説明

圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械

【課題】電動用デバイスを備えない建設機械に適用可能であって、複数の方向切替弁の全てが中立の位置にあるとき、油圧ポンプから吐出されセンターバイパス回路を介しタンクに捨てられる最小流量分の圧油のエネルギを回収し、回収した圧油のエネルギを回生使用できる圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械を提供する。
【解決手段】油圧ポンプによって発生した圧油のエネルギを回収する圧油エネルギ回収装置であって、センターバイパス回路における複数の方向切替弁の下流の管路に接続される蓄圧器と、蓄圧器の圧力を検出する圧力検出手段と、センターバイパス回路の圧油の流出先を前記蓄圧器あるいは前記タンクに切り替える蓄圧切替手段とを備え、蓄圧切替手段は、圧力検出手段により検出した蓄圧器の圧力が予め設定した設定値を超えないときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記蓄圧器側へ流出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、油圧ショベル等の油圧システムに設けられる圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、油圧ショベルは、フロント作業機であるブーム、アーム、及びバケットのそれぞれを駆動する油圧シリンダと、旋回体や走行体のそれぞれを駆動する油圧モータ等からなる複数の油圧アクチュエータを有していて、これらの油圧アクチュエータを適宜操作することにより、土砂の掘削、移動等の作業を行うものである。
【0003】
このような油圧ショベルにおいて、油圧ポンプと、油圧ポンプから吐出される圧油により駆動される複数の油圧アクチュエータと、複数の油圧アクチュエータの作動方向及び作動速度を供給する圧油の切替によりそれぞれ制御する複数の方向切替弁と、この複数の方向切替弁を通ってタンクに連通するセンターバイパス回路とを備えた油圧システムを用いたものがある。
【0004】
複数の方向切替弁のすべてが中立の位置にあるとき、油圧ポンプから吐出されセンターバイパス回路を介しタンクに捨てられる圧油のエネルギを回収し、有効利用できる圧油のエネルギ回収装置として、複数の方向切替弁の下流に位置するセンターバイパス回路に、センターバイパス回路を通ってタンクに流出する圧油のエネルギを電気エネルギに変換する装置を配置したものがある(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−049810号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した従来技術において、センターバイパス回路における方向切替弁を通過して出てきた圧油は余剰油なので、この圧油のエネルギにより発電した電気エネルギを回収することは、エネルギの有効活用が図れ、システムの効率を向上させる。
【0007】
このように、上述した従来技術は、システムの効率を向上させることはできるが、電気エネルギを利用する構成要素として、発電機、インバータ、バッテリなどの高価な電動デバイスを必要とする為、装置全体としてコスト高になってしまうという問題があった。また、回収した多大な電気エネルギを有効利用するには、エンジンのトルクをアシストする電動モータや、旋回用油圧モータに代わる旋回用電動モータ等の電動装置が必要となり、このため、これらを有するハイブリッド式建設機械等でなければ適用できないという問題があった。
【0008】
本発明は、上述の事柄に基づいてなされたもので、その目的は、高価な電動モータやインバータやバッテリ等の電動用デバイスを備えていない建設機械に適用可能であって、複数の方向切替弁のすべてが中立の位置にあるとき、油圧ポンプから吐出されセンターバイパス回路を介しタンクに捨てられる最小流量分の圧油のエネルギを回収し、回収した圧油のエネルギを回生使用できる圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の目的を達成するために、第1の発明は、油圧ポンプと、前記油圧ポンプにより駆動される複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから吐出される圧油の流量及び方向を制御する複数の方向切替弁と、前記複数の方向切替弁を通ってタンクに連通するセンターバイパス回路とを有する油圧装置の、前記油圧ポンプによって発生した圧油のエネルギを回収する圧油エネルギ回収装置であって、前記センターバイパス回路における前記複数の方向切替弁の下流の管路に接続される蓄圧器と、前記蓄圧器の圧力を検出する圧力検出手段と、前記センターバイパス回路の圧油の流出先を前記蓄圧器あるいは前記タンクに切り替える蓄圧切替手段とを備え、前記蓄圧切替手段は、前記圧力検出手段により検出した前記蓄圧器の圧力が予め設定した設定値を超えないときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記蓄圧器側へ流出させ、前記圧力検出手段により検出した前記蓄圧器の圧力が予め設定した設定値を超えるときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記タンク側へ流出させるものとする。
【0010】
また、第2の発明は、第1の発明において、前記油圧ポンプと前記複数の方向切替弁とを接続する吐出回路と、前記吐出回路と前記蓄圧器との連通/遮断を制御する回生手段と、前記複数の油圧アクチュエータを駆動するために前記複数の方向切替弁を制御する各々の操作指令入力手段とを更に備え、前記回生手段は、前記操作入力手段の入力値に基づいて前記吐出回路と前記蓄圧器とを連通状態に制御することを特徴とする。
【0011】
更に、第3の発明は、第2の発明において、前記油圧ポンプは可変容量機構を備えた可変容量型の油圧ポンプであって、前記可変容量機構に指令を出力するトルク指令手段を更に備え、前記トルク指令手段は、前記回生手段が前記吐出回路と前記蓄圧器とを連通状態に制御するときに、減トルク指令を出力することを特徴とする。
【0012】
また、第4の発明は、第1乃至第3の発明のいずれかにおいて、前記油圧ポンプを駆動する原動機と、前記原動機の起動/停止を検出する状態検出手段とを更に備え、前記蓄圧切替手段は、前記状態検出手段が前記原動機の停止を検出しているときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記タンク側へ流出させることを特徴とする。
【0013】
更に、第5の発明は、第1乃至第4の発明のいずれかにおいて、前記センターバイパス回路と前記蓄圧器とを接続する管路の蓄圧器側に配置された第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプと駆動軸で連結され前記管路のセンターバイパス回路側に配置された油圧モータとからなる動力変換装置を更に備え、前記第2油圧ポンプは可変容量機構を備えた可変容量型の油圧ポンプであることを特徴とする。
【0014】
また、第6の発明は、建設機械であって、第1乃至第5の発明のいずれかを備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、複数の方向切替弁のすべてが中立の位置にあるとき、油圧ポンプから吐出されセンターバイパス回路を介しタンクに捨てられる最小流量分の圧油も全て回収するアキュムレータを設けたので、電動用デバイスを備えていない建設機械に適用可能であって、油圧システムを低コストで製作することができる。また、圧油のエネルギを電気エネルギに変換することなく、そのままアキュムレータに蓄え、アキュムレータに蓄えた圧油のエネルギをメイン回路に回生することができるので、電気エネルギへの変換ロスが無く、エネルギ消費効率が向上し、建設機械の大幅な燃費の向上が図れる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態の構成を示す回路図である。
【図2】図1に示す本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態における方向切替弁を拡大して示すシンボル図である。
【図3】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態の構成を示す回路図である。
【図4】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における油圧ポンプと回生弁の制御フローを示すフローチャート図である。
【図5】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態におけるポンプ容量指令の特性を示す特性図である。
【図6】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における減トルク制御を説明する特性図である。
【図7】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における減トルク指令の特性を示す特性図である。
【図8】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態の構成を示す回路図である。
【図9】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態における蓄圧電磁弁の制御フローを示すフローチャート図である。
【図10】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態の構成を示す回路図である。
【図11】本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態における圧力変換装置の制御フローを示すフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の実施の形態を図面を用いて説明する。
【実施例1】
【0018】
図1は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態の構成を示す回路図、図2は図1に示す本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態における方向切替弁を拡大して示すシンボル図である。第1の実施の形態において、本発明の圧油エネルギ回収装置は油圧ショベルに適用したものである。図1において、1は動力源であるエンジン、2はエンジン1に駆動される可変容量型の油圧ポンプを示す。この油圧ポンプ2は可変容量機構として例えば斜板を有していて、この斜板の傾転角を容量制御装置2aで調整することにより油圧ポンプ2の容量(押しのけ容積)を変化させ、圧油の吐出流量を制御している。
【0019】
油圧ポンプ2から吐出される圧油を旋回モータ3、アームシリンダ4、ブームシリンダ5の各アクチュエータへ供給する主回路Lpには、主回路Lp内の圧油の圧力を制限するリリーフ弁16と圧油の方向と流量を制御する方向切替弁6〜8とが設けられている。リリーフ弁16は、油圧配管内の圧力が設定圧力以上に上昇した場合に、主回路Lpの圧油を戻り回路Ltを介してタンク12へ逃がすものである。方向切替弁6〜8の下流側にはセンターバイパス回路Lcが設けられている。
【0020】
方向切替弁6〜8は、3位置6ポートの切替弁であって、その両パイロット操作部へ供給されるパイロット圧力により、各スプール位置を切り替えて、油圧ポンプ2からの圧油を各アクチュエータ3〜5に供給し駆動している。ここで、旋回用方向切替弁6は旋回モータ3に、アーム用方向切替弁7はアームシリンダ4に、ブーム用方向切替弁8はブームシリンダ5に、それぞれ対応している。また、各方向切替弁6〜8は、図2に示すように、油圧ポンプ2からの圧油が供給される入口ポート6a,7a,8aと、タンク12に連通する戻り回路Ltに接続される出口ポート6b,7b,8bと、中立位置のときに連通するセンターポート6c,7c,8cと、各アクチュエータ3〜5側に接続する接続ポート6d,6e,7d,7e,8d,8eと、パイロット操作部6f,6g,7f,7g,8f,8gと、中立復帰用のばね6h,6i,7h,7i,8h,8iとを有している。
【0021】
方向切替弁6〜8のパイロット操作部6f,6g,7f,7g,8f,8gへのパイロット圧力がゼロのときには、これら方向切替弁6〜8のスプールは中立位置に配置される。このことにより、各方向切替弁6〜8においてセンターポート6c,7c,8cが連通するので、油圧ポンプ2から供給される圧油は、主回路Lpと各方向切替弁6〜8とを直列に介してセンターバイパス回路Lcへ供給される。
【0022】
また、主回路Lpは、旋回用方向切替弁6のセンターポート6cの他に、入口ポート6aにアクチュエータである旋回モータ3側からの圧油の流出を防止するロードチェック弁9を介して接続されている。さらに、主回路Lpは、アーム用方向切替弁7の入口ポート7aとブーム用方向切替弁8の入口ポート8aとにアクチュエータであるアームシリンダ4側とブームシリンダ5側からの圧油の流出を防止するロードチェック弁10,11とを介してそれぞれ接続されている。
【0023】
センターバイパス回路Lcの一端側は、方向切替弁6〜8の下流側に接続されていて、センターバイパス回路Lcの他端側は、方向切替弁6〜8側からの圧油の流入のみを許可するチェック弁17を介してアキュムレータ18に接続されている。チェック弁17とアキュムレータ18とは蓄圧回路Laにより接続されている。また、センターバイパス回路Lcは、2位置2ポートの切替弁である蓄圧切替弁19を介してタンク12へ連通する戻り回路Ltと接続されている。
【0024】
蓄圧切替弁19は、一端側にばね19bを有し、蓄圧回路Laの圧力を指令圧とするように操作部19aに蓄圧回路Laからの管路を接続して構成されている。指令圧である蓄圧回路Laの圧力がばね19bの所定のばね圧(予め設定された圧力)より低い場合には、ポートは遮断され、センターバイパス回路Lcと戻り回路Ltとは連通しない。一方、指令圧が予め設定された圧力を超えるとポートが連通し、センターバイパス回路Lcから戻り回路Ltへ圧油が流入する。
【0025】
蓄圧回路Laに一端側を接続した管路の他端側に2位置2ポートの切替弁である回生弁20が接続され、この回生弁20と直列に蓄圧回路La側からの圧油の流入のみを許可する回生チェック弁21の一端側が接続されている。この回生チェック弁21の他端側は、主回路Lpと接続されている。
【0026】
回生弁20は、一端側にばね20bを有し、後述する操作レバーの最高圧力を指令圧とするように操作部20aに後述するシャトル回路からの管路を接続して構成されている。指令圧である操作レバーの最高圧力がばね20bの所定のばね圧(予め設定された圧力)より低い場合には、ポートは遮断され、蓄圧回路Laと主回路Lpとは連通しない。一方、指令圧が予め設定された圧力を超えるとポートが連通し、蓄圧回路Laから主回路Lpへ圧油が流入する。
【0027】
各アクチュエータ3〜5への指令入力手段である操作レバーは、旋回レバー13、アームレバー14、及びブームレバー15で構成されている。各操作レバーは図示しないパイロット弁を有していて、各々が操作量にほぼ比例したパイロット圧力を発生する。旋回レバー13のパイロット圧力は、旋回用方向切替弁6の両操作部6f,6gに接続されたパイロット回路13a又は13bに発生し、アームレバー14のパイロット圧力は、アーム用方向切替弁7の操作部7f,7gに接続されたパイロット回路14a又は14bに発生する。同様に、ブームレバー15のパイロット圧力は、ブーム用方向切替弁8の操作部8f,8gに接続されたパイロット回路15a又は15bに発生する。
【0028】
旋回レバー13のパイロット回路13aと13bとには、これらのパイロット圧力を検出する管路の一端側がそれぞれ接続され、管路の他端側が高値を選択するシャトル弁22に接続されている。アームレバー14のパイロット回路14aと14bとには、これらのパイロット圧力を検出する管路の一端側がそれぞれ接続され、管路の他端側が高値を選択するシャトル弁23に接続されている。同様に、ブームレバー15のパイロット回路15aと15bとには、これらのパイロット圧力を検出する管路の一端側がそれぞれ接続され、管路の他端側が高値を選択するシャトル弁24に接続されている。
【0029】
シャトル弁22とシャトル弁23とで選択された値の高値を選択可能とするようにシャトル弁25の検出管路を配置し、シャトル弁25とシャトル弁24とで選択された値の高値を選択可能とするようにシャトル弁26の検出管路を配置している。このように配置することで、全ての操作レバーの最高値を選択できるシャトル回路が構成されている。この最高圧は油圧ポンプ2の吐出容量を制御する容量制御装置2aへ導かれ、ポンプ容量を制御すると共に回生弁20の指令圧としても導かれている。
【0030】
次に、本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態における動作について説明する。
図1において、全ての操作レバー13〜15の操作量がゼロのときについて説明する。油圧ポンプ2から主回路Lpへ吐出される圧油は、方向切替弁6〜8のセンターポート6c〜8cを介して、全流量がセンターバイパス回路Lcへ供給される。この時、シャトル回路からの指令圧を受けて容量制御装置2aは、油圧ポンプ2の容量を最小としている。
【0031】
この状態において、蓄圧回路Laの圧力が蓄圧切替弁19のセット圧よりも低い場合は、蓄圧切替弁19は遮断状態なので、主回路Lpからセンターバイパス回路Lcに導かれた圧油は、チェック弁17を経て蓄圧回路Laに導かれる。また、操作レバー13〜15の入力ゼロなので、回生弁20は遮断状態となる。このことにより、圧油が流入するにつれて、蓄圧回路Laの圧力が上昇を開始し、やがて、蓄圧切替弁19のセット圧を超えると、蓄圧切替弁19が連通状態に切り替わる。これにより、センターバイパス回路Lcの圧油は、蓄圧切替弁19を通って戻り回路Ltを経由してタンク12へ流入する。この結果、油圧ポンプ2の圧力が低下し、無駄なエネルギの消費を防いでいる。蓄圧切替弁19のセット圧力は、例えば、少なくとも1つのアクチュエータを単独で駆動し得る圧力が好ましい。
【0032】
通常、油圧ポンプ2は、操作レバー13〜15の入力が無くてもゼロではない最小流量の圧油を吐出している。よって、操作レバー13〜15の入力が無くても最小流量分の圧油がセンターバイパス回路Lcへ導かれるので、無駄なくアキュムレータ18へ圧油を蓄圧することが出来る。
【0033】
次に、操作レバーの1つである旋回レバー13が入力された場合について説明する。旋回レバー13が操作されると、旋回用方向切替弁6が切り替わり、主回路Lpの圧油は旋回モータ3へ導かれ、駆動される。旋回レバー13の操作によりパイロット回路13aと13bに発生するパイロット圧力が、回生弁20のセット圧以上に上昇すると、回生弁20が連通するので、蓄圧回路Laに蓄えられた圧油は、回生チェック弁21を通り、主回路Lpに合流する。
【0034】
これにより、旋回モータ3が必要とする圧油の流量が蓄圧回路Laから供給されるので、油圧ポンプ2の吐出流量を減らすことが出来る。この結果、エンジン1の出力を減らすことが出来るので、燃費向上が図れる。
【0035】
上述した本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態によれば、複数の方向切替弁6〜8のすべてが中立の位置にあるとき、油圧ポンプ2から吐出されセンターバイパス回路Lcを介しタンク12に捨てられる最小流量分の圧油も全て回収するアキュムレータ18を設けたので、電動用デバイスを備えていない建設機械に適用可能であって、低コストで製作することができる。また、圧油のエネルギを電気エネルギに変換することなく、そのままアキュムレータ18に蓄え、適宜主回路Lpへ圧油を回生することができるので、電気エネルギへの変換ロスが無く、エネルギ消費効率が向上し、建設機械の大幅な燃費の向上が図れる。
【0036】
また、上述した本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第1の実施の形態によれば、コントローラ等の電気的装置を用いないで制御するので、電気的なトラブルを回避することができる。この結果、信頼性の高い圧油エネルギ回収装置を提供することができる。
【0037】
なお、本実施の形態においては、全ての操作レバーにおけるパイロット圧力の最高圧力を回生弁20の指令圧として構成したが、特定のアクチュエータのパイロット圧力を回生弁20の指令圧として構成しても良い。
【実施例2】
【0038】
以下、本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態を図面を用いて説明する。図3は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態の構成を示す回路図、図4は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における油圧ポンプと回生弁の制御フローを示すフローチャート図である。図3及び図4において、図1及び図2に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0039】
図3に示す本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態は、大略第1の実施の形態と同様の油圧源と作業機等とで構成されるが、以下の構成が異なる。
【0040】
第1の実施の形態におけるシャトル弁22〜26を省略し、旋回レバー13のパイロット回路13aと13bとには、これらのパイロット圧力を検出する指令圧力センサ13cと13dとを設け、アームレバー14のパイロット回路14aと14bとには、これらのパイロット圧力を検出する指令圧力センサ14cと14dとを設けている。同様に、ブームレバー15のパイロット回路15aと15bとには、これらのパイロット圧力を検出する指令圧力センサ15cと15dとを設けている。これらの指令圧力センサ13c〜15dからの検出信号は、後述するコントローラ30に入力されている。また、蓄圧回路Laの圧力を検出する圧力センサ18aが設けられていて、検出信号はコントローラ30に入力されている。
【0041】
コントローラ30からは、油圧ポンプ2の容量制御装置2bに電気指令が出力されると共に、回生弁31の電磁操作部31aに電気指令が出力される。このことにより、コントローラ30が、油圧ポンプ2の容量制御と回生弁31の開閉制御を行う。
【0042】
次に、油圧ポンプ2と回生弁31の制御について図4を用いて説明する。
まず、スタートの状態としては、例えば、オペレータが油圧ショベルのキースイッチ(図示せず)をONにした状態とする。
【0043】
ステップ(S101)では、各操作レバー13〜15の指令圧を検出する。具体的には、各圧力センサ13c〜15dからの各パイロット圧力のデータをコントローラ30に取り込む。
【0044】
ステップ(S102)では、検出した各操作レバーの指令圧の最大値を算出する。具体的には、ステップ(S101)で取り込んだ各パイロット圧力データの中から最大値Pi_Maxを算出する。
【0045】
ステップ(S103)では、最大値Pi_Maxが予め定めた設定圧力Pi_setより高いか否かの判断を行う。最大値Pi_Maxが設定圧力Pi_setより高い場合は、ステップ(S104)に進み、それ以外の場合は、ステップ(S106)へ進む。
【0046】
ステップ(S104)では、蓄圧回路Laの圧力を検出する。具体的には、圧力センサ18aからの蓄圧回路Laの圧力Pacのデータをコントローラ30に取り込む。
【0047】
ステップ(S105)では、蓄圧回路Laの圧力Pacが予め定めた回生するのに必要な設定圧力Pac_setより高いか否かの判断を行う。蓄圧回路Laの圧力Pacが設定圧力Pac_setより高い場合は、ステップ(S108)に進み、それ以外の場合は、ステップ(S106)へ進む。
【0048】
ステップ(S106)では、回生弁31へ閉指令を出力する。具体的には、コントローラ30から回生弁31の電磁操作部31aへの励磁信号を遮断する。このことにより、回生弁31は、閉状態となり、主回路Lpと蓄圧回路Laとは遮断される。
【0049】
ステップ(S107)では、油圧ポンプ2のトルク補正制御を実行しない。具体的には、コントローラ30から油圧ポンプ2の容量制御装置2bに対して後述する減トルク指令としてT=0を出力するので、補正信号は付加されない。ステップ(S107)を実行後スタートにリターンする。
【0050】
ステップ(S105)において、蓄圧回路Laの圧力Pacが設定圧力Pac_setより高いと判断された場合に進むステップ(S108)では、回生弁31へ開指令を出力する。具体的には、コントローラ30から回生弁31の電磁操作部31aへの励磁信号を出力する。このことにより、回生弁31は、開動作し連通状態となり、蓄圧回路Laに蓄えられた圧油は、回生チェック弁21を通り、主回路Lpに合流する。
【0051】
ステップ(S109)では、油圧ポンプ2のトルク補正制御を実行する。具体的には、後述する油圧ポンプ減トルク指令値ΔTを演算し、この減トルク指令値に相当する指令値を油圧ポンプ2の容量制御装置2bに対して出力する。ステップ(S109)を実行後ステップ(S101)へ戻る。
【0052】
次に、油圧ポンプ2の容量制御装置2bの容量制御等について図5乃至図7を用いて説明する。図5は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態におけるポンプ容量指令の特性を示す特性図、図6は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における減トルク制御を説明する特性図、図7は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態における減トルク指令の特性を示す特性図である。図5乃至図7において、図1乃至図4に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0053】
油圧ポンプ2の容量制御装置2bへ出力される指令値は、コントローラ30において、以下のステップで算出されている。
(1)全ての操作レバー13〜15の指令圧である各圧力センサ13c,13d,14c,14d,15c,15dからの各パイロット圧力のデータをコントローラ30に取り込む。
(2)これらデータから最高圧力Pi_Maxを演算する。
(3)算出した最高圧力Pi_Maxと図5に示す予め設定されているポンプ容量指令特性とに基づき、油圧ポンプ2の指令容量qを算出し、この指令容量qが実現する指令値を容量制御装置2bへ出力している。
【0054】
このように、第2の実施形態においても、油圧ポンプ2の吐出容量は、全ての操作レバー13〜15の指令圧の最高圧力から決定されている。
【0055】
次に、減トルク制御について図6及び図7を用いて説明する。通常、油圧ポンプ2はエンジン1のストールを防止する為に、ポンプ吸収トルクを制限している。図6は縦軸をポンプ容量q、横軸をポンプ吐出圧力P(主回路Lpの圧力と等しい)として、ポンプ吐出圧力Pに対応したポンプ容量qの特性を示している。ここで、ポンプ吐出圧力Pが低い値の領域においては、ポンプ容量qは最大容量qmax出力可能であるが、ポンプ吐出圧力Pの増加に伴って制限トルクTを超えないように、ポンプ容量qを減少させている。この制限曲線以下にポンプ容量qを制御することで、ポンプの吸収トルクは制限トルクTを超えることはない。
【0056】
図7は縦軸を減トルク値ΔT、横軸を蓄圧回路圧力Pacとして、蓄圧回路圧力Pacに対応した減トルク値ΔTの特性を示している。減トルク値△Tは、予め設定された蓄圧回路Laの設定圧力Pac_setよりも蓄圧回路Laの圧力Pacが高い圧力の時に、上述した制限トルクTを△Tだけ減少させ、ポンプの吸収トルクを少なくする制御である。
【0057】
このように、蓄圧回路Laの圧力Pacが高ければ高い程、回生可能な動力が大きくなり、その分だけ油圧ポンプ2の出力トルクを少なくすることができる。油圧ショベルの場合、エンジン1の回転数を一定で運転するので、負荷トルクが下がれば、その結果エンジン1の出力を下げることになり、燃費削減効果を得ることが出来る。
【0058】
上述した本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第2の実施の形態によれば、上述した第1の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、蓄圧回路Laの圧力Pacに基づく減トルク制御を行っているので、顕著な燃費削減効果を得ることが出来る。
【実施例3】
【0059】
以下、本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態を図面を用いて説明する。図8は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態の構成を示す回路図、図9は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態における蓄圧電磁弁の制御フローを示すフローチャート図である。図8及び図9において、図1乃至図7に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0060】
図8に示す本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態は、大略第2の実施の形態と同様の油圧源と作業機等とで構成されるが、以下の構成が異なる。
【0061】
第2の実施の形態における油圧切換式の蓄圧切換弁19を電磁切換式の蓄圧電磁弁40に置き換え、エンジン1の回転速度Nengを検出する回転センサ41をエンジン1に取り付けている。回転センサ41からの検出信号はコントローラ30に入力されている。コントローラ30からは、蓄圧電磁弁40の電磁操作部40aに電気指令が出力され蓄圧電磁弁40の開閉制御が行われる。
【0062】
次に、蓄圧電磁弁40の制御について図9を用いて説明する。
まず、スタートの状態としては、例えば、オペレータが油圧ショベルのキースイッチ(図示せず)をONにした状態とする。
【0063】
ステップ(S201)では、エンジン1の回転数を検出する。具体的には、回転センサ41から検出されるエンジン1の回転速度Nengのデータをコントローラ30に取り込む。
【0064】
ステップ(S202)では、回転速度Nengが予め定めたエンジン回転下限値Nminより高いか否かの判断を行う。回転速度Nengがエンジン回転下限値Nminより高い場合は、エンジン1は運転状態であると判断されてステップ(S203)に進み、それ以外の場合は、ステップ(S206)へ進む。ここで、エンジン回転下限値Nminは、エンジン1のローアイドル回転数よりも低く設定された値であって、ローアイドル時から急負荷が作用した時の回転速度低下を考慮して設定されている。
【0065】
ステップ(S203)では、蓄圧回路Laの圧力を検出する。具体的には、圧力センサ18aからの蓄圧回路Laの圧力Pacのデータをコントローラ30に取り込む。
【0066】
ステップ(S204)では、蓄圧回路Laの圧力Pacが予め定めたアキュムレータ18を保護するための設定圧力Pac_maxより高いか否かの判断を行う。蓄圧回路Laの圧力Pacが設定圧力Pac_maxより高い場合は、ステップ(S206)に進み、それ以外の場合は、ステップ(S205)へ進む。
【0067】
ステップ(S205)では、蓄圧回路Laの圧力Pacは設定圧力Pac_maxより高くないので、蓄圧電磁弁40へ閉指令を出力する。具体的には、コントローラ30から蓄圧電磁弁40の電磁操作部40aへの励磁信号を遮断する。このことにより、蓄圧電磁弁40は閉状態となり、センターバイパス回路Lcと戻り回路Ltとは遮断され、センターバイパス回路Lcからの圧油はすべて蓄圧回路Laへ流入する。
【0068】
ステップ(S206)では、蓄圧回路Laの圧力Pacは設定圧力Pac_maxより高いので、蓄圧電磁弁40へ開指令を出力する。具体的には、コントローラ30から蓄圧電磁弁40の電磁操作部40aへの励磁信号を出力する。このことにより、蓄圧電磁弁40は、開動作し連通状態となり、蓄圧回路Laに蓄えられた余剰油は、戻り回路Ltを経由してタンク12へ流入する。この結果、アキュムレータ18がフル状態で蓄圧する必要がなく、かつ操作レバー13、14,15の操作が無い時に、主回路Lpの圧力が上昇しないので、エンジン1の燃費の悪化を抑えることができる。
【0069】
一方、ステップ(S202)にて回転速度Nengが予め定めたエンジン回転下限値Nminより高くないと判断された場合においても、エンジン1が停止していると判断しステップ(S206)で蓄圧電磁弁40へ開指令を出力する。
【0070】
ステップ(S205)とステップ(S206)のいずれかを実行後スタートにリターンする。
【0071】
本実施の形態においては、エンジン1の停止を判断して蓄圧電磁弁40を開制御しているので、エンジン1の始動時にスタータモータへ過大な負荷が作用することを防止できる。
【0072】
例えば、エンジン1の停止を判断して蓄圧電磁弁40を開制御しない場合であって、エンジン1停止状態において、蓄圧回路Laの圧力Pacが上限値Pac_max以下である場合を想定すると、蓄圧電磁弁40には閉止指令が出力される状態になる。油圧ポンプ2はエンジン直結形であるため、エンジン1の始動時に油圧ポンプ2も駆動される。このことにより油圧ポンプ2と連通する蓄圧回路Laに圧力Pacが発生し、エンジン1の始動時に油圧ポンプ2の負荷トルク分だけ大きな始動トルクが必要となってしまう。この結果、スタータモータに過大な負荷トルクが発生する。特に周囲温度が低温のときには作動油の粘性も大きい為、高いアキュムレータ18の残圧があった場合はエンジン1の始動ができないという事態が起こり得る。
【0073】
上述した本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第3の実施の形態によれば、上述した第2の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、エンジン1のスタータモータ容量を増加させる必要がなく、コストアップを抑えるとともに、安定したエンジン始動性を確保することが出来る。
【実施例4】
【0074】
以下、本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態を図面を用いて説明する。図10は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態の構成を示す回路図、図11は本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態における圧力変換装置の制御フローを示すフローチャート図である。図10及び図11において、図1乃至図9に示す符号と同符号のものは同一部分であるので、その詳細な説明は省略する。
【0075】
図10に示す本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態は、大略第3の実施の形態と同様の油圧源と作業機等とで構成されるが、以下の構成が異なる。
【0076】
第3の実施の形態におけるセンターバイパス回路Lcにおいて、チェック弁17の上流側に動力変換装置42を追加配置している。動力変換装置42は、油圧モータ43と第2油圧ポンプ44とから構成され、互いに駆動軸で連結され、油圧モータ43側に圧油が供給されるとその圧油による駆動トルクが発生し、第2油圧ポンプ44が同時に駆動される。この時、油圧モータ43と第2油圧ポンプ44の容量を変えることで、油圧モータ43入口の圧力から第2油圧ポンプ44の出口の圧力を変換することが出来る。第2油圧ポンプ44から吐出される圧油はチェック弁17を経て、アキュムレータ18へ蓄圧されるようになっている。
【0077】
本実施の形態においては、油圧モータ43は固定容量型、第2油圧ポンプ44は可変容量型であって、第2油圧ポンプ44の容量制御装置44aには、コントローラ30から電気指令が出力されて容量制御が行われている。
【0078】
次に、圧力変換装置42の制御について図11を用いて説明する。
まず、スタートの状態としては、例えば、オペレータが油圧ショベルのキースイッチ(図示せず)をONにした状態とする。
【0079】
ステップ(S301)では、蓄圧回路Laの圧力を検出する。具体的には、圧力センサ18aからの蓄圧回路Laの圧力Pacのデータをコントローラ30に取り込む。
【0080】
ステップ(S302)では、圧力変換装置42の第2油圧ポンプ44の目標油圧ポンプ容量qpを演算する。具体的には、詳細後述するが、検出された蓄圧回路Laの圧力Pac、固定容量である油圧モータ43の容量qm、予め設定された目標モータ入口圧力Pmを用いて、第2油圧ポンプ44の目標油圧ポンプ容量qpを演算する。
【0081】
ステップ(S303)では、第2油圧ポンプの容量制御装置44aへ目標ポンプ容量となるように指令信号を出力する。このようにして、圧力変換装置42の第2油圧ポンプ44の容量制御が実行される。
【0082】
次に、第2油圧ポンプ44の目標油圧ポンプ容量qpの算出について説明する。予め計測等により設定された動力変換装置42の変換損失をηとすると、油圧モータ43の入力油圧動力(=Pm・qm)と、油圧モータ43と駆動軸で接続された油圧ポンプ44の出力動力(=Pac・qp・η)とが釣り合うので、Pm・qm=Pac・qp・ηという等式が成り立つ。この結果、第2油圧ポンプ44の目標油圧ポンプ容量qpは、次の式(1)に従って算出される。
qp=(Pm・qm)/(Pac・η)・・・・(1)
ここで、Pmは予め設定された目標モータ入口圧力、qmは油圧モータ43の容量、Pacは蓄圧回路Laの圧力、qpは第2油圧ポンプ44の目標油圧ポンプ容量、ηは動力変換装置42の変換損失とする。
【0083】
第2油圧ポンプ44の吐出油はチェック弁17を経てアキュムレータ回路Laへ導かれるが、チェック弁17の通過抵抗は微小なので無視することができる。したがって、第2油圧ポンプ44の吐出圧力はPacと等しい。
【0084】
また、油圧モータ43の入口設定圧Pmについては予め設定していて、式(1)に基づいて第2油圧ポンプ44の容量qpを制御しているので、油圧モータ43入口の圧力は、蓄圧回路Laの圧力Pacとは関係なく一定に制御されることになる。このことにより、センターバイパス回路Lcの圧力が一定に制御されるので、アキュムレータ18の圧力が変動したとしても、各アクチュエータ3〜5の操作性に影響を与えることがない。
【0085】
上述した本発明の圧油エネルギ回収装置及びこれを用いた建設機械の第4の実施の形態によれば、上述した第3の実施の形態と同様な効果を得ることができる。
また、本実施の形態によれば、上述した第1〜第3の実施の形態におけるセンターバイパス回路Lcの圧力がアキュムレータ圧力Pacよりも低い状態であっても圧油のエネルギを回収することができるので、操作レバー13〜15の入力が無い時に圧油のエネルギを回収する場合であっても、センターバイパス回路Lcの圧力を予め設定した油圧モータ43の入口設定圧Pmに低減することができ、主回路Lpにおける圧油の圧力も入口設定圧Pm程度に抑えることができる。この結果、エンジン1の負荷トルクを増大せずに油圧ポンプ2を運転することが可能となるので、建設機械の大幅な燃費の向上が図れる。
【0086】
更に、本実施の形態によれば、センターバイパス回路Lcの圧力を予め設定した油圧モータ43の入口設定圧Pmで一定に保つことができるので、アキュムレータ18の圧力の変動による操作性の影響を受けない。この結果、安定した操作性を実現することができる。
【0087】
なお、本実施の形態においては、油圧モータ43の入口圧力を検出しない構成で説明したが、これに限るものではない。油圧モータ43の入口圧力を検出してフィードバック制御をするように構成することで、より制御精度の向上を図ることも可能である。
【符号の説明】
【0088】
1 エンジン
2 油圧ポンプ
3 旋回用方向切替弁
4 アーム用方向切替弁
5 ブーム用方向切替弁
6 旋回モータ
7 アームシリンダ
8 ブームシリンダ
9 ロードチェック弁
12 タンク
13 旋回レバー
14 アームレバー
15 ブームレバー
16 リリーフ弁
17 チェック弁
18 アキュムレータ
19 蓄圧切替弁
20 回生弁
21 回生チェック弁
22 シャトル弁
Lp 主回路
Lc センターバイパス回路
La 蓄圧回路
Lt 戻り回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
油圧ポンプと、前記油圧ポンプにより駆動される複数の油圧アクチュエータと、前記油圧ポンプから吐出される圧油の流量及び方向を制御する複数の方向切替弁と、前記複数の方向切替弁を通ってタンクに連通するセンターバイパス回路とを有する油圧装置の、前記油圧ポンプによって発生した圧油のエネルギを回収する圧油エネルギ回収装置であって、
前記センターバイパス回路における前記複数の方向切替弁の下流の管路に接続される蓄圧器と、
前記蓄圧器の圧力を検出する圧力検出手段と、
前記センターバイパス回路の圧油の流出先を前記蓄圧器あるいは前記タンクに切り替える蓄圧切替手段とを備え、
前記蓄圧切替手段は、前記圧力検出手段により検出した前記蓄圧器の圧力が予め設定した設定値を超えないときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記蓄圧器側へ流出させ、前記圧力検出手段により検出した前記蓄圧器の圧力が予め設定した設定値を超えるときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記タンク側へ流出させる
ことを特徴とする圧油エネルギ回収装置。
【請求項2】
請求項1記載の圧油エネルギ回収装置において、
前記油圧ポンプと前記複数の方向切替弁とを接続する吐出回路と、
前記吐出回路と前記蓄圧器との連通/遮断を制御する回生手段と、
前記複数の油圧アクチュエータを駆動するために前記複数の方向切替弁を制御する各々の操作指令入力手段とを更に備え、
前記回生手段は、前記操作入力手段の入力値に基づいて前記吐出回路と前記蓄圧器とを連通状態に制御する
ことを特徴とする圧油エネルギ回収装置。
【請求項3】
請求項2に記載の圧油エネルギ回収装置において、
前記油圧ポンプは可変容量機構を備えた可変容量型の油圧ポンプであって、前記可変容量機構に指令を出力するトルク指令手段を更に備え、
前記トルク指令手段は、前記回生手段が前記吐出回路と前記蓄圧器とを連通状態に制御するときに、減トルク指令を出力する
ことを特徴とする圧油エネルギ回収装置。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載の圧油エネルギ回収装置において、
前記油圧ポンプを駆動する原動機と、
前記原動機の起動/停止を検出する状態検出手段とを更に備え、
前記蓄圧切替手段は、前記状態検出手段が前記原動機の停止を検出しているときには、前記センターバイパス回路の圧油を前記タンク側へ流出させる
ことを特徴とする圧油エネルギ回収装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の圧油エネルギ回収装置において、
前記センターバイパス回路と前記蓄圧器とを接続する管路の蓄圧器側に配置された第2油圧ポンプと、前記第2油圧ポンプと駆動軸で連結され前記管路のセンターバイパス回路側に配置された油圧モータとからなる動力変換装置を更に備え、
前記第2油圧ポンプは可変容量機構を備えた可変容量型の油圧ポンプである
ことを特徴とする圧油エネルギ回収装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の圧油エネルギ回収装置を備えた
ことを特徴とする建設機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2013−2122(P2013−2122A)
【公開日】平成25年1月7日(2013.1.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−133641(P2011−133641)
【出願日】平成23年6月15日(2011.6.15)
【出願人】(000005522)日立建機株式会社 (2,611)
【Fターム(参考)】