固体物及び気体の分離装置およびセメント製造用プラント
固体物を供給する固体物供給ポートおよび気体を供給する気体供給ポートを有して、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプと、遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流と気体流へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと、パイプ構造内に少なくとも1つの屈曲部を有し、上昇パイプとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとを接続する誘導ヘッドと、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて固体流を放出する固体物用パイプと、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて気体流を放出する気体用パイプとを備えている固体物及び気体の分離装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体物及び気体の分離装置およびセメント製造用プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントおよび鉱物業界では、特に、細粒材の余熱、冷却、及び/又は、焼成のために用いられる、DC熱交換器とサイクロン式分離器とを備えたシステムが知られている。
通常、このような装置は、1つの段階(ステージ)上に他の段階を積み重ねた複数の段階から構成され、気体流は、全ての段階を通して底部から頂部へ方向付けられ、他方、固体物は、反対方向で各段階に供給されるようになっている。
各段階の終端で、固体物が、気体から分離されるようになっている。
【0003】
このようなシステムでは、巨大なヘッドルーム(headroom)、すなわち、特に上下方向における巨大な空間を必要するという問題があり、また、サイクロン式分離器による分離度合(すなわち、分離の程度)が必ずしも満足のいく水準に達していないという問題があった。
例えば、このサイクロンでは、制御不能な流れがしばしば発生し、この制御不能な流れは、サイクロン内で形成される渦巻流(swirling flow)上における流入した気体流の重なり(superimposition)を原因として、または、サイクロンのコーン(cone)内における気体流の流れ方向の反転を原因として、例えば、サイクロンの吸気口で発生するようになっている。
さらに、サイクロンの縁に常に堆積する粒子が、サイクロンの流入する気体流に、再び導入される(すなわち、再び混ざり込む)恐れがあった。
【0004】
異なる大きさの構成に起因して、遠心力は同じ流入速度を有した状態で変化し、その結果、異なる分離状況を生じるという他の問題があった。
【0005】
それゆえ、US4318692では、セメント原材料用の多段階(マルチステージ)構成の予熱器が提案されており、各段階は、上昇パイプと、隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(helical and/or spiral conduit)とから構成されている。
上昇パイプとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとは、肘状誘導部材(guide elbow)により相互に接続されている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプは、矩形断面を有し、また、ブロック形状の収集チャンバー(block-form collection chamber)の一側面に接続されている。
接続部分は、ブロック形状の収集チャンバーの全ての側面に亘って延びている。
収集チャンバーの下側部分は、漏斗状に先細るように形成されて、固体物の放出機能を有し、一方、気体は、上方に向けて誘導されるようになっている。
しかしながら、この収集チャンバーの分離度合は、満足のいく水準に達していない。
【0006】
本発明の目的は、固体物及び気体の分離装置の分離性能を改善することである。
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴により達成される。
【0008】
本発明の固体物及び気体の分離装置は、(a)固体物を供給する固体物供給ポートおよび気体を供給する気体供給ポートを有し、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプと、(b)遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流と気体流へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと、(c)パイプ構造内(in the conduit configuration)に少なくとも1つの屈曲部を有し、上昇パイプとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとを接続する誘導ヘッドと、(d)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて固体流を放出する固体物用パイプと、(e)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて気体流を放出する気体用パイプとを実質的に備えている。
【0009】
本発明で用いられる用語「ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ」は、少なくとも部分的にヘリカル及び/又はスパイラル状を呈するパイプを意味している。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの捻れは、特に、例えば90°の比較的小さな角度範囲のみに亘って延びている。
【0010】
US4318692では、上昇パイプと下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとは、相互に肘状誘導部材により相互に接続されている。
【0011】
装置の分離性能を改善するために、基礎的な実験では、本発明に係る実験は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ内における固体流と気体流の事前分離を改善するために行われた。
同時に、誘導ヘッドの領域において、乱流(turbulence)が気体及び固体物の混合体内で生成される場合に、前述した目的に、優位性があることが判明している。
US4318692では、気体及び固体物の混合体がスムーズに誘導され、一方、本発明では、乱流がパイプ構造内の屈曲部により明確に生成され、このパイプ構造内の屈曲部が、隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ内で、改善された固体流及び気体流の事前分離(pre-separation)を引き起こすようになっている。
【0012】
更なる利点と他の実施形態は、従属する請求項の主題である。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、パイプ構造内の屈曲部(bend)が、側方から見た場合に、120°以下の角度を有している。
さらに、平面的に見た場合に170°以下の角度を有する屈曲部が、パイプ構造内に設けられてもよい。
屈曲部は、気体及び固体物の混合体を鋭角または鈍角で方向転換(divert)させるように形成されているのが好ましい。
【0014】
誘導ヘッドは、上昇パイプに隣接する領域に第1の断面形状を有しているとともに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプに隣接する領域に第2の断面形状を有していてもよい。
このように、例えば、上昇パイプが、円形を呈し、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプが、角を有する形状を呈していてもよい。
【0015】
本発明の特別な実施形態では、誘導ヘッドは、上昇パイプに接続された第1部分と、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプに接続された第2部分とを備え、誘導ヘッドの第1部分と誘導ヘッドの第2部分が、パイプ構造内の屈曲部が第1部分と第2部分との間に形成されるように、相互に接続されている。
【0016】
誘導ヘッドの第1部分は、例えば、円形断面の管状を呈していてもよく、この円形断面の管状部分は、上昇パイプから遠く離れた終端部で、誘導ヘッドの第2部分に結合しており、この第2部分は、第1部分の円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの断面部分への移行部分として機能し、2つの部分(第1部分と第2部分)は、気体及び固体物の混合体を鋭角及び/又は鈍角で方向転換させるように、相互に接続されている。
【0017】
誘導ヘッドの第1部分が、円筒状の周壁を有し、誘導ヘッドの第2部分が、円筒状の周壁の領域に取り付けられていても何ら構わない。
さらに、誘導ヘッドの第1部分は、流れ方向に対して横方向または斜めに延びる終端面により、流れ方向に閉じられていても何ら構わない。
【0018】
他の実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプは、少なくとも1つまたは複数の屈曲部が誘導ヘッドとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとの間の接続部分に設けられるように、誘導ヘッドに接続されている。
【0019】
さらに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続される分離チャンバーを設けてもよく、この分離チャンバーは、固体流を放出する固体物用パイプと気体流を放出する気体用パイプとを接続している。
【0020】
上述した固体物及び気体の分離装置は、複数の段階を積み重ねた構成(すなわち、多段階構成)に適している。
ここで、ある段階の気体用パイプは、1つの上側の段階の上昇パイプに接続され、また、ある段階の固体物用パイプは、1つ下側の段階の上昇パイプに向けて開口している。
このように、固体物は、各段階を通して、頂部から底部に向けて導入され、また、反対方向に誘導された気体流と接触させられるようになっている。
固体物及び気体の分離装置は、特に、予熱器及び焼成炉及び炉を有するセメント製造用プラントの予熱器及び/又は焼成炉に用いられてもよい。
【0021】
以下に、複数の実施例と図面を基に、本発明の更なる効果と実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1a】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図1b】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図1c】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図2a】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図2b】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図2c】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図3a】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図3b】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図3c】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図4a】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図4b】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図4c】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図5a】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図5b】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図5c】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図6a】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図6b】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図6c】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図7a】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図7b】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図7c】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図7d】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を図7cと異なる角度から見て示す斜視図。
【図8】予熱器を示す側面図。
【図9】セメント製造用プラントを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a乃至図1cに示す固体物及び気体の分離装置は、例えば、セメント製造時に用いられる細粒材用の余熱、冷却、及び/又は、焼成装置である。
これ(装置)は、固体物を供給する固体物供給ポート2および気体を供給する気体供給ポート3を有して、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプ1と、遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流5と気体流6へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とから実質的に構成されている。
さらに、上昇パイプ1とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とを接続する誘導ヘッド(diverter head)7が設けられている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部は、固体流5を放出する固体物用パイプ8と気体流6を放出する気体用パイプ9とに接続されている。
【0024】
誘導ヘッド7は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4に接続される第2部分7bと上昇パイプ1に接続される第1部分7aとを有し、また、誘導ヘッド7の第2部分7bは、第1部分7aに連結され、これら2つの部分(すなわち、第1部分7aと第2部分7b)の間には、パイプ構造内の第1屈曲部(bend)10が設けられている。
図1の側面図(すなわち、図1a)に示すように、パイプ構造内(in the conduit configuration)の第1屈曲部10は、160°以下に設定された角度αを有している。
【0025】
誘導ヘッド7の第1部分7aは、例えば、円形断面の管状(tubular)を呈しており、この第1部分7aの断面は、図面に示す実施例では、上昇パイプ1の直径に対応している。
第1部分7aの管状部分に横方向に接続された第2部分7bは、第1部分7aの円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の断面部分への移行部分として機能している。
図面に示された実施例では、第1部分7aと第2部分7bの両方は、気体及び固体物の混合体を鈍角で方向転換(divert)させるような態様で相互に接続されている。
【0026】
第1屈曲部10に加えて、第2屈曲部分11が、誘導ヘッド7とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との間の接続部分に設けられている。
第1屈曲部10と第2屈曲部分11は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部側で固体物用パイプ8と気体用パイプ9によりそれぞれ放出される固体流と気体流との分離を促進させるようになっている。
【0027】
図面に示す実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部に接続される分離チャンバー12が設けられ、この分離チャンバー12は、固体流5を放出する固体物用パイプ8と気体流6を放出する気体用パイプ9とを接続している。
分離チャンバー12は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の開口部分で円筒形状を呈し、上方に位置する気体用パイプ9に併合(merge)、すなわち、結合されている。
漏斗状に先細る部分12aが、分離チャンバー12の下側に隣接しており、この漏斗状に先細る部分12aは、固体物用パイプ8に接続されている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4は、水平面に対して少なくとも30°の角度βをなした状態かつ接線状(tangentially)に、分離チャンバー12に対して開口しているのが好ましい。
【0028】
本発明の範囲内であれば、分離チャンバー12を異なる態様で構成しても何ら構わない。
【0029】
以下に記載する他の実施例の説明では、同一の構成部材には、同一の符号を付している。
【0030】
本発明の第2実施例は、図2a乃至図2cに示すように、前述した第1実施例と実質的に同様であり、第1実施例との相違点は、誘導ヘッド7の第2部分7bが、平面的に見た場合に、直線状ではなく湾曲している点である。
誘導ヘッド7の第2部分7bの湾曲は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4にまで繋がっている。
遠心力は、誘導ヘッド7の領域内で気体及び固体物の混合体にすでに作用している。
他の点では、第2実施例は、前述した第1実施例に一致しており、第1屈曲部10が、誘導ヘッド7の第1部分7aと第2部分7bとの間に設けられ、第2屈曲部分11が、誘導ヘッド7とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との間の接続部分の領域に設けられている。
【0031】
本発明の第3実施例は、図3a乃至図3cに示すように、誘導ヘッド7の第2部分7bが、斜め上方に向うように第1部分7aに取り付けられているのではなく、流れ方向の斜め下方に向うように第1部分7aの側面に取り付けられている。
【0032】
誘導ヘッド7の第1部分7aは、円筒状の周壁(cylindrical circumferential wall)を有し、90°以下の角度αをなした状態かつ接線状に、第2部分7bに対して取り付けられている。
この接続部分(すなわち、第1部分7aと第2部分7bとの間の接続部分)は、パイプ構造内の屈曲部10である。
誘導ヘッド7の第1部分7aは、第2部分7bの僅か上方にまで延び、また、流れ方向に対して横方向に走る(すなわち、延びる)終端壁7cにより閉じられている。
【0033】
図4a乃至図4cに示す第4実施例と第3実施例との相違点は、誘導ヘッド7の第2部分7bが、下方に向けて方向付けられているのではなく、上方に向けて方向付けられている点である。
【0034】
本発明の第5実施例は、図5a乃至図5cに示すように、実質的に第3実施例と同様である。
相違点(すなわち、第3実施例と第5実施例との相違点)は、第1部分7aが、第2部分7bとの接続部分を超えて延びているのではなく、ここ(すなわち、第2部分7bとの接続部分)で閉じられている点であり、図5に示すように、第1部分7aの上面は、第2部分7bの上側を規定する壁の平面と、概ね同一平面内で延びている。
【0035】
図6a乃至図6cに示す第6実施例では、誘導ヘッド7の第1部分7aは、円形断面の管状を呈しており、第2部分7bに対して接線状に接続されている。
第2部分7bは、実質的に矩形断面を有するとともに、図6bの平面図に示すように、湾曲している。
第2部分7bの下側を規定する壁7dは、上昇し、第2部分7bの上側を規定する壁7eは、実質的に水平方向に方向付けられ、または、第1部分7aの中央線を横切るように(第1部分7aの中央線に対して横方向に)方向付けられていている。
斜め上方に向けて走る(延びる)第2部分7bの下側を規定する壁7dは、流れのための屈曲部10を形成している。
更なる屈曲部11が、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との接続部分に設けられている。
【0036】
図面に示す本実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4が、分離チャンバー12に向けて開口しており、この分離チャンバー12は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4に連結される湾曲部12aと、固体物用パイプ8に接続される底部と気体用パイプ9に接続される頂部とを有する円筒状部12bとを有し、湾曲部12aは、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の湾曲コースを続けて担い(ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の湾曲具合に沿って湾曲し)、最終的に、円筒状部12bに向けて開口している。
【0037】
本発明の第7実施例が、図7a乃至図7dに示されている。
第7実施例における相違点は、円筒状の第1部分7aの終端面7cが、図6a乃至図6cに示す第6実施例のように流れの方向を横切っている(流れの方向に対して横方向に延びている)のではなく、第2部分7bの方向内で斜めに方向付けられている点である。
このように斜めに配置された終端面7cは、下側領域で斜め上方に向けて延びる第2部分7bに結合され、パイプ構造内の第1屈曲部を形成している。
第2屈曲部分が、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との接続部分の領域に
設けられている。
【0038】
本発明の範囲内であれば、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の半径、及び/又は、傾斜、及び/又は、断面形状、及び/又は、断面の大きさを気体及び固体物の混合体の流れ方向内で変化させても何ら構わない。
このように、一方で、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの領域における気体及び固体物の混合体の事前の分離は、影響を受けてもよく、他方で、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4を外部環境に適応させてもよい。
このことは、複数の段階(ステージ)が相互に入れ子状に配置され、かつ、一方を他方の上に配置した場合に、特に効果的である。
【0039】
流れ方向内、及び/又は、少なくとも1つのセクションで、また、連続的に、半径、傾斜、断面形状、及び/又は、断面の寸法が、急激に変化するように設計しても何ら構わない。
そのため、例えば、半径の減少は、遠心力の増加を引き起こし、他方、半径の増加は、遠心力の低減に対応する(すなわち、遠心力の低減を引き起こす)ようになっている。
断面形状と寸法を変化させることにより、流れの速度は影響を受ける。
【0040】
前述した装置は、固体物と気体との間における化学的及び/又は物理的な反応を行う装置、特に、1つの段階上に他の段階を積み重ねた複数の段階を備える細粒材の余熱、冷却、及び/又は、焼成装置に用いられるのが好ましい。
ここで、気体用パイプは、1つ上側に位置する段階の上昇パイプに接続され、固体物用パイプは、1つ下側に位置する段階の上昇パイプに向けて開口している。
【0041】
図8に示すように、装置は、3つの段階I、II、IIIを備え、この装置は、例えば、セメント原料用の3つの段階を有する予熱器である。
ここでは、各段階は、概略的に同一である(すなわち、概略的に同一に示されている)。
これらは、前述した複数の実施例の1つまたは複数のいずれかの態様で構成されている。
特に、各段階I、II、IIIをそれぞれ異なる態様で構成してもよい。
【0042】
このような多段階(マルチステージ)構成では、取り扱い前の固体物は、最も上側の段階IIIに固体物用パイプ8’’’を介して供給され、取り扱い後の固体物5、例えば、余熱済みの固体物は、最も下側の段階Iから放出されるように設計されている。
固体物は、3つの段階を通して、頂部から底部へ誘導され、他方、気体流は、反対方向で装置を通して誘導されるようになっている。
最も下側の段階Iに供給される気体6は、例えば、炉(kiln)または焼成炉(calciner)の排気である。
気体用パイプ9’’を介して第3段階(すなわち、段階III)内に排出された気体6’’は、例えば粉塵除去用の、フィルターまたは下流(downstream)側に設けられた高性能な分離器(separator)に供給されるようになっている。
更なる処理のために、取り扱い後の固体物は、例えば、焼成炉または炉に移行されるようになっている。
上昇パイプ1と下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とを備える気体及び固体物の混合体用のパイプの設置は、3つの段階を非常にコンパクトに相互に入れ子状に配置することを可能にする。
さらに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4、4’、4’’は、左および右に交互にねじれた2つの連続した段階の態様を呈していてもよい。
【0043】
図9は、セメント製造時における細粒材の熱処理用のプラントの斜視図であり、このプラントは、回転炉10と焼成炉20と予熱器30とを備えている。
焼成炉20及び/又は予熱器30は、図1乃至図8に示す複数の実施例に従って構築されていてもよい。
異なる複数の実施例の各特徴を相互に組み合わせることが可能である。
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体物及び気体の分離装置およびセメント製造用プラントに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、セメントおよび鉱物業界では、特に、細粒材の余熱、冷却、及び/又は、焼成のために用いられる、DC熱交換器とサイクロン式分離器とを備えたシステムが知られている。
通常、このような装置は、1つの段階(ステージ)上に他の段階を積み重ねた複数の段階から構成され、気体流は、全ての段階を通して底部から頂部へ方向付けられ、他方、固体物は、反対方向で各段階に供給されるようになっている。
各段階の終端で、固体物が、気体から分離されるようになっている。
【0003】
このようなシステムでは、巨大なヘッドルーム(headroom)、すなわち、特に上下方向における巨大な空間を必要するという問題があり、また、サイクロン式分離器による分離度合(すなわち、分離の程度)が必ずしも満足のいく水準に達していないという問題があった。
例えば、このサイクロンでは、制御不能な流れがしばしば発生し、この制御不能な流れは、サイクロン内で形成される渦巻流(swirling flow)上における流入した気体流の重なり(superimposition)を原因として、または、サイクロンのコーン(cone)内における気体流の流れ方向の反転を原因として、例えば、サイクロンの吸気口で発生するようになっている。
さらに、サイクロンの縁に常に堆積する粒子が、サイクロンの流入する気体流に、再び導入される(すなわち、再び混ざり込む)恐れがあった。
【0004】
異なる大きさの構成に起因して、遠心力は同じ流入速度を有した状態で変化し、その結果、異なる分離状況を生じるという他の問題があった。
【0005】
それゆえ、US4318692では、セメント原材料用の多段階(マルチステージ)構成の予熱器が提案されており、各段階は、上昇パイプと、隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(helical and/or spiral conduit)とから構成されている。
上昇パイプとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとは、肘状誘導部材(guide elbow)により相互に接続されている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプは、矩形断面を有し、また、ブロック形状の収集チャンバー(block-form collection chamber)の一側面に接続されている。
接続部分は、ブロック形状の収集チャンバーの全ての側面に亘って延びている。
収集チャンバーの下側部分は、漏斗状に先細るように形成されて、固体物の放出機能を有し、一方、気体は、上方に向けて誘導されるようになっている。
しかしながら、この収集チャンバーの分離度合は、満足のいく水準に達していない。
【0006】
本発明の目的は、固体物及び気体の分離装置の分離性能を改善することである。
【0007】
本発明の目的は、請求項1の特徴により達成される。
【0008】
本発明の固体物及び気体の分離装置は、(a)固体物を供給する固体物供給ポートおよび気体を供給する気体供給ポートを有し、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプと、(b)遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流と気体流へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと、(c)パイプ構造内(in the conduit configuration)に少なくとも1つの屈曲部を有し、上昇パイプとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとを接続する誘導ヘッドと、(d)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて固体流を放出する固体物用パイプと、(e)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続されて気体流を放出する気体用パイプとを実質的に備えている。
【0009】
本発明で用いられる用語「ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ」は、少なくとも部分的にヘリカル及び/又はスパイラル状を呈するパイプを意味している。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの捻れは、特に、例えば90°の比較的小さな角度範囲のみに亘って延びている。
【0010】
US4318692では、上昇パイプと下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとは、相互に肘状誘導部材により相互に接続されている。
【0011】
装置の分離性能を改善するために、基礎的な実験では、本発明に係る実験は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ内における固体流と気体流の事前分離を改善するために行われた。
同時に、誘導ヘッドの領域において、乱流(turbulence)が気体及び固体物の混合体内で生成される場合に、前述した目的に、優位性があることが判明している。
US4318692では、気体及び固体物の混合体がスムーズに誘導され、一方、本発明では、乱流がパイプ構造内の屈曲部により明確に生成され、このパイプ構造内の屈曲部が、隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ内で、改善された固体流及び気体流の事前分離(pre-separation)を引き起こすようになっている。
【0012】
更なる利点と他の実施形態は、従属する請求項の主題である。
【0013】
本発明の好適な実施形態では、パイプ構造内の屈曲部(bend)が、側方から見た場合に、120°以下の角度を有している。
さらに、平面的に見た場合に170°以下の角度を有する屈曲部が、パイプ構造内に設けられてもよい。
屈曲部は、気体及び固体物の混合体を鋭角または鈍角で方向転換(divert)させるように形成されているのが好ましい。
【0014】
誘導ヘッドは、上昇パイプに隣接する領域に第1の断面形状を有しているとともに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプに隣接する領域に第2の断面形状を有していてもよい。
このように、例えば、上昇パイプが、円形を呈し、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプが、角を有する形状を呈していてもよい。
【0015】
本発明の特別な実施形態では、誘導ヘッドは、上昇パイプに接続された第1部分と、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプに接続された第2部分とを備え、誘導ヘッドの第1部分と誘導ヘッドの第2部分が、パイプ構造内の屈曲部が第1部分と第2部分との間に形成されるように、相互に接続されている。
【0016】
誘導ヘッドの第1部分は、例えば、円形断面の管状を呈していてもよく、この円形断面の管状部分は、上昇パイプから遠く離れた終端部で、誘導ヘッドの第2部分に結合しており、この第2部分は、第1部分の円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの断面部分への移行部分として機能し、2つの部分(第1部分と第2部分)は、気体及び固体物の混合体を鋭角及び/又は鈍角で方向転換させるように、相互に接続されている。
【0017】
誘導ヘッドの第1部分が、円筒状の周壁を有し、誘導ヘッドの第2部分が、円筒状の周壁の領域に取り付けられていても何ら構わない。
さらに、誘導ヘッドの第1部分は、流れ方向に対して横方向または斜めに延びる終端面により、流れ方向に閉じられていても何ら構わない。
【0018】
他の実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプは、少なくとも1つまたは複数の屈曲部が誘導ヘッドとヘリカル及び/又はスパイラル状パイプとの間の接続部分に設けられるように、誘導ヘッドに接続されている。
【0019】
さらに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの終端部に接続される分離チャンバーを設けてもよく、この分離チャンバーは、固体流を放出する固体物用パイプと気体流を放出する気体用パイプとを接続している。
【0020】
上述した固体物及び気体の分離装置は、複数の段階を積み重ねた構成(すなわち、多段階構成)に適している。
ここで、ある段階の気体用パイプは、1つの上側の段階の上昇パイプに接続され、また、ある段階の固体物用パイプは、1つ下側の段階の上昇パイプに向けて開口している。
このように、固体物は、各段階を通して、頂部から底部に向けて導入され、また、反対方向に誘導された気体流と接触させられるようになっている。
固体物及び気体の分離装置は、特に、予熱器及び焼成炉及び炉を有するセメント製造用プラントの予熱器及び/又は焼成炉に用いられてもよい。
【0021】
以下に、複数の実施例と図面を基に、本発明の更なる効果と実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1a】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図1b】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図1c】本発明の第1実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図2a】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図2b】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図2c】本発明の第2実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図3a】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図3b】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図3c】本発明の第3実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図4a】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図4b】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図4c】本発明の第4実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図5a】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図5b】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図5c】本発明の第5実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図6a】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図6b】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図6c】本発明の第6実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図7a】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す斜視図。
【図7b】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す側面図。
【図7c】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を示す上面図。
【図7d】本発明の第7実施例である固体物及び気体の分離装置を図7cと異なる角度から見て示す斜視図。
【図8】予熱器を示す側面図。
【図9】セメント製造用プラントを示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0023】
図1a乃至図1cに示す固体物及び気体の分離装置は、例えば、セメント製造時に用いられる細粒材用の余熱、冷却、及び/又は、焼成装置である。
これ(装置)は、固体物を供給する固体物供給ポート2および気体を供給する気体供給ポート3を有して、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプ1と、遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流5と気体流6へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とから実質的に構成されている。
さらに、上昇パイプ1とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とを接続する誘導ヘッド(diverter head)7が設けられている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部は、固体流5を放出する固体物用パイプ8と気体流6を放出する気体用パイプ9とに接続されている。
【0024】
誘導ヘッド7は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4に接続される第2部分7bと上昇パイプ1に接続される第1部分7aとを有し、また、誘導ヘッド7の第2部分7bは、第1部分7aに連結され、これら2つの部分(すなわち、第1部分7aと第2部分7b)の間には、パイプ構造内の第1屈曲部(bend)10が設けられている。
図1の側面図(すなわち、図1a)に示すように、パイプ構造内(in the conduit configuration)の第1屈曲部10は、160°以下に設定された角度αを有している。
【0025】
誘導ヘッド7の第1部分7aは、例えば、円形断面の管状(tubular)を呈しており、この第1部分7aの断面は、図面に示す実施例では、上昇パイプ1の直径に対応している。
第1部分7aの管状部分に横方向に接続された第2部分7bは、第1部分7aの円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の断面部分への移行部分として機能している。
図面に示された実施例では、第1部分7aと第2部分7bの両方は、気体及び固体物の混合体を鈍角で方向転換(divert)させるような態様で相互に接続されている。
【0026】
第1屈曲部10に加えて、第2屈曲部分11が、誘導ヘッド7とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との間の接続部分に設けられている。
第1屈曲部10と第2屈曲部分11は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部側で固体物用パイプ8と気体用パイプ9によりそれぞれ放出される固体流と気体流との分離を促進させるようになっている。
【0027】
図面に示す実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の終端部に接続される分離チャンバー12が設けられ、この分離チャンバー12は、固体流5を放出する固体物用パイプ8と気体流6を放出する気体用パイプ9とを接続している。
分離チャンバー12は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の開口部分で円筒形状を呈し、上方に位置する気体用パイプ9に併合(merge)、すなわち、結合されている。
漏斗状に先細る部分12aが、分離チャンバー12の下側に隣接しており、この漏斗状に先細る部分12aは、固体物用パイプ8に接続されている。
ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4は、水平面に対して少なくとも30°の角度βをなした状態かつ接線状(tangentially)に、分離チャンバー12に対して開口しているのが好ましい。
【0028】
本発明の範囲内であれば、分離チャンバー12を異なる態様で構成しても何ら構わない。
【0029】
以下に記載する他の実施例の説明では、同一の構成部材には、同一の符号を付している。
【0030】
本発明の第2実施例は、図2a乃至図2cに示すように、前述した第1実施例と実質的に同様であり、第1実施例との相違点は、誘導ヘッド7の第2部分7bが、平面的に見た場合に、直線状ではなく湾曲している点である。
誘導ヘッド7の第2部分7bの湾曲は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4にまで繋がっている。
遠心力は、誘導ヘッド7の領域内で気体及び固体物の混合体にすでに作用している。
他の点では、第2実施例は、前述した第1実施例に一致しており、第1屈曲部10が、誘導ヘッド7の第1部分7aと第2部分7bとの間に設けられ、第2屈曲部分11が、誘導ヘッド7とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との間の接続部分の領域に設けられている。
【0031】
本発明の第3実施例は、図3a乃至図3cに示すように、誘導ヘッド7の第2部分7bが、斜め上方に向うように第1部分7aに取り付けられているのではなく、流れ方向の斜め下方に向うように第1部分7aの側面に取り付けられている。
【0032】
誘導ヘッド7の第1部分7aは、円筒状の周壁(cylindrical circumferential wall)を有し、90°以下の角度αをなした状態かつ接線状に、第2部分7bに対して取り付けられている。
この接続部分(すなわち、第1部分7aと第2部分7bとの間の接続部分)は、パイプ構造内の屈曲部10である。
誘導ヘッド7の第1部分7aは、第2部分7bの僅か上方にまで延び、また、流れ方向に対して横方向に走る(すなわち、延びる)終端壁7cにより閉じられている。
【0033】
図4a乃至図4cに示す第4実施例と第3実施例との相違点は、誘導ヘッド7の第2部分7bが、下方に向けて方向付けられているのではなく、上方に向けて方向付けられている点である。
【0034】
本発明の第5実施例は、図5a乃至図5cに示すように、実質的に第3実施例と同様である。
相違点(すなわち、第3実施例と第5実施例との相違点)は、第1部分7aが、第2部分7bとの接続部分を超えて延びているのではなく、ここ(すなわち、第2部分7bとの接続部分)で閉じられている点であり、図5に示すように、第1部分7aの上面は、第2部分7bの上側を規定する壁の平面と、概ね同一平面内で延びている。
【0035】
図6a乃至図6cに示す第6実施例では、誘導ヘッド7の第1部分7aは、円形断面の管状を呈しており、第2部分7bに対して接線状に接続されている。
第2部分7bは、実質的に矩形断面を有するとともに、図6bの平面図に示すように、湾曲している。
第2部分7bの下側を規定する壁7dは、上昇し、第2部分7bの上側を規定する壁7eは、実質的に水平方向に方向付けられ、または、第1部分7aの中央線を横切るように(第1部分7aの中央線に対して横方向に)方向付けられていている。
斜め上方に向けて走る(延びる)第2部分7bの下側を規定する壁7dは、流れのための屈曲部10を形成している。
更なる屈曲部11が、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との接続部分に設けられている。
【0036】
図面に示す本実施例では、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4が、分離チャンバー12に向けて開口しており、この分離チャンバー12は、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4に連結される湾曲部12aと、固体物用パイプ8に接続される底部と気体用パイプ9に接続される頂部とを有する円筒状部12bとを有し、湾曲部12aは、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の湾曲コースを続けて担い(ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の湾曲具合に沿って湾曲し)、最終的に、円筒状部12bに向けて開口している。
【0037】
本発明の第7実施例が、図7a乃至図7dに示されている。
第7実施例における相違点は、円筒状の第1部分7aの終端面7cが、図6a乃至図6cに示す第6実施例のように流れの方向を横切っている(流れの方向に対して横方向に延びている)のではなく、第2部分7bの方向内で斜めに方向付けられている点である。
このように斜めに配置された終端面7cは、下側領域で斜め上方に向けて延びる第2部分7bに結合され、パイプ構造内の第1屈曲部を形成している。
第2屈曲部分が、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4との接続部分の領域に
設けられている。
【0038】
本発明の範囲内であれば、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4の半径、及び/又は、傾斜、及び/又は、断面形状、及び/又は、断面の大きさを気体及び固体物の混合体の流れ方向内で変化させても何ら構わない。
このように、一方で、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプの領域における気体及び固体物の混合体の事前の分離は、影響を受けてもよく、他方で、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4を外部環境に適応させてもよい。
このことは、複数の段階(ステージ)が相互に入れ子状に配置され、かつ、一方を他方の上に配置した場合に、特に効果的である。
【0039】
流れ方向内、及び/又は、少なくとも1つのセクションで、また、連続的に、半径、傾斜、断面形状、及び/又は、断面の寸法が、急激に変化するように設計しても何ら構わない。
そのため、例えば、半径の減少は、遠心力の増加を引き起こし、他方、半径の増加は、遠心力の低減に対応する(すなわち、遠心力の低減を引き起こす)ようになっている。
断面形状と寸法を変化させることにより、流れの速度は影響を受ける。
【0040】
前述した装置は、固体物と気体との間における化学的及び/又は物理的な反応を行う装置、特に、1つの段階上に他の段階を積み重ねた複数の段階を備える細粒材の余熱、冷却、及び/又は、焼成装置に用いられるのが好ましい。
ここで、気体用パイプは、1つ上側に位置する段階の上昇パイプに接続され、固体物用パイプは、1つ下側に位置する段階の上昇パイプに向けて開口している。
【0041】
図8に示すように、装置は、3つの段階I、II、IIIを備え、この装置は、例えば、セメント原料用の3つの段階を有する予熱器である。
ここでは、各段階は、概略的に同一である(すなわち、概略的に同一に示されている)。
これらは、前述した複数の実施例の1つまたは複数のいずれかの態様で構成されている。
特に、各段階I、II、IIIをそれぞれ異なる態様で構成してもよい。
【0042】
このような多段階(マルチステージ)構成では、取り扱い前の固体物は、最も上側の段階IIIに固体物用パイプ8’’’を介して供給され、取り扱い後の固体物5、例えば、余熱済みの固体物は、最も下側の段階Iから放出されるように設計されている。
固体物は、3つの段階を通して、頂部から底部へ誘導され、他方、気体流は、反対方向で装置を通して誘導されるようになっている。
最も下側の段階Iに供給される気体6は、例えば、炉(kiln)または焼成炉(calciner)の排気である。
気体用パイプ9’’を介して第3段階(すなわち、段階III)内に排出された気体6’’は、例えば粉塵除去用の、フィルターまたは下流(downstream)側に設けられた高性能な分離器(separator)に供給されるようになっている。
更なる処理のために、取り扱い後の固体物は、例えば、焼成炉または炉に移行されるようになっている。
上昇パイプ1と下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4とを備える気体及び固体物の混合体用のパイプの設置は、3つの段階を非常にコンパクトに相互に入れ子状に配置することを可能にする。
さらに、ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ4、4’、4’’は、左および右に交互にねじれた2つの連続した段階の態様を呈していてもよい。
【0043】
図9は、セメント製造時における細粒材の熱処理用のプラントの斜視図であり、このプラントは、回転炉10と焼成炉20と予熱器30とを備えている。
焼成炉20及び/又は予熱器30は、図1乃至図8に示す複数の実施例に従って構築されていてもよい。
異なる複数の実施例の各特徴を相互に組み合わせることが可能である。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固体物を供給する固体物供給ポート(2)および気体を供給する気体供給ポート(3)を有し、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプ(1)と、
(b)遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流(5)と気体流(6)へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)と、
(c)上昇パイプ(1)とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)とを接続する誘導ヘッド(7)と、
(d)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続されて固体流を放出する固体物用パイプ(8)と、
(e)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続されて気体流を放出する気体用パイプ(9)と
を備える固体物及び気体の分離装置であって、
前記誘導ヘッド(7)の領域に、パイプ構造内に少なくとも1つの屈曲部(10、11)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記パイプ構造内の屈曲部(10、11)が、側方から見た場合に、160°以下の角度αを有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記屈曲部(10、11)が、前記気体及び固体物の混合体を鋭角または鈍角で方向転換させるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記誘導ヘッド(7)が、前記上昇パイプ(1)との接続領域に第1の断面形状を有しているとともに、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)との接続領域に第2の断面形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導ヘッド(7)が、前記上昇パイプ(1)に接続される第1部分(7a)と、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)に接続される第2部分(7b)とを有し、
前記誘導ヘッドの第1部分(7a)と誘導ヘッド(7)の第2部分(7b)が、前記パイプ構造内の屈曲部が前記第1部分(7a)と第2部分(7b)との間に形成されるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記誘導ヘッド(7)の第1部分(7a)が、円形断面の管状を呈し、
前記円形断面の管状部分が、前記上昇パイプ(1)から遠く離れた終端部側で、前記誘導ヘッド(7)の第2部分に結合され、
前記第2部分(7b)が、前記第1部分の円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の断面部分への移行部分として機能し、
前記第1部分と第2部分が、前記気体及び固体物の混合体を鋭角及び/又は鈍角で方向転換させるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項7】
前記誘導ヘッドの第1部分(7a)が、円筒状の周壁を有しているとともに、前記誘導ヘッド(7)の第2部分(7b)が、前記円筒状の周壁の領域に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項8】
前記誘導ヘッドの第1部分が、流れ方向に対して横方向または斜め方向に延びる終端壁により流れ方向に閉じられていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと誘導ヘッドが、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)と誘導ヘッド(7)との間の接続部分に少なくとも1つまたは複数の屈曲部(11)が形成されるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続される分離チャンバー(12)が設けられ、
前記分離チャンバー(12)が、前記固体流(5)を放出する固体物用パイプ(8)と前記気体流(6)を放出する気体用パイプ(9)とを接続していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
1つの段階上に他の段階を積み重ねた複数の段階が設けられ、
前記各段階が、上昇パイプ(1、1’、1’’)と、該上昇パイプ(1、1’、1’’)に隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと、該ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4、4’、4’’)の終端部に接続される固体物用パイプ(8、8’、8’’)と、気体用パイプ(9、9’、9’’)とを備え、
前記各段階の気体用パイプが、1つ上側に位置する段階の上昇パイプに連結されているとともに、
前記各段階の固体物用パイプが、1つ下側に位置する段階の上昇パイプに向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
予熱器(30)と焼成炉(20)と炉(10)とを備え、
前記予熱器(30)及び/又は焼成炉(20)が、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の装置を有していることを特徴とするセメント製造用プラント。
【請求項1】
(a)固体物を供給する固体物供給ポート(2)および気体を供給する気体供給ポート(3)を有し、気体及び固体物の混合体を誘導する上昇パイプ(1)と、
(b)遠心力により気体及び固体物の混合体から固体流(5)と気体流(6)へ分離する下降用のヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)と、
(c)上昇パイプ(1)とヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)とを接続する誘導ヘッド(7)と、
(d)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続されて固体流を放出する固体物用パイプ(8)と、
(e)ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続されて気体流を放出する気体用パイプ(9)と
を備える固体物及び気体の分離装置であって、
前記誘導ヘッド(7)の領域に、パイプ構造内に少なくとも1つの屈曲部(10、11)が設けられていることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記パイプ構造内の屈曲部(10、11)が、側方から見た場合に、160°以下の角度αを有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記屈曲部(10、11)が、前記気体及び固体物の混合体を鋭角または鈍角で方向転換させるように形成されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項4】
前記誘導ヘッド(7)が、前記上昇パイプ(1)との接続領域に第1の断面形状を有しているとともに、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)との接続領域に第2の断面形状を有していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項5】
前記誘導ヘッド(7)が、前記上昇パイプ(1)に接続される第1部分(7a)と、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)に接続される第2部分(7b)とを有し、
前記誘導ヘッドの第1部分(7a)と誘導ヘッド(7)の第2部分(7b)が、前記パイプ構造内の屈曲部が前記第1部分(7a)と第2部分(7b)との間に形成されるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項6】
前記誘導ヘッド(7)の第1部分(7a)が、円形断面の管状を呈し、
前記円形断面の管状部分が、前記上昇パイプ(1)から遠く離れた終端部側で、前記誘導ヘッド(7)の第2部分に結合され、
前記第2部分(7b)が、前記第1部分の円形の断面部分からヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の断面部分への移行部分として機能し、
前記第1部分と第2部分が、前記気体及び固体物の混合体を鋭角及び/又は鈍角で方向転換させるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項7】
前記誘導ヘッドの第1部分(7a)が、円筒状の周壁を有しているとともに、前記誘導ヘッド(7)の第2部分(7b)が、前記円筒状の周壁の領域に取り付けられていることを特徴とする請求項7に記載の装置。
【請求項8】
前記誘導ヘッドの第1部分が、流れ方向に対して横方向または斜め方向に延びる終端壁により流れ方向に閉じられていることを特徴とする請求項9に記載の装置。
【請求項9】
前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと誘導ヘッドが、前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)と誘導ヘッド(7)との間の接続部分に少なくとも1つまたは複数の屈曲部(11)が形成されるように、相互に接続されていることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項10】
前記ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4)の終端部側に接続される分離チャンバー(12)が設けられ、
前記分離チャンバー(12)が、前記固体流(5)を放出する固体物用パイプ(8)と前記気体流(6)を放出する気体用パイプ(9)とを接続していることを特徴とする請求項1に記載の装置。
【請求項11】
1つの段階上に他の段階を積み重ねた複数の段階が設けられ、
前記各段階が、上昇パイプ(1、1’、1’’)と、該上昇パイプ(1、1’、1’’)に隣接するヘリカル及び/又はスパイラル状パイプと、該ヘリカル及び/又はスパイラル状パイプ(4、4’、4’’)の終端部に接続される固体物用パイプ(8、8’、8’’)と、気体用パイプ(9、9’、9’’)とを備え、
前記各段階の気体用パイプが、1つ上側に位置する段階の上昇パイプに連結されているとともに、
前記各段階の固体物用パイプが、1つ下側に位置する段階の上昇パイプに向けて開口していることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載の装置。
【請求項12】
予熱器(30)と焼成炉(20)と炉(10)とを備え、
前記予熱器(30)及び/又は焼成炉(20)が、請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載の装置を有していることを特徴とするセメント製造用プラント。
【図1a】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9】
【図1b】
【図1c】
【図2a】
【図2b】
【図2c】
【図3a】
【図3b】
【図3c】
【図4a】
【図4b】
【図4c】
【図5a】
【図5b】
【図5c】
【図6a】
【図6b】
【図6c】
【図7a】
【図7b】
【図7c】
【図7d】
【図8】
【図9】
【公表番号】特表2010−535688(P2010−535688A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519393(P2010−519393)
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058105
【国際公開番号】WO2009/019072
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(504043934)ポリシウス アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年6月25日(2008.6.25)
【国際出願番号】PCT/EP2008/058105
【国際公開番号】WO2009/019072
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(504043934)ポリシウス アクチェンゲゼルシャフト (21)
【Fターム(参考)】
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