説明

固体粒子をチャンバー内に堆積させる堆積装置及び堆積方法

本発明は、収容部(2)に固体粒子を堆積させるための堆積装置に関するものである。堆積装置は、粒子の供給手段(24)と、上記収容部(2)の上部から底部へ粒子を散布する散布手段(26)と、堆積する層(13)の高さを測定する少なくとも1つの測定手段(17)と、上記供給手段(24)および/または上記散布手段(26)を制御する少なくとも1つの自動システムとを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、あらゆる種類の収容部(特に産業用反応器や化学反応器)に、固体粒子を堆積させる分野に関するものである。さらに詳細には、本発明は、収容部(特に化学反応器)に分粒された固体(特に触媒)を堆積させるための装置、方法、使用に関するものである。
【背景技術】
【0002】
本発明は、反応器(特に、固定床を有する化学反応器、電気化学反応器、石油類の反応器、石油化学反応器)に固体粒子、特に分粒された固体粒子を堆積させる装置及び方法に関するものである。
【0003】
上記粒子は、玉状、穀粒状、円柱状、円板状、棒状または他の形状を有し、一般にそのサイズは小さい。上記粒子は、分子篩や触媒粒(グレイン)として利用されている。分子篩及び触媒粒(グレイン)は、通常、押出成型によってシングルローブ形状またはマルチローブ形状で供給され、そのサイズは数10分の1mmから数cmである。
【0004】
収容部(特に化学反応器または石油化学反応器)に固体粒子を充填する装置が、従来技術として数多く知られ、記載されている。
【0005】
粒子の堆積速度、均一性、堆積密度等、堆積特性に関する多くの基準を満たすために、上記装置及び該装置に関する方法が提案されている。粒子を堆積させるために、上記装置及び方法は、当然、作業者や品物に関する安全ガイドラインに従わなければならない。
【0006】
堆積時間は、収容部を充填する上で重要なパラメータである。反応器(例えば、 炭化水素を主成分とする物質の処理装置に組み込まれる反応器)中で粒子の堆積が速くなると、処理工程中に装置の運転が休止される時間が短くなり、装置の運転を速く再開することができる。運転休止中のコストが極めて高い場合に限定すると、堆積時間は最も重要な要素である。
【0007】
また、「触媒層」としても知られる固体粒子の堆積層は、均一性が高いことが重要である。
【0008】
均一性は、堆積することで改善される。「堆積形状」としても知られる「充填部の上面」、つまり、触媒層の上部と反応器の未充填部との境界は、堆積によって水平で最密な面が形成される。そして、触媒層中の粒子の分布は均一化される。
【0009】
処理される流体の流れと反応速度とが触媒層全体で均一且つ一定となって、触媒の使用上改善がもたらされるためには、このような堆積特性の基準を考慮することは非常に重要であり必ず必要なことである。改善がもたらされると、例えば、流体が優先して流れる流路が発生して触媒層全体が均一に使用されなくなるのを抑制、または防止することができる。
【0010】
反応器に粒子を堆積させる分野において、他に重要となる要素は、堆積密度に関することである。例えば、反応器中の粒子の存在密度は、圧力低下に関係なく、通常、化学反応の反応効率に比例する。
【0011】
上記堆積密度は、収容部に堆積する触媒の質量と、触媒層の高さ(当然、体積に対応する)とによって定義される。上記触媒層の高さは、通常作業者によって測定される。また、作業者が高さを測定するために、通常、触媒の堆積を停止する必要がある。高さ測定は、例えば、粉塵環境下で鉛直方向の配管を用いて行われる。
【0012】
既存の堆積装置および方法(特に「雨降り効果」として知られる装置および方法)では、充填部の上面が水平面に対してどの程度逸脱しているかで、充填速度および/または充填特性が適当であるかを判断している。
【0013】
既に知られている装置では、通常、充填の進行状況を迅速に、または、連続的に測定されることがない。また、既に知られている装置では、収容部の内部構造が考慮されることがない。堆積が行われる収容部の内部には、特に、熱電対の端子等「ばらつきをもたらす要素」が設けられる。熱電対の端子は、触媒層の様々な高さに配置される。熱電対は、触媒層中のそれぞれの高さで温度が測定できるように設けられる。
【0014】
このようなばらつきをもたらす要素は、触媒層を形成する固体粒子の良好な分布に対して悪影響を及ぼす可能性がある。そのため、ばらつきをもたらす要素のこのような悪影響を取り除くために(特に、充填部の上面ができるだけ水平に近づくような堆積が行われるように)、堆積装置では特別な調整を時々行う必要がある。
【0015】
粒子供給方法としてソック法を用いた他の堆積装置では、粒子が反応器中へ投入落下されて浮遊するため、作業者にとっては非常に危険である。作業者が堆積する粒子をならすために反応器の底部にいて、粒子が粉砕されると、特に危険である。
【0016】
そこで、最適な堆積特性を得るために、出願人は収容部、特に大きなサイズの収容部に固体粒子を充填する装置及びその関連する方法を提案した。上記装置及びその方法は、例えば、特許文献1と、その改良発明である特許文献2及び特許文献3とに記載されている。
【0017】
そして近年、大きなサイズの収容部に固体粒子が堆積する堆積特性をさらに改善するため、出願人は特許文献4に記載される新しいタイプの装置を提案した。上記装置は、中空の中心シャフトを有する上記固体粒子の散布手段を備えている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0018】
【特許文献1】欧州特許出願公開第0007854号明細書
【特許文献2】欧州特許出願公開第0116246号明細書
【特許文献3】欧州特許出願公開第0769462号明細書
【特許文献4】フランス特許出願公開第2872497号明細書
【特許文献5】特開平7−242337号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0019】
しかし、近年における装置の改良に関係なく、堆積中の装置の性能低下や外乱等によって発生する不具合が、依然として一部残されている。
【0020】
上記不具合とは、例えば、
触媒層中の粒子の均一性が十分でないことである。これは、特に、充填部の上面が水平でないことを表している。
【0021】
また、密度が所望の密度に一致しないことである。特に、密度が所望の密度よりも小さいことである。
【0022】
また、堆積時間が極めて長いことである。および/または、
堆積時間中の人的な作業量が非常に多いことである。
【0023】
さらに、その分野の研究過程で、粒子の堆積効率を向上させるために、出願人は一定の要求を行っている。その要求とは、特に、
堆積中の触媒層の高さを測定する測定方法において、測定頻度が増加し、測定精度が向上する好ましい測定方法が提供されることである。
【0024】
また、堆積形状の外観が識別して表示される表示方法が改善されることである。そして、堆積形状の傾斜および/または凹凸を修復する修復方法が改善されることである。
【0025】
そして、堆積の自動処理が改善されることである。堆積の自動処理が改善されると、上述のパラメータを認識してから処理を開始する堆積装置では、リアルタイムに直接的な処理を行うことができる。そして、堆積時間を短縮し、さらに人的作業を最小限に減らすことができる。
【0026】
充填中、光を相当量遮断する粒子を用いて充填が行われると、堆積効率を向上させる上で、上記不具合や要求は益々増加する。本発明において「光を相当量遮断する」とは、充填部の上面を光学的に可視化するのに、そのような状態では正確におよび/または迅速に可視化することができないという意味である。このような光の遮断は、通常、堆積装置内で発生する大量の粉塵、例えば、化学反応器中の触媒粒(グレイン)から発生する粉塵によって起きる。粉塵量が多いか少ないかは、堆積する触媒の種類によって異なる。
【0027】
収容部に固体粒子を連続的に堆積させるための制御方法を改善するため、解決策が提案された。
【0028】
例えば、特許文献5には、収容部(反応器)に粒子状の触媒が堆積されるのを監視する方法及び装置が記載されている。上記装置は、収容部の上部中央にあって触媒粒(グレイン)を散布する充填手段と、堆積表面を走査するレーザ光を照射する照射装置と、上記照射装置によって照射された後に堆積表面で反射されるレーザ光を検出する検出手段とを備えている。
【0029】
上記照射装置及び検出装置は、収容部の壁に充填手段と同じ高さで取り付けられている。このシステムは、操作が比較的困難であり、また、充填容器中に設置するには長尺であるため、都合の悪いこととして反応器の休止時間が長くなるという欠点を有している。
【0030】
さらに、このシステムは、特許文献4に記載の高密度堆積装置では、充填手段と同じ高さに遠隔測定手段が設けられている。また、上記システムは、正常に機能させることができないか、または、全く機能させることができない。というのも、特に堆積終了時に、堆積表面と遠隔測定手段との間に位置する回転可能な整流板がレーザに干渉して、レーザ測定が行えないからである。
【0031】
さらに、反応器に触媒粒(グレイン)を堆積させる時などのような粉塵環境下では、レーザー測定技術を用いても高い性能を得ることはできない、または、レーザー測定技術は不適当である。
【0032】
つまり、充填装置に対する要求(上述の問題を完全にまたは一部解決することのできる要求)は依然として残されている。そして、その要求が満たされると、下記内容が可能となる。
【0033】
まず、触媒層の高さの自動測定および/または充填部の上面の自動測定を、高い頻度で行うことができる。特に、触媒の堆積を休止することなく、または、触媒の堆積を短時間休止している間に、自動測定を行うことが可能である。
【0034】
また、堆積中に発生する粉塵の量に左右されることなく、上記測定を高い測定精度で行うことができる。例えば、触媒層の中心高さを測定するよりも、広い領域中の少なくとも1点で上記触媒層の堆積形状を測定するよりも、高い測定精度で測定することができる。
【0035】
また、収容部内での人的作業を行うことなく、上記測定を行うことができる。
【0036】
また、収容部の堆積を自動で行うことができる。例えば、危険な人的作業を最小限にするため、上記測定の結果に応じて堆積が行われる。
【0037】
それから、均一且つ正確に、固体粒子を収容部へ自動で充填することができる。さらに、上記堆積結果が高い測定精度で認識されるため、堆積密度を正確に導き出すことができる。
【課題を解決するための手段】
【0038】
数多くの調査研究の間に、出願人は新たな装置を開発した。その装置は、特許文献4に記載の大きな構成で操作が容易な高密度堆積システム(DensicatR)を利用している。本発明によると、堆積中の触媒層の高さをより良く測定、および/または充填部の上面の形状をより良く測定することよって、反応器の堆積を自動化および/または改善することができる。
【0039】
装置を調整するパラメータによって自動制御されるシステムを利用すれば、堆積中の人的作業、特に反応器中での危険な人的作業を減らすことができる。
【0040】
第1の形態によると、本発明の主題は、収容部に固体粒子を堆積させるための装置であって、粒子の供給手段と、上記収容部の上部から底部へ上記粒子を散布する散布手段と、上記粒子が堆積する層の高さを測定する少なくとも1つの測定手段と、上記供給手段および/または上記散布手段を制御するための少なくとも1つの自動システムとを備えている。
【0041】
本発明に従う装置は、堆積が行われる収容部とは独立して構成され、特に、着脱可能である。これは、ひとつの堆積装置で複数の収容部に連続して堆積をもたらす効果を奏している。
【0042】
上記装置は、供給手段を少なくとも1つ備え、上記供給手段によって上記散布手段は固体粒子を上部から底部へ供給することができる。
【0043】
上記供給手段は、上流部で、閉止弁、特に自動バルブを少なくとも1つ備えている。供給手段に閉止弁が設けられると、少なくとも1つのホッパー等を介して粒子が供給される。上記供給手段は、散布手段の中心シャフト(下記定義されている中心シャフトは特に)の一部、または全部を覆っている。
【0044】
上記供給手段には、閉止手段、特に自動の閉止手段が少なくとも1つ設けられている。この閉止手段は、特にシャッター型、例えば、フラップ型である。上記閉止手段の移動は、ジャッキによって行われ、または、従来技術として知られる遠隔操作が可能な手段によって行われる。
【0045】
上記閉止手段は、特に散布手段の上方に配置され、固体粒子を吐出するための少なくとも1つの穴、または、少なくとも1つの穴の集合体に対して、全部または一部を自動で塞ぐように設けられている。
【0046】
そのため、収容部で堆積動作が行われる間、特に粒子が散布される間、吐出穴から吐出される粒子の流速は、上記閉鎖手段によって制御される。
【0047】
本装置では、特に、堆積形状に作用をもたらすため、散布手段に達する固体粒子または触媒粒(グレイン)の流れが制御される。特に、粒子の散布に対して影響の大きい各部の吐出流速が制御されると、一定の調整によって、窪みやこぶ等、表面の凹凸が形成され、または、表面の凹凸が消滅する。さらに、限定的な条件で制御を行うと、所望の設定形状、つまり、一般に平面や水平と称される形状に一致する堆積形状が得られる。
【0048】
実施形態によると、上記散布手段は、中心シャフト、任意で中空に形成される中心シャフトを備えている。上記中心シャフトには、細長型の整流板が取り付けられている。上記整流板は、好ましくは半硬質である。上記中心シャフトは、駆動手段によって回転駆動する。上記駆動手段は、モータを備えている。上記モータは、例えば、窒素及び空気から選択されるガスを上記中心シャフトへ供給することを考慮して、中心から外れた位置に配置されている。
【0049】
10rpmから300rpmまでの範囲、好ましくは、40rpmから200rpmまでの範囲で回転する中心シャフトの回転軸は、通常、反応器(収容器)の長手方向の軸に平行である。しかし、上記回転軸は、特に堆積中または堆積休止中に、自動ジャッキを少なくとも1つ用いて自動的に上記収容部の軸に対してオフセットさせることができる。堆積ばらつきを修正するために、オフセットは、収容部の長手方向の軸に対して45度までの角度範囲、特に30度までの角度範囲で行うことができる。
【0050】
散布手段の中心シャフトは、通常、収容部の長手方向の軸上に位置されている。しかし、上記中心シャフトは、例えば、特に堆積中または堆積休止中に、自動ジャッキを少なくとも1つによって自動的に移動させることができる。上記中心シャフトは、収容部の長手方向の軸の位置から50cmまでの範囲、特に20cmまでの範囲で、収容部の長手方向の軸に対して平行移動させることができる。
【0051】
中心シャフトの位置の変更は、回転速度の変更と組み合わせることによって、収容部中の粒子の散布に変化をもたらすことができる。
【0052】
堆積装置は、自動制御システムを備えている。自動制御システムはジャッキを備えている。供給手段および/または散布手段の調整パラメータが変更されると、変更された調整パラメータに対応して上記ジャッキが自動的に作動する。上記調整パラメータは、堆積中における触媒層(13)の高さ測定のデータおよび/または堆積表面の解析データに応じて変更される。
【0053】
上記装置は、堆積中の粒子層の高さを数値化することが可能な測定手段を少なくとも1つ備えている。
【0054】
「粒子層の高さを数値化することが可能な測定」とは、本発明では、測定手段(または、測定手段に最も近い化学反応器上部の内部プレート)と、充填部の上面に定められる中心領域内の1ポイントまたはそれ以上のポイント(例えば、2ポイントから数10ポイントまで)との間の距離を測定することを意味する。
【0055】
次に、堆積粒子層の高さ、詳細には、その時点で堆積している粒子層の高さを推測するために、上記測定点と底面、または上記測定点と層の下端との間の高さが上記測定される距離から算出される。
【0056】
測定手段は、電磁波または音波の分野より選択することができる。測定手段とは、例えば、レーダ型および/またはソナー型、または、有害な(特に粉塵を有する)環境下で、迅速且つ正確な測定を行うことができる従来技術である。
【0057】
堆積層の高さを測定する測定手段は、特許文献4に記載される装置の場合、散布手段の上か下、特に細長片の上か下に、測定手段の全部または一部が配置される。特に、測定手段は細長片の下に配置される。測定手段が散布手段の下に配置されると、測定手段は、堆積装置の中心シャフトの固定される中空管内に、その全部または一部を配置させることができる。
【0058】
実施形態によると、堆積層の高さを測定する測定手段は、移動手段を少なくとも1つ備えている。測定手段は、該測定手段に接続される接続手段によって移動が行われる。上記移動手段によって、測定手段は、回転する中空シャフト内の固定される中空管に挿入されるか、測定を行うために上記中空管から挿出されるか、そのどちらかの状態となる。
【0059】
堆積層の高さを測定する測定手段は、通常、回転する中空シャフトに固定されない。しかし、本発明では、測定手段に適したコンピュータ処理を行うことで、測定手段は上記中空シャフトに固定される。
【0060】
レーダの測定時間は、1分以内、特に10秒以内であり、たとえ1秒以内でも構わない。レーダの直径は、200mm以下、特に130mm以下である。
【0061】
レーダの高さは、1000mm以下、特に、500mm以下である。
【0062】
レーダの円錐状の放射角は、22度、特に8度、特に4度である。
【0063】
レーダは、特に、VEGA社から販売されているVEGAPLUS68またはVEGAPLUS67型であり、約8度の円錐状の放射角を有する。
【0064】
ソナーの直径は、50mm以下、または、20mm以下、または16mm以下である。
【0065】
ソナーの高さは、40mm以下、または、12mm以下である。ソナーの波動の円錐状の放射角は8度である。
【0066】
使用されるソナーは、特に、ALCTRAによって販売されているソナーである。
【0067】
上記装置は、堆積形状を測定する測定手段も少なくとも1つ備えている。上記測定手段は、特に、堆積層の高さを測定する測定手段と同型である。特に、測定手段を同一にすると、粒子の堆積層の高さと堆積形状とを測定することができる。
【0068】
本発明において「堆積形状を測定する少なくとも1つの測定手段」とは、実際に散布が行われる堆積表面に分布する一定数の場所と測定手段との間の距離を測定する測定手段を意味している。上記測定手段は、堆積表面を2次元または3次元で表現することが可能である。
【0069】
堆積形状を測定する測定手段は、固体粒子の層の径方向全体(2次元)または、表面全体(3次元)に広がる様々な場所で、測定を行うことができる。上記測定手段は、一方では、複数の方向に対して同時測定が可能である。同時測定は、特に複数の測定手段、例えば半球状に配置される複数の送受信機によって行われる。上記測定手段は、また他方では、移動可能であって、移動を制御することで堆積表面の複数の場所または領域を順次測定することができる。
【0070】
堆積形状を測定する測定手段では、堆積表面上で区画される各表面領域内の少なくとも1箇所の高さを測定することができる。表面領域は、0.2m以下、特に0.1m以下、特に0.05m以下であって、0.01m以下でも構わない。
【0071】
堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段は、1つの表面領域内における複数の測定箇所の高さを、1回で測定することができる。そのため、上記測定手段は、3次元表示が可能である。
【0072】
第1の実施形態によると、堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段は、収容部の長手方向の軸上および/または中心シャフト上に配置される。
【0073】
第2の実施形態によると、堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段の軸は、収容部の長手方向の軸および/または中心シャフトと異なる位置に設けられる。
【0074】
上記測定手段は、特に、角運動手段を少なくとも1つ備えている。上記角運動手段によって、測定角を変更することができる。測定角は、収容部の長手方向の軸に対して30度まで、特に45度まで、または60度まで、最も特別に80度までの範囲である。
【0075】
特に、上記測定手段が角運動手段を少なくとも1つ有する場合、堆積層が高くなるとともに、上記角運動手段によって測定角を大きくすることができる。
【0076】
上記装置は、堆積形状を測定する測定手段を複数備えている。例えば、複数の測定手段で同時測定を行うために、これらの測定手段の測定軸は異なる位置に設けられている。特に、これらの測定手段は、放射曲線状、特に円曲線状に配置される。複数の測定手段がこのように配置されると、これを回転させることによって、堆積形状が測定される。
【0077】
堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段は、角運動手段および/または回転運動手段を備えている。上記角運動手段および/または回転運動手段によって、上記測定手段は、所定の回転運動を行い、特に所定の回転角で回転運動することができる。
【0078】
堆積形状を測定する測定手段は、制御された回転運動、特に水平面上の回転運動や3次元の回転運動を行うことができる。
【0079】
特に、上記測定手段は、収容部中に堆積する触媒層の堆積表面全体の高さが測定できるように配置される。上記測定手段は、堆積表面全体で測定することのできる角度に沿って配置される。特に、上記測定手段は、球状または円柱状または適切な幾何学形状に沿って配置される。
【0080】
堆積層の高さを測定する測定手段及び堆積形状を測定する測定手段の測定精度は、10cm未満、特に1cm未満である。
【0081】
堆積開始時から、測定手段に対して数10cmの堆積高さまで、つまり、収容部が固体粒子で一杯であると判断されるまで、堆積形状の測定は行われる。
【0082】
特に、堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段は、視界の悪い環境下で測定を行うことができる。視界の悪い環境下とは、特に、粉塵環境下(粉塵量が多くても)および/または様々な種類の蒸気を含む環境下である。
【0083】
実施形態によると、上記装置は所望の堆積形状と測定される堆積形状とを比較する比較手段を備えている。上記比較手段は、特にコンピュータによって処理される。
【0084】
特に、所望の堆積形状は水平である。しかし、堆積が行われる収容部の内部には、散布が乱れ、そして/または、堆積中の粒子の配列及び水平な堆積形状が乱れる要素が含まれている。上記要素とは、特に、上述する収容部内に設けれられる熱電対の端子である。
【0085】
所望の堆積形状は、特に、理論的、または、数学的な収容部の堆積モデルによって導出される。また所望の堆積形状は、経験的なモデル、または、経験的且つ理論的なモデルによって導出される。
【0086】
できるだけ所望の堆積形状に近い堆積形状を得るために、散布手段の調整パラメータ(例えば、回転方向)を変更することは効果的である。調整パラメータは、堆積高さの測定値から算出される収容器中の粒子の堆積層の高さに応じて、また、測定される堆積形状と所望のまたは理論的な堆積形状との比較結果に応じて、また、収容部の内部構造を表す数学的なモデルを考慮して、変更される。
【0087】
本発明に従う装置では、堆積および/または散布に関するパラメータは自動的に変更される。具体的に、
上記装置では、整流板の回転方向や回転速度等の散布手段が調整される。
【0088】
また上記装置では、少なくとも1つの閉止弁によって、堆積時の流速が調整される。
【0089】
また上記装置では、収容部の長手方向の軸および/または対称軸および/またはその垂直軸に対して、中空シャフトの軸をオフセットすることによって、中空シャフトの位置が変更される。
【0090】
また上記装置では、収容部の長手方向の軸に対して散布手段が傾斜される。傾斜角は、特に数度である。
【0091】
また上記装置では、下部および/または側部にある噴出口または複数の噴出口を有する噴出部を一部開口または全開することによって、整流板への粒子の流れが調整される。
【0092】
実施形態によると、上記測定は、数秒の間に行われ、特に数10分の1秒で行われる。また、堆積装置に関する各部のパラメータが変更されると、堆積はリアルタイムに開始されるが、上記測定は、その堆積を停止させることなく実行される。また、堆積装置の調整パラメータが自動変更された認識が遅くなって堆積が開始されない間も、当然、上記測定は実行される。
【0093】
他の実施形態によると、本発明の主題は、収容部中に固体粒子を堆積させる堆積方法である。
【0094】
上記堆積方法では、上記粒子は上部から底部へ流れる。
【0095】
上記堆積方法では、堆積中、粒子の堆積層の高さと堆積形状が、連続的および/または迅速に測定される。
【0096】
上記堆積方法では、堆積層の高さおよび/または堆積形状に応じて、堆積に関するパラメータが調整される。
【0097】
測定結果は、設定された少なくとも1つのモデルと比較される。そして、堆積装置を調整するパラメータに対応して自動動作が行われることによって、測定結果と設定モデルとの差は小さくなる。この方法は、特に、本文に記載される装置で利用される。
【0098】
上記測定を行うために上記堆積を停止しなければいけない時間は、10分未満、特に5分未満、特に1分未満であり、特に、上記堆積は停止する必要がない。
【0099】
供給手段および/または散布手段に関する堆積のパラメータは、粒子層の高さの測定結果および/または堆積形状の測定結果の関数として調整される。特に、上記測定結果は、堆積が行われる収容部の内部構造が考慮されるモデルと比較される。さらに詳細に、このような比較及び調整は、自動的に行われ、電動式の機構部に指示を送るコンピュータによって制御される。
【0100】
上記堆積形状を測定する測定手段は、面積が堆積表面全体の20%未満、特に10%未満の各領域において、高さ測定が少なくとも1箇所行われる。
【0101】
他の実施形態によると、本発明の他の主題は、炭化水素の水素化処理のために化学反応器中で触媒層が少なくとも1層形成される本発明に従う装置の使用、または、本発明に従う方法の使用である。
【図面の簡単な説明】
【0102】
【図1】図1は、触媒層が堆積工程で形成される触媒の収容部の断面図である。
【図2】図2は、本装置の3次元部分図を示している。
【図3】図3は、本発明の実施形態に従う装置の一部の断面図である。
【図4】図4は、本発明の他の実施形態に従う装置の一部の断面図である。
【図5】図5は、堆積表面の測定を行うレーダを備える測定手段の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0103】
代表図を参考に、本発明を説明する。
【0104】
図1は、3層で構成される触媒の収容部(1)を示している。上記3層は、通常、触媒粒(グレイン)等の固体粒子が堆積することによって形成される。この収容部(1)は、商業上反応器として知られており、外壁(2)と、プレート(3,4,5)と、該プレート(3,4,5)の上に載置されるプレート(6,7,8)と、触媒の層を支持する支持プレート(9,10)とを備えている。上記プレート(3,4,5)は、複数の流路を備え、処理される供給物質を分散させるためのプレートである。上記プレート(6,7,8)は、上記供給物質を予備的に分散させるためのプレートである。
【0105】
上記予備分散プレート(6,7,8)及び触媒層の支持プレート(9,10)は、通常、貫通孔を多数備えている。上記孔は、上記供給物質が流れ、共に流される反応性流体が流れるように設けられている。また、予備分散プレート(6,7,8)及び支持プレート(9,10)は、流路を有するプレートと同様に、処理中は閉鎖される大きな開口または「マンホール」を備えている。
【0106】
マンホールは、名前の通り、開けると、反応器中で作業者が自由に通行できるように形成されている。また、反応器(1)は、流体の吸気口及び排気口として上部開口(11)及び下部開口(12)を備えている。反応器(1)は、3つに分割された触媒層(13,14,15)を備えている。その上部の触媒層では、本発明の主題である装置(16)及び方法を利用して、堆積工程(触媒層に向けて触媒を散布、図示は省略)が行われる。上記装置(16)は、特許文献4に一部記載されている。上記装置(16)のソナータイプの測定手段(17)は、その動作状態が図1に示されている。つまり、ソナーは上部触媒層の高さを測定する計測工程(18)として設けられている。
【0107】
本発明に従う装置(16)は設置が可能である。例えば、装置(16)によって触媒粒(グレイン)を堆積させ触媒層(13,14,15)を形成する場合は、装置(16)はマンホールと同じ高さにある予備分散プレート(6,7,8)の1つに設置される。あるいは、上部予備分散プレートの上方で堆積が行われる場合は、装置は任意で上部開口(11)に設置される。
【0108】
堆積が行われる触媒の層によって異なるが、本発明の主題である装置(16)は、上部開口(11)またはマンホールによって収容部内に導入される。上記マンホールの直径は、80cm以下、特に60cm以下であって、50cm以下でも構わない。
【0109】
本発明の主題である装置及びその方法を利用する場合、次の3つのステップによって、触媒を収容部(1)の中に完璧に堆積させることができる。
【0110】
ステップ1 装置が予備分散プレート(8)上のマンホールと同じ高さに設置され、上記装置を用いて下部層を堆積させる。
【0111】
ステップ2 装置が予備分散プレート(7)上に同様に設置され、上記装置を用いて中間層を堆積させる。
【0112】
ステップ3 装置が予備分散プレート(6)上に設置され、上記装置を用いて上部層を堆積させる。
【0113】
各触媒層は、下側及び上側に、主にアルミナで構成される不活性なビーズの薄層(19,20,21,22,23)を備えている。上記薄層は、触媒層の下側では触媒粒(グレイン)を保持し、触媒層の上側ではその堆積を分散させるように形成されている。触媒層(13)の上側には、堆積工程の後半に不活性なビーズの薄層が形成される。そのため、図1では、触媒層(13)の上側に上記薄層は示されていない。
【0114】
本発明の主題である装置は、初めは、回転シャフト(Z’Z)の軸が堆積が行われる収容部の軸(X’X)と一致するように、上記3ステップが行われる各場所に配置される。
【0115】
図2は、装置(16)の3次元部分図を示している。
【0116】
図2では、固体粒子の供給手段(24)が示されている。固体粒子は、ここでは触媒粒(グレイン)である。散布手段は、回転中空シャフト(25)と堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段(17)とを備えている。上記回転中空シャフト(25)には、整流板(26)(特に細長型であって、その複数枚が一部表示されている)が設けられている。上記測定手段(17)は、接続手段(37)を備え、整流板(26)の下方に配置されている。詳細には、回転中空シャフト(25)の中に固定される中空シャフトが保持されており、上記測定手段(17)は上記固定される中空シャフト(図示省略)の下に設置されている。
【0117】
整流板(26)は、可動性のある留め具によって取り付けられている。
【0118】
供給手段(24)は、水平シャッタ(28)と、側部開口(30)と、ジャッキ(33)と、ジャッキ(34)とを備えている。
【0119】
上記水平シャッタ(28)は、その開口および/または閉口がジャッキ(29)によって自動で遠隔制御される。
【0120】
上記側部開口(30)は、シャッタ(31)によって一部または全部が閉口され、上記シャッタ(31)はジャッキ(32)によって自動制御される。
【0121】
上記ジャッキ(33)は、反応器の長手方向の軸に対して装置を平行に保ちながら、制御によって50cm以下、好ましくは20cm以下の範囲で装置を水平移動させる。
【0122】
上記ジャッキ(34)によって、反応器の長手方向の軸に対する装置の回転軸の角度は、45度未満、好ましくは、30度未満の範囲で変更される。
【0123】
上記ジャッキ(33)及びジャッキ(34)は、動作するために、反応器に固定部(35)が設けられている。
【0124】
装置に搭載されるジャッキの種類は、技術的に知られており、固体粒子(特に触媒粒(グレイン))を主とする粉塵環境下で動作することができる。
【0125】
図3は、本発明に従う装置の実施形態を示している。固体粒子を散布するための散布手段は、中空管で構成される回転可能なシャフト(25)を備えている。上記回転シャフト(25)には留め具(36)が設けられ、上記留め具(36)によって可撓性のある整流板(26)が上記回転シャフト(25)に連結されている。上記整流板(26)は、一般に、ゴム状の可撓性材料で形成されている。
【0126】
上記回転中空シャフト(25)は、その内部に固定される中空シャフト(38)を備えている。上記固定中空シャフト(38)は、供給手段(24)に取り付けられている。固定中空シャフト(38)の中には、堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段(17)が配置されている。
【0127】
測定手段(17)は、接続手段(37)を少なくとも1つ備えている。上記接続手段(37)は、例えば、図3に示すように、固定中空シャフト(38)に収容されている。測定手段(17)は、接続手段(37)を経由して制御演算部(特にコンピュータ)と送受信が可能である。こうして測定手段(17)は、垂直方向および/または回転方向に移動することができる。
【0128】
測定手段(17)は、複数のレーダおよび/またはソナー等、1またはそれ以上の測定装置を備えている。測定手段(17)は、特に、堆積層の異なる領域に対して同時測定することができる。測定手段(17)は、特に、「多面体のボール」の形状である。上記多面体のボールの各面は、測定装置、特にソナーまたはレーダで構成されている。
【0129】
回転中空シャフト(25)は、固体粒子が整流板(26)に衝突する時に発生する粉塵(図示省略)を吸い上げるための開口部を備えている。
【0130】
図4は、回転中空シャフト(25)で構成される固体粒子を散布する散布手段の他の実施形態を示している。上記散布手段は、回転中空シャフト(25)上に留め具(36)を備えている。上記留め具(36)によって、可撓性のある整流板(26)が回転中空シャフト(25)に連結されている。
【0131】
回転中空シャフト(25)は、その中に、固定中空シャフト(38)を備え、上記固定中空シャフト(38)は供給手段(24)に取り付けられている。
【0132】
測定手段(17)は、供給配管(24)内に挿入される少なくとも1つの接続手段(37)に固定されている。この測定手段(17)は、概ね供給配管(24)の中に収容され、上昇または下降が行われる。測定手段(17)の動作が停止して測定が行われる時は、測定手段(17)は整流板の下に配置される。
【0133】
触媒層の高さ、または、堆積形状を測定する時、回転する整流板の影響は、最初に、測定バックグラウンドノイズとして考慮され、上記測定値からそれぞれ減算される。
【0134】
中空管の内径は、200mm以下、特に180mm以下、特に160mm以下、また140mm以下でも構わず、特に130mm以下でも構わない。
【0135】
図5は、レーダタイプの測定手段(17)の特徴的な構成を示している。測定手段(17)は、堆積が行われる(図示省略)反応器の長手方向の軸(X’X)上に配置され、水平シャフト(39)に取り付けられている。測定手段(17)は、該測定手段(17)に設けられる角運動手段によって、水平シャフト(39)の周囲で回転可能である。上記測定手段(17)は、直ちに固定中空シャフト(38)の下に配置される。
【0136】
水平シャフト(39)は、接続手段(37)と機械的に連結されている。また、接続手段(37)は、長手方向の軸(X’X)の周囲で回転運動することができる。そのため、測定手段(17)、正確には走査ビーム(18)は、軸(Y’Y)に沿って触媒層(13)の堆積表面(40)を走査する。上記測定手段では、例えば、プログラム制御によって、角度α及び長手方向の軸(X’X)の周囲を回転する回転速度を変更しながら、上記ビームが走査される。このように、堆積形状の測定は、触媒層の堆積表面(40)全体に対して行うことができる。
【0137】
測定手段(17)の軸(Y’Y)は、堆積が行われる収容部の長手方向の軸(X’X)上に配置される。または、測定手段(17)の軸(Y’Y)は、堆積が行われる収容部の長手方向の軸(X’X)と異なる場所に配置される。測定手段(17)が回転する場合は、当然、測定手段(17)はある瞬間はある場所に位置し、別の瞬間には別の場所に位置することとなる。
【0138】
異なる形態として、測定手段(17)は回転中空シャフト(25)に固定されても構わない。
(堆積例)
軸流型の化学反応器に触媒層が2層重ねて堆積された。
【0139】
2つの触媒層は、それぞれ高さが8メートルであり、反応器の直径は4メートルであった。
【0140】
処理が施される炭化水素の供給物質が、反応ガス(通常、水素ガス単体または混合ガスとして)と共に、反応器中に流された。
【0141】
「雨降り効果」をもたらし、細長型の整流板が取り付けられた回転中空シャフトを備える散布手段によって、下部層を形成するために、100トンの触媒の堆積が行われた。
【0142】
本発明に従う装置によって、上部層(も100トンの触媒が使用される)の堆積が行われた。上記装置は、下部層で用いられる散布手段と同じ散布手段を備えている。記載される堆積工程は、上部層の堆積にも適用された。
【0143】
上記2層の堆積の場合、回転中空シャフトの軸は、反応器の長手方向の軸と重なっていた。
1 下部層の堆積
反応器の中にいる作業者は、触媒層の良好な堆積、つまり、堆積表面の傾斜が水平面に対して10度未満であるのを確認するため、運転中に上記堆積を数回に亘って一時停止(散布手段を停止)した。詳細には、作業者は例えば、堆積が15%、30%、50%、70%、そして90%行われた時に一時停止を行った。
【0144】
反応器中の、通常、粉塵を含み窒素で置換される有害な環境下で、作業者は、予備分散プレートの穴に挿入された10メートルの物差しを用いて、触媒層の高さ測定を数回行った。次に、調整部分をマニュアルで変更するために、目視による触媒層の表面観察が行われた。触媒層の堆積形状の凹凸を修復するために、特に、供給手段の閉鎖手段がマニュアル調整された。
【0145】
経験豊富な作業者は、10メートル長の物差しを用いた測定と目視観察とを通常30分で行った。供給手段の閉鎖手段を調整(平均して約1時間の作業)をするために必要な散布手段の休止時間、つまり堆積を停止する時間以外に、散布手段の取り付け及び取り外しが行われる。
【0146】
供給手段の閉鎖手段を調整する時間を含めず、また、良好な堆積を行うために上述の回数だけ一時停止する時間を含めずに、堆積工程中に散布手段を一時停止する時間の合計は、触媒層を8メートル堆積するのに必要な8時間0分に対して、2時間30分であった。これは、堆積時間の約30%であり、それだけ、この堆積工程において、散布手段及び供給手段の動作確認に時間を要していた。
2 本発明に従う装置及びその方法を利用した上部層の堆積
自動ジャッキによって制御される閉鎖手段が、供給手段に設けられた。また、堆積が行われる反応器の長手方向の軸に対して散布手段の位置を変更可能にするために、散布手段にも自動ジャッキが設けられた。また、測定手段がソナー型であった。また、散布手段が停止することなく触媒層の高さ及び堆積形状の測定が行われた。そのため、上述の効果的な手段は、測定値の解析結果の関数として、リアルタイムに且つ自動的に修正された。
【0147】
さらに詳細には、本発明で利用される測定手段はソナー型であって、ソナーは散布手段の中空シャフトの下に位置する半球に、規則性のある間隔で配置された。
【0148】
マニュアル制御で上記堆積を行うために、散布手段が停止される必要はなくなった。反応器中の有害な環境下に作業者が入ることは、もはや必要ではなくなった。堆積時間は、従来技術として通常行われる堆積の時間と比較すると、約30%短縮された。
【0149】
さらに、反応器の下部触媒層を堆積させるための例として記載される5つの制御に匹敵する連続的な修正動作及び制御を行うことによって、堆積特性が向上した。
【0150】
化学反応器に触媒粒子を堆積させるための、本発明に従う装置及びその方法を利用すると、堆積時間は約1/3に短縮することができる。また、上記装置及び方法を利用すると、有害な環境下での人的作業は終了させることができ、さらに、上記堆積特性は改善される。
【0151】
また、特に、触媒粒子で炭化水素を浄化する反応装置等、「放射状流」が形成される反応器中で粒子の堆積が行われる場合、本発明に従う装置及び方法は応用される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
収容部(2)に固体粒子を堆積させるための堆積装置であって、
上記粒子の供給手段(24)と、
回転する中空シャフト(25)と該中空シャフト(25)の中に固定される中空管(38)とを備え、上記収容部(2)の上部から底部へ上記粒子を散布する散布手段(26)と、
上記固定される中空管(38)の中に配置され、上記粒子の堆積層(13)の高さを測定する少なくとも1つの測定手段(17)と、
上記供給手段(24)および/または上記散布手段(26)を制御するための少なくとも1つの自動システムとを備える
堆積装置。
【請求項2】
上記堆積層(13)の高さを測定する上記測定手段(17)は、電磁波、特にレーダ、および/または音波、特にソナーを備える
ことを特徴とする請求項1に記載の堆積装置。
【請求項3】
堆積形状を測定する少なくとも1つの測定手段を備え、上記測定手段は、特に堆積層(13)の高さを測定する測定手段(17)と同型である
ことを特徴とする請求項1または2に記載の堆積装置。
【請求項4】
上記堆積層(13)の高さ測定と上記堆積形状の測定とが、同一の測定手段(17)で行われる
ことを特徴とする請求項3に記載の堆積装置。
【請求項5】
上記測定手段(17)は、曲線状、特に円曲線状に複数配置される
ことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項6】
上記測定手段(17)は、球状または円柱状に複数配置される
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項7】
上記堆積形状を測定する測定手段(17)は、半球状に配置される複数の送受信部で構成される
ことを特徴とする請求項3乃至6のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項8】
上記堆積形状を測定する測定手段(17)は、制御可能な回転運動をする
ことを特徴とする請求項3乃至7のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項9】
上記測定手段(17)は、角運動手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至8のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項10】
上記測定手段(17)の軸(Y’Y)と堆積が行われる収容部(2)の長手方向の軸(X’X)との間の測定角が、30度まで、特に45度まで、または60度まで、最も特別に80度までの範囲である
ことを特徴とする請求項9に記載の堆積装置。
【請求項11】
上記測定手段(17)の軸(Y’Y)は、堆積が行われる収容部(2)の長手方向の軸(X’X)上に配置される
ことを特徴とする請求項1乃至10のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項12】
上記測定手段(17)の軸(Y’Y)は、堆積が行われる収容部(2)の長手方向の軸(X’X)と異なる位置に設けられる
ことを特徴とする請求項1乃至11のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項13】
所望の堆積形状と測定される堆積形状とを比較する比較手段を備え、特に上記比較手段はコンピュータ処理される
ことを特徴とする請求項1乃至12のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項14】
ジャッキ(29,32,33,34)を有する自動制御システムを備え、堆積中における触媒層(13)の高さ測定データおよび/または堆積表面の解析データに応じて、供給手段(24)および/または散布手段(26)の調整パラメータが変更され、変更された調整パラメータに対応して上記ジャッキ(29,32,33,34)が自動的に作動する
ことを特徴とする請求項1乃至13のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項15】
上記散布手段(26)は、回転するシャフト(25)を備え、上記シャフト(25)には、細長型の整流板が可動性を有する留め具(36)を介して取り付けられる
ことを特徴とする請求項1乃至14のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項16】
上記回転するシャフト(25)は、中空である
ことを特徴とする請求項15に記載の堆積装置。
【請求項17】
上記測定手段(17)は、回転する中空管(25)に固定される
ことを特徴とする請求項7乃至15のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項18】
上記散布手段(26)は、回転する中空シャフト(25)の中に設けられる固定される中空管(38)を備え、上記中空管(38)の中に堆積形状を測定する測定手段(17)が配置される
ことを特徴とする請求項1乃至17のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項19】
堆積層の高さおよび/または堆積形状を測定する測定手段(17)が固定される中空管(38)に挿入され挿出されることを可能とする少なくとも1つの手段を備える
ことを特徴とする請求項18に記載の堆積装置。
【請求項20】
上記供給手段(24)は、少なくとも1つの自動的な閉鎖手段を備える
ことを特徴とする請求項1乃至19のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項21】
上記閉鎖手段は、フラップ(28,31)で構成され、上記フラップ(28,31)は遠隔操作が可能なジャッキ(29,32)によって移動する
ことを特徴とする請求項20に記載の堆積装置。
【請求項22】
上記供給手段(24)の上流側で、少なくとも1つの自動的な閉止弁を備えることを特徴とする請求項1乃至21のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項23】
固体粒子を散布する散布手段(26)の回転軸(Z’Z)と、堆積が行われる収容部の長手方向の軸(X’X)との角度が、30度までの範囲、特に45度までの範囲である
ことを特徴とする請求項1乃至22のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項24】
固体粒子を散布する散布手段(26)の回転軸(Z’Z)は、少なくとも1つの自動的なジャッキ(33)によって、堆積が行われる収容部の長手方向の軸(X’X)に対して平行移動する
ことを特徴とする請求項1乃至23のいずれか一つに記載の堆積装置。
【請求項25】
上記回転軸(Z’Z)は、上記長手方向の軸(X’X)に対して50cmまでの距離範囲で、特に20cmまでの距離範囲で移動する
ことを特徴とする請求項24に記載の堆積装置。
【請求項26】
上記粒子が、収容部の上部から底部へ流れ、
粒子の堆積層の高さおよび/または堆積形状が測定され、
特に、堆積層の高さ、および/または堆積形状の測定値に応じて、堆積に関するパラメータが調整される
ことを特徴とする請求項1乃至25のいずれか一つに記載の堆積装置による収容部(2)に固体粒子を堆積させる堆積方法。
【請求項27】
上記測定を行うために上記堆積を停止しなければいけない時間は、10分未満、特に5分未満、特に1分未満であり、特に、上記堆積は停止する必要がない
ことを特徴とする請求項26に記載の堆積方法。
【請求項28】
上記供給手段(24)及び散布手段(26)のパラメータは、堆積が行われる収容部(2)の特徴的な内部構造を考慮したモデルの、粒子の層の測定高さおよび/または堆積形状の関数として調整されることを特徴とする請求項26または27に記載の堆積方法。
【請求項29】
上記堆積形状を測定する測定手段(17)は、面積が堆積表面全体の20%未満、特に10%未満の各領域において、高さ測定が少なくとも1箇所行われる
ことを特徴とする請求項26乃至28のいずれか一つに記載の堆積方法。
【請求項30】
炭化水素を水素化処理するために、化学反応器中で触媒層が少なくとも1層形成される請求項1乃至25のいずれか一つに記載の堆積装置の使用、または、請求項26乃至29のいずれか一つに記載の堆積方法の使用。
【請求項31】
放射状流として知られる化学反応器、特に炭化水素を浄化する反応装置の中で、触媒層が少なくとも1層形成される請求項1乃至25のいずれか一つに記載の堆積装置の使用、または、請求項26乃至29のいずれか一つに記載の堆積方法の使用。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2011−505234(P2011−505234A)
【公表日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−533634(P2010−533634)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【国際出願番号】PCT/FR2008/001602
【国際公開番号】WO2009/098372
【国際公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【出願人】(505036674)トータル・ラフィナージュ・マーケティング (39)
【Fターム(参考)】