説明

固体撮像装置及びその製造方法

【課題】固体撮像装置の特性劣化を抑制する。
【解決手段】本実施形態の固体撮像装置は、半導体基板10内の画素形成領域内に設けられる光電変換素子5と、半導体基板10上及び光電変換素子5上に設けられ、光電変換素子の上方に少なくとも1つの凸部4を含む絶縁膜41と、絶縁膜41上に設けられる配線層31と、絶縁膜41上及び配線層31上に設けられ、凸部4に対応するように形成された傾斜角を有する段差部6を含む絶縁膜42と、を含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、固体撮像装置及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
CMOS及びCCDイメージセンサなどの固体撮像装置は、デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ、監視カメラ、或いは、スキャナ等、多様な用途で使われている。
【0003】
イメージセンサの需要が高まる中、画像の高精細化や色の再現性の向上などが、イメージセンサに、求められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2003−332559号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
固体撮像装置の特性劣化を抑制できる技術を提案する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本実施形態の固体撮像装置は、半導体基板内の画素形成領域内に設けられる光電変換素子と、半導体基板上及び光電変換素子上に設けられ、前記光電変換素子の上方に少なくとも1つの凸部を有する第1の絶縁膜と、前記第1の絶縁膜上に設けられる配線層と、前記第1の絶縁膜上及び前記配線層上に設けられ、前記凸部に対応するように形成された段差部を有する第2の絶縁膜と、を含む。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】固体撮像装置の全体構成例を示す平面図。
【図2】第1の実施形態の固体撮像装置の構造を示す平面図。
【図3】第1の実施形態の固体撮像装置の構造を示す断面図。
【図4】第1の実施形態の固体撮像装置の製造方法の一工程を示す断面図。
【図5】第1の実施形態の固体撮像装置の製造方法の一工程を示す断面図。
【図6】第1の実施形態の固体撮像装置の製造方法の一工程を示す断面図。
【図7】第2の実施形態の固体撮像装置の構造を示す平面図。
【発明を実施するための形態】
【0008】
[実施形態]
以下、図面を参照しながら、本実施形態について詳細に説明する。以下の説明において、同一の機能及び構成を有する要素については、同一符号を付し、重複する説明は必要に応じて行う。
【0009】
(1) 第1の実施形態
図1乃至図6を参照して、第1の実施形態の固体撮像装置の構造及び製造方法について説明する。
【0010】
(a) 構造
図1乃至図3を用いて、本実施形態の固体撮像装置の構造について、説明する。
【0011】
図1は、本実施形態の固体撮像装置の全体構成を示している。
【0012】
本実施形態の固体撮像装置は、イメージセンサであって、例えば、ラインCCDセンサである。
【0013】
図1に示されるように、ラインCCDセンサは、半導体基板10上に形成される。半導体基板10は、シリコン単結晶基板又はSOI基板である。
【0014】
ラインCCDセンサは、複数の画素5から形成される画素列を含む。各画素5は、光電変換素子を含んでいる。光電変換素子は、入射した光の光量に応じて、その内部に電荷が発生する。
【0015】
シフトゲート100は、画素の配列方向と交差する方向において画素5に隣接するように、半導体基板10上に設けられている。シフトゲート100は、画素5に生じた信号電荷の放出を制御する。シフトゲート100は、制御回路(図示せず)の制御に基づいて、所定のタイミングで、画素5からの信号電荷を、蓄積ゲート110へ出力する。シフトゲート100は、画素列が含む複数の画素5に共有化されている。画素列に含まれる複数の画素5の信号電荷は、実質的に同時に、シフトゲート100を経由して各画素5に対応する蓄積ゲート110へ出力される。
【0016】
複数の蓄積ゲート110が、シフトゲート100に隣接するように、半導体基板10上に設けられている。蓄積ゲート110は、各画素5にそれぞれ対応するように、設けられている。蓄積ゲート110は、制御回路の制御に基づいて、画素5の信号電荷を、シフトゲート100を介して読み出す。そして、蓄積ゲート110は、読み出した信号電荷を一時的に保持する。
【0017】
複数のバリアゲート120が、蓄積ゲート110に隣接するように、半導体基板10上に設けられている。各バリアゲート120は、各蓄積ゲート110にそれぞれ対応するように、設けられている。バリアゲート120は、制御回路の制御に基づいて、蓄積ゲート110の電荷保持状態を制御し、所定のタイミングで、蓄積ゲート110が保持している電荷をCCDレジスタ130へ出力する。
【0018】
CCDレジスタ130は、バリアゲート120に隣接するように、設けられている。CCDレジスタ130は、蓄積ゲート110からバリアゲート120を経由して出力された信号電荷を、所定のタイミングで、信号検出部140に順次転送される。
【0019】
信号検出部140は、フローティングディフュージョン(浮遊拡散層)FDを含む。画素5からの信号電荷は、フローティングディフュージョンFDに出力される。信号検出部140は、出力された信号電荷に応じたフローティングディフュージョンFDの電位の変動を検知し、その電位変動を画素(又は画素列)が取得した信号として、後段の回路(例えば、画像処理回路)に出力する。これに基づいて、画素列に照射された光に応じた画像データが、後段の回路によって形成される。
【0020】
尚、図1は、1ライン分の画素列を含むラインCCDセンサが示されているが、本実施形態のラインCCDセンサは、2ライン又は3ライン分の画素列を含んでもよい。
【0021】
図2及び図3を用いて、本実施形態のCCDセンサが含む画素の構造について、説明する。図2は、本実施形態のCCDセンサが含む1つの画素5の平面構造を示し、図3は、図2のA−A’線に沿う断面構造を示している。
【0022】
図2に示されるように、画素5は、半導体基板10内に設けられた所定の領域15(以下、画素形成領域とよぶ)内に形成される。画素形成領域15内には、光電変換素子5が設けられている。画素形成領域15内において、段差を有する領域(以下、段差領域とよぶ)が設けられている。段差領域内において、例えば、粒状(より具体的には、矩形状)の複数の突起部(凸部)4,6が、設けられている。突起部4,6は、基板表面に対して垂直方向において画素形成領域15と上下に重なる位置に設けられている。また、画素形成領域15と上下に重なる位置に、平坦な上面を有する領域(以下、平坦領域とよぶ)が、段差領域と同じ配線レベル(半導体基板表面からの高さ)内に設けられる場合がある。
【0023】
画素形成領域15内の光電変換素子5は、例えば、フォトダイオードである。図3に示されるように、フォトダイオード5は、半導体基板10内の少なくとも1つの不純物層(拡散層)50によって、形成される。例えば、半導体基板10がP型半導体基板である場合、フォトダイオード5は、N型不純物層(拡散層)を少なくとも1つ含む。半導体基板10はN型半導体基板でもよく、その場合には、フォトダイオード5は、P型不純物層を少なくとも1つ含む。但し、フォトダイオード5は、P型及びN型の複数の不純物層によって、形成されてもよい。画素形成領域15のことを、フォトダイオード形成領域15ともよぶ。
【0024】
隣接するフォトダイオード形成領域15は、例えば、素子分離領域によって電気的に分離されてもよい。素子分離領域内には、素子分離層(図示せず)が設けられる。素子分離層は、半導体基板10内に設けられた不純物層でもよいし、半導体基板10内の溝に埋め込まれた絶縁層でもよい。
【0025】
フォトダイオード50を覆うように、層間絶縁膜40,41が、半導体基板10上に設けられている。
【0026】
第1の層間絶縁膜40は、フォトダイオード5の上面を覆うように、半導体基板10上に設けられている。
第1の層間絶縁膜40上に、第1の配線層(例えば、金属層)30が設けられている。第1の金属層30は、半導体基板10表面に対して垂直方向においてフォトダイオード5の上方を覆わないように、設けられている。金属層30は、フォトダイオード50と上下に重ならない位置に配置されている。金属層30は、隣接する画素間の遮光膜として、用いられる。
【0027】
第2の層間絶縁膜41は、金属層30を覆うように、第1の層間絶縁膜40上及び金属層30上に設けられている。
【0028】
第2の層間絶縁膜41上に、第2の金属層(配線層)31が設けられている。第2の金属層31は、下層の金属層30と同様に、フォトダイオード5の上方を覆わないように、フォトダイオード5と上下に重ならない位置に配置されている。第2の金属層31は、隣接する画素間の遮光膜として用いられている。
【0029】
層間絶縁膜40,41上の金属層30,31は、画素形成領域(フォトダイオード形成領域)15以外の領域において、イメージセンサが含む回路100,110,120,130に接続される配線としても用いられる。
【0030】
第1及び第2の層間絶縁膜40,41は、例えば、酸化シリコンを用いて形成される。また、第1及び第2の金属層30,31は、例えば、銅(Cu)、アルミニウム(Al)、又は銅とアルミニウムとを含む合金などを用いて形成される。尚、本実施形態において、層間絶縁膜40,41及び配線層(金属層)30,31の積層数は、図3に示される数に限定されない。
【0031】
保護膜(もしくは、最上層の層間絶縁膜)42は、第2の層間絶縁膜41上及び金属層31上に設けられている。保護膜42は、第2の金属層31の上面及び側面を覆っている。保護膜42は、例えば、絶縁膜であって、層間絶縁膜と同様に、酸化シリコンを用いて形成される。ただし、保護膜42の材料は、樹脂膜でもよい。また、保護膜42は、単層構造でもよいし、積層構造でもよい。
【0032】
保護膜42上に、カバー層(透過層)80が設けられている。フォトダイオード50上方において、保護膜42とカバー層80との間には、例えば、空隙(空気又は真空)、透過性の樹脂、或いは、絶縁膜が設けられている。カバー層80は、樹脂層でもよいし、透過性を有する基板(例えば、ガラス基板や有機基板)でもよい。
【0033】
例えば、マイクロレンズ85が、接着層(図示せず)を介して、カバー層80上に取り付けられている。マイクロレンズ85は、光を集光し、集光された光がフォトダイオード5に照射される。尚、マイクロレンズ85とカバー層80との間に、カラーフィルタが設けられてもよい。
【0034】
段差領域は、層間絶縁膜41及び保護膜42内に設けられている。
【0035】
フォトダイオード5の上方において、層間絶縁膜41内に複数の溝(凹部ともよぶ)が形成され、層間絶縁膜41は基板表面に対して垂直方向に突出した複数の第1の突起部4を有する。層間絶縁膜41の突起部4は、例えば、矩形状の平面形状及び断面形状を有している。
【0036】
フォトダイオード50上方の保護膜42の上面に、第2の突起部6が形成される。以下では、説明の明確化のため、層間絶縁膜41の突起部4のことを、凸部4とよび、保護膜42の突起部6のことを、段差部6とよぶ。
【0037】
保護膜42の段差部6は、下地となる層間絶縁膜41の凸部4の形状に対して、自己整合的に形成される。それゆえ、段差部6の断面形状は、下層の層間絶縁膜41に形成された凸部4の形状、凸部4の寸法、及び凸部4間の間隔(ピッチ)に応じて、変化する。例えば、保護膜42の段差部6の断面形状は、台形状、三角形上或いは半球状などを取りうる。例えば、段差部6の側面上に、その断面形状(例えば、三角形状又は台形状)に応じて、基板表面に対して水平方向を基準(0°)として所定の傾斜角(例えば、0°及び90°を除く角度)が形成されている。
【0038】
例えば、段差部6の上部に、平坦部(平坦領域)7が形成される場合がある。この場合、形成された平坦部7は、例えば、層間絶縁膜41内の凸部4の上方に位置する。平坦部7の上面は、例えば、半導体基板10の表面に対してほぼ平行になっている。半導体基板10表面に対して水平方向における平坦部7の寸法(長さ、面積)S1は、平坦部7下方の凸部4の寸法S2より小さい。尚、平坦部は、隣接する凸部4間の上方、つまり、層間絶縁膜41内の溝の上方に形成される場合もある。但し、本実施形態のイメージセンサは、凸部4のサイズ及び隣接する凸部4間のピッチを制御することで、平坦部の面積を縮小できる、或いは、平坦部の発生を抑制できる。
【0039】
本実施形態のイメージセンサにおいて、被写体に対応した光が、マイクレンズ85を介して、フォトダイオード5に照射される。照射された光の一部は、フォトダイオード5の上面で、反射される場合がある。反射された光は、層間絶縁膜40,41及び保護膜42に入射される。フォトダイオード5からの反射光が、段差領域に入射された場合、段差部6がその側面に半導体基板10表面に対して所定の傾斜角(例えば、0°及び90°を除く角度)を有しているため、フォトダイオード5上面からの反射光は、その段差部6によって、フォトダイオード5側とは異なる方向へ反射する。その結果として、層間絶縁膜40,41及び保護膜42からの反射光の光路が、フォトダイオード形成領域15外へ変化する。それゆえ、層間絶縁膜40,41及び保護膜42によって反射された光が、フォトダイオード5に再び入射されることが抑制され、フォトダイオード5に対する干渉波形の発生が抑制される。これによって、フォトダイオードの分光特性のリップルが、低減される。
【0040】
マイクロレンズ85からの直接光及びフォトダイオード5からの反射光が、平坦領域に入射された場合、フォトダイオード5からの反射光は、平坦領域によって、フォトダイオード5側へ反射され、フォトダイオード5に再び入射される。この結果として、フォトダイオードに対する干渉波形が発生し、フォトダイオード5の分光特性にリップルが生じる可能性がある。従来のように、平坦領域の面積が段差領域の面積より大きいイメージセンサは、干渉波形が発生しやすい。従来のイメージセンサにおいて、発生した干渉波形に起因して、フォトダイオードの分光特性がリップルを含み、フォトダイオードの感度が劣化する可能性があった。
【0041】
また、従来のイメージセンサにおいて、干渉波形の抑制のために段差領域の面積が大きくされる場合、フォトダイオードの上方の開口寸法を大きくするために、金属層を覆う保護膜(または層間絶縁膜)がエッチングされる。保護膜が過剰にエッチングされると、金属層の保護に十分な保護膜の厚さが確保されなかったり、金属層が露出したりし、水分やガスによって、金属層が腐食する可能性がある。この場合、金属層の劣化により、金属層の遮光性が確保されず、光の漏れに起因して画質の劣化が生じる可能性がある。
【0042】
本実施形態のイメージセンサにおいて、フォトダイオード5上方の段差領域は、層間絶縁膜41内の凸部(第1の突起部)4及びその凸部4に応じて形成された保護膜42の段差部(第2の突起部)6によって、形成される。
すなわち、段差領域は、下地層(層間絶縁膜)41の凸部4に対して自己整合的に生じた段差部6によって、形成される。傾斜角を有する段差部6によって、層間絶縁膜/保護膜40,41,42からフォトダイオードへの光の反射が抑制される。
【0043】
保護膜42内の段差部6は、保護膜42より下層の層間絶縁膜41の凸部4の形状及びレイアウトに応じて形成される。すなわち、保護膜42内の段差領域(段差部)6の面積は、保護膜42に対する加工に依存せずに、下層の層間絶縁膜41に対する加工によって設定される。
【0044】
これによって、フォトダイオード5上方に広い範囲にわたって、傾斜角を有する段差領域(段差部)6を設けることができ、その結果として、フォトダイオード5上方の平坦領域を小さくできる、又は、平坦領域の発生を防止できる。それゆえ、本実施形態のイメージセンサは、フォトダイオード5とその上方の平坦領域との間の光の反射に起因する干渉波形の発生を、抑制できる。したがって、本実施形態のイメージセンサは、層間絶縁膜/保護膜40,41,42とフォトダイオード5との間に生じる光の反射に起因した干渉波形の影響を抑制でき、フォトダイオードの分光特性の劣化を抑制できる。
【0045】
また、本実施形態において、金属層31を覆う保護膜42の段差部6は、下地層となる第1の層間絶縁膜41内に形成された凸部4に対して自己整合的に、形成される。それゆえ、本実施形態のイメージセンサは、段差部6を形成するためのエッチングを保護膜42に施さずともよく、段差の形成及び段差領域の面積の拡大に伴って、金属層31が露出するのを、防止できる。したがって、本実施形態のイメージセンサは、金属層31の劣化を抑制でき、例えば、金属層の遮光性の劣化などに起因する画質の劣化を抑制できる。
【0046】
以上のように、第1の実施形態の固体撮像装置によれば、固体撮像装置の特性劣化を抑制できる。
【0047】
(b) 製造方法
図3乃至図6を用いて、第1の実施形態の固体撮像装置(例えば、イメージセンサ)の製造方法について、説明する。図4乃至図6は、第1の実施形態の固体撮像装置の製造方法の各工程にける断面工程図を示している。
【0048】
図4に示されるように、半導体基板(例えば、シリコン単結晶基板又はSOI基板)10内の画素形成領域(フォトダイオード形成領域)の上面が開口するように、レジストマスク(図示せず)が、フォトリソグラフィによって、半導体基板10上に形成される。そのレジストマスクをマスクとして、イオン注入によって、少なくとも1つの不純物層50が、半導体基板10内に形成される。半導体基板10が、P型シリコン基板である場合、少なくとも1つのN型不純物層50が形成される。この不純物層50によって、半導体基板10内に、フォトダイオード5が形成される。フォトダイオード5は、導電型(P型及びN型)又は不純物濃度が異なる複数の不純物層50によって形成されてもよい。
【0049】
尚、互いに隣接するフォトダイオードを電気的に分離するために、素子分離領域が半導体基板10内に形成されてもよい。その素子分離領域内に、例えば、素子分離層が形成される。素子分離層は、イオン注入によって形成された不純物層でもよいし、素子分離溝に埋め込まれた絶縁膜でもよい。素子分離層が半導体基板10内に形成されることによって、フォトダイオード形成領域(画素形成領域)が定義される。
【0050】
フォトダイオード5が形成された後、第1の層間絶縁膜(例えば、シリコン酸化膜)40が、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)法によって、半導体基板10上に堆積される。層間絶縁膜40上に、金属層(配線層)30が、例えば、スパッタ法によって堆積される。金属層30は、フォトリソグラフィ技術及びRIE法によって、所定の形状に加工される。金属層30は、例えば、Al、Cu又はAlCu合金を用いて、形成される。金属層30は、回路を形成するための配線又は画素間の遮光膜として用いられる。
【0051】
遮光膜としての金属層30は、フォトダイオード5上方が開口するように、半導体基板10の表面に対して垂直方向においてフォトダイオード5と上下に重ならない位置に、形成される。
【0052】
そして、層間絶縁膜40上及び金属層30上に、第2の層間絶縁膜41Aが、例えば、CVD法によって、堆積される。
【0053】
図5に示されるように、フォトリソグラフィ技術によってパターニングされたレジストマスク90が、層間絶縁膜41上に、形成される。フォトダイオード5の上方において、レジストマスク90は、複数の開口部が形成されている。開口部の平面形状は、矩形状でもよいし、円形状でもよいし、又は、楕円形状でもよい。
【0054】
レジストマスク90がマスクに用いられて、層間絶縁膜41が、例えば、RIE法によって、エッチングされる。このエッチングによって、レジストマスク90の開口部を介して、例えば、層間絶縁膜41の一部が除去される。これによって、第2の層間絶縁膜41の上面に、複数の凸部4が形成される。凸部4は、フォトダイオード5の上方に設けられている。尚、下層の層間絶縁膜40の上面が露出するように、レジストマスク90を介して層間絶縁膜41がエッチングされてもよい。
【0055】
例えば、層間絶縁膜40の凸部4の形成は、ハーフトーンを用いたパターニング(リソグラフィ)などによって、イメージセンサが含む回路の配線を接続するためのビアホール(via hole)の形成と同時の工程で実行される。それゆえ、層間絶縁膜40に凸部4を形成しても、過剰な製造工程の増加は無い。
【0056】
図6に示されるように、層間絶縁膜41上のレジストマスクが除去された後、第2の金属層(配線層)31が、層間絶縁膜41上に堆積される。金属層31は、フォトリソグラフィ技術及びRIE法によって、フォトダイオード5上方から選択的に除去される。加工された金属層31は、遮光膜として、機能する。
【0057】
図3に示されるように、保護膜42が、例えば、CVD法によって、凸部4を有する第2の層間絶縁膜41上に堆積される。保護膜42の上面に、下地層となる第2の層間絶縁膜41の凸部4の形状に応じて、段差(段差部)6が自己整合的に生じる。形成された段差部6は、その側面に傾斜角を有する。このように、凸部4を有する層間絶縁膜41とそれを覆う保護膜42によって、段差領域が形成される。例えば、凸部4の寸法及び隣接する凸部4間のピッチに応じて、平坦領域(平坦部)7が保護膜42内に形成される場合がある。この平坦部7の面積S1は、下層の層間絶縁膜41の凸部6の面積S2より小さい。
【0058】
また、保護膜42は、金属層31上に堆積される。保護膜42は、第2の層間絶縁膜41上の金属層31の上面及び側面を覆っている。
【0059】
本実施形態のイメージセンサの製造方法において、保護膜42に対してエッチングを施さずに、保護膜42内に段差部6が形成される。それゆえ、段差部6を形成するためのエッチングによって、金属層31上の保護膜42が除去される(又は薄くなる)ことはなく、金属層31が露出することもない。
【0060】
この後、第3の層間絶縁膜42上に、カバー層80が形成され、カバー層80上に、マイクロレンズ85が接着層を介して取り付けられる。
【0061】
以上の各工程によって、本実施形態のイメージセンサが形成される。
【0062】
本実施形態のイメージセンサの製造方法において、下地層としての層間絶縁膜41に凸部4がエッチングによって形成された後に、凸部4を有する層間絶縁膜41及び層間絶縁膜41上の金属層31上に、保護膜42が堆積される。そして、保護膜42の堆積時に、凸部4の形状に対して自己整合的に、保護膜42内に段差部6が形成される。
【0063】
このように、本実施形態のイメージセンサの製造方法は、保護膜42の下層の層間絶縁膜41に対する加工によって、広範囲にわたって段差領域が形成され、保護膜42にエッチングを施さずに、傾斜角を有する段差部6をフォトダイオード5の上方に形成できる。
【0064】
形成された段差部6によって、フォトダイオード5の上方の層間絶縁膜/保護膜40,41,42によって反射された光の光路が、フォトダイオード形成領域の外部へ変化される。それゆえ、本実施形態のイメージセンサの製造方法は、反射光による干渉波形を抑制する構造を形成でき、フォトダイオードの分光特性の劣化を抑制できるイメージセンサを作製できる。
【0065】
また、本実施形態のイメージセンサの製造方法は、保護膜42にエッチングを施して干渉波形を抑制する段差部6を形成する必要がない。それゆえ、本実施形態の製造方法で形成されたイメージセンサは、保護膜42に対するエッチングに起因した金属層31の劣化を防止できる。したがって、本実施形態のイメージセンサの製造方法は、保護膜42に覆われた金属層31の遮光性の劣化を抑制でき、画質の劣化を抑制したイメージセンサを作製できる。
【0066】
したがって、本実施形態の固体撮像装置の製造方法によれば、特性劣化が抑制された固体撮像装置を提供できる。
【0067】
(2) 第2の実施形態
図7を参照して、第2の実施形態の固体撮像装置について、説明する。
図7は、本実施形態の固体撮像装置(例えば、ラインCCDセンサ)の画素の構造を示す平面図である。尚、A−A’線に沿う断面構造は、図3に示される構造と実質的に同じであるため、ここでの説明は省略する。
【0068】
第1の実施形態において、画素5が含む段差領域は、第2の層間絶縁膜41の粒状(矩形状又は島状)の凸部によって形成されている。
但し、本実施形態のように、保護膜42内の段差部6を形成するための凸部4Aは、画素形成領域15の一端から他端まで延在するストライプ状(ライン状)の平面形状を有していてもよい。
【0069】
ストライプ状の凸部4Aは、図5に示される工程において、レジストマスク90をストライプ状にパターニングし、そのレジストマスク90をマスクにして、層間絶縁膜41をエッチングすることによって、形成される。
【0070】
このように、保護膜42の段差部6が、ストライプ状の凸部4Aによって形成された場合においても、フォトダイオード5上方の平坦領域(平坦部)の面積を削減し、段差領域4,6の面積を大きくできる。
【0071】
また、本実施形態においても、保護膜42が第2の金属層31を覆うように形成され、且つ、段差部6は、下地層の層間絶縁膜42のストライプ状の凸部4Aに対して自己整合的に形成されるため、保護膜42にエッチングを施す必要はない。
【0072】
したがって、第2の実施形態の固体撮像装置によれば、第1の実施形態と同様に、固体撮像装置の特性劣化を抑制できる。
【0073】
尚、本実施形態において、段差領域は、フォトダイオード5上方の保護膜42とその直下の層間絶縁膜41とから形成されているが、フォトダイオード5の直上の層間絶縁膜40を用いて、段差領域が形成されてもよい。
【0074】
第1及び第2の実施形態において、固体撮像装置の全体構成としてラインCCDイメージセンサを例示したが、本実施形態は、エリアCCDイメージセンサ、CMOSイメージセンサにも適用できる。
【0075】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0076】
10:半導体基板、5:フォトダイオード、50:不純物層、40,41:層間絶縁膜、42:保護膜、4:第1の突起部(凸部)、6:第2の突起部(段差部)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半導体基板内の画素形成領域内に設けられる光電変換素子と、
半導体基板上及び光電変換素子上に設けられ、前記光電変換素子の上方に少なくとも1つの凸部を含む第1の絶縁膜と、
前記第1の絶縁膜上に設けられる配線層と、
前記第1の絶縁膜上及び前記配線層上に設けられ、前記凸部に対応するように形成された傾斜角を有する段差部を含む第2の絶縁膜と、
を具備することを特徴とする固体撮像装置。
【請求項2】
前記配線層の側面は、前記第2の絶縁膜によって覆われていることを特徴とする請求項1に記載の固体撮像装置。
【請求項3】
前記凸部は、粒状の平面形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項4】
前記凸部は、前記画素形成領域の一端から他端まで延在するストライプ状の平面形状を有していることを特徴とする請求項1又は2に記載の固体撮像装置。
【請求項5】
前記段差部は、前記凸部に対応する上部にさらに平坦部を有し、前記平坦部の面積は、前記凸部の面積より小さいことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の固体撮像装置。
【請求項6】
半導体基板内に、光電変換素子を形成する工程と、
前記半導体基板上及び前記光電変換素子上に、前記光電変換素子上方に凸部を有する第1の絶縁膜を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上に、配線層を形成する工程と、
前記第1の絶縁膜上及び前記配線層を覆うように、第2の絶縁膜を形成し、前記凸部に対して自己整合的に、前記第2の絶縁膜内に段差部を形成する工程と、
を具備することを特徴とする固体撮像装置の製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−204686(P2012−204686A)
【公開日】平成24年10月22日(2012.10.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−68910(P2011−68910)
【出願日】平成23年3月25日(2011.3.25)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】