地図情報処理装置
【課題】 ユーザの経路に沿って形成される地図画像を小地図として簡易に抜き出し、ユーザ経路に沿い且つ途切れることがなくユーザが携帯する携帯機器に表示させることができる地図情報処理装置を提供する。
【解決手段】 地図情報処理装置1は、携帯機器の表示能力及び携帯機器で復号可能な画像圧縮方式を設定する表示能力設定手段100と、表示能力設定手段が設定した表示能力及び画像圧縮方式を格納する地図情報記憶部301と、始点から終点迄の最適な経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段104と、地図画像を、地図情報記憶部内の表示能力に応じて分割し、複数の合同な形の小地図を作成する地図画像分割手段105と、小地図を、地図情報記憶部301内の画像圧縮方式を参照して小地図の画像圧縮を行う地図画像圧縮手段106等を備える。
【解決手段】 地図情報処理装置1は、携帯機器の表示能力及び携帯機器で復号可能な画像圧縮方式を設定する表示能力設定手段100と、表示能力設定手段が設定した表示能力及び画像圧縮方式を格納する地図情報記憶部301と、始点から終点迄の最適な経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段104と、地図画像を、地図情報記憶部内の表示能力に応じて分割し、複数の合同な形の小地図を作成する地図画像分割手段105と、小地図を、地図情報記憶部301内の画像圧縮方式を参照して小地図の画像圧縮を行う地図画像圧縮手段106等を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置等で形成された地図画像を所定の経路に沿って分割し、分割された地図画像を閲覧する為の携帯機器に送信する地図情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最適な経路を探索し、現在位置を測位しながら最適経路に従うように地図画像や文字情報、合成音声によって誘導を行うカーナビゲーション装置が広く普及している。
【0003】
カーナビゲーション装置における最適経路の探索処理では、時間、距離及びコスト等を評価項目とし、これらの項目を最小にするような経路を見つけ出すという作業が行われる。経路探索の手法してはダイクストラ法やそれを改良したAアルゴリズムが用いられている(非特許文献1参照。)。
【0004】
ユーザへ対する最適経路の誘導は、ディスプレイ上に自車を中心とした地図を表示し、進行方向を示す矢印や合成音声による指示等によって行われる。ディスプレイ上の地図は自車が移動するに従って上下左右にスクロールしていく。
【0005】
近年普及してきているデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ及び携帯電話等の携帯機器では、液晶モニタ及びメモリカードのインタフェースが搭載されており、メモリカードに記録されている静止画を液晶モニタ上で閲覧することが可能である。この為、カーナビゲーション装置等で経路探索を行った結果、誘導情報を備える地図を、ユーザの歩行中や電車及びバスでの移動中に、ユーザの所持する携帯機器のモニタに表示させる手法も開発されている。この携帯機器に地図を表示させる際、カーナビゲーション装置等のモニタと比較して携帯機器のモニタは小さい為、カーナビゲーション装置のモニタに表示する基の地図を、複数の小地図に分割して表示する必要がある。
【0006】
分割表示する為に、全体の地図をメッシュ状に分割してそれぞれの小地図を圧縮し、各々の小地図のファイル名に、地図上の位置を算出可能な名称を付与する手法が提案されている(特許文献1参照。)。
【非特許文献1】新居宏壬、鷲野翔一編著「ナビゲーションシステム」山海堂出版 2001年7月31日
【特許文献1】特開2001−142819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の小地図に分割して表示する際には、経路に沿って隣り合った小地図間は途切れないように表示される必要がある。しかしながら上記の特許文献1及び非特許文献1のシステムでは、全体の地図上の領域を分割して名称をつける際にも複雑なプログラム処理が必要で、ユーザの経路を表示する際に、ユーザの追跡経路が途切れてしまったり、途切れずとも経路が飛んでしまい見えづらいことがあった。
【0008】
本発明は、ユーザの歩行、電車又はバスでの移動中に、ナビゲーション装置にて形成された地図画像より簡易な手法によって抜き出された小地図を、ユーザ携帯機器のモニタに、ユーザ経路に沿い且つ途切れることがなく表示することができる地図情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点を鑑みて、本発明の特徴は、[イ]始点から終点までの経路を示す地図画像を生成し、この地図画像を分割して携帯機器(320)に送信する地図情報処理装置において、携帯機器(320)に具備された表示部の表示サイズ及び携帯機器(320)のデータ復号方式に対応した画像圧縮方式の種別を設定する表示能力設定手段(100)と、[ロ]表示能力設定手段(100)で設定された表示サイズ及び画像圧縮方式の種別をそれぞれ記憶する地図情報記憶部(301)と、[ハ]始点から終点までの最短時間経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段(104)と、[ニ]形成された地図画像を、地図情報記憶部(301)に記憶された表示サイズに基づき分割し、複数の長方形分割地図を生成する地図画像分割手段(105)と、[ホ]地図情報記憶部(301)に記憶された画像圧縮方式の種別に対応して、複数の長方形分割地図をそれぞれデータ圧縮する画像圧縮手段(106)とを備える地図情報処理装置であることを要旨とする。
【0010】
更に、本発明の特徴は、[ヘ]地図画像分割手段(105)は、始点を前長方形分割地図の中心点として分割し;前長方形分割地図の長方形の短辺の長さ又は正方形で合った場合は一辺の長さに相当する距離と等しいか又はそれ以下の距離を分割距離とし、そして中心点から終点までの経路に沿った距離を残距離として設定し;残距離が分割距離と等しいか又はそれ以下である場合は、終点を前長方形分割地図の中心点として分割し;残距離が分割距離より大きい場合は、中心点から経路に沿って分割距離だけ離れた点を新たな長方形分割地図の中心点として分割して複数の長方形分割地図を生成することを加えても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の地図情報処理装置によると、ユーザの追跡経路を、常にユーザの現在地点が分割される小地図の中心点となるように、簡易なアルゴリズムによって算出し、ユーザの携帯機器の表示能力に合わせて基の地図画像より抜き出して、携帯機器にデータ送信することができる。これにより、携帯機器ではユーザ経路に沿い且つ途切れることなく小地図を表示することができる。
【0012】
尚、分割アルゴリズムとしては、長方形である小地図の、短辺に相当する距離毎の経路上の点を中心とした小地図を、基の地図より複数抜き出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置について説明する。尚、本発明の実施の形態において使用される機器、手法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではないことは勿論である。
【0014】
(地図情報処理装置)
本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置1は、図1に示すように、最適経路計算等を行う高性能の処理能力を持つセントラルプロセッシングユニット(以下「CPU」と記載)300、ディスプレイに表示させる地図データ、地図の画像情報(図3参照)及び地図ファイル情報(図4参照)を格納する地図情報記憶部301、ROM(リードオンリーメモリ)302、RAM(ランダムアクセスメモリ)303、位置情報を得る為のGPS(グローバルポジショニングシステム)304、加速度等のセンサ305、地図情報及び地図画像等を表示するディスプレイを制御するディスプレイコントローラ306、VRAM(ビデオラム)307、液晶モニタ等のディスプレイ308、目的地設定等の入力を受け付けるタッチパネル、キーボード及び外部からのデータ入力を受け付けるケーブル等から構成される入力インタフェース310、有線又は無線の通信を介してユーザの携帯機器320に地図画像等を送信する出力インタフェース309及びこれらの装置を接続する内部バス311等より構成される。
【0015】
CPU300は、図2に示す、表示能力設定手段100、始点位置設定手段101、終点位置設定手段102、最適経路決定手段103、地図画像形成手段104、地図画像分割手段105、地図画像圧縮手段106、識別符号付加手段107等を備えている。CPU300がこれらのモジュールを適宜演算処理することにより、地図情報処理プログラムは実行される。
【0016】
表示能力設定手段100は、入力インタフェース310等介して入力された情報に従って、携帯機器320が取り扱う地図の画像情報を設定する。地図の画像情報は図3に示すように、携帯機器320のディスプレイ321の画面の大きさ、扱える圧縮方式等から成る。始点位置設定手段101は、GPS304から取得する現在位置をナビゲーションの始点として設定する。終点位置設定手段102は、入力インタフェース310等を介してナビゲーションの目標位置を設定する。
【0017】
最適経路決定手段103は、地図情報記憶部301の地図データを検索し、最適経路として、例えば最短時間の経路を設定する。地図画像形成手段104は、地図上に目的地までの経路が示される地図画像を形成する。
【0018】
地図画像分割手段105は、携帯機器320のディスプレイ321の表示能力に合わせて最適経路上に沿って画面を分割する。地図画像圧縮手段106は、分割された小さな長方形分割地図である小地図の画面を、通信や携帯機器320での保管に適するように、携帯機器320で伸張可能な方式で画像圧縮する。識別符号付加手段107は、携帯機器320において最適経路に沿って順番に画面表示させるために、小地図の画像に連番の識別符号を付加する。例えば、識別符号としてファイル名を図4のように使用すると、ファイル名に含まれる連番の数字(map01〜map04)によって容易に表示順番が取得可能となる。
【0019】
(地図情報処理装置の動作)
次に、地図情報処理装置1の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
(a)先ず、図1のCPU300が、ユーザからの地図取得要求を入力インタフェース310等を介して受信すると、ステップS100において、図2の始点位置設定手段101は、図1のGPS304に現在位置情報の検出を依頼する。GPS304は緯度、経度及び高度等の情報より現在位置を算出し、始点位置設定手段101に引き渡す。始点位置設定手段101はこの現在位置を始点として設定する。
【0021】
(b)ステップS101においては、図2の終点位置設定手段102は、ユーザへ対し終点とする位置の入力を促す。ユーザがキーボードや、ディスプレイ308上のタッチパネル等の入力インタフェース310を介して目的地の情報を入力すると、終点位置設定手段102は、この目的地情報を終点位置として設定する。ステップS102においては、表示能力設定手段100が、地図データの転送先の携帯機器320のディスプレイ321の大きさや扱える圧縮方式(図3参照)を、携帯機器320に接続されたUSBケーブル等の入力インタフェース310等を介して設定する。尚、ユーザにキーボード等を介して手入力させても良い。
【0022】
(c)ステップS103においては、最適経路決定手段103が、設定された始点位置及び終点位置を基に、地図情報記憶部301より最適な経路の検索を行なう。経路の選択としては、始点位置から終点位置まで通過する可能性のある全ての経路の通過時間等を読み込み、最適経路決定手段103が、例えば最適経路として最短時間の経路を検索する。ステップS104では、最短時間の経路を最適経路として設定する。経路探索アルゴリズムとしては、ダイクストラ法やそれを改良したAアルゴリズムがある。
【0023】
(d)ステップS105においては、地図画像形成手段104が、地図情報記憶部301の地図データから最適経路周辺の地図データを読み込む。ステップS106においては、地図画像形成手段104が目的地までの経路を示す地図画像を形成する。この地図画像は、一例として図6のように表示され、図6中にあるAは始点位置、Bは終点位置、AからEに向かって書かれた点線が最適経路を示す。
【0024】
(e)ステップS107においては、地図画像分割手段105が、携帯機器320のディスプレイ321の表示能力に合わせて、最適経路上に沿って地図画像を分割する。これは、一般に地図情報処理装置1のディスプレイ308がVGA(ビデオグラフィックアレイ(登録商標):640画素×480画素)以上であるのに比べて、携帯機器320のディスプレイ321は大きさがQVGA(クオータビデオグラフィックアレイ:320画素×280画素)以下と小さく、地図情報処理装置1で形成された画面をそのまま表示することができないからである。この分割処理の詳細については後述する。
【0025】
尚、地図画像は分割されて、例えば図7(a)〜(e)のような小地図となる。
【0026】
(f)ステップS108においては、地図画像圧縮手段106は、データ通信や携帯機器320での保管に適するように、小地図の画像を圧縮する。画像圧縮方式としてはJPEG(ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ)及びGIF(グラフィックインターチェンジフォーマット)等が使用される。
【0027】
(g)ステップS109においては、識別符号付加手段107が、携帯機器320において最適経路に沿って順番に小地図を表示させるために、小地図のデータに連番の識別符号を付加する(図4参照)。
【0028】
(h)最後にステップS110において、画像圧縮された小地図の画像は、パケット通信、赤外線通信及びケーブル通信等によって、出力インタフェース309から携帯機器320に向けて送信される。携帯機器320はこの小地図の画像を受信すると、画像データを解凍し、ディスプレイ321に表示する。
【0029】
(画像分割処理)
尚、ステップS107の画像分割処理については、様々な手法が考えられる。本発明の実施の形態に係る地図分割処理は、基の地図から、経路に沿って隣り合った小地図間で途切れることがない小地図に分割するという目的を、長方形の小地図の短辺に相当する距離ごとの経路上の点を中心として小地図に分割することによって実現する。
【0030】
図1の携帯機器320のディスプレイ321の大きさが、例えば図8の長方形400であるとする。殆どの携帯機器320の機種で、ディスプレイ321は正方形を含む長方形である為、以下、ディスプレイ321は一例として横長の長方形であるものとして説明する。分割処理が行なわれた小地図(図7参照)を表示する際に、ユーザ経路が途切れやすいのが、ユーザの現在位置、つまり中心点2が、長方形400の短辺Sと平行に上下へ移動するときである。
【0031】
ユーザ経路が最も離れている状態が、図8のように2つの小地図(長方形400と長方形401)の中心点2及び中心点2´が、直線距離にて短辺Sと同じ距離分離れているときである。この状態までは、長方形400の下辺と長方形401の上辺が接した状態であり、小地図間で経路は途切れない。つまり、短辺S以上距離が離れた際に、小地図で表示されるユーザ経路が途切れてしまうと言える。
【0032】
よって、この短辺Sの長さに注目し、常に「ユーザの移動距離≦短辺S」となるように設定して全体の地図から小地図への分割処理を行なうことにより、常に正確にユーザの位置を表示することが可能である。以下、このことを踏まえた上で分割処理の実施例1〜4について図面を参照して説明する。
【0033】
(実施例1)
ステップS107における分割処理の実施例1について図9のフローチャートを参照して説明する。分割処理前の地図画像は図6であり、記号Aは始点位置、Eは終点位置、B〜Dは中間点を表す。図7(a)〜(e)は、分割後の小地図の画像例であり、各々記号A〜Eが中心点となるように設定されている。
【0034】
(a)ステップS200において、地図画像分割手段105は、地図情報記憶部301より携帯機器320が備えるディスプレイ321の短辺の長さを取得し、それを基にして、小地図の分割距離を長さSと設定する。例えば、図7(a)〜(e)では小地図が示す実際の大きさは480m×320m、分割距離S=320mであると、1/10000縮尺でディスプレイ321に表示可能な大きさは、48mm×32mmとなる。
【0035】
(b)ステップS201においては、図6の地図画像より、始点位置Aを中心とした画像を抜き出して、図7(a)のように小地図の画像とする。ステップS202においては、前回の中心点(始点A)から経路に沿った終点までの距離を残距離Rとして設定する。
【0036】
(c)ステップS203においては、残距離Rが分割距離Sと同じ又はそれ以下であるか否かを判断する。残距離Rが分割距離S以上である場合、ステップS204へ進み、残距離Rが分割距離Sと同じ又はそれ以下である場合、ステップS205へ進む。
【0037】
(d)ステップS204では、中間点を分割する為に、前回の中心から経路に沿った分割距離Sの点を中心として、小地図を分割する(図7(b)〜(d)参照)。その後、再び分割処理の終了を判断するため、ステップS202へ戻る。
【0038】
(e)ステップS205では、終点Eを小地図の中心として分割し(図7(e)参照)、この分割処理を終了する。
【0039】
このように、ユーザの移動距離≦短辺Sを意識して終点Eを判定することにより、全体の地図から小地図への分割処理を行なうことができる。又上記では横長長方形のディスプレイ321として説明したが、正方形であっても縦長長方形であっても同様の効果が得られることは勿論である。
【0040】
(実施例2)
実施例1の分割処理では、直前に分割した小地図内に終点Eが含まれている場合と含まれていない場合がある為、終点Eを含む小地図を2つ生成する可能性がある。よって、実施例2においては、終点が前回分割した小地図に含まれるか否かを判断し、無駄な分割処理を行なわずにすむ分割手法について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
(a)ステップS300〜S303までは、図9のステップS200〜S203と同様に、分割距離Sの設定ステップ(S300)、始点分割ステップ(S301)、残距離R判定ステップ(S302)を行なう。
【0042】
(b)ステップS303では、分割処理の終了の判断を行なう。残距離Rと分割距離S又は分割距離Sの半分の距離S/2を比較し、残距離Rが分割距離S/2より大きく、且つ分割距離Sより小さいかまたは等しい場合、ステップS305へ進む。残距離Rが分割距離Sより大きい場合、ステップS304へ進む。残距離Rが分割距離S/2より小さい又は等しい場合、必ず終点が前回分割した地図に含まれると判断し、この分割処理を終了する。
【0043】
ステップS304では、ステップS204と同様に、中間点の分割処理を行なう。分割処理が終了すると次の中心点からの分割処理を行なう為、ステップS302へ戻る。ステップS305では、ステップS205と同様に、終点の分割処理を行い、この分割処理を終了する。
【0044】
このように、終了判断ステップに終点が直前に分割した小地図に含まれているか否かの判断を行なうことで、終点が含まれる小地図が2つ生成される可能性を減らすことが出来る。
【0045】
(実施例3)
次に、終点Eを含む小地図であるかの判断を、ユーザの移動距離(始点Aから終点Eまで)と分割距離Sの関係によって行なう分割手法について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(a)先ずステップS400において、長方形の短辺の長さに相当する距離又はそれ以下の距離になるように、始点Aから終点Eまでの経路に沿った距離を正の整数Nで割った距離を分割距離Sとする。例えば、図6の場合、正の整数N=4(B,C,D,E)となる。このように分割距離Sを決めると、(N+1)個の小地図に分割される。これにより隣り合った小地図の、始点Aと終点Eを含めた、中心間の経路に沿った距離は、全て等しくなる。
【0047】
(b)ステップS401においては、ステップS201と同様に始点を分割する。ステップS402においては、分割した小地図が何番目であるかを記録する変数としてiを用い、ステップS401の始点分割ステップで1番目の小地図が分割されているので、初期値としてi=1と設定する。
【0048】
(c)ステップS403においては、分割する小地図の数(=N+1)が既知である為、分割終了の判断を、分割した小地図がN個目であるか否かを判断する。
【0049】
「i」が「N」と等しくない場合はステップS405へ進む。「i」と「N」が等しい場合、つまり現在の分割した小地図がN個目の場合は、ステップS407へ進む。
【0050】
(d)ステップS405においては、ステップS204と同様に中間点分割ステップを行い、ステップS406において、変数を1つ増加させ、ステップS403へ戻る。ステップS407においては、ステップS205と同様に終点分割ステップを行なう。
【0051】
このように、ユーザの移動距離と分割距離Sの関係によっても、分割処理の終了を判断することが出来る。
【0052】
(実施例4)
実施例4は実施例3の変数iの定義を改良したものである。実施例3の分割処理では、隣り合った小地図の、始点Aと終点Eを含めた、中心間の経路に沿った距離は全て等しくなる。従って、終点Eと直前の小地図の中心との距離も分割距離Sに等しい。つまり、終点分割ステップは、(N+1)回目の中間点分割ステップに代えることも可能である。
【0053】
よって、ステップS403を、ステップS503では、「i」と「N+1」が等しい場合、つまり現在の分割した小地図が(N+1)個目の場合は、終了し、「i」が「N+1」と等しくない場合は中間点分割ステップ(ステップS504)に進む、としても同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置の全体構成ブロック図である。
【図2】地図情報処理装置のCPU内部構成を示すブロック図である。
【図3】地図情報記憶部内の画像情報のデータ構成を示す図である。
【図4】地図情報記憶部内のファイル識別子のデータ構成を示す図である。
【図5】地図情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】地図画像の一例を示す画面図である。
【図7】小地図画像の一例を示す画面図である。
【図8】画面の構成を模式的に説明する図である。
【図9】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…地図情報処理装置
100…表示能力設定手段
101…始点位置設定手段
102…終点位置設定手段
103…最適経路決定手段
104…地図画像形成手段
105…地図画像分割手段
106…地図画像圧縮手段
107…識別符号付加手段
300…CPU
301…地図情報記憶部
302…ROM
303…RAM
304…GPS
305…センサ
306…ディスプレイコントローラ
307…VRAM
308…ディスプレイ
309…出力インタフェース
310…入力インタフェース
311…内部バス
320…携帯機器
321…ディスプレイ
【技術分野】
【0001】
本発明は、カーナビゲーション装置等で形成された地図画像を所定の経路に沿って分割し、分割された地図画像を閲覧する為の携帯機器に送信する地図情報処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、最適な経路を探索し、現在位置を測位しながら最適経路に従うように地図画像や文字情報、合成音声によって誘導を行うカーナビゲーション装置が広く普及している。
【0003】
カーナビゲーション装置における最適経路の探索処理では、時間、距離及びコスト等を評価項目とし、これらの項目を最小にするような経路を見つけ出すという作業が行われる。経路探索の手法してはダイクストラ法やそれを改良したAアルゴリズムが用いられている(非特許文献1参照。)。
【0004】
ユーザへ対する最適経路の誘導は、ディスプレイ上に自車を中心とした地図を表示し、進行方向を示す矢印や合成音声による指示等によって行われる。ディスプレイ上の地図は自車が移動するに従って上下左右にスクロールしていく。
【0005】
近年普及してきているデジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ及び携帯電話等の携帯機器では、液晶モニタ及びメモリカードのインタフェースが搭載されており、メモリカードに記録されている静止画を液晶モニタ上で閲覧することが可能である。この為、カーナビゲーション装置等で経路探索を行った結果、誘導情報を備える地図を、ユーザの歩行中や電車及びバスでの移動中に、ユーザの所持する携帯機器のモニタに表示させる手法も開発されている。この携帯機器に地図を表示させる際、カーナビゲーション装置等のモニタと比較して携帯機器のモニタは小さい為、カーナビゲーション装置のモニタに表示する基の地図を、複数の小地図に分割して表示する必要がある。
【0006】
分割表示する為に、全体の地図をメッシュ状に分割してそれぞれの小地図を圧縮し、各々の小地図のファイル名に、地図上の位置を算出可能な名称を付与する手法が提案されている(特許文献1参照。)。
【非特許文献1】新居宏壬、鷲野翔一編著「ナビゲーションシステム」山海堂出版 2001年7月31日
【特許文献1】特開2001−142819号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
複数の小地図に分割して表示する際には、経路に沿って隣り合った小地図間は途切れないように表示される必要がある。しかしながら上記の特許文献1及び非特許文献1のシステムでは、全体の地図上の領域を分割して名称をつける際にも複雑なプログラム処理が必要で、ユーザの経路を表示する際に、ユーザの追跡経路が途切れてしまったり、途切れずとも経路が飛んでしまい見えづらいことがあった。
【0008】
本発明は、ユーザの歩行、電車又はバスでの移動中に、ナビゲーション装置にて形成された地図画像より簡易な手法によって抜き出された小地図を、ユーザ携帯機器のモニタに、ユーザ経路に沿い且つ途切れることがなく表示することができる地図情報処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記の問題点を鑑みて、本発明の特徴は、[イ]始点から終点までの経路を示す地図画像を生成し、この地図画像を分割して携帯機器(320)に送信する地図情報処理装置において、携帯機器(320)に具備された表示部の表示サイズ及び携帯機器(320)のデータ復号方式に対応した画像圧縮方式の種別を設定する表示能力設定手段(100)と、[ロ]表示能力設定手段(100)で設定された表示サイズ及び画像圧縮方式の種別をそれぞれ記憶する地図情報記憶部(301)と、[ハ]始点から終点までの最短時間経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段(104)と、[ニ]形成された地図画像を、地図情報記憶部(301)に記憶された表示サイズに基づき分割し、複数の長方形分割地図を生成する地図画像分割手段(105)と、[ホ]地図情報記憶部(301)に記憶された画像圧縮方式の種別に対応して、複数の長方形分割地図をそれぞれデータ圧縮する画像圧縮手段(106)とを備える地図情報処理装置であることを要旨とする。
【0010】
更に、本発明の特徴は、[ヘ]地図画像分割手段(105)は、始点を前長方形分割地図の中心点として分割し;前長方形分割地図の長方形の短辺の長さ又は正方形で合った場合は一辺の長さに相当する距離と等しいか又はそれ以下の距離を分割距離とし、そして中心点から終点までの経路に沿った距離を残距離として設定し;残距離が分割距離と等しいか又はそれ以下である場合は、終点を前長方形分割地図の中心点として分割し;残距離が分割距離より大きい場合は、中心点から経路に沿って分割距離だけ離れた点を新たな長方形分割地図の中心点として分割して複数の長方形分割地図を生成することを加えても良い。
【発明の効果】
【0011】
本発明の地図情報処理装置によると、ユーザの追跡経路を、常にユーザの現在地点が分割される小地図の中心点となるように、簡易なアルゴリズムによって算出し、ユーザの携帯機器の表示能力に合わせて基の地図画像より抜き出して、携帯機器にデータ送信することができる。これにより、携帯機器ではユーザ経路に沿い且つ途切れることなく小地図を表示することができる。
【0012】
尚、分割アルゴリズムとしては、長方形である小地図の、短辺に相当する距離毎の経路上の点を中心とした小地図を、基の地図より複数抜き出す。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置について説明する。尚、本発明の実施の形態において使用される機器、手法等は一例であり、本発明はこれらに限定されるものではないことは勿論である。
【0014】
(地図情報処理装置)
本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置1は、図1に示すように、最適経路計算等を行う高性能の処理能力を持つセントラルプロセッシングユニット(以下「CPU」と記載)300、ディスプレイに表示させる地図データ、地図の画像情報(図3参照)及び地図ファイル情報(図4参照)を格納する地図情報記憶部301、ROM(リードオンリーメモリ)302、RAM(ランダムアクセスメモリ)303、位置情報を得る為のGPS(グローバルポジショニングシステム)304、加速度等のセンサ305、地図情報及び地図画像等を表示するディスプレイを制御するディスプレイコントローラ306、VRAM(ビデオラム)307、液晶モニタ等のディスプレイ308、目的地設定等の入力を受け付けるタッチパネル、キーボード及び外部からのデータ入力を受け付けるケーブル等から構成される入力インタフェース310、有線又は無線の通信を介してユーザの携帯機器320に地図画像等を送信する出力インタフェース309及びこれらの装置を接続する内部バス311等より構成される。
【0015】
CPU300は、図2に示す、表示能力設定手段100、始点位置設定手段101、終点位置設定手段102、最適経路決定手段103、地図画像形成手段104、地図画像分割手段105、地図画像圧縮手段106、識別符号付加手段107等を備えている。CPU300がこれらのモジュールを適宜演算処理することにより、地図情報処理プログラムは実行される。
【0016】
表示能力設定手段100は、入力インタフェース310等介して入力された情報に従って、携帯機器320が取り扱う地図の画像情報を設定する。地図の画像情報は図3に示すように、携帯機器320のディスプレイ321の画面の大きさ、扱える圧縮方式等から成る。始点位置設定手段101は、GPS304から取得する現在位置をナビゲーションの始点として設定する。終点位置設定手段102は、入力インタフェース310等を介してナビゲーションの目標位置を設定する。
【0017】
最適経路決定手段103は、地図情報記憶部301の地図データを検索し、最適経路として、例えば最短時間の経路を設定する。地図画像形成手段104は、地図上に目的地までの経路が示される地図画像を形成する。
【0018】
地図画像分割手段105は、携帯機器320のディスプレイ321の表示能力に合わせて最適経路上に沿って画面を分割する。地図画像圧縮手段106は、分割された小さな長方形分割地図である小地図の画面を、通信や携帯機器320での保管に適するように、携帯機器320で伸張可能な方式で画像圧縮する。識別符号付加手段107は、携帯機器320において最適経路に沿って順番に画面表示させるために、小地図の画像に連番の識別符号を付加する。例えば、識別符号としてファイル名を図4のように使用すると、ファイル名に含まれる連番の数字(map01〜map04)によって容易に表示順番が取得可能となる。
【0019】
(地図情報処理装置の動作)
次に、地図情報処理装置1の動作について、図5のフローチャートを参照して説明する。
【0020】
(a)先ず、図1のCPU300が、ユーザからの地図取得要求を入力インタフェース310等を介して受信すると、ステップS100において、図2の始点位置設定手段101は、図1のGPS304に現在位置情報の検出を依頼する。GPS304は緯度、経度及び高度等の情報より現在位置を算出し、始点位置設定手段101に引き渡す。始点位置設定手段101はこの現在位置を始点として設定する。
【0021】
(b)ステップS101においては、図2の終点位置設定手段102は、ユーザへ対し終点とする位置の入力を促す。ユーザがキーボードや、ディスプレイ308上のタッチパネル等の入力インタフェース310を介して目的地の情報を入力すると、終点位置設定手段102は、この目的地情報を終点位置として設定する。ステップS102においては、表示能力設定手段100が、地図データの転送先の携帯機器320のディスプレイ321の大きさや扱える圧縮方式(図3参照)を、携帯機器320に接続されたUSBケーブル等の入力インタフェース310等を介して設定する。尚、ユーザにキーボード等を介して手入力させても良い。
【0022】
(c)ステップS103においては、最適経路決定手段103が、設定された始点位置及び終点位置を基に、地図情報記憶部301より最適な経路の検索を行なう。経路の選択としては、始点位置から終点位置まで通過する可能性のある全ての経路の通過時間等を読み込み、最適経路決定手段103が、例えば最適経路として最短時間の経路を検索する。ステップS104では、最短時間の経路を最適経路として設定する。経路探索アルゴリズムとしては、ダイクストラ法やそれを改良したAアルゴリズムがある。
【0023】
(d)ステップS105においては、地図画像形成手段104が、地図情報記憶部301の地図データから最適経路周辺の地図データを読み込む。ステップS106においては、地図画像形成手段104が目的地までの経路を示す地図画像を形成する。この地図画像は、一例として図6のように表示され、図6中にあるAは始点位置、Bは終点位置、AからEに向かって書かれた点線が最適経路を示す。
【0024】
(e)ステップS107においては、地図画像分割手段105が、携帯機器320のディスプレイ321の表示能力に合わせて、最適経路上に沿って地図画像を分割する。これは、一般に地図情報処理装置1のディスプレイ308がVGA(ビデオグラフィックアレイ(登録商標):640画素×480画素)以上であるのに比べて、携帯機器320のディスプレイ321は大きさがQVGA(クオータビデオグラフィックアレイ:320画素×280画素)以下と小さく、地図情報処理装置1で形成された画面をそのまま表示することができないからである。この分割処理の詳細については後述する。
【0025】
尚、地図画像は分割されて、例えば図7(a)〜(e)のような小地図となる。
【0026】
(f)ステップS108においては、地図画像圧縮手段106は、データ通信や携帯機器320での保管に適するように、小地図の画像を圧縮する。画像圧縮方式としてはJPEG(ジョイントフォトグラフィックエキスパートグループ)及びGIF(グラフィックインターチェンジフォーマット)等が使用される。
【0027】
(g)ステップS109においては、識別符号付加手段107が、携帯機器320において最適経路に沿って順番に小地図を表示させるために、小地図のデータに連番の識別符号を付加する(図4参照)。
【0028】
(h)最後にステップS110において、画像圧縮された小地図の画像は、パケット通信、赤外線通信及びケーブル通信等によって、出力インタフェース309から携帯機器320に向けて送信される。携帯機器320はこの小地図の画像を受信すると、画像データを解凍し、ディスプレイ321に表示する。
【0029】
(画像分割処理)
尚、ステップS107の画像分割処理については、様々な手法が考えられる。本発明の実施の形態に係る地図分割処理は、基の地図から、経路に沿って隣り合った小地図間で途切れることがない小地図に分割するという目的を、長方形の小地図の短辺に相当する距離ごとの経路上の点を中心として小地図に分割することによって実現する。
【0030】
図1の携帯機器320のディスプレイ321の大きさが、例えば図8の長方形400であるとする。殆どの携帯機器320の機種で、ディスプレイ321は正方形を含む長方形である為、以下、ディスプレイ321は一例として横長の長方形であるものとして説明する。分割処理が行なわれた小地図(図7参照)を表示する際に、ユーザ経路が途切れやすいのが、ユーザの現在位置、つまり中心点2が、長方形400の短辺Sと平行に上下へ移動するときである。
【0031】
ユーザ経路が最も離れている状態が、図8のように2つの小地図(長方形400と長方形401)の中心点2及び中心点2´が、直線距離にて短辺Sと同じ距離分離れているときである。この状態までは、長方形400の下辺と長方形401の上辺が接した状態であり、小地図間で経路は途切れない。つまり、短辺S以上距離が離れた際に、小地図で表示されるユーザ経路が途切れてしまうと言える。
【0032】
よって、この短辺Sの長さに注目し、常に「ユーザの移動距離≦短辺S」となるように設定して全体の地図から小地図への分割処理を行なうことにより、常に正確にユーザの位置を表示することが可能である。以下、このことを踏まえた上で分割処理の実施例1〜4について図面を参照して説明する。
【0033】
(実施例1)
ステップS107における分割処理の実施例1について図9のフローチャートを参照して説明する。分割処理前の地図画像は図6であり、記号Aは始点位置、Eは終点位置、B〜Dは中間点を表す。図7(a)〜(e)は、分割後の小地図の画像例であり、各々記号A〜Eが中心点となるように設定されている。
【0034】
(a)ステップS200において、地図画像分割手段105は、地図情報記憶部301より携帯機器320が備えるディスプレイ321の短辺の長さを取得し、それを基にして、小地図の分割距離を長さSと設定する。例えば、図7(a)〜(e)では小地図が示す実際の大きさは480m×320m、分割距離S=320mであると、1/10000縮尺でディスプレイ321に表示可能な大きさは、48mm×32mmとなる。
【0035】
(b)ステップS201においては、図6の地図画像より、始点位置Aを中心とした画像を抜き出して、図7(a)のように小地図の画像とする。ステップS202においては、前回の中心点(始点A)から経路に沿った終点までの距離を残距離Rとして設定する。
【0036】
(c)ステップS203においては、残距離Rが分割距離Sと同じ又はそれ以下であるか否かを判断する。残距離Rが分割距離S以上である場合、ステップS204へ進み、残距離Rが分割距離Sと同じ又はそれ以下である場合、ステップS205へ進む。
【0037】
(d)ステップS204では、中間点を分割する為に、前回の中心から経路に沿った分割距離Sの点を中心として、小地図を分割する(図7(b)〜(d)参照)。その後、再び分割処理の終了を判断するため、ステップS202へ戻る。
【0038】
(e)ステップS205では、終点Eを小地図の中心として分割し(図7(e)参照)、この分割処理を終了する。
【0039】
このように、ユーザの移動距離≦短辺Sを意識して終点Eを判定することにより、全体の地図から小地図への分割処理を行なうことができる。又上記では横長長方形のディスプレイ321として説明したが、正方形であっても縦長長方形であっても同様の効果が得られることは勿論である。
【0040】
(実施例2)
実施例1の分割処理では、直前に分割した小地図内に終点Eが含まれている場合と含まれていない場合がある為、終点Eを含む小地図を2つ生成する可能性がある。よって、実施例2においては、終点が前回分割した小地図に含まれるか否かを判断し、無駄な分割処理を行なわずにすむ分割手法について、図10のフローチャートを参照して説明する。
【0041】
(a)ステップS300〜S303までは、図9のステップS200〜S203と同様に、分割距離Sの設定ステップ(S300)、始点分割ステップ(S301)、残距離R判定ステップ(S302)を行なう。
【0042】
(b)ステップS303では、分割処理の終了の判断を行なう。残距離Rと分割距離S又は分割距離Sの半分の距離S/2を比較し、残距離Rが分割距離S/2より大きく、且つ分割距離Sより小さいかまたは等しい場合、ステップS305へ進む。残距離Rが分割距離Sより大きい場合、ステップS304へ進む。残距離Rが分割距離S/2より小さい又は等しい場合、必ず終点が前回分割した地図に含まれると判断し、この分割処理を終了する。
【0043】
ステップS304では、ステップS204と同様に、中間点の分割処理を行なう。分割処理が終了すると次の中心点からの分割処理を行なう為、ステップS302へ戻る。ステップS305では、ステップS205と同様に、終点の分割処理を行い、この分割処理を終了する。
【0044】
このように、終了判断ステップに終点が直前に分割した小地図に含まれているか否かの判断を行なうことで、終点が含まれる小地図が2つ生成される可能性を減らすことが出来る。
【0045】
(実施例3)
次に、終点Eを含む小地図であるかの判断を、ユーザの移動距離(始点Aから終点Eまで)と分割距離Sの関係によって行なう分割手法について、図11のフローチャートを用いて説明する。
【0046】
(a)先ずステップS400において、長方形の短辺の長さに相当する距離又はそれ以下の距離になるように、始点Aから終点Eまでの経路に沿った距離を正の整数Nで割った距離を分割距離Sとする。例えば、図6の場合、正の整数N=4(B,C,D,E)となる。このように分割距離Sを決めると、(N+1)個の小地図に分割される。これにより隣り合った小地図の、始点Aと終点Eを含めた、中心間の経路に沿った距離は、全て等しくなる。
【0047】
(b)ステップS401においては、ステップS201と同様に始点を分割する。ステップS402においては、分割した小地図が何番目であるかを記録する変数としてiを用い、ステップS401の始点分割ステップで1番目の小地図が分割されているので、初期値としてi=1と設定する。
【0048】
(c)ステップS403においては、分割する小地図の数(=N+1)が既知である為、分割終了の判断を、分割した小地図がN個目であるか否かを判断する。
【0049】
「i」が「N」と等しくない場合はステップS405へ進む。「i」と「N」が等しい場合、つまり現在の分割した小地図がN個目の場合は、ステップS407へ進む。
【0050】
(d)ステップS405においては、ステップS204と同様に中間点分割ステップを行い、ステップS406において、変数を1つ増加させ、ステップS403へ戻る。ステップS407においては、ステップS205と同様に終点分割ステップを行なう。
【0051】
このように、ユーザの移動距離と分割距離Sの関係によっても、分割処理の終了を判断することが出来る。
【0052】
(実施例4)
実施例4は実施例3の変数iの定義を改良したものである。実施例3の分割処理では、隣り合った小地図の、始点Aと終点Eを含めた、中心間の経路に沿った距離は全て等しくなる。従って、終点Eと直前の小地図の中心との距離も分割距離Sに等しい。つまり、終点分割ステップは、(N+1)回目の中間点分割ステップに代えることも可能である。
【0053】
よって、ステップS403を、ステップS503では、「i」と「N+1」が等しい場合、つまり現在の分割した小地図が(N+1)個目の場合は、終了し、「i」が「N+1」と等しくない場合は中間点分割ステップ(ステップS504)に進む、としても同様の効果を得ることが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0054】
【図1】本発明の実施の形態に係る地図情報処理装置の全体構成ブロック図である。
【図2】地図情報処理装置のCPU内部構成を示すブロック図である。
【図3】地図情報記憶部内の画像情報のデータ構成を示す図である。
【図4】地図情報記憶部内のファイル識別子のデータ構成を示す図である。
【図5】地図情報処理装置の動作を示すフローチャートである。
【図6】地図画像の一例を示す画面図である。
【図7】小地図画像の一例を示す画面図である。
【図8】画面の構成を模式的に説明する図である。
【図9】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図10】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図11】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【図12】画像の分割処理の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0055】
1…地図情報処理装置
100…表示能力設定手段
101…始点位置設定手段
102…終点位置設定手段
103…最適経路決定手段
104…地図画像形成手段
105…地図画像分割手段
106…地図画像圧縮手段
107…識別符号付加手段
300…CPU
301…地図情報記憶部
302…ROM
303…RAM
304…GPS
305…センサ
306…ディスプレイコントローラ
307…VRAM
308…ディスプレイ
309…出力インタフェース
310…入力インタフェース
311…内部バス
320…携帯機器
321…ディスプレイ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
始点から終点までの経路を示す地図画像を生成し、この地図画像を分割して携帯機器に送信する地図情報処理装置において、
前記携帯機器に具備された表示部の表示サイズ及び前記携帯機器のデータ復号方式に対応した画像圧縮方式の種別を設定する表示能力設定手段と、
前記表示能力設定手段で設定された前記表示サイズ及び前記画像圧縮方式の種別をそれぞれ記憶する地図情報記憶部と、
前記始点から前記終点までの最短時間経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段と、
前記形成された地図画像を、前記地図情報記憶部に記憶された前記表示サイズに基づき分割し、複数の長方形分割地図を生成する地図画像分割手段と、
前記地図情報記憶部に記憶された前記画像圧縮方式の種別に対応して、前記複数の長方形分割地図をそれぞれデータ圧縮する画像圧縮手段
とを備えたことを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項2】
前記地図画像分割手段は、
前記始点を前長方形分割地図の中心点として分割し、
前長方形分割地図の長方形の短辺の長さ又は正方形で合った場合は一辺の長さに相当する距離と等しいか又はそれ以下の距離を分割距離とし、そして前記中心点から前記終点までの経路に沿った距離を残距離として設定し、
前記残距離が前記分割距離と等しいか又はそれ以下である場合は、前記終点を前記前長方形分割地図の中心点として分割し、
前記残距離が前記分割距離より大きい場合は、前記中心点から前記経路に沿って前記分割距離だけ離れた点を新たな長方形分割地図の中心点として分割して前記複数の長方形分割地図を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報処理装置。
【請求項1】
始点から終点までの経路を示す地図画像を生成し、この地図画像を分割して携帯機器に送信する地図情報処理装置において、
前記携帯機器に具備された表示部の表示サイズ及び前記携帯機器のデータ復号方式に対応した画像圧縮方式の種別を設定する表示能力設定手段と、
前記表示能力設定手段で設定された前記表示サイズ及び前記画像圧縮方式の種別をそれぞれ記憶する地図情報記憶部と、
前記始点から前記終点までの最短時間経路に沿った地図画像を形成する地図画像形成手段と、
前記形成された地図画像を、前記地図情報記憶部に記憶された前記表示サイズに基づき分割し、複数の長方形分割地図を生成する地図画像分割手段と、
前記地図情報記憶部に記憶された前記画像圧縮方式の種別に対応して、前記複数の長方形分割地図をそれぞれデータ圧縮する画像圧縮手段
とを備えたことを特徴とする地図情報処理装置。
【請求項2】
前記地図画像分割手段は、
前記始点を前長方形分割地図の中心点として分割し、
前長方形分割地図の長方形の短辺の長さ又は正方形で合った場合は一辺の長さに相当する距離と等しいか又はそれ以下の距離を分割距離とし、そして前記中心点から前記終点までの経路に沿った距離を残距離として設定し、
前記残距離が前記分割距離と等しいか又はそれ以下である場合は、前記終点を前記前長方形分割地図の中心点として分割し、
前記残距離が前記分割距離より大きい場合は、前記中心点から前記経路に沿って前記分割距離だけ離れた点を新たな長方形分割地図の中心点として分割して前記複数の長方形分割地図を生成する
ことを特徴とする請求項1に記載の地図情報処理装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−39486(P2006−39486A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−223479(P2004−223479)
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年7月30日(2004.7.30)
【出願人】(000004329)日本ビクター株式会社 (3,896)
【Fターム(参考)】
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