説明

回転装置

【課題】 駆動部が従動部を高速かつ安定に回転駆動させることができる回転装置を提供する。
【解決手段】 駆動部(12、32)と、駆動部(12、32)に接続された従動部(14、34)を有する回転装置において、駆動部(12、32)が、駆動モーター(16、36)と、駆動モーター(16、36)によって駆動軸心(X1)の周りで回転駆動される駆動軸(18、38)と、駆動軸(18、38)に取り付けられた駆動プーリー(20、40)を有し、従動部(14、34)が、従動軸心(X2)の周りで回転自在に構成された従動軸(24、44)と、従動軸(24、44)に取り付けられた従動プーリー(26、46)を有し、従動プーリー(26、46)が駆動プーリー(20、40)を押圧することにより所定の摩擦力が発生し、この摩擦力により駆動軸(18、38)が従動軸(24、44)を回転駆動することを特徴とする回転装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動部と駆動部に接続された従動部を有する回転装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、駆動部と駆動部に接続された従動部を有する回転装置においては、ベルトや歯車を用いて駆動部が従動部を回転駆動していた。
【0003】
特許文献1には、回転数を変更可能な原動機を備え、該原動機の回転を主軸に伝達する工作機械の主軸頭が示されている。
【特許文献1】特開平5−337701号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、歯車で回転を伝達する場合は、振動や騒音が発生する問題があり、高速回転するには装置を大型化する必要がある。また、ベルトで回転を伝達する場合は、ベルトのスリップ等により高速回転するには限界がある。
【0005】
そこで本発明は、駆動部が従動部を高速かつ安定に回転駆動させることができる回転装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の解決手段を例示すると、以下のとおりである。
【0007】
(1) 駆動部(12、32)と、駆動部(12、32)に接続された従動部(14、34)を有する回転装置において、
駆動部(12、32)が、駆動モーター(16、36)と、駆動モーター(16、36)によって駆動軸心(X1)の周りで回転駆動される駆動軸(18、38)と、駆動軸(18、38)に取り付けられた駆動プーリー(20、40)を有し、
従動部(14、34)が、従動軸心(X2)の周りで回転自在に構成された従動軸(24、44)と、従動軸(24、44)に取り付けられた従動プーリー(26、46)を有し、
従動プーリー(26、46)が駆動プーリー(20、40)を押圧することにより所定の摩擦力が発生し、この摩擦力により駆動軸(18、38)が従動軸(24、44)を回転駆動することを特徴とする回転装置。
【0008】
(2) 従動プーリー(26、46)が、第1従動部材(26a、46a)と第2従動部材(26b、46b)からなり、第1従動部材(26a、46a)と第2従動部材(26b、46b)の少なくとも一方が、従動軸心(X2)に沿って他方に向けて移動することにより、駆動プーリー(20、40)を押圧することを特徴とする先述の回転装置。
【0009】
(3) 駆動プーリー(40)が、従動プーリー(46)と接続する駆動接続部(40a)を有し、駆動接続部(40a)の駆動軸心(X1)を含む断面がくさび形に構成されていることを特徴とする先述の回転装置。
【0010】
(4) 駆動プーリー(40)と従動プーリー(46)との間に摩擦プレート(42)が設けられていることを特徴とする先述の回転装置。
【0011】
(5) 従動部(34)に皿バネ(48)が設けられていて、皿バネ(48)により従動プーリー(46)が駆動プーリー(40)を押圧することを特徴とする先述の回転装置。
【発明の効果】
【0012】
本発明の回転装置によれば、駆動部が従動部を高速かつ安定に回転駆動させることができる。
【0013】
従動プーリーが、第1従動部材と第2従動部材からなり、第1従動部材と第2従動部材の少なくとも一方が、従動軸心に沿って他方に向けて移動することにより、駆動プーリーを押圧すると、従動プーリーが駆動軸心に沿った駆動プーリーの少なくとも一方の振動を吸収することができ、従動軸をより安定して回転駆動することができる。とくに、第1従動部材と第2従動部材の両方が、従動軸心に沿って互いに向けて移動することにより、駆動プーリーを押圧すると、従動プーリーが駆動軸心に沿った駆動プーリーの両方向の振動を吸収することができ、従動軸を更に安定して回転駆動することができる。
【0014】
駆動プーリーが、従動プーリーと接続する駆動接続部を有し、駆動接続部の駆動軸心を含む断面がくさび形に構成されていると、駆動プーリーと従動プーリーの接触面積を増やすことができ、より多くの摩擦力で従動プーリーを回転駆動することができる。
【0015】
駆動プーリーと従動プーリーとの間に摩擦プレートが設けられていると、摩擦プレートを容易に交換でき、常に適切な摩擦力で回転駆動を行うことができる。
【0016】
従動部に皿バネが設けられていて、皿バネにより従動プーリーが駆動プーリーを押圧すると、従動プーリーが周方向に均等な押圧力で駆動プーリーを押圧でき、駆動プーリーをより安定して押圧することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
本発明の最良の形態による回転装置は、駆動部と、駆動部に接続された従動部を有する。駆動部が、駆動モーターと、駆動モーターによって駆動軸心の周りで回転駆動される駆動軸と、駆動軸に取り付けられた駆動プーリーを有する。従動部が、従動軸心の周りで回転自在に構成された従動軸と、従動軸に取り付けられた従動プーリーを有する。従動プーリーが、駆動プーリーを押圧することにより所定の摩擦力が発生し、この摩擦力により駆動軸が従動軸を回転駆動する。
【0018】
本発明においてプーリーの用語は、最も広義に解釈されるものとし、典型的には、モーターの動力を直接的又は間接的に伝えるものを意味する。
【0019】
好ましくは、従動プーリーが、第1従動部材と第2従動部材からなり、第1従動部材と第2従動部材の少なくとも一方が、従動軸心に沿って他方に向けて移動することにより駆動プーリーを押圧する。更に好ましくは、後述の実施例に示すように、従動プーリーが、第1従動部材と第2従動部材からなり、第1従動部材と第2従動部材の両方が、従動軸心に沿って互いに向けて移動することにより駆動プーリーを押圧する。
【0020】
好ましくは、駆動プーリーが、従動プーリーと接続する駆動接続部を有し、駆動接続部の駆動軸心を含む断面がくさび形に構成されている。本発明におけるくさび形は、三角形や接頭円錐形の他、半円形等、摩擦力を多く伝達できる種々の形状を含む。
【0021】
好ましくは、駆動プーリーと従動プーリーとの間に摩擦プレートが設けられている。後述の実施例に示すように、摩擦プレートを駆動プーリーにのみ設けるのが好ましいが、本発明は摩擦プレートが従動プーリーにのみ設けられている構成と、摩擦プレートが駆動プーリーと従動プーリーの両方に設けられている構成を含む。
【0022】
好ましくは、従動部に皿バネが設けられていて、皿バネにより従動プーリーが駆動プーリーを押圧する。
【実施例1】
【0023】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
【0024】
図1は、本発明による回転装置の主要部を示す概念図である。
【0025】
回転装置10は、駆動部12と、駆動部12に接続された従動部14を有する。
【0026】
駆動部12は、駆動モーター16と、駆動モーター16によって駆動軸心X1の周りで回転駆動される駆動軸18と、駆動軸18に取り付けられた駆動プーリー20を有する。すなわち、駆動軸18と駆動プーリー20はともに回転するようになっている。
【0027】
従動部14は、従動軸心X2の周りで回転自在に構成された従動軸24と、従動軸24に取り付けられた従動プーリー26を有する。すなわち、従動軸24と従動プーリー26はともに回転するようになっている。
【0028】
従動プーリー26は、駆動プーリー20を押圧することにより所定の摩擦力を発生させる。
【0029】
図1に示された実施例においては、従動プーリー26が、従動軸心X2に沿って移動可能な第1従動部材26aと第2従動部材26bからなる。
【0030】
第1従動部材26aは、従動軸心X2に沿った方向の押圧力F1(F1≧0)で駆動プーリー20を押圧する。
【0031】
第2従動部材26bは、従動軸心X2に沿った方向の押圧力F1とは反対方向の押圧力F2(F2≧0、F1+F2>0)で駆動プーリー20を押圧する。
【0032】
すなわち、第1従動部材26aと第2従動部材26bの少なくとも一方が、従動軸心X2に沿って他方に向けて移動することにより、駆動プーリー20を押圧する。
【0033】
この摩擦力により駆動軸18が従動軸24を回転駆動するようになっている。
【実施例2】
【0034】
以下、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
【0035】
図2は、本発明による回転装置の主要部の一例を示す部分側断面図である。図3は、図2の回転装置の全体図である。図2と図3に示された例においては、回転装置は工作機械に取り付けられている。図4は、駆動接続部付近を示す拡大図である。
【0036】
回転装置30は、駆動部32と、駆動部32に接続された従動部34を有する。
【0037】
駆動部32は、駆動モーター36と、駆動モーター36によって駆動軸心X1の周りで回転駆動される駆動軸38と、駆動軸38に取り付けられた駆動プーリー40を有する。すなわち、駆動軸38と駆動プーリー40はともに回転するようになっている。
【0038】
駆動プーリー40は、従動プーリー46と接続する駆動接続部40aを有する。駆動接続部40aの駆動軸心X1を含む断面は、くさび形に構成されている。
【0039】
駆動プーリー40と従動プーリー46との間に摩擦プレート42が設けられている。
【0040】
駆動プーリー40の駆動接続部40aに摩擦プレート42が設けられている。摩擦プレート42は、回転伝達時のスリップを防ぐ為、摩擦係数の大きい素材からなり、例えば硬質ゴムから形成される。
【0041】
摩擦プレート42は、駆動軸心X1に対して斜めに配置された第1摩擦プレート42aと第2摩擦プレート42bからなる。
【0042】
第1摩擦プレート42aと第2摩擦プレート42bの幅Wは10〜30mmであり、好ましくは20mmである。幅Wが10mm未満の場合及び幅Wが80mmを超える場合は、周速違いが多いため不都合である。
【0043】
第1摩擦プレート42aと第2摩擦プレート42bの厚さTは1〜3mmであり、好ましくは2mmである。厚さTが1mm未満の場合及び厚さTが3mmを超える場合は、接触圧力不均等のため不都合である。
【0044】
第1摩擦プレート42aと第2摩擦プレート42bのなす角度Aは10〜30°であり、好ましくは20°である。角度Aが10°未満の場合及び角度Aが30°を超える場合は、接触面圧不安定のため不都合である。
【0045】
第1摩擦プレート42aは後述する第1従動部材46aと摩擦力を介して接続する。第2摩擦プレート42bは後述する第2従動部材46bと摩擦力を介して接続する。第1摩擦プレート42aと第2摩擦プレート42bが駆動軸心X1に対して斜めに配置されていることにより、駆動軸心X1に対して平行又は垂直に配置されている場合と比較してより多くの摩擦力が伝達されるようになっている。
【0046】
従動部34は、従動軸心X2の周りで回転自在に構成された従動軸44と、従動軸44に取り付けられた従動プーリー46を有する。すなわち、従動軸44と従動プーリー46はともに回転するようになっている。
【0047】
従動プーリー46は、駆動プーリー40を押圧することにより所定の摩擦力を発生させる。従動部34に皿バネ48が設けられている。また、皿バネ48により従動プーリー46が駆動プーリー40を押圧するようになっている。
【0048】
従動プーリー46は、従動軸心X2に沿って僅かに移動可能な第1従動部材46aと第2従動部材46bからなる。
【0049】
皿バネ48は、第1皿バネ48aと第2皿バネ48bからなる。
【0050】
第1従動部材46aの第2従動部材46bと反対側の端部には、第1皿バネ48aが設けられている。第1皿バネ48aの第1従動部材46aと反対側の端部は、従動軸44に固定されている。第1皿バネ48aを用いて、第1従動部材46aは、従動軸心X2に沿った方向の押圧力F3(F1>0)で駆動プーリー40を押圧する。
【0051】
第2従動部材46bの第1従動部材46aと反対側の端部には、第2皿バネ48bが設けられている。第2皿バネ48bの第2従動部材46bと反対側の端部は、従動軸44に固定されている。第2皿バネ48bを用いて、第2従動部材46bは、従動軸心X2に沿った方向の押圧力F3とは反対方向の押圧力F4(F2>0)で駆動プーリー40を押圧する。
【0052】
すなわち、第1従動部材46aと第2従動部材46bが、従動軸心X2に沿って互いに向けて移動することにより駆動プーリー40を押圧する。
【0053】
この摩擦力により駆動プーリー40が従動プーリー46を回転駆動するようになっている。
【0054】
なお、本発明は図示された実施例に限定されない。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明による回転装置の主要部を示す概念図である。
【図2】本発明による回転装置の主要部の一例を示す部分側断面図である。
【図3】図2の回転装置の全体図である。
【図4】駆動接続部付近を示す拡大図である。
【符号の説明】
【0056】
10、30 回転装置
12、32 駆動部
14、34 従動部
16、36 駆動モーター
18、38 駆動軸
20、40 駆動プーリー
24、44 従動軸
26、46 従動プーリー
26a、46a 第1従動部材
26b、46b 第2従動部材
40a 駆動接続部
42 摩擦プレート
48a 第1皿バネ
48b 第2皿バネ
X1 駆動軸心
X2 従動軸心
F1、F2、F3、F4 押圧力


【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動部(12、32)と、駆動部(12、32)に接続された従動部(14、34)を有する回転装置において、
駆動部(12、32)が、駆動モーター(16、36)と、駆動モーター(16、36)によって駆動軸心(X1)の周りで回転駆動される駆動軸(18、38)と、駆動軸(18、38)に取り付けられた駆動プーリー(20、40)を有し、
従動部(14、34)が、従動軸心(X2)の周りで回転自在に構成された従動軸(24、44)と、従動軸(24、44)に取り付けられた従動プーリー(26、46)を有し、
従動プーリー(26、46)が駆動プーリー(20、40)を押圧することにより所定の摩擦力が発生し、この摩擦力により駆動軸(18、38)が従動軸(24、44)を回転駆動することを特徴とする回転装置。
【請求項2】
従動プーリー(26、46)が、第1従動部材(26a、46a)と第2従動部材(26b、46b)からなり、第1従動部材(26a、46a)と第2従動部材(26b、46b)の少なくとも一方が、従動軸心(X2)に沿って他方に向けて移動することにより、駆動プーリー(20、40)を押圧することを特徴とする請求項1に記載の回転装置。
【請求項3】
駆動プーリー(40)が、従動プーリー(46)と接続する駆動接続部(40a)を有し、駆動接続部(40a)の駆動軸心(X1)を含む断面がくさび形に構成されていることを特徴とする請求項1又は2に記載の回転装置。
【請求項4】
駆動プーリー(40)と従動プーリー(46)との間に摩擦プレート(42)が設けられていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の回転装置。
【請求項5】
従動部(34)に皿バネ(48)が設けられていて、皿バネ(48)により従動プーリー(46)が駆動プーリー(40)を押圧することを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の回転装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−139082(P2007−139082A)
【公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−333975(P2005−333975)
【出願日】平成17年11月18日(2005.11.18)
【出願人】(000104537)キタムラ機械株式会社 (19)
【Fターム(参考)】