固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法、及び、電子機器
【課題】感度特性に優れた固体撮像素子を提供する。
【解決手段】第1レンズ層31と、第2レンズ層32とを備え、第1レンズ層31により形成される第1マイクロレンズ32の少なくとも外周部に第2レンズ層33が形成されている。そして、第1マイクロレンズ32の中心部に、外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層33を有する。
【解決手段】第1レンズ層31と、第2レンズ層32とを備え、第1レンズ層31により形成される第1マイクロレンズ32の少なくとも外周部に第2レンズ層33が形成されている。そして、第1マイクロレンズ32の中心部に、外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層33を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法、および電子機器に係わる。特に、フォトダイオード上にマイクロレンズを備える固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法、及び、電子機器に係わる。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像素子には、表面照射型と、裏面照射型が知られている。固体撮像素子は、半導体基体に光電変換部となるフォトダイオードと複数の画素トランジスタからなる単位画素が複数、形成された画素領域を有して構成される。
【0003】
表面照射型固体撮像素子では、多層配線層が形成された基板表面を受光面として、入射光がこの基板表面側から入射される。
裏面照射型固体撮像素子では、多層配線層及び画素トランジスタが形成された基板表面とは反対側の基板裏面を受光面として、入射光がこの基板裏面側から入射される。
【0004】
各フォトダイオードは不純物拡散層による素子分離領域で分離される。また、半導体基体の画素トランジスタが形成された表面側に層間絶縁層を介して複数の配線を配置した多層配線層が形成される。
表面照射型固体撮像素子では、配線がフォトダイオード上以外に形成される。多層配線層上には、平坦化層を介して、順次オンチップカラーフィルタ及びマイクロレンズが形成される。オンチップカラーフィルタは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色フィルタを配列して構成される。
【0005】
裏面照射型固体撮像素子では、フォトダイオードの位置に関係なく配線を形成することができる。フォトダイオードの受光面となる半導体基体の裏面上に、順次絶縁層、オンチップカラーフィルタ及びマイクロレンズが形成される。
裏面照射型固体撮像素子では、光は多層配線層の制約を受けることなく、フォトダイオードに入射するため、フォトダイオードの開口を広く取ることができる。さらに、表面照射型固体撮像素子に比べて、フォトダイオードからマイクロレンズまでの距離を短縮することができる。このため、距離の短縮に対応して、マイクロレンズの集光性を向上させることができ、斜め入射光も効率良く取り込むことができる。この結果、固体撮像素子の高感度化が可能となる。
【0006】
マイクロレンズの集光性を向上させる手法としては、例えば、マイクロレンズの曲率を大きくする方法や、マイクロレンズを構成する材料の屈折率を上げる方法がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−53318号公報
【特許文献2】特開平1−10666号公報
【特許文献3】特開2008−277800号公報
【特許文献4】特開2008−9079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の固体撮像素子では、マイクロレンズの形状を最適化することにより、感度特性の向上が求められている。
【0009】
本技術においては、感度特性に優れた固体撮像素子、この固体撮像素子の製造方法、及び、この固体撮像素子を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の固体撮像素子は、第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に第2レンズ層が形成されている。そして、第1マイクロレンズの中心部に、外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層を有する構成である。
また、本技術の電子機器は、上述の固体撮像素子と、固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有する。
【0011】
また、本技術の固体撮像素子の製造方法は、第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、少なくとも第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層を形成する工程とを有する。そして、第2レンズ層を形成する工程において、第1マイクロレンズの中心部に外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層を形成する。
【0012】
上述の固体撮像素子、及び、上述の製造方法により製造される固体撮像素子によれば、第1レンズ層により画素間ギャップを有する第1マイクロレンズが形成され、この第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層が形成される。第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層が形成されることにより、第1マイクロレンズの画素間ギャップが第2レンズ層により埋められる。このため、マイクロレンズの平面視における面積が拡大され、マイクロレンズの集光能力が向上する。この結果、固体撮像素子の感度特性が向上する。そして、この固体撮像素子を備えることにより、感度特性に優れた電子機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、感度特性に優れた固体撮像素子、この固体撮像素子の製造方法、及び、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の固体撮像素子の構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図3】固体撮像素子の第1レンズ層の構成を示す平面図である。
【図4】A〜Dは、実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を示す図である。
【図5】A〜Cは、固体撮像素子のマイクロレンズの変形例の構成を示す図である。
【図6】A〜Dは、固体撮像素子の製造方法の実施形態を示す製造工程図である。
【図7】E〜Hは、固体撮像素子の製造方法の実施形態を示す製造工程図である。
【図8】A〜Cは、固体撮像素子の第2平坦化層を形成する工程を示す図である。
【図9】実施形態の固体撮像素子の第1マイクロレンズを形成する工程を説明するための図である。
【図10】実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を説明するための図である。
【図11】A、Bは、実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を説明するための図である。
【図12】電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術を実施するための最良の形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の実施形態
2.固体撮像素子の製造方法の実施形態
3.電子機器の実施形態
【0016】
〈1.固体撮像素子の実施形態〉
[固体撮像素子の構成例:概略構成図]
以下、本実施形態の固体撮像素子の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、固体撮像素子の一例として、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型の固体
撮像装置の概略構成図を示す。
【0017】
図1Aに示す固体撮像素子10は、半導体基体、例えば、シリコン基板に複数の光電変換部となるフォトダイオードを含む画素12が規則的に2次元的に配列された画素部(いわゆる撮像領域)13と、周辺回路部とから構成される。画素12は、フォトダイオードと、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有する。
【0018】
複数の画素トランジスタは、例えば転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができる。その他、選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。
【0019】
周辺回路部は、垂直駆動回路14と、カラム信号処理回路15と、水平駆動回路16と、出力回路17と、制御回路18等から構成されている。
【0020】
制御回路18は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路14、カラム信号処理回路15及び水平駆動回路16等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。制御回路18は、これらの信号を垂直駆動回路14、カラム信号処理回路15及び水平駆動回路16等に入力する。
【0021】
垂直駆動回路14は、例えばシフトレジスタによって構成される。垂直駆動回路14は、画素部13の各画素12を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線19を通して各画素12の光電変換素子において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号をカラム信号処理回路15に供給する。
【0022】
カラム信号処理回路15は、画素12の例えば列ごとに配置され、1行分の画素12から出力される信号を画素列ごとに黒基準画素(有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によってノイズ除去などの信号処理を行う。即ち、カラム信号処理回路15は、画素12固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(correlated double sampling)や、信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路15の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線11との間に接続されて設けられている。
【0023】
水平駆動回路16は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路15の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路15の各々から画素信号を水平信号線11に出力する。
出力回路17は、カラム信号処理回路15の各々から水平信号線11を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。
【0024】
上記の固体撮像素子10を、裏面照射型の固体撮像素子に適用する場合は、光入射面(いわゆる受光面)側の裏面上には配線層が形成されず、配線層は受光面と反対側の表面側に形成される。
【0025】
[固体撮像素子の構成例:画素部]
次に、図2に、本実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図2に示す固体撮像素子20は、半導体基体21の光入射面側に複数のフォトダイオード(PD)22を有する。PD22は、固体撮像素子20の単位画素29内に、それぞれ形成されている。そして、半導体基体21上に単層又は複数層からなる絶縁層23が形成されている。
なお、図2に示す裏面照射型の固体撮像素子20においては、光が入射する面とは反対側の面に多層配線層及び画素トランジスタ等の回路部が形成されているが、本図ではこれらの構成を省略している。
【0026】
絶縁層23は、単層の場合にはSiO等が用いられる。また、複数層の場合には反射防止層の構成として、屈折率の異なる複数の層で形成される。例えば、ハフニウム酸化物(HfO2)層とシリコン酸化物層との2層により構成される。
【0027】
上述の絶縁層23上には、固体撮像素子20の各PD22の開口部に対応して、各単位画素29の境界上に画素間遮光層24が形成されている。画素間遮光層24は、例えば、W、Al、Cuの金属層や、カーボンブラック、チタンブラックなどの有機系の材料等からなる。画素間遮光層24は、隣接画素への入射光の漏れこみを防ぎ、固体撮像素子20の混色を抑制する。
【0028】
絶縁層23及び画素間遮光層24上には、例えばアクリル系樹脂等からなる第1平坦化層25が形成されている。この第1平坦化層25は、画素間遮光層24等による凹凸を平坦化する。そして、半導体基体21上にカラーフィルタをスピン塗布法等により形成する際の塗布ムラを軽減する。
【0029】
第1平坦化層25上には、カラーフィルタ26が形成されている。このカラーフィルタ26には、例えばRED、GREEN、BLUEや、YELLOW、CYAN、MAGENTA等の光学フィルタが形成される。このとき、カラーフィルタ26はそれぞれ最適なカラー画像を出力するために、各色の層厚が最適に形成される。このため、カラーフィルタ26の表面には若干の凹凸を有する。
【0030】
カラーフィルタ26上には、カラーフィルタ26表面の凹凸を平坦化するための第2平坦化層27が形成される。第2平坦化層27は、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えば、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂等が用いられる。なお、平坦化性は、アクリル樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂、スチレン樹脂の順に低くなる。このため、第2平坦化層27としては、平坦化性に優れるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
第2平坦化層27上には、緩衝層28が形成されている。緩衝層28は、例えばSiOやSiON等により形成される。緩衝層28は、後述するように、膜応力の差による皺の発生の防止や、反射率の低減のために形成される。
【0032】
緩衝層28上にマイクロレンズ30が形成されている。
マイクロレンズ30は、第1レンズ層31と、第1レンズ層31上に形成された第2レンズ層33とからなる。第1レンズ層31は、第2平坦化層27上に形成され、第1マイクロレンズ32を構成する。そして、第1マイクロレンズ32上を被覆して、第2レンズ層33が形成されている。第2平坦化層27は、カラーフィルタ26上に形成する第1マイクロレンズ32の均一性を高めるため形成されている。
【0033】
固体撮像素子20のマイクロレンズ30の第1レンズ層31には、樹脂、SiN、及び、SiONの何れか1種類以上が用いられる。
樹脂としては、例えば、金属微粒子が分散された金属酸化物含有樹脂を用いる。金属微粒子が分散される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、及び、シロキサン系樹脂等を用いる。樹脂に分散させる金属微粒子としては、例えば、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、及び、酸化錫等を用いる。樹脂中に金属酸化物を分散させることにより、樹脂の屈折率を上げることができる。
【0034】
第1レンズ層31にSiNを用い、第2平坦化層27にアクリル系樹脂を用いる場合、SiNが直接第2平坦化層27上に形成されると、SiNの成層時の応力により両者の層界面に皺が発生する場合がある。皺が発生すると固体撮像素子の画像劣化を起こす。
皺の発生は、第2平坦化層27を構成するアクリル系樹脂等の樹脂と、第1レンズ層31を構成するSiN等の無機材料との膜応力の違いに起因する。
膜応力は、アクリル系樹脂(第2平坦化層27)<SiO<SiON<SiN(第1レンズ層31)の関係となる。このように、第2平坦化層27(アクリル系樹脂)と第1レンズ層31(SiN)との膜応力の差が大きいため、皺が発生する。このため、両者の間に緩衝層28として、中間的な応力を持つSiOやSiONを形成する。中間的な応力を持つ層の緩衝効果により、層界面の皺の発生が抑制される。
【0035】
また、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂の膜応力は、アクリル系樹脂<スチレンーアクリル共重合樹脂<スチレン樹脂<SiOとなる。このように、スチレン樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂は、アクリル系樹脂よりも第1レンズ層31を構成するSiNに近い。このため、第2平坦化層27として、アクリル系樹脂よりも膜応力の高いスチレン樹脂やスチレンーアクリル共重合樹脂を用いた場合には、アクリル系樹脂を用いた場合よりも界面に皺が発生しにくい。
【0036】
第1レンズ層31に金属酸化物含有樹脂を用いる場合や、第1レンズ層31と第2平坦化層27との界面に皺が発生し難い場合においても、上述の緩衝層28を反射防止層として設けることができる。
ここで、カラーフィルタ26上に、第2平坦化層27としてアクリル系樹脂、緩衝層28としてSiON、第1レンズ層31としてSiNが形成された場合について考える。
この構成において、各層の屈折率nは、第2平坦化層27(アクリル系樹脂:n=1.5程度)<緩衝層28(SiON:n=1.6〜1.8程度)<第1レンズ層31(SiN:n=1.85〜2.0程度)となる。
また、第2平坦化層27として、スチレン樹脂(n=1.6程度)、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂(n=1.55〜1.58程度)を用いた場合においても、第2平坦化層27<緩衝層28(SiON)<第1レンズ層31(SiN)となる。
上記屈折率の関係から、緩衝層28として、SiONが選択された場合には、第2平坦化層27と第1レンズ層31の中間的な屈折率を有するため、反射率が低減する。
上述のように、緩衝層27が第2平坦化層27と第1レンズ層31との中間の屈折率を有する構成とすることにより、緩衝層27が反射防止層として機能する。このため、例えば、緩衝層28に屈折率n=1.45程度のSiOを用いた場合にも、第2平坦化層27と第1レンズ層31の屈折率を、使用する材料や成膜条件等で調整することにより、緩衝層28を反射防止層として機能させることができる。
第1レンズ層31としてSiNに替えて、同程度の屈折率を有する金属酸化物含有樹脂を用いた場合にも、上述のように反射率を低減することができる。
【0037】
また、カラーフィルタ26上に第2平坦化層27と、SiO又はSiONからなる緩衝層28とが形成された場合には、固体撮像素子20のフォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離が長くなる。しかし、緩衝層28は5nm程度あれば緩衝効果を発揮する。さらに、第2平坦化層27は、選択されるアクリル系樹脂が、熱流動性、熱硬化性及び熱収縮性を有していれば薄膜で形成可能となる。このため、第2平坦化層27と緩衝層28とを形成した場合の、フォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離の増加による固体撮像素子の感度低下は、実質的に問題とならない。
【0038】
緩衝層28上に形成される第1レンズ層31の平面図を図3に示す。
図3に示す破線は、固体撮像素子20における単位画素29を示す。そして、各単位画素29に対応して形成されるマイクロレンズ30は、平面視で単位画素29と同じ大きさに形成されることが好ましい。また、第1レンズ層31は、単位画素29の全面を被覆して形成されている。
ここで、図3に示すように、第1レンズ層31により形成される第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)及び対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、ギャップを有した状態で形成されている。
【0039】
固体撮像素子20の感度特性を向上するためには、上記W1、W2に示した隣接画素のギャップと、フォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離を、可能な限り縮小することが好ましい。さらに、ドライエッチング法によりマイクロレンズ30を形成する場合には、可能な限りエッチング処理時間を短縮する必要がある。これは、半導体基体21へのプラズマダメージを最小限に抑えることで、固体撮像素子20の暗電流を抑制するためである。
【0040】
上述の図3に示すように、従来の一般的な固体撮像素子は、四角形の単位画素29を有する。このため、例えば、第1マイクロレンズ32をW1のギャップが無い状態で形成した場合にも、元々広いギャップを有するW2のギャップが残る。例えば、ドライエッチ法を用いてマイクロレンズ30を形成する場合には、W2のギャップを縮小するような条件のエッチングを行い、W2のギャップを無くすことが考えられる。しかし、W2のギャップを無くす条件でドライエッチングを行うと、ドライエッチングの時間が延びてしまうため固体撮像素子20の暗電流特性が悪化してしまう。さらに、処理時間が長くなることにより、ウエハ毎のエッチングのバラツキも増加する。このため、マイクロレンズ30の断面方向において形状のバラツキが生じてしまい、固体撮像素子20の感度特性などに悪影響が生じる。
【0041】
これに対し、本実施形態の固体撮像素子20では、第1レンズ層31と第2レンズ層33との積層体からなるマイクロレンズ30が形成されている。
ここで、図4に示すように、第1レンズ層31上に形成された第2レンズ層33の層厚に関して、第1マイクロレンズ32の中心部に形成された第2レンズ層33の層厚をTt、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33の層厚をTbとする。このとき、TtとTbの関係が、0≦Tt<Tbの関係を満たす。これは、第1マイクロレンズ32の外周部に第2レンズ層33を有し、さらに、第1マイクロレンズ32の中心部に外周部よりも厚さの小さい第2レンズ層33を有する、又は、中心部に第2レンズ層33が形成されていない構成を表す。
【0042】
この構成の固体撮像素子20では、上述の図3に示すように、第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)又は対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、ギャップwを有した状態で形成される。このようなギャップwが形成されてもよい条件であれば、ドライエッチングの時間を短縮できるため、固体撮像素子20の暗電流の増加が抑制される。
さらに、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の平面視における面積が拡大されてマイクロレンズ30が形成される。このため、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させることができ、固体撮像素子20の感度特性の向上やシェーディング特性を改善が可能となる。
【0043】
第2レンズ層33は、SiON、SiN、SiO、及び、SiOC(屈折率1.4程度)から選ばれる少なくとも1種類以上の材料により形成されている。ここで、第1レンズ層31を構成するSiONやSiNよりも屈折率の低いSiOやSiOCにより第2レンズ層33を形成することにより、第2レンズ層33がマイクロレンズ30の表面の反射防止層としても機能する。
【0044】
図4に、マイクロレンズ30を構成する第1レンズ層31及び第2レンズ層33において、上述のTtとTbの関係0≦Tt<Tbを満たす構成を示す。
【0045】
図4A〜Dに示すマイクロレンズ30A〜30Dは、第1マイクロレンズ32上にそれぞれ厚さの異なる第2レンズ層33が形成された状態を示している。図4A〜Dに示すマイクロレンズ30A〜30Dは、従来公知の方法により第1レンズ層31から第1マイクロレンズ32を形成した後、第1マイクロレンズ32上に形成する第2レンズ層33の厚さをドライエッチングにより調整して形成される構成である。なお、この第1レンズ層31及び第2レンズ層33の形成方法は、後述の固体撮像素子の製造方法において詳細に説明する。
【0046】
図4Aに示すマイクロレンズ30Aは、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。そして、第2レンズ層33の第1マイクロレンズ32の中心部の厚さTtと、外周部の厚さTbとは、Tt<Tbの関係で形成されている。
また、第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部が最も薄く形成され、中心部から外周部にかけて、次第に厚さが増加する構成を有している。
上述の構成により、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwがないマイクロレンズ30Aが形成されている。従って、マイクロレンズ30Aの平面視における面積を拡大することができ、マイクロレンズ30Bの集光パワーを向上させて固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0047】
図4Bに示すマイクロレンズ30Bは、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。この構成は、第2レンズ層33の形成の際、Tt=0となった時点でエッチングを終了させた状態を示している。この構成のマイクロレンズ30Bは、図4Aに示す状態のマイクロレンズ30Aの状態から、さらに第2レンズ層33のエッチングを進めることにより形成される。
第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部には存在していないが、第1マイクロレンズ32の外周部には存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。
上述の構成では、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれている。このため、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Bが形成されている。この構成により、マイクロレンズ30Bの平面視における面積を拡大することができ、マイクロレンズ30Bの集光パワーを向上させて固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0048】
図4Cに示すマイクロレンズ30Cは、図4Bに示す状態のマイクロレンズ30Bから、さらに第2レンズ層33のエッチングを進めた状態を示している。
マイクロレンズ30Cは、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。また、第1マイクロレンズ32の中心部の周辺は、第2レンズ層33のエッチングを進めることにより、第2レンズ層33と共にエッチングされている。図4Cでは、エッチングされる前の第1マイクロレンズ32の中心部のレンズ面の位置を破線32Aで示している。
図4Cに示す構成は、第2レンズ層33のエッチングにより、第1マイクロレンズ32の中心部が露出した状態から、さらにエッチングを進めることにより、第2レンズ層33から露出した第1マイクロレンズ32がエッチングされることにより形成される。このように、第2レンズ層33のエッチングを進めることにより、第1マイクロレンズ32の中心部から外周部の方向に、第1レンズ層31のエッチングされる領域が広がる。
【0049】
図4Cに示すマイクロレンズ30Cの構成においても、第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部には存在していないが、第1マイクロレンズ32の外周部には存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。そして、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれている。このため、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Cが形成されている。
図4Cに示すように、第1マイクロレンズ32の中心部周辺に第2レンズ層33が形成されていない構成であっても、第2レンズ層33で画素間ギャップwを埋めることにより、マイクロレンズ30Cの平面視における面積を拡大することができる。
さらに、第1マイクロレンズ32の中心部がエッチングされた構成であっても、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32と第2レンズ層33とに一連のレンズ面が形成されている。
この構成により、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させて、固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0050】
図4Dに示すマイクロレンズ30Dは、図4Cに示す状態のマイクロレンズ30Cから、さらに第1レンズ層31と第2レンズ層33とのエッチングを進めた状態を示している。図4Dでは、エッチングされる前の第1マイクロレンズ32のレンズ面の位置を破線32Aで示している。
マイクロレンズ30Dは、第1マイクロレンズ32の外周部近傍と、画素間ギャップwにのみ、第2レンズ層33が形成されている。第1マイクロレンズ32は、中心部から外周部にかけて、上述の図4Cに示す構成よりもエッチングされている領域が広がる。また、第1マイクロレンズ32の中心部と同様に、第1レンズ層31の画素間ギャップwの中央部が、エッチングにより除去されている。つまり、画素間ギャップwの中央部において第2レンズ層33が完全にエッチングされ、さらに、第2レンズ層33から露出した画素間ギャップwの中央部の第1レンズ層31がエッチングされている。
【0051】
図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成においては、第1マイクロレンズ32の中心部、及び、画素間ギャップwの中央部に第2レンズ層33が存在していない。しかし、第1マイクロレンズ32の外周部には、厚さTbの第2レンズ層33が存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。
【0052】
また、画素間ギャップwの中央部において第1レンズ層31がエッチングされて形成された面と、第2レンズ層33の表面と第1マイクロレンズ32のレンズ面が連続し、マイクロレンズ30Dを構成する一連のレンズ面が形成されている。
従って、第1マイクロレンズ32、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33、及び、第1レンズ層31の画素間ギャップwのエッチングされた面により、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Dが形成されている。
【0053】
このように、画素間ギャップwに形成されている第1レンズ層31までエッチングされる構成であっても、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33を有することにより、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋められている。このため、マイクロレンズ30Dの平面視における面積が拡大され、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させることができる。従って、固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0054】
なお、図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成から、さらにエッチング処理を進めることにより、画素間ギャップwの第1レンズ層31の底部を突き抜け、第2平坦化層27まで達する構成としてもよい。この構成においても、第1マイクロレンズ32の外周部には、厚さTbの第2レンズ層33が存在する限り、第1マイクロレンズ32、第2レンズ層33、及び、画素間ギャップwの第1レンズ層31により、一連のレンズ面が形成される。このため、マイクロレンズ30Dの平面視における面積を拡大することができる。
【0055】
[変形例]
次に、上述の固体撮像素子のマイクロレンズの変形例について説明する。図5に、変形例のマイクロレンズ35の構成を示す。なお、マイクロレンズ以外の構成は、上述の実施形態と同様のため図示及び説明を省略する。
【0056】
図5に示すマイクロレンズ35は、第1レンズ層31及び第2レンズ層33上に、第3レンズ層34を備える。
図5Aに示すマイクロレンズ35Aの構成は、上述の図4Aに示すマイクロレンズ30Aの構成に対応し、図5Bに示すマイクロレンズ35Bの構成は、上述の図4Bに示すマイクロレンズ30Bの構成に対応する。
図5Aに示すマイクロレンズ35Aは、第3レンズ層34が、第2レンズ層33上の全面に形成されている。
図5Bに示すマイクロレンズ35Bは、第3レンズ層34が、第1マクロレンズ32の中心部と第2レンズ層33上を覆って形成されている。
第3レンズ層34は、マイクロレンズ35A、マイクロレンズ35B共に、第2レンズ33の上面に沿って、ほぼ厚さが一定に形成されている。
また、図5Cに示すマイクロレンズ35Cは、第1レンズ層31及び第2レンズ層33上に第3レンズ層34を備え、第3レンズ層34の表面が平坦に形成されている。このように、第3レンズ層34は、表面が平坦に形成されていてもよい。
図5A〜Cに示す第3レンズ層34は、第1レンズ層31を構成する材料よりも、屈折率の低い材料を用いることにより、マイクロレンズ35の表面反射防止層として機能する。
【0057】
ここで、第1レンズ層31にSiON又はSiNが選択されたとき、第2レンズ層33と第3レンズ層34の屈折率について、第1レンズ層31の屈折率に対する相対的な関係を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1では、第1レンズ層31の屈折率をcとしたとき、第2レンズ層33を、第1レンズ層31の屈性率cと同等の材料(1)か、又は、第1レンズ層31の屈性率cよりも高い屈折率の材料(2)により構成する。そして、第3レンズ層34を、第1レンズ層31の屈折率cよりも低い屈折率の材料により構成する。
【0060】
表1に記載の(1)の構成では、第3レンズ層34が単層反射防止層として機能する。このとき第3レンズ層34は、SiO(屈折率1.45程度)や、SiOC(屈折率1.4程度)により形成される。
また、表1に記載の(2)の構成では、第2レンズ層33と第3レンズ層34とが2層反射防止層として機能する。第3レンズ層は、上記(1)の構成と同様にSiOやSiOCにより形成される。
【0061】
例えば、第1レンズ層31にSiONが選択された場合、第2レンズ層33には第1レンズ層31のSiONと同等の屈折率を有するSiON、又は、第1レンズ層31のSiONより屈折率の高いSiNが用いられる。そして、第3レンズ層34には、第1レンズ層31のSiONよりも屈折率の低いSiOC、又は、SiOが用いられる。
【0062】
また、第1レンズ層31にSiNが選択された場合、第2レンズ層33には第1レンズ層31のSiNと同等の屈折率を有するSiNが用いられる。そして、第3レンズ層34には、第1レンズ層31のSiNよりも屈折率の低いSiOC、又は、SiOが用いられる。
【0063】
各レンズ層を構成する材料の屈折率は、P−CVD法(plasma CVD, plasma-enhanced chemical vapor deposition)の各成膜条件、例えば、温度、圧力、ガス種及びガス流量等により決定される。なお、第1レンズ層31や第2レンズ層33の屈折率は、マイクロレンズ30の集光能力の向上のため、一般的な樹脂からなるマイクロレンズ材の屈折率(1.5〜1.6程度)よりも高く調整される。
【0064】
また、第2レンズ層33と第3レンズ層34とにより2層反射防止層として機能させる場合には、第2レンズ層33に高屈折材料を使用し、第3レンズ層34に低屈折材料を使用する。第2レンズ層33を構成する高屈折材料としては、SiNよりも屈折率の高い材料、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率n=2.4)や酸化チタン(TiO、屈折率n=2.52)を用いる。また、第3レンズ層34を構成する低屈折材料としては、SiOCよりも屈折率の低い材料、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2、屈折率n=1.37)を用いる。第2レンズ層33、及び、第3レンズ層34の膜厚は、反射させる所望の光の波長λに対し、1.0/4λの厚さで形成する。
【0065】
〈2.固体撮像素子の製造方法〉
次に、上述の実施形態の固体撮像素子の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、固体撮像素子のカラーフィルタ上の構成のみを示し、他の構成を省略している。カラーフィルタより下層の各構成については、従来公知の固体撮像素子の製造方法により製造することができる。また、以下で説明する固体撮像素子は、第2平坦化層と第1レンズ層との間に緩衝層を設けていない構成である。
【0066】
まず、図6Aに示すように、固体撮像素子の各画素に対応して形成されたカラーフィルタ26を形成する。カラーフィルタ26は、例えば色素として、顔料や顔料が内添された感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィー法により形成する。カラーフィルタ26としては、例えば、RED、GREEN、BLUEや、YELLOW、CYAN、MAGENTA等の色材を形成する。
【0067】
次に、図6Bに示すように、カラーフィルタ26上に第2平坦化層27を形成する。第2平坦化層27は、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えば、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂等を用いて形成する。なお、この第2平坦化層27の形成方法の詳細は後述する。
【0068】
次に、図6Cに示すように、第2平坦化層27上に、第1レンズ層31として、例えばSiNを形成する。第1レンズ層31は、形成する第1マイクロレンズ32よりも充分に大きい厚さで形成する。第1レンズ層31は、例えば、成膜ガスとして、SiH4、NH3、N2を用いて、P―CVD法により形成する。また、P―CVD法による形成時に、200℃程度の温度で、圧力等を適宜調整する。
【0069】
次に、図6Dに示すように、第1レンズ層31上に固体撮像素子20の各画素に対応してポジ型の感光性樹脂41をパターン形成する。ポジ型の感光性樹脂41としては、例えば、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、及び、これらの共重合系樹脂をからなる材料を用いる。また、感光性樹脂41のパターン形成は、例えば、スピン塗布、プリベーク、i−線露光、露光後ベーク、現像、及び、ポストベークの処理順に行う。ポストベーク処理において、図6Dに示すレンズ形状の感光性樹脂41が形成される。
【0070】
次に、図7Eに示すように、上述のポジ型の感光性樹脂41のマスクを用いて第1レンズ層31に、感光性樹脂41のレンズ形状をエッチング転写し、第1マイクロレンズ32を形成する。第1レンズ層31のエッチングには、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)装置、CCP(Capacitively Coupled Plasma)装置、TCP(Transformer Coupled Plasma)装置、マグネトロンRIE(Reactive Ion Etching)装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance)装置等のプラズマ生成装置を用いる。そして、温度、圧力等を適宜調整し、CF4や、C4F8などのフロロカーボンガス系のガスを主成分とするエッチングガスを用いる。
【0071】
図7Eに示すレンズ形状が転写された第1レンズ層31の平面視は、上述の図3に示すように、第1マイクロレンズ32の少なくともW1、W2のいずれかに画素間ギャップwを有している。このように、画素間ギャップwを有している条件で第1レンズ層31を形成することにより、エッチングを短い時間で行うことができる。ドライエッチングの時間を短縮できるため、プラズマダメージによる固体撮像素子20の暗電流の増加を抑制することができる。
【0072】
次に、図7Fに示すように、第1レンズ層31上に第2レンズ層33を形成する。第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32上では、第1マイクロレンズ32のレンズ面の形状に沿って形成されている。また、画素間ギャップw上では、第2レンズ層33が第1マイクロレンズ32上よりも厚く形成されている。
第2レンズ層33としては、例えば、SiNを形成する。SiNの成膜ガスとしてSiH4、NH3、N2を用いて、P―CVD法により形成する。P―CVD法による形成時に、200℃程度の温度で、圧力等を適宜調整する。
【0073】
次に、形成した第2レンズ層33をエッチングすることにより、図7G又は図7Hに示す構成の第2レンズ層33を形成する。
図7Gは、上述の図4Aに示すマイクロレンズ30Aの構成に対応し、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部が最も薄く形成され、中心部から外周部にかけて、次第に層厚が増加する構成を有している。
第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋め込まれてマイクロレンズ30が形成されている。
【0074】
図7Hは、上述の図4Bに示すマイクロレンズ30Bの構成に対応し、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。第2レンズ層33のエッチングは、第1マイクロレンズ32の中心部での膜厚が0となった時点で終了させている。
図7G及び図7Hに示すように、第1マイクロレンズ32の外周部に第2レンズ層33を形成することにより、画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30が形成されている。
【0075】
なお、図示していないが、エッチング条件を適宜変更することにより、上述の図4Cに示すマイクロレンズ30Cの構成や、図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成も形成することができる。
以上の工程により、上述の図2に示すマイクロレンズ30を備える固体撮像素子20を製造することができる。
【0076】
上述の製造方法によれば、第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)又は対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、画素間ギャップwを有した状態で形成される。このような画素間ギャップwが形成されてもよい条件であれば、ドライエッチングの時間を短縮できるため、固体撮像素子20の暗電流の増加が抑制される。そして、第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30が形成される。このため、マイクロレンズ30の平面視における面積が拡大され、マイクロレンズ30の集光パワーが向上する。この結果、固体撮像素子20の感度特性の向上やシェーディング特性を改善が可能となる。
【0077】
[第2平坦化層の形成方法]
上述の固体撮像素子の製造方法においてカラーフィルタ26上に形成する、第2平坦化層27の形成方法について説明する。
固体撮像素子20の高感度化のためには、マイクロレンズ30とフォトダイオード22間の距離を短縮すること好ましい。このため、上述の図2に示す半導体基体21上の各層を薄く形成することが望ましい。このため、第2平坦化層27を形成する場合も、薄く形成されていることが望ましい。
第2平坦化層27の薄膜化のためには、第2平坦化層27を構成する材料として、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えばアクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂を用いる。
【0078】
図8に、上記特性を有する樹脂により第2平坦化層27を形成する工程図を示す。
まず、図8Aに示すように、カラーフィルタ26上に、樹脂をスピン塗布して第2平坦化層27Aを形成する。塗布直後の第2平坦化層27Aは、それぞれの色により厚さが異なるカラーフィルタ26の表面の凹凸の影響を受け、表面が凹凸に形成されている。
【0079】
次に、図8Aに示す状態の第2平坦化層27Aに熱処理を行う。第2平坦化層27Aを構成する樹脂は、上述のように熱流動性と熱硬化性を合わせ持つ。このため、熱処理により流動性が増加し、表面が平坦化される方向に第2平坦化層27Aが移動する。このため、図8Bに示すように、熱処理前よりも凹凸の凹部が緩和された第2平坦化層27B形成される。
【0080】
次に、図8Cに、上記熱処理により硬化した状態の第2平坦化層27を示す。第2平坦化層27は、熱処理による熱流動と同時に熱硬化が進行する。さらに、第2平坦化層27は、熱処理の際に熱収縮もする。このため、上記熱処理において第2平坦化層27は、熱硬化の際に発生する収縮により、硬化前の状態よりも硬化後の体積が減少する。この結果、硬化後の第2平坦化層27の厚さは、硬化前の状態よりも小さくなる。さらに、熱処理による流動性の増加により平坦化される。
従って、第2平坦化層27に、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料を適用することにより、スピン塗布直後の凹凸が緩和され、実質的に平坦で薄層な熱硬化層を形成することができる。
【0081】
また、第2平坦化層27は、熱流動と熱硬化が同時進行するアクリル系樹脂、スチレン樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂等であるが、樹脂の分子量を下げると熱収縮量が増加するので、第2平坦化層をより薄く形成できる。第2平坦化層27を薄く形成することによりフォトダイオード22とマイクロレンズ30の距離が短縮されるので固体撮像素子20の感度特性が向上する。
【0082】
[第1レンズ層のエッチング転写]
上述の固体撮像素子の製造方法において、図6D及び図7Eに示す第1レンズ層31に感光性樹脂41のレンズ形状をエッチング転写する工程について説明する。
上述のエッチング転写は、第1レンズ層31に用いられる材料と、その上に形成される感光性樹脂41とのエッチング速度が1:1となる条件で行うことが好ましい。
図9に、第1レンズ層31上にマイクロレンズ形状を有する感光性樹脂41が形成された状態と、エッチング転写により第1レンズ層31に転写される第1マイクロレンズ32のレンズ形状とを示す。図9では、感光性樹脂41により形成されているレンズ形状において、中心部の高さ(厚さ)をh1、画素間ギャップをw3で示している。また、第1マイクロレンズ32の中心部の高さ(厚さ)をh2、画素間ギャップをw4,w5で示す。
【0083】
第1レンズ層31にSiNを用いた場合において、(SiNのエッチング速度の比):(感光性樹脂41のエッチング速度の比)=1:1となる条件でエッチングを行う。このとき形成される第1マイクロレンズ32の形状を、図9において破線32Aで示す。第1レンズ層31と感光性樹脂41とエッチング比が1:1の場合には、エッチング後の第1マイクロレンズ32の形状は、感光性樹脂41の形状と実質的に等しくなる。このため、第1マイクロレンズ32の中心部の高さh2が、感光性樹脂41の高さh1と同等に形成される。また、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw4が、感光性樹脂41の画素間ギャップw3と同等に形成される。
【0084】
また、上述のエッチング転写において、例えば、C4F8等のエッチングデポ性の強いガス種を用いた場合には、第1レンズ層31と感光性樹脂41とエッチング比が1:1からずれ、第1レンズ層31のエッチング比が小さくなる。この条件により形成される第1マイクロレンズ32の形状を、図9において実線で示す。
上述の条件により第1マイクロレンズ32を高さh2までエッチングしたとき、画素間ギャップw5は、エッチング比が1:1の場合よりも小さくなる。つまり、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw5が、感光性樹脂41の画素間ギャップw3に対し、w3>w5の関係となる。
第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw5が縮小されることにより、この画素間ギャップw5を埋め込むための、第1レンズ層31上に形成する第2レンズ層の厚さを薄くすることができる。
【0085】
また、第1レンズ層31のエッチング速度が相対的に遅くなると、エッチング処理時間が長くなり、固体撮像素子20へのプラズマダメージの増大が懸念される。プラズマダメージの軽減のためには、エッチング速度を早くする必要がある。この場合、C4F8のガス流量を下げるか、或いは、C4F8のガス種を用いて、感光性樹脂41のエッチング速度に対し、相対的に第1レンズ層31のエッチング速度が大きくなるように各種条件を調整する。この結果、固体撮像素子20へのプラズマダメージによる暗電流特性の悪化や、生産性の低下を抑制することができる。
【0086】
さらに、相対的に第1レンズ層31のエッチング速度を大きくし、w3、w4、w5の幅の関係がw3>w4(w5)の関係からw3<w4(w5)の関係へと相対的に変化する条件でエッチング処理を行なった場合について説明する。このような第1レンズ層31のギャップが拡大する条件でエッチングを行った場合、第1レンズ層31(例えば、SiN)のエッチング速度が速いために、第1レンズ層31のエッチング後の形状は、図10に示すような非球面形状となることがある。この形状では、第1マイクロレンズ32は丸みを帯びた錐形に近い形状であり、画素間ギャップwが広がり、曲面のy部が綺麗な円弧を持たない。
このように、錐形状の第1マイクロレンズ32が形成された場合においても、本実施形態のマイクロレンズでは、第1レンズ層31上に第2レンズ層33を形成する。このため、第1マイクロレンズ32の形状が非球面形状であっても、第2レンズ層33のレンズ形状を最適化することにより、図10に示すようにマイクロレンズ30の表面を、非球面形状から球面形状に近づくように補正することができる。
従って、第1マイクロレンズ32の形状に起因して集光性が低下する場合であっても、第2レンズ層33を形成することにより、マイクロレンズ30の集光性を向上させることができる。
【0087】
[第2レンズ層成膜条件]
第2レンズ層33の成膜条件と、形成される第2レンズ層33の表面のレンズ形状の曲率の関係について説明する。
図11に、SiN又はSiONから第2レンズ層33を形成する場合の成膜方法に関し、P−CVD法を用いて平均自由行程を調整し、マイクロレンズ30の曲率を調整する具体的な各種条件を以下に示す。
【0088】
(1)窒化シリコン(SiN)
ガス:SiH4、NH3、N2
温度:約200℃程度
【0089】
(2)酸化窒化シリコン(SiON)
ガス:SiH4、NH3、N2O、N2
温度:約200℃程度
【0090】
成膜時における圧力は、2mTorr〜10Torr程度の間で調整される。平均自由行程は、圧力が低い程高く、又、圧力が高い程低くなる。つまり、平均自由行程は、2mTorr側が高く、10Torr側が低い。
【0091】
図11Aは、成膜時の圧力が小さく、平均自由工程が大きい条件により第2レンズ層33を形成した場合の構成を示している。また、図11Bは、成膜時の圧力が大きく、平均自由工程が小さい条件により第2レンズ層33を形成した場合の構成を示している。
図11Aに示すように、平均自由工程が大きい方が、第2レンズ層33の表面の曲率が小さくなる。また、図11Bに示すように、平均自由工程が小さい方が、第2レンズ層33の表面の曲率が小さくなる。
従って、第1マイクロレンズ32の中心部の第2レンズ層33の厚さTtが同じ場合には、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33の厚さTbは、平均自由工程が大きい図11Aの方が大きくなる。そして、平均自由工程が小さい図11Bの方が、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33の厚さTbが小さくなる。
従って、第2レンズ層33の厚さの関係(Tt/Tb)は、成膜時の圧力の大きい条件の方が、成膜時の圧力小さい条件に対して大きくなる。
【0092】
このように、固体撮像素子20におけるマイクロレンズ30の形成位置や曲率について、第2レンズ層33の成膜条件を上述のように調整することで、所望の形状に形成することができる。
さらに、上述の図10に示すように第1レンズ層31の形状が非曲面形状であっても、第2レンズ層33の成膜条件を上述のように調整することで、曲面形状に近づくように補正することができる。
【0093】
なお、上述の製造方法には説明していないが、第2平坦化層27上に、図2に示す緩衝層28を形成してもよい。緩衝層28を形成する場合は、SiOやSiON等を用いてP―CVD法により形成する。
緩衝層28としてSiOを形成する場合は、成膜ガスとして、例えばSiH4、N2O等を用いる。また、緩衝層28としてSiONを形成する場合は、成膜ガスとして、例えばSiH4、NH3、N2O、N2等を用いる。そして、200℃程度の温度で圧力等を適宜調整して形成する。温度は、カラーフィルタ26の退色や、第1平坦化層25等の有機材料の耐熱性も考慮して決定する。
【0094】
なお、上述の実施形態では、裏面照射型の固体撮像素子にマイクロレンズを適用した場合について説明しているが、上述のマイクロレンズは、表面照射型のCMOS固体撮像素子や、CCD型固体撮像素子にも適用できる。
【0095】
〈3.電子機器〉
次に、上述の固体撮像素子を備える電子機器の実施形態について説明する。
上述の固体撮像素子は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、又は、撮像機能を備えた他の機器などの電子機器に適用することができる。図12に、電子機器の一例として、固体撮像素子を静止画像又は動画を撮影が可能なカメラに適用した場合の概略構成を示す。
【0096】
この例のカメラ50は、固体撮像素子51と、固体撮像素子51の受光センサ部に入射光を導く光学系52と、固体撮像素子51及び光学系52間に設けられたシャッタ装置53と、固体撮像素子51を駆動する駆動回路54とを備える。さらに、カメラ50は、固体撮像素子51の出力信号を処理する信号処理回路55を備える。
【0097】
固体撮像素子51には、上述の実施形態及び第2実施形態の固体撮像素子を適用することができる。光学系(光学レンズ)52は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子51の撮像面(不図示)上に結像させる。これにより、固体撮像素子51内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。なお、光学系52は、複数の光学レンズを含む光学レンズ群で構成してもよい。また、シャッタ装置53は、入射光の固体撮像素子51への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0098】
駆動回路54は、固体撮像素子51及びシャッタ装置53に駆動信号を供給する。そして、駆動回路54は、供給した駆動信号により、固体撮像素子51の信号処理回路55への信号出力動作、及び、シャッタ装置53のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路54から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子51から信号処理回路55への信号転送動作を行う。
【0099】
信号処理回路55は、固体撮像素子51から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0100】
上述した各実施形態に係る固体撮像素子では、可視光の光量に応じた信号電荷を物理量として検知する単位画素が行列状に配置されてなるイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、上述の固体撮像素子は、イメージセンサへの適用に限られるものではなく、画素アレイ部の画素列ごとにカラム回路を配置してなるカラム方式の固体撮像素子全般に対して適用可能である。
【0101】
また、上述の固体撮像素子は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子に適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
さらに、上述の固体撮像素子は、画素アレイ部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像素子に限らない。例えば、画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像素子に対しても適用可能である。
なお、固体撮像素子はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0102】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する固体撮像素子。
(2)前記第1レンズ層が金属酸化物含有樹脂、又は、無機材料からなり、前記第2レンズ層が無機材料である(1)に記載の固体撮像素子。
(3)前記第1レンズ層の屈折率をn1とし、前記第2レンズ層の屈折率をn2としたとき、n2≦n1の関係を満たす(1)又は(2)に記載の固体撮像素子。
(4)前記第1レンズ層と前記第2レンズ層とを被覆する第3レンズ層を有し、前記第3レンズ層の屈折率が、前記第1レンズ層及び前記第2レンズ層よりも小さい(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)前記第3レンズ層の表面が平坦化されている(4)に記載の固体撮像素子。
(6)前記第1マイクロレンズの中心部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTtとし、前記第1マイクロレンズの外周部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTbとしたとき、0≦Tt<Tbの関係を満たす(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)第1レンズ層と、第2レンズ層とを有する固体撮像素子の製造方法であって、前記第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、少なくとも前記第1マイクロレンズの外周部に前記第2レンズ層を形成する工程と、を有し、前記第2レンズ層を形成する工程において、前記第1マイクロレンズの中心部に前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を形成する固体撮像素子の製造方法。
(8)(1)から(6)のいずれか記載の固体撮像素子と、前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する電子機器。
【符号の説明】
【0103】
10,20,51 固体撮像素子、11 水平信号線、12 画素、13 画素部、14 垂直駆動回路、15 カラム信号処理回路、16 水平駆動回路、17 出力回路、18 制御回路、19 垂直信号線、21 半導体基体、22 フォトダイオード、23 絶縁層、24 画素間遮光層、25 第1平坦化層、26 カラーフィルタ、27,27A,27B 第2平坦化層、28 緩衝層、29 単位画素、30,30A,30B,30C,30D,35,35A,35B,35C マイクロレンズ、31 第1レンズ層、32 第1マイクロレンズ、33 第2レンズ層、34 第3レンズ層、41 感光性樹脂、50 カメラ、52 光学系、53 シャッタ装置、54 駆動回路、55 信号処理回路
【技術分野】
【0001】
本技術は、固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法、および電子機器に係わる。特に、フォトダイオード上にマイクロレンズを備える固体撮像素子、固体撮像素子の製造方法、及び、電子機器に係わる。
【背景技術】
【0002】
CMOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)固体撮像素子には、表面照射型と、裏面照射型が知られている。固体撮像素子は、半導体基体に光電変換部となるフォトダイオードと複数の画素トランジスタからなる単位画素が複数、形成された画素領域を有して構成される。
【0003】
表面照射型固体撮像素子では、多層配線層が形成された基板表面を受光面として、入射光がこの基板表面側から入射される。
裏面照射型固体撮像素子では、多層配線層及び画素トランジスタが形成された基板表面とは反対側の基板裏面を受光面として、入射光がこの基板裏面側から入射される。
【0004】
各フォトダイオードは不純物拡散層による素子分離領域で分離される。また、半導体基体の画素トランジスタが形成された表面側に層間絶縁層を介して複数の配線を配置した多層配線層が形成される。
表面照射型固体撮像素子では、配線がフォトダイオード上以外に形成される。多層配線層上には、平坦化層を介して、順次オンチップカラーフィルタ及びマイクロレンズが形成される。オンチップカラーフィルタは、例えば赤(R)、緑(G)、青(B)の各色フィルタを配列して構成される。
【0005】
裏面照射型固体撮像素子では、フォトダイオードの位置に関係なく配線を形成することができる。フォトダイオードの受光面となる半導体基体の裏面上に、順次絶縁層、オンチップカラーフィルタ及びマイクロレンズが形成される。
裏面照射型固体撮像素子では、光は多層配線層の制約を受けることなく、フォトダイオードに入射するため、フォトダイオードの開口を広く取ることができる。さらに、表面照射型固体撮像素子に比べて、フォトダイオードからマイクロレンズまでの距離を短縮することができる。このため、距離の短縮に対応して、マイクロレンズの集光性を向上させることができ、斜め入射光も効率良く取り込むことができる。この結果、固体撮像素子の高感度化が可能となる。
【0006】
マイクロレンズの集光性を向上させる手法としては、例えば、マイクロレンズの曲率を大きくする方法や、マイクロレンズを構成する材料の屈折率を上げる方法がある(特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2007−53318号公報
【特許文献2】特開平1−10666号公報
【特許文献3】特開2008−277800号公報
【特許文献4】特開2008−9079号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上述の固体撮像素子では、マイクロレンズの形状を最適化することにより、感度特性の向上が求められている。
【0009】
本技術においては、感度特性に優れた固体撮像素子、この固体撮像素子の製造方法、及び、この固体撮像素子を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本技術の固体撮像素子は、第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に第2レンズ層が形成されている。そして、第1マイクロレンズの中心部に、外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層を有する構成である。
また、本技術の電子機器は、上述の固体撮像素子と、固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路とを有する。
【0011】
また、本技術の固体撮像素子の製造方法は、第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、少なくとも第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層を形成する工程とを有する。そして、第2レンズ層を形成する工程において、第1マイクロレンズの中心部に外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない第2レンズ層を形成する。
【0012】
上述の固体撮像素子、及び、上述の製造方法により製造される固体撮像素子によれば、第1レンズ層により画素間ギャップを有する第1マイクロレンズが形成され、この第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層が形成される。第1マイクロレンズの外周部に第2レンズ層が形成されることにより、第1マイクロレンズの画素間ギャップが第2レンズ層により埋められる。このため、マイクロレンズの平面視における面積が拡大され、マイクロレンズの集光能力が向上する。この結果、固体撮像素子の感度特性が向上する。そして、この固体撮像素子を備えることにより、感度特性に優れた電子機器を構成することができる。
【発明の効果】
【0013】
本技術によれば、感度特性に優れた固体撮像素子、この固体撮像素子の製造方法、及び、電子機器を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】実施形態の固体撮像素子の構成を示す平面図である。
【図2】実施形態の固体撮像素子の画素部の構成を示す断面図である。
【図3】固体撮像素子の第1レンズ層の構成を示す平面図である。
【図4】A〜Dは、実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を示す図である。
【図5】A〜Cは、固体撮像素子のマイクロレンズの変形例の構成を示す図である。
【図6】A〜Dは、固体撮像素子の製造方法の実施形態を示す製造工程図である。
【図7】E〜Hは、固体撮像素子の製造方法の実施形態を示す製造工程図である。
【図8】A〜Cは、固体撮像素子の第2平坦化層を形成する工程を示す図である。
【図9】実施形態の固体撮像素子の第1マイクロレンズを形成する工程を説明するための図である。
【図10】実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を説明するための図である。
【図11】A、Bは、実施形態の固体撮像素子のマイクロレンズの構成を説明するための図である。
【図12】電子機器の構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本技術を実施するための最良の形態の例を説明するが、本技術は以下の例に限定されるものではない。
なお、説明は以下の順序で行う。
1.固体撮像素子の実施形態
2.固体撮像素子の製造方法の実施形態
3.電子機器の実施形態
【0016】
〈1.固体撮像素子の実施形態〉
[固体撮像素子の構成例:概略構成図]
以下、本実施形態の固体撮像素子の具体的な実施の形態について説明する。
図1に、固体撮像素子の一例として、MOS(Metal Oxide Semiconductor)型の固体
撮像装置の概略構成図を示す。
【0017】
図1Aに示す固体撮像素子10は、半導体基体、例えば、シリコン基板に複数の光電変換部となるフォトダイオードを含む画素12が規則的に2次元的に配列された画素部(いわゆる撮像領域)13と、周辺回路部とから構成される。画素12は、フォトダイオードと、複数の画素トランジスタ(いわゆるMOSトランジスタ)を有する。
【0018】
複数の画素トランジスタは、例えば転送トランジスタ、リセットトランジスタ、増幅トランジスタの3つのトランジスタで構成することができる。その他、選択トランジスタを追加して4つのトランジスタで構成することもできる。
【0019】
周辺回路部は、垂直駆動回路14と、カラム信号処理回路15と、水平駆動回路16と、出力回路17と、制御回路18等から構成されている。
【0020】
制御回路18は、垂直同期信号、水平同期信号及びマスタクロックに基づいて、垂直駆動回路14、カラム信号処理回路15及び水平駆動回路16等の動作の基準となるクロック信号や制御信号を生成する。制御回路18は、これらの信号を垂直駆動回路14、カラム信号処理回路15及び水平駆動回路16等に入力する。
【0021】
垂直駆動回路14は、例えばシフトレジスタによって構成される。垂直駆動回路14は、画素部13の各画素12を行単位で順次垂直方向に選択走査し、垂直信号線19を通して各画素12の光電変換素子において受光量に応じて生成した信号電荷に基づく画素信号をカラム信号処理回路15に供給する。
【0022】
カラム信号処理回路15は、画素12の例えば列ごとに配置され、1行分の画素12から出力される信号を画素列ごとに黒基準画素(有効画素領域の周囲に形成される)からの信号によってノイズ除去などの信号処理を行う。即ち、カラム信号処理回路15は、画素12固有の固定パターンノイズを除去するためのCDS(correlated double sampling)や、信号増幅等の信号処理を行う。カラム信号処理回路15の出力段には水平選択スイッチ(図示せず)が水平信号線11との間に接続されて設けられている。
【0023】
水平駆動回路16は、例えばシフトレジスタによって構成され、水平走査パルスを順次出力することによって、カラム信号処理回路15の各々を順番に選択し、カラム信号処理回路15の各々から画素信号を水平信号線11に出力する。
出力回路17は、カラム信号処理回路15の各々から水平信号線11を通して順次に供給される信号に対し、信号処理を行って出力する。
【0024】
上記の固体撮像素子10を、裏面照射型の固体撮像素子に適用する場合は、光入射面(いわゆる受光面)側の裏面上には配線層が形成されず、配線層は受光面と反対側の表面側に形成される。
【0025】
[固体撮像素子の構成例:画素部]
次に、図2に、本実施形態の固体撮像素子の1画素を構成する要部の断面図を示す。
図2に示す固体撮像素子20は、半導体基体21の光入射面側に複数のフォトダイオード(PD)22を有する。PD22は、固体撮像素子20の単位画素29内に、それぞれ形成されている。そして、半導体基体21上に単層又は複数層からなる絶縁層23が形成されている。
なお、図2に示す裏面照射型の固体撮像素子20においては、光が入射する面とは反対側の面に多層配線層及び画素トランジスタ等の回路部が形成されているが、本図ではこれらの構成を省略している。
【0026】
絶縁層23は、単層の場合にはSiO等が用いられる。また、複数層の場合には反射防止層の構成として、屈折率の異なる複数の層で形成される。例えば、ハフニウム酸化物(HfO2)層とシリコン酸化物層との2層により構成される。
【0027】
上述の絶縁層23上には、固体撮像素子20の各PD22の開口部に対応して、各単位画素29の境界上に画素間遮光層24が形成されている。画素間遮光層24は、例えば、W、Al、Cuの金属層や、カーボンブラック、チタンブラックなどの有機系の材料等からなる。画素間遮光層24は、隣接画素への入射光の漏れこみを防ぎ、固体撮像素子20の混色を抑制する。
【0028】
絶縁層23及び画素間遮光層24上には、例えばアクリル系樹脂等からなる第1平坦化層25が形成されている。この第1平坦化層25は、画素間遮光層24等による凹凸を平坦化する。そして、半導体基体21上にカラーフィルタをスピン塗布法等により形成する際の塗布ムラを軽減する。
【0029】
第1平坦化層25上には、カラーフィルタ26が形成されている。このカラーフィルタ26には、例えばRED、GREEN、BLUEや、YELLOW、CYAN、MAGENTA等の光学フィルタが形成される。このとき、カラーフィルタ26はそれぞれ最適なカラー画像を出力するために、各色の層厚が最適に形成される。このため、カラーフィルタ26の表面には若干の凹凸を有する。
【0030】
カラーフィルタ26上には、カラーフィルタ26表面の凹凸を平坦化するための第2平坦化層27が形成される。第2平坦化層27は、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えば、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂等が用いられる。なお、平坦化性は、アクリル樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂、スチレン樹脂の順に低くなる。このため、第2平坦化層27としては、平坦化性に優れるアクリル樹脂を用いることが好ましい。
【0031】
第2平坦化層27上には、緩衝層28が形成されている。緩衝層28は、例えばSiOやSiON等により形成される。緩衝層28は、後述するように、膜応力の差による皺の発生の防止や、反射率の低減のために形成される。
【0032】
緩衝層28上にマイクロレンズ30が形成されている。
マイクロレンズ30は、第1レンズ層31と、第1レンズ層31上に形成された第2レンズ層33とからなる。第1レンズ層31は、第2平坦化層27上に形成され、第1マイクロレンズ32を構成する。そして、第1マイクロレンズ32上を被覆して、第2レンズ層33が形成されている。第2平坦化層27は、カラーフィルタ26上に形成する第1マイクロレンズ32の均一性を高めるため形成されている。
【0033】
固体撮像素子20のマイクロレンズ30の第1レンズ層31には、樹脂、SiN、及び、SiONの何れか1種類以上が用いられる。
樹脂としては、例えば、金属微粒子が分散された金属酸化物含有樹脂を用いる。金属微粒子が分散される樹脂としては、例えば、アクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ノボラック系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリイミド系樹脂、及び、シロキサン系樹脂等を用いる。樹脂に分散させる金属微粒子としては、例えば、酸化亜鉛、酸化ジルコニウム、酸化ニオブ、酸化チタン、及び、酸化錫等を用いる。樹脂中に金属酸化物を分散させることにより、樹脂の屈折率を上げることができる。
【0034】
第1レンズ層31にSiNを用い、第2平坦化層27にアクリル系樹脂を用いる場合、SiNが直接第2平坦化層27上に形成されると、SiNの成層時の応力により両者の層界面に皺が発生する場合がある。皺が発生すると固体撮像素子の画像劣化を起こす。
皺の発生は、第2平坦化層27を構成するアクリル系樹脂等の樹脂と、第1レンズ層31を構成するSiN等の無機材料との膜応力の違いに起因する。
膜応力は、アクリル系樹脂(第2平坦化層27)<SiO<SiON<SiN(第1レンズ層31)の関係となる。このように、第2平坦化層27(アクリル系樹脂)と第1レンズ層31(SiN)との膜応力の差が大きいため、皺が発生する。このため、両者の間に緩衝層28として、中間的な応力を持つSiOやSiONを形成する。中間的な応力を持つ層の緩衝効果により、層界面の皺の発生が抑制される。
【0035】
また、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂の膜応力は、アクリル系樹脂<スチレンーアクリル共重合樹脂<スチレン樹脂<SiOとなる。このように、スチレン樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂は、アクリル系樹脂よりも第1レンズ層31を構成するSiNに近い。このため、第2平坦化層27として、アクリル系樹脂よりも膜応力の高いスチレン樹脂やスチレンーアクリル共重合樹脂を用いた場合には、アクリル系樹脂を用いた場合よりも界面に皺が発生しにくい。
【0036】
第1レンズ層31に金属酸化物含有樹脂を用いる場合や、第1レンズ層31と第2平坦化層27との界面に皺が発生し難い場合においても、上述の緩衝層28を反射防止層として設けることができる。
ここで、カラーフィルタ26上に、第2平坦化層27としてアクリル系樹脂、緩衝層28としてSiON、第1レンズ層31としてSiNが形成された場合について考える。
この構成において、各層の屈折率nは、第2平坦化層27(アクリル系樹脂:n=1.5程度)<緩衝層28(SiON:n=1.6〜1.8程度)<第1レンズ層31(SiN:n=1.85〜2.0程度)となる。
また、第2平坦化層27として、スチレン樹脂(n=1.6程度)、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂(n=1.55〜1.58程度)を用いた場合においても、第2平坦化層27<緩衝層28(SiON)<第1レンズ層31(SiN)となる。
上記屈折率の関係から、緩衝層28として、SiONが選択された場合には、第2平坦化層27と第1レンズ層31の中間的な屈折率を有するため、反射率が低減する。
上述のように、緩衝層27が第2平坦化層27と第1レンズ層31との中間の屈折率を有する構成とすることにより、緩衝層27が反射防止層として機能する。このため、例えば、緩衝層28に屈折率n=1.45程度のSiOを用いた場合にも、第2平坦化層27と第1レンズ層31の屈折率を、使用する材料や成膜条件等で調整することにより、緩衝層28を反射防止層として機能させることができる。
第1レンズ層31としてSiNに替えて、同程度の屈折率を有する金属酸化物含有樹脂を用いた場合にも、上述のように反射率を低減することができる。
【0037】
また、カラーフィルタ26上に第2平坦化層27と、SiO又はSiONからなる緩衝層28とが形成された場合には、固体撮像素子20のフォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離が長くなる。しかし、緩衝層28は5nm程度あれば緩衝効果を発揮する。さらに、第2平坦化層27は、選択されるアクリル系樹脂が、熱流動性、熱硬化性及び熱収縮性を有していれば薄膜で形成可能となる。このため、第2平坦化層27と緩衝層28とを形成した場合の、フォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離の増加による固体撮像素子の感度低下は、実質的に問題とならない。
【0038】
緩衝層28上に形成される第1レンズ層31の平面図を図3に示す。
図3に示す破線は、固体撮像素子20における単位画素29を示す。そして、各単位画素29に対応して形成されるマイクロレンズ30は、平面視で単位画素29と同じ大きさに形成されることが好ましい。また、第1レンズ層31は、単位画素29の全面を被覆して形成されている。
ここで、図3に示すように、第1レンズ層31により形成される第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)及び対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、ギャップを有した状態で形成されている。
【0039】
固体撮像素子20の感度特性を向上するためには、上記W1、W2に示した隣接画素のギャップと、フォトダイオード22からマイクロレンズ30までの距離を、可能な限り縮小することが好ましい。さらに、ドライエッチング法によりマイクロレンズ30を形成する場合には、可能な限りエッチング処理時間を短縮する必要がある。これは、半導体基体21へのプラズマダメージを最小限に抑えることで、固体撮像素子20の暗電流を抑制するためである。
【0040】
上述の図3に示すように、従来の一般的な固体撮像素子は、四角形の単位画素29を有する。このため、例えば、第1マイクロレンズ32をW1のギャップが無い状態で形成した場合にも、元々広いギャップを有するW2のギャップが残る。例えば、ドライエッチ法を用いてマイクロレンズ30を形成する場合には、W2のギャップを縮小するような条件のエッチングを行い、W2のギャップを無くすことが考えられる。しかし、W2のギャップを無くす条件でドライエッチングを行うと、ドライエッチングの時間が延びてしまうため固体撮像素子20の暗電流特性が悪化してしまう。さらに、処理時間が長くなることにより、ウエハ毎のエッチングのバラツキも増加する。このため、マイクロレンズ30の断面方向において形状のバラツキが生じてしまい、固体撮像素子20の感度特性などに悪影響が生じる。
【0041】
これに対し、本実施形態の固体撮像素子20では、第1レンズ層31と第2レンズ層33との積層体からなるマイクロレンズ30が形成されている。
ここで、図4に示すように、第1レンズ層31上に形成された第2レンズ層33の層厚に関して、第1マイクロレンズ32の中心部に形成された第2レンズ層33の層厚をTt、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33の層厚をTbとする。このとき、TtとTbの関係が、0≦Tt<Tbの関係を満たす。これは、第1マイクロレンズ32の外周部に第2レンズ層33を有し、さらに、第1マイクロレンズ32の中心部に外周部よりも厚さの小さい第2レンズ層33を有する、又は、中心部に第2レンズ層33が形成されていない構成を表す。
【0042】
この構成の固体撮像素子20では、上述の図3に示すように、第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)又は対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、ギャップwを有した状態で形成される。このようなギャップwが形成されてもよい条件であれば、ドライエッチングの時間を短縮できるため、固体撮像素子20の暗電流の増加が抑制される。
さらに、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の平面視における面積が拡大されてマイクロレンズ30が形成される。このため、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させることができ、固体撮像素子20の感度特性の向上やシェーディング特性を改善が可能となる。
【0043】
第2レンズ層33は、SiON、SiN、SiO、及び、SiOC(屈折率1.4程度)から選ばれる少なくとも1種類以上の材料により形成されている。ここで、第1レンズ層31を構成するSiONやSiNよりも屈折率の低いSiOやSiOCにより第2レンズ層33を形成することにより、第2レンズ層33がマイクロレンズ30の表面の反射防止層としても機能する。
【0044】
図4に、マイクロレンズ30を構成する第1レンズ層31及び第2レンズ層33において、上述のTtとTbの関係0≦Tt<Tbを満たす構成を示す。
【0045】
図4A〜Dに示すマイクロレンズ30A〜30Dは、第1マイクロレンズ32上にそれぞれ厚さの異なる第2レンズ層33が形成された状態を示している。図4A〜Dに示すマイクロレンズ30A〜30Dは、従来公知の方法により第1レンズ層31から第1マイクロレンズ32を形成した後、第1マイクロレンズ32上に形成する第2レンズ層33の厚さをドライエッチングにより調整して形成される構成である。なお、この第1レンズ層31及び第2レンズ層33の形成方法は、後述の固体撮像素子の製造方法において詳細に説明する。
【0046】
図4Aに示すマイクロレンズ30Aは、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。そして、第2レンズ層33の第1マイクロレンズ32の中心部の厚さTtと、外周部の厚さTbとは、Tt<Tbの関係で形成されている。
また、第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部が最も薄く形成され、中心部から外周部にかけて、次第に厚さが増加する構成を有している。
上述の構成により、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwがないマイクロレンズ30Aが形成されている。従って、マイクロレンズ30Aの平面視における面積を拡大することができ、マイクロレンズ30Bの集光パワーを向上させて固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0047】
図4Bに示すマイクロレンズ30Bは、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。この構成は、第2レンズ層33の形成の際、Tt=0となった時点でエッチングを終了させた状態を示している。この構成のマイクロレンズ30Bは、図4Aに示す状態のマイクロレンズ30Aの状態から、さらに第2レンズ層33のエッチングを進めることにより形成される。
第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部には存在していないが、第1マイクロレンズ32の外周部には存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。
上述の構成では、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれている。このため、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Bが形成されている。この構成により、マイクロレンズ30Bの平面視における面積を拡大することができ、マイクロレンズ30Bの集光パワーを向上させて固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0048】
図4Cに示すマイクロレンズ30Cは、図4Bに示す状態のマイクロレンズ30Bから、さらに第2レンズ層33のエッチングを進めた状態を示している。
マイクロレンズ30Cは、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。また、第1マイクロレンズ32の中心部の周辺は、第2レンズ層33のエッチングを進めることにより、第2レンズ層33と共にエッチングされている。図4Cでは、エッチングされる前の第1マイクロレンズ32の中心部のレンズ面の位置を破線32Aで示している。
図4Cに示す構成は、第2レンズ層33のエッチングにより、第1マイクロレンズ32の中心部が露出した状態から、さらにエッチングを進めることにより、第2レンズ層33から露出した第1マイクロレンズ32がエッチングされることにより形成される。このように、第2レンズ層33のエッチングを進めることにより、第1マイクロレンズ32の中心部から外周部の方向に、第1レンズ層31のエッチングされる領域が広がる。
【0049】
図4Cに示すマイクロレンズ30Cの構成においても、第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部には存在していないが、第1マイクロレンズ32の外周部には存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。そして、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれている。このため、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Cが形成されている。
図4Cに示すように、第1マイクロレンズ32の中心部周辺に第2レンズ層33が形成されていない構成であっても、第2レンズ層33で画素間ギャップwを埋めることにより、マイクロレンズ30Cの平面視における面積を拡大することができる。
さらに、第1マイクロレンズ32の中心部がエッチングされた構成であっても、第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32と第2レンズ層33とに一連のレンズ面が形成されている。
この構成により、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させて、固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0050】
図4Dに示すマイクロレンズ30Dは、図4Cに示す状態のマイクロレンズ30Cから、さらに第1レンズ層31と第2レンズ層33とのエッチングを進めた状態を示している。図4Dでは、エッチングされる前の第1マイクロレンズ32のレンズ面の位置を破線32Aで示している。
マイクロレンズ30Dは、第1マイクロレンズ32の外周部近傍と、画素間ギャップwにのみ、第2レンズ層33が形成されている。第1マイクロレンズ32は、中心部から外周部にかけて、上述の図4Cに示す構成よりもエッチングされている領域が広がる。また、第1マイクロレンズ32の中心部と同様に、第1レンズ層31の画素間ギャップwの中央部が、エッチングにより除去されている。つまり、画素間ギャップwの中央部において第2レンズ層33が完全にエッチングされ、さらに、第2レンズ層33から露出した画素間ギャップwの中央部の第1レンズ層31がエッチングされている。
【0051】
図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成においては、第1マイクロレンズ32の中心部、及び、画素間ギャップwの中央部に第2レンズ層33が存在していない。しかし、第1マイクロレンズ32の外周部には、厚さTbの第2レンズ層33が存在する。つまり、第2レンズ層33は、0=Tt<Tbの関係で形成されている。
【0052】
また、画素間ギャップwの中央部において第1レンズ層31がエッチングされて形成された面と、第2レンズ層33の表面と第1マイクロレンズ32のレンズ面が連続し、マイクロレンズ30Dを構成する一連のレンズ面が形成されている。
従って、第1マイクロレンズ32、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33、及び、第1レンズ層31の画素間ギャップwのエッチングされた面により、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30Dが形成されている。
【0053】
このように、画素間ギャップwに形成されている第1レンズ層31までエッチングされる構成であっても、第1マイクロレンズ32の外周部に形成された第2レンズ層33を有することにより、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋められている。このため、マイクロレンズ30Dの平面視における面積が拡大され、マイクロレンズ30の集光パワーを向上させることができる。従って、固体撮像素子20の感度特性を向上させることができる。
【0054】
なお、図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成から、さらにエッチング処理を進めることにより、画素間ギャップwの第1レンズ層31の底部を突き抜け、第2平坦化層27まで達する構成としてもよい。この構成においても、第1マイクロレンズ32の外周部には、厚さTbの第2レンズ層33が存在する限り、第1マイクロレンズ32、第2レンズ層33、及び、画素間ギャップwの第1レンズ層31により、一連のレンズ面が形成される。このため、マイクロレンズ30Dの平面視における面積を拡大することができる。
【0055】
[変形例]
次に、上述の固体撮像素子のマイクロレンズの変形例について説明する。図5に、変形例のマイクロレンズ35の構成を示す。なお、マイクロレンズ以外の構成は、上述の実施形態と同様のため図示及び説明を省略する。
【0056】
図5に示すマイクロレンズ35は、第1レンズ層31及び第2レンズ層33上に、第3レンズ層34を備える。
図5Aに示すマイクロレンズ35Aの構成は、上述の図4Aに示すマイクロレンズ30Aの構成に対応し、図5Bに示すマイクロレンズ35Bの構成は、上述の図4Bに示すマイクロレンズ30Bの構成に対応する。
図5Aに示すマイクロレンズ35Aは、第3レンズ層34が、第2レンズ層33上の全面に形成されている。
図5Bに示すマイクロレンズ35Bは、第3レンズ層34が、第1マクロレンズ32の中心部と第2レンズ層33上を覆って形成されている。
第3レンズ層34は、マイクロレンズ35A、マイクロレンズ35B共に、第2レンズ33の上面に沿って、ほぼ厚さが一定に形成されている。
また、図5Cに示すマイクロレンズ35Cは、第1レンズ層31及び第2レンズ層33上に第3レンズ層34を備え、第3レンズ層34の表面が平坦に形成されている。このように、第3レンズ層34は、表面が平坦に形成されていてもよい。
図5A〜Cに示す第3レンズ層34は、第1レンズ層31を構成する材料よりも、屈折率の低い材料を用いることにより、マイクロレンズ35の表面反射防止層として機能する。
【0057】
ここで、第1レンズ層31にSiON又はSiNが選択されたとき、第2レンズ層33と第3レンズ層34の屈折率について、第1レンズ層31の屈折率に対する相対的な関係を下記表1に示す。
【0058】
【表1】
【0059】
表1では、第1レンズ層31の屈折率をcとしたとき、第2レンズ層33を、第1レンズ層31の屈性率cと同等の材料(1)か、又は、第1レンズ層31の屈性率cよりも高い屈折率の材料(2)により構成する。そして、第3レンズ層34を、第1レンズ層31の屈折率cよりも低い屈折率の材料により構成する。
【0060】
表1に記載の(1)の構成では、第3レンズ層34が単層反射防止層として機能する。このとき第3レンズ層34は、SiO(屈折率1.45程度)や、SiOC(屈折率1.4程度)により形成される。
また、表1に記載の(2)の構成では、第2レンズ層33と第3レンズ層34とが2層反射防止層として機能する。第3レンズ層は、上記(1)の構成と同様にSiOやSiOCにより形成される。
【0061】
例えば、第1レンズ層31にSiONが選択された場合、第2レンズ層33には第1レンズ層31のSiONと同等の屈折率を有するSiON、又は、第1レンズ層31のSiONより屈折率の高いSiNが用いられる。そして、第3レンズ層34には、第1レンズ層31のSiONよりも屈折率の低いSiOC、又は、SiOが用いられる。
【0062】
また、第1レンズ層31にSiNが選択された場合、第2レンズ層33には第1レンズ層31のSiNと同等の屈折率を有するSiNが用いられる。そして、第3レンズ層34には、第1レンズ層31のSiNよりも屈折率の低いSiOC、又は、SiOが用いられる。
【0063】
各レンズ層を構成する材料の屈折率は、P−CVD法(plasma CVD, plasma-enhanced chemical vapor deposition)の各成膜条件、例えば、温度、圧力、ガス種及びガス流量等により決定される。なお、第1レンズ層31や第2レンズ層33の屈折率は、マイクロレンズ30の集光能力の向上のため、一般的な樹脂からなるマイクロレンズ材の屈折率(1.5〜1.6程度)よりも高く調整される。
【0064】
また、第2レンズ層33と第3レンズ層34とにより2層反射防止層として機能させる場合には、第2レンズ層33に高屈折材料を使用し、第3レンズ層34に低屈折材料を使用する。第2レンズ層33を構成する高屈折材料としては、SiNよりも屈折率の高い材料、例えば、酸化ジルコニウム(ZrO、屈折率n=2.4)や酸化チタン(TiO、屈折率n=2.52)を用いる。また、第3レンズ層34を構成する低屈折材料としては、SiOCよりも屈折率の低い材料、例えば、フッ化マグネシウム(MgF2、屈折率n=1.37)を用いる。第2レンズ層33、及び、第3レンズ層34の膜厚は、反射させる所望の光の波長λに対し、1.0/4λの厚さで形成する。
【0065】
〈2.固体撮像素子の製造方法〉
次に、上述の実施形態の固体撮像素子の製造方法について説明する。なお、以下の説明では、固体撮像素子のカラーフィルタ上の構成のみを示し、他の構成を省略している。カラーフィルタより下層の各構成については、従来公知の固体撮像素子の製造方法により製造することができる。また、以下で説明する固体撮像素子は、第2平坦化層と第1レンズ層との間に緩衝層を設けていない構成である。
【0066】
まず、図6Aに示すように、固体撮像素子の各画素に対応して形成されたカラーフィルタ26を形成する。カラーフィルタ26は、例えば色素として、顔料や顔料が内添された感光性樹脂を用いて、フォトリソグラフィー法により形成する。カラーフィルタ26としては、例えば、RED、GREEN、BLUEや、YELLOW、CYAN、MAGENTA等の色材を形成する。
【0067】
次に、図6Bに示すように、カラーフィルタ26上に第2平坦化層27を形成する。第2平坦化層27は、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えば、アクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂等を用いて形成する。なお、この第2平坦化層27の形成方法の詳細は後述する。
【0068】
次に、図6Cに示すように、第2平坦化層27上に、第1レンズ層31として、例えばSiNを形成する。第1レンズ層31は、形成する第1マイクロレンズ32よりも充分に大きい厚さで形成する。第1レンズ層31は、例えば、成膜ガスとして、SiH4、NH3、N2を用いて、P―CVD法により形成する。また、P―CVD法による形成時に、200℃程度の温度で、圧力等を適宜調整する。
【0069】
次に、図6Dに示すように、第1レンズ層31上に固体撮像素子20の各画素に対応してポジ型の感光性樹脂41をパターン形成する。ポジ型の感光性樹脂41としては、例えば、ノボラック系樹脂、スチレン系樹脂、及び、これらの共重合系樹脂をからなる材料を用いる。また、感光性樹脂41のパターン形成は、例えば、スピン塗布、プリベーク、i−線露光、露光後ベーク、現像、及び、ポストベークの処理順に行う。ポストベーク処理において、図6Dに示すレンズ形状の感光性樹脂41が形成される。
【0070】
次に、図7Eに示すように、上述のポジ型の感光性樹脂41のマスクを用いて第1レンズ層31に、感光性樹脂41のレンズ形状をエッチング転写し、第1マイクロレンズ32を形成する。第1レンズ層31のエッチングには、例えば、ICP(Inductively Coupled Plasma)装置、CCP(Capacitively Coupled Plasma)装置、TCP(Transformer Coupled Plasma)装置、マグネトロンRIE(Reactive Ion Etching)装置、ECR(Electron Cyclotron Resonance)装置等のプラズマ生成装置を用いる。そして、温度、圧力等を適宜調整し、CF4や、C4F8などのフロロカーボンガス系のガスを主成分とするエッチングガスを用いる。
【0071】
図7Eに示すレンズ形状が転写された第1レンズ層31の平面視は、上述の図3に示すように、第1マイクロレンズ32の少なくともW1、W2のいずれかに画素間ギャップwを有している。このように、画素間ギャップwを有している条件で第1レンズ層31を形成することにより、エッチングを短い時間で行うことができる。ドライエッチングの時間を短縮できるため、プラズマダメージによる固体撮像素子20の暗電流の増加を抑制することができる。
【0072】
次に、図7Fに示すように、第1レンズ層31上に第2レンズ層33を形成する。第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32上では、第1マイクロレンズ32のレンズ面の形状に沿って形成されている。また、画素間ギャップw上では、第2レンズ層33が第1マイクロレンズ32上よりも厚く形成されている。
第2レンズ層33としては、例えば、SiNを形成する。SiNの成膜ガスとしてSiH4、NH3、N2を用いて、P―CVD法により形成する。P―CVD法による形成時に、200℃程度の温度で、圧力等を適宜調整する。
【0073】
次に、形成した第2レンズ層33をエッチングすることにより、図7G又は図7Hに示す構成の第2レンズ層33を形成する。
図7Gは、上述の図4Aに示すマイクロレンズ30Aの構成に対応し、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。第2レンズ層33は、第1マイクロレンズ32の中心部が最も薄く形成され、中心部から外周部にかけて、次第に層厚が増加する構成を有している。
第2レンズ層33により、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップwが埋め込まれてマイクロレンズ30が形成されている。
【0074】
図7Hは、上述の図4Bに示すマイクロレンズ30Bの構成に対応し、第1マイクロレンズ32の中心部を除き、第1レンズ層31上の全面に第2レンズ層33が形成されている。第2レンズ層33のエッチングは、第1マイクロレンズ32の中心部での膜厚が0となった時点で終了させている。
図7G及び図7Hに示すように、第1マイクロレンズ32の外周部に第2レンズ層33を形成することにより、画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30が形成されている。
【0075】
なお、図示していないが、エッチング条件を適宜変更することにより、上述の図4Cに示すマイクロレンズ30Cの構成や、図4Dに示すマイクロレンズ30Dの構成も形成することができる。
以上の工程により、上述の図2に示すマイクロレンズ30を備える固体撮像素子20を製造することができる。
【0076】
上述の製造方法によれば、第1マイクロレンズ32は、隣接画素の辺方向(W1)又は対角方向(W2)の少なくてもいずれか一方向に、画素間ギャップwを有した状態で形成される。このような画素間ギャップwが形成されてもよい条件であれば、ドライエッチングの時間を短縮できるため、固体撮像素子20の暗電流の増加が抑制される。そして、第2レンズ層33により、画素間ギャップwが埋め込まれ、画素間ギャップwが存在しないマイクロレンズ30が形成される。このため、マイクロレンズ30の平面視における面積が拡大され、マイクロレンズ30の集光パワーが向上する。この結果、固体撮像素子20の感度特性の向上やシェーディング特性を改善が可能となる。
【0077】
[第2平坦化層の形成方法]
上述の固体撮像素子の製造方法においてカラーフィルタ26上に形成する、第2平坦化層27の形成方法について説明する。
固体撮像素子20の高感度化のためには、マイクロレンズ30とフォトダイオード22間の距離を短縮すること好ましい。このため、上述の図2に示す半導体基体21上の各層を薄く形成することが望ましい。このため、第2平坦化層27を形成する場合も、薄く形成されていることが望ましい。
第2平坦化層27の薄膜化のためには、第2平坦化層27を構成する材料として、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料、例えばアクリル系樹脂、スチレン樹脂、及び、スチレンーアクリル共重合樹脂を用いる。
【0078】
図8に、上記特性を有する樹脂により第2平坦化層27を形成する工程図を示す。
まず、図8Aに示すように、カラーフィルタ26上に、樹脂をスピン塗布して第2平坦化層27Aを形成する。塗布直後の第2平坦化層27Aは、それぞれの色により厚さが異なるカラーフィルタ26の表面の凹凸の影響を受け、表面が凹凸に形成されている。
【0079】
次に、図8Aに示す状態の第2平坦化層27Aに熱処理を行う。第2平坦化層27Aを構成する樹脂は、上述のように熱流動性と熱硬化性を合わせ持つ。このため、熱処理により流動性が増加し、表面が平坦化される方向に第2平坦化層27Aが移動する。このため、図8Bに示すように、熱処理前よりも凹凸の凹部が緩和された第2平坦化層27B形成される。
【0080】
次に、図8Cに、上記熱処理により硬化した状態の第2平坦化層27を示す。第2平坦化層27は、熱処理による熱流動と同時に熱硬化が進行する。さらに、第2平坦化層27は、熱処理の際に熱収縮もする。このため、上記熱処理において第2平坦化層27は、熱硬化の際に発生する収縮により、硬化前の状態よりも硬化後の体積が減少する。この結果、硬化後の第2平坦化層27の厚さは、硬化前の状態よりも小さくなる。さらに、熱処理による流動性の増加により平坦化される。
従って、第2平坦化層27に、熱流動性と熱硬化性を合わせ持ち、熱処理が完了した時点で硬化層となる材料を適用することにより、スピン塗布直後の凹凸が緩和され、実質的に平坦で薄層な熱硬化層を形成することができる。
【0081】
また、第2平坦化層27は、熱流動と熱硬化が同時進行するアクリル系樹脂、スチレン樹脂、スチレンーアクリル共重合樹脂等であるが、樹脂の分子量を下げると熱収縮量が増加するので、第2平坦化層をより薄く形成できる。第2平坦化層27を薄く形成することによりフォトダイオード22とマイクロレンズ30の距離が短縮されるので固体撮像素子20の感度特性が向上する。
【0082】
[第1レンズ層のエッチング転写]
上述の固体撮像素子の製造方法において、図6D及び図7Eに示す第1レンズ層31に感光性樹脂41のレンズ形状をエッチング転写する工程について説明する。
上述のエッチング転写は、第1レンズ層31に用いられる材料と、その上に形成される感光性樹脂41とのエッチング速度が1:1となる条件で行うことが好ましい。
図9に、第1レンズ層31上にマイクロレンズ形状を有する感光性樹脂41が形成された状態と、エッチング転写により第1レンズ層31に転写される第1マイクロレンズ32のレンズ形状とを示す。図9では、感光性樹脂41により形成されているレンズ形状において、中心部の高さ(厚さ)をh1、画素間ギャップをw3で示している。また、第1マイクロレンズ32の中心部の高さ(厚さ)をh2、画素間ギャップをw4,w5で示す。
【0083】
第1レンズ層31にSiNを用いた場合において、(SiNのエッチング速度の比):(感光性樹脂41のエッチング速度の比)=1:1となる条件でエッチングを行う。このとき形成される第1マイクロレンズ32の形状を、図9において破線32Aで示す。第1レンズ層31と感光性樹脂41とエッチング比が1:1の場合には、エッチング後の第1マイクロレンズ32の形状は、感光性樹脂41の形状と実質的に等しくなる。このため、第1マイクロレンズ32の中心部の高さh2が、感光性樹脂41の高さh1と同等に形成される。また、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw4が、感光性樹脂41の画素間ギャップw3と同等に形成される。
【0084】
また、上述のエッチング転写において、例えば、C4F8等のエッチングデポ性の強いガス種を用いた場合には、第1レンズ層31と感光性樹脂41とエッチング比が1:1からずれ、第1レンズ層31のエッチング比が小さくなる。この条件により形成される第1マイクロレンズ32の形状を、図9において実線で示す。
上述の条件により第1マイクロレンズ32を高さh2までエッチングしたとき、画素間ギャップw5は、エッチング比が1:1の場合よりも小さくなる。つまり、第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw5が、感光性樹脂41の画素間ギャップw3に対し、w3>w5の関係となる。
第1マイクロレンズ32の画素間ギャップw5が縮小されることにより、この画素間ギャップw5を埋め込むための、第1レンズ層31上に形成する第2レンズ層の厚さを薄くすることができる。
【0085】
また、第1レンズ層31のエッチング速度が相対的に遅くなると、エッチング処理時間が長くなり、固体撮像素子20へのプラズマダメージの増大が懸念される。プラズマダメージの軽減のためには、エッチング速度を早くする必要がある。この場合、C4F8のガス流量を下げるか、或いは、C4F8のガス種を用いて、感光性樹脂41のエッチング速度に対し、相対的に第1レンズ層31のエッチング速度が大きくなるように各種条件を調整する。この結果、固体撮像素子20へのプラズマダメージによる暗電流特性の悪化や、生産性の低下を抑制することができる。
【0086】
さらに、相対的に第1レンズ層31のエッチング速度を大きくし、w3、w4、w5の幅の関係がw3>w4(w5)の関係からw3<w4(w5)の関係へと相対的に変化する条件でエッチング処理を行なった場合について説明する。このような第1レンズ層31のギャップが拡大する条件でエッチングを行った場合、第1レンズ層31(例えば、SiN)のエッチング速度が速いために、第1レンズ層31のエッチング後の形状は、図10に示すような非球面形状となることがある。この形状では、第1マイクロレンズ32は丸みを帯びた錐形に近い形状であり、画素間ギャップwが広がり、曲面のy部が綺麗な円弧を持たない。
このように、錐形状の第1マイクロレンズ32が形成された場合においても、本実施形態のマイクロレンズでは、第1レンズ層31上に第2レンズ層33を形成する。このため、第1マイクロレンズ32の形状が非球面形状であっても、第2レンズ層33のレンズ形状を最適化することにより、図10に示すようにマイクロレンズ30の表面を、非球面形状から球面形状に近づくように補正することができる。
従って、第1マイクロレンズ32の形状に起因して集光性が低下する場合であっても、第2レンズ層33を形成することにより、マイクロレンズ30の集光性を向上させることができる。
【0087】
[第2レンズ層成膜条件]
第2レンズ層33の成膜条件と、形成される第2レンズ層33の表面のレンズ形状の曲率の関係について説明する。
図11に、SiN又はSiONから第2レンズ層33を形成する場合の成膜方法に関し、P−CVD法を用いて平均自由行程を調整し、マイクロレンズ30の曲率を調整する具体的な各種条件を以下に示す。
【0088】
(1)窒化シリコン(SiN)
ガス:SiH4、NH3、N2
温度:約200℃程度
【0089】
(2)酸化窒化シリコン(SiON)
ガス:SiH4、NH3、N2O、N2
温度:約200℃程度
【0090】
成膜時における圧力は、2mTorr〜10Torr程度の間で調整される。平均自由行程は、圧力が低い程高く、又、圧力が高い程低くなる。つまり、平均自由行程は、2mTorr側が高く、10Torr側が低い。
【0091】
図11Aは、成膜時の圧力が小さく、平均自由工程が大きい条件により第2レンズ層33を形成した場合の構成を示している。また、図11Bは、成膜時の圧力が大きく、平均自由工程が小さい条件により第2レンズ層33を形成した場合の構成を示している。
図11Aに示すように、平均自由工程が大きい方が、第2レンズ層33の表面の曲率が小さくなる。また、図11Bに示すように、平均自由工程が小さい方が、第2レンズ層33の表面の曲率が小さくなる。
従って、第1マイクロレンズ32の中心部の第2レンズ層33の厚さTtが同じ場合には、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33の厚さTbは、平均自由工程が大きい図11Aの方が大きくなる。そして、平均自由工程が小さい図11Bの方が、第1マイクロレンズ32の外周部の第2レンズ層33の厚さTbが小さくなる。
従って、第2レンズ層33の厚さの関係(Tt/Tb)は、成膜時の圧力の大きい条件の方が、成膜時の圧力小さい条件に対して大きくなる。
【0092】
このように、固体撮像素子20におけるマイクロレンズ30の形成位置や曲率について、第2レンズ層33の成膜条件を上述のように調整することで、所望の形状に形成することができる。
さらに、上述の図10に示すように第1レンズ層31の形状が非曲面形状であっても、第2レンズ層33の成膜条件を上述のように調整することで、曲面形状に近づくように補正することができる。
【0093】
なお、上述の製造方法には説明していないが、第2平坦化層27上に、図2に示す緩衝層28を形成してもよい。緩衝層28を形成する場合は、SiOやSiON等を用いてP―CVD法により形成する。
緩衝層28としてSiOを形成する場合は、成膜ガスとして、例えばSiH4、N2O等を用いる。また、緩衝層28としてSiONを形成する場合は、成膜ガスとして、例えばSiH4、NH3、N2O、N2等を用いる。そして、200℃程度の温度で圧力等を適宜調整して形成する。温度は、カラーフィルタ26の退色や、第1平坦化層25等の有機材料の耐熱性も考慮して決定する。
【0094】
なお、上述の実施形態では、裏面照射型の固体撮像素子にマイクロレンズを適用した場合について説明しているが、上述のマイクロレンズは、表面照射型のCMOS固体撮像素子や、CCD型固体撮像素子にも適用できる。
【0095】
〈3.電子機器〉
次に、上述の固体撮像素子を備える電子機器の実施形態について説明する。
上述の固体撮像素子は、例えば、デジタルカメラやビデオカメラ等のカメラシステム、撮像機能を有する携帯電話、又は、撮像機能を備えた他の機器などの電子機器に適用することができる。図12に、電子機器の一例として、固体撮像素子を静止画像又は動画を撮影が可能なカメラに適用した場合の概略構成を示す。
【0096】
この例のカメラ50は、固体撮像素子51と、固体撮像素子51の受光センサ部に入射光を導く光学系52と、固体撮像素子51及び光学系52間に設けられたシャッタ装置53と、固体撮像素子51を駆動する駆動回路54とを備える。さらに、カメラ50は、固体撮像素子51の出力信号を処理する信号処理回路55を備える。
【0097】
固体撮像素子51には、上述の実施形態及び第2実施形態の固体撮像素子を適用することができる。光学系(光学レンズ)52は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像素子51の撮像面(不図示)上に結像させる。これにより、固体撮像素子51内に、一定期間、信号電荷が蓄積される。なお、光学系52は、複数の光学レンズを含む光学レンズ群で構成してもよい。また、シャッタ装置53は、入射光の固体撮像素子51への光照射期間及び遮光期間を制御する。
【0098】
駆動回路54は、固体撮像素子51及びシャッタ装置53に駆動信号を供給する。そして、駆動回路54は、供給した駆動信号により、固体撮像素子51の信号処理回路55への信号出力動作、及び、シャッタ装置53のシャッタ動作を制御する。すなわち、この例では、駆動回路54から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像素子51から信号処理回路55への信号転送動作を行う。
【0099】
信号処理回路55は、固体撮像素子51から転送された信号に対して、各種の信号処理を施す。そして、各種信号処理が施された信号(映像信号)は、メモリなどの記憶媒体(不図示)に記憶される、又は、モニタ(不図示)に出力される。
【0100】
上述した各実施形態に係る固体撮像素子では、可視光の光量に応じた信号電荷を物理量として検知する単位画素が行列状に配置されてなるイメージセンサに適用した場合を例に挙げて説明した。しかしながら、上述の固体撮像素子は、イメージセンサへの適用に限られるものではなく、画素アレイ部の画素列ごとにカラム回路を配置してなるカラム方式の固体撮像素子全般に対して適用可能である。
【0101】
また、上述の固体撮像素子は、可視光の入射光量の分布を検知して画像として撮像する固体撮像素子への適用に限らず、赤外線やX線、あるいは粒子等の入射量の分布を画像として撮像する固体撮像素子に適用可能である。また、広義の意味として、圧力や静電容量など、他の物理量の分布を検知して画像として撮像する指紋検出センサ等の固体撮像素子(物理量分布検知装置)全般に対して適用可能である。
さらに、上述の固体撮像素子は、画素アレイ部の各単位画素を行単位で順に走査して各単位画素から画素信号を読み出す固体撮像素子に限らない。例えば、画素単位で任意の画素を選択して、当該選択画素から画素単位で信号を読み出すX−Yアドレス型の固体撮像素子に対しても適用可能である。
なお、固体撮像素子はワンチップとして形成された形態であってもよいし、撮像部と、信号処理部または光学系とがまとめてパッケージングされた撮像機能を有するモジュール状の形態であってもよい。
【0102】
なお、本開示は以下のような構成も取ることができる。
(1)第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する固体撮像素子。
(2)前記第1レンズ層が金属酸化物含有樹脂、又は、無機材料からなり、前記第2レンズ層が無機材料である(1)に記載の固体撮像素子。
(3)前記第1レンズ層の屈折率をn1とし、前記第2レンズ層の屈折率をn2としたとき、n2≦n1の関係を満たす(1)又は(2)に記載の固体撮像素子。
(4)前記第1レンズ層と前記第2レンズ層とを被覆する第3レンズ層を有し、前記第3レンズ層の屈折率が、前記第1レンズ層及び前記第2レンズ層よりも小さい(1)から(3)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(5)前記第3レンズ層の表面が平坦化されている(4)に記載の固体撮像素子。
(6)前記第1マイクロレンズの中心部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTtとし、前記第1マイクロレンズの外周部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTbとしたとき、0≦Tt<Tbの関係を満たす(1)から(5)のいずれかに記載の固体撮像素子。
(7)第1レンズ層と、第2レンズ層とを有する固体撮像素子の製造方法であって、前記第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、少なくとも前記第1マイクロレンズの外周部に前記第2レンズ層を形成する工程と、を有し、前記第2レンズ層を形成する工程において、前記第1マイクロレンズの中心部に前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を形成する固体撮像素子の製造方法。
(8)(1)から(6)のいずれか記載の固体撮像素子と、前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する電子機器。
【符号の説明】
【0103】
10,20,51 固体撮像素子、11 水平信号線、12 画素、13 画素部、14 垂直駆動回路、15 カラム信号処理回路、16 水平駆動回路、17 出力回路、18 制御回路、19 垂直信号線、21 半導体基体、22 フォトダイオード、23 絶縁層、24 画素間遮光層、25 第1平坦化層、26 カラーフィルタ、27,27A,27B 第2平坦化層、28 緩衝層、29 単位画素、30,30A,30B,30C,30D,35,35A,35B,35C マイクロレンズ、31 第1レンズ層、32 第1マイクロレンズ、33 第2レンズ層、34 第3レンズ層、41 感光性樹脂、50 カメラ、52 光学系、53 シャッタ装置、54 駆動回路、55 信号処理回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1レンズ層と、
第2レンズ層とを備え、
前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、
前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する
固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1レンズ層が金属酸化物含有樹脂、又は、無機材料からなり、前記第2レンズ層が無機材料である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1レンズ層の屈折率をn1とし、前記第2レンズ層の屈折率をn2としたとき、n2≦n1の関係を満たす請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1レンズ層と前記第2レンズ層とを被覆する第3レンズ層を有し、前記第3レンズ層の屈折率が、前記第1レンズ層及び前記第2レンズ層よりも小さい請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第3レンズ層の表面が平坦化されている請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1マイクロレンズの中心部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTtとし、前記第1マイクロレンズの外周部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTbとしたとき、0≦Tt<Tbの関係を満たす請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
第1レンズ層と、第2レンズ層とを有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、
少なくとも前記第1マイクロレンズの外周部に前記第2レンズ層を形成する工程と、を有し、
前記第2レンズ層を形成する工程において、前記第1マイクロレンズの中心部に前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を形成する
固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する
電子機器。
【請求項1】
第1レンズ層と、
第2レンズ層とを備え、
前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、
前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する
固体撮像素子。
【請求項2】
前記第1レンズ層が金属酸化物含有樹脂、又は、無機材料からなり、前記第2レンズ層が無機材料である請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項3】
前記第1レンズ層の屈折率をn1とし、前記第2レンズ層の屈折率をn2としたとき、n2≦n1の関係を満たす請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項4】
前記第1レンズ層と前記第2レンズ層とを被覆する第3レンズ層を有し、前記第3レンズ層の屈折率が、前記第1レンズ層及び前記第2レンズ層よりも小さい請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項5】
前記第3レンズ層の表面が平坦化されている請求項4に記載の固体撮像素子。
【請求項6】
前記第1マイクロレンズの中心部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTtとし、前記第1マイクロレンズの外周部に形成された前記第2レンズ層の厚さをTbとしたとき、0≦Tt<Tbの関係を満たす請求項1に記載の固体撮像素子。
【請求項7】
第1レンズ層と、第2レンズ層とを有する固体撮像素子の製造方法であって、
前記第1レンズ層から画素間ギャップを有する第1マイクロレンズを形成する工程と、
少なくとも前記第1マイクロレンズの外周部に前記第2レンズ層を形成する工程と、を有し、
前記第2レンズ層を形成する工程において、前記第1マイクロレンズの中心部に前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を形成する
固体撮像素子の製造方法。
【請求項8】
第1レンズ層と、第2レンズ層とを備え、前記第1レンズ層により形成される第1マイクロレンズの少なくとも外周部に前記第2レンズ層が形成され、前記第1マイクロレンズの中心部に、前記外周部よりも厚さの小さい、又は、厚さのない前記第2レンズ層を有する固体撮像素子と、
前記固体撮像素子の出力信号を処理する信号処理回路と、を有する
電子機器。
【図1】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【図2】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図3】
【公開番号】特開2013−77740(P2013−77740A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−217423(P2011−217423)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】
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