説明

圧縮空気絞り弁装置および粉末吹付被覆装置

【課題】単純な形で微調整することのできる絞り弁装置を提供すること。
【解決手段】特に粉末吹付被覆装置のための圧縮空気絞り弁装置が、少なくとも1つの調整可能な絞り弁22、122を備えており、少なくとも1つの絞り弁22、122の設定に応じて電気回路44を交互に遮断しおよび閉じるために導電性接触要素46、48、50が備えられている少なくとも1つの電気回路44が使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特許請求項1の前文で特許請求されている特に粉末吹付被覆装置のために使用される圧縮空気絞り弁装置に関する。さらに、本発明は、少なくとも1つのこのような絞り弁装置を含む粉末吹付被覆装置に関する。
【背景技術】
【0002】
上記種類の絞り弁装置を備える粉末吹付被覆装置は、特許文献1から公知である。この粉末吹付被覆装置は、ベローズ連結部分を介して弁要素を回転させる電気ステップモータを備える。この弁要素には、ハウジングねじ山に係合するねじ山が備えられており、これによって、弁座内に存在している絞りダクトの開口を変化させるように、上記弁要素の回転中に上記弁要素が弁座に対して相対的に軸方向に移動させられる。上記特許は、さらに、互いに反対の形に形状構成されておりかつ上記ステップモータによって駆動される2つの絞り弁を有する絞り弁装置も示し、この結果として、上記ステップモータの回転方向に応じて、一方の絞り弁を開いている最中は他方の絞り弁が閉じるか、または、これとは反対に動作する。このステップモータは、その基準位置から一方の絞りダクトの予め決められた最小開口へと、特定のステップ数だけ回転させられる。
【0003】
実際には、この公知の絞り弁装置の弁は、基準位置においてその最小開口にあり、および、上記最小開口は、絞り弁装置を動作させる前に測定され、および、所望の動作圧縮空気流を調整するためにステップモータが電気的に制御される時に計算に入れられる、圧縮空気漏洩流に対して少なくとも完全に閉じた状態または多くともわずかに開いた状態である。製造公差と、回転ステップの終点におけるモータ軸の角位置を計算に入れる必要性とを考慮すると、特定の空気流が絞り弁装置の弁の中を通過することを可能にするために、上記ステップモータのステップの数を計数する基準となる基準位置として絞り弁装置の完全閉位置を使用することは、実際にはきわめて困難である。
【0004】
添付図面の図1は、上記特許文献1において定義されている吹付被覆システムの最新技術の実施形態を示す。電気ステップモータ2が、弁座10に対して相対的に弁要素6の弁ニードルの先端8を調整するために、および、このようにして、この弁座10内に配置されている絞りダクト12の開口を調整するために、予め決められた回転ステップ数だけ弁要素6をベローズコネクタ(bellows connector)4によって回転させるように、省略されている電気制御装置によって駆動される。この弁要素6には、ハウジング17のねじ山16に係合するねじ山14が備えられており、こうしてステップモータ2の回転移動を弁要素6の軸方向の移動に変換する。絞りダクト12の最小開口および好ましくはゼロの開口(しかし、絞りダクトのこのような完全閉鎖は実際には実現が非常に困難である)では、弁要素6のさらなる回転と、したがって、弁要素6のさらなる軸方向移動とが、ハウジング17の止め具20に対して円周方向に押し当たる弁要素6の止め具18によって止められる。弁要素6の360°より大きい回転によって絞りダクト12の開きを可能にするために、2つの止め具18、20が、図1に示されているように、これらの止め具が互いに通過し合って回転させられることが可能であるように十分なだけ、すでに互いに空間的に離れていなければならない。この要件が、絞りダクト12の横断開口の開口の基準位置として、さらには相対的に大きいピッチのねじ山14、16として、最小設定において2つの止め具18、20の軸方向に非常に短い重なり合いを生じさせる。しかし、ねじ山のピッチが大きければ大きいほど、ステップモータ2の各ステップ毎の弁要素6の軸方向移動が大きい。したがって、絞り弁装置の弁8、10、12の微調整が不可能にされる。この問題点が、特定の構成要素の製造公差によってさらに悪化させられる。一方では、絞りダクト12の中を通過する圧縮空気の流れの高度に正確な調整と、こうした圧縮空気流における小さな変化を設定する能力とが、望ましい。しかし、この最新技術のシステムは、2つの止め具18、20が回転接触する時には、ステップモータ2がその電気的制御装置によって必要とされる回転ステップを未だ完了していないので、調整のエラーをすでに生じさせるだろう。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】欧州特許出願公開第1156882号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明の目的は、最新技術で可能であるものよりも単純な形で絞り弁装置を微調整する方法を作り出すことである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、特許請求項第1項の絞り弁装置の特徴によってこの問題を解決する。
【0008】
粉末吹付被覆装置の場合に、必要とされる被覆粉末の量/速度に関係する適切な被覆品質および適切な効率が、細かいステップにおいて正確に調整可能であり、または、連続的に正確に調整可能である圧縮空気の適切な流れに依存するので、本発明の絞り弁装置は、粉末吹付被覆装置に適用される時に特に有利である。これらの要件のすべてが、現在においては本発明によって実現される。
【0009】
さらに、本発明は、粉末吹付被覆装置以外にも適用可能であり、すなわち、圧縮空気または液体の流れの微調整が必要とされる場合に適用可能である。
【0010】
本発明のさらに別の特徴が従属特許請求項において言及されている。
【0011】
本発明を、好ましい実施形態の図面に関連付けて以下で説明する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】図1は、粉末吹付被覆装置で使用される最新技術の圧縮空気絞り弁装置を概略的にかつ部分的に軸方向断面において示す。
【図2】図2は、この例では絞り弁装置をそれを基準として制御するための基準位置である、部分的にまたは完全に閉じられている位置にある本発明の圧縮空気絞り弁装置を、図5の平面II−IIに沿った軸方向断面において示す。
【図3】図3は図2の拡大細部IIIである。
【図4】図4は図2の拡大細部IVである。
【図5】図5は、図2の矢印Vの方向で見た場合の図2の絞り弁装置の正面図である。
【図6】図6は、絞り要素がその広く開いた位置にある時の本発明の絞り弁装置の軸方向断面である。
【図7】図7は図6の拡大細部VIIである。
【図8】図8は図6の拡大細部VIIIである。
【図9】図9は、図6の矢印IXの方向で見た場合の本発明の絞り弁装置の背面図である。
【図10】図10は、上述の第1の絞り弁が完全に閉じられているかまたは部分的に閉じられている位置にある、本発明の第1の実施形態に類似している、本発明の絞り弁装置のさらに別の実施形態の縦断面であり、この閉じられた位置は、絞り弁装置を制御する基準となる基準位置として使用され、この場合に、第1の絞り弁と第2の絞り弁とに加えて、さらに使用され、上記第2の弁は、第1の弁が反対方向に動かされる時に、弁の開きを生じさせる方向に移動させられ、および、上記第2の弁は、第1の弁が開き方向に動かされる時に反対方向すなわち閉じ方向に移動させられ、および、図10は、閉じた位置またはほぼ閉じた位置における第1の絞り弁と、完全に開いた位置またはほぼ完全に開いた位置における第2の絞り弁とを示す。
【図11】図11は、第1の弁が完全に開いているかまたはほぼ完全に開いており、かつ、第2の弁が完全に閉じているかほほ完全に閉じている時の図10の絞り弁装置を示す。
【図12】図12は、図2から図10の中の1つの図に示されておりかつ少なくとも1つの圧縮空気経路の中に挿入されている本発明の絞り弁装置を備える、本発明の粉末吹付被覆装置を概略的に示す。
【図13】図13は、図2から図9に示されている2つの絞り弁装置が、図10と図11とに示されている2つの互いに反対側に位置しておりかつ連携して作動させられる絞り弁装置弁によって置き換えられている、図12の粉末吹付被覆装置の一部分を示す。
【発明を実施するための形態】
【0013】
図2から図9に示されている本発明の圧縮空気絞り弁装置21は、弁22と、絞り弁22を調整する軸26が取り付けられている制御された電気モータ24とを含む。モータ24は任意のものでよく、および、その軸26は、決められた角位置に回転的に駆動される。このモータ24が電気モータであることが好ましい。電気モータ24のハウジング30が、湾曲した弾性の棒32によって弁ケース34に固定されている。この湾曲した弾性棒32は、モータハウジング30の後端面36と弁ケース34のフランジ38の前端面37との間で応力をかけられている。弁ケース34上にモータハウジング30を非回転的に固定するために、上記の2つの構成要素が、モータ24の軸方向の中心線39に対して平行にかつ偏心的に延びるプラグインコネクタ(plug−in connector)に連結されている。図2に概略的に示されているように、例えば、上記プラグインコネクタには、例えば弁ケース34に配置されている突起部40と、モータハウジング30のような他の構成要素の凹み42とが備えられている。このような非回転性は、さらに、モータハウジング30とフランジ38との間のねじのような他の手段を使用して実現されることも可能である。
【0014】
さらに、本発明は、絞り弁の設定に応じて電気回路44を交互に開閉するために、少なくとも2つ(例えば、3つ)の導電性接触要素46、48、50が備えられている電気回路44を提供する。
【0015】
本発明の特別な実施形態では、この接触要素の少なくとも1つ、例えば接触要素50が、軸方向に移動可能な弁部品52上に取り付けられており、および、この接触要素は、調整可能な弁部品52の一部分である弁要素の弁頭部58(好ましくは弁ニードル)を使用して、弁座54内の絞り弁装置ダクト56の開口を変化させるために、その他の接触要素の少なくとも1つに対して相対的に、例えば、その他の2つの接触要素46、48に対して相対的に、および、これによって、同時に、絞り弁装置弁22の弁座54に対して相対的に、モータ24によって弁部品52と共に移動させられることが可能である。
【0016】
弁ニードル60は、この弁ニードル60自体が回転させられることなしに、モータ軸26を回転させることによって軸方向に移動可能であるように、モータ軸26に連結されている。このために、弁ニードル60は弁ケース34の通路64内を軸方向に案内される。通路64は、少なくともその長さの一部分に沿っては非円形であり、および、弁ニードル60の回転を不可能にするために、例えば正方形/長方形のような多角形であることが好ましい。図面に示されている好ましい実施形態では、ねじ山付きのブッシュ62が弁ニードル60の後端に取り付けられており、および、このブッシュが、射出成形によって形成されており、かつ、通路64の多角形の内側周縁部分68に沿って軸方向に案内される多角形の外側周縁部分66を備えることが好ましい。ねじ山付きブッシュ62には、モータ軸26上に非回転的に取り付けられている第2のねじ山付きブッシュ74の外側ねじ山72に係合する内側ねじ山70が備えられている。
【0017】
電気回路44の導電性接触要素46、48、50は、スペーサ80の前方に向いた端面76と後方に向いた端面78との間の通路64内において弁ニードル60の周りに配置されている。スペーサ80は、通路64のオフセット(offset)の後方に向いた端面82に対して軸方向に押し当たる形で支えられている。
【0018】
通路64の開口部分84はオフセット82によって締め付けられ、および、第1の弁チャンバ88に対してシール86によって封止されている。絞り弁22は、第1の弁チャンバ88と第2の弁チャンバ90との間に配置されている。
【0019】
本発明の好ましい実施形態では、2つの不動の接触要素46、48は、中心線39に対して垂直である横断平面内においてスペーサ80の後方に向いた端面78において静止した形で互いから一定の間隔を置いて配置されている。移動可能な接触要素50は、移動可能な弁部品52と共に移動可能であり、および、2つの接触要素46、48を橋絡する橋絡接触子として設計されており、この結果としてこれらの電気接触要素はセンサを構成する。橋絡接触子として設計されている接触要素50は、弁ニードル60が予め決められた基準位置に着き終わった後にだけ、好ましくは、図2と図3と図4とに示されているように弁ニードル60が絞りダクト56をほぼ完全に閉じるかまたは好ましくは完全に閉じる時に、2つの不動の接触要素46、48に接触してこれらを橋絡する。
【0020】
電気接触要素46、48、50が閉じられると、基準信号が、概略的にだけ示されている電気制御装置89内で発生され、この信号は絞り弁22の基準設定(基準位置)に対応し、および、この設定/位置が、完全に閉じているかまたはほぼ閉じている絞り弁の閉じ位置であることが好ましい。この基準位置が絞り弁22の部分的に閉じた位置にすぎない場合には、この結果として生じる絞り弁22の中を通って流れる圧縮空気の漏洩が測定されることが可能である。ステップモータ24の各ステップ毎に、圧縮空気のわずかな増分が絞り弁22の中を通過しているように、絞り弁22が少しずつ大きく開かれる。したがって、モータ24上の制御装置89によって抑制される各回転ステップは、絞り弁22を通過する測定可能な圧縮空気の予め決められた測定可能な量/速度に関係する。この結果として、圧縮空気の所望の量/速度が常に再現可能である。
【0021】
弁ニードル60を開く移動の開始時点において、その弁ニードルと共に同様に移動可能である接触要素50が接触要素46、48から遠ざかる形で移動させられ、および、これによって電気回路44が遮断されるように、絞り弁が設計されている。
【0022】
図2と図6とに示されているように、調整可能な弁部品52と、したがってさらには弁ニードル60とが、例えば6mmの調整距離だけ調整されてよく、および、ねじ山付きブッシュ62の後端とモータハウジング30との間の軸方向距離が、図2から図4の基準位置の場合に例えば8mmであり、および、図6から図8に示されている完全に開いた弁位置では例えば2mmである。導電性接触要素46、48、50は、弁ニードル60の基準位置においてだけ互いに接触するが、この弁ニードルの他の想定可能な軸方向位置では接触しない。接触要素46、48、50が互いに接触する時には、電気回路44は閉路され、および、これらの接触要素が互いに接触しない時には遮断される。
【0023】
本発明は、さらに、上記の好ましい弁ニードルの基準位置が別の基準位置によって置き換えられる時にも実現可能である。
【0024】
2つの不動の接触要素46、48には、図5と図9とに示されている電気端子46−1、48−1がそれぞれに備えられている。
【0025】
移動可能な接触要素50は、連係動作のために、移動可能な弁要素52(好ましくは弁ニードル60)に連結されており、および、弁ニードル60を囲む導電性の接触環であることが好ましく、および、弁ニードル60に形成されているか、または、好ましくは図面に示されているようにねじ山付きブッシュ62の前方に突き出している環状カラー94において形成されている、前方に向いた支え表面(rest surface)92上に、傾くことができるような形で横たわっている。接触環50が傾くことが可能なので、接触環50は、その接触環50が固定接触要素46、48の一方だけに押し当たるだけでなく、不動の接触要素46、48の両方に押し当たり、および、橋絡接触子として作用する接触環50に対してこれらの接触要素46、48の接触表面が平行に延びない時に、これらの接触要素46、48を互いに電気的に接続することを確実なものにする。
【0026】
調整可能な弁部品52の軸方向の設定において接触要素50を支持表面92に押し当たる状態に保つために、コイル圧縮ばね96が、移動可能な接触要素50(橋絡接触子、接触環を含む)とスペーサ80との間において軸方向に応力が加えられる。さらに、この圧縮ばね96は、ねじ山70、72の歯が常に同一の軸方向において互いに対して押し当り、この結果として、これらの歯の間の遊びと公差とが絞り弁22の調整精度に悪影響を与えないことを確実なものにする。
【0027】
本発明の別の除外された実施形態では、導電性の接触要素はどれも橋絡要素ではなく、および、この代わりに、本発明の設計は、2つの不動の接触要素46、48の一方だけを提供し、および、移動可能な接触要素50には、電気制御装置89に接続されている(電気)端子が備えられており、この結果として、2つの接触要素50、46(または、他の実施形態では50、48)が図2に示されている基準位置で互いに接触する時に上記制御装置内で信号が発生され、および、これらの接触要素が、それぞれに弁ニードル60のすべての他の位置において接触解除状態にあるだろう。
【0028】
図10と図11は、本発明の絞り弁121の別の実施形態を示し、この実施形態では、第2の絞り弁122が、その他の図に関連して説明されている第1の絞り弁22に追加して使用され、および、これら2つの絞り弁は、絞り弁22を開くための移動時に他方の絞り弁122が閉じるように動かされ、および、これとは逆に、絞り弁22が閉じるように動かされる時に他方の弁122が開くように動かされるように機械的に連結されている。こうした機構を具体化するために、および、図10と図11との実施形態に関して、第2の絞り弁122の弁ニードル160が、第1の弁ニードル60の軸方向の延長部分によって形成されている。他方では、第2の弁122は、弁頭部158と、さらには、反対の空間的順序の形に配置されている弁座154と、この弁座154の中を通過する絞りダクト156とを備える。
【0029】
第1の絞り弁22の第1の弁チャンバ88には、外側圧縮空気口88−1が備えられている。第1の絞り弁22の第2の弁チャンバ90は、弁連結ダクト94を経由して第2の絞り弁122の第2の弁チャンバ190と連通する。第2の絞り弁122の絞りダクト156は、この第2の弁チャンバ190と、外側圧縮空気口88−1が備えられている第1の弁チャンバ188との間に配置されている。弁連結ダクト94には、外側圧縮空気口94−1が備えられている。弁連結ダクト94の外側圧縮空気口94−1が圧縮空気供給源に連結されると、矢印96−1、96−2、96−3、96−4によって図10と図22とに概略的に示されているように、この供給源からの圧縮空気96が、決められた量/速度の比率でその都度、単一のモータ24によって、第1の絞り弁22だけを通過して、または、絞り弁22、122の両方を通過して、または、第2の絞り弁122だけを通過して、絞り弁22、122の設定に関係して流れることが可能である。
【0030】
粉末吹付被覆装置においては、正確に設定された圧縮空気の流れによって粉末吹付被覆と被覆品質とが非常に大きく決定されるので、本発明の絞り弁装置の好ましい応用例が粉末吹付被覆装置である。
【0031】
図12は、本発明の粉末吹付被覆装置の数多くの適用可能な実施形態の中の一実施形態を概略的に示す。インジェクタ200が粉末容器204から被覆粉末202を吸い込み、および、圧縮空気流の中のこの粉末を、噴霧穴208または省略されている回転噴霧器が備えられているスプレーガンのような噴霧器206に移動させる。本発明では、上述の発明の形で設計されている絞り弁装置21が、部分真空区域214内に部分真空を生じさせるために、および、これによって粉末容器204から被覆粉末202を吸引するために、圧縮空気213をインジェクタ200に搬送するための空気搬送経路212に沿って圧縮空気211が圧力源210から供給される次の通りの空気経路の少なくとも1つの中に配置され、および/または、被覆粉末が搬送圧縮空気213によって噴霧器206に搬送される、追加の圧縮空気217を粉末/空気搬送経路218に供給するための追加の空気経路216の中に、および/または、噴霧された粉末雲(powder cloud)222を形成するように圧縮空気221を提供するために使用される形成空気経路(shaping air path)220の中に、および/または、粉末流経路内の被覆粉末を静電帯電させるために使用される高電圧電極230に対する圧縮された洗浄空気(rinsing air)227のための電極洗浄空気経路226の中に、および/または、中に収容されている被覆粉末を流動化するように、すなわち、被覆粉末を吸引可能なばらばらの状態に変化させるように、粉末容器204の中に圧縮空気233を流動化するための流動化給送経路232の中に、配置されるだろう。
【0032】
図13は、図12の粉末吹付被覆装置の詳細を示すが、この粉末吹付被覆装置では、図2から図9に示されているような搬送空気経路212と追加の空気経路216との中に異なる形で配置されているindicviualな絞り弁装置21が欠如しているが、この代わりに、その2つの空気経路が、図10と図11とに示されている単一の絞り弁装置121を備えている。上記の単一の絞り弁装置121は図13に概略的にだけ示されている。この絞り弁装置121の絞り弁22は、インジェクタ200の圧縮空気213を搬送するための空気搬送経路212内に配置されている。絞り弁装置121のその他の絞り弁122は、追加の圧縮空気217を粉末圧縮空気流経路218の中に給送するための追加の空気経路216内に配置されている。絞り弁装置121が、搬送空気圧縮空気213の調整が同一の測度において(または、別の予め決められた関係において)追加の圧縮空気217の調整を生じさせるように設計されることが好ましい。このようにして、搬送される粉末の速度(単位時間あたりの量)が、搬送圧縮空気213を調整することによって変化させられることが可能であり、および、これと同時に、粉末圧縮空気流経路218内の空気の量/速度の総計がインジェクタ200の下流において一定不変に保たれるだろう。こうした設計が、本発明の他の実施形態を排除しない好ましい実施形態である。本発明のすべての実施形態が、絞り弁の基準位置が1つまたは複数の電気接触要素によって決定されるという点で本質的な特徴を共有する。
【0033】
すべての絞り弁の実施形態において、弁ニードルの先端が円錐形であることが好ましく、これによって、絞りダクトの初期開口範囲内のニードル移動の場合に、このダクトの中を通過して流れる圧縮空気の量/速度がわずかしか変化させられず、および/または、完全に閉じた弁位置からわずかに開いた弁位置へ絞り弁を開くことが空気流の非常にわずかな増大だけしか生じさせないだろう。
【0034】
本発明のこの好ましい実施形態では、絞り弁は、その基準位置にある時に、完全に閉じられているか、または、ほぼ完全に閉じられているだろう。
【0035】
ブッシュ62、74のねじ山70、72が台形であることが好ましい。
【0036】
導電性接触要素に隣接する構成要素が非導電性材料で作られている。
【0037】
特許請求項が本発明の例示的な実施形態に関する。しかし、本発明は、さらに、特許請求項、上記の説明、および/または、添付図面に開示されているあらゆる特徴と特徴の組み合わせとにも関する。
【符号の説明】
【0038】
22 絞り弁
24 モータ
34 弁ケース
44 電気回路
46 導電性接触要素
48 導電性接触要素
50 導電性接触要素
52 移動可能な弁要素
54 弁座
60 弁ニードル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも1つの調整可能な絞り弁(22、122)を備える、特に粉末吹付被覆装置のための圧縮空気絞り弁装置において、
少なくとも1つの絞り弁(22、122)の設定に応じて電気回路(44)を交互に遮断しおよび閉じるために複数の導電性接触要素(46、48、50)が備えられている、少なくとも1つの電気回路(44)が使用されることを特徴とする
絞り弁装置。
【請求項2】
不動の弁要素(34、54、34、154)と、前記前者の弁要素に対して相対的に移動可能でありかつこれによって調整される別の弁要素(52、60、52、60、160)とが、絞り弁(22、122)の少なくとも一つの絞りダクト(56、156)の開口を変化させるために使用され、および、前記絞りダクトが弁座(54、154)の中を通過することと、1つの接触要素(46、48)の下限が、前記不動の弁要素(34、54、34、154)上に取り付けられており、および、前記接触要素(50)の少なくとも1つは前記移動可能な弁要素(52、60、52、60、160)上に取り付けられており、および、絞りダクトの開口が変化させられている時に前記不動の接触要素(46、48)に対して相対的に前記移動可能な弁要素によって移動させられることが可能であり、および、前記接触要素は、前記調整可能な弁要素の予め決められた位置においてだけ互いに接触し、および、これによって前記電気回路(44)を閉路し、一方、前記調整可能な弁要素の他のすべての設定においては、前記接触要素は互いに間隔を開けられており、および、これによって前記電気回路(44)を遮断することとを特徴とする請求項1に記載の絞り弁装置。
【請求項3】
前記移動可能な弁要素(52、60、52、60、120)は直線の中心線(39)に沿って移動可能であり、および、この中心線(39)の周りに非回転的に取り付けられていることと、前記移動可能な弁要素は、前記移動可能な弁要素を前記絞り弁の座に対して相対的に前記中心線に沿って調整するためにモータ(24)によって回転させられることが可能な別のねじ山に係合するねじ山(70)が備えられていることとを特徴とする請求項2に記載の絞り弁装置。
【請求項4】
前記互いに接触可能である要素の1つ、好ましくは、前記移動可能な弁要素(52、60、52、60、120)上に取り付けられている前記接触要素(50)はシャント要素であることと、その他の接触要素(46、48)の少なくとも2つが互いに間隔を開けられており、および、これらの接触要素からのシャントを取り除くことによって、および、これらの接触要素を電気的に分離させることによって前記経路を遮断するように電気回路を閉路するために、それぞれに前記シャント要素によってシャントされることが可能であることとを特徴とする請求項2又は3に記載の絞り弁装置。
【請求項5】
前記シャント接触要素(50)は、このシャント接触要素が、これらの他の接触要素(46、48)のすべてと接触するための、かつ、これらの他の接触要素(46、48)が前記シャント接触要素(50)から異なる形で間隔を開けられている時にこれらの他の接触要素をシャントするための、他の接触要素(46、48)に対してチップ(tip)することを可能にするようにチップ可能であることを特徴とする請求項4に記載の絞り弁装置。
【請求項6】
ばね(96)は、前記移動可能な弁部品の調整方向に偏倚させられるように、好ましくは1つの絞り弁の下限の開き方向に偏倚させられるように、前記移動可能な弁部品と前記不動の弁部品との間の位置へと圧縮応力を与えられることを特徴とする請求項2から5のいずれか一項に記載の絞り弁装置。
【請求項7】
前記ばね(96)は、前記シャント接触要素(50)に向かって偏倚させられていることを特徴とする請求項4から6のいずれか一項に記載の絞り弁装置。
【請求項8】
前記移動可能な弁部品は少なくとも2つの構成要素によって構成されており、これらの構成要素の1つが、前記絞りダクト(56、156)の開口を調整するために前記弁座(54、154)に隣接している弁頭部(58、158)を有する弁要素(60、160)であり、別の構成要素が、前記中心線(39)に沿った連携移動を実現するために前記弁要素(60、160)に連結されているが前記中心線に対して相対的に非回転的に支持されており、かつ、前記ねじ(70)を備えている案内要素(62)であることを特徴とする請求項3から7のいずれか一項に記載の絞り弁装置。
【請求項9】
前記絞り弁(22)に加えて第2の絞り弁(122)によって特徴付けられており、および、前記2つの絞り弁は、一方が前記開き方向に移動させられる時に他方が閉じ方向に移動させられ、および、これとは逆に、一方が閉じ方向に移動させられる時に、他方が開き方向の移動を被るように、互いに機械的に連結されていることを特徴とする請求項1〜8のいずれか一項に記載の絞り弁装置。
【請求項10】
前記2つの絞り弁(22、122)の前記絞りダクト(56、156)は、互いに軸方向に配置されており、および、連結ダクト(94)によって互いに連結されていることと、1つの移動可能な弁部品(52、60、160)だけが両方の絞り弁のために一緒に備えられており、および、両方の絞り弁(22、122)の前記絞りダクト(56、156)の中を通過して、および、前記連結ダクト(94)の中を通過して延びることと、前記連結ダクト(94)は圧縮空気入口(94−1)を備えていることと、各絞り弁(22、122)は、前記連結ダクト(94)から離れているその弁の側部に圧縮空気出口(88−1、188−1)を備えていることとを特徴とする、請求項2〜8のいずれか一項と組み合わされている請求項9に記載の絞り弁装置。
【請求項11】
圧縮空気を給送するための少なくとも1つの圧縮空気経路(212、216、220、226、232)内の、請求項1〜10のいずれか一項に記載の絞り弁装置(21、121)によって特徴付けられている粉末吹付被覆装置。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれか一項に記載の絞り弁装置(21、121)によって特徴付けられており、および、被覆粉末を空気圧によって移動させるためのインジェクタ(200)に圧縮空気を搬送するための搬送空気経路(212)、被覆粉末が前記搬送空気によって空気圧で中を移動させられる粉末/空気搬送経路(218)内の追加の圧縮空気のための追加空気経路(216)、噴射される粉末雲を形成するための圧縮形成空気経路(226)のための形成空気経路(220)、前記被覆粉末を静電帯電させるために使用される高電圧電極(230)に通じる圧縮洗浄空気のための電極洗浄空気経路(226)、および/または、粉末容器内の被覆粉末を流動化するための圧縮流動化空気のための流動化空気給送経路(232)である圧縮空気経路の少なくとも1つの中に配置されている請求項11に記載の粉末吹付被覆装置。
【請求項13】
請求項9又は10に記載の通りの絞り弁装置によって特徴付けられており、前記2つの絞り弁(22、122)の一方(22)は、被覆粉末を空気圧によって移動させるためにインジェクタ(200)に圧縮搬送空気を搬送する搬送空気経路(212)内に取り付けられており、および、前記2つの絞り弁(22、122)の他方(122)は、前記被覆粉末が中を前記搬送空気によって空気圧で移動させられる粉末搬送空気経路(218)に圧縮された追加の空気を給送するための追加の空気経路(216)内に配置されていることを特徴とする請求項11に記載の粉末吹付被覆装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2013−39563(P2013−39563A)
【公開日】平成25年2月28日(2013.2.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−185900(P2012−185900)
【出願日】平成24年8月24日(2012.8.24)
【分割の表示】特願2007−555722(P2007−555722)の分割
【原出願日】平成18年2月16日(2006.2.16)
【出願人】(501060792)イーテーベー ゲマ ゲゼルシャフト ミット ベシュレンクテル ハフツング (8)
【Fターム(参考)】