詳細な説明を省略する。最初に、回路基板26に各要素が実装され搭載される。受電コイル部42以外の各要素は、回路基板26に対し表面実装技術を用いて搭載することができる。受電コイル部42は、上記のように、回路基板26に設けられた開口穴に位置決めされ、受電コイル部42の一方端が回路基板26の裏側に露出するように取り付けられる。次に、回路基板26の各接続端子33,35,37,39に、鼻呼吸センサ22の各電極端子32,34と口呼吸センサ24の各電極端子36,38とがそれぞれ接続される。これらの接続は、焦電高分子フィルムの性能を損なわない条件の下で行なわれる。例えば、導電性接着テープ、導電性ペーストを用いることができる。場合によってはハンダ付けを用いてもよい。接続された後の状態を図4(a)に示す。
【0040】
次に、回路基板26の裏側に金属板28を配置し、LED46の上に導光体30を配置し、ゲル状の樹脂50でパッド形状に一体化成形を行なう。この際に、上記のように、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24の呼吸検出部分は、ゲル状の樹脂50の外側に露出させておく。また、LED46の上には導光体30が配置され、その部分にはゲル状の樹脂50が来ないように成形される。成形は、成形金型を用い、抗菌剤を添加したシリコンゲルがゲル状の樹脂50として用いられる。その様子を図4(b)に示す。
【0041】
その後、非粘着性フィルム54がゲル状の樹脂50の顔と接触する内面側以外の部分、すなわち、回路基板26の制御LSI44が搭載される側に相当する側に貼り付けられる。このようにして、2次電池40、受電コイル部42、制御LSI44、LED46、リセットスイッチ48、これらが搭載された回路基板26、金属板28等を内蔵し、パッド形状の外形を有し、防水性のゲル状の樹脂50で覆われ、顔に被着する側が粘着性を有する小型の呼吸データ収集装置20が出来上がる。その様子を図4(c)に示す。
【0042】
図5は、呼吸データ収集装置20の断面図である。図5に示されるように、呼吸データ収集装置20は、ゲル状の樹脂50の内部に、制御LSI44、LED46、回路基板26、金属板28等を含み、外部から遮蔽される構造で構成されている。外形は、パッド状の平面形状を有し、その厚みは数mm程度である。また、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24は、大部分がゲル状の樹脂50の外側に露出し、呼吸を検出しやすい適当な形状に癖付けがされる。もちろん自由形状としてもよい。呼吸データ収集装置20は、厚み方向の一方側はゲル状の樹脂50そのままで、防水性と共に粘着性を有する。この面が、粘着性を利用して、着脱自在に顔に被着する側として用いられる。その反対側は非粘着性フィルム54で覆われ、この面が表側として用いられる。表側とは、ユーザの顔を正面に見たときに、観察者から見える側であり、解析表示装置70に収納されるとき、光データ転送、高周波信号の送受信等が行なわれるインタフェース面側でもある。
【0043】
図6は、呼吸データ収集装置20のLED46及び導光体30周辺の拡大断面図である。導光体30は、上記のように透光性を有し、ゲル状の樹脂50との界面でLED46からの光を全反射させて、LED46からの光を外部に導く機能を有する光学部品であり、例えば適当な屈折率を有する透明なプラスチック部品で構成することができる。図6では、回路基板26の上に導光体30とLED46とが一体化されて実装される例が示されている。この構造は、例えば回路基板26の上にLED46を表面実装技術等によって配置し、次に適当な型を用いて透明性の高い樹脂を充填し、加熱等で成形し、その後に型を除去する方法で得ることができる。型をそのまま残してもよい。その場合、適当な屈折率の材質の型を用いることで、型の内面でLED46からの光を全反射させ、導光性をさらに向上させることができる。導光体30から光が放射される表側には、ゲル状の樹脂50は設けられず、また、非粘着性フィルム54にも開口が設けられることが好ましい。なお、導光体30の外周に設けられる凹凸31は、ゲル状の樹脂50との間の界面での防水性を十分に確保するためのものである。この構成により、防水性を確保しながら、LED46からの光を効率的に外部に放射することができる。したがって、LED46の点滅で呼吸データを転送することで、防水性を確保し、またデータ転送のための開口部を有する接点式入出力ポートを用いることなく、データ転送を行うことができる。
【0044】
このような構成の呼吸データ収集装置20の作用を次に説明する。呼吸データ収集装置20は、ユーザが呼吸データを収集しようとするときに、図1で説明したように、ユーザの顔2の口蓋部に相当する皮膚に、粘着性のある裏側が押し当てられ、金属板28を口蓋部の形状に倣わせてその形状を変形させ、その形状のままでしっかりと皮膚上に固定される。そして、例えばユーザの睡眠中に、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24によって、鼻呼吸の有無、口呼吸の有無が検出され、制御LSI44の機能により、呼吸データとして収集され記憶される。
【0045】
呼吸データ収集の際の呼吸ピッチの検出等のために、鼻呼吸センサ22及び口呼吸センサ24によって検出された呼吸のピッチに同期してLED46を点滅させることができる。例えば、呼吸音取得を100msec毎に行い、仮に定めたしきい値を用い、鼻呼吸センサ22又は口呼吸センサ24によって取得された呼吸データと比較して仮呼吸有りか否かの判断を行い、呼吸データが仮のしきい値を超えているときは仮呼吸有りとし、LED46を点灯し、仮のしきい値以下のときはLEDを消灯するものとできる。このようにすることで、LED46は、呼吸センサによって取得された呼吸データの変化につれて点灯と消灯とを繰り返す。すなわち、呼吸ピッチに対応するピッチに同期してLED46を点滅させることができる。この呼吸ピッチに同期したLED46の点滅によって、ユーザは自分が行っている鼻呼吸等のピッチと、呼吸データ収集装置20が検出する呼吸ピッチとが合っているかを知ることができ、合っていなければ再び呼吸ピッチの検出を行う。このようにして、呼吸データ収集装置20の呼吸データのモニタリングができる。なお、ユーザの行っている呼吸ピッチと、呼吸データ収集装置20の検出する呼吸ピッチとが合ってくれば、例えば所定の時間経過後にこのモニタリングを終了し、LED46の点滅を終了させることができる。このように、LED46を、呼吸データ収集の際の呼吸ピッチの検出等の機能と、データ転送のための機能とを兼ねさせることができる。これらの機能の切換は、呼吸データ収集装置20が、解析表示装置70に収納されているかどうかを検出して行うことができる。
【0046】
睡眠からユーザが覚醒すると、呼吸データ収集装置20は、ユーザの顔2から外され、解析表示装置70に取り付けられ、収集され記憶された呼吸データが転送される。
【0047】
ここで、解析表示装置70の構成について図7を用いて説明する。解析表示装置70は、1次電源や制御部等が内部に収納される下筐体72と、下筐体72の一部が薄く形成され、その薄い部分に対応する部分に配置され下筐体72に対し開閉自在に取り付けられる上筐体74を有し、上筐体74が閉じられるときは下筐体72と一体化して平箱状となる装置である。図7においては、解析表示装置70の下筐体72の左半分の部分が右半分の部分に比べほぼ半分の厚さに薄く形成され、その薄くなった分の厚さに対応する厚さの上筐体74が、下筐体72に対し開閉自在に取り付けられる様子が示されている。フタ開閉スイッチ91は、下筐体72の上面に設けられ、上筐体74が閉じられることを検出するスイッチである。
【0048】
上筐体74が配置されない下筐体72の右半分には表示用LCD90、表示用LCD90の表示内容を選択するためのλ/MODE選択ボタン92とUP−SELECTボタン93とDOWN−SELECTボタン94、時刻合わせのための時刻SETボタン95が設けられる。表示用LCD90の画面の中には、クチ呼吸とハナ呼吸の割合が円グラフで表示される。図7の例では、クチ呼吸の割合が斜線で示され、約75%がクチ呼吸、約25%がハナ呼吸である場合が示されている。これらは、それぞれ図示されていない制御部に接続される。
【0049】
上筐体74が開閉する下筐体72の部分に設けられるくぼみ76は、呼吸データ収集装置20を収納するためのものである。上記のように、ユーザの顔から取り外された呼吸データ収集装置20は、表側をくぼみ76の底に向けるようにして、くぼみ76の中に挿入され、上筐体74を下筐体72に対し閉じることで、解析表示装置70の内部に収納される。この収納状態の下で、以下に詳述するように、充電とデータ転送とが行なわれる。
【0050】
くぼみ76には、呼吸データ収集装置20と間の無接点式の信号インタフェースが設けられる。1つ目は、呼吸データ収集装置20のLED46に対応する受光センサ78で、2つ目はリセットスイッチ48に対応するリセット用ストローク79で、3つ目は受電コイル部42に対応する送信コイル部の一部の下側ヨーク82である。
【0051】
受光センサ78は、呼吸データ収集装置20のLED46の点滅信号を検出するセンサで、例えば、フォトダイオード又はフォトトランジスタで構成できる。受光センサ78によって検出されたLED46の点滅信号は、図示されていない制御部に伝送され、データ処理されて呼吸有無データに復元され、無呼吸に関する解析が行なわれ、その結果は表示用LCD90に表示される。このように、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間のデータ転送は、LED46の点滅信号を検出する無接点式の光データ転送で行なわれる。
【0052】
リセット用ストローク79は、呼吸データ収集装置20に対し初期リセット及び強制リセットを行なわせるためのもので、例えばストロークがくぼみ76の底面から突き出ているときに呼吸データ収集装置20が収納されると、リセット用ストローク79の先端が呼吸データ収集装置20のリセットスイッチ48をオンするものとすることができる。リセット用ストローク79のストロークをくぼみ76に対し突き出させるか退避させるかは、例えば、フタ開閉スイッチ91のオンオフと関連付けることができる。すなわち、上筐体74が閉じられてフタ開閉スイッチ91がオンとなるときに、ストロークを突き出させるものとし、呼吸データ収集装置20のリセットスイッチ48をオンさせるものとすれば、解析表示装置70に呼吸データ収集装置20を収納して上筐体74を閉じれば必ず呼吸データ収集装置20の回路系をリセットできる。したがって、初めて呼吸データ収集装置20を解析表示装置70に収納するときに初期リセットを呼吸データ収集装置20に与えることができ、また、呼吸データ収集装置20の動作不良と考えられる事態が生じればそのときに呼吸データ収集装置20を解析表示装置70に収納することで呼吸データ収集装置20に強制リセットを与えることができる。
【0053】
送信コイル部80は、下筐体72と上筐体74とに分けて配置される。図8は、送信コイル部80と、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42との関係を説明する図である。送信コイル部80は、下筐体72に設けられるU字型の下側ヨーク82と、上筐体74に設けられるU字型の上側ヨーク84と、下側ヨーク82に巻回されるコイル86を含んで構成される。なお、コイル86は、上側ヨーク84に巻回するものとしてもよい。このように、送信コイル部80のヨークは下側ヨーク82と上側ヨーク84とに分割され、それぞれが下筐体72と上筐体74に分けて設けられる。ここで、図7に示されるように、U字型の上側ヨーク84と、U字型の下側ヨーク82とは、そのU字型の2つの先端部がそれぞれ向かい合う位置に配置される。また、下筐体72のくぼみ76の底面には、下側ヨーク82のU字型の先端部の1つが配置される。このくぼみ76内に配置される下側ヨーク82の先端部は、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42のドラム型フェライトのフランジ62に対応する位置に設けられる。
【0054】
したがって、上筐体74が下筐体72に対し開いているときは、送信コイル部80のヨークは空間的にばらばらの状態におかれ、コイル86に高周波信号を供給しても、それによって生成される磁束は空間の広い範囲に放射されるのみである。呼吸データ収集装置20が解析表示装置70のくぼみ76に収納され、上筐体74が下筐体72に対し閉じられると、図8に示す状態となる。すなわち、くぼみ76の中に設けられる下側ヨーク82のU字型の一方の先端部と、これに対応する上側ヨーク84のU字型の一方の先端部とは、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42のドラム型フェライトの上下のフランジ62,64に接してこれを挟み込む。同時に、下側ヨーク82のU字型の他方の先端部と、これに対応する上側ヨーク84のU字型の他方の先端部が接触する。
【0055】
したがって、下側ヨーク82−受電コイル42−上側ヨーク84−下側ヨーク82と、磁気回路が閉じ、この状態で送信コイル部80のコイル86に高周波信号が供給されると、この磁気回路に磁束が流れ、その磁束によって受電コイル部42のコイル66から高周波信号を受け取ることができる。このように、呼吸データ収集装置を収納して開閉型筐体を閉じたときに、上側ヨーク84と下側ヨーク82との間に呼吸データ収集装置20の受電コイル部42が配置されるように閉じた磁気回路を形成する構成をとることで、解析表示装置70の送信コイル部80から呼吸データ収集装置20の受電コイル部42へ、無接点式の無線電力供給を行うことができる。
【0056】
図9は、解析表示装置70の制御部100の構成を示すブロック図である。ここでは、制御部100の構成要素ではないが、制御部100に接続される各要素として、1次電源102、表示用LCD90、受光センサ78、送信コイル部80、受電コイル部42、LED46、フタ開閉スイッチ91、λ/MODE選択ボタン92、UP−SELECTボタン93、DOWN−SELECTボタン94、時刻SETボタン95等も図示されている。
【0057】
制御部100は、呼吸データの解析等を行なう制御用CPU104と、呼吸データを記憶するフラッシュメモリ106と、制御用CPU104、1次電源102の電圧を制御された一定電圧にするDC/DCコンバータ108、DC/DCコンバータ108の電圧を送信コイル部80に供給する高周波信号の電圧に昇圧する昇圧回路110と、受光センサ78の検出値を増幅するセンサ増幅回路112等を含んで構成されている。ここで、例えば、1次電源102の電圧を約4.8V、DC/DCコンバータ108の出力を3V、昇圧回路110の出力を5Vとすることができる。
【0058】
制御部100は、解析表示装置70に呼吸データ収集装置20が収納されて上筐体74が閉じられたことをフタ開閉スイッチ91によって検出すると、DC/DCコンバータ108の出力を昇圧する指令信号を昇圧回路110に与えると共に、高周波発振信号を昇圧回路110に供給し、昇圧された高周波信号が、送信コイル部80のコイル86に供給される。このとき、図8で説明したように、送信コイル部80の上側ヨーク84と下側ヨーク82と、呼吸データ収集装置20の受電コイル部42とは閉じた磁気回路を形成するので、送信コイル部80に供給された高周波信号は、受電コイル部42によって受電される。このように、無接点式で無線電力供給が呼吸データ収集装置20に対し行なわれる。
【0059】
呼吸データ収集装置20が無線電力供給を受けると、制御LSI44等が作動し、記憶されている呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従って変換してLED46を点滅させる。LED46の点滅信号は、受光センサ78によって検出され、センサ増幅回路112によって増幅される。このようにして、呼吸データ収集装置20と解析表示装置70との間で、無接点式の光データ転送が行なわれる。増幅された信号は制御用CPU104に伝送され、呼吸データとして復元され、必要な解析が実行される。解析結果は、表示用LCD90に表示される。表示内容の変更は、λ/MODE選択ボタン92等の操作によって行なわれる。
【0060】
このように、LEDの点滅信号によって呼吸データ収集装置20から解析表示装置70へのデータ転送を行い、送信コイル部と受電コイル部との間で無線電力供給を行って解析表示装置70から呼吸データ収集装置20へ充電が行なわれる。このように、無接点式でデータ転送と充電を行なうので、接点式の開口部を有する入出力ポートをなくすことができ、したがって呼吸データ収集装置を防水性の樹脂で覆って洗浄を可能とすることができる。
【0061】
無接点式でデータの転送を行うもう1つの方法として、微弱電波による無線通信を用いることができる。図10は、無線通信により呼吸データの転送を行うことができる呼吸データ収集システム120の構成を示す図である。データ転送を無線通信で行うことを除けば、図7等で説明した内容と同様であるので、以下では、無線通信に関する部分を中心に説明する。
【0062】
無線通信方式の呼吸データ収集システム120は、無線通信機能を有する解析表示装置122と、無線通信機能を有する呼吸データ収集装置124とから構成される。解析表示装置122は、無線送受信用アンテナ126と、呼吸データ収集装置124に対し、データ転送を行っている旨等を知らせるスピーカ128とを備える。そして解析表示装置制御用CPU104には、無線通信用の送信ブロック132と受信ブロック134、スピーカ128のための音声ドライバ136及び音声メモリ138が接続される。呼吸データ収集装置124は、被着パッドから例えば裏地に粘着テープ等の固定手段を有する無線送受信用アンテナ130が延ばされて設けられ、その制御LSI44には、無線通信用の送信ブロック132と受信ブロック134が接続される。図10に示されるように、送信ブロック132は、解析表示装置122及び呼吸データ収集装置124において同じ回路を用いることができる。同様に、受信ブロック134も、解析表示装置122及び呼吸データ収集装置124において同じ回路を用いることができる。
【0063】
図11は、送信ブロック132と受信ブロック134の内部回路構成を示す図である。図11(a)は送信ブロック132を示し、ここでは送信データ信号TxData、送信のオン・オフ信号、無線通信周波数f設定信号が用いられ、回路的には相互に異なる周波数を有する2つの発振回路と、PLL回路とで構成される。図11(b)は受信ブロック134を示し、ここでは受信データ信号RxData、受信同期信号DSR、無線通信周波数f設定信号が用いられ、回路的には発振回路を含む検波回路と、PLL回路とで構成される。
【0064】
かかる構成の呼吸データ収集システム120のデータ転送について説明する。データ転送には、無線通信の法規制に適合した周波数帯及び送受信の電波強度の電波を用いることができる。例えば312.7MHzから318.4MHz帯の微弱電波を用いることができる。呼吸データの転送は、呼吸データ収集装置124において、鼻呼吸センサ22、口呼吸センサ24が検出したデータそのもの、あるいは簡単な信号処理を行った後のものを、無線送信可能なデータ形式にして、送信ブロック132からリアルタイムで送信する。解析表示装置122では、送信されてきた電波を受信ブロック134で受信する。受信された信号は適当な復調処理が行われ、呼吸データとして解析表示装置制御用CPU104に渡される。
【0065】
また、解析表示装置122には送信ブロック132が備えられ、呼吸データ収集装置124には受信ブロック134が備えられるので、解析表示装置122から呼吸データ収集装置124に対し、必要な指令信号を与えることができる。指令信号としては、データ転送指令、あるいは、測定開始の前のリセット指令信号等がある。
【0066】
また、解析表示装置122は、スピーカ128を有するので、これを用いて、呼吸データ収集装置124のユーザに対し、音声による指示を与えることもできる。例えば、データ収集の先立ち、呼吸データのモニタリングを行うために、「鼻呼吸をして下さい」、「口呼吸をして下さい」、「モニタリングを終了します」等の指示を与えることができる。また、「ピッ、ピッ、ピッ、・・」等の周期的音声でピッチを与えて、鼻呼吸及び口呼吸を行わせることができる。
【0067】
図7等で説明した呼吸データ収集システム10では、呼吸データを一旦呼吸データ収集装置20のメモリに記憶し、その記憶されたデータを光通信によって解析表示装置70に転送するもので、例えば1睡眠に1回のデータ転送が行われる。これにいわばバッチ方式でデータが転送される。これに対し、図10で説明した無線通信方式では、呼吸データ収集装置が検出した呼吸データを、ほぼリアルタイムで、解析表示装置122に転送できる。したがって、呼吸データ収集装置124におけるメモリ容量を大幅に削減できる。
【図面の簡単な説明】
【0068】
【図1】本発明に係る実施の形態において、呼吸データ収集システムの構成を説明する図である。
【図2】本発明に係る実施の形態において、呼吸データ収集装置を構成する要素を説明するための分解図である。
【図3】本発明に係る実施の形態において、受電コイル部の構造を示す図である。
【図4】本発明に係る実施の形態において、呼吸データ収集装置を製作する手順を説明する図である。
【図5】本発明に係る実施の形態において、呼吸データ収集装置の断面図である。
【図6】本発明に係る実施の形態において、呼吸データ収集装置のLED及び導光体周辺の拡大断面図である。
【図7】本発明に係る実施の形態において、解析表示装置の構成を示す図である。
【図8】本発明に係る実施の形態において、送信コイル部と、呼吸データ収集装置の受電コイル部との関係を説明する図である。
【図9】本発明に係る実施の形態において、解析表示装置の制御部の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明に係る実施の形態において、無線通信方式による呼吸データ収集システムの構成を示す図である。
【図11】本発明に係る実施の形態において、無線通信方式に用いられる送信ブロックと受信ブロックの内部構成を説明する図である。
【符号の説明】
【0069】
2 顔、4 鼻孔、6 口、10,120 呼吸データ収集システム、20,124 呼吸データ収集装置、22 鼻呼吸センサ、24 口呼吸センサ、26 回路基板、28 金属板、30 導光体、31 凹凸、32,34,36,38 電極端子、33,35,37,39 接続端子、40 2次電池、42 受電コイル部、44 制御LSI、46 LED、48 リセットスイッチ、50 ゲル状樹脂、52,56,58 位置、54 非粘着性フィルム、62,64 フランジ、66,86 コイル、70,122 解析表示装置、72 下筐体、74 上筐体、76 くぼみ、78 受光センサ、79 リセット用ストローク、80 送信コイル部、82 下側ヨーク、84 上側ヨーク、90 表示用LCD、91 フタ開閉スイッチ、92 λ/MODE選択ボタン、93 UP−SELECTボタン、94 DOWN−SELECTボタン、95 時刻SETボタン、100 制御部、102 1次電源、104 制御用CPU、106 フラッシュメモリ、108 DC/DCコンバータ、110 昇圧回路、112 センサ増幅回路,126,130 無線送受信用アンテナ、128 スピーカ、132 送信ブロック、134 受信ブロック、136 音声ドライバ、138 音声メモリ。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔に被着して呼吸データを収集する呼吸データ収集装置と、呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、
呼吸データ収集装置は、
防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、
被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、
被着パッドに内蔵され、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集部と、
被着パッドに内蔵され、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従って無線電波によって送信する送信手段と、
を備え、
解析表示装置は、送信手段からの無線電波を受信し、呼吸データに変換する受信手段を備えることを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項2】
顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、
呼吸データ収集装置は、
防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、
被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、
被着パッドに内蔵され、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集部と、
被着パッドに内蔵され、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従ってLEDを点滅させて送信する送信手段と、
を備え、
解析表示装置は、送信手段からのLED点滅データを受信し、呼吸データに変換する受信手段を備えることを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項3】
請求項2に記載の呼吸データ収集システムにおいて、
データ収集部は、データ収集の際に呼吸センサによって呼吸を検出するのと同期させてLEDを点滅させる同期点灯手段を有することを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項4】
顔に被着して呼吸データを収集する呼吸データ収集装置と、呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、
解析表示装置は、
1次電源と、
1次電源により駆動され高周波信号を生成する高周波発振回路と、
高周波信号を送信する送信コイル部と、
を備え、
呼吸データ収集装置は、
防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、
被着パッドに取り付けられ、呼吸状態を検出する呼吸センサと、
被着パッドに内蔵され、解析表示装置からの高周波信号を受信する受電コイル部と、
被着パッドに内蔵され、受電コイルにより受信された高周波信号を整流し、2次電池に充電する整流充電回路と、
を備えることを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項5】
請求項4に記載の呼吸データ収集システムにおいて、
解析表示装置は、
顔から外された呼吸データ収集装置を上下から挟んで収納する開閉型筐体を有し、
送信コイル部は、ヨークとコイルとを含み、
ヨークは、開閉型筐体の上側筐体に上側ヨークが、下側筐体に下側ヨークがそれぞれ分けて設けられ、呼吸データ収集装置を収納して開閉型筐体を閉じたときに、上側ヨークと下側ヨークとの間に呼吸データ収集装置の受電コイル部が配置されるように閉じた磁気回路を形成することを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項6】
顔に被着して呼吸データを収集し記憶する呼吸データ収集装置と、呼吸データの収集が終わった後に顔から外された呼吸データ収集装置から呼吸データの転送を受けて呼吸データを解析し表示する解析表示装置とを含む呼吸データ収集システムであって、
呼吸データ収集装置は、
防水性の樹脂で成形され、顔の鼻孔又は口の近傍付近を被着し着脱可能な被着パッドと、
被着パッドに取り付けられ、焦電性高分子フィルムを含み、呼吸状態を検出する呼吸センサと、
被着パッドに内蔵される2次電池と、
被着パッドに内蔵され、解析表示装置から送信される電源用高周波信号を受信する受電コイルと、
受電コイルにより受信された高周波信号を整流し2次電池を充電する整流充電回路と、呼吸センサにより検出されたデータを収集し記憶するデータ収集回路と、収集された呼吸データを予め定められた送信プロトコルに従ってLEDを点滅させて解析表示装置に対し送信するLED送信部とを含み、被着パッドに内蔵される回路基板と、
被着パッドに内蔵され、顔の鼻孔又は口の近傍の顔形状に適合させるために形状変形可能で、かつ変形された形状を保持できる金属板と、
を含むことを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項7】
請求項6に記載の呼吸データ収集システムにおいて、
被着パッドは、少なくともLEDから点滅する光の経路部分が透光性を有することを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項8】
請求項7に記載の呼吸データ収集システムにおいて、
被着パッドは、LEDから点滅する光の経路部分に設けられる透光性の導光体を有し、抗菌剤を含むシリコン樹脂で一体成形されることを特徴とする呼吸データ収集システム。
【請求項9】
請求項1又は請求項6に記載の呼吸データ収集システムにおいて、
被着パッドは、粘着性を有するゲル状樹脂で一体成形され、顔と接触する内面側以外の部分が非粘着性フィルムで覆われることを特徴とする呼吸データ収集システム。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−209685(P2007−209685A)
【公開日】平成19年8月23日(2007.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−35426(P2006−35426)
【出願日】平成18年2月13日(2006.2.13)
【出願人】(592018179)株式会社創成電子 (10)
【Fターム(参考)】