説明

地図表示装置

【課題】ユーザが利用するために特定の条件が必要なものを含む充電施設などの車両用の施設について、その違いをユーザに分かりやすく知らせる。
【解決手段】ユーザが会員登録済みであって利用可能な充電施設を表すための充電施設アイコン31と、ユーザが会員登録済みではないが、その場で利用手続きを行うことで即時に会員登録して利用可能となる充電施設を表すための充電施設アイコン32と、ユーザが会員登録済みではなく、その場での利用手続きも不可能な充電施設を表すための充電施設アイコン33と、会員登録の有無に関わらず任意の利用者が利用可能な充電施設を表すための充電施設アイコン34とを、互いに異なる表示形態で地図上にそれぞれ表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地図を表示する装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、バッテリに充電された電力を用いて駆動する電気自動車などに搭載されるナビゲーション装置において、バッテリを充電可能な施設の位置を示すアイコンを地図上に表示してユーザに知らせる技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−30993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電気自動車等の充電に用いられる充電施設は、従来のガソリンスタンドのような専用の施設以外に、たとえばショッピングモールや自動車販売店などのような他の施設に併設されているものがある。このような他の施設に併設されている充電施設は、必ずしも全ての利用者が利用可能であるとは限らず、たとえば会員登録などの特定の条件が必要な場合がある。しかし、特許文献1に開示されるナビゲーション装置では、こうした充電施設の違いをユーザに分かりやすく知らせることができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明による地図表示装置は、車両用の施設に関する施設情報を取得する施設情報取得手段と、施設情報取得手段により取得した施設情報に基づいて、施設を表すための施設アイコンを地図上に表示するアイコン表示手段とを備え、施設は、所定の条件を満たす利用者のみが利用可能な第1の施設と、条件に関わらず任意の利用者が利用可能な第2の施設とを含み、アイコン表示手段は、第1の施設を表すための施設アイコンと第2の施設を表すための施設アイコンとを互いに異なる表示形態で地図上にそれぞれ表示する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、ユーザが利用するために特定の条件が必要なものを含む充電施設などの車両用の施設について、その違いをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本発明の一実施形態による地図表示装置の適用例であるナビゲーション装置を含むシステムの構成を示す図である。
【図2】ナビゲーション装置の構成を示すブロック図である。
【図3】充電施設アイコンを地図上に表示した画面例を示す図である。
【図4】ナビゲーション装置において実行される処理のフローチャートである。
【図5】サーバにおいて実行される処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の一実施形態について以下に説明する。図1は、本発明の一実施形態による地図表示装置の適用例であるナビゲーション装置1を含むシステムの構成を示す図である。このシステムは、電気自動車である車両100に搭載されているナビゲーション装置1と、所定の場所に設置されているサーバ4とによって構成される。ナビゲーション装置1は、有線あるいは無線で通信端末2と接続されている。サーバ4は、通信回線網3と接続されている。
【0009】
ナビゲーション装置1には、地図データが記憶されている。この地図データに基づいて、ナビゲーション装置1は地図を表示することができる。また、ユーザにより目的地が設定されると、ナビゲーション装置1は地図データに基づいてその目的地までの推奨経路を探索し、探索された推奨経路に従って車両100を目的地まで誘導する。
【0010】
通信端末2は、ナビゲーション装置1の制御により、必要に応じて通信回線網3と無線接続を行う。通信回線網3にはサーバ4が接続されている。すなわちナビゲーション装置1は、通信端末2と通信回線網3を介してサーバ4に接続する。通信端末2と通信回線網3の無線接続には、通信回線網3が有する不図示の無線基地局が用いられる。この無線基地局は、その周囲の所定の通信エリア内にある通信端末2と無線通信することが可能であり、全国各地に散在している。なお、通信端末2は、たとえば携帯電話やスマートフォンなどである。また、通信回線網3は、たとえば携帯電話回線網やインターネットなどにより構築される。
【0011】
サーバ4は、充電施設のデータベースを記憶している。充電施設とは、車両100を含む電気自動車を充電するために各地に設置されている施設のうち、たとえば一般家庭用の充電器などのように利用者が限定されている施設を除いたものである。車両100には駆動用のバッテリ(不図示)が搭載されており、充電施設から供給される電力を用いてこのバッテリを充電することができる。サーバ4に記憶されているデータベースには、各充電施設の名称や位置などの情報が記録されている。
【0012】
充電施設は、従来のガソリンスタンドのような専用の施設である場合と、たとえばショッピングモールや自動車販売店などのような他の施設に併設されている場合とがある。後者のような充電施設では、所定の会員制サービスへの会員登録が利用条件となっていることがある。したがって、サーバ4に記憶されている充電施設データベースには、各充電施設の名称や位置などの情報に加えて、各充電施設について会員制サービスへの会員登録が必要であるか否かを表すための情報が記録されている。さらに、会員登録が必要な充電施設の場合は、併設先の施設の種類などに応じて提供される様々な会員制サービスの中からどの会員制サービスへの会員登録が必要であるかを特定するための情報や、その場での利用手続きが可能であるか否かの情報なども記録されている。なお、その場での利用手続きが可能な充電施設では、会員登録していない利用者であっても、当該充電施設において所定の利用手続きを行うことにより、即時に会員登録して当該充電施設を利用することができる。
【0013】
以上説明したような充電施設データベースは、各充電施設の管理者や運営者等がサーバ4にアップロードした情報に基づいて更新することができる。充電施設が新たに設置されたときや、既設の充電施設において提携している会員制サービスが変更されたときなどに、その充電施設に関する情報がサーバ4にアップロードされ、充電施設データベースが更新される。
【0014】
サーバ4にはさらに、上述したような充電施設に対する会員制サービスのデータベースも記憶されている。このデータベースには、会員制サービスごとに、登録されている各会員の氏名、会員番号、会員登録の有効期限などの情報が記録されている。会員制サービスデータベースも充電施設データベースと同様に、各会員制サービスの管理者や運営者等がサーバ4にアップロードした情報に基づいて更新することができる。会員制サービスが新設されたときや、既設の会員制サービスにおいて新たに会員が登録されたり有効期限が更新されたりしたときなどに、その会員制サービスに関する情報がサーバ4にアップロードされ、会員制サービスのデータベースが更新される。
【0015】
ナビゲーション装置1からサーバ4に対して充電施設の検索要求が行われると、これに応じてサーバ4は、検索条件に該当する各充電施設の情報を充電施設データベースから検索し、その検索結果をナビゲーション装置1へ送信する。こうしてサーバ4から送信される充電施設情報に基づいて、ナビゲーション装置1は地図上に充電施設のアイコンを表示し、検索された充電施設の位置をユーザに報知する。なお、このときナビゲーション装置1とサーバ4においてそれぞれ行われる処理の具体的な内容については、後で詳しく説明する。
【0016】
次にナビゲーション装置1の構成について説明する。図2は、ナビゲーション装置1の構成を示すブロック図である。図2のブロック図において、ナビゲーション装置1は、制御部10、振動ジャイロ11、車速センサ12、ハードディスクドライブ(HDD)13、GPS(Global Positioning System)受信部14、表示モニタ15および入力装置16を備えている。
【0017】
制御部10は、マイクロプロセッサや各種周辺回路、RAM、ROM等によって構成されており、HDD13に記録されている制御プログラムや地図データに基づいて、各種の処理を実行する。この制御部10により、自車両すなわち車両100を目的地まで案内するための様々な処理が実行される。たとえば、目的地を設定する際の目的地の探索処理、設定された目的地までの従来経路の探索処理、自車位置すなわち車両100の現在位置の検出処理、各種の画像表示処理、ルート案内時の音声出力処理などが実行される。
【0018】
制御部10には通信端末2が接続されている。図1のサーバ4から送信された情報は、通信端末2を経由して制御部10へ出力されることにより、ナビゲーション装置1において受信される。
【0019】
振動ジャイロ11は、車両100の角速度を検出するためのセンサである。車速センサ12は、車両100の車速を検出するためのセンサである。これらのセンサを用いて車両100の運動状態を所定の時間間隔ごとに検出することにより、制御部10において車両100の移動方向および移動量が求められる。
【0020】
HDD13は不揮発性の記録媒体であり、制御部10において上記のような処理を実行するための制御プログラムや地図データなどが記録されている。なお、HDD13に記録されている地図データにおいて、各道路は所定の道路区間ごとに分割されて表される。この道路区間のそれぞれは、リンクと呼ばれる。すなわち、地図データにおいて、各道路は複数のリンクにより構成されている。このリンクのそれぞれには、車両が通過するときの所要時間に関するリンクコストと呼ばれる値が設定されている。リンク同士を接続している点はノードと呼ばれる。ノードのそれぞれは、地図の座標を用いて表現された位置情報を有している。このノードの位置情報に基づいて、地図上に表される各道路の位置や形状が決定される。
【0021】
なお、上記ではナビゲーション装置1において地図データがHDD13に記録されている例を説明したが、これらをHDD以外の記録媒体に記録することとしてもよい。たとえば、CD−ROMやDVD−ROM、メモリカードなどに記録された地図データを用いることができる。すなわち、本実施の形態によるナビゲーション装置では、どのような記録媒体を用いてこれらのデータを記憶してもよい。
【0022】
GPS受信部14は、GPS衛星から送信されるGPS信号を受信して制御部10へ出力する。GPS信号には、車両100の位置を求めるための情報として、そのGPS信号を送信したGPS衛星の位置と送信時刻に関する情報が含まれている。したがって、所定数以上のGPS衛星からGPS信号を受信することにより、これらの情報に基づいて、車両100の位置を制御部10において算出することができる。このGPS信号に基づく位置算出結果と、前述の振動ジャイロ11および車速センサ12の各検出結果に基づく移動方向および移動量の算出結果とにより、所定時間ごとに車両100の現在位置が検出される。
【0023】
表示モニタ15は、ナビゲーション装置1において様々な画面表示を行うための装置であり、液晶ディスプレイ等を用いて構成される。この表示モニタ15により、地図画面の表示などが行われる。表示モニタ15に表示される画面の内容は、制御部10が行う画面表示制御によって決定される。表示モニタ15は、たとえば車両100のダッシュボード上やインストルメントパネル内など、ユーザが見やすいような位置に設置されている。
【0024】
入力装置16は、ナビゲーション装置1を動作させるための様々な入力操作をユーザが行うための装置であり、各種の入力スイッチ類を有している。ユーザは入力装置16を操作することにより、たとえば、目的地に設定したい施設や地点の名称等を入力したり、予め登録された登録地の中から目的地を選択したり、地図を任意の方向にスクロールしたりすることができる。この入力装置16は、操作パネルやリモコンなどによって実現することができる。あるいは、表示モニタ15と一体化されたタッチパネルにより入力装置16を実現してもよい。
【0025】
次に、ナビゲーション装置1において充電施設のアイコンを地図上に表示するときの処理について説明する。ナビゲーション装置1は前述のように、サーバ4から送信される充電施設情報に基づいて、表示モニタ15において地図上に充電施設のアイコンを表示する。このときナビゲーション装置1は、会員制サービスへの会員登録が必要であるか否かにより各充電施設を分類する。さらに、会員登録が必要な充電施設の場合は、ユーザが会員登録済みであるか否か、また会員登録済みでない充電施設はその場での利用手続きが可能であるか否かにより、各充電施設を分類する。こうして各充電施設を4種類のいずれかに分類し、分類ごとに異なる表示形態のアイコンを表示する。
【0026】
以上説明したようにして充電施設アイコンを地図上に表示した画面例を図3に示す。図3の画面例では、車両100の現在位置を示す現在位置マーク20を中心とする地図上に、充電施設アイコン31〜34が互いに異なる表示色で表示されている。
【0027】
図3において、充電施設アイコン31は、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みであって利用可能な充電施設を表している。充電施設アイコン32は、会員制サービスへの会員登録が必要であり、ユーザが会員登録済みではないが、その場で利用手続きを行うことで即時に会員登録して利用可能となる充電施設を表している。充電施設アイコン33は、会員制サービスへの会員登録が必要であり、ユーザが会員登録済みではなく、その場での利用手続きも不可能な充電施設を表している。充電施設アイコン34は、会員制サービスへの会員登録が不要であり、誰でも利用可能な充電施設を表している。
【0028】
上記のような充電施設アイコンを地図上に表示する際に実行される処理のフローチャートを図4および図5に示す。図4は、ナビゲーション装置1において制御部10により実行される処理のフローチャートである。図5は、サーバ4において実行される処理のフローチャートである。
【0029】
先に図4のフローチャートについて説明する。ステップS10において、制御部10は、ユーザが登録済みの会員制サービスを識別するためのユーザ識別情報を取得する。たとえば、登録済みの会員制サービスの名称や会員番号などをユーザが予めナビゲーション装置1に設定しておくと、その内容がユーザ識別情報としてHDD13に記録される。ステップS10では、こうして設定されたユーザ識別情報をHDD13から読み出すことにより、ユーザ識別情報を取得することができる。なお、ユーザ識別情報が未設定である場合は、上記のようなユーザ識別情報をステップS10においてユーザに入力させてもよい。また、いずれの会員制サービスにも未登録である場合は、その旨を示す情報がユーザ識別情報として取得される。
【0030】
ステップS20において、制御部10は、充電施設を検索する際の検索範囲を設定する。ここでは、たとえば現在位置を中心とする所定の範囲や、ユーザが地図上で指定した地点を中心とする所定の範囲などを検索範囲として設定することができる。
【0031】
ステップS30において、制御部10は、サーバ4に対して充電施設の検索要求を送信する。このとき、ステップS10で取得したユーザ識別情報と、ステップS20で設定した検索範囲の情報とを付加して、サーバ4へ検索要求を送信する。この検索要求の送信は、通信端末2および通信回線網3を介して行われる。
【0032】
ステップS40において、制御部10は、ステップS30で送信した検索要求に応じてサーバ4から送信される充電施設情報およびユーザ登録情報を受信する。充電施設情報は、サーバ4において充電施設のデータベースから抽出された情報であり、検索範囲内に存在する各充電施設の名称、位置、所定の会員制サービスへの会員登録が必要であるか否かなどの情報を含む。さらに、会員登録が必要な充電施設の場合は、どの会員制サービスであるかを特定するための情報や、その場での会員登録が可能であるか否かなどの情報も含まれている。一方、ユーザ登録情報は、サーバ4において会員制サービスのデータベースから抽出された情報であり、ユーザがどの会員制サービスに登録済みであるかを特定するための情報や、会員番号、会員登録の有効期限などの情報などを含む。これにより、ナビゲーション装置1において充電施設情報およびユーザ登録情報がサーバ4から取得される。なお、これらの情報は、サーバ4から通信回線網3および通信端末2を介してナビゲーション装置1へ送信される。
【0033】
ステップS50において、制御部10は、ステップS40で受信した充電施設情報に含まれる充電施設の中からいずれかを選択する。すなわち、検索範囲内に存在する充電施設のうちいずれかを選択する。
【0034】
ステップS60において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設について、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であるか否かを判定する。この判定は、ステップS40で受信した前述のような充電施設情報に基づいて行われる。選択した充電施設を利用するために特定の会員制サービスへの会員登録が必要な場合、すなわち会員登録した利用者のみが利用可能な充電施設である場合は、ステップS70へ進む。一方、選択した充電施設が会員登録不要なものである場合、すなわち会員登録の有無に関わらず任意の利用者が利用可能な充電施設である場合は、ステップS100へ進む。
【0035】
ステップS70において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設に対応する会員制サービスにユーザが会員登録済みであるか否かを判定する。この判定は、ステップS40で受信した充電施設情報およびユーザ登録情報に基づいて、選択した充電施設に対応する会員制サービスとユーザが登録済みの会員制サービスとが一致するか否かを判断することにより行われる。両者が一致する場合、すなわち当該会員制サービスにユーザが会員登録済みである場合は、ステップS80へ進む。一方、両者が一致しない場合、すなわち当該会員制サービスにユーザが会員登録していない場合は、その充電施設をユーザが利用できないと判定してステップS90へ進む。
【0036】
ステップS80において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設に対応する会員制サービスにおけるユーザの会員登録が有効期限内であるか否かを判定する。この判定は、ステップS40で受信したユーザ登録情報に含まれる有効期限の情報に基づいて行われる。有効期限内である場合、すなわち現在の日時が有効期限よりも前である場合は、その充電施設をユーザが利用可能であると判定してステップS110へ進む。一方、有効期限外である場合、すなわち現在の日時が既に有効期限を過ぎている場合は、その充電施設をユーザが利用できないと判定してステップS90へ進む。
【0037】
ステップS90において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設に対応する会員制サービスについて、即時に会員登録が可能であるか否かを判定する。この判定は、ステップS40で受信した充電施設情報に基づいて行われる。その場で利用手続きを行うことにより即時に会員登録が可能な充電施設である場合はステップS120へ進み、そうでない場合はステップS130へ進む。
【0038】
ステップS100において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設のアイコンに対して、予め定められた会員登録不要施設用の表示色を設定する。ここでいう会員登録不要施設とは、会員制サービスへの会員登録が不要であり、誰でも利用可能な充電施設のことである。これにより、たとえば図3の充電施設アイコン34のような表示色が設定される。ステップS100を実行したらステップS140へ進む。
【0039】
ステップS110において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設のアイコンに対して、予め定められた会員登録済み施設用の表示色を設定する。ここでいう会員登録済み施設とは、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みであって利用可能な充電施設のことである。これにより、たとえば図3の充電施設アイコン31のような表示色が設定される。ステップS110を実行したらステップS140へ進む。
【0040】
ステップS120において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設のアイコンに対して、予め定められた即時登録可能施設用の表示色を設定する。ここでいう即時登録可能施設とは、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みではないが、その場で利用手続きを行うことで即時に会員登録して利用可能となる充電施設のことである。これにより、たとえば図3の充電施設アイコン32のような表示色が設定される。ステップS120を実行したらステップS140へ進む。
【0041】
ステップS130において、制御部10は、ステップS50で選択した充電施設のアイコンに対して、予め定められた利用不可施設用の表示色を設定する。ここでいう利用不可施設とは、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みではなく、その場での利用手続きも不可能な充電施設のことである。これにより、たとえば図3の充電施設アイコン33のような表示色が設定される。ステップS130を実行したらステップS140へ進む。
【0042】
ステップS140において、制御部10は、ステップS40で受信した充電施設情報に含まれる全ての充電施設をステップS50で選択済みであるか否かを判定する。未選択の充電施設がある場合はステップS50へ戻り、未選択の充電施設の中からいずれかをステップS50で選択したのち、その充電施設について前述したような処理を繰り返す。一方、全ての充電施設を選択済みである場合は、ステップS150へ進む。
【0043】
ステップS150において、制御部10は、ステップS40で受信した充電施設情報に基づいて、検索範囲内に存在する各充電施設のアイコンを地図上の対応する位置にそれぞれ表示する。このときの各充電施設のアイコンの表示色は、前述のステップS100〜S130のいずれかによりそれぞれ設定された表示色とする。これにより、図3に例示したように、充電施設の分類に応じて互いに異なる表示形態で各充電施設のアイコンが地図上にそれぞれ表示される。
【0044】
ステップS150を実行したら、制御部10は図4のフローチャートを終了する。充電施設アイコンを地図上に表示する際には、以上説明したような処理がナビゲーション装置1において制御部10により実行される。
【0045】
次に図5のフローチャートについて説明する。ステップS210において、サーバ4は、ナビゲーション装置1から送信される検索要求を受信する。この検索要求は、図4のステップS30において送信されるものであり、前述のようにユーザ識別情報および検索範囲情報が付加されている。
【0046】
ステップS220において、サーバ4は、ステップS210で受信した検索要求に付加されている検索範囲情報に基づいて検索範囲を求め、その検索範囲内にある各充電施設についての充電施設情報を充電施設データベースから抽出する。前述したように、サーバ4に記憶されている充電施設データベースには充電施設の位置情報が記録されているため、これに基づいて検索範囲内にある充電施設を特定し、充電施設情報を抽出することができる。
【0047】
ステップS230において、サーバ4は、ステップS210で受信した検索要求に付加されているユーザ識別情報に基づいて、ナビゲーション装置1を操作しているユーザを特定する。前述したように、ユーザ識別情報にはユーザが登録済みの会員制サービスの名称や会員番号などが含まれるため、これに基づいて会員制サービスデータベースを検索することでユーザを特定することができる。
【0048】
ステップS240において、サーバ4は、ステップS230で特定したユーザについてのユーザ登録情報を会員制サービスデータベースから取得する。これにより、ユーザが登録している会員制サービスの会員番号や有効期限などの情報がユーザ登録情報として取得される。
【0049】
ステップS250において、サーバ4は、ステップS220で抽出した充電施設情報と、ステップS240で取得したユーザ登録情報とを、ナビゲーション装置1へ送信する。こうしてサーバ4から送信された充電施設情報およびユーザ登録情報は、図4のステップS40においてナビゲーション装置1により受信され、それに続いて実行される前述のような各処理に用いられる。
【0050】
ステップS250を実行したら、サーバ4は図5のフローチャートを終了する。ナビゲーション装置1から充電施設の検索要求が行われた際には、以上説明したような処理がサーバ4において実行される。
【0051】
以上説明した本発明の実施の形態によれば、次の(1)〜(4)のような作用効果を奏することができる。
【0052】
(1)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、サーバ4から送信される車両用の充電施設に関する充電施設情報を取得し(ステップS40)、その充電施設情報に基づいて、充電施設を表すための充電施設アイコン31〜34を表示モニタ15において地図上に表示する(ステップS150)。このとき、特定の会員制サービスに会員登録済みである利用者のみが利用可能な充電施設を表すための充電施設アイコン31〜33と、会員登録の有無に関わらず任意の利用者が利用可能な充電施設を表すための充電施設アイコン34とを、互いに異なる表示形態で地図上にそれぞれ表示することとした。このようにしたので、ナビゲーション装置1のユーザが利用するために特定の会員制サービスへの会員登録が必要なものを含む車両用の充電施設について、その違いをユーザに分かりやすく知らせることができる。
【0053】
(2)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、特定の会員制サービスに会員登録済みである利用者のみが利用可能な充電施設をナビゲーション装置1のユーザが利用可能であるか否かの判定に用いるためのユーザ登録情報をサーバ4から取得し(ステップS40)、そのユーザ登録情報に基づいて、ユーザが当該充電施設を利用可能であるか否かを判定する(ステップS70、S80)。その結果、ユーザが利用可能であると判定された充電施設のアイコンに対しては、会員登録済み施設用の表示色を設定する(ステップS110)また、会員登録の有無に関わらず任意の利用者が利用可能な充電施設のアイコンに対しては、会員登録不要施設用の表示色を設定する(ステップS100)。これにより、ステップS150において、充電施設アイコン31と充電施設アイコン34とを互いに異なる表示形態で地図上にそれぞれ表示するようにした。このようにしたので、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みであって利用可能な充電施設の位置と、会員制サービスへの会員登録が不要であり、誰でも利用可能な充電施設の位置とを、それぞれ分かりやすく地図上に示してユーザに提示することができる。
【0054】
(3)ナビゲーション装置1は、制御部10の処理により、ステップS70またはS80でユーザが利用不可能であると判定された充電施設について、当該充電施設での利用手続きが可能であるか否かをさらに判定する(ステップS90)。その結果、当該充電施設での利用手続きが可能であると判定された充電施設のアイコンに対しては、即時登録可能施設用の表示色を設定する(ステップS120)。これにより、ステップS150において、充電施設アイコン31および充電施設アイコン34のいずれとも異なる表示形態で、充電施設アイコン32を地図上にさらに表示するようにした。このようにしたので、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みではないが、その場で利用手続きを行うことで即時に会員登録して利用可能となる充電施設の位置を分かりやすく地図上に示してユーザに提示することができる。
【0055】
(4)また、ステップS90において当該充電施設での利用手続きが不可能であると判定された充電施設のアイコンに対しては、利用不可施設用の表示色を設定する(ステップS130)。これにより、ステップS150において、充電施設アイコン31、充電施設アイコン32、および充電施設アイコン34のいずれとも異なる表示形態で、充電施設アイコン33を地図上にさらに表示するようにした。このようにしたので、特定の会員制サービスへの会員登録が必要であり、その会員制サービスにユーザが会員登録済みではなく、その場での利用手続きも不可能な充電施設の位置を分かりやすく地図上に示してユーザに提示することができる。
【0056】
なお、以上説明した実施形態では、電気自動車を充電するための充電施設について充電施設アイコンを地図上に表示する例を説明したが、本発明の適用範囲は充電施設に限定されるものではない。たとえば、ガソリンスタンド、駐車場、自動車整備工場など、車両用の様々な施設について適用可能である。また、ユーザが施設を利用するための条件として特定の会員制サービスへの会員登録が必要である場合の例を上記実施形態では説明したが、本発明はこれに限定されるものではない。たとえば、ユーザが所有するクレジットカードの種類や当該施設の利用履歴など、適用対象施設に応じて様々な利用条件を用いることができる。
【0057】
また、上記実施形態では、車両100に搭載されるナビゲーション装置1の適用例を説明したが、本発明はこれに限定されない。たとえば、ナビゲーション機能を有しない車載地図表示装置において適用してもよい。あるいは、車両に搭載されていない地図表示装置において適用することも可能である。たとえば、パーソナルコンピュータ、携帯電話、スマートフォンなどを用いて実現される地図表示装置に適用できる。
【0058】
上記実施形態では、図4のステップS50〜S140の処理をナビゲーション装置1において実行することで各充電施設を分類する例を説明したが、これらの処理をサーバ4において実行し、各充電施設を分類するようにしてもよい。この場合、図5のステップS250において、各充電施設の分類結果を示す情報を充電施設情報に付加し、サーバ4からナビゲーション装置1へ送信することが好ましい。
【0059】
上記実施形態では、サーバ4から充電施設情報やユーザ登録情報を取得する例を説明したが、これらの情報をナビゲーション装置1に予め記録しておき、サーバ4からは取得しないようにしてもよい。
【0060】
上記実施形態では、各充電施設を、会員登録不要施設、会員登録済み施設、即時登録可能施設、または利用不可施設の4種類に分類し、それぞれのアイコンを互いに異なる表示形態で地図上に表示する例を説明したが、全てのアイコンを必ずしも表示する必要はない。たとえば、会員登録不要施設、会員登録済み施設および即時登録可能施設の各アイコンを地図上に表示し、利用不可施設のアイコンは表示しないようにしてもよい。また、充電施設の分類数も上記の4種類に限定されるものではない。たとえば、即時登録可能施設と利用不可施設を合わせて未登録施設として分類し、そのアイコンを他の充電施設とは異なる表示形態で表示してもよい。
【0061】
以上説明した実施の形態や各種の変形例はあくまで一例であり、発明の特徴が損なわれない限り、本発明はこれらの内容に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0062】
1:ナビゲーション装置、2:通信端末、3:通信回線網、4:サーバ、10:制御部、11:振動ジャイロ、12:車速センサ、13:HDD、14:GPS受信部、15:表示モニタ、16:入力装置、100:車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用の施設に関する施設情報を取得する施設情報取得手段と、
前記施設情報取得手段により取得した施設情報に基づいて、前記施設を表すための施設アイコンを地図上に表示するアイコン表示手段とを備え、
前記施設は、所定の条件を満たす利用者のみが利用可能な第1の施設と、前記条件に関わらず任意の利用者が利用可能な第2の施設とを含み、
前記アイコン表示手段は、前記第1の施設を表すための施設アイコンと前記第2の施設を表すための施設アイコンとを互いに異なる表示形態で前記地図上にそれぞれ表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の地図表示装置において、
前記地図表示装置のユーザが前記第1の施設を利用可能であるか否かの判定に用いるためのユーザ登録情報を取得するユーザ登録情報取得手段と、
前記ユーザ登録情報取得手段により取得したユーザ登録情報に基づいて、前記ユーザが前記第1の施設を利用可能であるか否かを判定する判定手段とをさらに備え、
前記アイコン表示手段は、前記判定手段により前記ユーザが利用可能であると判定された第1の施設の施設アイコンと、前記第2の施設の施設アイコンとを、互いに異なる表示形態で前記地図上にそれぞれ表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項3】
請求項2に記載の地図表示装置において、
前記判定手段は、前記ユーザが利用不可能であると判定された第1の施設について、当該施設での利用手続きが可能であるか否かをさらに判定し、
前記アイコン表示手段は、前記ユーザが利用可能であると判定された第1の施設の施設アイコンおよび前記第2の施設の施設アイコンのいずれとも異なる表示形態で、前記判定手段により当該施設での利用手続きが可能であると判定された第1の施設の施設アイコンを前記地図上にさらに表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項4】
請求項3に記載の地図表示装置において、
前記アイコン表示手段は、前記ユーザが利用可能であると判定された第1の施設の施設アイコン、当該施設での利用手続きが可能であると判定された第1の施設の施設アイコン、および前記第2の施設の施設アイコンのいずれとも異なる表示形態で、前記判定手段により当該施設での利用手続きが不可能であると判定された第1の施設の施設アイコンを前記地図上にさらに表示することを特徴とする地図表示装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の地図表示装置において、
前記施設は、車両用の充電施設であることを特徴とする地図表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−36851(P2013−36851A)
【公開日】平成25年2月21日(2013.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−173036(P2011−173036)
【出願日】平成23年8月8日(2011.8.8)
【出願人】(000001487)クラリオン株式会社 (1,722)
【Fターム(参考)】