説明

固形潤滑剤および固形潤滑剤封入転がり軸受

【課題】超高分子量ポリオレフィンの融解温度以上に加熱する時、軸受より漏れることのない、固形潤滑剤および固形潤滑剤封入軸受を提供する。
【解決手段】グリースと、平均分子量 1×106〜5×106 を有する超高分子量ポリオレフィン粉末と、固体ワックスとを含む混合物を、上記超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上の温度に加熱した後、冷却して固形化してなる固形潤滑剤であって、上記混合物は、上記グリース 60〜89 重量%と、上記超高分子量ポリオレフィン粉末 30〜10 重量%と、上記固体ワックス 10〜1 重量%とからなり、該固体ワックスは、固体ワックス中に、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 13 重量%以上含有する。転がり軸受1はこの固形潤滑剤5を封入してなる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、潤滑剤自体の流動性が潤滑の妨げとなるような条件下で使用される固形潤滑剤および該固形潤滑剤を封入した転がり軸受に関し、特に、撚線機、電動機器、印刷機または自動車部品等の各種軸受として利用される固形潤滑剤封入転がり軸受に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、グリースを用いて潤滑する転がり軸受には、軸受回転中のグリースの流動性に対応するため、シール部材等の密封装置を設けて密封しておく必要がある。したがって、密封装置を付け得ない幅寸法の小さな特殊軸受には、このグリース潤滑方式が採用できなかった。また、軸受自体が遠心運動する撚線機においては、軸受内のグリースが遠心力の作用によって飛散し、短期間に焼け付くので軸受の頻繁な取り換えを余儀なくされていた。
【0003】
そこで、本発明者等は上述の種々の問題点に対処するため、超高分子量のポリエチレンと、このポリエチレンの融点より高い滴点を有するグリースを配合した混合物を上記融点以上に加熱し、固形化した軸受用潤滑組成物を開発している(特許文献1および特許文献2参照)。
【0004】
しかしながら、潤滑性を向上せるために、潤滑剤成分であるグリースの比率を大きくした特許文献1および特許文献2では、パラフィン系鉱油を基油に用いたグリースと、固体ワックス、超高分子量ポリオレフィンを固体ワックスの融解温度( 110℃程度)に加熱混合した後室温に冷却した混合物(グリース状)の硬さが軟らかく、軸受に封入し超高分子量ポリオレフィンの融解温度に加熱した時、混合物が軸受より漏れるなどの問題がある。
【特許文献1】特公昭63−23239号公報
【特許文献2】特許第2912733号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような問題点に対処するためになされたものであり、軸受に封入し、超高分子量ポリオレフィンの融解温度以上に加熱しても、軸受より漏れることのない、固形潤滑剤および固形潤滑剤封入軸受を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の固形潤滑剤は、グリースと、平均分子量 1×106〜5×106 を有する超高分子量ポリオレフィン粉末と、固体ワックスとを含む混合物を、上記超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上の温度に加熱した後、冷却して固形化してなる固形潤滑剤であって、上記混合物は、上記グリース 60〜89 重量%と、上記超高分子量ポリオレフィン粉末 30〜10 重量%と、上記固体ワックス 10〜1 重量%とからなり、該固体ワックスは、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を合計 13 重量%以上含有することを特徴とする。また、ノルマルパラフィン成分は、直鎖炭素原子数分布における含有率の最頻値が直鎖炭素原子数 30〜33 の間のノルマルパラフィン成分にあることを特徴とする。
ここで、超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点とは、グリースや鉱油との混合物を昇温しながら撹拌した場合に混合物の粘度が急激に上昇する温度をいう。
【0007】
上記グリースは基油に増ちょう剤を配合してなり、基油は鉱油であることを特徴とする。また、上記鉱油はパラフィン系鉱油であることを特徴とする。
【0008】
上記混合物を、上記固体ワックスの融点以上の温度に加熱した後、20℃に冷却したときの該混合物の硬さが、100℃の不混和ちょう度で 410 以下であることを特徴とする。なお、不混和ちょう度は、JIS K 2220にて測定される不混和ちょう度である。
【0009】
本発明の固形潤滑剤封入転がり軸受は、内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体とを備え、この転動体の周囲に固形潤滑剤を封入してなる転がり軸受であって、この固形潤滑剤が、上記の固形潤滑剤であることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明の固形潤滑剤は、グリースと、平均分子量 1×106〜5×106 の超高分子量ポリオレフィン粉末と、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を合計 13 重量%以上含有する固体ワックスとを所定の割合で配合した混合物を、超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上の温度に加熱した後、冷却して固形化してなる固形潤滑剤であるので、上記混合物を固体ワックスの融点以上の温度に加熱した後、20℃まで冷却したときの混合物の硬さが、100℃の不混和ちょう度で 410 以下になり、軸受に封入した後、超高分子量ポリオレフィンの融解温度以上に加熱しても、軸受より漏れることがない。
【0011】
本発明の固形潤滑剤封入転がり軸受は、上記本発明の固形潤滑剤を封入してなるので、高温使用時において漏れがなく、潤滑性に優れ、撚線機、電動機器、印刷機、自動車部品、電装補機、建設機械等の各種産業用機械に用いられる転がり軸受として好適に利用できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に用いる固体ワックスは固形潤滑剤から油の滲み出しを抑制するための添加剤として、また熱処理を加えられたときに軸受からの固形潤滑剤の漏出を防止するための添加剤として使用される。
固体ワックスとしては、カルナバロウ、カンデリナロウ等の植物性ワックス、ミツロウ、虫白ロウ等の動物性ワックス、またはパラフィンロウなどの石油系ワックスが挙げられる。固体ワックスはこれを含む低分子ポリオレフィンなどの配合物であってもよい。
【0013】
本発明においては、これらの中で、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 13 重量%以上含有する固体ワックスを用いる。また、ノルマルパラフィン成分は、直鎖炭素原子数分布における含有率の最頻値が直鎖炭素原子数 30〜33 の間のノルマルパラフィン成分である。
直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分が 13 重量%未満の場合には、グリース、超高分子量ポリオレフィンと混合したものは固体ワックスの融点以上の温度に加熱した後、20℃まで冷却した時の硬さが、100℃の不混和ちょう度で 410 を超過する。
【0014】
本発明に使用できる固体ワックスにおけるノルマルパラフィン成分の含有率分布を図1に示す。図1において、縦軸はノルマルパラフィン成分の含有率を、横軸は炭素数をそれぞれ示し、分布曲線A、B、Cは、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 13 重量%以上含有する固体ワックスの例を、分布曲線Dは、同ノルマルパラフィン成分が 13 重量%未満の例をそれぞれ示す。
ノルマルパラフィン成分は、直鎖炭素原子数が 18〜60 の範囲にある。好適な固体ワックスは、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分の合計量を 13 重量%以上含有し、かつ含有率の最頻値が直鎖炭素原子数 30〜33 の間のノルマルパラフィン成分である。好ましくは直鎖炭素原子数 31 または 32 のノルマルパラフィン成分である。最も好ましくは直鎖炭素原子数 32 のノルマルパラフィン成分を含有率の最頻値とする固体ワックスである。
【0015】
好適な固体ワックスは、固体ワックス全体に対して、直鎖炭素原子数 18〜28 の間の各ノルマルパラフィン成分、および、直鎖炭素原子数 35 のノルマルパラフィン成分は、それぞれ 6 重量%以下であり、直鎖炭素原子数 29〜34 の間の各ノルマルパラフィン成分は、それぞれ 5〜8 重量%であり、直鎖炭素原子数 36〜60 のノルマルパラフィン各成分は、それぞれ 4 重量%以下である。また、ノルマルパラフィンの含有率の最頻値を頂点とする正規分布に類似の分布形状であることが好ましい。
好適な固体ワックスはイソパラフィンを含んでいてもよい。イソパラフィンは炭素原子数が 18〜60 の範囲にあることが好ましい。また、イソパラフィンの合計含有量は固体ワックス全量に対して、20 重量%以下であることが好ましい。
【0016】
固体ワックス中のノルマルパラフィン成分の含有率は、ガスクロマトグラフ計によって測定することができる。
上記ガスクロマトグラフ計としては、アジレント社製ガスクロマトグラフHP−6890等を使用できる。この場合の測定条件を以下に示す。
カラム:Rtx−1、0.1μm、内径 0.32 mm×長さ 15 m
オーブン:昇温速度 10℃/分にて 100〜350℃
検出方式:FID
キャリアガス:He
試料注入方法:試料 0.1 g をクロロホルム 10 ml に溶解し、マイクロシリンジにて注入する。
【0017】
本発明に用いる、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 13 重量%以上含有する固体ワックスは、固形潤滑剤に占める割合で 1〜10 重量%配合することが好ましい。1 重量%未満では固形潤滑剤から滲出する油の離油率が高くなり過ぎ、10 重量%をこえると油分離が少なくなり過ぎる。
【0018】
本発明に用いる超高分子量ポリオレフィン粉末は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテンもしくはこれらの共重合体からなる粉末またはそれぞれ単独の粉末を配合した混合粉末であればよく、各粉末の、粘度法により測定される平均分子量は、1×106〜5×106 である。このような分子量の範囲にあるポリオレフィンは、剛性および保油性において低分子量のポリオレフィンより優れ、高温に加熱してもほとんど流動することがない。
【0019】
本発明の固形潤滑剤中に占める超高分子量ポリオレフィン粉末の配合割合は 10〜30 重量%であることが好ましい。10 重量%未満では固形潤滑剤の剛性を確保することが困難であり、30 重量%をこえると固形潤滑剤の潤滑性を向上させることが困難である。
【0020】
本発明に用いるグリースは、特に限定されるものでなく、基油に増ちょう剤を配合したものであり、基油としては、鉱油、合成炭化水素油、ジエステル油、ポリオールエステル油、アルキルジフェニルエーテル油、シリコーン油、フッ素油等を挙げることができる。これらの中で超高分子量ポリオレフィンによる固形化が良い鉱油を用いることが好ましく、鉱油の中でも固体ワックスとの相溶性の良いパラフィン系鉱油を用いることがさらに好ましい。
また増ちょう剤としてはリチウム石けん、ナトリウム石けん、アルミニウム石けん、カルシウム石けん、バリウム石けん等、またはこれら石けんの複合石けんおよび混合石けんであり、非石けんとしてはウレア、ナトリウムテレフタラメート、ポリテトラフルオロエチレン、ベントナイト、シリカゲル等、特に制限なく使用できる。
【0021】
本発明の固形潤滑剤中に占めるグリースの配合割合は 60〜89 重量%であることが好ましい。60 重量%未満では潤滑性が劣り、89 重量%をこえると固体潤滑剤の剛性が劣ることになる。
以上の固体ワックス、超高分子量ポリオレフィン粉末およびグリースの配合量は、固形潤滑剤に必要とされる離油度、粘り強さおよび硬さに依存する。したがって、超高分子量ポリオレフィン粉末の量が多いほど、所定温度で分散保持させた後のゲルの硬さが大きくなる。また高含油率を維持しつつ、剛性を大きくするために、各種有機あるいは無機充填材を配合することができる。
【0022】
本発明の固形潤滑剤は、所定量のグリースと、所定量の超高分子量ポリオレフィン粉末を均一に混合し、所定形状の型に封入し、超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上の温度に加熱し、その後冷却して固形化し、油性面すなわち油が滲み出る面を有する固形潤滑剤とする。なお、上記ゲル化点以上で、かつ、グリースの滴点以下に加熱することが好ましい。
本発明に係る超高分子量ポリオレフィン粉末の融点は、平均分子量に対応して変化するため一定ではないが、例えば粘度法による平均分子量が 2×106 のものの融点は 略 136℃である。同平均分子量 の市販品としては、ミペロンXM−220(三井化学社製)などがある。
したがって、グリースに、超高分子量ポリオレフィン粉末を分散保持させるには、両者を混合した後、超高分子量ポリオレフィン粉末がゲル化を起こす温度以上で、かつ、グリースの滴点未満の温度、例えば 150〜200 ℃で加熱することが好ましい。これにより固形状の固形潤滑剤を得ることができる。
【0023】
本発明の固形潤滑剤封入転がり軸受の一例を図2および図3に示す。図2は固形潤滑剤をスポットパック状に封入する転がり軸受の断面図を、図3は固形潤滑剤をフルパック状に封入する転がり軸受の断面図をそれぞれ示す。
本発明の固形潤滑剤封入転がり軸受1は、内輪2および外輪3と、この内輪2および外輪3との間に介在する転動体4とを備え、この転動体4の周囲に固形潤滑剤5を封入することで得られる。
固形潤滑剤5の封入方法の一例として、以下の方法が挙げられる。所定量のグリースと、所定量の超高分子量ポリオレフィン粉末を均一に混合した後、90〜120℃に加熱することで半固形状態とする。次いで、該状態を維持したまま、軸受1内に封入する。その封入の方法は、図2(a)および図2(b)に示されるように、内輪2と外輪3の間で二枚の帯板からなる保持器6がリベット7によって重ねて固定されている部分に、いわゆるスポットパック状に封入するものや、図3(a)および図3(b)に示されるように、内輪2と外輪3の間全体に、いわゆるフルパック状に充填するものが挙げられる。上記のように封入された状態で、軸受全体を超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上、かつ、グリースの滴点以下の温度に加熱し、その後冷却して固形化することにより、上記半固体状物が固形化して固形潤滑剤となり、固形潤滑剤封入転がり軸受1が製造される。
【0024】
本発明の固形潤滑剤は、超高分子量ポリオレフィンの融解温度以上に加熱しても、軸受より漏れることがないので固形潤滑剤封入軸受の寿命を向上させることができる。このため、玉軸受、円筒ころ軸受、円すいころ軸受、自動調心ころ軸受、針状ころ軸受、スラスト円筒ころ軸受、スラスト円すいころ軸受、スラスト針状ころ軸受、スラスト自動調心ころ軸受等に封入する固形潤滑剤として使用できる。
【実施例】
【0025】
実施例1
表1に示す割合でリチウム石けん−パラフィン鉱油系グリースと、超高分子量ポリオレフィン粉末と、固体ワックスA(直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 14.3 重量%含有)とからなる混合物を真空脱泡ミキサー(愛工舎製作所製:AGM−30X10LVTH)に投入し、固体ワックスの融解温度(110℃程度)に加熱混合した後、室温(20℃)に冷却して、グリース状である混合物を得た。この混合物の 100℃における不混和ちょう度を測定した。結果を表1に示す。なお、各実施例および比較例に用いた固体ワックスA〜Dのノルマルパラフィン成分の分布は図1に例示した分布曲線A〜Dに対応する。
さらに、この混合物を軸受6204に封入し、この軸受を 160℃で 30 分間加熱した時の固形潤滑剤の漏れ状態を観察した結果を表1に併記する。
また、この混合物をφ10×8 mm の金型に入れ、160℃で 30 分間加熱した後、冷却して固形化し、固形潤滑剤とした。得られた固形潤滑剤の硬さをJIS K6253に基づきデュロメータA硬さで測定した。結果を表1に併記する。
【0026】
実施例2
実施例1の固体ワックスAの代わりに固体ワックスB(直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 20.1 重量%含有)を用いたこと以外は実施例1と同様の処理および測定を行なった。結果を表1に併記する。
【0027】
実施例3
実施例1の固体ワックスAの代わりに固体ワックスC(直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 44.8 重量%含有)を用いたこと以外は実施例1と同様の処理および測定を行なった。結果を表1に併記する。
【0028】
比較例1
実施例1の固体ワックスAの代わりに固体ワックスD(直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を 12.5 重量%含有)を用いたこと以外は実施例1と同様の処理および測定を行なった。結果を表1に併記する。
【0029】
【表1】

【0030】
表1に示すように、各実施例において撹拌混合後、室温(20℃)に冷却した混合物は 100℃の不混和ちょう度が 410以下になり、この混合物を軸受に封入して得た固形潤滑剤封入軸受は、160℃で 30 分間加熱しても漏れが発生しなかった。
【産業上の利用可能性】
【0031】
本発明の固形潤滑剤封入転がり軸受は、上記本発明の固形潤滑剤を封入してなるので、潤滑性に優れ、撚線機、電動機器、印刷機、自動車部品、電装補機、建設機械等の各種産業用機械の軸受に用いられる固形潤滑剤として好適に利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【図1】固体ワックスにおけるノルマルパラフィン成分の含有率分布図である。
【図2】本発明に一実施例に係る固形潤滑剤封入転がり軸受の断面図である。
【図3】本発明の他の実施例に係る固形潤滑剤封入転がり軸受の断面図である。
【符号の説明】
【0033】
1 固形潤滑剤封入転がり軸受
2 内輪
3 外輪
4 転動体
5 固形潤滑剤
6 保持器
7 リベット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
グリースと、平均分子量 1×106〜5×106 を有する超高分子量ポリオレフィン粉末と、固体ワックスとを含む混合物を、前記超高分子量ポリオレフィン粉末のゲル化点以上の温度に加熱した後、冷却して固形化してなる固形潤滑剤であって、
前記混合物は、前記グリース 60〜89 重量%と、前記超高分子量ポリオレフィン粉末 30〜10 重量%と、前記固体ワックス 10〜1 重量%とからなり、
該固体ワックスは、直鎖炭素原子数 36 以上のノルマルパラフィン成分を、固体ワックス全体に対して、合計 13 重量%以上含有することを特徴とする固形潤滑剤。
【請求項2】
前記固体ワックスに含まれるノルマルパラフィン成分は、直鎖炭素原子数分布における含有率の最頻値が直鎖炭素原子数 30〜33 の間にあることを特徴とする請求項1記載の固形潤滑剤。
【請求項3】
前記グリースは基油に増ちょう剤を配合してなり、前記基油は鉱油であることを特徴とする請求項1または請求項2記載の固形潤滑剤。
【請求項4】
前記鉱油はパラフィン系鉱油であることを特徴とする請求項3記載の固形潤滑剤。
【請求項5】
前記混合物を、前記固体ワックスの融点以上の温度に加熱した後、20℃に冷却したときの該混合物の硬さが、100℃の不混和ちょう度で 410 以下であることを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれか一項記載の固形潤滑剤。
【請求項6】
内輪および外輪と、この内輪および外輪間に介在する転動体とを備え、この転動体の周囲に固形潤滑剤を封入してなる転がり軸受であって、
前記固形潤滑剤が、請求項1ないし請求項5のいずれか一項記載の固形潤滑剤であることを特徴とする固形潤滑剤封入転がり軸受。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−314729(P2007−314729A)
【公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−148646(P2006−148646)
【出願日】平成18年5月29日(2006.5.29)
【出願人】(000102692)NTN株式会社 (9,006)
【Fターム(参考)】