圧力感知弁付キャップ

【課題】前処理時の液の侵入や、乾燥炉内に於けるキャップの飛び、脱落がなくしてその寿命を大幅に上げ、また、取付け、取外し作業が容易にして作業能率を向上することが出来る圧力感知弁付きキャップの提供。
【解決手段】管状ワーク9の挿入部14である、中空内側にリング凸部3を設けた、管状一次キャップ本体1に、スリッド4で穿通した、装着ツバ2をこれに一体に設ける、さらに蓋状二次キャップ本体5の一次キャップ本体差込側10に一体に、内接掛止部6を設け、また背中側11に一体に、通気孔7とリップ盤8を設け、さらにこの、リップ盤8の内側12にリップ状圧力感知弁13を設け、つぎにこのようにして、全体が一体に形成された、管状一次キャップ本体1と蓋状二次キャップ本体5を被せて密接させ、組合わせて構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電着塗装およびメッキ等の表面処理分野に於ける、パイプ製品の管内部への塗料、薬剤等の侵入を阻止するゴムキャップに付加した技術に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、電着塗装およびメッキの表面処理でのパイプ製品にはゴムキャップ等をしていた。その使用目的は、パイプ類の内部に前処理液が入らないようにする。または、塗料およびメッキ液等の処理薬剤が入らないようにする。さらに、ゴミや埃等が入らないようにする事である。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、従来のゴムキャップは水きり乾燥炉や焼付け乾燥炉に入ると、内圧増圧でゴムキャップが炉内で飛んでしまう。このため作業終了時に、乾燥炉内のゴムキャップを回収しなければならない、何千個何万個となれば、ことのほか大変な回収作業になる。また作業終了しないと回収することが出来ないので、長時間炉内で高温にさらされる事から、ゴム劣化を招き、ゴムキャップの寿命が大幅に短命となる。それで対策としてゴムキャップが、この炉内で飛ばされないように、装着径をきつめに設計される為に、外す際に取れにくく作業性は極めて悪く、最悪の能率悪化を招いている。また、このようにゴムキャップをきつく対応したとしても管状ワーク(9)つまり被塗装物のパイプによっては、容易に飛んでしまう。
本発明は、このような問題を改善する為に、なされたものである。
【課題を解決するための手段】
【0004】
これらの課題を解決する手段として、まず請求項1の記載による発明は、被塗装物であるパイプ等の管状ワーク(9)の挿入部(14)である、管状一次キャップ本体(1)の中空内側に、リング凸部(3)を設ける。さらに管状一次キャップ本体(1)の頭部に、スリッド(4)で穿通した装着ツバ(2)を一体に設ける。これら全体は成型加工にて形成する。一方これに、装着する、蓋状二次キャップ本体(5)の一次キャップ本体差込側(10)に一体に内接掛止部(6)を設ける。また背中側(11)に通気孔(7)およびリップ盤(8)を一体に設ける。このリップ盤(8)は通気孔(7)を数個、円周に沿うた形に並べる事で形成される。さらにこのリップ盤(8)の内側(12)に、管状一次キャップ本体(1)の装着ツバ(2)に内接および密接する、輪状の突起として形成した、リップ状圧力感知弁(13)を一体に設ける。
これらも全体を一体に設けるので、成型加工にて形成される。このようにして、別々に成型加工により形成された、管状一次キャップ本体(1)と蓋状二次キャップ本体(5)を、内接掛止部(6)と装着ツバ(2)で被せて密接し、組合わせて完成する。
【0005】
次に、請求項2の記載による発明は、管状一次キャップ本体(1)を管状ワーク(9)に挿入するタイプであり、栓形状に形成されている特徴を持ち、このタイプをインナーキャップ型と呼び、また請求項1のタイプはアウターキャップ型と呼び、インナーキャップ型は大きいサイズのパイプ製品に有効である。
【0006】
本発明には、請求項3に列挙した原材料で成型するのがベストである。
【発明の効果】
【0007】
前処理時の液の侵入や、乾燥炉内に於けるキャップの飛び、脱落が無くなったのでその寿命が大幅に上がった。また、取付け、取外し作業が容易になったので作業能率が向上し作業終了時の炉内のキャップ回収作業も無くなったことで、大幅に作業効率がアップした。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
本発明は電着塗装およびメッキを行うパイプ製品等の、表面のマスキングやパイプ内部への処理液、ゴミ、埃の侵入を防ぐために使用される、ゴムキャップに関する技術である。従来品は装着していても乾燥炉に入ると、パイプ内部の空気圧等が温度上昇と共に高まり、炉内で吹き飛ぶ現象が繰り返されていた。つまり従来のゴムキャップをパイプ製品である、管状ワーク(9)に挿入して使用しているが完全密閉状態で装着されることが原因であった。
【0009】
一部にスリッド(4)を穿通して、上昇する内圧をここから逃がすことにした。しかしながら、水洗処理工程等もあるので、この時は逆に冷やされて、内部の空気圧等は負圧になり外気と共に、液体、ゴミ、埃等も吸引されて、このスリッド(4)から管状ワーク(9)に侵入してしまうことになった。この現象を解消するために、二次キャップを組合わせることに至るのである。本発明の、処理工程を説明すると、管状ワーク(9)にキャップ付け→吊枠付け→脱脂→水洗→表面調整→化成皮膜→水洗→電着塗装→水洗→純水洗→焼付乾燥→常冷→キャップ取外し、このような、一連の処理工程からなる。
【0010】
いろいろ検証実験の結果、一次キャップに二次キャップを組付ける方法が、ベストモードであった。請求項1記載によれば、図1のごとく、リング凸部(3)を設けた、管状一次キャップ本体(1)にスリッド(4)で穿通した、装着ツバ(2)を設ける。これらは成型技術により一体に形成する。次に蓋状二次キャップ本体(5)のスカート部分、つまり一次キャップ本体差込側(10)に内接掛止部(6)を一体に設ける。また背中側(11)には通気孔(7)およびリップ盤(8)を一体に設ける。この、リップ盤(8)は通気孔(7)を数個、円周に沿うた形に並べて刳り貫くだけで自然に形成される。さらにこのリップ盤(8)の内側(12)に、本発明の要のノウハウである、輪状の突起として形成した、リップ状圧力感知弁(13)をやはり一体に設ける。このように蓋状二次キャップ本体(5)全体も成型技術により一体に形成する。このようにして別々に形成した、管状一次キャップ本体(1)の装着ツバ(2)の部分に、蓋状二次キャップ本体(5)の内接掛止部(6)で被せて密接させて、組み付け装着する。また請求項2記載によれば、図5のごとく管状一次キャップ本体(1)を管状ワーク(9)に挿入する方式で、栓形状に形成されている。蓋状二次キャップ本体(5)は請求項1記載のごとく、同じく組みつけて装着する。
【0011】
本発明は以上のような構成であり、パイプ製品つまり管状ワーク(9)に装着したこのキャップの、各工程に関わるメカニズムや作用を次に述べる。
まず、管状ワーク(9)に本発明のキャップを取付ける。次に、ラインの吊枠に引掛ける。次に脱脂槽に入り、液温40℃〜50℃に浸かり、ここで管状ワーク(9)の内部の空気は膨張するため高圧力の陽圧となり、管状一次キャップ本体(1)の内部に陽圧空気が流れる、この陽圧空気はスリッド(4)より抜けて蓋状二次キャップ本体(5)の、リップ盤(8)に陽圧が掛かり、リップ状圧力感知弁(13)を押し上げて、通気孔(7)を抜けて外に放出され、この陽圧現象により脱脂液の侵入も、阻止される。
また焼付乾燥炉では230℃にもなるので、この圧力の高さはより厳しい状況にある。
【0012】
またこの仕組みで、キャップ内部は減圧されて管状ワーク(9)より飛び外れることもなくなった。次に脱脂槽から出てきた、管状ワーク(9)の温度は、脱脂液温度の影響で40℃以上となっている。これが次に、この温度を保ったまま水洗槽に搬入されて、水温16℃〜22℃に浸かるため、今度は管状ワーク(9)の内部空気は、一気に冷やされて負圧となり、管状一次キャップ本体(1)のスリッド(4)を通して空気等を吸引する現象を起こす。この負圧力により、空気および水洗水が押力となり、スリッド(4)の負圧力がリップ盤(8)を強く吸い込み、引いて沈み込ませるので、図4のごとくリップ状圧力感知弁(13)が管状一次キャップ本体(1)に強く密着して閉じるため、水洗水等の侵入を阻止する。このように温度上昇や冷却が各工程を通過するごとに、何回か繰り返される苛酷な環境に於いても、キャップの吹き飛びや脱落が完全に無くなった。とくに水洗槽から焼付乾燥炉に入る工程は乾燥炉内は180℃〜230℃に設定されているので最も苛酷な状況であるが、完全に解消された。以下、従来品のアウターキャップ、インナーキャップと、本発明品のアウターキャップ、インナーキャップの性能比較検証結果を表1に示す。また、テスト状況は図7、図8、図9、図10の状態のパイプワーク300本にシリコンゴムキャップをパイプに装着して行った。但.ワーク両端の片側には従来キャップを装着して行う。
【0013】
【表1】

また、テスト時の前処理およびカチオン電着塗装条件は表2に示す。
【0014】
【表2】

【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】 本発明の断面図である。
【図2】 本発明の平面図である。
【図3】 本発明の陽圧状態の説明図である。
【図4】 本発明の負圧状態の説明図である。
【図5】 本発明のインナーキャップ型の断面図である。
【図6】 本発明のキャップ組付図である。
【図7】 従来のインナーキャップ型のテスト説明図である。
【図8】 従来のアウターキャップ型のテスト説明図である。
【図9】 本発明のインナーキャップ型のテスト説明図である。
【図10】 本発明のアウターキャップ型のテスト説明図である。
【符号の説明】
【0016】
1 管状一次キャップ本体
2 装着ツバ
3 リング凸部
4 スリッド
5 蓋状二次キャップ本体
6 内接掛止部
7 通気孔
8 リップ盤
9 管状ワーク
10 一次キャップ本体差込側
11 背中側
12 内側
13 リップ状圧力感知弁
14 挿入部
15 負圧力
16 陽圧力

【特許請求の範囲】
【請求項1】
管状ワーク(9)の挿入部(14)である、中空内側にリング凸部(3)を設けた、管状一次キャップ本体(1)に、スリッド(4)で穿通した、装着ツバ(2)をこれに一体に設ける、さらに蓋状二次キャップ本体(5)の一次キャップ本体差込側(10)に一体に、内接掛止部(6)を設け、また背中側(11)に一体に、通気孔(7)とリップ盤(8)を設け、さらにこの、リップ盤(8)の内側(12)にリップ状圧力感知弁(13)を設け、つぎにこのようにして、全体が一体に形成された、管状一次キャップ本体(1)と蓋状二次キャップ本体(5)を被せて密接させ、組合わせて構成されたことを特徴とする、圧力感知弁付キャップ。
【請求項2】
管状一次キャップ本体(1)が管状ワーク(9)に挿入する、栓形状に形成されたことを特徴とする、請求項1に記載の圧力感知弁付キャップ。
【請求項3】
原材料が、天然ゴム、スチレンブタジェンゴム、ブタジェンゴム、クロロプレンゴム、エチレンプロピレンゴム、クロロスルフォン化ポリエチレンゴムシリコーンゴム、ウレタンゴム、フッ素ゴム、ブチルゴム、ニトリルゴム等で形成された請求項1、請求項2に記載の、圧力感知弁付キャップ。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2006−334580(P2006−334580A)
【公開日】平成18年12月14日(2006.12.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−187318(P2005−187318)
【出願日】平成17年5月31日(2005.5.31)
【出願人】(501146823)有限会社蓮沼塗装工業所 (2)
【Fターム(参考)】