説明

圧縮デジタルビデオにおけるMPEG損傷のグローバル指示に関するシステム及び方法

符号化ビデオ信号を処理するステップを決定する方法が、前記符号化ビデオ信号を復号化するステップと、前記復号化ビデオからフレームに関するグローバルインディケータ値を決定するステップと、前記グローバルインディケータに基づき前記フレームの前記復号化ビデオにビデオ処理を提供するステップと、を含む。加えて、符号化デジタルビデオ信号を処理する機器が、符号化ビデオ復号器と、メトリック計算モジュールと、ビデオ処理モジュールと、を備え、前記メトリック計算モジュールが、前記符号化ビデオ信号の品質を示すグローバルインディケータの少なくとも1つの値を計算し、前記メトリック計算モジュールが、前記グローバルインディケータを、前記値に応じて前記符号化ビデオ信号を選択に処理する前記ビデオ処理モジュールに供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2003年12月4日に出願され、Boroczky等への「A Unified Metric For Digital Video Processing (UMDVP)」の表題を与えられる、国際特許出願第IB2003/0057号から35 U.S.C. §120及び35 USC §365(c)の下に優先権を請求する。この出願は、本譲渡人に割り当てられる。この出願の開示は、本文書において参照により特に組み込まれる。
【背景技術】
【0002】
圧縮デジタルビデオソースは、デジタル地上放送、デジタルケーブル/衛星、PVR(パーソナルビデオレコーダ)、DVD等を通じて現代の家族に入ってきている。出現しているデジタルビデオ製品は、消費者に革命的な経験をもたらしている。同時に、これらは、ビデオ処理機能に関して新たな挑戦を生じさせてもいる。例えば、低ビットレートが、しばしば、帯域幅効率を得るために選択される。ビットレートが低くなればなるほど、圧縮符号化及び復号化処理によって導入される損傷は、不愉快なものになる。
【0003】
標準画質ビデオのデジタル地上テレビ放送に関して、約6Mbit/sのビットレートが、画像品質と伝送帯域幅効率との間の良好な妥協点であると考慮される。(これの更なる詳細は、“MPEG-2 Video Compressions,”IEEE Electronics & Communication Engineering Journal,December 1995,pp.257-264に見出され得る。)しかし、放送局は、ときどき、多重化によりより多くの番組を有するために、6Mbit/sよりかなり低いビットレートを選択する。一方で、多くの処理機能は、デジタル圧縮を考慮するのに失敗する。結果として、これらは、次善に圧縮デジタルビデオに実行し得る。
【0004】
MPEG-2は、デジタルビデオ圧縮標準として広く採用されており、新しいデジタルテレビサービスの基礎である。個々のMPEG-2後処理技法を方向付けるメトリック(metrics)が開発されている。斯様なメトリックの1つは、“A New Enhancement Method for Digital Video Applications”,IEEE Transactions on Consumer Electronics,Vol.48,No.3,August 2002,pp.435-443における記事に規定される。この記事において、復号化された圧縮デジタルビデオの後処理に関するシャープネス増大方法の実行を向上する有用性メトリック(UME:Usefulness Metric for Enhancement)が規定される。しかし、完全なデジタルビデオ後処理システムは、シャープネス増大だけでなく、解像度増大及びアーチファクト低減も含まなければならない。シャープネス増大に関するUME及び他のメトリックのフォーカスだけでは、これらの有用性を制限する。
【0005】
画像品質は、(例えばDTV,DVD,DVDレコード等の)デジタルビデオ製品に関する最も重要な点のうちの1つである。これらの製品は、ビデオリソースをMPEG-2で受信及び/又は記憶する。MPEG-2圧縮標準は、ブロックに基づくDCT変換を用い、画質品質を低減する符号化アーチファクトになり得る不可逆(lossy)圧縮である。これらの符号化アーチファクトの最も一般的かつ視覚的なものは、ブロック歪(blockiness)及びリンギング(ringing)である。これらの製品で実行されるビデオ後処理機能のなかには、アップスケーリング及びシャープネス増大から成るシャープネス増大又は解像度増大があり、MPEG-2アーチファクト低減は、品質向上に関して重要な機能である。これら2つの機能にとって、互いの効果を相殺しないことが有益である。例えば、MPEG-2ブロッキングアーチファクト低減は、画像をぼやけさせる傾向がある一方で、シャープネス増大は、画像をよりシャープにする。これら2つの機能間の相互作用が無視される場合、終了結果は、以前のブロッキングアーチファクト低減作用がブロック効果を低減したものの、シャープネス増大によるブロッキング効果を修復することになり得る。
【0006】
ブロック歪は、隣接するブロックの個別の符号化により、ブロック境界において可視不連続性として現れる。リンギングは、通常滑らかなテクスチャの領域における高コントラストエッジに沿って最も明白であり、エッジから外側へ延在するリップルとして現れる。リンギングは、エッジの表現において重要な役割を演じる高周波数DCTコンポーネントの突然の切頭により生じられる。
【0007】
特定の既知のメトリックは、ビデオエンハンスメントを提供するのに、及びアーチファクト低減及び他のビデオ劣化の潜在的なソースを扱うのに必須な情報を提供するのに有益である。しかし、これら既知のメトリックの決定は、非常に複雑な計算技法を必要とする。斯様であるので、これらの技法を用いるビデオ品質強化は、通常、より費用掛かるコンポーネントに関して留保される。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
したがって必要とされるものは、少なくとも上記で参照される既知の技法の欠点を対処する信号のビデオ品質のメトリックを決定する方法及び機器である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
1つの例証の実施例によると、符号化ビデオ信号を処理するステップを決定する方法が、前記符号化ビデオ信号を復号化するステップと、前記復号化ビデオ信号からフレームに関するグローバルインディケータ値を決定するステップと、前記グローバルインディケータに基づき前記フレームの前記復号化ビデオにビデオ処理を提供するステップと、を含む。
【0010】
別の例証の実施例によると、符号化デジタルビデオ信号を処理する機器が、符号化ビデオ復号器と、メトリック計算モジュールと、ビデオ処理モジュールと、を備え、前記メトリック計算モジュールが、前記符号化ビデオ信号の品質を示すグローバルインディケータの少なくとも1つの値を計算し、前記メトリック計算モジュールが、前記値に応じて前記符号化ビデオ信号を選択に処理する前記ビデオ処理モジュールに前記グローバルインディケータ値を供給する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下の詳細な説明において、制限する目的ではなく説明する目的で、特定の詳細を開示する例証の実施例が、本発明の完全な理解を提供するために示される。しかし、本発明が本文書で開示される特定の詳細から逸脱する他の実施例で実施され得ることは、本発明の利益を有した当業者にとって明らかである。更に、周知の機器及び方法の説明は、本発明の説明を曖昧にしないようにするために省略され得る。斯様な方法及び機器は、該例証の実施例を実施することにおいて本発明者の考慮の範囲内に明らかにある。可能であるいずれの箇所においても、同様の参照符号は、全体にわたり同様の特徴を参照する。
【0012】
簡潔に言うと、例証の実施例は、符号化ビデオを処理する方法及び機器に対して描かれる。該例証の実施例は、フレーム内のビデオ信号の品質を示すメトリックを計算するステップを含む。例証的に、該メトリックは、フレーム毎のグローバルインディケータ(ここではGIframe又はGIと称される)と称され、該ビデオ信号の品質を定量化する1つ又は複数のパラメータから成り得る。2つの符号化パラメータが、例証的に、例証の実施例においてGIを計算するのに用いられる。第1は、量子化パラメータ(q_scale)であり、第2は、輝度ブロックを符号化するのに費やされるビットの数(num_bits)である。q_scaleは、各16×16画素マクロブロックに関する量子化スケールである。このパラメータは、直ちに、符号化ビデオビットストリームから抽出され得る。更に、各8×8ブロックに関するnum_bitsは、直ちに、わずかな計算費用で復号化ビットストリームから決定され得る。更には、色度ブロックを符号化するのに費やされるビットの数もGIを計算するのに用いられ得ることを特記される。
【0013】
本文書の更なる詳細に記載されるように、1つの例証の実施例において、GIは、q_scaleに反比例する。別の例証の実施例において、GIは、フレーム内の複数のマクロブロックに関するq_scale値の合計に反比例である。マクロブロックの数は、フレーム全体を含み得るか、又はその一部のみであり得る。更に、他の例証の実施例において、GIは、num_bitsに比例し得る。更なる他の例証の実施例において、GIは、フレームを構成する複数のブロックに関するnum_bitsの合計に比例し得る。同様に、ブロックの数は、フレーム全体を含み得るか、その一部のみであり得る。
【0014】
特定の例証の実施例を説明する前に、該例証の実施例のビデオ圧縮技術は例証的にMPEG-2であることを特記される。しかし、他の圧縮技術が、例証の実施例を実施するのに有益である。これらの圧縮技術は、例証的に、2〜3例を挙げるとMPEG-1、MPEG-4及びMPEG-7を含む。通常、例証の実施例と調和を保つのに、メトリックが計算され、比較的簡素なやり方でフレームを特徴付けるのに用いられ得る。斯様であるので、様々なビデオ圧縮技術が、例証の実施例から有益であり得る。加えて、例証の実施例においてGIを計算するのに用いられる符号化パラメータnum_bits及びq_scaleは、単に例証的なものであることを特記される。斯様であるので、復号化ビデオ信号の品質を定量化するのに有用な他の符号化パラメータが用いられ得る。最後として、本文書に記載される方法及び装置は、ソフトウェア又はハードウェアで実施化され得、又はハードウェアとソフトウェアとの組合せが所望の性能レベルを得るために用いられ得る。
【0015】
図1は、例証の実施例に従うビデオ処理システム100の概略ブロック図である。該例証の実施例において、符号化/処理化ビデオフォーマットは、例証的に、MPEG-2であり、システムのモジュールは、MPEG-2信号を処理するためのものである。しかし、上記に参照されるように、他の種類の符号化も例証の実施例の範囲内で用いられ得る。斯様であるので、復号器モジュールがMPEG-2復号器としてラベル付けされる又は称される一方で、該復号器モジュールは、例えばMPEG-4復号器であり得ることを理解される。図1の例証の実施例のモジュールは、ここで説明される機能を実行するハードウェア若しくはソフトウェア、又はその両方を含むことも特記される。このハードウェハ及び/又はソフトウェアは、当該技術分野の通常の技術のうちの1つの範囲内にあり、したがって、例証の実施例の説明を曖昧にしないようにするために詳細には説明されない。
【0016】
システム100において、MPEG-2ビットストリーム101は、MPEG-2復号器102に入力され、ビットストリーム101を復号化する。復号器102は、ビットストリーム101から復号化ビデオ信号(ビットストリーム)104及び符号化情報103を出力する。該符号化情報は、本文書で説明される例証の実施例の方法に従いGIの計算を含む更なる処理に関して示されるグローバルインディケータ計算モジュール106に入力される。任意選択的に、(図示されない)タップが、例証の実施例の方法に従いGIの計算を含む更なる処理に関してGI計算モジュール106に復号化ビデオ105の一部を供給する。
【0017】
GI計算モジュール106は、ここで説明される方法によってGIを計算するハードウェア、ソフトウェア又はその両方を含む。GIが計算された後に、GI値109はビデオ処理モジュール107に入力される。例証的に、該ビデオ処理モジュールは、ビデオエンハンスメントモジュール110、アーチファクト低減モジュール111及びノイズ低減モジュール112を含む。
【0018】
当該説明が進むに連れて更に明らかになるように、モジュール110〜112は、復号化ビデオを特定の順序で処理し得る。順序だけでなく処理の程度も、各特定のフレーム又はフレームの一部に関するGIの値109によって支配されるGIによって決定され得ることを特記される。モジュールのすべてが必ずしも各フレームの符号化ビデオを処理しないことを特記される。例えば、あるフレームに関するGI値が著しいアーチファクトが存在することを示す場合、ビデオエンハンスメントモジュール110がアーチファクトを増大させ得るので、ビデオエンハンスメントモジュール110は用いられ得ない。代替的に、アーチファクトを増大する可能性を低減するために、ビデオエンハンスメントモジュール110が信号を処理する前に、アーチファクト低減モジュール111が復号化ビデオ105を処理し得る。
【0019】
ビデオ処理モジュール107及びこのモジュールから成るモジュールは、技術分野において既知である。斯様な装置は、デジタルビデオ処理技術の当業者の範囲にあり、例証の実施例の説明を曖昧にしないようにするために詳細には説明されない。しかし、例証の実施例のメトリックである、すなわちGI(109)は、符号化ビデオ信号の品質についてこれらのモジュール(110〜112)にフィードバックを最終的に提供することを特記される。これらのモジュールの斯様な修正が、この新規のメトリックを用いるモジュールを適合するのに必要であり得るからである。
【0020】
最終的に、モジュール110〜112のそれぞれが復号化ビデオ104を処理した後で、後処理ビデオ信号108が出力される。
【0021】
図2は、例証の実施例に従う符号化デジタルビデオ信号200の処理する方法のフローチャートである。方法200のステップは、上記のビデオ処理システム100などのシステムを組み合わせて有用に実行される。斯様であるので、当該方法の特定の態様を例証及び強調するために、システム110の様々なコンポーネントに参照がされる。
【0022】
初めに、MPEG-2又は他のフォーマット化されたビットストリームなどの入力符号化デジタルビデオ信号(ビットストリーム)201は、ステップ202で、上記のモジュール102などの復号化モジュールによって復号化される。次に、ステップ203において、符号化情報が、モジュール106などのGI計算モジュールに供給される。この情報が例証的な方法のこのステップで供給されることに加えて、復号化ビデオビットストリームの一部が供給され得る。この復号化ビデオは、後続のステップにおけるフレームに関するGIの計算で役に立ち得る。
【0023】
GI計算モジュールは、ステップ204において、特定のフレームに関するGI値を計算する。例証的な計算方法は、例証の実施例と組み合わせて以下に説明される。しかし、復号化ビデオの品質を決定するのに用いられ得る多数のパラメータが存在するので、該例証的な方法が制限をすることを意図されないことを強調される。むしろ、例証の実施例に従い、様々な他のパラメータが、ビデオの品質を示すビデオの特定のフレームに関するグローバルメトリックを比較的簡単な方法で及び実時間で計算するのに用いられ得、これにより更なるビデオ処理ステップがフレームのビデオの品質を向上するように生じられ得ることが強調される。
【0024】
第1の方法において、フレームに関するGI値は、
【数1】

によって最小値として計算される。
【0025】
この計算例において、2つのパラメータが、特定のフレームに関するGI値を形成するのに用いられる。すなわち、第1因数であるq_scaleは、どのくらいの量子化が特定のマクロブロック(16×16の画素)に適用される必要があったかを示し、したがって、マクロブロックの圧縮の程度を示す。斯様であるので、小さいq_scale値は、著しい圧縮程度を有さない良い品質のビデオマクロブロックを示す。斯様なq_scale値は、マクロブロックが、比較的圧縮しやすく、ブロッキング及びリンギングアーチファクトが比較的ないということを示し得る。更に、斯様な値は、マクロブロックの関連する情報の比較的小さな部分が、圧縮により失われたことを示す。したがって、数式(1)により、q_scale値などの最低値は、良好なビデオフレームを示す、比較的高いGI値を提供する傾向があり得る。
【0026】
代替的に、q_scale値が、比較的高い場合、マクロブロックは、比較的高い程度の圧縮を必要としていて、かなり著しい量の関連するビデオ情報が、圧縮処理で失われている。更に、マクロブロックは、比較的大きな部分のブロッキング及びリンギングアーチファクトを有し得る。斯様なq_scale値は、低い品質ビデオフレームを示す比較的低いGI値を提供する傾向にあり得る。
【0027】
GIが直接比例するもう1つの因数は、num_bitsすなわち8×8ブロック毎に符号化するのに用いられるビットの数である。理解され得るように、比較的大きい数のブロック毎のビットの数が存在する場合、より多くのビデオ情報及びおそらく良い品質のビデオブロックが存在する。したがって、この値が比較的大きい場合、フレームの品質はより良いものであり、おそらく劣等な品質フレームよりも少ないアーチファクトをフレームに有することになる。num_bitsが減少される場合、GIは一定である。同一の「シーン」内容が減少され、品質は低下されると仮定する。この場合、フレームにおいてより多くのアーチファクトが存在する可能性がある。このことは、ビデオが可変ビットレートで符号化された場合に発生し得る。しかし、num_bitsの値が定数である場合、q_scaleが高ければ高い程(GIが低い程)、フレームにアーチファクトがますます存在し得る(逆も同様である)。例証的に、このことは、一定ビットレート符号化に関して組み込まれ得る。
【0028】
最後として、フレームの選択された領域に関する複数のGI値は、数式(1)の修正版を通じて決定され得ることを特記される。これにより、平均GI値が決定され、復号化ビデオを処理するのにビデオ処理モジュールに入力され得る。代替的に、個々のGI値は、個々の要件に基づき各領域に関して所望の処理(例えば、ビデオエンハンスメント、アーチファクト低減、ノイズ低減)をもたらすために、各個々の領域の復号化ビデオを選択的に処理するビデオ処理モジュールに入力され得る。
【0029】
別の例証の実施例に従うと、グローバルインディケータは、
【数2】

によって、ステップ204で計算され得る。
【0030】
したがって、数式(2)は、フレーム内の合計ブロック数に関する比率(num_bits/q_scale)の平均を計算する。この値は、フレームの平均品質を示す。数式(1)を通じたGIの計算と関連させて説明されるように、当該例証の実施例のGIは、ビデオ処理モジュールに入力され、その値に基づき、品質を増加させるために、復号化ビデオに適用されるビデオ処理の種類及び適切な程度を選択するのに用いられる。例証の実施例のGI値のように、数式(2)からのGI値が大きければ大きいほど、ビデオの品質は良くなり、したがって、アーチファクト低減、ビデオ処理、及び場合によっては必要とされるより多くのシャープネス強化が少なくなる。前記値が低いほどビデオの品質は乏しくなり、フレームの復号化ビデオのより多くの処理が必要とされ得る。
【0031】
前記例証の実施例と同様に、数式(2)は、複数の領域に適用され得、複数の平均値を生じ、各領域に関して1つである。数式(2)は、フレーム全体に対してではなく特定の領域に対する合計数及び平均値を用いて修正され得る。これらのGI値は、各領域に関して個々の値を平均化することによってより正確な平均値を計算するのに用いられ得るか、又は上記のように、個別に、各領域に関して復号化ビデオを処理するのに用いられ得る。
【0032】
上述のように、上記の例証の実施例で用いられるパラメータ及び適用される計算法は、可能な実施例の範囲を制限するように意図されていない。このことを達成するために、当該開示を精査した当業者は、これらの範囲内にある、GIを計算するのに用いられ得る他のパラメータ及び計算法を理解し得ることは明らかである。これらは、当該実施例の範囲内にあるように意図される。
【0033】
ビデオ信号が圧縮MPEG-2信号である当該実施例において、これらのGI値は、I(Intra)フレームに関して計算され得ることを特記される。P(Predictive)フレーム及びB(Bi-directional)フレームに関しては、前のIフレームに関して計算されたGI値が用いられ得るか、又はIフレームのGI値は、P及びBフレームがIフレームよりわずかに低い品質を通常有するという事実を利用するように変調され得る。更に、シーン変化がP又はBフレームで生じる場合、GIは、フレーム内符号化ブロックのみを用いてフレームに関して1つ(又は複数)を計算することによってリセットされ得る。シーン変化の間において、GIは、突然の変化を避けるために、低域通過フィルタを用いて一時的に処理され得る。
【0034】
ステップ204でフレーム又は領域のGI値が計算された後で、その値は、ビデオ処理モジュール109に伝送され、該ビデオ信号は、ステップ205において、GI値を用いて処理される。上記の参照されるように、GIの値は、特定のフレーム又は領域の復号化ビデオの品質を示し、及び復号化ビデオ信号における欠陥、及び不足を適切に対処するために、ビデオ処理モジュール109のモジュール110〜112によって組み込まれる。例えば、GI値が低い場合、アーチファクトが存在する可能性がある。アーチファクト低減モジュールは、仮になんらかのビデオエンハンスメントが実行される場合、いずれのビデオエンハンスメントの前にこれらのアーチファクトを低減し得る。別の例を用いると、GI値が高い場合、復号化ビデオの品質は良好であり、比較的アーチファクトがない。この場合、アーチファクト低減は、オフにされ、ビデオエンハンスメントが実行される。必要である場合、ノイズ低減が、これらの例においてと同様に実行され得る。
【0035】
最終的に、ステップ205の完了の後に、後処理ビデオ信号がステップ206で出力される。
【0036】
この開示を考慮して、ここで説明される様々な方法及び装置は、所望の性能レベルを達成するために、ソフトウェア、ハードウェハ又は2つの組合せで実施化され得ることを特記される。更に、様々な方法及びパラメータは、例としてのみ含まれ、いかなる制限する意味にはない。したがって、記載の実施例は、単に例示的であり、フレーム又はフレームの複数の領域に関するグローバルインディケータを提供する。このグローバルインディケータは、該グローバルインディケータに基づき復号化ビデオビットストリームを処理するビデオ処理モジュールに入力され得る。この開示を考慮して、当業者は、添付の請求項の範囲内に留まる一方で、復号化デジタルビデオの自身の処理を決定するために、様々な装置及び方法の例を実施化し得る。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】図1は、1つの例証の実施例によるビデオ処理システムの概略的なブロック図である。
【図2】図2は、1つの例証の実施例による符号化ビデオを処理する方法のフローチャートである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
符号化ビデオ信号を処理する方法であって、
前記符号化ビデオ信号を復号化するステップと、
復号化ビデオ信号の符号化情報からフレームに関するグローバルインディケータ値を決定するステップと、
前記グローバルインディケータに基づき前記フレームの前記復号化ビデオにビデオ処理を提供するステップと、
を含む方法。
【請求項2】
前記ビデオ処理が、ビデオエンハンスメント、アーチファクト低減、及びノイズ低減から本質的に成る、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記グローバルインディケータが、量子化パラメータに反比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記グローバルインディケータが、輝度ブロックを符号化するのに費やされるビットの数に比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記グローバルインディケータが、色度ブロックを符号化するのに費やされるビットの数に比例する、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記グローバルインディケータが、前記フレームの領域の複数のグローバルインディケータ値の平均値である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記方法が、比較的大きい数のアーチファクトを示す前記グローバルインディケータの値に基づき前記ビデオエンハンスメントを実行しないステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項8】
前記方法が、もし実行するとしても、比較的大きい数のアーチファクトを示す前記グローバルインディケータの値に基づき、前記アーチファクト低減を実行した後にのみ前記ビデオエンハンスメントを実行するステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項9】
前記方法が、比較的高品質な復号化ビデオ信号を示すグローバルインディケータの値に基づきビデオエンハンスメントステップを実行しないステップを更に含む、請求項2に記載の方法。
【請求項10】
符号化ビデオ復号器モジュールと、
メトリック計算モジュールと、
ビデオ処理モジュールと、
を備える、符号化デジタルビデオ信号を処理する機器であって、
前記メトリック計算モジュールが、前記符号化ビデオ信号の品質を示すグローバルインディケータの少なくとも1つの値を計算し、前記メトリック計算モジュールが、前記グローバルインディケータを、前記符号化ビデオ信号を前記値に応じて選択に処理する前記ビデオ処理モジュールに供給する機器。
【請求項11】
前記ビデオ処理モジュールが、ビデオエンハンスメントモジュールを含む、請求項10に記載の機器。
【請求項12】
前記ビデオ処理モジュールが、アーチファクト低減モジュールを含む、請求項10に記載の機器。
【請求項13】
前記グローバルインディケータが、量子化パラメータに反比例する、請求項10に記載の機器。
【請求項14】
前記グローバルインディケータが、色度ブロックを符号化するのに費やされるビットの数に比例する、請求項10に記載の機器。
【請求項15】
前記グローバルインディケータが、前記フレームの領域の複数のグローバルインディケータ値の平均値である、請求項10に記載の機器。
【請求項16】
前記モジュールのそれぞれが、ハードウェア、ソフトウェア、又はその両方で実施化される、請求項10に記載の機器。
【請求項17】
前記グローバルインディケータの値が比較的大きい数のアーチファクトを示す場合に、ビデオエンハンスメントステップが実行されない、請求項11に記載の機器。
【請求項18】
前記ビデオ処理モジュールが、もし実行するとしても、比較的大きい数のアーチファクトを示す前記グローバルインディケータの値に基づき、アーチファクト低減を実行した後にのみビデオエンハンスメントステップを実行する、請求項10に記載の機器。
【請求項19】
前記機器が、ビデオ表示装置に含まれる、請求項10に記載の機器。
【請求項20】
前記符号化ビデオが、MPEG-1、MPEG-2、MPEG-4又はMPEG-7のうちの1つを用いて符号化される、請求項1に記載の機器。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2007−525902(P2007−525902A)
【公表日】平成19年9月6日(2007.9.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−500345(P2007−500345)
【出願日】平成17年2月23日(2005.2.23)
【国際出願番号】PCT/IB2005/050665
【国際公開番号】WO2005/086491
【国際公開日】平成17年9月15日(2005.9.15)
【出願人】(590000248)コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Fターム(参考)】