説明

圧痕検査装置及び方法

【課題】基板に発生した圧痕を検査するにおいて、圧痕検査が必要な検査領域の設定が迅速且つ正確であることは勿論、圧痕の異常有無も迅速で且つ正確に検査することができる圧痕検査装置及び方法を提供する。
【解決手段】本発明に係る圧痕検査装置は、圧痕が発生した基板を固定するためのワークステージと、前記ワークステージの上側に位置し、前記基板の後面を観察するための顕微鏡と、前記顕微鏡を通して観察された基板の後面を撮像できるように、前記顕微鏡に連結設置されたカメラと、前記カメラから前記撮像された画像データを入力され、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域選択部と、前記検査領域内で所定形状の枠を有する各検出領域ごとに輝度分布情報を検出し、前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕検出部と、を備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に発生した圧痕を検査する圧痕検査装置及び方法に関するもので、特に圧痕検査が必要な検査領域の設定が迅速且つ正確であることは勿論、圧痕の異常有無も迅速で且つ正確に検査することができる圧痕検査装置及び方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
最近、携帯電話、PDA及びディスプレイ装置を含むその他の各種電子機器に使用される平板ディスプレイパネルMは、その製作のためにワイヤレスボンディング(wireless bonding)技法であるCOG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)及びTCP(Tape Carrier Package)等の方式を採択している。
例えば、平板ディスプレイパネルMは、COG方式を示した図1のように、多数のITO等からなるパネル電極4が形成されたガラス基板1と、その駆動のために前記ガラス基板1の上に実装される半導体チップ2(あるいは、駆動チップ)などを備え、ガラス基板1と半導体チップ2との間にACF(Anisotropic Conductive Film)等のような異方性導電材料3を介在して圧搾することにより製作される。
【0003】
また、パネル電極4に対応する半導体チップ2の一側の表面には、図2のようにチップ電極5が形成されており、チップ電極5にはバンプ7が形成されていて、半導体チップ2を圧搾すると、バンプ7の下側面7aが導電材料3に含まれた導電粒子6を圧搾しながら硬化されることにより、パネル電極4とチップ電極5が互いに電気的に連結される。
この時、ガラス基板1と半導体チップ2との間の電気的導通性は、バンプ7により充分な個数の導電粒子6が充分に圧搾されることによって保障されるので、上記のような構造の平板ディスプレイパネルMを製造する時、前記導電粒子6がバンプ7により充分に圧搾されたか否かを検査する過程が必須的である。
これのため、図3のように、ガラス基板1の上側でガラス基板1を透過してパネル電極4に形成された微細圧痕8を確認することができるように、微分干渉顕微鏡(図示せず)を採択し、カメラ(図示せず)を通して前記微分干渉顕微鏡で観察された圧痕8の映像を撮像し画像データを獲得することによって、導電粒子6によりパネル電極4が圧搾された圧痕8を検査する方式が使われている。
【0004】
しかしながら、このような方式で圧痕8を検査するにおいて、バンプ7の実装領域のように圧痕8の検査が必要な検査領域は、数マイクロメーター単位であって極めて小さいので、該当検査領域を迅速に選択することが難しいのは勿論、正確に選択することが難しいという問題点があった。
また、検査領域内の各圧痕8の異常有無を検査する時には、圧痕8が充分な深さで、充分な箇所に、適切な分布に生成されたか否かを確認しなければならないが、数マイクロメーター単位の導電粒子6により生成されたそれぞれの圧痕8を迅速で且つ正確に検査することが難しいという問題点もあった。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、上述した問題点を解決するために提案されたもので、基板に発生した圧痕を検査するにおいて、圧痕検査が必要な検査領域の設定が迅速且つ正確であることは勿論、圧痕の異常有無も迅速で且つ正確に検査することができる圧痕検査装置及び方法を提供しようとする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を達成するために、本発明に係る圧痕検査装置は、圧痕が発生した基板を固定するためのワークステージと、前記ワークステージの上側に位置し、前記基板の後面を観察するための顕微鏡と、前記顕微鏡を通して観察された基板の後面を撮像できるように、前記顕微鏡に連結設置されたカメラと、前記カメラから前記撮像された画像データを入力され、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域選択部と、前記検査領域内で所定形状の枠を有する各検出領域ごとに輝度分布情報を検出し、前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕検出部と、を備えることを特徴とする。
この時、前記圧痕検出部は、前記圧痕指数によって正常的な圧痕を判別し、前記検査領域内に存在する正常的な圧痕の個数によって前記検査領域内の電気的導通状態を検査することが好ましい。
【0007】
この時、前記検査領域選択部は、設計図面の基板パターンと同一のマスターデータを入力されて保存するマスターデータ保存部と、前記画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマークとして保存するマークデータ保存部と、前記マーク及び検査領域に対応するパターン情報を含む前記マスターデータを用いて、前記画像データのマークと前記画像データの検査領域間のオフセット値を保存するオフセット値保存部と、前記画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせるマッチング部と、を備えることが好ましい。
また、前記圧痕検出部は、前記画像データ中において、前記検査領域の輝度分布を分析する画像データ分析部と、前記分析された画像データから前記検出領域の中心点を各々検出する中心点検出部と、前記中心点を中心として所定形状を有する前記枠及び面積情報が保存される面積保存部と、前記分析された輝度を用いて、前記面積を有する枠内の圧痕高さを検出する高さ検出部と、前記面積及び高さを用いて圧痕指数を検出する圧痕指数計算部と、を備えることが好ましい。
【0008】
また、前記圧痕指数は、(0.7×高さ)+(0.3×面積)の数式が適用されて検出されることが好ましい。
また、前記面積は、前記半導体チップと前記基板との間に挿入される接着材の材質によって互いに異なる値に設定されることが好ましい。
また、前記検出された圧痕指数との比較により、前記圧痕の異常有無を検出できるように、圧痕指数基準値が保存される圧痕指数基準値保存部をさらに備えることが好ましい。
また、前記圧痕指数基準値は、前記半導体チップと前記基板との間に挿入される接着材の材質によって互いに異なる値に設定されることが好ましい。
また、前記顕微鏡を通して前記基板に垂直に光を照射する照明装置が設けられていることが好ましい。
一方、本発明に係る圧痕検査方法は、圧痕が発生した基板を顕微鏡に向かって露出するようにワークステージに固定させる基板固定ステップと、顕微鏡を用いて前記基板を観察する基板観察ステップと、カメラを用いて前記観察された基板の後面を撮像する基板撮像ステップと、前記撮像された画像データを入力され、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域設定ステップと、前記検査領域内で所定形状の枠を有する各検出領域ごとに輝度分布情報を検出する輝度分布検出ステップと、前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕指数検出ステップと、を備えることを特徴とする。
【0009】
この時、前記検査領域設定ステップは、設計図面の基板パターンと同一のマスターデータを入力されて保存するマスターパターン保存ステップと、前記画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマークとして保存するマーク保存ステップと、前記マーク及び検査領域に対応するパターン情報を含む前記マスターデータを用いて、前記画像データのマークと前記画像データの検査領域間のオフセット値を検出するオフセット値検出ステップと、前記画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせるマッチングステップと、を備えることが好ましい。
また、前記輝度分布検出ステップは、前記検査領域を細分化した各検出領域を示す所定形状の枠及び面積に関する情報を入力されて保存する検出領域データ保存ステップと、前記画像データ中において、前記検査領域の輝度を分析する画像データ分析ステップと、前記分析された輝度を用いて前記検出領域の中心点をそれぞれ検出する中心点検出ステップと、前記分析された輝度を用いて、前記面積を有する枠内の圧痕高さを検出する高さ検出ステップと、を備えることが好ましい。
【発明の効果】
【0010】
本発明に係る圧痕検査装置及び方法は、基板に半導体チップが正常的に実装されているか否かを判別するにおいて、圧痕検査が必要な検査領域の設定迅速性及び正確性を向上させることができる。また、圧痕の異常有無の検査時に、圧痕検査の迅速性及び正確性も向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下、添付された図面を参照して本発明の好ましい実施例による圧痕検査装置及び方法について詳細に説明する。
但し、以下では、COG(Chip On Glass)、COF(Chip On Film)、FPC(Flexible Printed Circuit)、TCP(Tape Carrier Package)及びその他の多様なワイヤレスボンディング技法のうち、COG方式が適用された平板ディスプレイパネルを一例に挙げて説明する。
従って、以下で本発明の検査対象となる基板は、ガラス基板である。
図4は、本発明に係る圧痕検査装置を概略的に示した構成図、図5は、本発明に係る圧痕検査装置の検査部を示したブロック図、図6は、本発明に係る圧痕検査装置の検査領域設定方法を概略的に示した流れ図、図7は、本発明に係る圧痕検査装置の圧痕検査方法を概略的に示した流れ図である。
【0012】
図4を図1〜図3を参照して説明すれば、本発明に係る圧痕検査装置100は、圧痕8が発生した平板ディスプレイパネルM(以下、「パネル」と記す)を固定するためのワークステージ110と、半導体チップ(図1の2参照)が実装されたガラス基板(図1の1参照)を含むパネルMの後面を微細観察するための顕微鏡120と、パネルMの後面を撮像できるように顕微鏡120に連結設置されたカメラ130と、顕微鏡120の焦点調節のための補助カメラ130aと、顕微鏡120と照明装置160の駆動を制御することは勿論、カメラ130で撮像した画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定し、各圧痕8の輝度分布情報を用いて圧痕8を検査する検査サーバ140と、ワークステージ110の駆動を制御する駆動サーバ150と、基板に垂直に光を照射するための照明装置160と、を備える。
【0013】
また、パネルMは、前面に半導体チップ2が実装されたガラス基板1の後面がワークステージ110の上側に設置された顕微鏡120に向かって露出するように、該当パネルMの後面が上側に向かった状態でワークステージ110に固定され、顕微鏡120は、照明装置160を用いてガラス基板1に垂直に光を照射している状態で、ガラス基板1の後面を貫通して前面のパネル電極4(あるいは、「ITO電極」ともいう)に生成された圧痕8を微細観察し、カメラ130は、このように観察された圧痕8を撮像して画像データを検査サーバ140へ電送できるようにする。
従って、検査サーバ140では、入力された画像データ中において検査領域を選択し、その選択された検査領域の各圧痕8を検査することによって、ガラス基板1のパネル電極4と、パネルMの駆動及び制御のための半導体チップ2(あるいは、「駆動IC」ともいう)との電気的導通状態を確認することができるようになる。
【0014】
より具体的に、ワークステージ110は、検査対象パネルMを固定及び移動させることを可能にするもので、駆動サーバ150により制御される駆動モータ(図示せず)により水平面上でX軸及びY軸に移動できることは勿論、必要な場合には回転もできるように構成されていて、ガラス基板1の検査領域を顕微鏡120の直下部に位置させる1次の調整を可能にする。
パネルMの固定は、ワークステージ110の上面に装着されたジグ(図示せず)によっても可能であるが、次第に薄膜化されているガラス基板1を保護するために、最近には真空吸着方式が多く使われている。
【0015】
顕微鏡120は、パネルMが固定されたワークステージ110の上側に設置され、ガラス基板1の後面を貫通してガラス基板1の前面のパネル電極4に生成された圧痕8を観察するためのもので、このような顕微鏡120は後述したように、圧痕検査時に必要な輝度分布をより正確に観察するために微分干渉顕微鏡120であることが好ましい。
また、顕微鏡120は、当該顕微鏡120に連結設置された補助カメラ130aが撮像した画像を監視サーバ140から入力され、その入力された画像によって現在の焦点状態を判別した監視サーバ140の制御により、上下移動可能に構成される。
カメラ130は、顕微鏡120により観察されたガラス基板1の後面を撮像するためのもので、当該顕微鏡120に連結設置されると同時に、撮像された画像データを検査サーバ140に電送できるように検査サーバ140と連結されている。
【0016】
照明装置160は、ガラス基板1のパネル電極4に生成された圧痕8を顕微鏡120で明確に観察できるように、該当パネルMのガラス基板1に向かって垂直に光を照射するもので、照明装置160から供給された光は、顕微鏡120の内部に供給されてその内部の偏光フィルター(図示せず)及びプリズム(図示せず)等を通した後、ワークステージ110の上部でガラス基板1に光を照射できるようにする。
検査サーバ140は、圧痕検査が必要な検査領域を設定し、また、各圧痕8の輝度分布情報を用いて圧痕8を検査するもので、図5から分かるように、カメラ130から撮像された画像データを入力されて保存する画像データ保存部144と、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域選択部141と、前記検査領域内の各圧痕8の検出領域ごとに輝度分布情報を検出し、前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕検出部142と、検査員などの使用者が検査に必要な各種情を入力できるようにする入力部143と、これらを全般的に制御する制御部145と、を備える。
【0017】
ここで、検査領域選択部141は、設計図面の基板パターンと同一のマスターデータを入力されて保存するマスターデータ保存部141aと、画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマーク(mark)として保存するマークデータ保存部141bと、前記マーク及び検査領域に対応するパターン情報を含むマスターデータを用いて、前記画像データのマークと画像データの検査領域間のオフセット値を保存するオフセット値保存部141cと、画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせるマッチング部141dと、を備える。
従って、図6の(a)のように、パネル電極4及び圧痕8が撮像された画像データ中の一部画像をマークとして設定した後、マークデータ保存部141bに保存し、図6の(b)のように、マスターデータ保存部141aに保存された該当マスターデータを用いて、前記マークに対応するマーク領域と検査領域間のオフセット値を求めてオフセット値保存部141cに保存した後、図6の(c)のように、マッチング部141dにより画像データのマークからオフセット値を適用して補正された位置を、実際に検査が必要な画像データ中における検査領域として選択できるようにする。
【0018】
但し、ここでは、バンプ7が実装された位置を検査領域の一例に挙げたが、本発明はこれに限定されるものではなく、その他の部分も以上のような方法により検査領域として設定することができるのは自明である。
圧痕検出部142は、検査領域の輝度分布を分析する画像データ分析部142aと、前記分析された画像データから検査領域内の各検出領域の中心点を検出する中心点検出部142bと、前記中心点を中心とする所定の枠形状及び面積A情報が保存される面積保存部142cと、前記分析された輝度を用いて前記圧痕8の高さHを検出する高さ検出部142dと、前記面積A及び高さHを用いて圧痕指数を検出する圧痕指数計算部142eと、を備える。
【0019】
ここで、画像データ分析部142aは、検査領域に該当する画像データを輝度検出方式で分析できるようにする。すなわち、図7の(a)のように、圧痕8が大きいか又は高い部分であるほど明るく現れ、圧痕8が小さいか又は低い部分であるほど暗く現れるが、明るい部分はバンプ7により導電粒子が十分に圧搾されたものであるので、ガラス基板1のパネル電極4と電気的に適切に連結されたものであると認識しうる根拠として使用できるようにする。
【0020】
中心点検出部142bは、画像データ分析部142aにより分析されたデータに基づいて、後述する検査領域内の検出領域の中心点を選択できるようにするが、このような中心点は、検査領域内で明るさが明るい部分である圧痕8の生成部を基礎として選択可能である。
すなわち、図7の(b)のように、その中心点を互いに隣接した圧痕8の間に選択するか、または、図示は省略されたが圧痕8によって圧痕8が生成されない他の部分より明るさが明るい部分中において、最も明るさが明るい該当圧痕8の中心部を中心点として選択することにより、検出領域の中心点として使用できるようにする。
【0021】
面積保存部142cには、検査者により既に設定された検出領域データが保存されるが、このような検出領域データは、該当検出領域の枠形状、半径長さ及び面積A情報を含む。すなわち、面積保存部142cに検出領域の枠が円形であると保存されており、それと同時に所定の半径長さが保存されている場合であれば、図7の(b)のように前記中心点を中心にして前記半径を有する円が検出領域として設定され、当該検出領域の面積Aが保存される。
但し、検出領域は、円形以外に四角形や六角形として保存されることもできるが、検出領域が四角形や六角形である場合には、監査領域全体をより稠密に検査することができるようになる。
【0022】
また、半径長さは、ACF等のような導電材料(図1の3参照)の種類によって可変されるが、これは、導電材料3によって導電粒子6の大きさが変わるので、それに応じて適切な検出領域を選択する必要があるからである。
高さ検出部142dは、前記画像データ分析部142aにより分析された輝度を用いて前記圧痕8の高さHを検出するが、このような高さ検出部142dは、圧痕8が深く生成されて圧痕8の高さHが高いほど明るさがより明るくなる原理を適用することで、圧痕8の高さHを検出する。
圧痕指数計算部142eは、面積Aと高さHを変数として使用して圧痕指数を計算するもので、一定の面積A当たり存在する圧痕8の分布程度、すなわち、圧痕8により変化する輝度の分布情報を用いて、圧痕8が正常的に生成されているか否かを確認する。
【0023】
これのために、圧痕指数計算部142eは、一例として次のような圧痕指数Fの計算式が適用される。
数式: 圧痕指数F=(0.7×高さ)+(0.3×面積)
但し、圧痕指数Fを計算するために、高さHと面積Aに各々かけられる定数(constant)は、上述した理由にて導電材料3の種類によって可変されることができる。
従って、図7の(c)のように、それぞれ圧痕8が位置している各検出領域内における圧痕指数Fを求めて、検出された特定検出領域の圧痕指数Fが圧痕指数基準値を満たす場合にのみ、該当正常的な圧痕であると判断する。ひいて、全体の検査領域内において正常的な圧痕8の個数を確認することにより、電気的導通状態を確認できるようにする。
【0024】
一方、検出された特定検出領域の圧痕指数Fが圧痕指数基準値より小さな場合には、充分な圧搾がなされていないか又はその他雑音に依るものと判断し、それと反対に、圧痕指数Fが圧痕指数基準値より大きな場合には、過度な圧搾がなされているか又はその他雑音に依るものと判断する。
【0025】
以下、上述した本発明の圧痕検査装置を用いた圧痕検査方法について詳細に説明する。
まず、検査が始まると、前面に半導体チップ2が圧搾方式で実装されたガラス基板1を、その後面が顕微鏡120に向かって露出するようにワークステージ110上に固定させる。
ガラス基板1が固定されると、駆動サーバ150は、駆動モータ(図示せず)を制御してワークステージ110を移動させ、ガラス基板1を顕微鏡120の直下部に位置させる。検査サーバ140は、補助カメラ130aを通して入力された画像に基づいて顕微鏡120を上側方向または下側方向に移動させ、焦点を調節させる。
また、検査サーバ140は、照明装置160を動作させて当該顕微鏡120の内部を通してガラス基板1に垂直に光が照射されるようにし、ガラス基板1に光が照射されると顕微鏡120を用いて、前記半導体チップ2が実装されたガラス基板1の後面を観察する。
【0026】
顕微鏡120を通してガラス基板1の後面が観察されると、その観察された画像データは、カメラ130により撮像された後、検査サーバ140の画像データ保存部144に電送される。
そうすると、前記撮像された画像データを入力されて、全体の画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する。
すなわち、画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマークとしてマークデータ保存部141bに保存する。マスターデータ保存部141aに保存されており、前記マーク及び検査領域に対応する設計図面の基板パターン情報を含むマスターデータを用いて、マークと検査領域間のオフセット値を検出する。
【0027】
また、検出されたオフセット値をオフセット値保存部141cに保存し、マッチング部141dを用いて画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせることにより、検査領域を設定する。
画像データ中において検査領域が設定されると、当該検査領域内の各検出領域ごとに輝度分布情報を検出するようになるが、輝度分布は検査者が入力部143を通して面積保存部142cに保存し、前記検査領域を細分化した各検出領域を表す所定形状の枠及び面積Aに関する情報を利用する。
すなわち、画像データ分析部142aで前記検査領域に該当する部分の輝度を分析し、中心点検出部142bで前記分析された輝度を用いて上述したように検出領域の中心点を各々検出した後、高さ検出部142dで分析された輝度を用いて前記面積を有する枠内の圧痕高さHを検出することによって、後述するように圧痕指数の検出に使用するようにする。
【0028】
従って、圧痕指数計算部142eで面積Aと高さHを変数として使用して圧痕指数を計算すると、一定の面積A当たり存在する圧痕8の分布程度、すなわち、圧痕8により変化する輝度の分布情報を用いて、圧痕8が正常的に生成されているか否かを確認できるようになる。
すなわち、検出された圧痕指数Fが圧痕指数基準値より小さな場合には、充分な圧搾がなされていないか又はその他雑音に依るものと判断し、それと反対に、圧痕指数Fが圧痕指数基準値より大きな場合には、過度な圧搾がなされているか又はその他雑音に依るものと判断し、圧痕指数Fが圧痕指数基準値を満たす場合にのみ正常的な圧痕と判断する。
引続き、以上のような圧痕指数検出を検査領域内の各検出領域ごとに繰り返し、あらゆる検出領域に対する圧痕指数検出が完了すると、全体検査領域内に存在する正常的な圧痕個数を確認して電気的導通状態を確認する。
【0029】
一方、以上の方式により圧痕検査が完了すると、検査を終了してその結果を保存する。
以上、本発明の特定実施例について上述した。しかし、本発明の思想及び範囲は、このような特定実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を変更しない範囲内で多様に修正及び変形が可能であることを本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者であれば、理解できるものである。
従って、以上で記述した実施例は、本発明の属する技術分野で通常の知識を有する者に発明の範ちゅうを完全に知らせるために提供されるものであるので、あらゆる面で例示的なものであり、限定的ではないと理解すべきであり、本発明は請求項の範ちゅうにより定義されるだけである。
【産業上の利用可能性】
【0030】
本発明に係る圧痕検査装置及び方法は、基板に発生した圧痕を検査するにおいて、圧痕検査が必要な検査領域の設定迅速性及び正確性を向上させることができるようにする。また、圧痕の異常有無検査時にその検査の迅速性及び正確性も向上させることができるようにする。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】一般的な平板ディスプレイパネルを示す斜視図である。
【図2】一般的な平板ディスプレイパネルの圧痕発生部を示す部分拡大図である。
【図3】一般的な平板ディスプレイパネルの検査のための設置状態図である。
【図4】本発明に係る圧痕検査装置を概略的に示す構成図である。
【図5】本発明に係る圧痕検査装置の検査部を示すブロック図である。
【図6】本発明に係る圧痕検査装置の検査領域設定方法を概略的に示す流れ図である。
【図7】本発明に係る圧痕検査装置の圧痕検査方法を概略的に示す流れ図である。
【符号の説明】
【0032】
M 平板ディスプレイパネル
110 ワークステージ
120 顕微鏡
130 カメラ
140 検査サーバ
150 駆動サーバ
F 圧痕指数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧痕が発生した基板を固定するためのワークステージと、
前記ワークステージの上側に位置し、前記基板の後面を観察するための顕微鏡と、
前記顕微鏡を通して観察された基板の後面を撮像できるように、前記顕微鏡に連結設置されたカメラと、
前記カメラから前記撮像された画像データを入力され、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域選択部と、
前記検査領域内で、所定形状の枠を有する各検出領域ごとに輝度分布情報を検出し、前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕検出部と、を備えることを特徴とする圧痕検査装置。
【請求項2】
前記圧痕検出部は、前記圧痕指数によって正常的な圧痕を判別し、前記検査領域内に存在する正常的な圧痕の個数によって前記検査領域内の電気的導通状態を検査することを特徴とする請求項1に記載の圧痕検査装置。
【請求項3】
前記検査領域選択部は、
設計図面の基板パターンと同一のマスターデータを入力されて保存するマスターデータ保存部と、
前記画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマークとして保存するマークデータ保存部と、
前記マーク及び検査領域に対応するパターン情報を含む前記マスターデータを用いて、前記画像データのマークと前記画像データの検査領域間のオフセット値を保存するオフセット値保存部と、
前記画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせるマッチング部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧痕検査装置。
【請求項4】
前記圧痕検出部は、
前記画像データ中において、前記検査領域の輝度分布を分析する画像データ分析部と、
前記分析された画像データから前記検出領域の中心点を各々検出する中心点検出部と、
前記中心点を中心として所定形状を有する前記枠及び面積情報が保存される面積保存部と、
前記分析された輝度を用いて、前記面積を有する枠内の圧痕高さを検出する高さ検出部と、
前記面積及び高さを用いて圧痕指数を検出する圧痕指数計算部と、を備えることを特徴とする請求項1に記載の圧痕検査装置。
【請求項5】
前記圧痕指数は、
(0.7×高さ)+(0.3×面積)の数式が適用されて検出されることを特徴とする請求項4に記載の圧痕検査装置。
【請求項6】
前記面積は、前記半導体チップと前記基板との間に挿入される接着材の材質によって互いに異なる値に設定されることを特徴とする請求項4に記載の圧痕検査装置。
【請求項7】
前記検出された圧痕指数との比較により、前記圧痕の異常有無を検出できるように、圧痕指数基準値が保存される圧痕指数基準値保存部をさらに備えることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の圧痕検査装置。
【請求項8】
前記圧痕指数基準値は、前記半導体チップと前記基板との間に挿入される接着材の材質によって互いに異なる値に設定されることを特徴とする請求項7に記載の圧痕検査装置。
【請求項9】
前記顕微鏡を通して前記基板に垂直に光を照射する照明装置が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか一項に記載の圧痕検査装置。
【請求項10】
圧痕が発生した基板を顕微鏡に向かって露出するようにワークステージに固定させる基板固定ステップと、
前記顕微鏡を用いて前記基板の後面を観察する基板観察ステップと、
カメラを用いて前記観察された基板の後面を撮像する基板撮像ステップと、
前記撮像された画像データを入力され、前記画像データ中において圧痕検査が必要な検査領域を設定する検査領域設定ステップと、
前記検査領域内で、所定形状の枠を有する各検出領域ごとに輝度分布情報を検出する輝度分布検出ステップと、
前記検出された輝度分布情報によって圧痕指数を検出する圧痕指数検出ステップと、を備えることを特徴とする圧痕検査方法。
【請求項11】
前記検査領域設定ステップは、
設計図面の基板パターンと同一のマスターデータを入力されて保存するマスターパターン保存ステップと、
前記画像データ中の一部を選択し、前記選択された一部分の画像をマークとして保存するマーク保存ステップと、
前記マーク及び検査領域に対応するパターン情報を含む前記マスターデータを用いて、前記画像データのマークと前記画像データの検査領域間のオフセット値を検出するオフセット値検出ステップと、
前記画像データのマークを基準として前記オフセット値分だけ補正された位置に検査領域をマッチングさせるマッチングステップと、を備えることを特徴とする請求項10に記載の圧痕検査方法。
【請求項12】
前記輝度分布検出ステップは、
前記検査領域を細分化した各検出領域を表す所定形状の枠及び面積に関する情報を入力されて保存する検出領域データ保存ステップと、
前記画像データ中において、前記検査領域の輝度を分析する画像データ分析ステップと、
前記分析された輝度を用いて前記検出領域の中心点をそれぞれ検出する中心点検出ステップと、
前記分析された輝度を用いて、前記面積を有する枠内の圧痕高さを検出する高さ検出ステップと、を備えることを特徴とする請求項10に記載の圧痕検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−282010(P2009−282010A)
【公開日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300480(P2008−300480)
【出願日】平成20年11月26日(2008.11.26)
【出願人】(508349447)ウインテック コーポレーション リミテッド (1)
【Fターム(参考)】