説明

地中汚染調査方法

【課題】少数回の調査で済み、建物等にて覆われた区域にも調査が可能となり、また簡便は削孔作業で済むようにした。
【解決手段】支援装置Sにて削孔用ビット2を地中に押し進めて地中の土壌汚染調査を行なうに際し、支援装置Sの作業に伴い削孔用ロッド2を押出しつつ鞘管1を推進すると同時に、支援装置Sから削孔用ロッド2内を通じて泥水を削孔ビット3に供給してこの泥水を削孔ビット3より噴出させつつ、削土と共に泥水を鞘管1に設けた排水孔1aから鞘管1内を通じて支援装置Sに戻すようにポンプ20にて吸引し、吸引している削土及び泥水を汚染物質検出装置22に供給する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地中にいわゆる水平井戸を形成する水平削孔システムを用いて、地中内の汚染物質の存在位置を調査する地中汚染調査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地中への汚染物質の拡散が問題視され、汚染の蓋然性が高い汚染可能区域での汚染調査が実施されつつある。この汚染調査は、具体的には、中空削孔管を用いて地面に対し垂直方向(地面深さ方向)にボーリングを行いこのボーリングによって採取された中空削孔管内の試料を分析する方法があり、また、中空削孔管の先端部に吸引孔を設けて地中に存在する空気や流体を吸引しこの吸引された試料を分析する方法がある(例えば特許文献1)。
【0003】
更に、汚染調査の別の方法として、地面に対し垂直方向に立井戸を形成し、この立井戸の異なる深さ数箇所からその立井戸を中心に放射方向に複数の水平井戸を形成し調査用試料を採取する方法がある(例えば特許文献2)。
【特許文献1】特開2003−279452号公報
【特許文献2】特開2004−353166号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の地面に対し垂直方向にボーリングを実施する方法は、汚染可能区域の面積から見れば地面の一点に孔を開ける調査となる。従って、汚染物質が地中を拡散する傾向にあることとも相俟って、汚染可能区域が広い面積を占める場合には、多数回のボーリングを実施する必要が生じてその作業が極めて煩雑になる。しかも、建物等にて覆われた区域では、ボーリングのための機械が設置できずボーリング調査は不可能であることが多い。
【0005】
また、上述の立井戸及び水平井戸を形成する場合には、これら井戸形成のための工事が面倒で時間がかかり上記ボーリングと比較していわゆる大工事となってしまう。
【0006】
本発明は、上記に鑑みて発明されたものであって、従来のような多数回のボーリング調査を必要とせず少数回の調査で済み、建物等にて覆われた区域にも調査が可能となり、また従来のような立井戸や水平井戸を掘ることなく簡便は削孔作業で済むようにした地中汚染調査方法の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の発明の特徴は、鞘管とこの鞘管に挿通された削孔用ロッドとこの削孔用ロッドの先端部に連結されて固定され上記削孔用ロッドの軸方向を中心とした回転にてその進行方向が制御可能な削孔ビットとが備えられた削孔装置と、上記削孔用ロッドをその軸方向を中心として回転させつつ押出しかつ鞘管をその軸方向に沿い推進する作業を行なう支援装置と、上記削孔用ロッドの先端部に設置した位置検出手段からのデータによって該削孔ビットの位置を計測する位置計測装置とを備えた水平削孔システムを使用し、
上記支援装置の作業に伴い上記削孔用ロッドを押出しつつ鞘管を推進すると同時に、上記支援装置から上記削孔用ロッド内を通じて泥水を上記削孔ビットに供給してこの泥水を上記削孔ビットより噴出させることによって削孔させ、その削孔による削土と泥水とが混合された削土混合泥水を上記鞘管に設けた排水孔から上記鞘管内を通じて地上に戻し、該削土混合泥水内の汚染物質の含有の有無及び含有の程度を計測することによって地中の汚染物質存在位置を計測することにある。
【0008】
請求項2に記載の発明の特徴は、請求項1の構成に加え、地中汚染調査予定域に上下及び水平方向に間隔を隔てて所要本数の水平方向削孔位置を立体的配置に設定し、上記各削孔毎に一定間隔毎の予定測定点を設定し、各予定測定点からの削土内の汚染物質含有の有無を計測することによって地中の汚染物質の分布を計測することにある。
【0009】
請求項3に記載の発明の特徴は、請求項2の構成に加え、上記予定測定点の手前位置で上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを停止させて泥水を供給することにより泥水のみが上記鞘管を通して地上に戻るのを確認した後、上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを再開させることにより、サンプリング予定位置の削土を判別することにある。
【0010】
請求項4に記載の発明の特徴は、請求項1、2又は3の記載に加え、上記ポンプにて吸引した削土及び泥水から土砂を分離し、残りの泥水に対して汚染物質の除去処理を施し、この除去処理後の泥水を上記支援装置に供給して上記削孔ビットより噴出させる泥水とすることにある。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、鞘管とこの鞘管に挿通された削孔用ロッドとこの削孔用ロッドの先端部に連結されて固定され上記削孔用ロッドの軸方向を中心とした回転にてその進行方向が制御可能な削孔ビットとが備えられた削孔装置と、上記削孔用ロッドをその軸方向を中心として回転させつつ押出しかつ鞘管をその軸方向に沿い推進する作業を行なう支援装置と、上記削孔用ロッドの先端部に備えた位置検出手段からのデータによって該削孔ビットの位置を計測する位置計測装置とを備えた水平削孔システムを使用し、
上記支援装置の作業に伴い上記削孔用ロッドを押出しつつ鞘管を推進すると同時に、上記支援装置から上記削孔用ロッド内を通じて泥水を上記削孔ビットに供給してこの泥水を上記削孔ビットより噴出させることによって削孔させ、その削孔による削土と泥水とが混合された削土混合泥水を上記鞘管に設けた排水孔から上記鞘管内を通じて地上に戻し、該削土混合泥水内の汚染物質の含有の有無及び含有の程度を計測することによって地中の汚染物質存在位置を計測することとしたことにより、地面から直接いわゆる水平削孔する削孔装置及び支援装置を用いて削孔ロッドの進行と共に泥水の噴射にて削土を採取しこの削土と泥水を吸引して汚染物質検出装置に供給することになるので、1本の水平井戸の形成にて多くの面積の調査が可能となり、ボーリング調査のような多数回の調査と比べて少数回の調査で済み、また削孔装置は地中を水平に進行することになるので、建物等にて覆われた区域にも調査が可能となり、また従来のような立井戸や水平井戸を掘ることがなく水平削孔で済むので、簡便な削孔作業となる。
【0012】
また、本発明によれば、地中汚染調査予定域に上下及び水平方向に間隔を隔てて所要本数の水平方向削孔位置を立体的配置に設定し、上記各削孔毎に一定間隔毎の予定測定点を設定し、各予定測定点からの削土内の汚染物質含有の有無を計測することによって地中の汚染物質の分布を計測することにより、汚染物質の地中分布状態を容易に調査することができる。
【0013】
更に、本発明によれば、上記予定測定点の手前位置で上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを停止させて泥水を供給することにより泥水のみが上記鞘管を通して地上に戻るのを確認した後、上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを再開させることにより、サンプリング予定位置の削土を判別することにより、測定点を決めれば、その位置での削土を他の削土と明確に区別して検査することができ、測定点での土壌の汚染状況の高精度に把握することができる。
【0014】
また、本発明によれば、上記ポンプにて吸引した削土及び泥水から土砂を分離し、残りの泥水に対して汚染物質の除去処理を施し、この除去処理後の泥水を上記支援装置に供給して上記削孔ビットより噴出させる泥水としたことにより、泥水を循環させることになり、泥水の無駄をなくし泥水の有効利用を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
以下に本発明にかかる地中汚染調査方法の最良な実施の形態を詳細に説明する。ここでは、本発明において使用する水平削孔システムについて説明する。
【0016】
このシステムは、図1に示すように水平井戸を形成する削孔装置B、この削孔装置Bを地中内に押出す支援装置Sを備えて構成されている。削孔装置Bは、屈曲可能な鞘管1と、鞘管1の中心に挿通された同じく屈曲可能な削孔用ロッド2と、削孔用ロッド2の先端部に連結され、鞘管1の先端部外に突出させた可撓性先端ロッド2aと、可撓性先端ロッド2aの先端部に固定された削孔ビット3とを備えている。
【0017】
支援装置Sは、地上にあって削孔用ロッド2及び可撓性先端ロッド2aを回転させながら押出す作業を行なうことにより掘り進み、これに追随させて鞘管1を推進させる作業を行なうものである。
【0018】
また、この削孔装置Bには、削孔用ロッド2の先端部にこの削孔用ロッド2と一体に回転できるように位置検出手段である方位傾斜角検知装置Dが設置され、この方位傾斜角検知装置Dによる検出データをもとにして地上に備えたコンピュータCにより掘削ビット3の位置を計測するようになっている。
【0019】
方位傾斜角検知装置Dは削孔用ロッド2の先端部と共に動作し、削孔用ロッド2の先端部と同じ方位角及び傾斜角を検出するようになっている。そして、この方位傾斜角検知装置DコンピュータCからなる位置計測装置により計測された位置情報を、支援装置Sの次の作業を進行させるための情報として送出している。
【0020】
更に、コンピュータCには、支援装置Sの作業に伴う削孔用ロッド2の回転及び押出し量、支援装置Sの基準点Pがそれぞれ入力されており、演算部(図示省略)によるこの入力情報の演算結果がコンピュータCの表示装置dに表示され、削孔用ロッド2の進行経路として反映させている。
【0021】
図2、図3は、地中汚染調査方法を説明するための図であるが、この図を用いて地中汚染調査装置を更に説明する。図2は、削孔装置Bの先端部分を示している。削孔用ロッド2及び可撓性先端ロッド2aは、支援装置Sから泥水が供給されるように中空となっている。この可撓性先端ロッド2aの先端に固定された削孔ビット3は、図2の拡大図に示すように軸心方向に対して傾斜した受圧面3aが形成されており、この受圧面3aと同じく傾斜して泥水の噴射ノズル3bが形成されている。
【0022】
このため、削孔用ロッド2が支援装置Sによって押出されると、削孔ビット3の傾斜した受圧面3aに土圧が加わり、土圧が作用する方向(図2の拡大図では下方向)に削孔ビット3ひいては削孔用ロッド2が曲がるようになる。そしてこのとき、噴射ノズル3bからの泥水は傾斜して噴射されることになる。
【0023】
また、削孔用ロッド2が支援装置Sによって回転させられた場合、支援装置Sによる削孔用ロッド2の押出にて削孔ビット3の受圧面3aに土圧が一様に加わるようになるので削孔ビット3及び削孔用ロッド2は直進することになる。このとき、噴射ノズル3bから傾斜して噴射される泥水は回転に伴い一様に作用して直進方向に削土することになる。
【0024】
削孔用ロッド2の先端部に連結された方位傾斜角検知装置Dは、図2の拡大図に示すように、装置の外殻をなす筒状の計測用ケース4と、計測用ケース4内に配置されたセンサ支持台5と、センサ支持台5に回転台6を介して支持され、計測用ケース4の中心軸y及び中心軸と直交しセンサ支持台5と平行配置にある軸xを入力軸とするチューンドドライジャイロ7と、センサ支持台5にそれぞれ回転台8,9を介して支持され、計測用ケース4の中心軸y方向の加速度を検知する加速度計10及び中心軸と直交しセンサ支持台5と平行配置にある軸x方向の加速度を検知する加速度計11と、回転台6,8,9を同期的に回転させる回転制御手段12と、回転台9の回転角を検知する回転角検知手段13と、チューンドドライジャイロ7、加速度計10,11及び回転角検知手段13からの出力に基づいてセンサ支持台5ひいては削孔用ロッド2の傾斜及び方位を算出する算出手段14とを備えている。尚、図中符号15は、z軸方向の加速度を測定する加速度計である。
【0025】
この方位傾斜角検知装置Dは、必要に応じて、加速度計11からの出力をフィードバックして、センサ支持台5が中心軸回りで水平な状態となるようにセンサ支持台5の位置を調整することができるようになっている。
【0026】
また、図2に示す鞘管1の先端部には、削孔ビット3の噴射ノズル3bから噴射された泥水及びこの泥水によって採取された削土を、鞘管1内を通じて支援装置Sに向かって戻すための排水孔1aが形成されている。
【0027】
支援装置Sにあって鞘管1の基端部は、図3に示すようにスイベルジョイント1bが設けられ、このスイベルジョイント1bの排水口1cを通じて吸引ポンプ20に排水管21が連通される構造となっている。尚、図3中22は、排水管21の途中に備えた汚染物質検出装置である。
【0028】
次に、本実施形態の地中汚染調査方法につき説明する。
【0029】
先ず、地中汚染調査予定域Wに図6に示すように水平方向に間隔を隔てて所要本数の水平削孔40,40……を設定するとともに、図7に示すように上下方向にも同様にして数段配置の水平削孔40,40を設定しておく。この設定は建物下の場合には、杭等の障害物を避けて行う。そして各水平削孔40毎に測定点Mを一定間隔毎に設定する。尚、図中43は地中汚染調査予定域Wに存在している建物である。
【0030】
次いで、この設定に従って削孔を行い、水平削孔40毎の測定点Mの削土について汚染物質の含有率を計測し、各測定点Mの汚染物質の有無及び検出される濃度によって、図6及び図7に示すように立体的な汚染範囲41、更にはその中の高濃度汚染域42などの汚染物質分布を判別する。尚、図6、図7において×印は測定点Mを示し、汚染物質が検出された測定点Mに一重丸印、高濃度に検出された測定点に二重丸印を付している。
【0031】
各水平削孔40においては、図1に示す支援装置Sによって削孔用ロッド2を地中に押出すと、削孔ビット3及び削孔用ロッド2は、削孔ビット3の受圧面3aの向きに応じて地中を上、下、左、右に曲がる。また、削孔用ロッド2を地中に押出すと共に回転させることによって、削孔ビット3及び削孔用ロッド2は、地中を直進することになる。そして、この削孔用ロッド3の押出しと共に鞘管1を推進している。この結果、削孔装置Bは、地中を進行する。
【0032】
この削孔装置Bの地中内への進行と共に支援装置Sから削孔用ロッド2を通じて泥水が供給される。そして、この泥水は削孔ビット3の噴射ノズル3bから噴射される。この泥水は地中の土壌を削り、削土は泥水と混じりあう。そして、吸引ポンプ20による吸引に伴い削土と泥水は、可撓性先端ロッド2a外部を戻り鞘管1の先端の排水孔1aに吸引される。排水孔1a内に吸引された削土と泥水は、鞘管1の内部を通って支援装置Sに向かい排水口1bから排水管21を通って汚染物質検出装置22に送られる。削土内に汚染物質が存在する場合には、この汚染物質検出装置22にてその濃度が検出される。
【0033】
ここで、検出する汚染物質には、例えば揮発性有機化合物や油が挙げられ、具体的にはジクロロメタン、四塩化炭素、1,2−ジクロロエタン、1,1−ジクロロエチレン、シスー1,2−ジクロロエチレン、1,1,1−トリクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、テトラクロロエチレン、等が挙げられる。そしてこの汚染物質の検出装置としては、PIDセンサー、プロセスガスクロマトグラフやスパージング槽がある。
【0034】
また、本実施形態にて使用される泥水は、地下水の浸入を防止し、形成した削孔の崩れを防止するため、地下水が透過しにくくしかも比表面積が大きな性質を備えている例えばベントナイトを溶かしたものである。
【0035】
本実施形態では、更に泥水を有効利用するために、図4に示すように泥水を循環させる方式を採る。削土を含んだ泥水は、吸引ポンプ20にて吸引され、その後サイクロン付き振動部23に送られ、泥水中から土砂を分離する。分離された土砂は、汚染物質処理システム27に送られ汚染処理が施される。残った泥水には、汚染物質が含まれるので、沈殿槽24にて汚染物質を沈澱処理する。
【0036】
沈殿が行われた後の泥水は、汚染物質濃度調整槽25に送られると共に汚染物質除去装置28に送られる。この汚染物質除去装置では泥水から汚染物質が除去され、泥水タンク26に貯水される。なお、汚染物質濃度調整槽25では、泥水タンク26内の泥水の一部を戻して濃度の調整を行なっている。そしてこの泥水タンク26内に貯められた泥水が支援装置Sに送られて、削孔用ロッド2内に供給される。こうして、泥水を循環させることにより、泥水の無駄をなくし泥水の有効利用が図れる。
【0037】
図5は、削土を含んだ泥水を循環させつつこの泥水のサンプリングを行なう装置を例示している。ここでは、削土を含む泥水を通す管30の途中にバルブ31を備えており、このバルブ31の上流及び下流にてそれぞれバルブ32、33を備えた管を分岐させている。この二本の分岐管は、タンク34に連通されている。タンク34は試料取り出し口35が設けられ、この試料取り出し口35を介してサンプル容器36に泥水がサンプリングされることになる。なお、37は、タンク34内の泥水量を外部から観察する透視レベル計である。
【0038】
この装置では、バルブ31を開け、バルブ32、33を閉じることにより泥水は管30を通過してゆく。バルブ31を閉じ、バルブ32、33を開けることによりタンク34内に泥水が導かれて貯水され、泥水がタンク34に溢れるようになれば泥水はバルブ33を介して管30に戻る。このようにしてタンク34から泥水のサンプルを容易に取り出すことができる。
【0039】
図1に示す支援装置Sに接続されているコンピュータCは、予め汚染可能調査区域の削孔路線情報が入力され、図6に示すような平面図、及び図7に示すような縦断面図が表示装置dに表示させる。この表示には、予め建物の位置あるいはその基礎杭や配管等地中の障害物の様子も示させる。そして、この障害物の位置を避けるようにして削孔装置Bの進行経路が入力され表示される。
【0040】
更に、このコンピュータCには、基準点Pの座票位置が入力され、その表示装置d表示される。そして、この水平井戸の形成に際しては、図1に示す支援装置Sの基準点Pと表示装置dの基準点P座票位置をあわせ、削孔用ロッド2の押出しを開始する。削孔用ロッド2の押出し量は支援装置Sから得られ、また、削孔用ロッド2の方位及び傾斜角は方位傾斜角検知装置Dから得られる。従って、コンピュータによる演算処理により削孔用ロッド2の押出し量と方位及び傾斜角とから削孔用ロッド2先端部の現在位置が判明し、表示装置dに表示された進行経路上に削孔用ロッド2先端部の現在位置をプロットすることができる。
【0041】
更に、コンピュータCには、表示装置dに表示されるような進行経路上の測定点Mが入力され、表示される。この測定点Mは、その位置での削土の確実な採取を行なうための座票位置である。支援装置Sにより削孔用ロッド2が押出され、削孔用ロッド2の先端位置が測定点Mに到達したことを上記コンピュータによりモニタリングされた状態で支援装置Sによる削孔用ロッド2の押出しを停止させる。この状態では、削孔装置Bの進行はなく泥水のみ循環する。すなわち削孔用ロッド2内に泥水を供給し削孔ビット3の噴射ノズル3bから泥水が吐出されるが、土は削られないで鞘管1の排水孔1aから支援装置Sに泥水のみが戻る。この状態で支援装置Sによる削孔用ロッド2の押出しを再開すれば、最初に検出される削土は、測定点Mの削土である。測定点Mの確実な削土が得られることになる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明方法に使用する削孔装置の概略全体構成を示す側面図である。
【図2】同削孔装置の先端部の構成図である。
【図3】同削孔装置の先端部を示す断面図である。
【図4】本発明方法に使用する泥水循環システムを示す簡略系統図である。
【図5】同泥水サンプリング装置の簡略構成図である。
【図6】予定水平削孔及び測定点の配置を示す平面図である。
【図7】同縦断面図である。
【符号の説明】
【0043】
B 削孔装置
S 支援装置
C コンピュータ
D 方位傾斜角検知装置
P 基準点
d 表示装置
M 測定点
W 地中汚染調査予定域
1 鞘管
1a 排水孔
1b 排水口
2 削孔用ロッド
3 削孔ビット
3a 受圧面
3b 噴射ノズル
7 チューンドドライジャイロ
10,11,15 加速度計
20 吸引ポンプ
22 汚染物質検出装置
24 沈殿槽
25 汚染物質濃度調整槽
26 泥水タンク
27 汚染物質処理システム
28 汚染物質除去装置
30 管
31,32,33 バルブ
34 タンク
35 試料取り出し口
36 サンプル容器
37 透視レベル計
40 水平削孔
41 汚染範囲
42 高濃度汚染域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
鞘管とこの鞘管に挿通された削孔用ロッドとこの削孔用ロッドの先端部に連結されて固定され上記削孔用ロッドの軸方向を中心とした回転にてその進行方向が制御可能な削孔ビットとが備えられた削孔装置と、上記削孔用ロッドをその軸方向を中心として回転させつつ押出しかつ鞘管をその軸方向に沿い推進する作業を行なう支援装置と、上記削孔用ロッドの先端部に備えた位置検出手段からのデータによって該削孔ビットの位置を計測する位置計測装置とを備えた水平削孔システムを使用し、
上記支援装置の作業に伴い上記削孔用ロッドを押出しつつ鞘管を推進すると同時に、上記支援装置から上記削孔用ロッド内を通じて泥水を上記削孔ビットに供給してこの泥水を上記削孔ビットより噴出させることによって削孔させ、その削孔による削土と泥水とが混合された削土混合泥水を上記鞘管に設けた排水孔から上記鞘管内を通じて地上に戻し、該削土混合泥水内の汚染物質の含有の有無及び含有の程度を計測することによって地中の汚染物質存在位置を計測することを特徴としてなる地中汚染調査方法。
【請求項2】
地中汚染調査予定域に上下及び水平方向に間隔を隔てて所要本数の水平方向削孔位置を立体的配置に設定し、上記各削孔毎に一定間隔毎の予定測定点を設定し、各予定測定点からの削土内の汚染物質含有の有無を計測することによって地中の汚染物質の分布を計測する請求項1に記載の地中汚染調査方法。
【請求項3】
上記予定測定点の手前位置で上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを停止させて泥水を供給することにより泥水のみが上記鞘管を通して地上に戻るのを確認した後、上記支援装置による削孔用ロッドの押出しを再開させることにより、サンプリング予定位置の削土を判別する請求項2に記載の地中汚染調査方法。
【請求項4】
上記ポンプにて吸引した削土及び泥水から土砂を分離し、残りの泥水に対して汚染物質の除去処理を施し、この除去処理後の泥水を上記支援装置に供給して上記削孔ビットより噴出させる泥水として使用する請求項1,2又は3に記載の地中汚染調査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2007−155495(P2007−155495A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−351003(P2005−351003)
【出願日】平成17年12月5日(2005.12.5)
【出願人】(000166627)五洋建設株式会社 (364)
【Fターム(参考)】