説明

回路付サスペンション基板

【課題】レーザーなどの高エネルギー密度で加熱溶融された金属により、端子接続する場合にも、焼け焦げを抑制し、優れた信頼性で端子間を接続できる回路付サスペンション基板を、提供する。
【解決手段】ベース絶縁層12と、ベース絶縁層12の表面に積層される導体パターン7とを備え、導体パターン7は、配線15と、配線15に接続され、はんだボールにより接合するための外部側端子部17とを備え、ベース絶縁層12は、積層方向に投影したときの投影面において、外部側端子部17に隣接する隣接領域12aと、隣接領域12aを挟んで外部側端子部17と離隔する離隔領域12bとを備える回路付サスペンション基板1において、隣接領域12aを、離隔領域12bよりも薄く形成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、回路付サスペンション基板、詳しくは、詳しくは、ハードディスクドライブに用いられる回路付サスペンション基板に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、回路付サスペンション基板は、ハードディスクドライブに用いられることが広く知られている。このような回路付サスペンション基板は、サスペンションと、その上に形成され、磁気ヘッドと接続するためのヘッド側端子部と、外部基板と接続するための外部側端子部を有する導体パターンとを備えている。そして、この回路付サスペンション基板では、磁気ヘッドをサスペンションの上に実装して、磁気ヘッドとヘッド側端子部と接続させるとともに、外部基板の接続端子と外部側端子部とを接続させることにより、ハードディスクドライブに実装されている。
【0003】
より具体的には、例えば、金属支持基板と、金属支持基板の上に形成されるポリイミドなどからなる絶縁層と、絶縁層の上に形成され、磁気ヘッド側接続端子部および外部側接続端子部を含む導体パターンとを備える回路サスペンション基板において、磁気ヘッドと、磁気ヘッド側接続端子部との間にはんだボールを配置し、そのはんだボールを溶融および固化させることにより、磁気ヘッドと磁気ヘッド側接続端子部とを電気的に接続することが、提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
また、このような回路付サスペンション基板では、磁気ヘッドと磁気ヘッド側接続端子部との接続と同様にして、はんだボールを溶融および固化させることにより、外部基板の接続端子と、外部側接続端子部とを接続することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2009−116969号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、上記したように、はんだボールなどを溶融させる方法として、近年では、レーザー照射による加熱などが検討されている。
【0007】
しかるに、端子部において、はんだボールなどの金属にレーザー光を照射するなど、高エネルギー密度で金属を加熱溶融させる場合などには、端子部の周囲において、絶縁層が焼け焦げるなどの不具合を生じ、端子間の接続信頼性の低下を生じる場合がある。
【0008】
とりわけ、絶縁層が、芳香族ポリイミドなどの濃色樹脂から形成される場合には、絶縁層のレーザー光の透過性が低いため、絶縁層が多くのエネルギーを吸収しやすく、焼け焦げをより生じやすいという不具合がある。
【0009】
本発明の目的は、レーザーなどの高エネルギー密度で加熱溶融された金属により、端子接続する場合にも、焼け焦げを抑制し、優れた信頼性で端子間を接続できる回路付サスペンション基板を、提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、本発明の回路付サスペンション基板は、ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の表面に積層される導体パターンとを備え、前記導体パターンは、配線と、前記配線に接続され、溶融金属により接合するための端子部とを備え、前記ベース絶縁層は、積層方向に投影したときの投影面において、前記端子部に隣接する隣接領域と、前記隣接領域を挟んで前記端子部と離隔する離隔領域とを備え、前記隣接領域が、前記離隔領域よりも薄く形成されていることを特徴としている。
【0011】
このような回路付サスペンション基板では、積層方向に投影したときの投影面において、端子部に隣接する隣接領域のベース絶縁層が、隣接領域を挟んで端子部と離隔する離隔領域のベース絶縁層よりも薄く形成されている。そのため、隣接領域のベース絶縁層は、離隔領域のベース絶縁層よりも、相対的に蓄熱しにくくなる。その結果、レーザーなどの高エネルギー密度で加熱溶融された金属により端子部間を接続する場合にも、ベース絶縁層の焼け焦げを抑制でき、優れた信頼性で端子部間を接続することができる。
【0012】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、さらに、前記ベース絶縁層が支持される金属支持基板を備え、少なくとも前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板に開口部が形成されていることが好適である。
【0013】
このような回路付サスペンション基板では、金属支持基板により優れた機械強度が確保されるとともに、開口部により隣接領域および端子部が露出されるため、効率的な放熱が確保される。そのため、より焼け焦げを防止することができる。
【0014】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、さらに、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を備えることが好適である。
【0015】
このような回路付サスペンション基板では、カバー絶縁層により導体パターンが被覆されているため、導体パターンを保護できる。
【0016】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記カバー絶縁層には、前記端子部を露出させる開口部が形成されていることが好適である。
【0017】
このような回路付サスペンション基板では、カバー絶縁層の開口部から端子部が露出されるため、効率的な放熱が確保される。そのため、より焼け焦げを防止することができる。
【0018】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、積層方向に投影したときの投影面において、前記隣接領域が前記導体パターンからはみ出すことが好適である。
【0019】
このような回路付サスペンション基板では、隣接領域が導体パターンからはみ出すため、隣接領域の表面に、絶縁層などを積層することができ、その層間における密着性の向上を図ることができる。
【0020】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記ベース絶縁層は、前記端子部の裏面において、前記隣接領域よりも厚い厚層部を備え、前記厚層部の裏面には、補強層が積層されていることが好適である。
【0021】
このような回路付サスペンション基板では、端子部の裏面に、厚層部および補強層が積層されているため、端子部の優れた機械強度を確保することができる。
【0022】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記導体パターンは、前記端子部を複数備え、複数の前記端子部には、前記隣接領域が、それぞれ独立して設けられていることが好適である。
【0023】
このような回路付サスペンション基板では、隣接領域が、複数の端子部にそれぞれ独立して設けられているため、各端子部間に離隔領域が形成され、その離隔領域により、各端子部の間における優れた機械強度を確保することができる。
【0024】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板の前記開口部が、それぞれ独立して設けられていることが好適である。
【0025】
このような回路付サスペンション基板では、金属支持基板の前記開口部が、複数の端子部にそれぞれ独立して設けられているため、各端子部間に金属支持基板が配置され、その金属支持基板により、各端子部の間における優れた機械強度を確保することができる。
【0026】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記導体パターンは、前記端子部を複数備え、互いに隣り合う前記端子部には、前記隣接領域が連続するように設けられていることが好適である。
【0027】
このような回路付サスペンション基板では、隣接領域が、互いに隣り合う端子部に連続するように設けられているため、広い隣接領域において熱の放散を確保することができ、焼け焦げをより確実に抑制することができる。
【0028】
また、本発明の回路付サスペンション基板は、前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板の前記開口部が、連続するように設けられていることが好適である。
【0029】
このような回路付サスペンション基板では、金属支持基板により優れた機械強度が確保されるとともに、金属支持基板の開口部が、互いに隣り合う端子部に連続するように設けられているため、広い隣接領域において熱の放散を確保することができ、焼け焦げをより確実に抑制することができる。
【0030】
また、本発明の回路付サスペンション基板では、前記端子部は、前記溶融金属が流入される切欠部を備えていることが好適である。
【0031】
このような回路付サスペンション基板では、端子部の切欠部に溶融金属が流入されることによって、溶融金属を端子部により確実に固定することができ、優れた信頼性で端子間を接続することができる。
【発明の効果】
【0032】
本発明の回路付サスペンション基板は、ベース絶縁層が、積層方向に投影したときの投影面において、端子部に隣接する隣接領域と、隣接領域を挟んで端子部と離隔する離隔領域とを備えるとともに、その隣接領域が、離隔領域よりも薄く形成されているため、端子間を、レーザーなどにより高エネルギー密度で加熱溶融された金属により接続する場合にも、焼け焦げを抑制し、優れた信頼性で端子間を接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態の平面図を示す。
【図2】図1に示す回路付サスペンション基板の要部構成図であって、(a)は、図1に示す回路付サスペンション基板の外部側接続端子部の拡大背面図、(b)は、図1に示す回路付サスペンション基板の領域Aの拡大断面図、(c)は、図1に示す回路付サスペンション基板の外部回路基板との接続状態を示すB−B線に沿う拡大断面図である。
【図3】図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す要部工程図であって、(a)は、金属支持基板を用意する工程、(b)は、金属支持基板の表面に、ベース絶縁層を形成する工程、(c)は、ベース絶縁層の表面に、導体パターンを形成する工程、(d)は、ベース絶縁層の表面に、導体パターンを被覆するようにカバー絶縁層を形成する工程を示す。
【図4】図3に続いて、図1に示す回路付サスペンション基板の製造方法を示す要部工程図であって、(e)は、金属支持基板を除去し、金属支持基板の裏面からベース絶縁層を露出させる工程、(f)は、ベース絶縁層を除去し、隣接領域を形成するとともに、離隔領域を形成する工程、(g)は、導体パターンに金属めっき層を形成し、端子部を形成する工程を示す。
【図5】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域に対応する部分において金属支持基板に開口部が形成されている形態)の要部構成図であって、(a)は、回路付サスペンション基板の外部側接続端子部の要部拡大背面図、(b)は、回路付サスペンション基板の要部拡大断面図である。
【図6】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(カバー絶縁層に開口部が形成されていない形態)の要部拡大断面図である。
【図7】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(積層方向投影面において、隣接領域が導体パターンからはみ出す形態)の要部構成図であって、(a)は、導体パターンの長手方向一方側がはみ出す形態の要部拡大断面図、(b)は、導体パターンの長手方向両側がはみ出す形態の要部拡大断面図である。
【図8】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部の裏面において、ベース絶縁層が隣接領域よりも厚い厚層部を備え、厚層部の裏面には補強層が積層されている形態)の要部拡大断面図である。
【図9】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(互いに隣り合う外部側端子部にわたって隣接領域が連続するように設けられている形態)の要部拡大背面図である。
【図10】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域に対応する部分において、金属支持基板の金属開口部が連続するように設けられている形態)の要部拡大背面図である。
【図11】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域が外部側端子部の3辺に接触する形態)の要部拡大背面図である。
【図12】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域が外部側端子部の2辺に接触する形態)の要部拡大背面図である。
【図13】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域が外部側端子部の1辺に接触する形態)の要部拡大背面図である。
【図14】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域により外部側端子部が分割される形態)の要部拡大背面図である。
【図15】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(ベース絶縁層から突出するように外部側端子部が形成される形態)の要部拡大背面図である。
【図16】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(端縁がベース絶縁層の端縁と面一になるように外部側端子部が形成される形態)の要部拡大背面図である。
【図17】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部に平面視円形の貫通孔が成される形態)の要部拡大背面図である。
【図18】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部に平面視矩形状の貫通孔が形成される形態)の要部拡大背面図である。
【図19】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部に貫通孔が形成されることにより、外部側端子部が複数に分割される形態)の要部拡大背面図である。
【図20】本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部に切欠部が形成される形態)の要部斜視図である。
【図21】図20に示す回路サスペンション基板および外部回路基板の要部拡大断面図である。
【図22】図21に示す回路サスペンション基板および外部回路基板の接続状態を示す要部拡大断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0034】
図1は、本発明の回路付サスペンション基板の一実施形態の平面図、図2は、図1に示す回路付サスペンション基板の要部構成図であって、図2(a)は、図1に示す回路付サスペンション基板の外部側接続端子部の領域Aの拡大背面図、図2(b)は、図1に示す回路付サスペンション基板のB−B線に沿う拡大断面図、図2(c)は、図1に示す回路付サスペンション基板の外部回路基板との接続状態を示すB−B線に沿う拡大断面図である。
【0035】
なお、図1において、後述するカバー絶縁層14は、後述する導体パターン7の相対配置を明確に示すために省略している。
【0036】
図1および図2において、この回路付サスペンション基板1は、ハードディスクドライブの磁気ヘッド(図示せず)を実装して、磁気ヘッドとハードディスク(図示せず)とが相対的に走行するときの空気流に抗して、その磁気ヘッドを、ハードディスクとの間に微小な間隔を保持しながら支持する。
【0037】
また、図1に示すように、回路付サスペンション基板1は、長手方向(先後方向)に延びる平帯状に形成されており、長手方向他方側(以下、後側という。)に配置される配線部2と、配線部2の長手方向一方側(以下、先側という。)に配置される実装部3とを、一体的に備えている。
【0038】
配線部2は、長手方向に延びるとともに、その後端部が幅方向(長手方向に直交する方向)一方側に向かって突出する平面視略L字状に形成されている。この配線部2は、裏面(下面)が図示しないロードビームに搭載されて支持される領域として、回路付サスペンション基板1において区画されている。
【0039】
また、配線部2において、幅方向に突出する突出部分には、その幅方向一端部に、後述する外部側端子部17が形成される。回路付サスペンション基板1の使用時には、外部側端子部17には、外部回路基板31の接続端子部が、電気的に接続される。
【0040】
実装部3は、配線部2がロードビームに実装されたときに、ロードビームに搭載されることなく、ロードビームから露出する領域として、区画されている。具体的には、実装部3は、回路付サスペンション基板1において、磁気ヘッドを搭載するスライダ30(図1における2点鎖線参照。以下同様)が実装される長手方向一端部(先端部)として形成されている。
【0041】
詳しくは、実装部3は、配線部2の先端から連続して形成されており、配線部2に対して幅方向両外側に膨出する平面視略矩形状に形成されている。
【0042】
また、実装部3には、平面視において、実装部3の先側に向かって開く略U字状のスリット部4が形成されており、実装部3は、スリット部4に幅方向において挟まれるジンバル部5と、スリット部4の幅方向両外側に配置されるアウトリガー部8とに区画されている。
【0043】
なお、ジンバル部5の表面(上面)には、後述するヘッド側端子部16が形成される。また、回路付サスペンション基板1の使用時には、スライダ30が実装され、ヘッド側端子部16と電気的に接続される。
【0044】
そして、このような回路付サスペンション基板1は、図2(b)に示すように、金属支持基板11と、金属支持基板11の表面に形成されるベース絶縁層12と、ベース絶縁層12の表面に形成される、外部回路基板(例えば、リード・ライト基板)31および磁気ヘッド(図示せず)を電気的に接続するための導体パターン7と、ベース絶縁層12の表面に、導体パターン7を被覆するように形成されるカバー絶縁層14とを備えている。
【0045】
金属支持基板11は、回路付サスペンション基板1の外形をなし、ジンバル部5には、スリット部4が開口され、配線部2の後端部(外部側端子部17(後述)が形成される領域)は、ベース絶縁層12の後端部に対して先側に退避するように切り欠かれている。
【0046】
また、金属支持基板11は、例えば、ステンレス、42アロイ、アルミニウム、銅−ベリリウム、りん青銅などの金属材料から形成されている。好ましくは、ステンレスから形成されている。金属支持基板11の厚みは、例えば、15〜50μm、好ましくは、20〜30μmである。
【0047】
ベース絶縁層12は、導体パターン7が形成される部分の、金属支持基板11の表面に形成されている。
【0048】
ベース絶縁層12は、例えば、ポリイミド樹脂(例えば、脂肪族ポリイミド樹脂、芳香族ポリイミド樹脂など)、ポリアミドイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリエーテルニトリル樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリエチレンナフタレート樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂などの合成樹脂などの絶縁材料から形成されている。好ましくは、ポリイミド樹脂、より好ましくは、芳香族ポリイミド樹脂から、形成されている。
【0049】
また、このようなベース絶縁層12は、配線部2の後端部(より具体的には、配線部2の突出部分を含む後側部分)においては、金属支持基板11の後端部より後側に突出するように形成されている。
【0050】
また、配線部2の後端部のベース絶縁層12には、図2(b)に示すように、後述する外部側端子部17(後述)が形成される領域において、外部側端子部17(後述)が埋設されるベース開口部18が、形成されている。
【0051】
そして、ベース絶縁層12は、積層方向(長手方向および幅方向に直交する方向、すなわち、厚み方向)に投影したときの投影面において、外部側端子部17(後述)に隣接する隣接領域12aと、その隣接領域12aを挟んで、外部側端子部17(後述)と離隔する離隔領域12bとを備えている。
【0052】
具体的には、図2(a)に示すように、回路付サスペンション基板1の背面図(底面図)において、隣接領域12aは、外部側端子部17(後述)に隣接するように、その外周の全辺に接触し、外部側端子部17(後述)を取り囲む、平面視略矩形枠状に形成されている。
【0053】
また、隣接領域12aは、複数(8つ)の外部側端子部17(後述)に対応するように、それぞれ独立して、複数(8つ)設けられている。
【0054】
また、離隔領域12bは、隣接領域12aに隣接するように、その外周に接触し、隣接領域12aを取り囲む領域として、形成されている。また、離隔領域12bは、各外部側端子部17(後述)の間に、それぞれ形成されている。
【0055】
このようなベース絶縁層12において、隣接領域12aは、図2(b)に示すように、離隔領域12bよりも薄く形成されている。具体的には、隣接領域12aの厚みは、例えば、0.2〜27μm、好ましくは、0.4〜10.5μmであり、離隔領域12bの厚みは、例えば、4〜30μm、好ましくは、1.2〜13.5μmである。
【0056】
また、隣接領域12aの厚みと離隔領域12bの厚みとの差は、例えば、0.4〜28.5μm、好ましくは、0.5〜1.4μmであり、隣接領域の厚みは、離隔領域の厚みに対して、例えば、90%以下、好ましくは、70%以下であり、例えば、5%以上、好ましくは、10%以上である。
【0057】
隣接領域12aおよび離隔領域12bの厚みが上記範囲であれば、効率的な放熱を確保することができ、そのため、外部側端子部17と外部回路基板31(図2(c)参照)の接続端子部との間を、レーザーなどにより高エネルギー密度で加熱溶融された金属により接続する場合にも、抑制し、優れた信頼性でそれらの間を接続することができる。
【0058】
また、はんだボール26(後述、図21および図22参照)がレーザー照射により溶融される場合には、隣接領域12aの厚みは、例えば、レーザー照射エネルギーの総量に対するエネルギー透過率が、例えば、40%以上となるように、調整される。
【0059】
また、隣接領域12aの長さ(長手方向長さ)は、図2(a)に示すように、例えば、10〜2000μm、好ましくは、50〜1000μmであり、隣接領域12aの幅(幅方向長さ)は、例えば、10〜5000μm、好ましくは、50〜2000μmである。
【0060】
導体パターン7は、図1に示すように、ベース絶縁層12の表面に形成されており、溶融金属(溶融可能な金属)としてのはんだボール26(後述)により接合するための、端子部としての外部側端子部17と、ヘッド側端子部16と、これら外部側端子部17およびヘッド側端子部16を接続する配線15とを一体的に備えている。
【0061】
配線15は、配線部2および実装部3の長手方向にわたって複数(8本)設けられ、幅方向において互いに間隔を隔てて並列配置されるとともに、配線部2では、各配線15の後端縁が外部側端子部17に接続されるように、配線部2の外形形状に沿って平面視略L字状に屈曲している。
【0062】
また、複数(8本)の配線15は、実装部3および配線部2(突出部分を除く)の幅方向一方側に配置される複数(4本)の一方側配線15aと、実装部3および配線部2(突出部分を除く)の幅方向他方側に配置される複数(4本)の他方側配線15bとを備えている。
【0063】
一方側配線15aは、実装部3において、幅方向一方側のアウトリガー部8に沿うように配置されている。また、他方側配線15bは、幅方向他方側のアウトリガー部8に沿うように配置されている。
【0064】
そして、各配線15は、実装部3の先端部において、幅方向内側に向かって延び、その後、さらに後側に折り返されて、ジンバル部5に至るように配置されている。
【0065】
外部側端子部17は、配線部2の後側部分(金属支持基板11を備えていない領域)の突出部分に、突出部分の幅方向一端縁に沿うように配置され、上記したベース開口部18内において、配線15より幅方向に膨出する平面視略矩形状(角ランド)に形成されている。
【0066】
また、外部側端子部17は、各配線15の後端部がそれぞれ接続されるように、複数(8つ)設けられており、長手方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0067】
また、外部側端子部17は、複数(4つ)の一方側配線15aに対応して接続される一方側外部側端子部17aと、複数(4つ)の他方側配線15bに対応して接続される他方側外部側端子部17bとを備えており、各一方側外部側端子部17aと各他方側外部側端子部17bとは、それぞれ長手方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0068】
そして、このような外部側端子部17は、表面がカバー絶縁層14(後述)のカバー開口部20(後述)から露出されるとともに、裏面がベース絶縁層12のベース開口部18から露出されている。
【0069】
また、外部側端子部17の長さは、例えば、20〜1000μm、好ましくは、25〜800μmであり、外部側端子部17の幅は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、25〜800μmである。
【0070】
なお、外部側端子部17には、金属めっき層22が積層されている。
【0071】
金属めっき層22を形成する金属としては、例えば、銅、ニッケル、クロム、金などが挙げられる。
【0072】
なお、金属めっき層22は、単層または多層として形成することができ、また、金属めっき層22の厚みは、必要および用途に応じて、適宜設定される。
【0073】
これにより、外部側端子部17には、図2(c)に示すように、回路付サスペンション基板1の表面側および裏面側の両面側において、溶融されたはんだボール26(後述)を介して、外部回路基板31が、電気的に接続可能とされる。
【0074】
ヘッド側端子部16は、実装部3において、ジンバル部5の先側に配置されている。ヘッド側端子部16は、各配線15の先端部がそれぞれ接続されるように、複数(8つ)設けられており、幅方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0075】
また、ヘッド側端子部16は、複数(4つ)の一方側配線15aに対応して接続される、一方側ヘッド側端子部16aと、複数(4つ)の他方側配線15bに対応して接続される他方側ヘッド側端子部16bとを備えており、各一方側ヘッド側端子部16aと各他方側ヘッド側端子部16bとは、それぞれ幅方向に互いに間隔を隔てて配置されている。
【0076】
そして、このようなヘッド側端子部16は、表面がカバー絶縁層14(後述)から露出されている。
【0077】
なお、ヘッド側端子部16には、外部側端子部17と同様、上記した金属めっき22が積層されている。
【0078】
これにより、ヘッド側端子部16には、スライダ30の磁気ヘッド(図示せず)が、はんだボール26(図示せず)を介して、電気的に接続可能とされる。
【0079】
導体パターン7の厚みは、例えば、3〜50μm、好ましくは、5〜20μmである。
【0080】
各配線15の幅は、例えば、10〜200μm、好ましくは、12〜120μmであり、各配線15間の間隔は、例えば、10〜1000μm、好ましくは、12〜100μmである。
【0081】
また、各ヘッド側端子部16の長さおよび幅は、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。また、各外部側端子部17間の間隔と、各ヘッド側端子部16間の間隔とは、例えば、20〜1000μm、好ましくは、30〜800μmである。
【0082】
なお、導体パターン7では、外部回路基板31(図2(c)参照))から伝達されるライト信号を、外部側端子部17、配線15およびヘッド側端子部16を介して、スライダ(図示せず)の磁気ヘッド(図示せず)に入力するとともに、磁気ヘッド(図示せず)で読み取ったリード信号を、ヘッド側端子部16、配線15および外部側端子部17を介して、外部回路基板31(図2(c)参照))に入力する。
【0083】
カバー絶縁層14は、ベース絶縁層12が形成される部分に形成されるとともに、外部側端子部17およびヘッド側端子部16を露出させる開口部としてのカバー開口部20が形成されている。
【0084】
これにより、カバー絶縁層14は、導体パターン7に対応し、配線15を被覆するとともに、カバー開口部20から、外部側端子部17およびヘッド側端子部16を露出するパターンで、形成されている。
【0085】
カバー絶縁層14は、例えば、上記した絶縁材料から形成されている。
【0086】
カバー絶縁層14の厚みは、例えば、1〜40μm、好ましくは、1〜10μmである。
【0087】
次に、この回路付サスペンション基板1の製造方法について、図3および図4を参照して説明する。
【0088】
この方法では、まず、図3(a)に示すように、金属支持基板11を用意する。
【0089】
次いで、図3(b)に示すように、金属支持基板11の表面に、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化することによりベース絶縁層12を、導体パターン7が形成される領域に、上記したパターンで形成する。
【0090】
このとき、外部側端子部17が形成される領域に、凹部23が形成されるように、階調露光などの公知の方法により、ベース絶縁層12の厚みを調整する。
【0091】
凹部23は、ベース絶縁層12の表面側から裏面側に向かって傾斜する傾斜面と、その傾斜面によって囲まれる底面とを備えている。なお、凹部23の深さなどは、目的および用途に応じて、適宜設定される。
【0092】
次いで、図3(c)に示すように、ベース絶縁層12の表面に、導体パターン7を、アディティブ法またはサブトラクティブ法などにより形成する。これによって、導体パターン7は、ベース絶縁層12の凹部23において、凹部23に追従して凹むように、形成される。
【0093】
次いで、図3(d)に示すように、ベース絶縁層12の表面に、導体パターン7を被覆するように、感光性の絶縁材料のワニスを塗布して乾燥させた後、露光および現像して、加熱硬化する。これによりカバー絶縁層14を、導体パターン7が形成される領域(ヘッド側端子部16および外部側端子部17が形成される領域を除く)に、上記したパターンで形成する。
【0094】
これにより、カバー絶縁層14から露出するように、ヘッド側端子部16(図示せず)および外部側端子部17(導体パターン7の表面側の外部側端子部17)を、形成する。
【0095】
次いで、図4(e)に示すように、スリット部4に対応する金属支持基板11、および、配線部2の後端部の金属支持基板11を除去し、スリット部4を形成するとともに、配線部2の後端部において、金属支持基板11の裏面からベース絶縁層12を露出させる。
【0096】
金属支持基板11の除去では、例えば、ドライエッチング(例えば、プラズマエッチング)やウェットエッチング(例えば、化学エッチング)などのエッチング法、例えば、ドリル穿孔、レーザ加工など、好ましくは、ウェットエッチングが採用される。
【0097】
次いで、図4(f)に示すように、ベース絶縁層12の積層方向に投影したときの投影面において、外部側端子部17に隣接するベース絶縁層12を除去する。
【0098】
これにより、隣接領域12aを形成するとともに、凹部23内にベース開口部18を形成し、そのベース開口部18から導体パターン7を露出させ、凹部23内において、ベース絶縁層12から露出するように、外部側端子部17(導体パターン7の裏面側の外部側端子部17)を形成する。また、これにより、隣接領域12aを挟んで外部側端子部17と離隔する離隔領域12bが、形成される。
【0099】
ベース絶縁層12の除去方法としては、特に制限されないが、例えば、ドライエッチングやウェットエッチングなどの公知のエッチング法、ドリル加工やレーザ加工が挙げられる。
【0100】
次いで、図4(g)に示すように、カバー絶縁層14のカバー開口部20から露出する外部側端子部17の表面、および、ベース絶縁層12のベース開口部18から露出する外部側端子部17の裏面に、金属めっき層22を形成する。
【0101】
金属めっき層22を形成するには、例えば、金属支持基板11を被覆するように図示しないめっきレジストを形成した後、例えば、電解めっきまたは無電解めっき、好ましくは、電解金めっきまたは無電解金めっきした後、めっきレジストを除去する。
【0102】
その後、図示しないが、金属支持基板11を外形加工して、回路付サスペンション基板1を得る。
【0103】
なお、このような回路付サスペンション基板1は、1枚の金属支持基板11に、ベース絶縁層12、導体パターン7およびカバー絶縁層14が積層され、回路付サスペンション基板1が複数形成される、回路付サスペンション基板集合体シートとして、形成することができる。
【0104】
このようにして得られる回路付サスペンション基板1は、その使用時において、図1が参照されるように、スライダ30が搭載され、その端子部がヘッド側端子部16に接続されるとともに、外部回路基板31の接続端子部が、外部側端子部17に電気的に接続される。
【0105】
外部回路基板31の接続端子部と、外部側端子部17とを接続する方法としては、まず、外部回路基板31の接続端子部と、外部側端子部17との間に、はんだボール26を配置する。はんだボール26は、公知のはんだ材料から形成されている。
【0106】
そして、はんだボール26を、例えば、ヒーターによる熱照射や、レーザー光照射などの公知の方法、好ましくは、レーザー光照射により加熱し、溶融させた後、固化させる。これにより、磁気ヘッドの接続端子部(図示せず)とヘッド側端子部16とを電気的に接続するとともに、外部回路基板31の接続端子部と外部側端子部17とを電気的に接続する(図2(c)参照)。
【0107】
このとき、はんだボール26の加熱溶融、とりわけ、レーザー光照射などの高密度のエネルギーによる加熱溶融においては、外部側端子部17の周囲において、ベース絶縁層12が焼け焦げるなどの不具合が生じ、端子部間の接続信頼性の低下を生じる場合がある。
【0108】
一方、上記した回路付サスペンション基板1は、ベース絶縁層12が、積層方向に投影したときの投影面において、外部側端子部17に隣接する隣接領域12aと、隣接領域12aを挟んで外部側端子部17と離隔する離隔領域12bとを備えるとともに、その隣接領域12aが、離隔領域12bよりも薄く形成されている。そのため、隣接領域12aのベース絶縁層12は、離隔領域12bのベース絶縁層12よりも、相対的に蓄熱しにくくなる。その結果、外部側端子部17と外部回路基板31の端子部との間を、高エネルギー密度で加熱溶融されたはんだボール26により接続する場合にも、焼け焦げを抑制でき、優れた信頼性で端子部間を接続することができる。
【0109】
とりわけ、このような回路付サスペンション基板1は、ベース絶縁層12が芳香族ポリイミド樹脂などの濃色樹脂から形成されるとともに、はんだボール26をレーザー光照射などにより加熱溶融する場合にも、離隔領域12bよりも薄く形成されている隣接領域12aによって、優れたエネルギー透過性を確保できるため、焼け焦げを抑制することができる。
【0110】
また、このような回路付サスペンション基板1では、カバー絶縁層14により導体パターン7が被覆されているため、導体パターン7を保護でき、さらに、カバー絶縁層14のカバー開口部20から外部側端子部17が露出されるため、効率的な放熱が確保される。そのため、より焼け焦げを防止することができる。
【0111】
さらに、このような回路付サスペンション基板1では、隣接領域12aが、複数(8つ)の外部側端子部17にそれぞれ独立して設けられているため、各外部側端子部17間に離隔領域12bが形成され、その離隔領域12bにより、各外部側端子部17の間における優れた機械強度を確保することができる。
【0112】
なお、上記した説明では、配線15、ヘッド側端子部16および外部側端子部17を、それぞれ8つ設けたが、これらの数は特に限定されず、例えば、それぞれ単数(1つ)設けてもよく、また、2〜7つ、あるいは、9つ以上設けてもよい。好ましくは、図1で例示するように、複数(8つ)設ける。
【0113】
図5は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域に対応する部分において金属支持基板に開口部が形成されている形態)の要部構成図であって、図5(a)は、回路付サスペンション基板の外部側接続端子部の要部拡大背面図、図5(b)は、回路付サスペンション基板の要部拡大断面図である。
【0114】
なお、上記した各部に対応する部材については、以降の各図において同一の参照符号を付し、その詳細な説明を省略する。
【0115】
上記した説明では、金属支持基板11を、ベース絶縁層12の後端部に対して先側に退避するように切り欠いたが、例えば、図5に示すように、金属支持基板11を、配線部2の後端部に形成するとともに、少なくとも隣接領域12aに対応する部分において、金属支持基板11に、開口部としての金属開口部19を形成することができる。
【0116】
この実施形態では、図5(a)に示すように、金属支持基板11の金属開口部19が、隣接領域12aに対応する部分に、それぞれ独立して、複数(8つ)設けられている。
【0117】
金属開口部19の長さは、例えば、40〜2000μm、好ましくは、125〜1000μmであり、金属開口部19の幅は、例えば、40〜2000μm、好ましくは、125〜2000μmである。
【0118】
そして、各金属開口部19から、各隣接領域12a、および、ベース開口部18から露出される各外部側端子部17(裏面側)が、それぞれ露出される。
【0119】
なお、金属開口部19は、金属支持基板11の除去(具体的には、エッチングなど)を適宜調整することなどにより、形成することができる。
【0120】
また、金属支持基板11の金属開口部19が、隣接領域12aに対応する部分に、それぞれ独立して設けられているため、離隔領域12bに対応する部分(離隔領域12bの裏面側)には、金属支持基板11が配置される。
【0121】
このような実施形態では、金属支持基板11により優れた機械強度が確保されるとともに、金属開口部19により隣接領域12aおよび外部側端子部17が露出されるため、効率的な放熱が確保される。そのため、より焼け焦げを防止することができる。
【0122】
図6は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(カバー絶縁層に開口部が形成されていない形態)の要部拡大断面図である。
【0123】
上記した説明では、カバー絶縁層14にカバー開口部20を形成し、そのカバー開口部20から外部側端子部17を露出させたが、例えば、図6に示すように、外部側端子部17に対応する部分に開口部を形成することなく、カバー絶縁層14を積層することもできる。
【0124】
このような場合には、外部側端子部17は、導体パターン7の表面側には形成されず、導体パターン7の裏面側にのみ形成される。
【0125】
このような回路付サスペンション基板1においても、ベース絶縁層12が、積層方向に投影したときの投影面において、外部側端子部17に隣接する隣接領域12aと、隣接領域12aを挟んで外部側端子部17と離隔する離隔領域12bとを備えるとともに、その隣接領域12aが、離隔領域12bよりも薄く形成されているため、隣接領域12aのベース絶縁層12は、離隔領域12bのベース絶縁層12よりも、相対的に蓄熱しにくくなる。そのため、外部側端子部17と外部回路基板31の端子部との間を、高エネルギー密度で加熱溶融されたはんだボール26により接続する場合にも、焼け焦げを抑制し、優れた信頼性で端子部間を接続することができる。
【0126】
図7は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(積層方向投影面において、隣接領域が導体パターンからはみ出す形態)の要部構成図であって、図7(a)は、導体パターンの長手方向一方側がはみ出す形態の要部拡大断面図、図7(b)は、導体パターンの長手方向両側がはみ出す形態の要部拡大断面図である。
【0127】
なお、図7では、上記各図で示した要部拡大断面図(配線部2の幅方向に沿う断面図)と異なり、配線部2の長手方向に沿う拡大断面図を示している。
【0128】
このような回路付サスペンション基板1では、ベース絶縁層12および導体パターン7の積層方向に投影したときの投影面において、隣接領域12aの長手方向一方側端部(図7(a))または両側端部(図7(b))が、導体パターン7からはみ出している。
【0129】
つまり、上記の投影面において、導体パターン7の長手方向一方側端部(図7(a))または両側端部(図7(b))が、隣接領域12aの長手方向内側に収納されるように配置され、これにより、隣接領域12aの上にカバー絶縁層14が直接積層されている。
【0130】
このような回路付サスペンション基板1では、隣接領域12aが導体パターン7からはみ出すため、隣接領域12aの表面に、カバー絶縁層14を積層することができ、ベース絶縁層12における隣接領域12aと、カバー絶縁層14と密着性の向上を図ることができる。
【0131】
図8は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部の裏面において、ベース絶縁層が隣接領域よりも厚い厚層部を備え、厚層部の裏面には補強層が積層されている形態)の要部拡大断面図である。
【0132】
上記した説明では、ベース絶縁層12のベース開口部18から導体パターン7の裏面を露出させ、外部側端子部17を形成したが、例えば、図8に示すように、導体パターン7の裏面側に、厚層部21を形成し、その裏面に補強層24を積層することができる。
【0133】
この実施形態では、図8に示すように、ベース絶縁層12には、凹部23およびその内側にベース開口部18が設けられておらず、導体パターン7は、ベース絶縁層12の下面から露出しないように設けられている。
【0134】
そして、ベース絶縁層12は、隣接領域12aを備えるとともに、外部側端子部17の裏面において、隣接領域12aよりも厚い厚層部21を備えている。
【0135】
厚層部21は、積層方向に投影した投影面において、外部側端子部17と重複しており、その厚みは、例えば、離隔領域12bと同様、具体的には、例えば、4〜30μm、好ましくは、4〜15μmである。
【0136】
なお、隣接領域12aおよび厚層部21は、ベース絶縁層12の形成における露光および現像や、ベース絶縁層12の除去(具体的には、エッチングなど)を適宜調整することなどにより、形成することができる。
【0137】
また、厚層部21の裏面には、補強層24が積層されている。
【0138】
補強層24は、金属支持基板11からなり、積層方向に投影した投影面において、外部側端子部17および厚層部21と重複するように、配置されている。
【0139】
なお、補強層24は、金属支持基板11の除去(具体的には、エッチングなど)を適宜調整することなどにより、形成することができる。
【0140】
このような回路付サスペンション基板1では、外部側端子部17の裏面に、厚層部21および補強層24が積層されているため、外部側端子部17の優れた機械強度を確保することができる。
【0141】
図9は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(互いに隣り合う外部側端子部にわたって隣接領域が連続するように設けられている形態)の要部拡大背面図である。
【0142】
上記した説明(図2参照)では、隣接領域12aを、複数(8つ)の外部側端子部17に、それぞれ独立して設けたが、例えば、図9に示すように、互いに隣り合う複数(8つ)の外部側端子部17に連続するように、隣接領域12aを設けることもできる。
【0143】
すなわち、上記した説明では、複数(8つ)の外部側端子部17に対応するように、隣接領域12aを複数(8つ)設けたが、例えば、積層方向に投影した投影面において、複数(8つ)の外部側端子部17を全て含むように、単数(1つ)の隣接領域12aを設けることができる。
【0144】
なお、このような実施形態では、図示しないが、隣接領域12aが、互いに隣り合う外部側端子部17に、連続するように設けられていれば、その数は特に制限されず、例えば、隣接領域12aを複数(2つ)設けることもできる。より具体的には、例えば、積層方向に投影した投影面において、複数(4つ)の一方側外部側端子部17aを全て含むように、隣接領域12aを設けるとともに、複数(4つ)の他方側外部側端子部17bを全て含むように、隣接領域12aを設けることができる。
【0145】
このような場合において、隣接領域12aの長さは、例えば、240〜20000μm、好ましくは、750〜10000μmであり、隣接領域12aの幅は、例えば、40〜5000μm、好ましくは、125〜2000μmである。
【0146】
このような回路付サスペンション基板1では、隣接領域12aが、互いに隣り合う外部側端子部17に連続するように設けられているため、広い隣接領域12aにおいて熱の放散を確保することができ、焼け焦げをより確実に抑制することができる。
【0147】
図10は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域に対応する部分において、金属支持基板の金属開口部が連続するように設けられている形態)の要部拡大背面図である。
【0148】
上記した説明(図5参照)では、金属開口部19を、複数(8つ)の隣接領域12aに対応する部分に、それぞれ独立して設けたが、例えば、図10に示すように、互いに隣り合う複数(8つ)の外部側端子部17に連続するように、隣接領域12aを設けるとともに、金属支持基板11の金属開口部19を、その隣接領域12aに対応する部分において連続するように設けることもできる。
【0149】
すなわち、この実施形態では、例えば、積層方向に投影した投影面において、複数(8つ)の外部側端子部17を全て含むように、単数(1つ)の隣接領域12aが設けられており(図9参照)、その隣接領域12aに対応する部分に連続するように、金属支持基板11に金属開口部19を単数(1つ)設ける。
【0150】
なお、このような実施形態でも、図9に示す実施形態と同様、図示しないが、隣接領域12aが、互いに隣り合う外部側端子部17に、連続するように設けられていれば、その数は特に制限されず、例えば、隣接領域12aを複数(2つ)設けることもでき、また、それに対応するように、金属開口部19を複数(2つ)設けることができる。より具体的には、例えば、積層方向に投影した投影面において、複数(4つ)の一方側外部側端子部17aを全て含むように、隣接領域12aを設けるとともに、複数(4つ)の他方側外部側端子部17bを全て含むように、隣接領域12aを設け、それら複数(2つ)の隣接領域12aに対応するように、金属開口部19を複数(2つ)設けることができる。
【0151】
金属開口部19の長さは、例えば、240〜20000μm、好ましくは、750〜10000μmであり、金属開口部19の幅は、例えば、40〜5000μm、好ましくは、125〜2000μmである。
【0152】
このような回路付サスペンション基板1では、金属支持基板11により優れた機械強度が確保されるとともに、金属支持基板11の金属開口部19が、互いに隣り合う外部側端子部17に連続するように設けられているため、広い隣接領域12aにおいて熱の放散を確保することができ、焼け焦げをより確実に抑制することができる。
【0153】
図11〜図14は、それぞれ、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(隣接領域の形状が異なる形態)の要部拡大背面図である。
【0154】
上記した説明では、隣接領域12aを、平面視略矩形状の外部側端子部17に隣接するように、その外周の全辺(4辺)に接触し、外部側端子部17を取り囲む平面視略矩形枠状に形成したが、隣接領域12aの形状としてはこれに限定されず、例えば、図11に示すように、回路付サスペンション基板1の背面図(底面図)において、平面視略矩形状の外部側端子部17の外周の3辺に接触するように形成することができ、また、図12に示すように、回路付サスペンション基板1の背面図(底面図)において、平面視略矩形状の外部側端子部17の外周の2辺に接触するように形成することができ、また、図13に示すように、回路付サスペンション基板1の背面図(底面図)において、平面視略矩形状の外部側端子部17の外周の1辺に接触するように形成することができる。さらには、図14に示すように、回路付サスペンション基板1の背面図(底面図)において、隣接領域12aにより、外部側端子部17を複数(2つ)に分割することもできる。
【0155】
図15〜図19は、それぞれ、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部の形状が異なる形態)の要部拡大背面図である。
【0156】
上記した説明では、外部側端子部17を、平面視略矩形状に形成し、ベース絶縁層12のベース開口部18内に配置したが、外部側端子部17の形状としては、これに限定されず、例えば、図15に示すように、ベース絶縁層12から突出するように外部側端子部17を形成することができ、また、図16に示すように、外部側接続端子部17をその幅方向一端縁がベース絶縁層12の端縁(幅方向一端縁)と面一になるように形成することができ、また、図17に示すように、外部側端子部17に平面視円形の貫通孔27を形成することができ、また、図18に示すように、外部側端子部17に平面視略矩形状の貫通孔27を形成することができる。さらには、図19に示すように、外部側端子部17に貫通孔27を形成することにより、外部側端子部17を複数(2つ)に分割することもできる。
【0157】
なお、図17〜19に示す貫通孔27の形状は、単なる例示であって、図示しないが、例えば、平面視略凸形状、平面視略凹形状、平面視略×形状など、種々の形状の貫通孔27を形成することができる。
【0158】
また、外部側端子部17を、ベース絶縁層12から突出するように形成する方法や、外部側端子部17に貫通孔27を形成する方法は、適宜、公知の方法を採用することができる。
【0159】
図20は、本発明の回路付サスペンション基板の他の実施形態(外部側端子部に切欠部が形成される形態)の要部斜視図である。
【0160】
上記した説明では、外部側端子部17を、平面視略矩形状に形成し、必要により、貫通孔27を形成したが、例えば、図20に示すように、外部側端子部17に、切欠部25を形成することができる。
【0161】
この実施形態では、切欠部25は、はんだボール26を流入させるために形成されており、具体的には、外部側端子部17の後端部から内側に向かって広がる平面視雫形状に形成され、外部側端子部17の厚み方向(積層方向)を貫通している。
【0162】
また、この実施形態では、配線部2の後端部において、金属支持基板11の幅方向一端縁は、積層方向に投影したときに、隣接領域12aの幅方向他方側端縁(離隔領域12bの幅方向一方側端縁)と重複するように、配置されている。
【0163】
図21は、図20に示す回路サスペンション基板および外部回路基板の要部拡大断面図、図22は、図21に示す回路サスペンション基板および外部回路基板の接続状態を示す要部拡大断面図である。
【0164】
図20に示されるような回路付サスペンション基板1の外部側端子部17と、外部回路基板31の端子部とを電気的に接続する場合には、図2(c)が参照されるように、回路付サスペンション基板1と、外部回路基板31とを並行に配置し、接続することもできるが、例えば、図21および図22に示すように、回路付サスペンション基板1と、外部回路基板31とを、互いに直交するにように配置し、接続することもできる。
【0165】
具体的には、この実施形態では、まず、図21に示すように、回路付サスペンション基板1を含む平面と、外部回路基板31を含む平面とが直交するように、回路付サスペンション基板1に、外部回路基板31を、間隔を隔てて対向配置する。これにより、外部側端子部17と、外部回路基板31の接続端子部とが、間隔を隔てて対向配置される。
【0166】
なお、外部回路基板31の接続端子部の表面には、予め、はんだボール26を配置しておく。
【0167】
次いで、図22に示すように、外部回路基板31を回路付サスペンション基板1に当接させ、例えば、レーザー光照射などの公知の方法によって、はんだボール26を、溶融させる。
【0168】
これにより、溶融されたはんだボール26を、外部側端子部17の切欠部25に流入させ、外部側端子部17と、外部回路基板31の接続端子部とを、電気的に接続する。
【0169】
このような回路付サスペンション基板1では、外部側端子部17の切欠部25に溶融されたはんだボール26が流入されることによって、溶融されたはんだボール26を外部側端子部17により確実に固定することができ、優れた信頼性で端子部間を接続することができる。
【0170】
なお、図20〜22に示す切欠部25の形状は、単なる例示であって、図示しないが、種々の形状の切欠部25を形成することができる。
【0171】
なお、上記した説明では、いずれも、積層方向に投影したときの投影面において、隣接領域に隣接される端子部として、外部側端子部17を採用したが、端子部としては、これに限定されず、例えば、ヘッド側端子部16を採用することができ、さらには、外部側端子部17およびヘッド側端子部16の両方を採用することもできる。
【符号の説明】
【0172】
1 回路付サスペンション基板
7 導体パターン
12 ベース絶縁層
12a 隣接領域
12b 離隔領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベース絶縁層と、前記ベース絶縁層の表面に積層される導体パターンとを備え、
前記導体パターンは、
配線と、
前記配線に接続され、溶融金属により接合するための端子部とを備え、
前記ベース絶縁層は、
積層方向に投影したときの投影面において、前記端子部に隣接する隣接領域と、前記隣接領域を挟んで前記端子部と離隔する離隔領域とを備え、
前記隣接領域が、前記離隔領域よりも薄く形成されていることを特徴とする、回路付サスペンション基板。
【請求項2】
さらに、前記ベース絶縁層が支持される金属支持基板を備え、
少なくとも前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板に開口部が形成されていることを特徴とする、請求項1に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項3】
さらに、前記導体パターンを被覆するカバー絶縁層を備えることを特徴とする、請求項1または2に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項4】
前記カバー絶縁層には、前記端子部を露出させる開口部が形成されていることを特徴とする、請求項3に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項5】
積層方向に投影したときの投影面において、
前記隣接領域が前記導体パターンからはみ出すことを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項6】
前記ベース絶縁層は、前記端子部の裏面において、前記隣接領域よりも厚い厚層部を備え、
前記厚層部の裏面には、補強層が積層されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項7】
前記導体パターンは、前記端子部を複数備え、
複数の前記端子部には、前記隣接領域が、それぞれ独立して設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項8】
前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板の前記開口部が、それぞれ独立して設けられていることを特徴とする、請求項7に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項9】
前記導体パターンは、前記端子部を複数備え、
互いに隣り合う前記端子部には、前記隣接領域が連続するように設けられていることを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項10】
前記隣接領域に対応する部分において、前記金属支持基板の前記開口部が、連続するように設けられていることを特徴とする、請求項9に記載の回路付サスペンション基板。
【請求項11】
前記端子部は、前記溶融金属が流入される切欠部を備えていることを特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載の回路付サスペンション基板。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2012−160235(P2012−160235A)
【公開日】平成24年8月23日(2012.8.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−19984(P2011−19984)
【出願日】平成23年2月1日(2011.2.1)
【出願人】(000003964)日東電工株式会社 (5,557)
【Fターム(参考)】