説明

呼吸困難測定法を用いた植込み型心臓装置

呼吸困難測定法を用いて心臓を監視且つ/又は刺激する方法及びシステム。植込み型心臓装置は、経胸腔インピーダンスを感知し、患者活動レベルを決定し得る。肺機能を示す指数が植込み可能に算出され、決定された患者活動レベルにおける閾値を超えている変化、傾向、及び/又は値に基づいて呼吸困難発作が検出される。1つ以上の肺機能指数の傾向が示されることによって、心臓治療法を適応させるのに用いられ得る患者の肺機能指数プロフィールが決定され得る。肺機能指数及び/又は閾値を超えている患者の肺機能指数の傾向に対応して、自動的に医師に警告してもよい。算出された肺機能指数及びそれに関連する患者活動レベルは、メモリに定期的に格納され、且つ/又は患者外部装置に送信され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く、植込み型心臓装置に関し、より詳細には、呼吸困難測定を用いる心臓感知及び/又は刺激装置に関する。
【背景技術】
【0002】
呼吸困難(dyspnea)とは、心疾患若しくは肺疾患、激しい運動、強い不安、又はストレスによって生じる、息切れ(shortness of breath)又は呼吸困難(difficult breathing)(主観的息切れ(out of breath)感)と定義される。呼吸困難は、複数の生理的、心理的、社会的、及び環境的要因間における相互作用から生じ、二次生理及び行動反応を引き起こすことがある。呼吸困難は、頻呼吸(速い呼吸)及び過呼吸(深い呼吸)とは異なる。頻呼吸及び過呼吸(hyperpnea)は、過剰呼吸、即ち、動脈血液ガスを正常範囲内に維持するのに必要な呼吸を超えた過呼吸(over breathing)を併発する可能性がある。心配又は不安が、呼吸困難患者に更に一層の苦痛をもたらすことがある。
【0003】
臨床的には、呼吸困難指数が、呼吸困難の監視ツールとして作られた。呼吸困難指数を決定する従来の1つの方法では、被検者は、息を深く吸って、声に出して(およそ8秒かけて)1から15まで数える。被検者は、苦しくなったら、即ち、空気がなくなったら、数えるのをやめ、もう1回息を深く吸って、やめたところから数え続ける。これを、被検者が15まで数え終えるまで、必要に応じて繰り返す。最初の1回に加えて息を吸う必要のあった回数が、呼吸困難指数である。
【0004】
被検者の呼吸困難指数測定を用いた場合、指数0〜1は正常とみなされる。呼吸困難指数2〜3は、どんな活動が行われているかにもよるが許容範囲である。呼吸困難指数が4である場合、被検者は、速度を落とし、止まることを考えるべきである。呼吸困難指数が5である場合、被検者は、必ず止まって休むべきである。
【0005】
呼吸困難は、慢性、急性、又は末期に分類され得る。慢性呼吸困難は、激しさが変わりやすく、息切れが続く。これは、慢性閉塞性肺疾患(COPD:chronic obstructive pulmonary disease)患者に最もよく見られる。急性呼吸困難は、激しい息切れ発作を引き起こす。これは、心筋梗塞又は肺塞栓症を患った患者に見られ得る。末期呼吸困難は、終末期疾患患者に生じ、これらの患者は、病院、自宅、又はホスピスにいる可能性がある。このタイプの呼吸困難は、癌患者に多く見られる訴えである。呼吸困難は、様々な状態(例えば、代謝性、アレルギー性、精神、及び神経筋疾患)並びに痛みによって生じる可能性がある。しかしながら、心肺疾患が最もよくある原因である。
【0006】
呼吸困難を治療するには、非薬理学的及び薬理学的介入が行われ得る。例えば、心不全の患者をジゴキシン及び利尿薬で治療すると、問題が解決し得る。呼吸筋又は顔面にある機械受容器(mechanoreceptors)を刺激することによって、呼吸困難が軽減された患者もいる。また、吸気により収縮呼吸筋を振動させると同時に、肋間筋を振動させることによって、呼吸困難が緩和されたCOPD患者もいる。この処置は、安静時における重篤な呼吸困難に対して最も効果的であった。扇いだり窓を開けたりして冷気が顔を横切るようにすることにより、顔にある機械受容器を刺激して、軽度の呼吸困難を最小限に抑えることができる。
【0007】
COPD患者は、座って、テーブル上に腕を支えた状態で前かがみになっている間に、呼吸困難が緩和されることが多い。支えられていない腕や肩が動くと、呼吸筋の効率的利用を変えてしまう。また、このような姿勢は、吸息筋力全体を回復させ、横隔膜呼吸の効率を高め得る。口すぼめ呼吸や横隔膜呼吸のような方法がCOPD患者の呼吸困難を軽減するのに広く用いられているが、その効果は変動的である。これらの呼吸法によって、呼吸はよりゆっくりと且つより深くなり、従って、1回呼吸量が増加し、呼吸数が減少する。口すぼめ呼吸は、肺胞に呼気終末陽圧をもたらすことにより、コラーゲン基質を失った気道を支えるため、肺気腫患者に対して特に有用である。しかしながら、患者は、呼吸困難を引き起こすメカニズムの代償であり得る、速くて浅い呼吸パターンに戻ってしまうことが多い。
【0008】
酸素がマスク若しくは鼻カニューラにより吸入される又は経気管吸入されることによって、呼吸困難は改善する。COPD患者において、ほとんどの専門家たちは、動脈血酸素分圧(PaO2:partial pressure of arterial oxygen)レベルを少なくとも55mmHg〜60mmHgに上げるか、酸素飽和度を88%〜90%に上げる、酸素療法を推奨している。
【0009】
オピオイドは、呼吸抑制作用を起こし得るにもかかわらず、呼吸困難の治療に有用である、ということを示す証拠がある。オピオイドの呼吸困難を緩和する作用については、完全には分かっていないが、辺縁系にあるオピオイド受容体と相互作用して、呼吸困難に対する感情的反応を鈍らせることによって、薬が作用すると考えられる。オピオイドは、高揚感を引き起こすため、酸素消費量を減少させるような心配、不安、並びに、それに関連する落ち着かなさ及び筋肉の緊張を軽減する。また、オピオイドは、化学受容体に作用して、呼吸運動を減少させることにより、呼吸困難を緩和するとも考えられる。
【0010】
呼吸困難が耐え難くなり、オピオイドの全身投与量の増量は副作用が許容できないため禁忌である場合、噴霧器によるモルヒネ投与が開始され得る。噴霧されたモルヒネは、全身濃度が、経口モルヒネ、皮下注射されるモルヒネ、又は静脈注射されるモルヒネが達する濃度まで達しないように、気道にある末梢オピオイド受容体に直接局所的に作用することによって、呼吸困難を緩和し得る。従って、より小さな副作用で、呼吸困難が緩和される患者もいる。
【0011】
呼吸困難を緩和するのにしばしば用いられる抗不安薬としては、ベンゾジアゼピン及びフェノチアジンが挙げられる。これらの抗不安薬は、呼吸困難に対する低酸素及び高炭酸ガス応答並びに呼吸困難に対する感情的反応を抑制することによって作用する。呼吸困難の原因によっては、気管支拡張薬が患者に有効であり得る。メチルキサンチンは、気道の平滑筋を拡張させると共に横隔膜の収縮を促すため、COPD患者に有用であり得る。同様に、ベータ2アドレナリン作動薬や抗コリン作用薬の吸入も気道の平滑筋を拡張させ、これにより、肺機能が改善して呼吸困難が緩和される可能性がある。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
本発明は、監視、除細動療法、ペーシング療法、又はこれらの機能の組み合わせを行う、心臓監視及び/又は刺激方法並びにシステムに関する。本発明の実施形態は、広く、呼吸困難測定及び/又は検出機能を用いる植込み型医療装置に関する。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明による方法の実施形態は、経胸腔インピーダンスを感知し患者活動レベルを決定するように構成された植込み型心臓装置を提供することを含む。感知された経胸腔インピーダンスを用いて、肺機能を示す指数が植込み可能に算出される。決定された患者活動レベルにおける閾値を超えている算出された肺機能指数の変化に基づいて、呼吸困難発作が検出され得る。
【0014】
更なる実施形態は、1つ以上の肺機能指数の傾向を示して患者の肺機能指数プロフィールを決定する方法に関する。呼吸困難発作を検出するための閾値は、この患者の肺機能指数プロフィールに基づいていてもよい。別の実施形態は、1つ以上の肺機能指数及びそれに関連する患者活動レベルの傾向を示して患者の肺機能指数対活動レベル・プロフィールを決定することを含み得る。
【0015】
呼吸困難発作を検出するための閾値は、患者の呼吸数対1回呼吸量の割合として肺機能指数を算出することにより、患者の肺機能指数対活動レベル・プロフィールに基づいていてもよい。本発明の方法は、肺機能指数に基づいて心臓治療法を患者に適応させることを更に含み得る。適応させた心臓治療法は、肺機能指数を閾値と比較し、肺機能指数が閾値を超えていると判定した後、患者に提供され得る。心臓治療法を適応させることは、肺機能指数を所定範囲と比較し、肺機能指数が所定範囲を超えている場合には心臓治療法を変更することも含み得る。治療法の適応は、ペーシングパルスが患者の心臓に送られる速度を増減する(例えば、約5拍/分〜約10拍/分の範囲内でペーシングパルスを増減する)ことを含む。
【0016】
本発明の方法は、肺機能指数及び/又は肺機能指数の傾向を少なくとも部分的に用いて患者の睡眠状態を決定することを更に含み得る。肺機能指数及び/又は閾値を超えている患者の肺機能指数の傾向に対応して、自動的に医師に警告してもよい。算出された肺機能指数及びそれに関連する患者活動レベルは、メモリに定期的に格納され、且つ/又は患者外部装置に送信され得る。
【0017】
本発明による装置は、経胸腔インピーダンスを感知するように構成されたセンサを含む。コントローラは、このセンサにつながれ、感知された経胸腔インピーダンスを用いて肺機能を示す指数を算出するように構成されている。また、活動センサは、このコントローラにつながれ、患者の活動を感知するように構成されている。治療回路は、コントローラにつながれ、算出された肺機能指数及び感知された患者活動レベルに少なくとも部分的に基づいて治療法を提供するように構成されている。電極は、この心臓治療回路につながれ、心臓治療法を提供するように構成され得る。
【0018】
肺機能指数は、呼吸数対1回呼吸量の割合として算出された呼吸困難指数であってよい。メモリは、コントローラにつながれ、算出された肺機能指数及びそれに関連する患者活動レベルを定期的に格納するように構成され得る。また、通信回路は、コントローラにつながれ、肺機能指数及び/又はそれに関連する患者活動レベルを患者外部装置に伝送するように構成され得る。更に、本発明の装置は、例えば、患者外部装置又は高度患者管理システムを用いることによって、患者及び/又は医師に警告を与えてもよい。
【0019】
本発明の上記要約は、本発明の各実施形態若しくは全ての実施例を説明することは意図されない。本発明の利点及び実現、並びに、より完全な理解は、添付の図面に関連する以下の詳細な説明及び特許請求の範囲を参照することにより、明らかとなり認められるであろう。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明は、様々な変更及び別の形態を受け入れるが、本発明の具体的内容を、図面に例として示すと共に、以下に詳細に説明する。しかし、当然のことながら、本発明は、ここに説明する特定の実施形態に限定されない。それどころか、本発明は、添付の特許請求の範囲で定義される本発明の範囲内であれば、全ての変更物、等価物、及び代替物を含むことが意図される。
【0021】
図示した実施形態に関する以下の説明においては、添付の図面を参照する。これらの図面は、本発明の一部を形成すると共に、これらの図面には、本発明が実施され得る様々な実施形態が例として示されている。当然のことながら、他の実施形態を用いてもよく、本発明の範囲を逸脱しない限り構造的及び機能的変更を加えてもよい。
【0022】
本発明による植込み型装置は、以下に説明する特徴、構造、方法、又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。例えば、心臓モニター又は心臓刺激装置が、以下に説明する有益な特徴及び/又は方法のうちの1つ以上を含むように実施され得る。このようなモニター、刺激装置、又は、その他の植込み型若しくは部分植込み型装置は、ここに説明する特徴の全てを含む必要はないが、特有の構造及び/又は機能をもたらす選択された特徴を含むように実施されることが意図される。このような装置は、様々な治療又は診断機能をもたらすように実施され得る。
【0023】
多種多様な植込み型心臓感知及び/又は刺激装置が、本発明の呼吸困難測定方法を実施するように構成され得る。このような装置の非限定代表リストには、心臓モニター、ペースメーカー、心臓除細動器(cardioverter)、除細動器(defibrillator)、再同期装置、並びに、その他の心臓感知及び治療法提供装置が含まれる。これらの装置は、様々な電極装置、例えば、経静脈、心内膜、及び心外膜電極(即ち、胸腔内電極)、並びに/又は、非胸腔内皮下電極(缶(can)、ヘッダー、及び不関電極、並びに、皮下アレイ若しくは鉛電極を含む)(即ち、非胸腔内電極)を用いて構成され得る。
【0024】
本発明の実施形態は、上記リストに挙げたような多種多様な心臓装置に関して実施され得ると共に、ここでは便宜上広く患者植込み型医療装置(PIMD:patient implantable medical device)と呼ばれる。本発明により実施されるPIMDは、先に特定した電極タイプ及び/又はこれらの組み合わせのうちの1つ以上を含み得る。
【0025】
ペースメーカー/除細動器/CRT(cardiac resynchronization therapy:心臓再同期療法)装置が植え込まれた多くの患者には、心肺機能の変化を表す分時呼吸量変化がある。心肺機能の低下は、呼吸困難(息切れ)という形で表れることが多い。一般的に、呼吸困難は、安静時にも運動時にも見られる。
【0026】
医師が一般的に評価する患者の肺疾患特徴は、呼吸困難尺度を用いて説明され得る。この呼吸困難尺度は、肺疾患パラメータである呼吸数(RR:respiratory rate)(回/分)と1回呼吸量(Vt:tidal volume)(ミリリットル/分又はリットル/分)とを関連付けている。医師は、例えば、呼吸数÷1回呼吸量(RR/Vt)で得られるような肺疾患指数を、呼吸困難測定の評価ツールとする。この肺疾患指数は、患者の1回呼吸量が減少することで呼吸数が増加する呼吸困難発作を検出するのに用いられてもよい。
【0027】
一般的に、ペースメーカー植え込み後の患者の心肺反応における変化については、患者に症状が表れて外部のガス交換装置を用いた正式な臨床評価が下されるまで対処されない。本発明による呼吸困難測定機能を備えたPIMDは、患者の呼吸困難問題を解決する且つ/又は更なる治療法を導入するのに必要な応答時間を短縮する。また、本発明による呼吸困難測定機能を備えたPIMDは、患者の呼吸困難の経時的傾向も示し得る。
【0028】
本発明による呼吸困難測定を行うPIMDは、患者に植え込まれ得る。このPIMDは、例えば、経胸腔インピーダンス及び患者の活動を感知し得る。例えば、呼吸数、分時呼吸量、及び1回呼吸量のようなパラメータは、これらの測定パラメータに関連付けられた患者の活動レベルと共に検出され得る。
【0029】
所定の活動レベルや時刻などに対してどんなレベルの特定パラメータが生じるのかを判別するために、患者プロフィールを作成してもよい。また、例えばRR/Vt指数のような指数を設定してもよい。患者が休んだり、適度な運動を行ったり、最大限の激しい運動を行ったりしている時に、患者パラメータ及び/又は指数の基準を決定してPIMDに記録してもよい。
【0030】
パラメータ及び指数における変化を用いて、警告を発したり、治療法を変更したり、その他の方法でPIMDを制御したりしてもよい。パラメータ及び指数は、患者が自分の行動を評価及び/又は変更することができるように、患者外部モニタに表示されてもよい。呼吸困難指数が高すぎる場合、PIMDは、心拍数を適量(例えば、5〜10拍/分)増やして、心拍数を患者の酸素要求量に適応させることができる。呼吸困難を適応制御するPIMDは、他のPIMDよりも、患者の能力を高めると共に医師の介入を減らすことができる。
【0031】
本発明の別の実施形態では、呼吸困難検出機能を備えたPIMDは、個々の患者の心肺反応のモデルを作成して、患者の状態における変化を追跡してもよい。心肺状態が時間と共に悪化している患者は、外部のガス交換装置を用いなくても容易に評価することができる。医師に患者の状態における変化を警告することによって、診療前に患者が経験する呼吸困難の長さを短縮し激しさを軽減することができる。
【0032】
図1は、本発明による呼吸困難測定を行う患者植込み型医療装置を制御する方法100の実施形態のブロック図である。この方法100は、例えば経胸腔インピーダンスを用いて呼吸数及び1回呼吸量を測定することにより患者の呼吸が感知されるブロック110を含む。ブロック120では、例えば、加速度計、筋電(EMG:electromyogram)センサ、脳波(EEG:electroencephalogram)センサ、又はその他の患者活動レベル感知法を用いて患者の活動レベルが感知される。測定されたパラメータ(例えば、呼吸数、分時呼吸量、活動レベル)及び/又はその統計分析はブロック140で用いられ、患者の心肺状態を示す1つ以上の指数が算出され得る。このブロック140で得られた指数は決定ブロック150で比較され、何らかの処置が必要であるかどうかが判定される。例えば、指数を許容範囲と比較して、その指数が予想範囲若しくは許容範囲内にあるかどうかを判定してもよい。別の例では、指数の変化率を許容変化率と比較して、その指数が予想範囲若しくは許容範囲内にあるかどうかを判定してもよい。指数が許容範囲である場合、方法100は次の感知及び判定のためにブロック110へ戻る。指数が許容範囲でない場合には、ブロック110へ戻る前に、患者の心肺機能を許容範囲にしようと試みたり患者若しくは医師に警告したりする処置又はその他の適切な処置160が行われ得る。
【0033】
この方法100の更なる実施形態では、患者の心肺状態を判定するのに、任意で若しくは更にプロフィール130を用いてもよい。ブロック110及び120は、このプロフィール130に感知情報を提供し得る。プロフィール130は、例えば、患者の活動範囲に対する指数のルックアップ・テーブルを用いてもよく、このルックアップ・テーブルは、その患者が何らかの形の処置160を必要としているかどうか、又は感知されたパラメータがその患者に対して予想されたものであるかどうかを判定するのに有用であり得る。プロフィール情報は、決定ブロック150において単独で用いられてもよいし、ブロック140で算出される指数から得られた情報と組み合わされてもよい。
【0034】
図2は、本発明による呼吸困難判定方法200のブロック図である。ブロック210で、経胸腔インピーダンス及び患者活動レベルが感知される。このブロック210で得られた経胸腔インピーダンス及び患者活動レベルの測定値を用い、ブロック220で、肺機能を示す1つ以上の指数が算出される。
【0035】
このブロック220で得られた指数は決定ブロック230で比較され、その指数が許容閾値を超えているかどうかが判定される。指数が許容閾値を超えている場合、ブロック240で呼吸困難発作が検出される。例えば、呼吸困難指数は、ブロック220において、患者の呼吸数÷患者の1回呼吸量(RR/Vt)で算出され得る。
【0036】
呼吸困難指数が3を超えた場合、患者のPIMDは、患者の心拍数を5〜10拍/分増やすことにより適応され得る。呼吸困難指数が4を超えた場合、患者のPIMDは、患者の心拍数を更に増やし得る且つ/又は可能性のある問題を患者に警告し得る。呼吸困難指数が5を超えた場合、患者のPIMDは、患者のニーズに応えるため、緊急対応サービスに警告し得る。当然のことながら、上記指数は、特定指数に対する計算係数に基づいた、可能性のある値を表しており、指数の範囲は、各患者及び/又は各指数に対して、臨床的に且つ/若しくは個別に設定され得る。また、当然のことながら、指数に関連した上記処置は、単なる例示目的であり、説明の限定を意図しない。
【0037】
ここに示すいくつかの構造は、植込み型除細動器(ICD:implantable cardioverter/defibrillator)によって従来行われてきた様々な機能を実施することができるものとして一般的に説明されており、当技術分野で周知のような多数の除細動方式で作動し得る。ICD回路、構造、及び機能の例については、米国特許第5,133,353号、第5,179,945号、第5,314,459号、第5,318,597号、第5,620,466号、及び第5,662,688号に開示されており、これらのICD回路、構造、及び機能の態様は、呼吸困難測定法及びその実施が有効であり得るタイプのPIMDに組み込まれ得る。
【0038】
特定の構造では、システム及び方法は、除細動治療に加えて、例えば、当技術分野で周知の様々なペーシング治療のような、ペースメーカーによって従来行われてきた機能を行ってもよい。ペースメーカー回路、構造、及び機能の例については、米国特許第4,562,841号、第5,284,136号、第5,376,106号、第5,036,849号、第5,540,727号、第5,836,987号、第6,044,298号、及び第6,055,454号に開示されており、これらのペースメーカー回路、構造、及び機能の態様は、呼吸困難測定法及びその実施が有効であり得るタイプのPIMDに組み込まれ得る。当然のことながら、PIMD構造は、徐脈及び/若しくは抗頻脈ペーシング治療、並びに/又は、非生理学的ペーシング・サポートを行ってもよい。
【0039】
本発明によるPIMDは、心刺激療法を提供するだけでなく、診断及び/又は監視機能を実施してもよい。心臓監視回路、構造、及び機能の例については、米国特許第5,313,953号、第5,388,578号、及び第5,411,031号に開示されており、これらの心臓監視回路、構造、及び機能の態様は、呼吸困難測定法及びその実施が有効であり得るタイプのPIMDに組み込まれ得る。
【0040】
ここに説明する様々な実施形態は、うっ血性心不全(CHF:congestive heart failure)の監視、診断、及び/又は治療に関して用いられ得る。本発明のPIMDは、二腔若しくは両心室ペーシング/療法、心臓再同期療法、心機能最適化、又はその他のCHF関連法のような、CHF特徴を備え得る。例えば、本発明のPIMDは、米国特許出願公開第2003/0130702号、並びに、米国特許第6,411,848号、第6,285,907号、第4,928,688号、第6,459,929号、第5,334,222号、第6,026,320号、第6,371,922号、第6,597,951号、第6,424,865号、及び第6,542,775号のうちの1つ以上の特徴を備え得る。
【0041】
次に、図3を参照すると、この図3に示されている植込み型装置は、呼吸困難を測定するように構成された本発明によるPIMDの一実施形態である。この例では、植込み型装置は、心調律管理(CRM:cardiac rhythm management)装置300を含み、この心調律管理装置300は、心内リードシステム310に電気的且つ物理的につながれた植込み型パルスジェネレータ305を含む。
【0042】
心内リードシステム310の一部は、患者の心臓390に挿入される。この心内リードシステム310は、心臓の電気的活動を感知したり、電気的刺激を心臓に送ったり、患者の経胸腔インピーダンスを感知したり、その他の生理学的パラメータ(例えば、心腔の圧力又は温度)を感知したりするように構成された、1つ以上の電極を含む。パルスジェネレータ305のハウジング301の一部は、必要に応じて、缶電極として機能してもよい。
【0043】
パルスジェネレータ305と外部の通信装置(例えば、ポータブル若しくはベッドサイド通信ステーション、患者携帯/装用式通信ステーション、又は外部のプログラマ)との間における通信を容易にするため、ハウジング301内部には、通信回路が配置されている。また、この通信回路は、1つ以上の植込み型、外部、皮膚、若しくは皮下の生理学的/非生理学的センサ、患者入力装置、及び/又は情報システムとの単方向又は双方向通信も容易にすることができる。
【0044】
パルスジェネレータ305は、必要に応じて、患者の活動並びに様々な呼吸及び心臓関連状態を感知するのに用いられ得る動作感知器320を含んでいてもよい。例えば、この動作感知器320は、必要に応じて、いびき、活動レベル、及び/又は、呼吸努力に関連した胸壁の動きを感知するように構成され得る。この動作感知器320は、パルスジェネレータ305のハウジング301内又は上に位置する加速度計として実施されてもよい。加速度計として実施される場合、この動作感知器は、呼吸に関する情報(例えば、水泡音、咳)、心臓に関する情報(例えば、S1〜S4の心音、心雑音)、及び、その他の音に関する情報も提供し得る。
【0045】
CRM装置300のリードシステム310及びパルスジェネレータ305は、患者の呼吸波形又はその他の呼吸に関する情報を取得するのに用いられ得る、1つ以上の経胸腔インピーダンス・センサを含んでいてもよい。例えば、この経胸腔インピーダンス・センサは、心臓390の1つ以上の心腔内に位置する、1つ以上の心内電極341、342、351〜355、363を含み得る。これらの心内電極341、342、351〜355、363は、パルスジェネレータ305のハウジング内に位置するインピーダンス駆動/感知回路330につながれ得る。
【0046】
一実施形態では、インピーダンス駆動/感知回路330は、インピーダンス駆動電極351とパルスジェネレータ305のハウジング301上の缶電極との間において組織を通って流れる電流を起こす。患者の経胸腔インピーダンスが変化すると、インピーダンス感知電極352における缶電極に対する電圧が変化する。インピーダンス感知電極352と缶電極との間において発生する電圧信号は、インピーダンス感知回路330によって検出される。インピーダンス駆動電極及び感知電極は、他の位置及び/又は他の組み合わせも可能である。
【0047】
リードシステム310は、患者の心臓390からの電気信号を感知したり、ペーシングパルスを心臓390に送ったりするために、1つ以上の心腔内部、上部、又は周囲に位置する、1つ以上の心臓ペーシング/感知電極351〜355を含み得る。図3に示されているような心内感知/ペーシング電極351〜355は、1つ以上の心腔(左心室、右心室、左心房、及び/又は右心房)を感知したりペーシングしたりするのに用いられ得る。リードシステム310は、除細動ショックを心臓に送るための1つ以上の除細動電極341及び342を含み得る。
【0048】
パルスジェネレータ305は、心不整脈を検出したり、リードシステム310を通って心臓に送られる電気刺激パルス若しくはショックの形態であるペーシング又は除細動治療を制御したりするための回路を含み得る。また、このパルスジェネレータ305は、米国特許第5,203,348号、第5,230,337号、第5,360,442号、第5,366,496号、第5,397,342号、第5,391,200号、第5,545,202号、第5,603,732号、第5,916,243号、第6,360,127号、及び第6,597,951号、並びに、米国特許出願公開第2002/0143264号に開示された植込み型医療装置の回路、構造、及び機能を含み得る。
【0049】
限定目的ではなく例示目的で、本発明による呼吸困難測定を用い得る装置の様々な実施形態を、患者の胸部の皮下に植え込まれ得るPIMDに関してここに説明する。PIMDは、例えば、装置の全ての要素又は選択された要素が、患者の前面、背中、側部、又は、心臓活動を感知したり心刺激療法を提供したりするのに適したその他の体の部位に位置するように、皮下に植え込まれ得る。当然のことながら、PIMDの要素が、胸部、腹部、又は鎖骨下部のようないくつかの異なる体の部位に位置すると共に、電極素子がそれぞれ、心臓付近、周囲、内部、又は上部のような異なる部位に位置してもよい。
【0050】
PIMDの主要なハウジング(例えば、アクティブ缶又は非アクティブ缶)は、例えば、肋間部若しくは肋骨下部における胸郭の外側、腹部内、又は、胸郭上部(例えば、第3肋骨上方のような鎖骨下部)に位置するように構成され得る。一実施形態では、電極を含む1つ以上のリードを、例えば、従来の経静脈送達法を用いて植え込まれた1つ以上のリードを介して、心臓、大血管、又は冠状動脈血管系に直接接触するように配置してもよい。別の実施形態では、1つ以上の電極を、主要ハウジング上に、及び/又は、その他の、心臓、大血管、若しくは冠状動脈血管系に直接接触しないその周囲の部位に配置してもよい。
【0051】
更なる実施形態では、アクティブ缶を用いるPIMD構造又は非アクティブ缶を用いる構造において、心臓活動を感知したり心刺激エネルギーを送ったりするのに、例えば、1つ以上の電極サブシステム又は電極アレイを用いてもよい。電極は、心臓の前部及び/又は後部に配置され得る。本発明の様々な実施形態に組み込まれ得る有用な電極の位置及び特徴の例については、米国特許出願公開第2004/0230230号及び第2004/0230243号に説明されている。
【0052】
図4に示されているように、1つの構造では、PIMDシステムの電極サブシステムが、患者の心臓410の周囲に配置されている。このPIMDシステムは、缶電極402から成る第1電極サブシステムと、少なくとも2つの電極又は少なくとも1つの多素子電極を含む第2電極サブシステム404とを含む。第2電極サブシステム404は、感知及び/又は電気刺激に用いられるいくつかの電極を含み得る。
【0053】
様々な構造では、第2電極サブシステム404は、電極の組み合わせを含み得る。この第2電極サブシステム404の電極の組み合わせとしては、コイル電極、チップ電極、リング電極、多素子コイル、らせんコイル、非導電性裏当て上に取り付けられたらせんコイル、スクリーンパッチ電極、及び、以下に説明するようなその他の電極構造が挙げられる。適切な非導電性裏当て材としては、例えば、シリコーンゴムがある。
【0054】
缶電極402は、PIMD電子装置を収納しているハウジング401上に位置する。一実施形態では、この缶電極402は、ハウジング401の外面全体を含む。別の実施形態では、ハウジング401の様々な部分を、缶電極402から又は組織から電気的に絶縁してもよい。例えば、缶電極402のアクティブ領域は、心臓の感知及び/又は刺激に有益な方法で電流を方向付けるように、ハウジング401の前面又は後面の全部又は一部を含み得る。
【0055】
一実施形態によれば、ハウジング401は、従来の植込み型PIMDのハウジングと同様であってよく、容積がおよそ20〜100ccであり、厚さが0.4〜2cmであり、各面の表面積がおよそ30〜100cm2である。前述したように、ハウジングの一部は、電流を最適に方向付けるように、組織から電気的に絶縁してもよい。例えば、ハウジング401の一部を非導電性材料又はその他の電気抵抗材料で被覆することによって、電流を方向付けてもよい。適切な非導電性材料コーティングとしては、例えば、シリコーンゴム、ポリウレタン、又はパリレンからできたものが挙げられる。
【0056】
図5は、呼吸困難プロセッサ603を含むPIMD602のブロック図であり、この呼吸困難プロセッサ603は、マイクロプロセッサ606に組み込まれてもよいし、マイクロプロセッサ606と連携して作動してもよい。これらの呼吸困難プロセッサ603及び/又はマイクロプロセッサ606につながれ得る検出回路602は、心臓感知及び/又は刺激装置で特に有用な方法で感知心臓信号を処理する特殊回路を組み込むように構成されてもよいし、このような特殊回路と通信するように構成されてもよい。図5に例として示されているように、この検出回路602は、複数の生理学的及び非生理学的センサから情報を受信し得る。
【0057】
検出回路602は、経胸腔インピーダンスを監視する1つ以上のセンサ605から情報を受信する。当技術分野では周知のように、この経胸腔インピーダンス・センサ605は、心臓感知及び/又は刺激に用いられる1つ以上の心臓電極607と同じであってもよいし異なっていてもよい。
【0058】
呼吸困難プロセッサ603は、センサ605につながれると共に、感知された経胸腔インピーダンスを用いて肺機能を示す指数を算出するように構成される。活動センサ610は、呼吸困難プロセッサ603につながれると共に、患者の活動を感知するように構成される。この活動センサ610は、例えば、PIMD602内部若しくは上部にある又はPIMD602につながれた加速度計であってもよい。治療回路620は、マイクロプロセッサ606につながれると共に、呼吸困難プロセッサ603によって決定された算出肺機能指数及び感知患者活動レベルに少なくとも部分的に基づいて治療法を提供するように構成される。この治療回路620は、心臓電極607のうちの1つ以上につながれると共に、心臓治療法を提供するように構成される。
【0059】
図6は、一構造によるPIMDの様々な構成要素を示すブロック図である。この構造によれば、PIMDは、プロセッサに基づいた制御システム505を組み込んでおり、この制御システム505は、適切なメモリ(揮発性及び不揮発性)509につながれたマイクロプロセッサ506を含む。当然のことながら、あらゆる論理型の制御構造が用いられ得る。この制御システム505は、心臓が発した電気信号を感知、検出、及び分析し、所定の条件下で電気刺激エネルギーを心臓に送って心不整脈を治療するように、回路及び要素につながれる。また、制御システム505及びこれに関連する要素は、心臓にペーシング療法も提供する。PIMDによって送られる電気エネルギーは、除細動用の低エネルギー又は高エネルギー・ペーシングパルスの形態であってよい。
【0060】
心臓信号は、電極514とPIMDハウジング上に設けられた缶電極又は不関電極507とを用いて感知される。また、心臓信号は、例えば非アクティブ缶構造の電極514のみを用いて感知されてもよい。このような電極としては、単極電極、双極電極、又は単極電極と双極電極とを組み合わせた電極、並びに、多素子電極、及び、雑音消去電極と標準電極とを組み合わせた電極が用いられ得る。感知された心臓信号は、感知回路504によって受信される。この感知回路504は、感知増幅回路を含み、更にフィルタリング回路及びアナログ・デジタル(A/D)変換器を含んでいてもよい。この感知回路504によって処理された感知心臓信号は、雑音低減回路503によって受信され得る。この雑音低減回路503は、信号が検出回路502に送信される前に更に雑音を低減し得る。
【0061】
高出力の若しくは計算量が集中的な雑音低減アルゴリズムが必要とされる場合、雑音低減回路503は、感知回路502の後に組み込まれてもよい。また、この雑音低減回路503は、電極信号により動作を行うのに用いられる増幅器として、感知回路504の機能を行ってもよい。感知回路504の機能と雑音低減回路503の機能とを組み合わせることは、必要な構成要素を最小限に抑えると共にシステムの所要電力を削減するのに有用であり得る。
【0062】
患者の活動は、マイクロプロセッサ506につながれた患者活動センサ515によって感知され、これにより、患者活動情報が提供される。この患者活動情報は、マイクロプロセッサ506によって用いられ、これにより、上述したような肺機能指数が決定される。
【0063】
図6に示した例示的構造では、検出回路502は、雑音低減回路503につながれているか、或いは雑音低減回路503を組み込んでいる。この雑音低減回路503は、様々なソースからもたらされた感知心臓信号の雑音内容を除去することにより、感知心臓信号の信号対雑音比(SNR:signal-to-noise ratio)を改善するように作動する。検出回路502は、本発明の実施形態に従って、感知心臓信号、患者活動情報、及び経胸腔インピーダンス信号の分析を統合して呼吸困難を検出する、信号プロセッサを含む。
【0064】
レートベースの且つ/又は形態学的な識別アルゴリズムが検出回路502の信号プロセッサによって実施されることにより、不整脈発作の存在が検出されると共にその重症度が確定され得る。不整脈検出及び識別回路、構造、並びに技法の例については、米国特許第5,301,677号、第6,438,410号、及び第6,708,058号に開示されており、これらの不整脈検出及び識別回路、構造、並びに技法の態様は、呼吸困難測定法及びその実施が有効であり得るタイプのPIMDによって実施され得る。心臓監視及び/又は刺激システムにおいて実施するのに特に適した不整脈検出法について、以下に説明する。
【0065】
検出回路502は、心臓信号情報を制御システム505に伝送する。この制御システム505のメモリ回路509は、様々な感知モード、除細動モード、及びペーシングモード(該当する場合)で作動するためのパラメータを含み、検出回路502によって受信された心臓信号を示すデータを格納する。また、このメモリ回路509は、心電図及び治療の履歴データ、患者活動データ、肺機能指数データ、並びに/又は、呼吸困難情報を格納するように構成されていてもよく、これらのデータは、様々な目的で使用され得ると共に、必要若しくは要望に応じて外部受信装置に送信され得る。
【0066】
ある構造では、PIMDは、診断回路510を含み得る。この診断回路510は、一般的には、検出回路502及び感知回路504から入力信号を受信する。この診断回路510は、制御システム505に診断データを提供する。当然のことながら、制御システム505が、診断回路510若しくはその機能の全部又は一部を組み込んでいてもよい。制御システム505は、診断回路510によって提供された情報を様々な診断目的で格納して使用してもよい。この診断情報は、例えばトリガ事象後に又は所定間隔で格納され得ると共に、システム診断(例えば、電源状態、治療法提供歴、及び/又は患者診断)を含み得る。この診断情報は、治療法を提供する直前に得られた電気信号又はその他のセンサ・データという形態を取ってもよい。
【0067】
除細動治療を行う構造によれば、制御システム505は、検出回路502から受信された心臓信号データを処理し、適切な頻脈性不整脈治療を開始することによって、心不整脈発作を止め、心臓を正常洞調律に戻す。この制御システム505は、ショック療法回路516につながれている。このショック療法回路516は、電極514とPIMDハウジングの缶電極又は不関電極507につながれている。指令により、ショック療法回路516は、選択された除細動療法に従って除細動刺激エネルギーを心臓に送る。心臓除細動療法(cardioversion therapy)も除細動療法(defibrillation therapy)も両方提供する構造よりも性能の低い構造では、ショック療法回路516は、除細動療法(defibrillation therapy)を提供するように制御される。PIMD高エネルギー送給回路、構造、及び機能の例については、米国特許第5,372,606号、第5,411,525号、第5,468,254号、及び第5,634,938号に開示されており、これらのPIMD高エネルギー送給回路、構造、及び機能の態様は、本発明の態様が有効であり得るタイプのPIMDに組み込まれ得る。
【0068】
別の構造によれば、PIMDは、除細動機能及び/又は心臓ペーシング機能を備え得る。図6に示されているように、このPIMDは、ペーシング療法回路530を含み、このペーシング療法回路530は、制御システム505並びに電極514及び缶電極/不関電極507につながれている。指令により、ペーシング療法回路530は、選択されたペーシング療法に従ってペーシングパルスを心臓に送る。制御システム505内のペースメーカー回路によりペーシング療法に従って作成された制御信号が、起動されて、ペーシングパルスが生成されるペーシング療法回路530に送信される。本明細書中に論じられて組み込まれるようなペーシング療法は、制御システム505によって変更され得る。
【0069】
図6に示されているPIMDは、1つ以上の生理学的及び/又は非生理学的センサから信号を受信するように構成され得る。用いられるセンサのタイプに応じ、センサによって生成された信号は、検出回路502に直接的につながれた変換回路に伝送されてもよいし、感知回路504を介して間接的につながれた変換回路に伝送されてもよい。センサによっては、感知データを検出回路502によって処理せずに制御システム505に送信してもよい、ということに留意されたい。
【0070】
通信回路518が、制御システム505のマイクロプロセッサ506につながれている。この通信回路518によって、PIMDは、その外部に位置する1つ以上の受信装置若しくはシステムと通信することができる。例として、PIMDは、この通信回路518を介して、患者装用式、ポータブル、又はベッドサイド通信システムと通信し得る。一構造では、1つ以上の生理学的又は非生理学的センサ(皮下、皮膚、若しくは患者外部)は、既知の通信規格(例えば、ブルートゥース(Bluetooth)若しくはIEEE802規格)に準拠したインタフェースのような、短距離無線通信インタフェースを備えていてもよい。このようなセンサによって得られたデータは、通信回路518を介してPIMDに伝送され得る。無線送信機若しくは送受信機を備えた生理学的又は非生理学的センサは、患者外部の受信システムと通信し得る、ということに留意されたい。
【0071】
通信回路518によって、PIMDは、外部プログラマと通信することができるのが好ましい。一構造では、通信回路518及びプログラマ装置(図示せず)は、当技術分野で周知のようなワイヤ・ループ・アンテナ及び高周波遠隔測定リンクを用い、これらのプログラマ装置と通信回路518との間において信号及びデータを送受信する。このようにして、植込み中及び植込み後、プログラミング指令及びデータがPIMDとプログラマ装置との間において転送される。プログラマを使用することで、医師は、PIMDによって用いられる様々なパラメータを設定又は変更することができる。例えば、医師は、PIMDの感知、検出、ペーシング、及び除細動機能(ペーシング及び除細動療法を含む)に影響を及ぼすパラメータを設定又は変更し得る。
【0072】
一般的に、PIMDは、当技術分野で周知のような、人体に植え込むのに適したハウジングに入れられて密閉される。PIMDへの電力は、PIMD内に収容された電気化学的電源520によって供給される。一構造では、この電源520は充電式電池を含む。この構造によれば、充電回路が電源520につながれていることによって、電源520を非侵襲的に繰り返し充電することが容易にできる。通信回路518又は別個の受信回路は、外部の高周波エネルギー送信機によって送信された高周波エネルギーを受信するように構成されている。PIMDは、充電式電源に加えて非充電式電池を含んでいてもよい。当然のことながら、充電式電源を使用しなくてもよく、この場合には、寿命の長い非充電式電池が用いられる。
【0073】
ここに示した構成要素、機能、及び構造的配置は、PIMDに組み込まれ得る様々な特徴及びその組み合わせが理解されるようにすることが意図される。当然のことながら、比較的複雑な設計から比較的単純な設計まで、多種多様なPIMD及びその他の植込み型心臓監視及び/又は刺激装置構造が考えられる。このような装置構造として、特定のPIMD或いは心臓監視及び/又は刺激装置構造は、ここに説明したような特定の特徴を含み得る一方で、他のこのような装置構造は、ここに説明したような特定の特徴を排除し得る。
【0074】
本発明の実施形態によれば、PIMDは、心臓感知と不整脈治療法提供の一方又は両方を行う電極システムを含むように実施され得る。一方法によれば、PIMDは、監視、診断、及び/又は治療機能を行う常時植込み型システムとして実施され得る。このPIMDは、心不整脈を自動的に検出して治療し得る。一構造では、PIMDは、体の胸部(例えば、前胸部)の皮下に植え込まれた、1つのパルスジェネレータ及び3つ以上の電極を含む。このPIMDは、徐脈性及び頻脈性不整脈に対して心房及び心室治療を行うのに用いられ得る。頻脈性不整脈治療法としては、例えば、心房又は心室の頻脈又は細動を治療するための心臓除細動(cardioversion)、除細動(defibrillation)、及び抗頻脈ペーシング(ATP:anti-tachycardia pacing)が挙げられる。徐脈治療法としては、徐脈又は心停止のための一時的ポストショック・ペーシングが挙げられる。徐脈又は心停止に対してポストショック・ペーシングを行う方法及びシステムについては、「ポストショック心停止阻止ペーシングを用いる皮下心刺激装置(Subcutaneous Cardiac Stimulator Employing Post-Shock Asystole Prevention Pacing)」という発明の名称である、米国特許出願公開第2004/0172066号に説明されている。
【0075】
PIMDは、様々な診断、治療、又は監視に関して用いられ得る、様々な生理学的信号を検出し得る。例えば、PIMDは、呼吸器系信号、心臓系信号、及び患者の活動に関する信号を検出するセンサ又は回路を含み得る。一実施形態では、PIMDは、様々な呼吸パラメータ(例えば、呼吸1回呼吸量及び分時呼吸量)が得られる胸腔内インピーダンスを感知する。センサ及び関連回路は、1つ以上の身体運動又は体位関連信号を検出するためにPIMDに組み込まれてもよい。例えば、加速度計及びGPS装置を用いて、患者の活動、患者の場所、身体方向、又は胴体の位置を検出してもよい。
【0076】
次に図7を参照すると、本発明のPIMDは、高度患者管理(APM:advanced patient management)システム700の構造内に用いられ得る。この高度患者管理システム700によって、医師は、心機能及び呼吸機能並びに患者のその他の状態を遠隔的に且つ自動的に監視することができる。一例では、心臓ペースメーカー、除細動器、又は再同期装置として実施されるPIMDは、患者の実時間データ収集、診断、及び治療を可能にする様々な電気通信及び情報技術を備えていてもよい。ここに説明する様々なPIMD実施形態は、高度患者管理に関して用いられ得る。ここに説明する方法、構造、及び/又は技術は、米国特許第6,221,011号、第6,270,457号、第6,277,072号、第6,280,380号、第6,312,378号、第6,336,903号、第6,358,203号、第6,368,284号、第6,398,728号、及び第6,440,066号のうちの1つ以上の特徴を備えていてもよく、これらの方法、構造、及び/又は技術は、患者/装置の遠隔的な監視、診断、治療、又はその他のAPM関連方法を行うように適応させてもよい。
【0077】
図7に示されているように、医療システム700は、本発明の実施形態に従って患者の測定及び/若しくは監視、診断、並びに/又は治療を統合して行うのに用いられ得る。この医療システム700は、例えば、1つ以上の患者内部医療装置710(例えば、PIMD)と、1つ以上の患者外部医療装置720(例えば、モニタ若しくは信号表示装置)とを含み得る。これらの患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720はそれぞれ、患者監視装置712及び722、診断装置714及び724、並びに/又は治療装置716及び726のうちの1つ以上を含み得る。
【0078】
患者外部医療装置720は、患者外部の(即ち、患者の体内に侵襲的に植え込まれていない)監視、及び/又は診断、及び/又は治療機能を行う。この患者外部医療装置720は、患者上、患者付近、或いは、患者外部のあらゆる場所に配置されてもよい。
【0079】
患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720は、1つ以上のセンサ741、742、745、及び746、患者入力/トリガ装置743及び747、並びに/又は、その他の情報取得装置744及び748につながれてもよい。これらのセンサ741、742、745、及び746、患者入力/トリガ装置743及び747、並びに/又は、その他の情報取得装置744及び748は、患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720の監視、診断、及び/又は治療機能に関する状態を検出するのに用いられ得る。
【0080】
医療装置710及び720はそれぞれ、患者内に完全に又は部分的に植え込み可能な、1つ以上の患者内部センサ741及び745につながれてもよい。また、これらの医療装置710及び720は、患者上、患者付近、或いは、患者から遠く離れた場所に配置された患者外部センサにつながれてもよい。これらの患者内部センサ及び患者外部センサは、患者に影響を及ぼす状態(例えば、生理的又は環境状態)を感知するのに用いられる。
【0081】
患者内部センサ741は、1つ以上の内部リード753を介して患者内部医療装置710につながれてもよい。更に図7に関し、1つ以上の患者内部センサ741は、送受信回路を備えて、1つ以上の患者内部センサ741と患者内部医療装置710及び/又は患者外部医療装置720との間における無線通信をサポートしてもよい。
【0082】
患者外部センサ742は、1つ以上の内部リード755又は無線接続を介して、患者内部医療装置710及び/又は患者外部医療装置720につながれてもよい。この患者外部センサ742は、患者内部医療装置710と無線で通信してもよい。また、この患者外部センサ742は、1つ以上の内部リード757又は無線リンクを介して、患者外部医療装置720につながれてもよい。
【0083】
本発明の一実施形態では、患者外部医療装置720は、非電気生理学的信号と心電図信号とを同時に表示するように構成された視覚的ディスプレイを含む。例えば、このディスプレイは、視覚的に情報を提示し得る。患者外部医療装置720は、更に或いは代わりに、医療システム700の他の構成要素に信号を送って、患者の近くにいる又は患者から離れている臨床医に情報を提示してもよい。
【0084】
更に図7に関し、医療装置710及び720は、その監視、診断、又は治療機能に関して有用な情報を格納するデータベースのような、1つ以上の情報取得装置744及び748に接続されてもよい。例えば、これらの医療装置710及び720のうちの1つ以上は、ネットワークを介して患者情報サーバ730につながれてもよい。
【0085】
入力/トリガ装置743及び747を用いることによって、医師、臨床医、及び/又は患者は、手動で情報をトリガしたり医療装置710及び720に転送したりすることができる。これらの入力/トリガ装置743及び747は、患者が感じる情報(例えば、感じた心事故、患者の気分、並びに、医療装置710及び720によって自動的には感知若しくは検出されないその他の情報)を入力するのに特に有用であり得る。例えば、患者が、心事故を感じて入力/トリガ装置743をトリガする。そうすると、このトリガによって、心臓信号及び/又はその他のセンサ信号が患者内部医療装置710において記録され始める。後で、臨床医は、入力/トリガ装置747をトリガして、記録された心臓信号及び/又はその他の信号を、表示及び診断のため、患者内部医療装置710から患者外部医療装置720へ転送し始めてもよい。また、この入力/トリガ装置747は、患者、臨床医、及び/又は医師によって、ベクトルを更新及び/又は選択するためのPIMDに対する起動刺激として用いられてもよい。
【0086】
一実施形態では、患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720は、これらの間において無線リンクを介して通信し得る。例えば、これらの患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720は、短距離無線リンク(例えば、ブルートゥース、IEEE802.11、及び/又は独自仕様の無線プロトコル)を介してつながれてもよい。この通信リンクによって、患者内部医療装置710と患者外部医療装置720との間における単方向又は双方向通信が容易となり得る。患者内部医療装置710と患者外部医療装置720との間においてデータ及び/又は制御信号が送信されることによって、これらの医療装置710及び720の機能が統合され得る。
【0087】
別の実施形態では、患者データは、これらの医療装置のうちの1つ以上から定期的に又は指令によりダウンロードされ、患者情報サーバ730に格納されてもよい。医師及び/又は患者は、例えば、これらの医療装置及び患者情報サーバ730と通信して、患者データを取得したり、記録及び/又は治療を開始、停止、又は変更したりしてもよい。
【0088】
患者情報サーバ730に格納されたデータは、患者及びその医師によって、1つ以上の端末750(例えば、患者の自宅又は診療所に置かれたリモート・コンピュータ)を介してアクセス可能であり得る。患者情報サーバ730は、患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720のうちの1つ以上に通信して、これらの医療装置710及び720の監視、診断、及び/又は治療機能を遠隔制御するのに用いられ得る。
【0089】
一実施形態では、患者の医師は、医療装置710及び720から患者情報サーバ730へ送信された患者データにアクセスし得る。この患者データの評価後、患者の医師は、APMシステム740を介して患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720のうちの1つ以上と通信し、これらの患者内部医療装置710及び/又は患者外部医療装置720の監視、診断、及び/又は治療機能を開始、停止、又は変更し得る。
【0090】
別の実施形態では、患者内部医療装置710及び患者外部医療装置720は、直接的にではなく、APMシステム740を介して間接的に通信してもよい。この実施形態では、APMシステム740は、医療装置710及び720のうちの2つ以上の間における媒介装置として作動し得る。例えば、データ及び/又は制御情報は、医療装置710及び720のうちの1つからAPMシステム740へ転送され得る。APMシステム740は、このデータ及び/又は制御情報を、医療装置710及び720のうちの別の1つへ転送し得る。
【0091】
一実施形態では、APMシステム740は、患者内部医療装置710及び/又は患者外部医療装置720と直接的に通信してもよい。別の実施形態では、APMシステム740は、患者内部医療装置710及び/又は患者外部医療装置720と、これらの医療装置710及び720にそれぞれ関連付けられた医療装置プログラマ760及び770を介して通信してもよい。前述したように、患者内部医療装置710は、植込み型PIMDの形態を取ってもよい。
【0092】
上述した好適な実施形態には、本発明の範囲を逸脱しない限り、様々な変更及び追加を行うことができる。従って、本発明の範囲は、上述した特定の実施形態によって限定されるべきではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ定義されるべきである。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明による呼吸困難測定を行う患者植込み型医療装置を制御する方法の実施形態のブロック図である。
【図2】本発明による呼吸困難判定方法のブロック図である。
【図3】心臓の断面図に植え込まれて示されているリードアセンブリを含む、本発明の実施形態による植込み型心臓装置を示す図である。
【図4】電極アレイを含む、本発明の実施形態による心臓感知及び/又は刺激装置の構成要素を示す図である。
【図5】本発明の実施形態による心臓感知及び/又は刺激装置の様々な処理及び検出要素を示すブロック図である。
【図6】本発明の実施形態による心臓感知及び/又は刺激装置の様々な構成要素を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施形態に従って、システムの更新を行ったり、患者の監視、診断、及び/又は治療を統合して行ったりするのに用いられ得る、医療システムのブロック図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
経胸腔インピーダンスを感知するセンサと、
患者の患者活動レベルを感知する活動センサと、
前記センサ及び前記活動センサが接続され、前記経胸腔インピーダンスを用いて肺機能を示す指数である肺機能指数を算出し、前記肺機能指数及び前記活動センサで感知された患者活動レベルに基づいて呼吸困難発作を検出するコントローラと、
を有することを特徴とする植込み型装置。
【請求項2】
前記コントローラは、前記肺機能指数が変化し、前記患者活動レベルにおける閾値を超えると前記呼吸困難発作と検出することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項3】
前記肺機能指数は、呼吸の困難さを示す呼吸困難指数であり、
前記コントローラが、1分当りの呼吸数と1分間の呼吸気量の割合を求め、前記割合から前記呼吸困難指数を算出することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項4】
前記コントローラにはメモリが設けられ、
前記メモリには、定期的に算出された前記肺機能指数が格納されることを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項5】
前記コントローラにはメモリが設けられ、
前記メモリには、定期的に算出された前記肺機能指数、及びそれに関連する前記患者活動レベルが格納されることを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項6】
前記コントローラには通信回路が設けられ、
前記患者の外部には、前記通信回路と通信可能な患者外部装置が設けられ、
前記通信回路から、前記肺機能指数を前記患者外部装置に伝送することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項7】
前記コントローラには通信回路が設けられ、
前記患者の外部には、前記通信回路と通信可能な患者外部装置が設けられ、
前記通信回路から、前記肺機能指数及びそれに関連する前記患者活動レベルを、前記患者外部装置に伝送することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項8】
前記コントローラは、複数の前記肺機能指数が示す傾向から、前記患者の肺機能指数プロフィールを決定することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項9】
前記コントローラは、複数の前記肺機能指数が示す傾向から、前記患者の肺機能指数プロフィールを決定し、
前記肺機能指数プロフィールに基づいて、前記呼吸困難発作を検出するための前記閾値が決定されることを特徴とする請求項2に記載の呼吸困難測定法を用いた植込み型装置。
【請求項10】
前記コントローラは、複数の前記肺機能指数及びそれに関連する前記患者活動レベルが示す傾向から、前記患者の前記肺機能指数対患者活動レベル・プロフィールを決定することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項11】
前記コントローラは、複数の前記肺機能指数及びそれに関連する前記患者活動レベルが示す傾向から、前記肺機能指数対患者活動レベル・プロフィールを決定し、
前記呼吸困難発作を検出するための前記閾値が、前記肺機能指数対患者活動レベル・プロフィールに基づいていることを特徴とする請求項2に記載の植込み型装置。
【請求項12】
前記コントローラは、睡眠状態を決定する睡眠状態決定手段を有し、
前記睡眠状態決定手段は、前記肺機能指数を少なくとも部分的に用いて前記睡眠状態を決定することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項13】
前記コントローラは、医師に警告を発信する警告手段を有し、
前記警告手段は、前記肺機能指数が前記閾値を超えているときに、前記医師に前記警告を発信することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項14】
前記コントローラは、警告を発信する警告手段を有し、
前記警告手段は、前記肺機能指数が前記閾値を超えているときに、前記患者又は前記患者の外部に設けられた患者外部システムに警告を発信することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項15】
前記コントローラは、医師に警告を発信する警告発生手段を有し、
前記警告発生手段は、前記肺機能指数の傾向に応じて、前記医師に警告を発信することを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項16】
前記コントローラには、治療用の治療回路が設けられ、
前記治療回路には、心臓治療を施す電極が接続されていることを特徴とする請求項1に記載の植込み型装置。
【請求項17】
前記治療回路は、前記肺機能指数及び前記患者活動レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記心臓治療を施すことを特徴とする請求項16に記載の植込み型装置。
【請求項18】
前記コントローラは、前記患者の前記肺機能指数に基づいて、前記患者に前記心臓治療を提供することを特徴とする請求項16に記載の植込み型装置。
【請求項19】
前記コントローラは、前記患者の心臓に送られるペーシングパルスの速度を増減するペーシングパルス増減機能を有し、
前記ペーシングパルス増減機能で、前記患者の心臓に送られるペーシングパルスの速度を増減して、前記心臓治療を施すことを特徴とする請求項18に記載の植込み型装置。
【請求項20】
前記コントローラが、前記患者の心臓に送られる前記ペーシングパルスの速度を、約5拍/分〜約10拍/分の範囲内で増減させることを特徴とする請求項18に記載の植込み型装置。
【請求項21】
経胸腔インピーダンスを感知する経胸腔インピーダンス感知手段と、
患者の患者活動レベルを感知して、前記患者活動レベルを決定する患者活動レベル決定手段と、
前記経胸腔インピーダンス感知手段を用いて肺機能を示す肺機能指数を算出する肺機能指数算出手段と、
前記肺機能指数及び前記患者活動レベルに基づいて呼吸困難発作を検出する呼吸困難発作検出手段と、
を備えることを特徴とする装置。
【請求項22】
前記呼吸困難発作検出手段が、前記患者活動レベルにおける閾値を超えている肺機能指数の変化に基づいて、前記呼吸困難発作を検出することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項23】
前記肺機能指数算出手段が、埋め込み型心臓調律調整装置の構成要素であることを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項24】
格納手段を有し、
前記格納手段に、前記患者活動レベル及びそれに関連する前記肺機能指数を格納することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項25】
信号を送信する送信手段を有し、
前記肺機能指数を前記送信手段から、前記患者の外部に設けられた患者外部装置に送信することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項26】
情報を表示する表示手段を有し、
前記表示手段に、前記肺機能指数及びそれに関連する前記患者活動レベルの一方又は両方に関する情報を表示することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項27】
警告を発信する警告手段を有し、
前記呼吸困難発作の検出に対応して、前記警告手段から医師、前記患者、及び前記患者の外部に設けた患者外部システムのうちの1つ以上に前記警告を発信することを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項28】
心臓の治療を提供する心臓治療提供手段を有し、
前記心臓治療提供手段で、前記患者に心臓治療を施すことを特徴とする請求項21に記載の装置。
【請求項29】
前記心臓治療提供手段は、前記肺機能指数及び前記患者活動レベルに少なくとも部分的に基づいて、前記心臓治療を提供することを特徴とする請求項28に記載の装置。
【請求項30】
前記心臓治療提供手段は、前記患者の前記肺機能指数に基づいて、前記患者に前記心臓治療を施すことを特徴とする請求項28に記載の装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2008−535537(P2008−535537A)
【公表日】平成20年9月4日(2008.9.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−558079(P2007−558079)
【出願日】平成18年2月24日(2006.2.24)
【国際出願番号】PCT/US2006/006558
【国際公開番号】WO2006/093822
【国際公開日】平成18年9月8日(2006.9.8)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.Bluetooth
【出願人】(592245720)カーディアック ペースメーカーズ,インコーポレイテッド (26)
【Fターム(参考)】