説明

圧電デバイスおよび電子機器

【課題】電子機器の基板に搭載したときに調整端子がユーザ電極と導通しても、内部の回路に異常が発生するのを防止した圧電デバイスおよび電子機器を提供する。
【解決手段】圧電デバイスは、外部から情報を入力可能になっている記憶部をパッケージ30内に備えたものである。そして圧電デバイスは、パッケージ30の基板実装面36にユーザ端子38を設けるともに、前記記憶部に接続している調整端子40を設け、ユーザ端子38と調整端子40とを近接して配置している。この近接配置してあるユーザ端子38と調整端子40は、圧電デバイスを基板に実装すると導通して、同電位となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電デバイスおよび電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
圧電デバイスには、様々なものがあるが、その一例としては圧電発振器を挙げることができる。この圧電発振器には、圧電振動片および集積回路(IC)チップをパッケージの内部に搭載したものがある。このパッケージの外面には、圧電発振器を発振動作および発振信号の出力端子などのユーザ端子や、圧電発振器の調整時のみに使用する調整端子が設けてある。そして圧電発振器の調整は、周波数をはじめとした諸特性を顧客の仕様に合わせるように、製造時に行っている。すなわち、この調整は、ICチップの回路内に設けられたメモリ回路を使って、圧電発振器の特性を目標性能に追い込む作業であり、調整項目は圧電発振器の種類によって様々である。このような調整作業は、圧電発振器の製造メーカ側で行う作業であり、この調整作業でメモリアクセスするために調整端子が必要となるが、完成した圧電発振器のユーザにとって調整端子は特に必要とするものではない。
【0003】
そして特許文献1に開示された圧電発振器は、容器体の下面の四隅部にユーザ端子を備えるととともに、このユーザ端子の間に調整用端子を備えている。
また特許文献2に開示された圧電発振器は、パッケージの底面の四隅近傍に表面実装用のパッド電極を備えるととともに、パッケージの側面におけるパッド電極の近傍にデータを書き込むための側面電極を備えている。そしてパッケージを表面実装する際には、パッド電極が基板の配線パターンに半田付けされると同時に、側面電極に這い上がった半田によっても固定される。
【特許文献1】特開2007−103994号公報(4頁)
【特許文献2】特開2006−101276号公報(4頁)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在、電子機器が小型化されているのに伴い、これに搭載される圧電発振器に対しても小型化の要請がある。パッケージの底面にユーザ端子と調整端子を設けた場合に、圧電発振器の平面サイズを小型化すると、ユーザ端子と調整端子の間隔が狭くなってしまう。そして圧電発振器をユーザ側で基板に実装するときには、基板に設けた実装電極とユーザ端子が1対1に接合するようにしている。しかし実装ズレが起こった場合には、実装電極に調整端子が接合してしまう問題が生じる。そしてメモリ回路は、本来、ユーザ使用時に調整端子がオープンであることを前提として設計されている。このため調整端子がユーザ端子とショートした場合は、圧電発振器の特性に異常をきたしてしまう。また、この様な実装ズレがなくても、何らかの外来ノイズが調整端子に加わると、メモリの状態が変わってしまう等という問題も生じる。
【0005】
またパッケージの側面に調整端子を設けた場合では、電子機器の小型化に伴って基板に搭載される電子デバイスの間隔も狭くなるので、実装時等に調整端子が他の電子デバイス等に触れやすくなったり、他の電子デバイスから電磁的な影響を受けやすくなったりしてしまう。この様なときに何らかの外来ノイズが調整端子に加わると、メモリの状態が変わってしまう等という問題が生じる。
【0006】
本発明は、電子機器の基板に搭載したときに調整端子がユーザ電極と導通しても、内部の回路に異常が発生するのを防止した圧電デバイスおよび電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態または適用例として実現することが可能である。
【0008】
[適用例1]圧電振動片と、該圧電振動片の共振周波数を制御する制御回路と、該制御回路の設定条件を記憶する為の記憶部と、少なくとも前記記憶部を載置した回路基板とを備え、前記回路基板の一面には複数の表面実装用のユーザ端子と、前記記憶部のデータを少なくとも書き換える為の信号が入力される調整端子とを備え、前記調整端子を、抵抗を介して定電位に接続し、前記調整端子と該調整端子と隣り合う前記ユーザ端子との距離が何れか2つの前記ユーザ端子間の距離、および他の前記ユーザ端子と前記調整端子との距離より短く、前記回路基板を実装した際に前記調整端子と該調整端子と隣り合う前記ユーザ端子とを短絡可能に構成したことを特徴とする圧電デバイス。
この近接配置してある調整端子とユーザ端子は、圧電デバイスを基板に実装するときに、この基板の上に設けたある1つの実装電極の上に導電性接合材を用いて接合できる間隔を備えていればよい。しがたって圧電デバイスを基板に実装すれば、近接配置してある調整端子とユーザ端子とを同電位にでき、調整端子に接続される回路を電気的に安定させることができ、圧電デバイスの内部回路に異常が発生するのを防止できる。
【0009】
[適用例2]前記隣り合うユーザ端子が接地に接続される端子であり、前記抵抗がプルダウン抵抗であることを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
圧電デバイスが基板に実装されると、調整端子はグランド接続端子と同電位になってGND電位になる。このため圧電デバイスの調整端子に不慮に電圧が印加されることなく、記憶部に記憶してある情報が書き換えられたり消去されたり等の、記憶部の状態に悪影響を与えるのを防止できる。
【0010】
[適用例3]前記隣り合うユーザ端子が電源に接続される端子であり、前記抵抗がプルアップ抵抗であることを特徴とする適用例1に記載の圧電デバイス。
圧電デバイスが基板に実装されると、調整端子は電源端子と同電位になる。このため圧電デバイスの調整端子に不慮に電圧が印加されることなく、記憶部の状態に悪影響を与えるのを防止できる。
【0011】
[適用例4]適用例1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイスを実装する基板を備え、前記基板上に実装電極を設け、前記隣り合うユーザ端子と前記調整端子とが導電性接合材を介して1つの前記実装電極と接合して同電位になっていることを特徴とする電子機器。
これにより圧電デバイスを基板に実装するときに実装ずれが生じて、本来オープンであるべき調整端子が実装電極とショートしてしまった場合や、調整端子への外来ノイズの影響を防止することが可能となり、記憶部の状態に悪影響を与えるのを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に、本発明に係る圧電デバイスおよび電子機器の最良の実施形態について説明する。まず圧電デバイスについて説明するが、この圧電デバイスには様々な種類がある。このため以下の実施形態では、外部から情報を入力可能になっている記憶部を回路基板であるパッケージ内に備えた圧電デバイスの一例として、温度補償型圧電発振器について説明する。
【0013】
図1は温度補償型圧電発振器の説明図である。ここで図1(A)は温度補償型圧電発振器の正面図、図1(B)は底面図である。図2は温度補償型圧電発振器の構成を説明するブロック図である。温度補償型圧電発振器10は、図2に示すように、圧電振動片12やICチップ14をパッケージ30の内部に搭載している。ICチップ14は、記憶部16と、圧電振動片12の共振周波数を制御する為の制御回路である温度補償回路18および発振回路20等を備えている。記憶部16は、制御回路の設定条件に関わるデータを記憶するものである。発振回路20は圧電振動片12と接続しており、圧電振動片12の信号を増幅・発振して、出力信号を出力している。また温度補償回路18は、発振回路20内に設けられた可変容量素子に印加する補償電圧を生成する。補償電圧は、圧電振動片12の周波数温度特性を打ち消して発振回路20の周波数が温度に対して一定となるように発振回路20内に設けられた前記可変容量素子の容量を制御する電圧である。したがって温度補償回路18は、個々に異なる周波数温度特性のばらつきを持った圧電振動片12に対し、発振回路20の周波数が温度に対して安定となるよう、個々に最適な補償電圧を生成する必要がある。調整機能を持たせた温度補償回路18は、組み合わされた振動子に合わせて最適条件を求め、記憶部16を使って補正値データを記憶させる。このような作業を調整作業とよび、製造メーカ側が行っている。調整後は、記憶部16の条件に従い温度補償回路18は動作する。これによって発振回路20は、温度に対して変動の少ない安定した周波数が出力されることになる。
【0014】
図1に示すパッケージ30は、圧電振動片12やICチップ14を凹陥部(図示せず)の内部に搭載するパッケージベース32と、このパッケージベース32の上面に接合して前記凹陥部を気密封止する蓋体34とを有している。パッケージベース32(パッケージ30)の基板実装面36には、ユーザ端子38と調整端子40(第1調整端子40a,第2調整端子40b)が設けてある。ユーザ端子38は、後述するように、電子機器を構成する基板に温度補償型圧電発振器10を実装するときに、前記基板に設けた実装電極と導電性接合材を介して接合するものである。また調整端子40は、記憶部16内のデータを書き換える為の信号を入力(ICチップ14に情報を入力)するため、また記憶部16内のデータを出力(ICチップ14から情報を読み出す)ための端子であり、データの入出力の際にはプローブが接触するところである。なお前記情報の一例としては、前記補正値データである。
【0015】
そして図1(B)に示す場合、ユーザ端子38は、パッケージ30の角部付近にそれぞれ設けてある。ユーザ端子38は、完成した温度補償型圧電発振器10を動作させるために必要な端子であり、グランド接続端子(GND端子)、電源端子(Vcc端子)、共用端子(Vcont/Clock端子)および出力端子(OUT端子)になっている。前記グランド接続端子は、接地に接続されることでICチップ14の基準電位を設定している。前記電源端子は、ICチップ14に電力を供給するため、電源に接続される。そして前記電源端子と前記グランド接続端子は、これらの距離が最も離れるように、パッケージベース32の底面において対角の位置に設けてある。また前記共用端子は、記憶部16および発振回路20に接続している。この共用端子は、ユーザと温度補償型圧電発振器10の製造メーカが共用するようになっている。そして前記共用端子には、温度補償型圧電発振器10を製造する際には制御回路の設定条件を調整するのに必要なクロック信号(Clock)が入力されて、記憶部16に供給するようになっており、温度補償型圧電発振器10の完成後には制御電圧(Vcont)が入力されて、発振回路20に供給するようになっている。前記出力端子は、発振回路20から外部に前記出力信号を出力するようになっている。
【0016】
また第1調整端子40aは、パッケージ30の下面の四隅に設けたユーザ端子38のうちいずれか1つに近接して設けてある。具体的には、第1調整端子40aは、前記グランド接続端子に隣接した距離に配設し、当該距離に対して他のユーザ端子や調整端子からは離れた距離に配設してある。そして第1調整端子40aと前記グランド接続端子は、互いに独立して形成してあるが、前記導電性接合材を設けることによって導通する間隔を有している。このため第1調整端子40aと前記グランド接続端子は、温度補償型圧電発振器10を前記基板に実装すると前記導電性接合材や前記実装電極を介して積極的に短絡して、同電位になる間隔を備え、他のユーザ端子や調整端子とは短絡を避ける間隔を備えている。さらに第2調整端子40bは、2つのユーザ端子38の間に設けてある。具体的な一例としては、前記出力端子と前記電源端子との間の中央に第2調整端子40bを設けている。
【0017】
このような調整端子40およびユーザ端子38は、図2に示すようにICチップ14の入出力端子とパッケージ30の導体配線とは例えば金属ワイヤーを介して接続している。各調整端子40は、記憶部16に接続している。具体的には、第1調整端子40aは、ICチップ14の内部に設けた第1プルダウン抵抗22を介して接地すると共に、第1インバータ24を介して記憶部16に接続している。この第1調整端子40aはCS(チップセレクト)端子である。記憶部16は、第1調整端子40aに入力する信号がハイ(High)レベルまたはロウ(Low)レベルの違いによって、第2調整端子40bを介して記憶部16に情報の書き込みや読み出しが出来るようになったり、出来ないようになったり制御される。そして第1調整端子40aに何ら外部から信号を入力しない場合は、第1プルダウン抵抗22が接続しているので、第1調整端子40aにロウレベルの信号を入力した状態と等しくなる。したがって、第1調整端子40aを接地に実装しないオープン状態であっても、第1インバータ24の入力信号がロウレベルに安定されるので、記憶部16の設定状態を保つことができる。
【0018】
また第2調整端子40bは、ICチップ14の内部に設けた第2プルダウン抵抗26およびインバータ28(第2インバータ28aと第3インバータ28bとの並列回路)を介して、記憶部16に接続している。この第2調整端子40bはDATA端子になっており、記憶部16に記憶させる情報を入力、または記憶部16に記憶されている情報を出力する端子になっている。
【0019】
このような温度補償型圧電発振器10の記憶部16に情報(一例として前記補正値データ)を書き込むには、次のようにして行う。図3は調整端子および共用端子から入力される信号波形の説明図である。まず第1調整端子40aにハイレベルの信号を供給し、記憶部16に情報を書き込める状態にする。そして前記共用端子に供給されるクロック信号に合わせて、第2調整端子40bに情報を供給して、これを記憶部16に書き込む。記憶部16に記憶されたデータに基づき温度補償型圧電発振器10の特性が所望の値となれば記憶部16への情報の書き込みを終了させるため、第1調整端子40aへの信号をロウレベルにする。これにより記憶部16内のデータは、第2調整端子40b(DATA端子)に如何様な信号が入力されても書き換えられない状態になる。
【0020】
この後、温度補償型圧電発振器10はユーザに提供される。そして温度補償型圧電発振器10は、前記電子機器を構成する前記基板50に実装される。なお温度補償型圧電発振器10は、前記電子機器を構成する前記基板50に実装されるまでの期間、第1調整端子40aがオープン状態であるが、上述の通り記憶部16の設定状態を保つことができる。図4は温度補償型圧電発振器を基板に実装したときの説明図である。ここで図4(A)は温度補償型圧電発振器を基板に実装したときの正面図、図4(B)は調整端子およびユーザ端子と実装電極とを平面視したときの位置関係を示す図である。基板50の上面には、温度補償型圧電発振器10を実装するための電極(前記実装電極52)が設けてある。実装電極52は、基板50に実装される温度補償型圧電発振器10の第1調整端子40aおよびユーザ端子38のうち前記グランド接続端子に対向するように設けてある。
【0021】
そして近接配置した第1調整端子40aと前記グランド接続端子は、これらを跨る1つの実装電極52と接合するようになっており、他のユーザ端子38はそれぞれ1つの実装電極52と接合するようになっている。なお第1調整端子40aおよび前記グランド接続端子と接合する実装電極52aは、他のユーザ端子38と接合する実装電極52に比べて、平面サイズを大きく形成することができる。
【0022】
一方、第1調整端子40aおよび前記グランド接続端子の面積を小さくし、且つ、互いを近接配置することで他のこれら2つの端子を囲む範囲の面積を他のユーザ端子38と等しく構成しても良く、この場合、ユーザ側にとっては第1調整端子40aと前記グランド接続端子とからなる実装端子用に不必要に実装電極52を構成する必要が無いので、第1調整端子40a用の実装電極52と他のユーザ端子38用の実装電極52との距離を両電極の短絡を確実に妨げるだけ広く確保することができる。
【0023】
このように配置した実装電極52の上に、半田や導電性接着剤等の前記導電性接合材54を設け、この上に調整端子40やユーザ端子38が配設されるように基板実装面36を基板50に向けて温度補償型圧電発振器10を実装している。このとき第1調整端子40aと前記グランド接続端子は、1つの導電性接合材54によって実装電極52と接合している。これによって実装後であっても第1調整端子40aは、前記グランド接続端子と同電位になる(GNDに接続される)ので、第2調整端子40bに信号が入力されても、内部の記憶回路は反応しない状態のままである。すなわち温度補償型圧電発振器10を実装すると、第1調整端子40aがGND電位になるので、第2調整端子40bに外来ノイズや不慮の電圧が印加されることがあっても、記憶部16の状態が変化することがなくなる。
【0024】
このような温度補償型圧電発振器10を実装した基板50を備えた電子機器には様々なものがあるが、一例としてはディジタル式携帯電話や携帯情報端末(PDA)、パーソナルコンピュータ等を挙げることができる。この具体例のうち、ディジタル式携帯電話は、次のような構成になっている。図5はディジタル式携帯電話の概略構成図である。ディジタル式携帯電話60は、送受信信号の送信部62および受信部64等を有し、この送信部62および受信部64に、これらを制御する中央演算装置(CPU)66が接続している。またCPU66は、送受信信号の変調および復調の他に表示部や情報入力のための操作キー等からなる情報の入出力部68や、RAM,ROM等からなるメモリ70の制御を行っている。このためCPU66には圧電デバイス72が取付けてあり、その出力周波数をCPU66に内蔵された所定の分周回路(不図示)等により、制御内容に適合したクロック信号として利用するようにしている。またCPU66は温度補償型圧電発振器10と接続しており、この温度補償型圧電発振器10は送信部62と受信部64とに接続している。これによりCPU66からの基本クロックが、環境温度が変化した場合に変動しても、温度補償型圧電発振器10により修正されて、送信部62および受信部64に与えられるようになっている。
【0025】
以上説明した温度補償型圧電発振器10および電子機器によれば、温度補償型圧電発振器10を電子機器の基板50に搭載したときに第1調整端子40aがユーザ端子38と導通させることで、第1調整端子40aの電位が固定され、温度補償型圧電発振器10の製品完成後に第2調整端子40bに外来ノイズまたは不慮の電圧が印加されることがあっても、記憶部16の状態を安定に保つことが可能となる。
【0026】
また温度補償型圧電発振器10は、ICチップ14内の回路の実現も容易にでき、且つ、基板50の設計も容易にできる。そして実装電極52aの形状を他の実装電極52と変えることにより、各実装電極52の配置を非対称にできるので、温度補償型圧電発振器10を逆向きにして基板50へ実装することを防止できる。
【0027】
なお近接配置した調整端子40やユーザ端子38の平面視した形状は、矩形に限定されることはなく任意の形状でよい。一例としては、図6に示すように、近接配置してある調整端子40とユーザ端子38を三角形にしてもよい。そして各端子の形状を三角形にした場合は、記憶部16に情報を書き込む調整作業時に、プローブを調整端子40に接触させる際の作業性を向上できる。すなわち隣接した端子へプローブを接触させるには、対角の位置で行うことが理想的であり、それを実現したものが図6に示す形態となる。
【0028】
また温度補償型圧電発振器10は、ユーザ端子38に近接させる調整端子40の数が1個に限定されることはない。すなわち温度補償型圧電発振器10は、複数の調整端子40のうち少なくとも1つ以上をユーザ端子38に近接させることができる。図7は複数の調整端子をユーザ端子に近接させた温度補償型圧電発振器の説明図である。ここで図7(A)は温度補償型圧電発振器の底面図、図7(B)は調整端子に接続する回路構成を説明するブロック図である。図7に示す温度補償型圧電発振器10は、2つの調整端子40をそれぞれ異なるユーザ端子38に近接配置している。この場合は、第1調整端子40a(CS端子)とグランド接続用端子(GND端子)を近接させて配設し、また第2調整端子40b(DATA端子)と電源端子(Vcc端子)を近接させて配設している。
【0029】
そして第1調整端子40aは、第1プルダウン抵抗22および第1インバータ24を介して記憶部16(図7には図示せず)に接続している。また第2調整端子40bは、プルアップ抵抗80およびインバータ28を介して、記憶部16(図7には図示せず)に接続している。このような温度補償型圧電発振器10を基板50に実装する場合は、第1調整端子40aとグランド接続用端子とが導電性接合材54によって1つの実装電極52に接合し、第2調整端子40bと前記電源端子とが導電性接合材54によって1つの実装電極52に接合するようになっている。
【0030】
温度補償型圧電発振器10の実装後は、第1調整端子40aとグランド接続用端子が同電位となり、また第2調整端子40bと前記電源端子が同電位になるので、それぞれの調整端子は安定した電位を保つことができ、外来ノイズの影響を受けることがなくなる。これによって記憶部16の状態を安定に保つことが可能となる。
【0031】
さらに前述した温度補償型圧電発振器10は、記憶部16へのアクセス方法が3端子シリアル入出力制御の場合を示しているので、調整端子40が3端子(CS端子、DATA端子、Clock端子)必要となる。そして昨今のICチップ14では、前述したようにClock端子がユーザ端子38のVcont端子と共用される場合がある。しかし実施形態によっては、Clock端子とVcont端子を共有化せずに、それぞれ単独で設けてもよい。
【0032】
なお圧電デバイスは、前述した温度補償型圧電発振器10ばかりでなく、圧電振動片12と、外部から情報を入力可能になっている記憶部16とをパッケージ30内に備え、記憶部16に接続する調整端子40と、実装時に用いるユーザ端子38とをパッケージ30の外面に設けたものであればよい。具体的な一例としては、電圧制御圧電発振器やプログラマブル圧電発振器、リアルタイムクロック、ジャイロセンサ装置等に本発明を適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】温度補償型圧電発振器の説明図である。
【図2】温度補償型圧電発振器の構成を説明するブロック図である。
【図3】調整端子および共用端子から入力される信号波形の説明図である。
【図4】温度補償型圧電発振器を基板に実装したときの説明図である。
【図5】ディジタル式携帯電話の概略構成図である。
【図6】調整端子とユーザ端子の形状を変形させた温度補償型圧電発振器の底面図である。
【図7】複数の調整端子をユーザ端子に近接させた温度補償型圧電発振器の説明図である。
【符号の説明】
【0034】
10………温度補償型圧電発振器、12………圧電振動片、14………集積回路(IC)チップ、16………記憶部、22………第1プルダウン抵抗、30………パッケージ、32………パッケージベース、36………基板実装面、38………ユーザ端子、40………調整端子、50………基板、52………実装電極、54………導電性接合材、60………ディジタル式携帯電話、80………プルアップ抵抗。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
圧電振動片と、該圧電振動片の共振周波数を制御する制御回路と、該制御回路の設定条件を記憶する為の記憶部と、少なくとも前記記憶部を載置した回路基板とを備え、
前記回路基板の一面には複数の表面実装用のユーザ端子と、前記記憶部のデータを少なくとも書き換える為の信号が入力される調整端子とを備え、
前記調整端子を、抵抗を介して定電位に接続し、
前記調整端子と該調整端子と隣り合う前記ユーザ端子との距離が何れか2つの前記ユーザ端子間の距離、および他の前記ユーザ端子と前記調整端子との距離より短く、
前記回路基板を実装した際に前記調整端子と該調整端子と隣り合う前記ユーザ端子とを短絡可能に構成したことを特徴とする圧電デバイス。
【請求項2】
前記隣り合うユーザ端子が接地に接続される端子であり、
前記抵抗がプルダウン抵抗であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項3】
前記隣り合うユーザ端子が電源に接続される端子であり、
前記抵抗がプルアップ抵抗であることを特徴とする請求項1に記載の圧電デバイス。
【請求項4】
請求項1ないし3のいずれかに記載の圧電デバイスを実装する基板を備え、前記基板上に実装電極を設け、前記隣り合うユーザ端子と前記調整端子とが導電性接合材を介して1つの前記実装電極と接合して同電位になっていることを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−77080(P2009−77080A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−243011(P2007−243011)
【出願日】平成19年9月19日(2007.9.19)
【出願人】(000003104)エプソントヨコム株式会社 (1,528)
【Fターム(参考)】