説明

回転式座席およびサスペンション装置

【課題】良好な座り心地を操縦者に提供しつつ、完全に自由に回転することができる、小型、コンパクト、単純な回転式座席および座席サスペンションアセンブリーを提供すること。
【解決手段】座席支持プラットホームおよびサスペンション機構に取り付けられた座席22と、座席22が自由に360度回転できるように台座を介して基礎部12に回転するように取り付けられたプラットホームおよびサスペンション機構を含み、台座は2の回転ハウジングを含み、第1の回転ハウジングは基礎部12に固定して取り付けられ、第2の回転ハウジングは第1に回転するように取り付けられ、サスペンション機構、プラットホームおよび座席22を支持する。サスペンションバネおよびダンパーをサスペンション機構に付随させることによって、座席の座り心地が向上する。ダンパーは一端が第1の回転ハウジングに接続し、反対側の一端はサスペンション機構に接続している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般的には座席用機器、特にブルドーザー、トラクター、およびバックホーのような不整地走行用車両に使用するための、回転式座席および座席サスペンションアセンブリーに関連する。
【背景技術】
【0002】
様々な種類の座席および座席サスペンションのための設計が、不整地走行用車両に特化した要求にあわせて改良されてきた。これらの車両の一部、とくにバックホーの場合には、操縦者が座席についたまま回転しあるいは旋回して、車両の両方の末端の方向に向くことができることが重要である。したがって、座席の回転できる角度は可能な限り大きいことが好ましく、より好ましくは360度にわたって完全に回転する能力を持ち、さらに360度を越えて同じ方向に回転し続ける能力を持つことが好ましい。加えて、運転台または操縦室は比較的小さいため、座席および座席サスペンションアセンブリーのエンベロプまたは設置面積(footprint)は可能なかぎり小さいことも重要である。コンパクト設計の要求をアセンブリーの最下部の部品にまで及ばせることによって、前向きの操縦位置から後ろ向きの操縦位置に座席についたままで回転する場合に、操縦者の脚および足周辺の空間を十分に確保する。
【0003】
したがって、良好な座り心地を操縦者に提供しつつ、完全に自由に回転することができる、小型、コンパクト、単純な回転式座席および座席サスペンションアセンブリーに対する要求が存在する。
【発明の開示】
【発明を解決するための手段】
【0004】
本発明は、座席支持プラットホームおよびサスペンション機構に取り付けられた座席と、プラットホームとサスペンション機構と座席が自由に360度またはそれ以上回転できるように台座を介して基礎部に回転するように取り付けられたプラットホームおよびサスペンション機構を含む、座席および座席サスペンションアセンブリーに向けられる。台座は2の回転ハウジングを含み、第1の回転ハウジングは基礎部に固定して取り付けられ、第2の回転ハウジングは第1の回転ハウジングに回転するように取り付けられ、サスペンション機構、プラットホームおよび座席を支持する。サスペンションバネおよびダンパーをサスペンション機構に付随させることによって、座席の座り心地が向上する。ある実施態様では、ダンパーは台座の内側に位置して、一端が第1の回転ハウジングまたは基礎部に接続し、反対側の一端はサスペンション機構に接続している。別の実施態様では、ダンパーは台座の外側に位置している。
【0005】
本発明の座席および座席サスペンションアセンブリーを用いることによって、操縦者は完全に360度またはそれ以上回転することができる。同時に、これによって着座機器に必要な下部の設置面積を最小化することができ、操縦者にとって十分な脚および足周辺の空間を確保することができる。その上に、本発明では、完全な回転の自由を維持したまま、バネおよびダンパーによる機構、さらには油圧式ダンピングまたは油圧作動のアクティブサスペンション機構を使用することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明の特徴である新規性のある性質は付属の請求項で説明する。しかしながら、本発明の好ましい実施態様と、さらなる目的、関連する利点は、添付の図面と関連する詳細な説明を参照することによって最もよく理解されうる。
【0007】
図1ないし3は、本発明の回転式座席とサスペンションアセンブリー10が、バックホーのような不整地走行用車両の運転台に典型的に設置された様子を図示している。座席とサスペンションアセンブリー10が運転台または乗員用の空間の内部に360度の回転ができるように位置づけられ、車両操縦者は自由に回転して車両の両端の方向に向くことができるようになっている。アセンブリー10は、運転台の床14に固定された基礎部12、台座16,サスペンション機構18、座席プラットホーム20、および座席22を含む。
【0008】
図4ないし6は座席アセンブリー10の構造のさらなる詳細を示す。基礎部12は運転台の床14にボルトまたは溶接によって固定された金属板であってもよいし、前後方向に座席位置を調整できるように、スライド21に取り付けられた成形されたシートメタル構造であってもよい。
【0009】
台座16は、固定された下部回転ハウジング24と、回転する上部回転ハウジング26から構成される。座席サスペンション機構18は上部回転ハウジング16に取り付けられて、それと一体として回転し、図示した実施態様では、一般的に、リンク30および32の形式の平行支持リンク機構を含む。リンク30と32のそれぞれには台座に接続された第1の末端がある。図示したとおり、リンク30は、下部サスペンションブラケット35上のピボット36に取り付けられた末端31を持ち、その一方で、下部サスペンションブラケット35は上部回転ハウジングに固定されている。同様に、リンク32は下部ブラケット35上のピボット36に取り付けられた末端37を持つ。リンク30と32の他の末端38と39は、座席プラットホーム20の支持メンバーとしての機能も持つ上部サスペンションブラケット42上のピボット40と41に接続している。この平行リンク機構によって、座席プラットホーム20と座席22は実質的に水平を保ったまま、図5および6に示したとおり、垂直方向に動くことができる。
【0010】
座席サスペンションプラットホーム20は座席22が取り付けられた固定された金属板または支持構造体でもよいし、図示されたように、前後方向分離サブアセンブリー、または横方向分離サブアセンブリー、または両者の機能を持つ分離装置を含んでもよい。当業者によく知られた様々な種類の分離設計のいずれも、本発明の実施において使用することができる。
【0011】
加えて、ダンパー52とともに機械または空気バネ50を用いてもよく、これによって座席およびサスペンションアセンブリーの座り心地を向上させることができる。本発明の実施態様のひとつによれば、ダンパーは最も好ましくは台座16の内部に位置づけられ、その下部の末端が基礎部12または下部回転ハウジング24に接続される。ダンパーの上部の末端はサスペンション機構18に接続される。より好ましい実施態様では、ダンパーシリンダー54は、二軸型またはボールソケット型取付構造体の形をとりうるジンバル取付装置56に固定される。同様に、ダンパー52のピストンロッド57は、その上部の末端で上部リンク32上のピボット58に固定される。上部回転シリンダー26は、ピボット36を中心としたリンク32の回転によって生じるピストンロッド57の水平方向の運動を収容できる大きさを持つ開口部60を含む。さらに、ジンバル取付装置56によって、ピストンロッド57の同様の水平方向の運動によって生じるシリンダー54の角度変位または傾斜を吸収する。空気バネ50は、当業者によく知られた方法で、座席プラットホーム20と上部リンク32の間に取り付けられる。
【0012】
前記の説明はパッシブ型ダンパーに関するものであるが、アクティブ型サスペンションシステムが望まれる場合には、油圧作動装置を使用してもよい。作動装置に必要な油圧配管62は、図5および6に示すとおり、うまいぐあいに下部の固定された回転ハウジング24の内部に配置することができる。
【0013】
図4Aに示した好ましい実施態様によれば、ダンパーシリンダー54はその最下端70で二軸式ジンバル56を介して、第1の固定された回転ハウジング24の下部の末端に取り付けられている。ジンバル56は、前述のようにサスペンションが作動するときにシリンダー54が傾くことを許容するための回転軸として働くピン72と74を含む。
【0014】
別の実施態様では、ダンパーは上部回転ハウジング26の外部に取り付けられてもよい。この配置では、ダンパーシリンダー54はブラケットまたはフランジを介して回転ハウジング26に取り付けられ、ダンパーピストンロッド32は、すでに述べたものと同じかあるいは類似する方法で、サスペンション機構の平行リンク機構に取り付けられる。
【0015】
本発明の精神から離れることなく、図示された実施態様に対して様々な変更または改造を加えることができることは、当業者にとって明らかである。すべてのかかる変更または改造は、付属の請求項によって保護される。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】不整地走行用車両の運転台に典型的に設置された、本発明のある好ましい実施態様の斜視図を示す図である。
【図2】不整地走行用車両の運転台に典型的に設置された、本発明のある好ましい実施態様の斜視図を示す図である。
【図3】不整地走行用車両の運転台に典型的に設置された、本発明のある好ましい実施態様の斜視図を示す図である。
【図4】好ましい実施態様の構造の示す斜視図および断面図である。
【図4A】図4の4A−4A間の線に沿った断面の拡大図であり、本発明の実施例に有用なジンバル装置の好ましい形態を図示している。
【図5】図4に示したものと同様な断面の拡大図であるが、付加的なアクティブサスペンション装置と、座席とサスペンションアセンブリーが上げられた状態を表している。
【図6】図4に示したものと同様な断面の拡大図であるが、付加的なアクティブサスペンション装置と、座席とサスペンションアセンブリーが下げられた状態を表している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基礎部と、
前記基礎部によって支持される台座を形成する固定された回転ハウジングと回転する回転ハウジングと、
座席支持プラットホームと、
前記座席支持プラットホームが360度にわたって回転し、前記プラットホームと前記台座の間に配置され前記プラットホームと前記台座を接続するサスペンション機構と
を含む座席用サスペンション装置。
【請求項2】
サスペンション機構に関連づけられたバネとダンパーをさらに含む、請求項1の記載のサスペンション装置。
【請求項3】
前記台座と前記サスペンション機構の間に取り付けられたダンパーをさらに含む、請求項2の記載のサスペンション装置。
【請求項4】
前記ダンパーが前記台座の内部に配置される、請求項3に記載のサスペンション装置。
【請求項5】
前記ダンパーが油圧ショックアブソーバーを含み、この油圧ショックアブソーバーは前記台座の内部に取り付けられたシリンダーと、前記台座の一端を通じて伸び台座の外部の前記サスペンション機構に接続するピストンとを持つ、請求項4に記載のサスペンション装置。
【請求項6】
前記サスペンション機構が一般的に平行な複数の支持リンク機構を含み、各支持リンク機構は前記台座に接続された1の末端とプラットホーム支持メンバーに接続されたもう1の末端をもつ、請求項3に記載のサスペンション装置。
【請求項7】
前記支持リンク機構が一対の下部リンクを含み、一般的に各下部リンク1対の上部リンクの1と平行となり、前記ダンパーはその一端で前記上部リンクに接続される、請求項6に記載のサスペンション装置。
【請求項8】
前記座席支持プラットホームが前後方向分離装置を含む、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項9】
前記座席支持プラットホームが横方向分離装置を含む、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項10】
前記台座の内部に取り付けられる油圧作動装置であって、一端が前記台座または前記固定された回転ハウジングのいずれか一方に接続され、他の一端が前記台座の外部で前記サスペンションまたは前記座席支持プラットホームに接続される油圧作動装置によって、前記サスペンション機構がコントロールされる、請求項1に記載のサスペンション装置。
【請求項11】
前記サスペンション機構または座席支持プラットホームが移動する際に前記作動装置が傾斜できるように、前記油圧作動装置を前記基礎部または固定された回転ハウジングに接続するジンバル取付装置をさらに含む、請求項10に記載のサスペンション装置。
【請求項12】
座席支持プラットホームおよびサスペンション機構に取り付けられた座席であって、前記プラットホームとサスペンションが台座を介して基礎部に取り付けられ、前記プラットホーム、サスペンション機構、および座席は360度にわたって回転できる、座席と、
2の回転ハウジングを含む前記台座であって、第1は前記基礎部に固定されて取り付けられ、第2は第1に対して回転するように取り付けられて、前記サスペンション機構、プラットホーム、および座席を支持する、前記台座と、
前記座席の座り心地を向上させる前記サスペンション機構に関連するサスペンションバネとダンパーであって、前記ダンパーは前記台座の内部に位置づけられ、その1の末端で第1の回転ハウジングに接続され、もう1の末端で前記サスペンション機構に接続される、サスペンションバネとダンパーと
を含む座席および座席サスペンションアセンブリー。
【請求項13】
前記ダンパーがジンバル取付装置を介して第1の回転ハウジングに接続して、前記サスペンション機構の動作による前記ダンパーの傾斜を許容する、請求項12に記載の座席および座席サスペンションアセンブリー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図4A】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−239141(P2008−239141A)
【公開日】平成20年10月9日(2008.10.9)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2008−24823(P2008−24823)
【出願日】平成20年2月5日(2008.2.5)
【出願人】(508037016)シアーズ・マニュファクチュアリング・カンパニー (3)
【Fターム(参考)】