説明

回転角検出又は回転同期装置

【課題】レゾルバ、シンクロ等の回転角検出又は回転同期装置の構造を簡素化すること。
【解決手段】レゾルバ100は、平板250で構成されたステータ200を備える。そのステータ200の内周縁部においてステータティース210a〜210hが形成される。ステータ200に対して回転可能にロータ300が設けられる。各ステータティース210a〜210hには、樹脂製のボビン410a〜410hを有する絶縁キャップ400が装着される。さらに、そのボビン410a〜410hの上に、ボビン410a〜410hから露出したステータティースの露出部を支持する支持部420a〜420hが形成される。その支持部420a〜420hは、露出部のロータ300と対向しない非対向面と当接する壁部と、その壁部に対して起立して設けられるリブとから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ステータ及びロータを有するレゾルバ、シンクロ等の回転角検出又は回転同期装置の構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ステータ及びロータを有し、ステータに対するロータの回転位置によってステータとロータとの間の相互インダクタンスが変化することを利用して、ステータに対するロータの回転角に応じた検出信号を出力する回転角検出装置としてのレゾルバが知られている(例えば、特許文献1参照)。ここで、図10は、従来のレゾルバの構造を示した図である。図10のレゾルバ900は、内周面910aから内方へ突出する複数のステータティース920が形成されたステータ910を備える。また、ステータ910の内側には、ロータ980が回転可能に設けられる。そのロータ980は、回転軸回りの回転によりステータティース920とのギャップパーミアンスが変化するようにステータ910に対して回転可能に設けられる。
【0003】
各ステータティース920には、絶縁性の樹脂からなるボビン941を介してステータ巻線950が巻回される。そのステータ巻線950は、複数相の巻線から構成される。具体的には、ステータ巻線950は、励磁信号が入力されてステータティース920を励磁する励磁巻線951と、ロータ980の回転にともなって変化するギャップパーミアンスに応じた検出信号が出力される出力巻線952とを有する。
【0004】
また、各ステータティース920には、その外側を覆うように樹脂製のボビン941が設けられる。そして、各ボビン941の外側にステータ巻線950が巻回される。これは、ステータ巻線950とステータティース920との絶縁を確保できる等の効果を狙ったものである。なお、これらボビン941を一体的に含んで絶縁キャップ940が構成される。
【0005】
このような構成のレゾルバ900では、励磁巻線951の両端線が接続されたコネクタピン971間に励磁信号が入力されると、ステータティース920が励磁される。この状態で、ロータ980が回転してギャップパーミアンスが変化すると、出力巻線952には、そのギャップパーミアンスに応じた検出信号が発生される。そして、出力巻線952の端線と接続されたコネクタピン971から出力される検出信号に基づいて、ロータ980の回転角が検出される。
【0006】
また従来、レゾルバと同様の構造を有する回転同期装置としてのシンクロが知られている。このシンクロは、レゾルバと同様のステータ及びロータを有し、ステータティースに巻回される出力巻線からロータの回転角に応じて正弦波状に変化する互いに位相角が120度ずれた3相の信号を出力する。そして、同じ構造の2つのシンクロを接続すると、各シンクロから出力される信号の差に基づいて、一方のシンクロのロータが、他方のシンクロのロータと同じ回転角となるように回転される。すなわち、これら2つのシンクロが同期される。このように、シンクロは、一般的に、2個1組で用いられ、この場合、一方をシンクロ発信機と称し、他方をシンクロ受信機と称する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2003−344107号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、レゾルバ、シンクロにおいては、回転角の検出精度を高めるためには、励磁巻線や出力巻線を精度良く巻回する必要がある。しかしながら、特許文献1に開示されたレゾルバ900では、ステータティース920が内方に向けて設けられているため、励磁巻線951や出力巻線952を精度良く巻回ための機構が複雑になる。また、ステータティース920が内方に向けて設けられているため、巻回するためのスペースが狭くなる。また、従来のステータ910は、複数の電磁鋼板を積層するなどして、十分な厚さで構成されていたので、レゾルバ、シンクロの製造工程が複雑化するという問題があった。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、レゾルバ、シンクロ等の回転角検出又は回転同期装置の構造を簡素化することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するために、本発明の回転角検出又は回転同期装置は、磁性材料の平板に形成されその平板面に対して起立したステータティースを有するステータと、
前記ステータティースの先端側の一部が露出するように、前記ステータティースに装着される樹脂製のボビンと、
磁性材料から構成され、前記ボビンから露出した前記ステータティースの両面のうちの一方の面と対向するように設けられ、回転軸回りの回転により前記一方の面とのギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
前記ロータの回転にともなって変化する前記ギャップパーミアンスに応じた検出信号を出力させるための、前記ボビンを介して前記ステータティースに巻回されるステータ巻線と、
前記ボビンから露出した前記ステータティースの両面のうちの前記ロータと対向しない方の面である非対向面において前記ステータティースを支持する支持部と、を備えることを特徴とする。
【0011】
これによれば、ステータティースが平板面に対して起立しているので、ステータの内側の狭い空間でステータ巻線を巻回させる必要がなくなる。そのため、ステータ巻線を精度良く巻回することができる。また、ステータが平板で形成されているので、ステータの構造を簡素化することができる。また、ステータティースには樹脂製のボビンが装着され、そのボビンを介してステータ巻線が巻回されるので、ステータティースとステータ巻線とを確実に絶縁させることができる。また、ボビンをステータティースに装着した際に、ステータティースの先端側の一部が露出され、その露出した部分の一方の面と対向するようにロータが設けられる。そのため、ステータティースの露出した部分とロータとの間で、効率的に磁束のやり取りをさせることができるので、ロータ回転角の検出精度を向上できる。さらに、ステータティースのロータと対向しない非対向面において、ステータティースを支持する支持部が設けられるので、ステータティースの位置が変わってしまうのを防止できる。その結果、ロータ回転角の検出精度が低下するのを防止できる。また、支持部は、ステータティースの非対向面で支持するので、ステータティースとロータとの間の磁束のやり取りに影響を与えない。
【0012】
また、本発明の回転角検出又は回転同期装置において、前記支持部は、前記非対向面に対して起立したリブであり、そのリブが、前記ボビンと接続されたとすることができる。
【0013】
これによれば、ステータティースの非対向面にリブが起立して設けられ、そのリブがボビンと接続されているので、そのリブ及びリブと接続されたボビンでステータティースの変位を規制することができる。
【0014】
また、本発明の回転角検出又は回転同期装置において、前記リブは、前記ボビンと一体化されて樹脂で形成されたものとすることができる。
【0015】
このように、リブとボビンとを一体化することで、それらを強固に接続できる。
【0016】
また、本発明の回転角検出又は回転同期装置において、前記支持部は、
前記非対向面と当接する面を有し、その面で前記非対向面と固着した樹脂製の壁部を備え、
前記リブは、前記壁部と一体化して前記壁部に起立して設けられ、前記壁部を介して前記ステータティースを支持するものとすることができる。
【0017】
これによれば、支持部は、非対向面と当接する面を有する壁部を備えているので、非対向面の広い範囲においてステータティースを支持することができる。さらに、その壁部と非対向面とが固着されているので、確実に、ステータティースを支持することができる。そして、リブが、その壁部と一体化して壁部に起立して設けられるので、リブによって、ステータティースの位置が変わってしまうのを確実に防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】第一実施形態のレゾルバ100の構成例の分解斜視図である。
【図2】第一実施形態のステータ200及び絶縁キャップ400の分解斜視図である。
【図3】ボビン410及び支持部の構造を説明する図である。
【図4】ステータティースにボビン及び支持部が装着された状態を示した図である。
【図5】ロータ300の構造の説明図である。
【図6】ステータ巻線の説明図である。
【図7】ロータ300が回転状態のときのある時刻における磁束の向きを模式的に示した図である。
【図8】レゾルバ100の製造方法の一例のフロー図である。
【図9】シンクロの用途例を示した図である。
【図10】従来のレゾルバの構造を示した図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
(第一実施形態)
次に、本発明に係る回転角検出装置としてのレゾルバの第一実施形態について説明する。図1は、第一実施形態のレゾルバ100の構成例の分解斜視図である。なお、図1では、ステータ巻線等の配線の図示を省略するとともに、ステータとロータとを分解して示している。また、図1では、レゾルバ100が、8個のステータティースを有し、1相励磁2相出力型のレゾルバを例に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。図2は、図1のステータ200及び絶縁キャップ400の分解斜視図である。図2において、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。
【0020】
レゾルバ100は、ステータ(固定子)200と、ロータ(回転子)300とを含む。レゾルバ100は、いわゆるインナーロータ型の回転角検出装置である。すなわち、ステータ200の内側にロータ300が設けられ、ステータ200がロータ300の外周側(外径側)の側面と対向した状態で、ロータ300の回転角に応じて、ステータ200に設けられたステータ巻線を構成する出力巻線からの信号が変化するようになっている。
【0021】
ステータ200は、磁性材料からなる環(リング)状の平板250を用いて構成され、この平板250に複数のステータティースが設けられている。これらのステータティースは、平板250の平板面に対して交差するように設けられている。図1では、ステータ200は、折り曲げ加工(広義には曲げ加工)等により平板面に対して同一面側に略垂直に起こされた8個のステータティース(突極部)210a、210b、210c、210d、210e、210f、210g、210hを有する。ステータティース210a〜210hは、プレス加工により予め平板250に形成された後、折り曲げプレス加工(広義には曲げ加工)により、平板250の面に対して略垂直となるように起こされている。これらのステータティースは、環状の平板250の内側(内径側)の縁部に形成される。また、これらのステータティースは、各ステータティースの面のうち少なくともロータ300の側面と対向する面は平面ではなく、ロータ300の回転軸の方向に沿って見たときに、環状の平板250の内径側に位置する点を中心とする円弧の一部となるように形成されている。
【0022】
このような磁性材料からなるステータ200の平板250の材質は、電磁鋼板、普通鋼であるSPCC又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10Cであることが望ましい。SPCC(Steel Plate Cold Commercial)は、JIS G3141に規定される冷間圧延鋼板及び鋼帯である。S45Cは、JIS G4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.45%程度の炭素を含有している。S10Cは、JIS G4051で規定される機械構造用炭素鋼鋼材で、0.10%程度の炭素を含有している。
【0023】
以上のような構成を有するステータ200は、磁性材料として1枚の電磁鋼板により構成されるため、材料費として高価である上に折り曲げプレス加工による曲げに弱く、曲げによる加工精度や信頼性を維持できにくい積層電磁鋼板を採用する場合に比べて、低コストで、曲げによる加工精度や信頼性を維持できるようになる。しかも、曲げ加工による磁性材料の粒状破壊を防止し、曲げ加工前の磁気特性を確保することにより高精度な角度検出を可能とする。
【0024】
また、ステータ200に対して突出するように、外部からの励磁信号を入力したり検出信号を出力したりするためのコネクタピン471〜476が設けられるコネクタユニット600が設けられる。そして、図2に示すように、そのコネクタユニット600の一部を構成する延設部260が、ステータ200に対して突出するように設けられる。その延設部260は、ステータ200を構成する平板250が延ばされて形成されたものである。また、延設部260は、内側がくり抜かれた四角の枠状とされている。
【0025】
また、ステータ200には、環状の絶縁キャップ400が装着される。絶縁キャップ400には、ステータ200のステータティース210a〜210hの位置に合わせて設けられた複数のボビン410a、410b、410c、410d、410e、410f、410g、410hが一体に形成されている。各ボビン410a〜410hは、挿入孔(ステータティース挿入孔)を有し、当該ボビンに対応するステータティースがその挿入孔に挿入されるとともに、その外側にステータ巻線が巻回される。複数のボビン410a〜410hを構成する各ボビンの挿入孔の向きは、ロータ300の回転軸の向きである。
【0026】
また、各ボビン410a〜410hの上端部には、各ボビン410a〜410hと一体的に形成された支持部420a〜420hが設けられる。それら支持部420a〜420hは、絶縁キャップ400を構成する同じ樹脂で形成されたものである。また、それら支持部420a〜420hは、各ステータティース210a〜210hを支持して、ステータティース210a〜210hの平板250に対する傾きが変わるなどのステータティース210a〜210hが変位するのを防止するものである。
【0027】
ここで、図3は、ボビン410a〜410h及びこれと一体的に形成された支持部420a〜420hの構造を説明する図である。具体的には、図3(a)は、ボビン及び支持部の正面図を示している。なお、図3(a)において、紙面手前側が絶縁キャップ400の外周側であり、紙面奥側が絶縁キャップ400の中心(ロータ300の回転軸)側である。また、図3(b)は、ボビン及び支持部の側面図を示している。また、図3(c)は、ボビン及び支持部を上方から見たときの平面図を示している。また、図3(d)は、図3(a)におけるボビン及び支持部を反対側(紙面奥側から手前側に向かう方向)から見たときのボビン及び支持部の背面図を示している。なお、各ボビン410a〜410hは互いに同じ形状とされ、各支持部420a〜420hは互いに同じ形状とされる。
【0028】
図3に示すように、ボビン410a〜410hは、内部に挿入孔414が形成された筒状の本体411を有する。本体411の上端部には、ステータ巻線の位置ずれを防止する位置ずれ防止手段としてのつば部412が設けられる。そのつば部412によってボビン410a〜410hに凹部が形成されるようにし、この凹部においてステータ巻線の位置がずれないようになっている。これによって、磁束の均一化を図ることができるようになり、信頼性を向上させることができるようになる。また、本体411の下端部には、絶縁キャップ400の環状部材の一部を構成する基部413が設けられる。本体411は、その基部413に対して直角に起立して設けられる。
【0029】
本体411に形成された挿入孔414は、本体411、つば部412及び基部413を含むボビン410a〜410hを上下に貫くように形成されている。その挿入孔414の向きは、ロータ300の回転軸の向きと一致している。また、挿入孔414は、図3(c)に示すように、断面が矩形状とされる。より詳細には、図3(a)、(d)の正面又は背面側から見たときの挿入孔414の幅が広くなっているのに対し、図3(b)の側面側から見たときの挿入孔414の幅が狭くなっている。また、挿入孔414の断面は、ステータティース210a〜210hの断面と略同じとされる。よって、ステータティース210a〜210hにボビン410a〜410hが装着されると、ステータティース210a〜210hが挿入孔414に丁度はまるようになっている。これによって、ボビン410a〜410hがステータティース210a〜210hに対してぐらつくのを防止でき、その結果、検出精度を向上できる。
【0030】
支持部420a〜420hは、ボビン410a〜410hのつば部412の上に形成される。その支持部420a〜420hは、図3に示すように、壁部421とリブ422とから構成される。壁部421は、平板状の部材がつば部412に対して直角に起立して、壁のように設けられたものである。より詳細には、壁部421は、平らな壁面421a、421bを有し、図3(a)、(d)に示すように、それら壁面421a、421bが正面、背面側となるように、形成される。また、壁部421は、図3(a)、(d)の正面側(背面側)から見たときの幅が、ボビン410a〜410hの挿入孔414の幅と略同じとされる。そして、図3(a)、(c)、(d)に示すように、壁部421は、幅方向において、挿入孔414と一致するように、すなわち、正面側(背面側)から見たときの壁部421の境界線と挿入孔414の境界線とが一つに繋がるように、形成される。
【0031】
また、壁部421は、図3(c)の平面視側から見たときに、壁部421の輪郭をなす矩形と挿入孔414の輪郭をなる矩形とが隣接するように、形成される。換言すれば、壁部421の一方の壁面(図3では壁面421b)と挿入孔414の一つの壁面とが一つに繋がっている。なお、挿入孔414側にある壁部421の壁面421bの側にロータ300が設けられ、その反対の壁面421aの側に後述するリブ422が形成される。
【0032】
また、壁部421は、その壁面421a、421bの大きさが、ボビン410a〜410hが装着されたときのステータティース210a〜210hにおけるボビン410a〜410hから露出した部分の面と同じ大きさとされる。すなわち、壁面421a、421bの高さ、幅は、ステータティース210a〜210hの露出した部分の高さ、幅と同じとされる。
【0033】
支持部420a〜420hの一部を構成するリブ422は、壁部421と一体化して壁部421に起立して形成されたものである。厳密には、リブ422は、壁部421の挿入孔414側ではない壁面421aの側に形成され、その壁面421aに対して直角に起立される。また、リブ422は、ボビン410a〜410hの上端部、つまりつば部412の上面に対しても、直角に起立して形成される。そして、リブ422は、つば部412の上面において、つば部412と一体化して接続される。このように、リブ422は、壁部421とつば部412の両方に対して直角に起立して形成され、その両方と一体化して接続される。なお、リブ422は、図3(b)の側面側から見たときに直角三角形の形状とされる。
【0034】
このように構成されたボビン及び支持部には、ステータティース210a〜210hが挿入される。ここで、図4は、ボビン及び支持部にステータティース210a〜210hが挿入された状態を示した図である。図4(a)は、側面視側(図3(b)と同じ方向)から見たときの図を示している。また、図4(b)は、正面視側(図3(a)と同じ方向)から見たときの図を示している。なお、図4では、ロータ300も示している。図4(a)に示すように、ボビン410a〜410h(挿入孔414)にステータティース210a〜210hが挿入されると、ステータティース210a〜210hの先端側の一部が露出される。この露出した部分を露出部211とすると、上述したように壁部421が挿入孔414と隣接して形成されているので、露出部211の一方の面211bと壁部421の一方の面421bとが当接する。そして、これら面211b、421bは、互いに固着している。その固着は、支持部420a〜420hが、射出成形により、ステータ200に対して装着された状態で形成されることで、なされる。
【0035】
さらに、上述したように、露出部211の高さと壁部421の高さとが同じとされているので、露出部211の上端と壁部の上端とが一致している。また、上述したように、壁部421の壁面421a、421bの幅と露出部211の幅とも同じとされている。つまり、壁面421a、421bの大きさが、露出部211の面211a、211bの大きさと同じとされているので、図4(b)の正面視側から見たときに、露出部211が壁部421で隠れる位置関係となっている。
【0036】
このような位置関係で設けられるボビン410a〜410h、支持部420a〜420h及びステータティース210a〜210h(露出部211)に対して、ロータ300は、その側面(後述する対向部)が、ステータティースの露出部211の一方の面211aと対向するように設けられる。以下、ロータ300と対向する露出部211の面211aを「対向面」と称し、対向しない面211bを「非対向面」と称する。このように、支持部420a〜420hは、露出部211の非対向面211b側に形成されることになる。これにより、ステータティース210a〜210hとロータ300との間で効率的に磁束のやり取りをすることができる。
【0037】
絶縁キャップ400の説明に戻り、絶縁キャップ400は、複数の渡りピン(突起部)480a、480b、480c、480d、480e、480f、480gを含み、複数のボビン410a〜410h及び複数の渡りピン480a〜480gが一体に形成されている。複数の渡りピン480a〜480gを構成する各渡りピンは、2つのボビンの間において、環状の絶縁キャップ400の所与の円周上に形成されている。なお、ボビン410a、410hの間には、渡りピンが形成されていない。各渡りピンは、2つのボビンの間に設けられた円柱状の形状を有し、一方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される導線が、渡りピンにおいて張力を持たせた状態で掛けられて、他方のボビンの外側に巻回されるステータ巻線と電気的に接続される。これにより、2つのボビンの距離が長くなっても共振し難くなる上に、ステータ巻線の巻き数を半ターン単位で調整できるようになる。ここで、導線に張力を持たせ易くし、かつその状態をできるだけ長く維持させるために、渡りピンは、ロータ300の回転軸の向きと同じ向きの部分を有することが望ましい。
【0038】
さらに、絶縁キャップ400には、コネクタユニット600の一部を構成する樹脂部450が形成される。その樹脂部450は、絶縁キャップ400を構成する樹脂で、絶縁キャップ400と一体的に形成されたものである。また、樹脂部450は、上述の延設部260の設置位置と対応するように、複数のボビン410a〜410hが形成された環状の部分に対して径方向外側に突出するように形成される。また、樹脂部450は、延設部260の内側に形成されたくり抜き部分の形状と対応するように、四角の平板状とされる。すなわち、樹脂部450は、延設部260の内側に形成されたくり抜き部分にはまるように設けられる。また、樹脂部450には、6個のコネクタピン挿入孔461〜466が一列に設けられている。そして、コネクタピン挿入孔461〜466のそれぞれには、励磁信号の入力や検出信号の出力を行うために導電材からなる6個のコネクタピン471〜476がそれぞれ挿入される。
【0039】
そして、その樹脂部450が、延設部260の内側に形成されたくり抜き部分に嵌め込まれる形で設けられることで、延設部260及び樹脂部450とからコネクタユニット600が構成される(図1参照)。このように、樹脂部450を、その周囲で延設部260と接続することで、コネクタユニット600を強固にすることができる。
【0040】
このような絶縁キャップ400をステータ200の平板250に装着することにより、ステータ200とステータ巻線とが電気的に絶縁される。これにより、ステータ巻線により構成されるコイルの絶縁破壊を防止できる。
【0041】
このようなボビン及び支持部を含む絶縁キャップ400は、PBT(Poly−butylene−terephtalate:ポリブチレンテレフタレート)又はPPT(Polypropylene terephtalate:ポリプロピレンテレフタレート)等の絶縁性の樹脂(絶縁材)を用いた射出成形により形成される。
【0042】
ロータ300は、ステータ200と同じ材質の磁性材料からなり、ステータ200に対して回転自在に設けられている。より具体的には、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。例えば、ロータ300の軸倍角が「3」であり、所与の半径の円周線を基準に、該円周線の1周につき、平面視において外径側の外径輪郭線を3周期で変化する形状を有している。そして、平板250に対して起こされたステータティースの内側(内径側、内周側)の面と対向するロータ300の外周側に形成された外側面320(図5参照)が、ロータ300の1回転につき3周期でギャップパーミアンスが変化するようになっている。
【0043】
ここで、図5は、ロータ300の構造の説明図である。図5(a)はロータ300の斜視図であり、図5(b)は図5(a)のB−B線に沿ったロータ300の断面構造を模式的に表した図である。
【0044】
このロータ300は、1枚の電磁鋼板で形成され、平板として構成されたロータ平板部310を有する。なお、ロータ300の材質は、電磁鋼板の他に、普通鋼であるSPCC又は機械構造用炭素鋼であるS45CやS10Cを採用することもできる。そのロータ平板部310は、回転角の検出対象物に取り付けられて、その検出対象物の回転にしたがって自らも回転軸回りに回転されるものである。具体的には、ロータ平板部310は、その表面が、ロータ300の回転軸と直角に交差する平面とされる。また、ロータ平板部310は、回転軸と交差する中心付近で穴が空けられた環状とされる。
【0045】
また、ロータ300は、ロータ平板部310の外周縁部からロータ平板部310に対して直角(回転軸と平行な方向)に曲がって形成された対向部320を有する。その対向部320は、その面(対向面)がステータティース210a〜210hの面(厳密には露出部211の対向面211a)と平行に対向されるように、ロータ平板部310を構成する電磁鋼板が曲げられて形成されたものである。
【0046】
また、ロータ平板部310の厚さをt1としたときに、ロータ300の対向部320の高さHが、5×t1≦H≦9×t1の範囲とされることが望ましい。対向部320の高さHを9×t1より高くしても、これ以上、検出信号のレベルを改善させることが期待できずに、却ってロータ300の大型化を招く。一方、対向部320の高さHを5×t1より低くすると、検出信号のレベルが低くなる。
【0047】
このように、ロータ平板部310の外周縁部に対向部320を形成することで、ステータティース210a〜210hの面と対向する面積を増加させ、電磁鋼板を多く積層させたときと同等の厚さを確保できる。よって、ロータ300の構造を簡素化しつつ、検出信号のレベルを向上することができる。
【0048】
なお、ロータ300は、ロータ平板部310の内周縁部も曲げられて、その曲げられた部分である内周側曲げ部分330が形成されている。その内周側曲げ部分330が形成されることで、ロータ300の取り付けが簡単になるととともに、ロータ300の体積を増加させて磁束のやり取りに寄与させることができる。
【0049】
次に、ロータ300の回転によって出力巻線から出力される検出信号を取り出すためのステータ巻線について説明する。ステータ巻線は、励磁巻線と出力巻線とから構成され、励磁巻線により励磁した状態で、ステータ200に対するロータ300の回転により、出力巻線の信号が変化する。
【0050】
ここで、図6は、ステータ200のステータティース210a〜210hに巻回されるステータ巻線の説明図である。具体的には、図6(a)は、ステータ巻線を構成する励磁巻線4の説明図を示しており、図6(b)は、ステータ巻線を構成する出力巻線5の説明図を示している。図6(a)、(b)は、図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、図1と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。図6(a)では、励磁巻線4の巻き方向を模式的に示し、図6(b)では、出力巻線5の巻き方向を模式的に示す。実際には、各ボビンのステータ巻線を電気的に接続する導線は、その間に形成された渡りピンを経由させる。
【0051】
励磁巻線4は、図6(a)に示すように、隣り合うステータティースの巻回方向が互いに反対方向になるように巻回される。そして、励磁巻線4の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、励磁巻線4の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンR1、R2と称すと、コネクタピンR1、R2間に、励磁信号が与えられて、励磁巻線4に励磁信号が入力される。なお、各ステータティースに巻回される励磁巻線4は、例えばコイル巻線とすることができる。
【0052】
また、図6(b)に示すように、2相の検出信号を得るために、出力巻線5は2組の巻線部材からなる。2相の検出信号のうちの第1相(例えばsin相)の検出信号を得るための出力巻線51は、例えばステータティース210aから反時計回りにステータティース210gまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。そして、第1相の出力巻線51の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、第1相の出力巻線51の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンS1、S3と称すると、第1相の検出信号は、コネクタピンS1、S3間の信号として出力される。
【0053】
一方、2相の検出信号のうちの第2相(例えばcos相)の検出信号を得るための出力巻線52は、例えばステータティース210bから反時計回りにステータティース210hまで、1つおきに各ステータティースに巻回される。そして、第2相の出力巻線52の両端線はそれぞれ、樹脂部450に設けられたコネクタピン471〜476のいずれかに接続される。ここで、第2相の出力巻線52の端線と接続されたコネクタピン471〜476をコネクタピンS2、S4と称すると、第2相の検出信号は、コネクタピンS2、S4間の信号として出力される。なお、各ステータティースに巻回される出力巻線5は、例えばコイル巻線とすることができる。
【0054】
このように、ステータティース210a、210c、210e、210gが挿入孔に挿入されるボビン410a、410c、410e、410gのそれぞれの外側には、励磁巻線4及び第1相(sin相)の出力巻線51が巻回される。ステータティース210b、210d、210f、210hが挿入孔に挿入されるボビン410b、410d、410f、410hのそれぞれの外側には、励磁巻線4及び第2相(cos相)の出力巻線52が巻回される。
【0055】
なお、励磁巻線4の巻き方向は、図6(a)に示す方向に限定されるものではない。また、出力巻線5の巻き方向は、図6(b)に示す方向に限定されるものではない。
【0056】
以上のような構成を有するレゾルバ100では、ステータ200に対するロータ300の回転によって、次のような磁気回路が形成される。ここで図7は、図1のロータ300の回転軸方向にレゾルバ100を見た平面図であり、図1又は図2と同一部分には同一符号を付し、適宜説明を省略する。なお、図7では、説明の便宜上、絶縁キャップ400の図示を省略するとともに、ステータ200に対してロータ300が回転状態のときのある時刻における磁束の向きを模式的に示している。また、図7において、巻線磁芯としての各ステータティースを通る磁束の向きを模式的に示している。
【0057】
絶縁キャップ400を介してステータ200のステータティース210a〜210hにステータ巻線4、5が巻回されており、ロータ300が回転すると、ロータ300を介して隣り合うステータティース間で磁気回路が形成される。図7に示すように、隣り合うステータティースを通る磁束の向きが反対方向となるようにステータ巻線4、5が巻回されているため、ロータ300の回転によって、各ステータティースに巻回されるステータ巻線4、5に発生する電流もまた変化し、例えば出力巻線5に発生する電流波形を正弦波状にすることができる。
【0058】
次に、本実施形態におけるレゾルバ100の製造方法について説明する。図8は、レゾルバ100の製造方法の一例のフロー図である。レゾルバ100を製造するために、先ず、ステータ形状加工工程においてステータ200の形状を加工した(ステップS10)後に、折り曲げプレス加工工程(曲げ工程)において、平板状のステータ200のステータティースを折り曲げて、複数のステータティースが平板面に対して起こされる(ステップS12)。その結果、図2に示すように、平板250に対してステータティース210a〜210hが起こされる。
【0059】
すなわち、ステップS10のステータ形状加工工程では、ステップS12の折り曲げプレス加工を行うために、1枚の電磁鋼板、普通鋼であるSPCC、機械構造用炭素鋼であるS45C又はS10Cを材質とする磁性材料からなる平板をプレス加工する。そして、内径側の縁部に折り曲げ加工前のステータティースを有した環状の平板250を形成する。またその際、その平板250と同じ磁性材料で、その平板250に対して突出した延設部260(図2参照)も形成する。具体的には、例えば、平板をプレス加工して、四角状の平板に形成するとともに、その四角状の平板の内側をくり抜いて、延設部260を形成する。なお、延設部260の形成は、ステータティースの形成と同時又は別時のどちらでもよい。
【0060】
そして、ステップS12では、折り曲げプレス加工により、ステップS10において形成された複数のステータティースを、断面視において、その根本部分がR形状となるように加工される。この結果、ステータティース210a〜210hは、ステータ200の平板面に対して略垂直となるように起こされる。
【0061】
続いて、絶縁キャップ形成工程として、射出成形により、図2に示す絶縁キャップ400を、ステップS10、S12で形成したステータ200と一体成形する(ステップS14)。すなわち、ステータ200に対して装着された状態で、絶縁キャップ400を形成する。この際、上述したボビン410a〜410h及び支持部420a〜420hも形成されることになる。またこの際、支持部420a〜420hの壁部421(壁面421a)とステータティースの露出部211(対向面211a)とが固着された状態で、支持部420a〜420hが形成されることになる。
【0062】
なお、絶縁キャップ形成工程では、絶縁キャップ400と一体的に形成される樹脂部450が、延設部260に取り付けられた状態で形成される。
【0063】
次に、巻線部材取り付け工程として、ステップS12で起こされたステータティース210a〜210hの各ステータティースを巻線磁芯として、各ボビン410a〜410hの外側にステータ巻線が巻回される(ステップS16)。こうして起こされたステータティースのそれぞれの周囲に、励磁用の励磁巻線4及び検出用の出力巻線5が巻回される。
【0064】
次に、ロータ加工工程として、1枚の電磁鋼板がプレス加工されて、図5に示すロータ300が形成される(ステップS18)。すなわち、平板が環状にされてロータ平板部310が形成されるとともに、その環状にされた平板の外周縁部及び内周縁部が折り曲げられて対向部320及び内周側曲げ部分330が形成される。
【0065】
次に、ロータ取り付け工程として、ロータ300が、ステータ200に対して回転自在となるように、ステータ200の内径側に設けられる(ステップS20)。より具体的には、ロータ取り付け工程において、ロータ300は、ロータ300の回転軸回りの回転によりロータ300の外側の対向部320の面とステータ200の各ステータティースとの間のギャップパーミアンスが変化するようにステータ200に対して回転可能に設けられる。なお、図8では、ロータ加工工程が、巻線部材取り付け工程の後に行われるものとして説明したが、これに限定されるものではなく、少なくともロータ取り付け工程に先立って行われていればよい。以上のように、本実施形態におけるレゾルバ100が製造される。
【0066】
以上説明したように、本実施形態のレゾルバ100によれば、ステータ200が平板250で構成されているので、ステータの構造を簡素化できる。また、そのステータ200に形成されるステータティース210a〜210hが、ステータ200の平板250に対して起立しているので、絶縁キャップ400の装着が容易になるとともに、ステータ巻線を簡易に巻回することができる。
【0067】
また、ステータティースの露出部211の非対向面211b側に、支持部420a〜420hが形成されて、その支持部420a〜420hでステータティース210a〜210hが支持されているので、ステータティース210a〜210hの位置が変わってしまうのを防止できる。
【0068】
また、その支持部420a〜420hは、壁部421を有し、その壁部421の壁面で露出部211を支持しているので、広い範囲で露出部211を支持することができる。よって、確実に、露出部211を支持することができる。また、壁部421と露出部211とを面で当接させることにより、それらを確実に固着することができる。
【0069】
(第二実施形態)
上記実施形態ではレゾルバに本発明を適用した例について説明したが、回転同期装置としてのシンクロに本発明を適用してもよい。このシンクロは、ステータとロータとステータティースに巻回されたステータ巻線(励磁巻線、出力巻線)とボビンが設けられた絶縁キャップとを備えており、その出力巻線から、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力する点で、レゾルバと同じである。また、シンクロは、3相分の出力巻線がステータティースに巻回され、各出力巻線から出力される出力信号が、互いに位相角が120度ずれている点で、レゾルバと異なっている。このように、シンクロは、ステータ巻線の巻線構造以外はレゾルバと同じと考えることができるので、上記実施形態はそのままシンクロにも適用することができる。すなわち、ボビンと一体的に支持部を設けることで、ステータティースの位置が変わってしまうのを防止できる。
【0070】
ここで、図9は、シンクロの用途例を示した図である。シンクロは、図9に示すように、主に、複数の機器間でそれらの運転を同期させるために用いられ、一般的に、同じ構造のシンクロ発信機とシンクロ受信機のセットで用いられる。具体的には、図9において、シンクロとしてのシンクロ発信機702は、その回転軸701が、一方の機器(発信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ発信機702は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。また、同様に、シンクロとしてのシンクロ受信機703は、その回転軸704が他方の機器(受信側の機器、図示外)の運転にしたがって回転するように設けられる。そのシンクロ受信機703は、接続された機器の回転角に応じて変化する第1相〜第3相の信号(正弦波信号)を出力する。そして、これらシンクロ発信機702とシンクロ受信機703の各相が接続される。これらの動作について、(1)シンクロ発信機702とシンクロ受信機703でロータの位置が異なると、それらの間で電位差が生じ、各相に電流が流れる。(2)その電流によって、シンクロ受信機703のロータが回転する。すなわち、トルクが発生する。(3)シンクロ受信機703のロータ(回転軸704)の回転にともなって、それに接続された受信側の機器が回転される。(4)シンクロ受信機703のロータの位置がシンクロ発信機702のロータの位置と同じになると、各相に電流が流れなくなる。(5)電流が流れなくなると、シンクロ受信機703のロータの回転が停止される。よって、シンクロ発信機702とシンクロ受信機703のロータの位置が同じ、つまり発信側の機器と受信側に機器の運転が同期される。このように、レゾルバと同様に、ロータの回転に応じて変化する正弦波信号を出力するシンクロ発信機及びシンクロ受信機に対して本発明を適用しても、ステータティースの位置が変わってしまうのを防止できるので、好適である。
【0071】
なお、本発明に係るレゾルバ、シンクロは、上記実施形態に限定されるわけではなく、特許請求の範囲の趣旨を逸脱しない限りにおいて種々変形することができ、例えば次のような変形も可能である。
【0072】
上記実施形態では、支持部の壁部の壁面とステータティースの露出部の面とを、支持部をステータと一体成形することにより固着していた。しかし、これに限定されるものではなく、別の手段によってそれらを固着してもよい。具体的には、例えば、支持部を含む絶縁キャップを予め形成しておき、その絶縁キャップをステータに装着する。そして、支持部の壁部の壁面とステータティースの露出部の面とを接着剤で固着する。
【0073】
また、上記実施形態では、壁部の壁面と露出部の面とが同じ大きさとされていたが、それらが異なる大きさであってもよい。具体的には、壁部の壁面のほうが露出部の面よりも大きくされていてもよい。反対に、露出部の面のほうが壁部の壁面よりも大きくされていてもよい。
【0074】
上記の各実施形態では、レゾルバが、1相励磁2相出力型であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。上記の各実施形態におけるレゾルバが、励磁信号が1相以外の相を有する信号であったり、検出信号が2相以外の相を有する信号であったりしてもよい。
【0075】
上記の各実施形態では、磁性材料からなるステータの材質が1枚の電磁鋼板、普通鋼又は機械構造用炭素鋼材であるものとして説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0076】
上記の各実施形態では、いわゆるインナーロータ型の回転角検出又は回転同期装置としてのレゾルバ、シンクロを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、本発明に係るレゾルバ、シンクロが、いわゆるアウターロータ型であってもよい。
【0077】
上記の各実施形態では、軸倍角「3」のロータを例に説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば軸倍角「5」のロータであってもよい。
【符号の説明】
【0078】
4 励磁巻線(ステータ巻線)
5 出力巻線(ステータ巻線)
100 レゾルバ(回転角検出装置)
210a〜210h ステータティース
211 ステータティースの露出部
211a 露出部211の対向面
211b 露出部211の非対向面
200 ステータ
250 平板
300 ロータ
400 絶縁キャップ
410a〜410h ボビン
411 本体
412 つば部
413 基部
414 挿入孔
420a〜420h 支持部
421 壁部
421a、421b 壁部421の壁面
422 リブ
702 シンクロ発信機(シンクロ、回転同期装置)
703 シンクロ受信機(シンクロ、回転同期装置)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
磁性材料の平板に形成されその平板面に対して起立したステータティースを有するステータと、
前記ステータティースの先端側の一部が露出するように、前記ステータティースに装着される樹脂製のボビンと、
磁性材料から構成され、前記ボビンから露出した前記ステータティースの両面のうちの一方の面と対向するように設けられ、回転軸回りの回転により前記一方の面とのギャップパーミアンスが変化するように前記ステータに対して回転可能に設けられたロータと、
前記ロータの回転にともなって変化する前記ギャップパーミアンスに応じた検出信号を出力させるための、前記ボビンを介して前記ステータティースに巻回されるステータ巻線と、
前記ボビンから露出した前記ステータティースの両面のうちの前記ロータと対向しない方の面である非対向面において前記ステータティースを支持する支持部と、を備えることを特徴とする回転角検出又は回転同期装置。
【請求項2】
前記支持部は、前記非対向面に対して起立したリブであり、そのリブが、前記ボビンと接続されたことを特徴とする請求項1に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項3】
前記リブは、前記ボビンと一体化されて樹脂で形成されたものであることを特徴とする請求項2に記載の回転角検出又は回転同期装置。
【請求項4】
前記支持部は、
前記非対向面と当接する面を有し、その面で前記非対向面と固着した樹脂製の壁部を備え、
前記リブは、前記壁部と一体化して前記壁部に起立して設けられ、前記壁部を介して前記ステータティースを支持するものであることを特徴とする請求項2又は3に記載の回転角検出又は回転同期装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2011−239505(P2011−239505A)
【公開日】平成23年11月24日(2011.11.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−106568(P2010−106568)
【出願日】平成22年5月6日(2010.5.6)
【出願人】(000203634)多摩川精機株式会社 (669)
【Fターム(参考)】