説明

固体撮像装置、及び電子機器

【課題】水平転送部での取り扱い電荷量(Q)を低下させることなく転送効率の向上及び画素ノイズの低減が図られた固体撮像装置を提供する。また、その固体撮像装置を用いた電子機器を提供する。
【解決手段】垂直水平転送部7a,7b、又は水平転送部8a,8bを、画角中央5aから分割して、画角端5b,5cに向けて傾斜させて形成する。これにより、水平転送部が、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bに分割され、転送距離が半分になると共に、画角中央5aのスペースが確保されるので、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの後段の構成が容易になる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、多画素化に有効な構成を有する固体撮像装置、及び当該固体撮像装置を備えた電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ビデオカメラやデジタルカメラ等の電子機器に用いられる固体撮像装置として、CCD型の固体撮像装置が知られている。図11に、従来例のCCD型の固体撮像装置100の平面構成を示す。この固体撮像装置100は、光電変換素子、すなわちフォトダイオード(PD;Photo Diode)からなる受光センサ部102と、垂直転送部103とからなる画素部106と、水平転送部108と、出力部109を有して構成されている。画素部106では、受光センサ部102及び受光センサ部102に隣接する垂直転送部103の一部により画素104が構成されており、この画素104が複数マトリクス状に所定の画角105を有して配置されている。また、図11の固体撮像装置100は、垂直転送部103から水平転送部108に信号電荷を転送するための垂直水平転送部107を有する。すなわち、図11に示す固体撮像装置100は、フレーム・インターライン・トランスファ(FIT)型のCCD固体撮像装置である。
【0003】
そして、これらの固体撮像装置100では、複数の受光センサ部102を構成するフォトダーオードに入射する被写体の光信号に基づいて信号電荷が発生し、蓄積される。受光センサ部102に蓄積された信号電荷は、受光センサ部102の列毎に配置した垂直転送部103により垂直方向に転送されると共に、垂直水平転送部107を介してCCD構造の水平転送部108によって水平方向に転送される。そして水平方向に転送された信号電荷は、出力部109を介して映像信号として出力される。
【0004】
ところで、従来の固体撮像装置100では、垂直転送部103から垂直水平転送部107を介して水平転送部108に転送されてきた信号電荷は、水平転送部108内を一方向に転送され、水平転送部108の一端に形成された出力部109から出力される。そうすると、水平方向の転送距離が長くなるため、水平転送部108において、転送効率が下がってしまうという問題がある。
【0005】
また、近年、固体撮像装置の多画素化が進んでおり、水平転送部における水平転送段も増加傾向にある。そうすると、水平転送部の転送能力はますます低下する傾向にある。
【0006】
以上の問題を解決するために、従来、図12に示すような固体撮像装置101が提案されている。図12において、図11に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。
図12では、水平転送部108の両端に出力部109a,109bを設けた構成とされている。このような構成では、画素部106の左半分に形成された画素104から転送された信号電荷は、左側の出力部109aにより出力され、右半分に形成された画素104から転送された信号電荷は、右側の出力部109bにより出力される。
【0007】
図12のような固体撮像装置101では、図11に示す固体撮像装置100に比べ、フレームレートは2倍になる。しかしながら、図12に示すように出力部109a,109bが互いに離れた位置に形成される場合は、出力部109a,109bにおいて、電極をパターン形成する際に同じマスクパターンを用いた場合でも、露光条件等が変わってきてしまう。このため、離れた位置に形成される出力部109a,109bでは製造バラツキが起こってしまう。このような製造バラツキは、例えば、出力部109a,109bに形成される電極の線幅のバラツキなどに現れる。
このような出力部109a,109bの製造バラツキにより、出力部109a,109bにおいてゲイン差等が生じ、出力される信号にバラツキが発生する。このため、出力部109a,109bの製造バラツキは、結果的に画像ノイズの原因となってしまう。
【0008】
特許文献1には、水平転送部を、画角中央から2つに分割し、画角の中央部に形成された出力部から信号電荷を出力する構成が記載されている。
【0009】
しかしながら、特許文献1の発明のように、水平転送部を2つに分割して、画角中央に形成された出力部に接続する構成では、2つの水平転送部の間にスペースが無い。このため、それぞれの水平転送部を、画角中央に形成された出力部に接続するには、画角中央付近の後段の水平転送部を細く形成せざるを得ず、取り扱い飽和電荷量(Q)が減少してしまう。
【0010】
また、画角中央付近に形成される後段の水平転送電極も微細に形成する必要があり、このような固体撮像装置の形成は、実質的には困難である。
【0011】
【特許文献1】特開2003−78125号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
上述の点に鑑み、本発明は、水平転送部での取り扱い電荷量(Q)を低下させることなく転送効率の向上及び画素ノイズの低減が図られた固体撮像装置を提供するものである。また、その固体撮像装置を用いた電子機器を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明の固体撮像装置は、受光センサ部及び垂直転送部から構成される画素部と、第1垂直水平転送部と、第2垂直水平転送部と、第1水平転送部と、第2水平転送部と、出力部とを有して構成される。
受光センサ部は、光を受光して信号電荷を生成、蓄積するものである。また、垂直転送部は、受光センサ部に蓄積された信号電荷を、垂直方向に転送するものである。これらの受光センサ部と垂直転送部から形成される複数の画素により、画素部が構成される。また、本実施形態例において、画素部が構成される範囲を画角とし、特に、水平方向の範囲を画角とする。
第1垂直水平転送部は、画角中央から一方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から一方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成される。
第2垂直水平転送部は、画角中央から他方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から他方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成される。
第1水平転送部は、第1垂直水平転送部に接続されて形成され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送するものである。
第2水平転送部は、第2垂直水平転送部に接続されて形成され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送するものである。
出力部は、第1水平転送部及び前記第2水平転送部から転送された信号電荷を出力するために、画角中央に形成される。
【0014】
本発明の固体撮像装置では、第1垂直水平転送部、第2垂直水平転送部が画角端に向って傾斜して形成されるので、画角中央においてスペースが形成される。このため、第1垂直水平転送部及び第2垂直水平転送部に接続される、後段の第1水平転送部及び第2水平転送部の形成面積が狭くならない。そして、このような固体撮像装置において、画角中央から一方の側に形成された画素から転送される信号電荷は、第1水平転送部を介して画角中央の出力部から出力される。また、画角中央から他方の側に形成された画素から転送される信号電荷は、第2水平転送部を介して画角中央の出力部から出力される。
【0015】
本発明の電子機器は、光学レンズと、固体撮像装置と、信号処理回路とを有して構成される。
固体撮像装置は、受光センサ部及び垂直転送部から構成される画素部と、第1垂直水平転送部と、第2垂直水平転送部と、第1水平転送部と、第2水平転送部と、出力部とを有して構成される。
受光センサ部は、光を受光して信号電荷を生成、蓄積するものである。また、垂直転送部は、受光センサ部に蓄積された信号電荷を、垂直方向に転送するものである。これらの受光センサ部と垂直転送部から形成される複数の画素により、画素部が構成される。また、本実施形態例において、画素部が構成される範囲を画角とし、特に、水平方向の範囲を画角とする。
第1垂直水平転送部は、画角中央から一方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から一方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成される。
第2垂直水平転送部は、画角中央から他方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から他方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成される。
第1水平転送部は、第1垂直水平転送部に接続されて形成され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送するものである。
第2水平転送部は、第2垂直水平転送部に接続されて形成され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送するものである。
出力部は、第1水平転送部及び前記第2水平転送部から転送された信号電荷を出力するために、画角中央に形成される。
信号処理回路は、固体撮像装置の出力信号を処理する回路である。
【0016】
本発明の電子機器では、固体撮像装置で得られた出力信号により、映像が得られる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、多画素化された固体撮像装置においても、水平転送部での取り扱い電荷量が低下することなく、転送効率の向上及び、画素ノイズの低減が図られた固体撮像装置が得られる。また、その固体撮像装置を用いた電子機器が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下に、本発明の実施形態に係る固体撮像装置とその製造方法、及び電子機器の一例を、図1〜図10を参照しながら説明する。本発明の実施形態は以下の順で説明する。なお、本発明は以下の例に限定されるものではない。
・ 第1の実施形態:垂直水平転送部が傾斜している例
・ 第2の実施形態:垂直水平転送部が傾斜しており、出力部が2つの例
・ 第3の実施形態:垂直水平転送部及び水平転送部が傾斜している例
4.第4の実施形態:垂直水平転送部が、画角中央でのみ傾斜している例
5.第5の実施形態:垂直水平転送部が、画角中央でのみ傾斜し、さらに水平転送部が傾斜している例
6.第6の実施形態:電子機器
【0019】
〈1.第1の実施形態〉
[構成]
図1に、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す。本実施形態例の固体撮像装置1は、画素部6と、第1垂直水平転送部7aと、第2垂直水平転送部7bと、第1水平転送部8aと、第2水平転送部8bと、出力部10とから構成されている。
【0020】
画素部6は、光を受光して信号電荷を生成、蓄積する受光センサ部2と、受光センサ部2に蓄積された信号電荷を、垂直方向に転送する垂直転送部3から構成された画素4が、所定の画角5内に複数形成された構成を有する。
受光センサ部2は、フォトダイオードで構成されており、シリコン基板内に2次元マトリクス状に複数形成されている。受光センサ部2では、受光した光の光電変換によって、信号電荷が生成され、蓄積される。
垂直転送部3は、2次元マトリクス状に複数形成された受光センサ部2の列毎に複数本形成されている。図示しないが、垂直転送部3は、シリコン基板内に形成された垂直転送チャネルと、その上部に形成された垂直転送電極とを有して構成される。このような垂直転送部3では、駆動時において、垂直転送電極にパルス電圧が印加されることにより、受光センサ部2で蓄積された信号電荷が垂直転送チャネルに読み出され、垂直転送チャネルを通って、垂直方向に転送される。
そして、受光センサ部2と、その受光センサ部2に隣接する垂直転送部3の一部により画素4が構成される。
このような画素4が所定の画角5内に複数形成されて画素部6が構成されている。ここで、画角5とは、画素部6が形成される範囲を示すものであり、本実施形態例では、特に、画素部6の水平方向の範囲を示すものとする。
【0021】
第1垂直水平転送部7aは、画角中央5aから一方の側(図1では、紙面左側)に形成された垂直転送部3に電気的に接続されるように形成されており、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向けて斜め方向に、全体が傾斜して形成されている。第1垂直水平転送部7aは、垂直水平転送チャネル11と、垂直水平転送チャネル11上部に形成される複数の垂直水平転送電極(図示せず)とを有して構成される。すなわち、第1垂直水平転送部7aが傾斜して形成されるために、実際には、図1に示すように、垂直水平転送チャネル11が画角中央5aから、一方の側の画角端5bに向けて斜めに形成されている。また、この垂直水平転送チャネル11は、列ごとの垂直転送部3と接続されるよう、水平方向に分離されて形成されている。
このような第1垂直水平転送部7aでは、駆動時に、垂直水平転送電極にパルス電圧が印加されることにより、垂直転送部3で転送されてきた信号電荷が、垂直水平転送チャネル11を通って、後述する第1水平転送部8aへ転送される。
【0022】
第2垂直水平転送部7bは、画角中央5aから他方の側(図1では、紙面右側)に形成された垂直転送部3に電気的に接続されるように形成されており、画角中央5aから他方の側の画角端5cに向けて斜め方向に、全体が傾斜して形成されている。第2垂直水平転送部7bは、垂直水平転送チャネル11と、垂直水平転送チャネル11上部に形成される複数の垂直水平転送電極(図示せず)とを有して構成される。すなわち、第2垂直水平転送部7bが傾斜して形成されるために、実際には、図1に示すように、垂直水平転送チャネル11が画角中央5aから、他方の側の画角端5cに向けて傾斜して形成されている。また、この垂直水平転送チャネル11は、列ごとの垂直転送部3と接続されるよう、水平方向に分離されて形成されている。
このような第2垂直水平転送部7bでは、駆動時に、垂直水平転送電極にパルス電圧が印加されることにより、垂直転送部3で転送されてきた信号電荷が、垂直水平転送チャネル11を通って、後述する第2水平転送部8bへ転送される。
【0023】
ところで、本実施形態例では、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bが、互いに、画角5の反対側に向って斜めに形成されている。このため、画角中央5aに位置する第1垂直水平転送部7aと第2垂直水平転送部7bとの間には、スペースが形成される。
【0024】
また、第1垂直水平転送部7a、及び第2垂直水平転送部7bは、垂直転送部3の列ごとに形成されるので、画素4が形成される面積分も第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bに用いることができる。このため、それぞれの垂直水平転送チャネル11の幅は比較的大きくとれるので、本実施形態例のように、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bが斜めに形成されても、転送効率の低下は起こりにくい。
【0025】
第1水平転送部8aは、第1垂直水平転送部7aの端部に、第1垂直水平転送部7aと電気的に接続されるように形成されている。第1垂直水平転送部7aが全体的に画角端5bに向けて傾斜して形成されているため、その端部に形成される第1水平転送部8aも、画角中央5aか一方の側の画角端5bにずれた位置に形成されている。第1水平転送部8aは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成される。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HL1,HL2が交互に印加されている。
このような第1水平転送部8aでは、駆動時に、水平転送電極にパルス電圧HL1,HL2が印加されることにより、信号電荷が画角中央5aに向って水平方向に転送される。
【0026】
第2水平転送部8bは、第2垂直水平転送部7bの端部に、第2垂直水平転送部7bと電気的に接続されるように形成されている。第2垂直水平転送部7bが全体的に画角端5cに向けて傾斜して形成されているため、その端部に形成される第2水平転送部8bも、画角中央5aから他方の側の画角端5cにずれた位置に形成されている。第2水平転送部8bは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成される。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HL1,HL2が交互に印加されている。
このような第2水平転送部8bでは、駆動時に、水平転送電極にパルス電圧HL1,HL2が印加されることにより、信号電荷が画角中央5aに向って水平方向に転送される。
【0027】
ところで、本実施形態例では、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bは互いに画角端5b,5cに向けて斜めに形成されているので、第1垂直水平転送部7a、第2垂直水平転送部7bとの間には、スペースが形成されている。このため、画角中央5aの第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bとの間にも、スペースが形成され、ここに、後述するフローティングディフュージョン領域FDを形成することができる。また、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bは、画角中央5aから、左右に、ほぼ同じ長さで形成されている。
【0028】
出力部10は、フローティングディフュージョン領域FDと、出力アンプ9とを有して構成される、いわゆるフローティングディフュージョンアンプ(FDA)により構成されている。フローティングディフュージョン領域FDは、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bに共通に接続されており、また、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成される。
【0029】
図2に、出力部10の回路構成を示す。図2に示すように、第1水平転送部8aと、フローティングディフュージョン領域FDとの間、及び第2水平転送部8bと、フローティングディフュージョン領域FDとの間にパルス電圧OG,OGが供給される出力ゲート22,21がそれぞれ構成されている。そして、フローティングディフュージョン領域FDはリセットドレインRDに接続されており、フローティングディフュージョン領域FDとリセットドレインRDとの間に、パルス電圧RGが供給されるリセットゲート23が構成されている。また、フローティングディフュージョン領域FDは、出力アンプ9に接続されている。
【0030】
[動作]
図3に、本実施形態例の固体撮像装置1における水平転送電極及びリセットゲートに印加されるパルス電圧のタイミング例を示し、本実施形態例の動作を説明する。
【0031】
まず、画角中央5aから一方の側に形成された画素4では、受光センサ部2において蓄積された信号電荷は、列ごとに形成された垂直転送部3及び第1垂直水平転送部7aを介して第1水平転送部8aに転送される。また、画角中央5aから他方の側に形成された画素4では、受光センサ部2において蓄積された信号電荷は、列ごとに形成された垂直転送部3及び第2垂直水平転送部7bを介して第2水平転送部8bに転送される。
【0032】
そして、第1水平転送部8aに転送されてきた信号電荷は、水平方向に複数形成された水平電極に、パルス電圧HL1、HL2が交互に印加されることにより、画角中央5aに向って水平方向に転送される。このとき印加されるパルス電圧HL1とパルス電圧HL2は、互いにハイレベルとローレベルとが逆転の関係にある。
一方、第2水平転送部8bに転送されてきた信号電荷は、水平方向に複数形成された水平電極に、パルス電圧HR1、HR2が交互に印加されることにより、画角中央5aにむかって水平方向に転送される。このとき印加されるパルス電圧HR1とパルス電圧HR2は、互いにハイレベルとローレベルとが逆転の関係にあり、第1水平転送部8aに印加されるパルス電圧HL1、HL2と位相が180°ずれた状態とされている。
【0033】
第1水平転送部8aによって転送された信号電荷は、出力ゲート22にパルス電圧OGが印加されることによりフローティングディフュージョン領域FDに転送される。そして、フローティングディフュージョン領域FDに信号電荷が転送されることにより、フローティングディフュージョン領域FDの電圧が変化する。このフローティングディフュージョン領域FDの電圧の変化を、出力アンプ9により増幅することにより、固体撮像装置1の信号電圧として外部に出力する。そして、検出後は、リセットゲートにパルス電圧RGを印加することにより、フローティングディフュージョン領域FDの電圧がリセットドレインRDの電圧となるようにリセットされる。
【0034】
一方、第2水平転送部8bによって転送された信号電荷は、出力ゲート21にパルス電圧OGが印加されることによりフローティングディフュージョン領域FDに転送される。そして、フローティングディフュージョン領域FDに信号電荷が転送されることにより、フローティングディフュージョン領域FDの電圧が変化する。このフローティングディフュージョン領域FDの電圧の変化を、出力アンプ9により増幅することにより、固体撮像装置1の信号電圧Voutとして外部に出力する。そして、検出後は、リセットゲートにパルス電圧RGを印加することにより、フローティングディフュージョン領域FDの電圧がリセットドレインRDの電圧となるようにリセットされる。
【0035】
このタイミング例では、第1水平転送部8aに印加されるパルス電圧HL1,HL2と第2水平転送部8bに印加されるパルス電圧HR1,HR2との位相が180°ずらした状態で印加されている。これにより、第1水平転送部8aで転送された1画素分の信号電荷と、第2水平転送部8bで転送された1画素分の信号電荷が、交互に、フローティングディフュージョン領域FDに転送される。これにより、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bを転送されて信号電荷は混合されることなく出力される。
【0036】
本実施形態例では、水平転送部が画角中央5aから第1水平転送部8aと第2水平転送部8bの2つに分割されているため、信号電荷を水平転送するときの転送距離が短くなり、転送能力の向上が図られる。このため、本実施形態例の固体撮像装置1は、多画素化によって、水平方向の画素4が多くなった場合にも有効に適用できる。また、出力部10が画角中央5aに1つとすることにより、出力アンプ9に起因する画素ノイズの発生を抑制することができる。
【0037】
また、本実施形態例によれば、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bは、その形状が、画角中央5aから、それぞれ、画角端5b,5cに向けて全体が斜めになるように形成されている。これにより、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bが形成される領域も画角中央5aから画角端5b,5cにそれぞれずれる。これにより、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bを形成する領域を十分に確保できるので、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの取り扱い電荷量(Q)が低下することはない。
【0038】
また、第1水平転送部8a、及び第2水平転送部8bが、それぞれ画角中央5aから画角端5b,5cにずれて形成される。これにより、画角中央5aにおいて、出力部10に繋がる後段の第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの形成が容易であり、また、転送面積を撮ることができるので、取り扱い電荷量(Q)の向上が図られる。
【0039】
また、前述したように、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bは、1列の垂直転送部3に対して、比較的広い領域に構成することができる。このため、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bを傾斜して形成することによる転送効率への影響はほぼない。
【0040】
さらに、本実施形態例では、フローティングディフュージョン領域FDは、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成されるので、信号電荷の転送路が曲がることがない。このため、転送効率が低下することがない。
【0041】
[他のタイミング例]
図4に本実施形態例の固体撮像装置1における水平転送電極及びリセットゲートに印加されるパルス電圧の他のタイミング例を示す。
【0042】
図4に示す例では、第1水平転送部8aに転送されてきた、画角中央5aから一方の側に形成された画素分の信号電荷と、第2水平転送部8bに転送されてきた、画角中央5aから他方の側に形成された画素分の信号電荷とを、交互に出力する例である。
すなわち、第1水平転送部8aに、パルス電圧HL1,HL2を印加して信号電荷を転送している間は、第2水平転送部8bには、パルス電圧HR1,HR2は印加されない。逆に、第2水平転送部8bに、パルス電圧HR1,HR2を印加して信号電荷を転送している間は、第1水平転送部8aには、パルス電圧HL1,HL2は印加されない。
【0043】
このようなタイミングで信号電荷を転送してもよく、この場合も、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bを転送されて信号電荷は混合されることなく出力される。
【0044】
〈2.第2の実施形態〉
[構成]
図5に本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成を示す。図5において、図1に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。本実施形態例は、第1の実施形態の固体撮像装置1の出力部の構成を一部変形した例である。
【0045】
本実施形態例の固体撮像装置20では、画角中央5aに、第1水平転送部8aに接続される第1出力部10aと、第2水平転送部8bに接続される第2出力部10bが構成されている。すなわち、本実施形態例では、左右に分割して設けられた第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bから転送された信号電荷は、それぞれ、第1出力部10a及び第2出力部10bから出力される。
【0046】
第1出力部10aは、フローティングディフュージョン領域FD1と、出力アンプ9aとを有して構成される、いわゆるフローティングディフュージョンアンプ(FDA)により構成されている。フローティングディフュージョン領域FD1は、第1水平転送部8aに接続されており、また、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成されている。
【0047】
第2出力部10bは、フローティングディフュージョン領域FD2と、出力アンプ9bとを有して構成される、いわゆるフローティングディフュージョンアンプ(FDA)により構成されている。フローティングディフュージョン領域FD2は、第2水平転送部8bに接続されており、また、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成されている。
【0048】
図6A,Bに、それぞれ第1出力部10a、第2出力部10bの回路構成を示す。
図6Aに示すように、第1出力部10aでは、第1水平転送部8aと、フローティングディフュージョン領域FD1との間に、パルス電圧OGが供給される出力ゲート22が構成されている。そして、フローティングディフュージョン領域FD1はリセットドレインRD1に接続されており、フローティングディフュージョン領域FD1とリセットドレインRD1との間に、パルス電圧RGが供給されるリセットゲート24が構成されている。また、フローティングディフュージョン領域FD1は、出力アンプ9aに接続されている。
同様に、図6Bに示すように、第2出力部10bでは、第2水平転送部8bと、フローティングディフュージョン領域FD2との間にパルス電圧OGが供給される出力ゲート21が構成されている。そして、フローティングディフュージョン領域FD2はリセットドレインRD2に接続されており、フローティングディフュージョン領域FD2とリセットドレインRD2との間に、パルス電圧RG2が供給されるリセットゲート25が構成されている。また、フローティングディフュージョン領域FD2は、出力アンプ9bに接続されている。
【0049】
[動作]
本実施形態例の固体撮像装置20では、第1水平転送部8aから転送されてくる信号電荷は、第1出力部10aから出力され、第2水平転送部8bから転送されてくる信号電荷は、第2出力部10bから出力される。また、第1出力部10a及び第2出力部10bは、それぞれ独立であるから、第1水平転送部8aに印加されるパルス電圧HL1,HL2、及び第2水平転送部8bに印加されるパルス電圧HR1,HR2は、それぞれ所望のタイミングで印加される。
【0050】
第1出力部10aでは、第1水平転送部8aによって転送された信号電荷は、出力ゲート22にパルス電圧OGが印加されることによりフローティングディフュージョン領域FDに転送される。そして、フローティングディフュージョン領域FD1に信号電荷が転送されることにより、フローティングディフュージョン領域FD1の電圧が変化する。このフローティングディフュージョン領域FD1の電圧の変化を、出力アンプ9aにより増幅することにより、固体撮像装置20の信号電圧Voutとして外部に出力する。そして、検出後は、リセットゲート24にパルス電圧RGを印加することにより、フローティングディフュージョン領域FD1の電圧がリセットドレインRD1の電圧となるようにリセットされる。
【0051】
一方、第2水平転送部8bによって転送された信号電荷は、出力ゲート21にパルス電圧OGが印加されることによりフローティングディフュージョン領域FD2に転送される。そして、フローティングディフュージョン領域FD2に信号電荷が転送されることにより、フローティングディフュージョン領域FD2の電圧が変化する。このフローティングディフュージョン領域FD2の電圧の変化を、出力アンプ9bにより増幅することにより、固体撮像装置20の信号電圧Voutとして外部に出力する。そして、検出後は、リセットゲートにパルス電圧RG2を印加することにより、フローティングディフュージョン領域FD2の電圧がリセットドレインRD2の電圧となるようにリセットされる。
【0052】
本実施形態例の固体撮像装置20では、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bから転送される信号電荷は、それぞれ第1出力部10a及び第2出力部10bにより出力されるので、出力部が1つのときに比較して、フレームレートが2倍になる。
また、本実施形態例の固体撮像装置20では、第1出力部10a及び第2出力部10bが画角中央5aに隣接して形成されるので、製造時における形状のずれが少なく、ほぼ同形状に形成することができる。これにより、出力アンプ9a,9bの出力差に起因する画素ノイズを低減することができる。
【0053】
また、本実施形態例によれば、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bは、画角中央5aから、画角端5b,5cに向けて全体が傾斜して形成されている。これにより、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bは画角中央5aから画角端5b,5cにそれぞれずれて形成される。このため、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bを形成する領域を十分に確保できるので、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの取り扱い電荷量(Q)が低下することはない。
【0054】
また、第1水平転送部8a、及び第2水平転送部8bが、それぞれ画角中央5aから画角端5b,5cにずれて形成される。これにより、画角中央5aにおいて、第1出力部10a、第2出力部10bに繋がる後段の第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの形成が容易であり、また、転送面積を撮ることができるので、取り扱い電荷量(Q)の向上が図られる。
【0055】
また、前述したように、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bは、1列の垂直転送部3に対して、比較的広い領域に構成することができる。このため、第1垂直水平転送部7a及び第2垂直水平転送部7bを傾斜して形成することによる転送効率への影響はほぼない。
【0056】
さらに、本実施形態例では、フローティングディフュージョン領域FD1,FD2は、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成されるので、信号電荷の転送路が曲がることがない。このため、転送効率が低下することがない。
【0057】
〈3.第3の実施形態〉
[構成]
図7に、本発明の第3の実施形態における固体撮像装置の概略構成を示す。図7において、図1に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。本実施形態例は、第1の実施形態の固体撮像装置の第1水平転送部及び第2水平転送部の構成を一部変形した例である。
【0058】
本実施形態例の固体撮像装置50において、第1水平転送部13aは、第1垂直水平転送部7aの端部に、第1垂直水平転送部7aと電気的に接続されるように形成され、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向けて全体が傾斜して形成されている。このとき、第1水平転送部13aの形成領域は、画角5よりも外側に延長されて形成されている。第1水平転送部13aは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成されている。この場合、水平転送チャネルと、水平転送電極とは、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向けて傾斜して形成されている。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HL1,HL2が交互に印加される。
【0059】
第2水平転送部13bは、第2垂直水平転送部7bの端部に、第2垂直水平転送部7bと電気的に接続されるように形成され、画角中央5aから他方の側の画角端5cに向けて全体が傾斜して形成されている。このとき、第2水平転送部13bの形成領域は、画角5よりも外側に延長されて形成されている。第2水平転送部13bは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成されている。この場合、水平転送チャネルと、水平転送電極とは、画角中央5aから他方の側の画角端5cに向けて傾斜して形成されている。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HR1,HR2が交互に印加される。
【0060】
ところで、このように、第1水平転送部13aを傾斜して形成することにより、第1垂直水平転送部7aに直接接続される第1水平転送部13aの部分は、画角中央5aから一方の側にずれる。同じく、第2水平転送部13bを傾斜して形成することにより、第2垂直水平転送部7bに直接接続される第2水平転送部13bの部分は、画角中央5aから他方の側にずれる。
これにより、画角中央5aにおいてスペースができるため、出力部10を構成するフローティングディフュージョン領域FDに接続される後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bの形成が容易になる。そして、後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bにおいて、フローティングディフュージョン領域FDに接続されるまでの転送電極の形成面積も大きくとることが可能となる。
【0061】
[動作]
本実施形態例の固体撮像装置50においても、第1の実施形態と同様の動作で信号電荷が転送され、出力部10から出力される。
【0062】
本実施形態例によれば、水平転送部が画角中央5aから第1水平転送部13aと第2水平転送部13bの2つに分割されているため、転送距離が短くなり、転送能力の向上が図られる。このため、本実施形態例の固体撮像装置50は、多画素化によって、水平方向の画素4が多くなった場合にも有効に適用できる。また、出力部10が画角中央5aに1つとすることにより、出力アンプ9に起因する画素ノイズの発生を抑制することができる。
【0063】
また、本実施形態例によれば、第1垂直水平転送部7a、第2垂直水平転送部7b及び、第1水平転送部13a、第2水平転送部13bは、その形状が、画角中央5aから画角端5b,5cに向けてそれぞれ傾斜して形成されている。これにより、第1垂直水平転送部7a、第2垂直水平転送部7b、及び第1水平転送部13a、第2水平転送部13bが形成される領域が、画角中央5aから画角端5b,5c側にずれる。これにより、画角中央5aにスペースができ、出力部10に繋がる後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bを、画角中央5aに容易に形成できる。また、画角中央5aにおいて、第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bの転送面積をとることができるので、取り扱い電荷量(Q)の向上が図られる。
【0064】
本実施形態例では、出力部を1つとする構成としたが、第2の実施形態のように、2つの出力部を設ける構成としてもよい。
【0065】
〈4.第4の実施形態〉
[構成]
図8に本発明の第4の実施形態における固体撮像装置の概略構成を示す。図8において、図1に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。本実施形態例は、第1の実施形態の固体撮像装置の第1垂直水平転送部及び第2垂直水平転送部の構成を一部変形した例である。
【0066】
図8に示すように、本実施形態例の固体撮像装置30では、第1垂直水平転送部12aは、画角中央5aにおいて、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向う斜め方向に傾斜して形成されており、画角端5bにおいては、画角5内に収まる領域に形成されている。また、第2垂直水平転送部12bは、画角中央5aにおいて、画角中央5aから他方の画角端5cに向う斜め方向に傾斜して形成されており、画角端5cにおいては、画角5内に収まる領域に形成されている。
【0067】
このように、第1垂直水平転送部12aが、画角中央5aにおいてのみ画角端5b側に向って傾斜して形成された場合、垂直水平転送チャネル11は、画角中央5aから画角端5bに向って除々に傾斜角が垂直に近くなるように形成される。第2垂直水平転送部12bにおける垂直水平転送チャネル11も同様に、画角中央5aから画角端5cに向って除々に傾斜角が垂直に近くなるように形成される。この場合も、画角中央5aに位置する第1垂直水平転送部12a及び第2垂直水平転送部12bの間の領域には、スペースが形成される。
【0068】
第1水平転送部8aは、第1垂直水平転送部12aの端部に、第1垂直水平転送部12aと電気的に接続されるように形成されている。
また、第2水平転送部8bは、第2垂直水平転送部12bの端部に、第2垂直水平転送部12bと電気的に接続されるように形成されている。
【0069】
本実施形態例では、第1垂直水平転送部12aが画角中央5aにおいて傾斜して形成されることにより、第1水平転送部8aは、画角5内において、画角中央5aから画角端5bにずれて形成される。
また、第2垂直水平転送部12bが画角中央5aにおいて傾斜して形成されることにより、第2水平転送部8bは、画角5内において、画角中央5aから画角端5cにずれて形成される。このため、本実施形態例でも、第1の実施形態例と同様、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bとの間の領域に出力部10の一部であるフローティングディフュージョン領域FDを形成することができる。
【0070】
[動作]
本実施形態例の固体撮像装置30においても、第1の実施形態と同様の動作で信号電荷が転送され、出力部10から出力される。
【0071】
本実施形態例によれば、水平転送部が画角中央5aから第1水平転送部8aと第2水平転送部8bの2つに分割されているため、転送距離が短くなり、転送能力の向上が図られる。このため、本実施形態例の固体撮像装置は、多画素化によって、水平方向の画素4が多くなった場合にも有効に適用できる。また、出力部10が画角中央に1つとすることにより、出力アンプ9に起因する画素ノイズの発生を抑制することができる。
【0072】
また、第1水平転送部8a、及び第2水平転送部8bが、それぞれ画角中央5aから画角端5b,5cにずれて形成される。これにより、画角中央5aにおいて、出力部10に繋がる後段の第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bの形成が容易であり、また、転送面積を撮ることができるので、取り扱い電荷量(Q)の向上が図られる。
【0073】
また、前述したように、第1垂直水平転送部12a及び第2垂直水平転送部12bは、1列の垂直転送部3に対して、比較的広い領域に構成することができる。このため、第1垂直水平転送部12a及び第2垂直水平転送部12bを傾斜して形成することによる転送効率への影響はほぼない。
【0074】
さらに、本実施形態例では、フローティングディフュージョン領域FDは、第1水平転送部8a及び第2水平転送部8bにおける信号電荷の転送方向の延長線上に形成されるので、信号電荷の転送路が曲がることがない。このため、転送効率が低下することがない。
【0075】
本実施形態例では、出力部を1つとする構成としたが、第2の実施形態のように出力部を2つ構成する例としてもよい。
【0076】
〈5.第5の実施形態〉
[構成]
図9に本発明の第5の実施形態における固体撮像装置の概略構成を示す。図9において、図8に対応する部分には同一符号を付し重複説明を省略する。本実施形態例は、第4の実施形態の固体撮像装置の第1水平転送部、第2水平転送部の構成を一部変形した例である。
【0077】
本実施形態例の固体撮像装置40では、第1水平転送部13aは、第1垂直水平転送部14aの端部に、第1垂直水平転送部14aと電気的に接続されるように形成され、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向けて全体が傾斜して形成されている。このとき、第1水平転送部13aの形成領域は、画角5よりも外側に延長されて形成されている。第1水平転送部13aは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成されている。この場合、水平転送チャネルと、水平転送電極とは、画角中央5aから一方の側の画角端5bに向けて傾斜して形成されている。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HL1,HL2が交互に印加される。
【0078】
第2水平転送部13bは、第2垂直水平転送部14bの端部に、第2垂直水平転送部14bと電気的に接続されるように形成され、画角中央5aから他方の側の画角端5cに向けて全体が傾斜して形成されている。このとき、第2水平転送部13bの形成領域は、画角5よりも外側に延長されて形成されている。第2水平転送部13bは、図示しないが、水平方向に伸びる水平転送チャネルと、水平転送チャネル上部に水平方向に複数形成される水平転送電極とを有して構成されている。この場合、水平転送チャネルと、水平転送電極とは、画角中央5aから他方の側の画角端5cに向けて傾斜して形成されている。そして、水平方向に形成される複数の水平転送電極には、パルス電圧HR1,HR2が交互に印加される。
【0079】
ところで、このように、第1水平転送部13aを傾斜して形成することにより、第1垂直水平転送部14aに直接接続される第1水平転送部13aの部分は、画角中央5aから一方の側にずれる。同じく、第2水平転送部13bを傾斜して形成することにより、第2垂直水平転送部14bに直接接続される第2水平転送部13bの部分は、画角中央5aから他方の側にずれる。
これにより、画角中央5aにおいてスペースができるため、出力部10を構成するフローティングディフュージョン領域FDに接続される後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bの形成が容易になる。そして、後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bにおいて、フローティングディフュージョン領域FDに接続されるまでの転送電極の形成面積も大きくとることが可能となる。
【0080】
[動作]
本実施形態例の固体撮像装置40においても、第1の実施形態と同様の動作で信号電荷が転送され、出力部10から出力される。
【0081】
本実施形態例によれば、水平転送部が画角中央5aから第1水平転送部13aと第2水平転送部13bの2つに分割されているため、転送距離が短くなり、転送能力の向上が図られる。このため、本実施形態例の固体撮像装置40は、多画素化によって、水平方向の画素4が多くなった場合にも有効に適用できる。また、出力部10が画角中央5aに1つとすることにより、出力アンプ9に起因する画素ノイズの発生を抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態例によれば、第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bは、その形状が、画角中央5aから画角端5b,5cに向けてそれぞれ傾斜して形成されている。これにより、第1垂直水平転送部14a及び第2垂直水平転送部14bに直接接続される第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bが形成される領域が、画角中央5aから画角端5b,5c側にずれる。これにより、出力部10に繋がる後段の第1水平転送部13a及び第2水平転送部13bを画角中央5aに容易に形成でき、また、転送面積をとることができるので、取り扱い電荷量(Q)の向上が図られる。
【0083】
本実施形態例では、出力部を1つとする構成としたが、第2の実施形態のように、2つの出力部を設ける構成としてもよい。
【0084】
〈6.第6の実施形態〉
[電子機器の構成例]
以下に、上述した本発明の第1〜第5の実施形態に係る固体撮像装置を電子機器に用いた場合の実施形態を示す。以下の説明では、一例として、カメラに、第1〜第5の実施形態で構成された固体撮像装置を用いる例を説明する。
【0085】
図10に、本発明の第6の実施形態に係る電子機器(カメラ)の概略断面構成を示す。本実施形態例に係るカメラは、静止画像又は動画撮影可能なビデオカメラを例としたものである。
【0086】
本実施形態例のカメラは、固体撮像装置200と、光学レンズ210と、シャッタ装置211と、駆動回路212と、信号処理回路213とを有する。
【0087】
光学レンズ210は、被写体からの像光(入射光)を固体撮像装置200の撮像面上面に結像させる。これにより、固体撮像装置200内に、一定期間信号電荷が蓄積される。
シャッタ装置211は、固体撮像装置200への光照射期間及び遮光期間を制御する。
駆動回路212は、固体撮像装置1の転送動作及びシャッタ装置211のシャッタ動作を制御する駆動信号を供給する。駆動回路212から供給される駆動信号(タイミング信号)により、固体撮像装置200の信号転送を行う。信号処理回路213は、各種の信号処理を行う。信号処理が行われた映像信号は、メモリなどの記憶媒体に記憶され、或いは、モニタに出力される。
【0088】
図10の構成は、カメラモジュール、あるいは撮像機能を有する撮像モジュールとしても構成することができる。本発明は、このようなモジュールを備えて、例えば、カメラ付き携帯電話、その他の撮像機能を有する機器等の、電子機器を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0089】
【図1】本発明の第1の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図2】出力部の回路構成である。
【図3】第1の実施形態に係る固体撮像装置を駆動するタイミング例である。
【図4】第1の実施形態に係る固体撮像装置を駆動するタイミング例(その2)である。
【図5】本発明の第2の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図6】第2の実施形態に係る固体撮像装置の出力部の回路構成である。
【図7】本発明の第3の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図8】本発明の第4の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図9】本発明の第5の実施形態に係る固体撮像装置の概略構成図である。
【図10】本発明の第6の実施形態に係る電子機器の概略構成図である。
【図11】従来の固体撮像装置の概略構成図である。
【図12】従来の固体撮像装置の概略構成図である。
【符号の説明】
【0090】
1・・固体撮像装置、2・・受光センサ部、3・・垂直転送部、4・・画素、5・・画角、5a・・画角中央、5b・・画角端、5c・・画角端、6・・画素部、7a・・第1垂直水平転送部、7b・・第2垂直水平転送部、8a・・第1水平転送部、8b・・第2水平転送部、9・・出力アンプ、9a・・出力アンプ、9b・・出力アンプ、10・・出力部、10a・・第1出力部、10b・・第2出力部、11・・垂直水平転送チャネル、12a・・第1垂直水平転送部、12b・・第2垂直水平転送部、13a・・第1水平転送部、13b・・第2水平転送部、14a・・第1垂直水平転送部、14b・・第2垂直水平転送部、20・・固体撮像装置、22・・ゲート電極、23・・リセットゲート、30・・固体撮像装置、40・・固体撮像装置、200・・固体撮像装置、210・・光学レンズ、211・・シャッタ装置、212・・駆動回路、213・・信号処理回路、FD・・フローティングディフュージョン領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
光を受光して信号電荷を生成、蓄積する受光センサ部と、前記受光センサ部に蓄積された信号電荷を、垂直方向に転送する垂直転送部から構成された画素が、所定の画角内に複数形成された画素部と、
画角中央から一方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から一方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成された第1垂直水平転送部と、
画角中央から他方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から他方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成された第2垂直水平転送部と、
前記第1垂直水平転送部に接続され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送する第1水平転送部と、
前記第2垂直水平転送部に接続され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送する第2水平転送部と、
前記第1水平転送部及び前記第2水平転送部から転送された信号電荷を出力するために、画角中央に形成された出力部と、
を有する固体撮像装置。
【請求項2】
前記出力部は、第1水平転送部及び前記第2水平転送部に共通に接続される請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記第1垂直水平転送部、及び前記第2垂直水平転送部は、全体が傾斜して形成されている請求項2記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記出力部は、フローティングディフュージョン領域と、出力アンプとを有して構成され、前記フローティングディフュージョン領域は、前記第1水平転送部及び前記第2水平転送部における信号電荷の転送方向の延長線上に形成される請求項3記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記出力部は、第1水平転送部に接続される第1出力部と、
前記第2水平転送部に接続される第2出力部とを含む請求項1記載の固体撮像装置。
【請求項6】
光学レンズと、
光を受光して信号電荷を生成、蓄積する受光センサ部と、前記受光センサ部に蓄積された信号電荷を、垂直方向に転送する垂直転送部から構成された画素が、所定の画角内に複数形成された画素部と、画角中央から一方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から一方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成された第1垂直水平転送部と、画角中央から他方の側に形成された垂直転送部に接続され、少なくとも画角中央において、画角中央から他方の側の画角端に向う斜め方向に傾斜して形成された第2垂直水平転送部と、前記第1垂直水平転送部に接続され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送する第1水平転送部、前記第2垂直水平転送部に接続され、信号電荷を画角中央に向って水平方向に転送する第2水平転送部と、前記第1水平転送部及び前記第2水平転送部から転送された信号電荷を出力するために、画角中央に形成された出力部と、を含む固体撮像装置と、
前記固体撮像装置の出力信号を処理する信号処理回路と、
を有する電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2010−130233(P2010−130233A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−301617(P2008−301617)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】