説明

地盤注入工法および装置

【目的】地盤中に地盤改良材を多点的に注入する多点地盤注入工法および装置であって、特に、地盤状況が各層毎に異なる地盤に対して、これら各層毎に最適な注入を同時にあるいは選択的に達成し得る。
【構成】独立した圧気による駆動源4で作動し、かつ、集中管理装置26で制御される多数のユニットポンプ3、3・・3を備え、これら多数のユニットポンプ3、3・・3が導管10、10・・10を通して複数の注入管8、8・・8と接続され、前記多数のユニットポンプ3、3・・3の作動により、地盤改良材を複数の吐出口7、7・・7から地盤1中の複数の注入ポイント6、6・・6を通して多点注入することから構成される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は軟弱地盤等の地盤中に地盤改良材を注入する地盤注入工法ならびに装置に係り、詳細には多点的に注入する多点地盤注入工法および装置に関する。
【0002】
特に、地盤状況が各層毎に異なる地盤に対して、これら各層毎に最適な注入を同時にあるいは選択的に達成し得るのみならず、地盤中の縦方向、横方向への立体的な注入をも可能とし、かつ、複数の注入管からの注入を任意に制御し得るとともに、複数の注入管を通して同時に注入し得、このため、微細土層への浸透注入の信頼性が向上し、かつ急速施工によって注入工期も短縮される地盤注入工法および装置に関する。
【背景技術】
【0003】
地盤は通常、各層毎に透水係数や間隙率が異なるため、各層毎に地盤状況が異なるものである。この種の地盤への薬液注入に際して、従来、図示しないが、地盤中に注入管を単独で、あるいは複数本間隔をあけて挿入し、これら注入管を通して注入ステージを上または下に移向しながら順次に注入材を注入していた。
【0004】
ところで、薬液注入に際して最も大きな課題は透水係数の小さな微細砂層への浸透、あるいは異なる土層からなる地盤への均質な浸透にある。
【0005】
微細砂層への透水性は通常、k=10-3〜10-4cm/秒であり、このような土層に対して地盤の破壊を起こさないように薬液を注入するには、浸透理論上、毎分1リットル以下〜数リットルの低吐出量で低圧注入しなければならない。
【0006】
しかし、上述の公知の注入工法では、一本の注入管に対して、それぞれ一セットの注入ポンプを使用する。このような注入方式では、工期をできるだけ短くしたいという経済性の面から、また、ポンプの性能限界の面から毎分10〜20リットルの吐出量とせざるを得ず、注入圧が高くなって地盤の破壊を起こす。このため、地盤が隆起したり、微細な土層の浸透固結が不充分となってしまう。
【0007】
また、異なる土層の地盤に対する注入では、土層が変化した際に、この土層変化に対応して注入速度を変化させたり、注入量をコントロールすることは実用上難しく、このため、ある層では注入液が多量に拡がったり、また、ある層では僅かしか浸透しなかったり等が起こり、このような注入状態では、隣接する固結体同志の連続性が得られないという問題が生じる。
【0008】
なお、本出願人による先願として特開平11−81296号公報が出願されている。これによれば、複数の注入管を地盤中に配置し、これら複数の注入管を通してそれぞれの吐出口から地盤改良材を地盤中に注入するに当たり、一プラント中に多数のユニットポンプを備え、これら多数のユニットポンプを一つの駆動源で同時に作動する多連装ポンプにより前記改良材を各注入管に圧送し、吐出口から地盤中に注入するものである。ところが、この方式では、一つの駆動源で同時に作動する多数のユニットポンプのいずれか一つがゲル化等によってトラブルを起こすと、全ユニットポンプが稼動しなくなるという問題があった。
【0009】
さらに、上述の公知技術では、注入細管がポンププラントから注入孔まで長距離を要するため、低粘度で長いゲルタイムの注入液を用いる必要があった。ところが、長いゲルタイムの注入液は一度地表面、あるいは、地盤中の粗い層に逸脱を始めるとゲル化時間を短縮できないため注入を中止せざるを得ず、その間に注入細管内でグラウトがゲル化してしまう等の不都合の問題があった。
【0010】
また、一台の駆動源で多連装ポンプを構成する多数のユニットポンプを同時に駆動するため、それぞれの吐出口における地盤条件が異なり、したがって、最適の注入条件が異なるにもかかわらず、全てのユニットポンプが同一条件で駆動するため、それぞれの吐出口に対して最適の注入を行うことが不可能だった。これを解決するために、本出願人によって特開2003−232030号発明が開発された。しかし、この工法は多数のユニットポンプにそれぞれ独立した駆動源であるモータが設備されているため、注入に当って多数のユニットポンプの一つ一つの駆動源であるモータを全て設置しなければならず、作業性に劣るものである。
【特許文献1】特開平11−81296号公報
【特許文献2】特開2003−232030号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
そこで、本発明の課題はこれまでに開発されている広域な地盤に対するグラウトの低圧浸透注入による多点注入ポンプの利点を生かしながらも、各グラウト注入管の注入状況に応じて、それぞれのユニットポンプによる注入速度、注入圧、注入の中止、再開、ゲル化時間等を任意に管理し得、しかも多数のユニットポンプの作動を同時に管理して注入状況の全体を把握管理することを可能にする、上述の公知技術の欠点を改良した地盤注入工法および装置を提供することにある。
【0012】
さらに、本発明の他の課題は透水性が少ない細粒土層、あるいは地盤状況が各層毎に異なる地盤に対して、吐出量が1リットル以下〜数リットル/分の可変吐出量により最適な注入を同時にあるいは選択的に達成するのみならず、地盤に縦方向、横方向への立体的な注入も可能であり、このため、微細土層への浸透注入の信頼性が向上し、かつ、急速施工によって注入工期の短縮も達成され、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤注入工法および装置を提供することにある。
【0013】
さらにまた、本発明の課題は使用し得る地盤改良材が溶液型注入材のみならず、懸濁型注入材も可能であり、これにより注入ポイント毎の地盤状況に応じた任意注入を選択し得、上述の公知技術に存する欠点を改良した地盤注入工法および装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上述の課題を達成するため、本発明の地盤注入工法によれば、吐出口を有する注入管を複数本、地盤中に埋設して複数の注入ポイントを設け、これら注入管を通して地盤改良材を同時に注入する地盤注入工法であって、圧気による駆動源で作動し、かつ、集中管理装置で制御されるユニットポンプを備えた注入装置を用い、該ユニットポンプが導管を通して注入管と接続され、前記ユニットポンプの作動により、地盤改良材を地盤中の複数の注入ポイントを通して注入することを特徴とする。
【0015】
さらに、上述の課題を達成するため、本発明の地盤注入装置によれば、地盤改良材貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに接続され、加圧装置からの圧気による駆動源で作動するユニットポンプと、地盤中に埋設された注入管とを備え、前記ユニットポンプが内部にピストン棒が径方向を貫通して備えられ、該ピストン棒にピストンが固定され、ピストンが圧気によって往復運動するエアシリンダーと、このエアシリンダーの径方向に連結され、前記貫通されたピストン棒を受け入れる水シリンダーと、内部にゴム袋が設置され、このゴム袋が該水シリンダーと内通されたダイヤフラムポンプと、前記エアシリンダーに接続された加圧装置とを備え、前記水シリンダーは給水槽に接続され、さらに前記ダイヤフラムポンプは地盤改良材貯蔵タンクに接続されるとともに、地盤に埋設された注入管に接続されてなることを特徴とする。
【0016】
さらにまた、上述の課題を解決するため、本発明の地盤注入装置によれば、地盤改良材貯蔵タンクと、該タンクに接続され、圧気による駆動源で作動するユニットポンプと、地盤に埋設され、ユニットポンプと導管を通して接続された注入管とを備え、前記ユニットポンプが内部にピストン棒が径方向両側面を貫通して備えられ、該ピストン棒にピストンが固定され、ピストンによって区画された二室を有するエアシリンダーと、このエアシリンダーの径方向両側面に連結され、前記貫通されたピストン棒を受け入れる一対の水シリンダーA、Bと、内部にゴム袋が設置され、このゴム袋が該水シリンダーとそれぞれ内通された一対のダイヤフラムポンプA、Bと、前記エアシリンダー内の二室A、Bにそれぞれ接続された加圧装置とを備え、前記一対の水シリンダーA、Bはそれぞれ給水槽に接続され、さらに前記一対のダイヤフラムポンプA、Bはそれぞれ地盤改良材貯蔵タンクに接続されるとともに、地盤に埋設された注入管に接続されてなることを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
上述の本発明はこれまでに開発されている広域な地盤に対するグラウトの低圧浸透注入による多点注入ポンプの利点を生かしながらも、各グラウト注入管の注入状況に応じて、それぞれのユニットポンプによる注入速度、注入圧、注入の中止、再開、ゲル化時間等を任意に管理し得、しかも多数のユニットポンプの作動を同時に管理して注入状況の全体を把握管理することを可能にする。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
以下、本発明を添付図面を用いて具体的に詳述する。
【0019】
本発明は建設現場において常備され、利用されている加圧装置、例えばエアコンプレッサーを用いた簡便な注入工法および注入装置であって、特に、軟弱地盤等の地盤中に地盤改良材を多点的に注入する工法および装置であって、軽量で、小容量の装置により多数の注入ポイントから大規模な地盤注入を可能にする。
【0020】
具体的には、本発明は多数のユニットポンプがそれぞれ独立した駆動源を有しながら、各ユニットポンプを一つ一つ調整せずとも、簡便に稼動して多点注入を可能にする。すなわち、本発明は各ユニットポンプを圧気による駆動源によって作動させる。この圧気はエアコンプレッサー、ボンベ等の加圧装置からの加圧空気、炭酸ガス、不活性ガス等の圧気であり、各ユニットポンプの圧気作動部を通して供給される。したがって、たとえユニットポンプの一つがトラブルを起こしても他のユニットポンプには影響を与えない。すなわち、ユニットポンプの数にかかわらず、あらかじめ設定したコンプレッサーの圧気で各ユニットポンプが作動する。このため、多数のユニットポンプを連装しても、小さな装置で簡便に注入させる。
【0021】
図1は本発明にかかる装置の原理図を表した説明図である。図2は本発明にかかるユニットポンプの一具体例の説明図である。図3は本発明にかかるユニットポンプの他の具体例の説明図である。図4は本発明にかかるユニットポンプのさらに他の具体例の説明図である。図5はコンプレッサーを用いた本発明装置の一具体例の説明図である。図6は本発明にかかる注入管の挿入および注入状況を表した断面図であって、(a)はケ−シングによる削孔、(b)は外管の挿入、(c)は地盤改良材の注入状況を表す。図7は本発明にかかる装置の他の具体例の説明図である。図8は本発明にかかる装置のさらに他の具体例の説明図である。図9は本発明にかかる装置のさらに他の具体例の説明図である。図10集中管理装置の注入監視盤に表示される一具体例である。図11は注入管として複数の細管を用いた本発明装置のさらに他の具体例の説明図である。図12は本発明にかかる装置のさらに他の具体例の説明図であって、(a)は注入システム、(b)は地盤内の注入状況を表す。
【0022】
図1に示される本発明にかかる地盤注入装置Aは地盤改良材貯蔵タンク2と、独立した圧気による駆動源4、4・・4で作動し、かつ集中管理装置26に接続されて制御されるユニットポンプ3、3・・3を備えた、貯蔵タンク2に導管9、9・・9を通して連結される多連装注入装置5と、地盤1中の注入ポイント6中に埋設され、配置された、それぞれが各ユニットポンプ3、3・・3と導管10、10・・10を通して接続された、吐出口7、7・・7を有する複数の注入管8、8・・8とを備える。
【0023】
さらに、前述のユニットポンプ3、3・・3には集中管理装置26に接続して制御されるコンプレッサーからの圧気作動部25、25・・25が備えられ、さらにまた、ユニットポンプ3、3・・3と注入管8、8・・8を連結する導管10、10・・10には、上述と同様にそれぞれ集中管理装置26に接続して制御される流量圧力検出器27、27・・27が備えられる。注入管8、8・・8は、例えばY字管ロッドが用いられる。
【0024】
上述の構成により、本発明では、流量圧力検出器27からの流量/およびまたは圧力データの信号を集中管理装置26に送信し、タンク2中の地盤改良材を各ユニットポンプ3、3・・3の作動により任意の注入速度、注入圧力あるいは注入量で各注入管8、8・・8に圧送し、複数の吐出口7、7・・7から同時に地盤1中に注入ポイント6、6・・6に注入し、注入領域34を形成する。28はバルブである。
【0025】
図2は本発明にかかるユニットポンプの一具体例の説明図であって、圧気による駆動源で作動する図1のユニットポンプ3の具体例である。図2に示されるように、本発明にかかるユニットポンプ3はエアシリンダー11と、このエアシリンダー11の径方向側面11aに連結された水シリンダー12と、これら水シリンダー12と内通されたダイヤフラムポンプ13と、エアシリンダー11に接続されたエアコンプレッサー14とを基本的に備えて構成される。
【0026】
エアシリンダー11は内部にピストン棒15が軸方向に、かつ径方向側面11aを貫通して備えられる。さらに、このピストン棒15にはピストン16が固定され、このピストン16によって内部が二つの室17a、17bに区画される。しかも、ピストン16の移動とともに、ピストン棒15もまた、移動するように構成される。
【0027】
水シリンダー12はエアシリンダー11の径方向側面11aに連結され、エアシリンダー11を軸方向に貫通したピストン棒15を受け入れる構造となっている。水シリンダー12は給水槽18と、導管22を介して接続されこの給水槽18から内部に水が充填される。
【0028】
ダイヤフラムポンプ13は内部にゴム袋19が設置され、かつ、貯蔵タンク2と接続され、常時、ダイヤフラムポンプ13内に地盤改良材が充填される。ゴム袋19は水シリンダー12と導管20を介して内通されており、ピストン棒15の移動により水シリンダー12内の水を導管20を通してゴム袋19に押し出してゴム袋19を膨らませ、この膨らんだ分だけ地盤改良材が導管10を介して注入管8に押し出される。
【0029】
エアコンプレッサー14はエアシリンダー11内のピストン16によって区画された室17a、17bにそれぞれ導管21を介して接続され、エアコンプレッサー14から室17a、17bに交互に加圧された空気を送ってピストン16およびピストン棒15を動かす。
【0030】
上述構成からなるユニットポンプ3は次のようにして作動される。まず、水シリンダー12、12には給水槽18から導管22を介して水を充填する。このとき、水シリンダー12、12のバルブ23は閉じ、バルブ24は開放し、充填後に閉じる。さらに、ダイヤフラムポンプ13には貯蔵タンク2から導管9を介して地盤改良材を充填する。このとき、ダイヤフラムポンプ13のバルブ36は閉じ、バルブ37は開放し、充填後に閉じる。
【0031】
この状態で、エアシリンダー11内の一方の室、例えば室A17aにコンプレッサー14から導管21を介して加圧空気を圧入してピストン16加圧し、ピストン棒15を矢印方向に移動させる。このとき、バルブ38は閉じ、バルブ39は開放し、加圧空気を圧入の後閉じる。
【0032】
ピストン棒15の移動により、水シリンダー12内の水がピストン棒15によって押し出され、この押し出された水が導管20を介してダイヤフラムポンプ13内のゴム袋19を膨らませ、この膨らんだ分だけダイヤフラムポンプA13内の地盤改良材がバルブ36およびバルブ40を介し、導管10を通って注入管8に導入される。
【0033】
次いで、他方の室B17bにコンプレッサー14から同様にして加圧空気を導入すると、水シリンダー12が同様に作動して地盤改良材を注入管8に導入するとともに、水シリンダー12では、ピストン棒15の移動分だけダイヤフラムポンプ13内のゴム袋19から導管20を通って水を吸い込むとともに、ダイヤフラムポンプ13では、吸い込まれた水の分だけ貯蔵タンク2から地盤改良材を吸い込み、この操作を集中管理室26の制御のもとに繰り返して行い、注入管8から地盤改良材を連続して地盤1中に注入する。
【0034】
なお、本発明では、エアシリンダー11の径方向断面を水シリンダー12の径方向断面よりも大きくすることによって、エアコンプレッサー14によるエアシリンダー11内の圧力よりも、水シリンダー12内の圧力が大きく変換される。このため、コンプレッサー14の加圧空気が小さくても、水シリンダー12内では大きな注入圧が得られる。
【0035】
図3は本発明にかかるユニットポンプの他の具体例を表した説明図であって、エアシリンダーA11およびエアシリンダーB11、水シリンダーA12および水シリンダーB12、ダイヤフラムポンプA13およびダイヤフラムポンプB13、およびA液用貯蔵タンク2a、B液用貯蔵タンク2bを備え、図2と同様にして作動される。エアシリンダーA11は内部にピストンA16、およびこのピストンA16に固定され、一方の径方向側面11aを貫通したピストン棒A15を備え、かつピストン16によって区画された室A17a、室B17bを有している。
【0036】
エアシリンダーA11の径方向側面11aには水シリンダーA12が連結され、前記貫通されたピストン棒A15を受け入れる構成となっている。この水シリンダーA12には給水槽18から導管22を介して水が充填される。
【0037】
ダイヤフラムポンプA13は内部にゴム袋19が設置され、このゴム袋19が水シリンダーA12と導管20を介して内通される。このダイヤフラムポンプA13は導管9を介してA液用貯蔵タンクに接続されるとともに、地盤1に埋設された注入管8と導管10を介して接続され、図2と同様にしてA液か注入管8に導入される。
【0038】
エアシリンダーB11、水シリンダーB12、ダイヤフラムポンプB13およびB液用貯蔵タンク2bも上述と同様にして作動され、注入管8には、地盤改良材としてA液およびB液が交互に注入され、A、B液の合流注入が可能である。
【0039】
図4は本発明にかかるユニットポンプのさらに他の具体例の説明図であって、圧気による駆動源で作動する図1のユニットポンプ3の具体例である。図2に示されるように、本発明にかかるユニットポンプ3はエアシリンダー11と、このエアシリンダー11の径方向両側面11a、11aに連結され水シリンダー12と、これら水シリンダー12とそれぞれ内通されたダイヤフラムポンプ13と、エアシリンダー11に接続されたエアコンプレッサー14とを基本的に備えて構成される。
【0040】
エアシリンダー11は内部にピストン棒15が軸方向に、かつ径方向両側11a、11aを貫通して備えられる。さらに、このピストン棒15にはピストン16が固定され、このピストン16によって内部が二つの室17a、17bに区画される。しかも、ピストン16の移動とともに、ピストン棒15モマタ移動するように構成される。
【0041】
水シリンダー12はエアシリンダー11の径方向両側面11a、11aに一対連結され、エアシリンダー11を軸方向に貫通したピストン棒15を受け入れる構造となっている。これら水シリンダー12はそれぞれ給水槽18と、導管22を介して接続されこの給水槽18から内部に水が充填される。
【0042】
一対のダイヤフラムポンプ13はそれぞれ内部にゴム袋19が設置され、かつ、貯蔵タンク2と接続され、常時、ダイヤフラムポンプ13内に地盤改良材が充填される。ゴム袋19は水シリンダー12と導管20を介して内通されており、ピストン棒15の移動により水シリンダー12内の水を導管20を通してゴム袋19に押し出してゴム袋19を膨らませ、この膨らんだ分だけ地盤改良材が導管10を介して注入管8に押し出される。
【0043】
エアコンプレッサー14はエアシリンダー11内のピストン16によって区画された室17a、17bにそれぞれ導管21を介して接続され、エアコンプレッサー14から室17a、17bに交互に加圧された空気を送ってピストン16およびピストン棒15を動かす。
【0044】
上述構成からなるユニットポンプ3は次のようにして作動される。まず、一対の水シリンダー12、12には給水槽18から導管22を介して水を充填する。このとき、水シリンダー12、12のバルブ23は閉じ、バルブ24は開放し、充填後に閉じる。さらに、一対のダイヤフラムポンプ13には貯蔵タンク2から導管9を介して地盤改良材が充填する。このとき、ダイヤフラムポンプA、B13、13のバルブ36は閉じ、バルブ37は開放し、充填後に閉じる。
【0045】
この状態で、エアシリンダー11内の一方の室、例えば室A17aにコンプレッサー14から導管21を介して加圧空気を圧入してピストン16加圧し、ピストン棒15を矢印方向に移動させる。このとき、バルブ38は閉じ、バルブ39は開放し、加圧空気を圧入の後閉じる。
【0046】
ピストン棒15の移動により、水シリンダーA12内の水がピストン棒15によって押し出され、この押し出された水が導管20を介してダイヤフラムポンプA13内のゴム袋19を膨らませ、この膨らんだ分だけダイヤフラムポンプA13内の地盤改良材がバルブ36およびバルブ40を介し、導管10を通って注入管8に導入される。
【0047】
次いで、他方の室B17bにコンプレッサー14から同様にして加圧空気を導入すると、水シリンダーB12が同様に作動して地盤改良材を注入管8に導入するとともに、水シリンダーA12では、ピストン棒15の移動分だけダイヤフラムポンプA13内のゴム袋19から導管20を通って水を吸い込むとともに、ダイヤフラムポンプA13では、吸い込まれた水の分だけ貯蔵タンク2から地盤改良材を吸い込み、この操作を集中管理室26の制御のもとに繰り返して行い、注入管8から地盤改良材を連続して地盤1中に注入する。
【0048】
なお、本発明では、エアシリンダー11の径方向断面を水シリンダー12の径方向断面よりも大きくすることによって、エアコンプレッサー14によるエアシリンダー11内の圧力よりも、水シリンダー12内の圧力が大きく変換される。このため、コンプレッサー14の加圧空気が小さくても、水シリンダー12内では大きな注入圧が得られる。
【0049】
図5は地盤改良材としてA液およびB液を用いた本発明にかかる装置の一具体例の説明図であって、図3のユニットポンプ3を用いて複数の注入管8にそれぞれのユニットポンプ3からA、B液を交互に注入し、複数の注入ポイント6、6・・・6にA、B合流注入を行う。
【0050】
上述の本発明にかかるユニットポンプを用いることにより、1分間の吐出量はピストンの往復回数とエアシリンダー容量によってきまる。また、注入圧力はコンプレッサーによる加圧空気の圧力およびエアシリンダーの径方向断面積と水シリンダーの径方向断面積の比率によってきまる。本発明では、これらの作動を集中管理装置で制御し、かつ各バルブの開閉および変換を集中管理装置で制御する。これにより、所定の注入ポイントにおける注入圧力、毎分吐出量、注入量をあらかじめインプットしておき、所定値に達したときにコンプレッサーやバルブを自動的に変換することにより、所定の注入が可能になる。
【0051】
また、一台のコンプレッサーからの圧気で複数の独立したユニットポンプを稼動することができ、このため、多数のユニットポンプを簡便に、それぞれ独立して作動せしめ、極めて簡便な多連注入装置となる。
【0052】
上述に示されるユニットポンプは通常、2〜100台を1セットとして多連装注入装置を構成し、1セット中でこれらのユニットポンプを横、縦あるいは三次元として配列される。これらユニットポンプはいずれもそれぞれが圧気による駆動源で作動する。そして、それぞれの駆動源は集中管理装置で制御されるコンプレッサーおよび/または流量変換バルブによって作動する。このため、1プラント中の多連装注入装置は独立した多数のユニットポンプが、それぞれの駆動源の作動で生じる揺動、変形または撓みを防止するように、台座、枠体等の支持体に支持されて配置され、あるいは集積されることが必要である。
【0053】
本発明では、例えば30cm×30cm×0.2cmのユニットポンプ3を横方向に4個、長さ方向に4個、高さ方向に3個、枠体等の支持体に支持して配列ないしは集積すると、48個のユニットポンプを最小1.2m×1.2m×0.9mの体積の多連装注入装置5とすることができる。したがって、本発明の多連装装置は48個のユニットポンプで構成しながら全体として容量が小さい、コンパクトな、一体化した1セットの注入装置としてまとめることができる。そして、1つのユニットポンプは吐出口7から吐出量(1〜7リットル/分)で中央集中管理室からの指示で所定の注入ポイントに最適の注入速度、注入圧力を保持しながら、多数の吐出口(例えば、50個の吐出口)からの全体の注入を集中管理室によって、全吐出量が(1〜7)×50=50〜350リットル/分の範囲で一括管理され、低圧、低吐出量による粒子間浸透が可能となり、しかも急速施工による工期の短縮が可能となる。
【0054】
本発明にかかる注入管8は図6に示されるように、地盤1中に挿入され、地盤改良材を地盤中に注入する。すなわち、図6(a)に示されるように、ケーシング54を用いて地盤1中に削孔53を形成し、この削孔53中に図6(b)に示されるように、吐出口7にゴムスリーブ58を備えた外管55を挿入し、シール材56によって削孔53中に固定する。次いで、図6(c)に示されるように、外管55中に内管57を移動しながら挿入し、内管57を通して地盤改良材を地盤1中に注入する。
【0055】
図7はA液吸排部分3aとB液吸排部分3bを保持したユニットポンプ3、3・・3を用いた本発明装置の説明図である。図6において、地盤改良材貯蔵タンク2としてA液用タンク2a、およびB液用タンク2bを用い、また、ユニットポンプ3として、A液用タンク2aに導管9を介して連結するA液吸排部分3a、B液用タンク2bに導管9を介して連結するB液吸排部分3bを有するユニットポンプ3を用いたことを除いて図1と同じである。ユニットポンプ3はA液吸排部分3aとB液吸排部分3bからのA、B液が一定比率で、かつ所定の流量になるように、エアシリンダーの容量、水シリンダーの容量、エアシリンダー径方向断面の大きさ、水シリンダーの径方向断面の大きさが選定され、それぞれのA液、B液に共通の駆動源4と、圧気作動部25が作動する。
【0056】
上述の本発明装置を用いて、地盤1の複数の注入ポイント6、6・・6から注入管8の吐出口7を通して地盤改良材を多点注入するに当たり、タンク2aからのA液、タンク2bからのB液をそれぞれ、多連装注入装置5の各ユニットポンプ3、3・・3を通して、別々に注入管8、8・・8に導入して合流し、地盤1の複数の注入ポイント6、6・・6中に同時に圧液注入する。
【0057】
図8および図9はそれぞれ本発明にかかる装置の他の具体例の説明図であって、地盤改良材貯蔵タンク2と、多連装注入装置5と、複数の注入管8とを基本的に備える。地盤改良材貯蔵タンク2はA液用タンク2aと、B液用タンク2bとからなり、これらタンク中のA液およびB液をそれぞれ別々に注入管8に導き、合流させる構造となっている。なお、図8では、A液およびB液を導管10で合流の後、合流液を注入管8に圧送し、吐出口7から注入ポイント6に注入するのに対し、図9では、地盤1の注入ポイント6に2本の注入管8、8を配設し、これら2本の注入管8、8にそれぞれA液およびB液を圧送し、吐出口7から注入ポイント6に注入した後、地盤1中で合流し、反応させたり、あるいは異なるタイプの改良材を同時に、あるいは時間差をもって注入する点、両者は異なる。この場合、2本の注入管8、8はそれぞれ、距離の離れた別の注入ポイント6に設けられ、それぞれの吐出口7から地盤1中にA液、B液を注入し、これらA液、B液を地盤中で合流し、反応させてもよい。
【0058】
多連装注入装置5は一プラント中に独立した多数のユニットポンプ3、3・・3を備えるとともに、これらユニットポンプ3、3・・3がそれぞれ圧気により作動する独立した駆動源4で一つの集中管理装置26によって1セットの注入装置として一緒に作動し、かつ導管9、9・・9を介してA液用タンク2aおよびB液用タンク2bに接続している。これらユニットポンプ3、3・・3は5セット以上を、図8および図9に示されるように横並びで多連装されるが、図示しない縦並びに配列されてもよい。
【0059】
注入管8は先端に吐出口7を有するものであって、地盤1の複数の注入ポイント6、6・・6に複数本埋設され、A液用タンク2aに通じるユニットポンプ3、3・・3およびB液用タンク2bに通じるユニットポンプ3、3・・3にそれぞれ接続される。
【0060】
さらに、上述の独立した多数のユニットポンプ3、3・・3はそれぞれ圧気作動部25、25・・25を備える。これら圧気作動部25、25・・25はならびにコンプレッサーそれぞれ電気信号によって集中管理装置26に接続され(図中、破線で示す)、制御される。この結果、A液用タンク2aおよびB液用タンク2b中の地盤改良材A、B液は各ユニットポンプ3、3・・3の作動により任意の注入速度で合流され、導管10を通じて各注入管8、8・・8に圧送され、各吐出口7、7・・7から地盤1に多点注入される。なお、この多点注入は吐出口7を図8および図9に示されるように平面方向に設置して注入してもよく、また、後述図11、図12に示されるように、吐出口7を深度方向の異なる位置に設置して注入してもよい。
【0061】
さらに、図8および図9に示されるように、注入管8、8・・8、例えばユニットポンプ3、3・・3から注入管8、8・・8に通じる導管10、10・・10には、それぞれ流量圧力検出器27が設置される。これら検出器27から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データ信号は図8および図9において、破線で示されるように集中管理装置26に送信される。そして、図9に示されるように注入状況を注入管理装置26の注入監視盤29で一括監視しながら地盤改良材を独立した多数のユニットポンプ3、3・・3から複数の注入管8を通して地盤1中の複数の注入ポイントに多点注入する。
【0062】
多数のユニットポンプ3、3・・3の作動は集中管理装置26に送信された地盤改良材の流量および/または圧力データ信号に基づいて圧気作動部25を介して制御される。この制御により地盤改良材は所望の圧力および/または流量に保持され、各注入管8、8・・8に送液される。
【0063】
さらに、また、流量圧力検出器27から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データ信号を集中管理装置26に送信し、これらデータを注入管理装置26の注入監視盤29に画面表示することにより、注入状況の一括監視を行って、注入管8におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入に行う。なお、図8および図9において、28は切換えバルブ、ストップバルブ、リターンバルブ等のバルブであって、図9に示されるように、バルブ28を集中管理装置26と接続し、制御することもできる。(図7のも同様。)
【0064】
注入監視盤29には注入年月日、注入時間等の「時データ」、注入ブロックNo. 、注入孔の孔番、注入ポイント等の「場所データ」、注入圧力、流量(単位時間流量や積算流量)等の「注入データ」が表示され、かつ集中管理装置26ではこれらの注入データに記録される。このようにして、複数の注入管8、8・・8に通じる多数のユニットポンプ3、3・・3毎の作動をそれぞれの注入管8の注入状況に応じて最適に制御でき、しかもこれらの複数のユニットポンプ3、3・・3を一括して管理することができる。図10は10本のそれぞれの注入官8、8・・8の圧力流量、積算流量を一括監視した一例である。なお、本発明において、注入管8としてY字管ロッドの代わりに二重管ダブルパッカー方式の注入管、単管等を用いることもできる。また、図9中、30は施工表示盤、31は日報作業装置である。
【0065】
図11は本発明にかかる多点地盤注入装置のさらに他の具体例を表した説明図であって、まず、図示しないケーシングパイプ等によって地盤1を削孔して注入ポイント6形成する。この注入ポイント6にはシール材32を填充するとともに、複数の注入管8、8・・8を挿入する。これら注入管8、8・・8はそれぞれ、直径が例えば数mmの細管であって、図示しないゴムスリーブ等、逆止弁を設けた先端の吐出口7、7・・7が軸方向の互いに異なる位置、順次に深い位置に、例えば、浅い位置から順次に深い位置に、7−1、7−2、・・7−iとなるように複数本結束される。そして、貯蔵タンク2の地盤注入材は導管9、ユニットポンプの集合体33、導管10、流量圧力検出器27を経て各注入官8、8・・・8の吐出口7、7・・7から地盤1中の注入ポイント6に注入される。ユニットポンプの集合体33中のそれぞれのユニットポンプは流量圧力検出器27からの情報に基づき集中管理装置26からの指示により制御される。
【0066】
シール材32を填充するに当たって、複数の細管8、8・・8の各吐出口7、7・・7に、図示しない逆止弁を設け、吐出口7、7・・7から地盤改良材を注入するに先立って注入管8と地盤1とのすき間にシール材(硬化材)を填充してシール材32を形成してもよい。逆止弁としてはゴムスリーブ、栓等が用いられる。
【0067】
なお、細管は2本を一セットとし、その先端吐出口7に逆止弁を備えた細管セットであってもよく、この細管セットを複数本、吐出口の位置が軸方向に異なるように結束する。このような細管セットを用いると、A液およびB液をそれぞれ別々の細管から送液し、先端吐出口で両液を合流することによりゲル化時間の短い改良材を注入することができ、さらに、シール材32の填充にひき続いて改良材の注入を行うこともできる。
【0068】
このように構成される図11の装置では、貯蔵タンク2の地盤改良材は導管9、ユニットポンプの集合体33および導管10を介し、流量圧力検出器27を経て各注入管8、8・・8の吐出口7−1、7−2・・7−iから同時にあるいは選択的に所定の量吐出され、注入ポイント6のシール用モルタル(シール材)32を破って所定レベルの地盤1中に球根状に注入される。
【0069】
図12は図1と同様の多点地盤注入装置Aを用い、注入管8として図11と同様の細管を複数本束ねて構成される注入管8を図12に示すように、第1注入ブロック、第2注入ブロックの注入ポイント6に埋設し、同時にあるいは選択的に注入を施した例を示す。図12における注入管8はそれぞれの細管をT11、T12・・T1i、T1n; T21、T22、・・T2i、T2n;Ti1、Ti2・・Tii、Tin; Tn1、Tn2・・Tni、Tnnとして表す。これら細管を図12に示されるように第1ステージにはT11、T21・・Ti1、Tn1の先端吐出口が、第2ステージにはT12、T22・・Ti2、Tn2の先端吐出口が、第iステージにはT1i、T2i・・Tii、Tniの先端吐出口が、第nステージにはT1n、T2n、・・Tin、Tnnの先端吐出口がそれぞれ位置するように地盤1中に埋設する。
【0070】
図12において、複数の導管10、10・・10の流量圧力検出器27から検出された地盤改良材の流量および/または圧力のデータは集中管理装置26に送信され、データの記録ならびに画面表示により注入状況の一括監視を行って注入管理される。
【0071】
一般に沖積層は水平に滞積しているため、水平方向の透水係数は垂直方向のそれよりも大きい。したがって、図12において、第1ステージの土層はいずれの吐出口付近でもほぼ同じ透水係数で、例えば、中砂である。また、第nステージの土層もいずれの吐出口付近でもほぼ同じ透水係数で、例えば細砂である。注入に際して、まず、n本の注入管T11〜Tn1を用いて第1ステージを同時に注入し、次いで、第2ステージから第nステージまで注入する。図12において、第1注入ブロックが注入完了の後、第2注入ブロックに移向する。第iステージのn本の注入状況は図10に示されるように、注入監視盤で一括管理され、それぞれの注入管毎に最適の注入が行われるように制御される。
【0072】
なお、本発明では、各ユニットポンプをそれぞれ独立したモータ等の駆動源で駆動し、コンプレッサを集中管理装置で制御することにより、集積したユニットポンプを1セットの多連装注入装置として作動する。しかも、この多連装注入装置は多数の注入管の注入状況に応じて、それぞれの注入管の注入を任意に管理できる。すなわち、この多連装注入装置は多数(n本)の注入管の注入全体の管理のみならず、各注入管の注入をも最適に管理する機能を備えた装置である。本発明装置では、注入に当たり、例えば、ユニット当たりの吐出量0〜5リットル/分、多連装注入装置1セット当たりの吐出量0〜5リットル×n=0〜5×nリットル/分、ユニットポンプ数n=30のとき5・n=150リットル/分である。
【産業上の利用可能性】
【0073】
以上のとおり、本発明の多点地盤注入工法は圧気で作動する独立した多数のユニットポンプを備えた多連装注入装置を用いたから、地盤状況が各層毎に異なる地盤に対して、これら各層毎に最適な注入を同時に、あるいは選択的に達成し得る。このため地盤中の縦方向、横方向への立体的な注入を同時に行うという大規模多連施工を圧気を用いた多数の独立したユニットポンプを用いて簡便に達成される。しかも本発明装置は小型化される。
【0074】
さらに、本発明の多点地盤注入装置は多連装注入装置を備えた装置であって、上述のとおりの多数のユニットポンプを備えてなるものであるから、任意の地盤改良材を任意の量、任意の吐出速度で同時に、あるいは選択的に注入し得、地盤状況の各層毎に異なる地盤に対して、これら各層毎に最適な注入を行うことができ、注入工期も短縮される。
【0075】
さらにまた、本発明は低吐出速度、例えば、一点あたり1リットル以下〜数リットル/分、特に1〜7リットル/分の可変吐出量で微細土層に地盤の破壊を起こさずに浸透注入し得、微細土層への浸透注入の信頼性を向上するとともに、毎分50〜350リットルの急速施工によって工期の短縮を図ることもできる。
【0076】
さらに、A液、B液を合流注入して注入中にA液、B液の吐出量を変えることにより任意のゲルタイムを吐出口各に行うことができ、さらに、逸脱したときに、その注入管のみを中断し、他の多数の注入管からの注入はそのまま継続することもできる。また、すべての注入管を地盤中に設置しておきさえすれば、吐出口を選択して他の吐出口で二次注入の注入を行うことができることから全ての注入管から全地盤中への設計通りに均一に低圧浸透注入が行える。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明にかかる装置の原理図を表した説明図である。
【図2】本発明に用いられるユニットポンプの一具体例の説明図である。
【図3】本発明に用いられるユニットポンプの他の具体例の説明図である。
【図4】本発明に用いられるユニットポンプの他の具体例の説明図である。
【図5】本発明のユニットポンプを用いた地盤注入装置の一具体例の説明図である。
【図6(a)】本発明にかかる注入管の挿入および注入状況を表した断面図であって、ケーシングによる削孔を表す。
【図6(b)】本発明にかかる注入管の挿入および注入状況を表した断面図であって、外管の挿入を表す。
【図6(c)】本発明にかかる注入管の挿入および注入状況を表した断面図であって、地盤改良材の注入状況を表す。
【図7】本発明にかかる装置の他の具体例の説明図である。
【図8】本発明にかかる装置のさらに他の説明図である。
【図9】本発明にかかる装置のさらに他の具体例の説明図である。
【図10】集中管理装置の注入監視盤に表示される一具体例である。
【図11】注入管として複数の細管を用いた本発明装置のさらに他の具体例の説明図ある。
【図12】本発明にかかる装置のさらに他の具体例の説明図である。
【符号の説明】
【0078】
A 多点地盤注入装置
1 地盤
2 地盤改良材貯蔵用タンク
2a A液用タンク
2b B液用タンク
3 ユニットポンプ
3a A液吸排部分
3b B液吸排部分
4 圧気による駆動源
5 多連装注入装置
6 注入ポイント
7 吐出口
8 注入管
9 導管
10 導管
11 エアシリンダー
12 水シリンダーA、B
13 ダイヤフラムポンプA、B
14 エアコンプレッサー
15 ピストン棒
16 ピストン
17a 室A
17b 室B
18 給水槽
19 ゴム袋
25 圧気作動部
26 集中管理装置
27 流動圧力検出器
28 バルブ
29 注入監視盤
30 施工表示盤
31 日報作業装置
32 シール材
33 ユニットポンプの集合体
34 注入領域


【特許請求の範囲】
【請求項1】
吐出口を有する注入管を複数本、地盤中に埋設して複数の注入ポイントを設け、これら注入管を通して地盤改良材を注入する地盤注入工法であって、圧気による駆動源で作動し、かつ、集中管理装置で制御されるユニットポンプを備えた注入装置を用い、該ユニットポンプが導管を通して注入管と接続され、前記ユニットポンプの作動により、地盤改良材を地盤中の所定の注入ポイントを通して注入することを特徴とする地盤注入工法。
【請求項2】
請求項1において、ユニットポンプが加圧装置からの圧気で駆動され、集中管理装置で制御される請求項1に記載の地盤注入工法。
【請求項3】
請求項2において、加圧装置がエアコンプレッサーまたはボンベであり、圧気が空気、炭酸ガスまたは不活性ガスである請求項2に記載の地盤注入工法。
【請求項4】
請求項1において、前記複数の注入管の注入ポイントが平面方向の異なる位置に設置される請求項1に記載の地盤注入工法。
【請求項5】
請求項1において、前記複数の注入管の注入ポイントが深度方向の異なる位置に設置される請求項1に記載の地盤注入工法。
【請求項6】
請求項1において、前記注入管に通じる各導管に流量圧力検出器を設け、これら検出器から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データの信号を集中管理装置に送信し、この情報に基づき、地盤改良材を前記各ユニットポンプから地盤中の複数の注入ポイントに注入する請求項1に記載の地盤注入工法。
【請求項7】
請求項6において、前記各ユニットポンプがそれぞれ注入監視盤を備えた集中管理装置で制御される加圧装置に連結され、流量圧力検出器から検出されたデータ信号に基づいて加圧装置を作動し、地盤改良材を所望の圧力および/または流量に保って各注入管に送液する請求項6に記載の地盤注入工法。
【請求項8】
請求項6において、前記流量圧力検出器から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データの信号を注入監視盤に画面表示することにより注入状況の一括監視を行って、注入管におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入を行う請求項6に記載の地盤注入工法。
【請求項9】
地盤改良材貯蔵タンクと、前記貯蔵タンクに接続され、加圧装置からの圧気による駆動源で作動するユニットポンプと、地盤の複数の注入ポイントに埋設され、前記ユニットポンプと導管を通して接続された注入管と、前記ユニットポンプを制御する集中管理装置とを備え、さらに、前記導管に流量圧力検出器を備えてなり、これにより前記流量圧力検出器からの流量および/または圧力データの信号を集中管理装置に送信し、前記タンク中の地盤改良材をユニットポンプの作動により任意の注入速度、注入圧力あるいは注入量で注入管に圧送し、前記注入ポイントから注入することを特徴とする地盤注入装置。
【請求項10】
請求項9において、前記ユニットポンプが複数備えられる請求項9に記載の地盤注入装置。
【請求項11】
請求項9において、前記装置が2セット以上のユニットポンプを横並び、縦並び、または三次元的に配列してなる請求項9に記載の地盤注入装置。
【請求項12】
請求項9において、前記流量圧力検出器から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データの信号を集中管理装置に送信し、注入状況を注入管理装置の注入監視盤で一括監視しながら地盤改良材を複数のユニットポンプから地盤中の複数の注入ポイントに注入する請求項9に記載の地盤注入装置。
【請求項13】
請求項9において、前記ユニットポンプは集中管理装置に送信された地盤改良材の流量および/または圧力データ信号に基づいて制御され、これにより地盤改良材を所望の圧力および/または流量で各注入管に送液する請求項9に記載の地盤注入装置。
【請求項14】
請求項9において、前記流量圧力検出器から検出された地盤改良材の流量および/または圧力データの信号を集中管理装置に送信し、これらデータを注入管理装置の注入監視盤に画面表示することにより注入状況の一括監視を行って、注入管におけるそれぞれの注入圧力および/または流量を所定の範囲に維持しながら注入するとともに、上記データの情報に基づき、注入の完了、中止、継続あるいは再注入を行う請求項9に記載の地盤注入装置。
【請求項15】
地盤改良材貯蔵タンクと、該タンクに接続され、加圧装置からの圧気による駆動源で作動するユニットポンプと、地盤中に埋設された注入管とを備え、前記ユニットポンプが内部にピストン棒が径方向に貫通して備えられ、該ピストン棒にピストンが固定され、ピストンが圧気によって往復運動するエアシリンダーと、このエアシリンダーの径方向に連結され、前記貫通されたピストン棒を受け入れる水シリンダーと、内部にゴム袋が設置され、このゴム袋が該水シリンダーと内通されたダイヤフラムポンプと、前記エアシリンダーに接続された加圧装置とを備え、前記水シリンダーは給水槽に接続され、さらに前記ダイヤフラムポンプは地盤改良材貯蔵タンクに接続されるとともに、地盤に埋設された注入管に接続されてなる地盤注入装置。
【請求項16】
請求項15において、エアシリンダーが複数個備えられ、これらエアシリンダーはそれぞれ内部にピストンおよびこのピストンに固定され、一方の径方向側面を貫通したピストン棒を備え、かつピストンによって区画された二室を有しており、このエアシリンダーの径方向側面には水シリンダーが連結され、貫通されたピストン棒を受け入れ、かつ、ダイヤフラムポンプに接続される構成となっており、また、ダイヤフラムポンプは地盤改良材貯蔵タンクに接続されるとともに、注入管と接続され、地盤に注入するようにした請求項15に記載の地盤注入装置。
【請求項17】
地盤改良材貯蔵タンクと、該タンクに接続され、圧気による駆動源で作動するユニットポンプと、地盤に埋設され、ユニットポンプと導管を通して接続された注入管とを備え、前記ユニットポンプが内部にピストン棒が径方向両側面を貫通して備えられ、該ピストン棒にピストンが固定され、ピストンによって区画された二室を有するエアシリンダーと、このエアシリンダーの径方向両側面に連結され、前記貫通されたピストン棒を受け入れる一対の水シリンダーA、Bと、内部にゴム袋が設置され、このゴム袋が該水シリンダーとそれぞれ内通された一対のダイヤフラムポンプA、Bと、前記エアシリンダー内の二室A、Bにそれぞれ接続された加圧装置とを備え、前記一対の水シリンダーA、Bはそれぞれ給水槽に接続され、さらに前記一対のダイヤフラムポンプA、Bはそれぞれ地盤改良材貯蔵タンクに接続されるとともに、地盤に埋設された注入管に接続されてなる地盤注入装置。
【請求項18】
請求項15または17において、水シリンダーには給水槽から水が充填され、かつ、ダイヤフラムポンプには地盤改良材貯蔵タンクから地盤改良材が充填され、前記エアシリンダー内の一方の室Aに加圧装置から加圧空気を圧入し、この加圧空気によりピストンを押圧してピストン棒を移動させることにより、水シリンダー内の水がピストン棒によって押し出され、この押し出された水がダイヤフラムポンプ内のゴム袋を膨らませ、この膨らんだ分だけダイヤフラムポンプ内の地盤改良材が注入管に導入され、次いで、他方の室Bに同様にして加圧空気を圧入すると、ダイヤフラムポンプから同様にして地盤改良材が注入管に導入されるとともに、ピストン棒の移動分だけダイヤフラムポンプ内のゴム袋から水が水シリンダーに吸い込まれるとともに、吸い込まれた水の分だけ貯蔵タンクからダイヤフラムポンプに地盤改良材が吸込まれ、この操作を集中管理装置の制御のもとに繰り返して行い、注入管から地盤改良材を連続して地盤中に注入する請求項15または17の地盤注入装置。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6(a)】
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【図6(b)】
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【図6(c)】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−89925(P2006−89925A)
【公開日】平成18年4月6日(2006.4.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−273207(P2004−273207)
【出願日】平成16年9月21日(2004.9.21)
【出願人】(000162652)強化土エンジニヤリング株式会社 (116)
【出願人】(390020488)太洋基礎工業株式会社 (15)
【Fターム(参考)】