回転コネクタ
【課題】使用するフラットケーブルの枚数が異なっても低コスト化を図ることができる回転コネクタを提供すること。
【解決手段】ステータハウジング1とロータハウジング2との間の収納空間3の内部に1枚のフラットケーブル4が組み込まれ、リードブロック5の絶縁性基体に保持されたピン端子13群がフラットケーブル4の端部に接続されていると共に、絶縁性基体がハウジング1(または2)に取り付けられている回転コネクタにて、リードブロック5が、絶縁性基体の露出端面14bを略二等分して得られる一方の領域にピン端子13群を集約して配置させ。接続する回路数が多い場合にはフラットケーブルをもう1枚組み込み、このフラットケーブルに接続された別のピン端子群を露出端面14bの他方の領域に集約して配置させることができ、同じ絶縁性基体によってリードブロックを構成できて、ステータハウジング1やロータハウジング2を共通化して使用できる。
【解決手段】ステータハウジング1とロータハウジング2との間の収納空間3の内部に1枚のフラットケーブル4が組み込まれ、リードブロック5の絶縁性基体に保持されたピン端子13群がフラットケーブル4の端部に接続されていると共に、絶縁性基体がハウジング1(または2)に取り付けられている回転コネクタにて、リードブロック5が、絶縁性基体の露出端面14bを略二等分して得られる一方の領域にピン端子13群を集約して配置させ。接続する回路数が多い場合にはフラットケーブルをもう1枚組み込み、このフラットケーブルに接続された別のピン端子群を露出端面14bの他方の領域に集約して配置させることができ、同じ絶縁性基体によってリードブロックを構成できて、ステータハウジング1やロータハウジング2を共通化して使用できる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング装置に組み込まれてエアバッグシステム等の電気的接続手段として使用される回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回転コネクタは、ステアリング装置に具備されるコンビネーションスイッチの組立体等に固定されるステータハウジングと、ステアリングホイール側に取り付けられるロータハウジングと、これらステータハウジングとロータハウジング間に画成された環状の収納空間内に巻回状態で収納されたフラットケーブル等を備えており、回転数が有限であるステアリングホイールに付設されたエアバッグ・インフレータ等の電気的接続手段として使用されている。また、従来より、この種の回転コネクタにおいては、複数本のピン端子を絶縁性基体に保持してなるリードブロックを付設した構成のものが知られている。このリードブロックのピン端子群はフラットケーブルの端部に接続されており、絶縁性基体はステータハウジングやロータハウジングに取り付けられている。そして、ピン端子群が絶縁性基体の露出端面から外方へ突出しているため、車体側の外部コネクタ(雌コネクタ)をピン端子群に容易に着脱できるようになっている。
【0003】
なお、この種の回転コネクタにおいては、フラットケーブルを環状の収納空間内に1枚だけ組み込んだものが一般的であったが、最近は、ステアリング装置の多回路化に伴うリード線の本数増大に対応するため、収納空間内に2枚のフラットケーブルを組み込んだ回転コネクタも実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】2000−294359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した回転コネクタにおいて、ステータハウジングとロータハウジング間に画成される環状の収納空間の大きさは、フラットケーブルの巻き締めや巻き戻しが円滑に行えるように比較的広く設計されているため、この収納空間の内部に組み込まれるフラットケーブルの枚数が1枚であっても2枚であってもハウジングの径寸法や高さ寸法を変更する必要性は特にない。しかしながら、接続する回路数が少なくてフラットケーブルを1枚だけ組み込む場合と、接続する回路数が多くてフラットケーブルを2枚組み込む場合とでは、リードブロックのピン端子の本数や配列が大きく異なり、それに応じてリードブロックの絶縁性基体の大きさも異なってくるため、この絶縁性基体が取り付けられるステータハウジングやロータハウジングの所定箇所(コネクタ設定部)の構造もフラットケーブルの枚数に応じて変更して別々に作成せざるを得なかった。そのため、ステータハウジングやロータハウジングの部品コストが増大して製品の低コスト化を図りにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、使用するフラットケーブルの枚数が異なってもステータハウジングやロータハウジングの部品コストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、外筒体および底板を有するステータハウジングと、このステータハウジングに環状の収納空間を介して回転可能に連結され、前記外筒体に対向する内筒体および前記底板に対向する天板を有するロータハウジングと、前記収納空間の内部に巻回状態で収納されたフラットケーブルと、前記フラットケーブルの端部に接続された複数本のピン端子(ピン端子群)を絶縁性基体に保持させたリードブロックとを備え、前記絶縁性基体が前記ステータハウジングおよび/または前記ロータハウジングに取り付けられると共に、前記絶縁性基体の露出端面から外方へ突出する前記ピン端子群に外部コネクタを装着して使用される回転コネクタにおいて、前記フラットケーブルに接続された前記ピン端子群を前記絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に集約して配置させるという構成にした。
【0007】
このようにリードブロックの絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に、特定のフラットケーブルに接続されたピン端子群が集約して配置されていると、この露出端面の他方の領域に、別のフラットケーブルに接続された別のピン端子群を集約して配置させた場合と、ピン端子を全く配置させない場合とで、絶縁性基体の大きさや外形を変更する必要がなくなる。したがって、この回転コネクタは、リードブロックにフラットケーブルを2枚接続してピン端子の本数が多い構造にした場合でも、あるいはリードブロックにフラットケーブルを1枚だけ接続してピン端子の本数が少ない構造にした場合でも、同じ大きさと外形を有する絶縁性基体によってリードブロックを構成できるため、ステータハウジングおよび/またはロータハウジングを共通化して使用できることになり、それらのハウジングの部品コストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる。
【0008】
上記の構成において、リードブロックの絶縁性基体が、露出端面の一方の領域に露出してピン端子群を保持する第1の基体と、露出端面の他方の領域に露出する第2の基体とを組み合わせた構成になっていると、インサート成形加工等が必要な第1の基体については、リードブロックにフラットケーブルを2枚接続する場合、第1の基体をそのまま流用して第1の基体同士でリードブロックを構成でき、またピン端子が全く配置されていない第2の基体については、リードブロックにフラットケーブル1枚を接続する場合、回路数に応じて所望の本数のピン端子を保持させた第1の基体と第2の基体を組み合わせて使用することができるため、部品コストのさらなる低減化が可能となる。
【0009】
また、上記の構成において、第1の基体と第2基体の一方に係合部を設け、第1の基体と第2基体の他方には前記係合部と係止する係止部を設ける構成になっていると、第1および第2の基体を一体化するリードブロックの組立作業を容易に行うことができ、またリードブロックの取り扱い作業が容易になるので、ステータハウジングやロータハウジングにリードブロックを容易に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回転コネクタによれば、リードブロックの絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に、特定のフラットケーブルに接続されたピン端子群が集約して配置されているため、この露出端面の他方の領域に、別のフラットケーブルに接続された別のピン端子群を集約して配置させた場合と、ピン端子を全く配置させない場合とで、絶縁性基体の大きさや外形を変更する必要がなくなる。したがって、この回転コネクタは、例えばリードブロックにフラットケーブルを2枚/接続してピン端子の本数が多い構造にした場合でも、あるいはリードブロックにフラットケーブルを1枚だけ接続してピン端子の本数が少ない構造にした場合でも、同じ大きさと外形を有する絶縁性基体によってリードブロックを構成できるため、ステータハウジングやロータハウジングを共通化して使用できることになり、それらのハウジングの部品のコストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図、図2は図1の回転コネクタを底板側から見た平面図、図3は図1の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図、図4は第1実施形態例に係る回転コネクタに用いられるリードブロックの斜視図、図5は図1の回転コネクタに装着される外部コネクタの斜視図である。
【0012】
図1〜図3に示す回転コネクタは、合成樹脂製のステータハウジング1と、このステータハウジング1に環状の収納空間3を介して回転可能に連結された合成樹脂製のロータハウジング2と、収納空間3の内部に巻回状態で収納された帯状のフラットケーブル4と、このフラットケーブル4の長手方向の端部に付設されたリードブロック5(図4参照)とによって概略構成されており、このリードブロック5に対して外部コネクタ20(図5参照)が着脱可能となっている。
【0013】
ステータハウジング1は外筒体6aを有するステータ6とセンタ孔を有する下カバー7とを組み合わせて構成され、両者6,7はスナップ結合等の固定手段を用いて一体化されている。下カバー7の外周部には複数の取付片7aが一体成形されており、これら取付片7aはステアリング装置のコンビネーションスイッチの組立体等にネジ止めされるようになっている。下カバー7はステータハウジング1の底板をなすものであり、本実施形態例ではステータ6と下カバー(底板)7をスナップ結合によって一体化しているが、両者6,7を一体成形することも可能である。
【0014】
ロータハウジング2は環状の天板8aを有する上部ロータ8と環状の鍔部9aを有する下部ロータ9とを組み合わせて構成され、上部ロータ8には天板8aの内周縁から下方へ延びる内筒体8bが一体成形されている。また、下部ロータ9には鍔部9aの内周縁から上方へ延びる図示せぬ円筒状壁部が一体成形されており、この円筒状壁部を下カバー7の前記センタ孔へ挿入して内筒体8bの内壁部にスナップ結合させることによって、上部ロータ8と下部ロータ9とが一体化されている。こうして上部ロータ8と下部ロータ9を一体化する際には、天板8aの外周縁をステータ6の外筒体6aの上端に係合させると共に、鍔部9aを下カバー7の前記センタ孔の周縁部に係合させれば良く、これによりロータハウジング2がステータハウジング1に回転可能に連結された状態となる。そして、ステータハウジング1の外筒体6aおよび下カバー7とロータハウジング2の天板8aおよび内筒体8bとによって環状の収納空間3が画成され、この収納空間3を介して外筒体6aと内筒体8bが対向すると共に、天板8aと下カバー7が対向することになる。なお、上部ロータ8の天板8aには駆動ピン8cが立設されており、この駆動ピン8cをステアリングホイールに係合させることにより、ステアリングホイールの回転力が駆動ピン8cを介して上部ロータ8に伝達されるようになっている。
【0015】
ステータハウジング1とロータハウジング2には、それぞれリードブロック5を取り付けるためのコネクタ設定部11,12が設けられている。ステータハウジング1のコネクタ設定部11は下カバー7に筒状に垂設されており、このコネクタ設定部11の内部にフラットケーブル4の長手方向の一端部に付設されたリードブロック5が嵌着されている(図3参照)。また、ロータハウジング2のコネクタ設定部12は天板8aに筒状に立設されており、このコネクタ設定部12の内部にフラットケーブル4の長手方向の他端部に付設された別のリードブロック5が嵌着されている。
【0016】
フラットケーブル4は収納空間3の内部に途中で巻き方向を反転させた状態で収納されており、このフラットケーブル4の反転部は収納空間3の内部に回転可能に配置された図示せぬ移動体のローラにループされている。本実施形態例では、収納空間3の内部にフラットケーブル4が1枚だけ収納されており、このフラットケーブル4の長手方向の両端部がそれぞれリードブロック5を介して、ステータハウジング1のコネクタ設定部11とロータハウジング2のコネクタ設定部12に固定されている。
【0017】
図3と図4に示すように、リードブロック5は、1列に配置されてフラットケーブル4の端部に接続された複数本のピン端子(ピン端子群)13と、これらピン端子13を保持する合成樹脂製の絶縁性基体14とを一体化したものであり、インサート成形加工によって各ピン端子13の一部が絶縁性基体14に埋設されている。各ピン端子13の基端側は、フラットケーブル4の図示せぬ導体部にスポット溶接等によって接続されている。絶縁性基体14の外壁にはコネクタ設定部11(または12)に係止される係合突起14aが一体成形されており、このコネクタ設定部11(または12)の開口11a(または12a)内に露出する露出端面14bから各ピン端子13の先端側が外方へ突出している。ただし、ピン端子13群は、露出端面14bを長手方向に沿う中心線L(図1,2参照)で二等分して得られる一方の領域に集約して配置させてあり、他方の領域にピン端子は配置されていない。そして、雌コネクタである外部コネクタ20(図5参照)をコネクタ設定部11(または12)内に挿抜させることによって、この外部コネクタ20がピン端子13群に対して着脱できるようになっている。
【0018】
このように構成された回転コネクタは自動車のステアリング装置に組み込まれて使用されるが、その際、ステータハウジング1はコンビネーションスイッチの組立体等に固定される。また、ロータハウジング2は、下部ロータ9の円筒状壁部がステアリングシャフトに外装され、上部ロータ8の駆動ピン8cがステアリングホイールに係合される。
【0019】
そして、運転者がステアリングホイールを時計方向あるいは反時計方向に回転操作すると、その回転力が駆動ピン8cを介して上部ロータ8に伝達されるため、ロータハウジング2はステータハウジング1に対して時計方向あるいは反時計方向に回転する。例えば、ステアリングホイールの中立位置から上部ロータ8が時計方向に回転すると、フラットケーブル4の反転部は上部ロータ8よりも少ない回転量だけ時計方向に移動し、それに伴ってフラットケーブル4の反転部が通過する前記移動体も時計方向に移動する。その結果、この移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4が、収納空間3内で上部ロータ8の内筒体8b側から繰り出されて外筒体6a側に巻き戻される。これとは逆にステアリングホイールの中立位置から上部ロータ8が反時計方向に回転すると、フラットケーブル4の反転部は上部ロータ8よりも少ない回転量だけ反時計方向に移動し、それに伴って前記移動体も反時計方向に移動する。その結果、この移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4が、収納空間3内で外筒体6a側から繰り出されて内筒体8b側に巻き締められる。
【0020】
以上説明したように本実施形態例に係る回転コネクタでは、リードブロック5の絶縁性基体14の露出端面14bを二等分して得られる一方の領域に、フラットケーブル4に接続されたピン端子13群が集約して配置させてあり、露出端面14bの他方の領域にはピン端子を全く配置させていないため、この他方の領域に別のピン端子群を配置させる構造にした場合でも、リードブロック5の絶縁性基体14の大きさや外形を特に変更する必要がなく、よってコネクタ設定部11やコネクタ設定部12の設計を変更する必要がない。具体的には、接続する回路数が少ない場合には、本実施形態例のようにフラットケーブル4を1枚だけ組み込んで露出端面14bの半分の領域にピン端子13群を1列に配置させれば良いし、接続する回路数が多い場合には、別のピン端子群が端部に接続された別のフラットケーブルを追加して該ピン端子群を露出端面14bの残り半分の領域に1列に配置させれば良いので、フラットケーブルを2枚組み込むという仕様変更に際してステータハウジング1やロータハウジング2をそのまま流用できる。すなわち、この回転コネクタを接続する回路数が異なる種々の仕様に対応させる際には、絶縁性基体14の大きさや外形が同等でピン端子の本数が異なるリードブロック5を適宜選択しさえすれば良く、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、結果として部品コストが低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなっている。
【0021】
図6は本発明の第2実施形態例に係るリードブロックの斜視図であり、図4と対応する部分には同一符号を付すことで重複する説明は適宜省略してある。
【0022】
図6に示すリードブロック5は、絶縁性基体14が第1の基体15と第2の基体16とを組み合わせた構成になっている。第1の基体15はピン端子13群を保持しており、インサート成形加工によって各ピン端子13の一部が第1の基体15に埋設されている。また、第2の基体16は第1の基体15と略同形に成形されているものの、ピン端子が配設されていないダミー基体となっている。これら第1および第2の基体15,16は、係合部としての一方の凹部15aに係止部としての他方の凸部16aを嵌入させるというスナップ結合を用いて一体化されることにより、前述した第1実施形態例におけるリードブロックの絶縁性基体(図4参照)と大きさや外形が同等な絶縁性基体14となる。なお、第1および第2の基体15,16の一方または両方の外壁には、ハウジング側のコネクタ設定部に係止される係合突起14aが一体成形されている。
【0023】
図6に示す絶縁性基体14の露出端面14bは、ピン端子13群を突出させている第1の基体15の露出端面15bと、ピン端子が配設されていない第2の基体16の露出端面16bとに二分割されているため、第2の基体16をピン端子が配設された略同形な別の基体に差し替えれば、後述する図10に示すように、絶縁性基体14の大きさや外形を変更することなく、その露出端面14bにピン端子群を2列配置させて2枚のフラットケーブルのコネクタ部として機能するリードブロックが得られる。この場合、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、部品コストを低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなる上に、インサート成形加工が必要な第1の基体15についてはそのまま流用できるため、結果としてリードブロック5の部品コストを低減できる。
【0024】
図7は本発明の第3実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図、図8は図7の回転コネクタを底板側から見た平面図、図9は図7の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図、図10は第3実施例形態に係る回転コネクタに用いられたリードブロックの斜視図、図11は図10のリードブロックの分解斜視図であって、図1〜図4および図6と対応する部分には同一符号を付すことで重複する説明は適宜省略してある。
【0025】
この第3実施形態例に係る回転コネクタは、接続する回路数が多い場合に適用されるものであり、図9に示すように収納空間3の内部に2枚のフラットケーブル4,10が組み込まれている。また、この回転コネクタのリードブロック5の絶縁性基体14は、一方のフラットケーブル4の端部に接続されたピン端子13群を保持する第1の基体15と、他方のフラットケーブル10の端部に接続されたピン端子17群を保持する第2の基体18とを組み合わせた構成になっている。第1の基体15にはインサート成形加工によって各ピン端子13の一部が埋設されており、同様に第2の基体18にはインサート成形加工によって各ピン端子17の一部が埋設されている。これら第1および第2の基体15,18は、一方の凹部15aに他方の凸部18aを嵌入させるというスナップ結合により一体化されて、前述した第1実施形態例や第2実施形態例におけるリードブロックの絶縁性基体(図4,6参照)と大きさや外形が同等な絶縁性基体14となる。なお、第1および第2の基体15,18の一方または両方の外壁には、ハウジング側のコネクタ設定部に係止される係合突起14aが一体成形されている。
【0026】
この第3実施形態例において、絶縁性基体14の露出端面14bは、ピン端子13群を突出させている第1の基体15の露出端面15bと、ピン端子17群を突出させている第2の基体18の露出端面18bとに二分割されているため、第1および第2の基体15,18のいずれか一方をピン端子が配設されていない略同形な別の基体に差し替えれば、絶縁性基体14の大きさや外形を変更することなく、その露出端面14bにピン端子群を1列だけ配置させて1枚のフラットケーブルのコネクタ部として機能するリードブロックが得られる。この場合、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、低コストを低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなる上に、第1および第2の基体15,18のいずれか他方についてはそのまま流用できるため、結果としてリードブロック5の部品コストを低減できる。
【0027】
なお、上記第3実施形態例において、第1の基体15と第2の基体18に配設されるピン端子の本数が同じ場合には、両者15.18を同一とすることも可能であり、その場合、リードブロック5の部品コストをさらに低減することができる。
【0028】
また、上記各実施形態例では、フラットケーブルが収納空間の内部に回転可能に配置された移動体のローラにループされている例を説明したが、ローラを使用しないで反転させるものであっても良く、また収納空間の内部に渦巻き状に巻回させるものであっても良い。また、上記各実施形態例では、収納空間にフラットケーブルを1枚収納する場合と2枚収納する場合を説明したが、3枚以上のフラットケーブルを収納ケーブルであっても良く、例えば3枚のフラットケーブルを収納する場合、2つのリードブロックのうちの一方に図4または図6に示すリードブロックを適用することができ、他方のリードブロックには図10に示すリードブロックを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図である。
【図2】図1の回転コネクタを底板側から見た平面図である。
【図3】図1の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図である。
【図4】第1実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図5】図1の回転コネクタに装着される外部コネクタの斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図である。
【図8】図7の回転コネクタを底板側から見た平面図である。
【図9】図7の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図である。
【図10】第3実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図11】図10に示すリードブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ステータハウジング
2 ロータハウジング
3 収納空間
4,10 フラットケーブル
5 リードブロック
6a 外筒体
7 下カバー(底板)
8a 天板
8b 内筒体
11,12 コネクタ設定部
13,17 ピン端子
14 絶縁性基体
14b 露出端面
15 第1の基体
16,18 第2の基体
20 外部コネクタ
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車のステアリング装置に組み込まれてエアバッグシステム等の電気的接続手段として使用される回転コネクタに関する。
【背景技術】
【0002】
回転コネクタは、ステアリング装置に具備されるコンビネーションスイッチの組立体等に固定されるステータハウジングと、ステアリングホイール側に取り付けられるロータハウジングと、これらステータハウジングとロータハウジング間に画成された環状の収納空間内に巻回状態で収納されたフラットケーブル等を備えており、回転数が有限であるステアリングホイールに付設されたエアバッグ・インフレータ等の電気的接続手段として使用されている。また、従来より、この種の回転コネクタにおいては、複数本のピン端子を絶縁性基体に保持してなるリードブロックを付設した構成のものが知られている。このリードブロックのピン端子群はフラットケーブルの端部に接続されており、絶縁性基体はステータハウジングやロータハウジングに取り付けられている。そして、ピン端子群が絶縁性基体の露出端面から外方へ突出しているため、車体側の外部コネクタ(雌コネクタ)をピン端子群に容易に着脱できるようになっている。
【0003】
なお、この種の回転コネクタにおいては、フラットケーブルを環状の収納空間内に1枚だけ組み込んだものが一般的であったが、最近は、ステアリング装置の多回路化に伴うリード線の本数増大に対応するため、収納空間内に2枚のフラットケーブルを組み込んだ回転コネクタも実用化されている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】2000−294359号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前述した回転コネクタにおいて、ステータハウジングとロータハウジング間に画成される環状の収納空間の大きさは、フラットケーブルの巻き締めや巻き戻しが円滑に行えるように比較的広く設計されているため、この収納空間の内部に組み込まれるフラットケーブルの枚数が1枚であっても2枚であってもハウジングの径寸法や高さ寸法を変更する必要性は特にない。しかしながら、接続する回路数が少なくてフラットケーブルを1枚だけ組み込む場合と、接続する回路数が多くてフラットケーブルを2枚組み込む場合とでは、リードブロックのピン端子の本数や配列が大きく異なり、それに応じてリードブロックの絶縁性基体の大きさも異なってくるため、この絶縁性基体が取り付けられるステータハウジングやロータハウジングの所定箇所(コネクタ設定部)の構造もフラットケーブルの枚数に応じて変更して別々に作成せざるを得なかった。そのため、ステータハウジングやロータハウジングの部品コストが増大して製品の低コスト化を図りにくいという問題があった。
【0005】
本発明は、このような従来技術の実情に鑑みてなされたもので、その目的は、使用するフラットケーブルの枚数が異なってもステータハウジングやロータハウジングの部品コストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる回転コネクタを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の目的を達成するために、本発明は、外筒体および底板を有するステータハウジングと、このステータハウジングに環状の収納空間を介して回転可能に連結され、前記外筒体に対向する内筒体および前記底板に対向する天板を有するロータハウジングと、前記収納空間の内部に巻回状態で収納されたフラットケーブルと、前記フラットケーブルの端部に接続された複数本のピン端子(ピン端子群)を絶縁性基体に保持させたリードブロックとを備え、前記絶縁性基体が前記ステータハウジングおよび/または前記ロータハウジングに取り付けられると共に、前記絶縁性基体の露出端面から外方へ突出する前記ピン端子群に外部コネクタを装着して使用される回転コネクタにおいて、前記フラットケーブルに接続された前記ピン端子群を前記絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に集約して配置させるという構成にした。
【0007】
このようにリードブロックの絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に、特定のフラットケーブルに接続されたピン端子群が集約して配置されていると、この露出端面の他方の領域に、別のフラットケーブルに接続された別のピン端子群を集約して配置させた場合と、ピン端子を全く配置させない場合とで、絶縁性基体の大きさや外形を変更する必要がなくなる。したがって、この回転コネクタは、リードブロックにフラットケーブルを2枚接続してピン端子の本数が多い構造にした場合でも、あるいはリードブロックにフラットケーブルを1枚だけ接続してピン端子の本数が少ない構造にした場合でも、同じ大きさと外形を有する絶縁性基体によってリードブロックを構成できるため、ステータハウジングおよび/またはロータハウジングを共通化して使用できることになり、それらのハウジングの部品コストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる。
【0008】
上記の構成において、リードブロックの絶縁性基体が、露出端面の一方の領域に露出してピン端子群を保持する第1の基体と、露出端面の他方の領域に露出する第2の基体とを組み合わせた構成になっていると、インサート成形加工等が必要な第1の基体については、リードブロックにフラットケーブルを2枚接続する場合、第1の基体をそのまま流用して第1の基体同士でリードブロックを構成でき、またピン端子が全く配置されていない第2の基体については、リードブロックにフラットケーブル1枚を接続する場合、回路数に応じて所望の本数のピン端子を保持させた第1の基体と第2の基体を組み合わせて使用することができるため、部品コストのさらなる低減化が可能となる。
【0009】
また、上記の構成において、第1の基体と第2基体の一方に係合部を設け、第1の基体と第2基体の他方には前記係合部と係止する係止部を設ける構成になっていると、第1および第2の基体を一体化するリードブロックの組立作業を容易に行うことができ、またリードブロックの取り扱い作業が容易になるので、ステータハウジングやロータハウジングにリードブロックを容易に取り付けることが可能となる。
【発明の効果】
【0010】
本発明の回転コネクタによれば、リードブロックの絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に、特定のフラットケーブルに接続されたピン端子群が集約して配置されているため、この露出端面の他方の領域に、別のフラットケーブルに接続された別のピン端子群を集約して配置させた場合と、ピン端子を全く配置させない場合とで、絶縁性基体の大きさや外形を変更する必要がなくなる。したがって、この回転コネクタは、例えばリードブロックにフラットケーブルを2枚/接続してピン端子の本数が多い構造にした場合でも、あるいはリードブロックにフラットケーブルを1枚だけ接続してピン端子の本数が少ない構造にした場合でも、同じ大きさと外形を有する絶縁性基体によってリードブロックを構成できるため、ステータハウジングやロータハウジングを共通化して使用できることになり、それらのハウジングの部品のコストを低減化して製品の低コスト化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
発明の実施の形態について図面を参照して説明すると、図1は本発明の第1実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図、図2は図1の回転コネクタを底板側から見た平面図、図3は図1の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図、図4は第1実施形態例に係る回転コネクタに用いられるリードブロックの斜視図、図5は図1の回転コネクタに装着される外部コネクタの斜視図である。
【0012】
図1〜図3に示す回転コネクタは、合成樹脂製のステータハウジング1と、このステータハウジング1に環状の収納空間3を介して回転可能に連結された合成樹脂製のロータハウジング2と、収納空間3の内部に巻回状態で収納された帯状のフラットケーブル4と、このフラットケーブル4の長手方向の端部に付設されたリードブロック5(図4参照)とによって概略構成されており、このリードブロック5に対して外部コネクタ20(図5参照)が着脱可能となっている。
【0013】
ステータハウジング1は外筒体6aを有するステータ6とセンタ孔を有する下カバー7とを組み合わせて構成され、両者6,7はスナップ結合等の固定手段を用いて一体化されている。下カバー7の外周部には複数の取付片7aが一体成形されており、これら取付片7aはステアリング装置のコンビネーションスイッチの組立体等にネジ止めされるようになっている。下カバー7はステータハウジング1の底板をなすものであり、本実施形態例ではステータ6と下カバー(底板)7をスナップ結合によって一体化しているが、両者6,7を一体成形することも可能である。
【0014】
ロータハウジング2は環状の天板8aを有する上部ロータ8と環状の鍔部9aを有する下部ロータ9とを組み合わせて構成され、上部ロータ8には天板8aの内周縁から下方へ延びる内筒体8bが一体成形されている。また、下部ロータ9には鍔部9aの内周縁から上方へ延びる図示せぬ円筒状壁部が一体成形されており、この円筒状壁部を下カバー7の前記センタ孔へ挿入して内筒体8bの内壁部にスナップ結合させることによって、上部ロータ8と下部ロータ9とが一体化されている。こうして上部ロータ8と下部ロータ9を一体化する際には、天板8aの外周縁をステータ6の外筒体6aの上端に係合させると共に、鍔部9aを下カバー7の前記センタ孔の周縁部に係合させれば良く、これによりロータハウジング2がステータハウジング1に回転可能に連結された状態となる。そして、ステータハウジング1の外筒体6aおよび下カバー7とロータハウジング2の天板8aおよび内筒体8bとによって環状の収納空間3が画成され、この収納空間3を介して外筒体6aと内筒体8bが対向すると共に、天板8aと下カバー7が対向することになる。なお、上部ロータ8の天板8aには駆動ピン8cが立設されており、この駆動ピン8cをステアリングホイールに係合させることにより、ステアリングホイールの回転力が駆動ピン8cを介して上部ロータ8に伝達されるようになっている。
【0015】
ステータハウジング1とロータハウジング2には、それぞれリードブロック5を取り付けるためのコネクタ設定部11,12が設けられている。ステータハウジング1のコネクタ設定部11は下カバー7に筒状に垂設されており、このコネクタ設定部11の内部にフラットケーブル4の長手方向の一端部に付設されたリードブロック5が嵌着されている(図3参照)。また、ロータハウジング2のコネクタ設定部12は天板8aに筒状に立設されており、このコネクタ設定部12の内部にフラットケーブル4の長手方向の他端部に付設された別のリードブロック5が嵌着されている。
【0016】
フラットケーブル4は収納空間3の内部に途中で巻き方向を反転させた状態で収納されており、このフラットケーブル4の反転部は収納空間3の内部に回転可能に配置された図示せぬ移動体のローラにループされている。本実施形態例では、収納空間3の内部にフラットケーブル4が1枚だけ収納されており、このフラットケーブル4の長手方向の両端部がそれぞれリードブロック5を介して、ステータハウジング1のコネクタ設定部11とロータハウジング2のコネクタ設定部12に固定されている。
【0017】
図3と図4に示すように、リードブロック5は、1列に配置されてフラットケーブル4の端部に接続された複数本のピン端子(ピン端子群)13と、これらピン端子13を保持する合成樹脂製の絶縁性基体14とを一体化したものであり、インサート成形加工によって各ピン端子13の一部が絶縁性基体14に埋設されている。各ピン端子13の基端側は、フラットケーブル4の図示せぬ導体部にスポット溶接等によって接続されている。絶縁性基体14の外壁にはコネクタ設定部11(または12)に係止される係合突起14aが一体成形されており、このコネクタ設定部11(または12)の開口11a(または12a)内に露出する露出端面14bから各ピン端子13の先端側が外方へ突出している。ただし、ピン端子13群は、露出端面14bを長手方向に沿う中心線L(図1,2参照)で二等分して得られる一方の領域に集約して配置させてあり、他方の領域にピン端子は配置されていない。そして、雌コネクタである外部コネクタ20(図5参照)をコネクタ設定部11(または12)内に挿抜させることによって、この外部コネクタ20がピン端子13群に対して着脱できるようになっている。
【0018】
このように構成された回転コネクタは自動車のステアリング装置に組み込まれて使用されるが、その際、ステータハウジング1はコンビネーションスイッチの組立体等に固定される。また、ロータハウジング2は、下部ロータ9の円筒状壁部がステアリングシャフトに外装され、上部ロータ8の駆動ピン8cがステアリングホイールに係合される。
【0019】
そして、運転者がステアリングホイールを時計方向あるいは反時計方向に回転操作すると、その回転力が駆動ピン8cを介して上部ロータ8に伝達されるため、ロータハウジング2はステータハウジング1に対して時計方向あるいは反時計方向に回転する。例えば、ステアリングホイールの中立位置から上部ロータ8が時計方向に回転すると、フラットケーブル4の反転部は上部ロータ8よりも少ない回転量だけ時計方向に移動し、それに伴ってフラットケーブル4の反転部が通過する前記移動体も時計方向に移動する。その結果、この移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4が、収納空間3内で上部ロータ8の内筒体8b側から繰り出されて外筒体6a側に巻き戻される。これとは逆にステアリングホイールの中立位置から上部ロータ8が反時計方向に回転すると、フラットケーブル4の反転部は上部ロータ8よりも少ない回転量だけ反時計方向に移動し、それに伴って前記移動体も反時計方向に移動する。その結果、この移動量の約2倍の長さのフラットケーブル4が、収納空間3内で外筒体6a側から繰り出されて内筒体8b側に巻き締められる。
【0020】
以上説明したように本実施形態例に係る回転コネクタでは、リードブロック5の絶縁性基体14の露出端面14bを二等分して得られる一方の領域に、フラットケーブル4に接続されたピン端子13群が集約して配置させてあり、露出端面14bの他方の領域にはピン端子を全く配置させていないため、この他方の領域に別のピン端子群を配置させる構造にした場合でも、リードブロック5の絶縁性基体14の大きさや外形を特に変更する必要がなく、よってコネクタ設定部11やコネクタ設定部12の設計を変更する必要がない。具体的には、接続する回路数が少ない場合には、本実施形態例のようにフラットケーブル4を1枚だけ組み込んで露出端面14bの半分の領域にピン端子13群を1列に配置させれば良いし、接続する回路数が多い場合には、別のピン端子群が端部に接続された別のフラットケーブルを追加して該ピン端子群を露出端面14bの残り半分の領域に1列に配置させれば良いので、フラットケーブルを2枚組み込むという仕様変更に際してステータハウジング1やロータハウジング2をそのまま流用できる。すなわち、この回転コネクタを接続する回路数が異なる種々の仕様に対応させる際には、絶縁性基体14の大きさや外形が同等でピン端子の本数が異なるリードブロック5を適宜選択しさえすれば良く、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、結果として部品コストが低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなっている。
【0021】
図6は本発明の第2実施形態例に係るリードブロックの斜視図であり、図4と対応する部分には同一符号を付すことで重複する説明は適宜省略してある。
【0022】
図6に示すリードブロック5は、絶縁性基体14が第1の基体15と第2の基体16とを組み合わせた構成になっている。第1の基体15はピン端子13群を保持しており、インサート成形加工によって各ピン端子13の一部が第1の基体15に埋設されている。また、第2の基体16は第1の基体15と略同形に成形されているものの、ピン端子が配設されていないダミー基体となっている。これら第1および第2の基体15,16は、係合部としての一方の凹部15aに係止部としての他方の凸部16aを嵌入させるというスナップ結合を用いて一体化されることにより、前述した第1実施形態例におけるリードブロックの絶縁性基体(図4参照)と大きさや外形が同等な絶縁性基体14となる。なお、第1および第2の基体15,16の一方または両方の外壁には、ハウジング側のコネクタ設定部に係止される係合突起14aが一体成形されている。
【0023】
図6に示す絶縁性基体14の露出端面14bは、ピン端子13群を突出させている第1の基体15の露出端面15bと、ピン端子が配設されていない第2の基体16の露出端面16bとに二分割されているため、第2の基体16をピン端子が配設された略同形な別の基体に差し替えれば、後述する図10に示すように、絶縁性基体14の大きさや外形を変更することなく、その露出端面14bにピン端子群を2列配置させて2枚のフラットケーブルのコネクタ部として機能するリードブロックが得られる。この場合、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、部品コストを低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなる上に、インサート成形加工が必要な第1の基体15についてはそのまま流用できるため、結果としてリードブロック5の部品コストを低減できる。
【0024】
図7は本発明の第3実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図、図8は図7の回転コネクタを底板側から見た平面図、図9は図7の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図、図10は第3実施例形態に係る回転コネクタに用いられたリードブロックの斜視図、図11は図10のリードブロックの分解斜視図であって、図1〜図4および図6と対応する部分には同一符号を付すことで重複する説明は適宜省略してある。
【0025】
この第3実施形態例に係る回転コネクタは、接続する回路数が多い場合に適用されるものであり、図9に示すように収納空間3の内部に2枚のフラットケーブル4,10が組み込まれている。また、この回転コネクタのリードブロック5の絶縁性基体14は、一方のフラットケーブル4の端部に接続されたピン端子13群を保持する第1の基体15と、他方のフラットケーブル10の端部に接続されたピン端子17群を保持する第2の基体18とを組み合わせた構成になっている。第1の基体15にはインサート成形加工によって各ピン端子13の一部が埋設されており、同様に第2の基体18にはインサート成形加工によって各ピン端子17の一部が埋設されている。これら第1および第2の基体15,18は、一方の凹部15aに他方の凸部18aを嵌入させるというスナップ結合により一体化されて、前述した第1実施形態例や第2実施形態例におけるリードブロックの絶縁性基体(図4,6参照)と大きさや外形が同等な絶縁性基体14となる。なお、第1および第2の基体15,18の一方または両方の外壁には、ハウジング側のコネクタ設定部に係止される係合突起14aが一体成形されている。
【0026】
この第3実施形態例において、絶縁性基体14の露出端面14bは、ピン端子13群を突出させている第1の基体15の露出端面15bと、ピン端子17群を突出させている第2の基体18の露出端面18bとに二分割されているため、第1および第2の基体15,18のいずれか一方をピン端子が配設されていない略同形な別の基体に差し替えれば、絶縁性基体14の大きさや外形を変更することなく、その露出端面14bにピン端子群を1列だけ配置させて1枚のフラットケーブルのコネクタ部として機能するリードブロックが得られる。この場合、両ハウジング1,2を含めた回転コネクタのほとんどの構成部品はそのまま流用できるため、低コストを低減でき、それゆえ製品の低コスト化が図りやすくなる上に、第1および第2の基体15,18のいずれか他方についてはそのまま流用できるため、結果としてリードブロック5の部品コストを低減できる。
【0027】
なお、上記第3実施形態例において、第1の基体15と第2の基体18に配設されるピン端子の本数が同じ場合には、両者15.18を同一とすることも可能であり、その場合、リードブロック5の部品コストをさらに低減することができる。
【0028】
また、上記各実施形態例では、フラットケーブルが収納空間の内部に回転可能に配置された移動体のローラにループされている例を説明したが、ローラを使用しないで反転させるものであっても良く、また収納空間の内部に渦巻き状に巻回させるものであっても良い。また、上記各実施形態例では、収納空間にフラットケーブルを1枚収納する場合と2枚収納する場合を説明したが、3枚以上のフラットケーブルを収納ケーブルであっても良く、例えば3枚のフラットケーブルを収納する場合、2つのリードブロックのうちの一方に図4または図6に示すリードブロックを適用することができ、他方のリードブロックには図10に示すリードブロックを適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明の第1実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図である。
【図2】図1の回転コネクタを底板側から見た平面図である。
【図3】図1の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図である。
【図4】第1実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図5】図1の回転コネクタに装着される外部コネクタの斜視図である。
【図6】本発明の第2実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図7】本発明の第3実施形態例に係る回転コネクタを天板側から見た平面図である。
【図8】図7の回転コネクタを底板側から見た平面図である。
【図9】図7の回転コネクタのリードブロック取付箇所を示す要部断面図である。
【図10】第3実施形態例に係るリードブロックの斜視図である。
【図11】図10に示すリードブロックの分解斜視図である。
【符号の説明】
【0030】
1 ステータハウジング
2 ロータハウジング
3 収納空間
4,10 フラットケーブル
5 リードブロック
6a 外筒体
7 下カバー(底板)
8a 天板
8b 内筒体
11,12 コネクタ設定部
13,17 ピン端子
14 絶縁性基体
14b 露出端面
15 第1の基体
16,18 第2の基体
20 外部コネクタ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外筒体および底板を有するステータハウジングと、このステータハウジングに環状の収納空間を介して回転可能に連結され、前記外筒体に対向する内筒体および前記底板に対向する天板を有するロータハウジングと、前記収納空間の内部に巻回状態で収納されたフラットケーブルと、前記フラットケーブルの端部に接続された複数本のピン端子を絶縁性基体に保持させたリードブロックとを備え、前記絶縁性基体が前記ステータハウジングおよび/または前記ロータハウジングに取り付けられると共に、前記絶縁性基体の露出端面から外方へ突出する前記ピン端子群に外部コネクタを装着して使用される回転コネクタであって、前記フラットケーブルに接続された前記ピン端子群を前記絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に集約して配置させたことを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記絶縁性基体が、前記露出端面の一方の領域に露出して前記ピン端子群を保持する第1の基体と、前記露出端面の他方の領域に露出する第2の基体とを組み合わせた構成になっていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記第1の基体と第2基体の一方に係合部を設け、前記第1の基体と第2基体の他方には前記係合部と係止する係止部を設けることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項1】
外筒体および底板を有するステータハウジングと、このステータハウジングに環状の収納空間を介して回転可能に連結され、前記外筒体に対向する内筒体および前記底板に対向する天板を有するロータハウジングと、前記収納空間の内部に巻回状態で収納されたフラットケーブルと、前記フラットケーブルの端部に接続された複数本のピン端子を絶縁性基体に保持させたリードブロックとを備え、前記絶縁性基体が前記ステータハウジングおよび/または前記ロータハウジングに取り付けられると共に、前記絶縁性基体の露出端面から外方へ突出する前記ピン端子群に外部コネクタを装着して使用される回転コネクタであって、前記フラットケーブルに接続された前記ピン端子群を前記絶縁性基体の露出端面を略二等分して得られる一方の領域に集約して配置させたことを特徴とする回転コネクタ。
【請求項2】
請求項1の記載において、前記絶縁性基体が、前記露出端面の一方の領域に露出して前記ピン端子群を保持する第1の基体と、前記露出端面の他方の領域に露出する第2の基体とを組み合わせた構成になっていることを特徴とする回転コネクタ。
【請求項3】
請求項2の記載において、前記第1の基体と第2基体の一方に係合部を設け、前記第1の基体と第2基体の他方には前記係合部と係止する係止部を設けることを特徴とする回転コネクタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−158170(P2009−158170A)
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−332628(P2007−332628)
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月16日(2009.7.16)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月25日(2007.12.25)
【出願人】(000010098)アルプス電気株式会社 (4,263)
【Fターム(参考)】
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