説明

型締力測定センサ

【課題】型締力を測定する歪センサを安定保持し、耐久性に優れ、出力特性も良好で、信号ケーブルの断線防止をも図ることができる型締力測定センサを提供する。
【解決手段】センサ保持体2の中央部に嵌め込んだ弾性嵌込体12の端面に歪センサ5を密着させ、歪センサ5に端部を半田付接続した信号ケーブル5bと、一方のセンサ保持体2と、歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体と、ヒンジ結合により開閉可能に連結し、タイバーの外周に装着して型締力を測定する型締力測定センサ1であって、弾性嵌込体12の端面に設けた半田付部分の膨出部を没入させる没入長溝と、センサ保持体2内における信号ケーブルの配線経路の途中において、その一部を曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部とを有する構成とした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締力測定センサに関し、詳しくは、射出成型機の金型支持機構部に用いられるタイバーに生じる歪を測定する型締力測定センサに関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えば、射出成型機の金型は、一般的に複数に分割されており、成型時に相互に型締めして使用される。また、型締装置は、金型用の金型支持機構部にタイバーが連結されており、このタイバーには型締力が作用しそれに応じた歪が生じる。
【0003】
従来にいても、タイバーに密着させてタイバーの歪を測定する型締力測定センサが種々提案されている。
【0004】
図12乃至図21を参照して従来の型締力測定センサの一例について概説する。
【0005】
図12は、従来の型締力測定センサ51の一部を示すものであり、この型締力測定センサ51は、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に例えばストレンゲージからなる歪センサ55を保持した一方のセンサ保持体52と、この一方のセンサ保持体52と同様に形成した図示しない他方のセンサ保持体とをヒンジ結合で開閉可能に連結して全体として楕円環状を呈する構成としている。
【0006】
そして、前記センサ保持体52を、金型用の金型支持機構部(図示せず)に連結したタイバー20の外周に装着してタイバー20に作用する型締力を前記歪センサ55により測定するように構成している。なお、図12において55bは2本構成の信号ケーブル(導線)である。
【0007】
前記歪センサ55は、例えばフィルム状のセンサ保持片にストレンゲージのようなセンサ部を設けるとともに、図13に示すように、前記センサ部に対して2本構成の信号ケーブル55bの端部を各々センサ保持片から外側に僅かに膨出する2箇所の半田付部54により接続して、前記センサ部に生じる歪信号を2本構成の信号ケーブル55bを介して前記型締力測定センサ51の外部に設けた図示しない信号処理回路に伝送するように構成している。
【0008】
次に、前記センサ保持体52における歪センサ55の保持構造について図13乃至図18をも参照して説明する。
【0009】
図13はゴム座のような弾性嵌込体53及び歪センサ55の配置関係を示し、図14は前記センサ保持体52、歪センサ55、信号ケーブル55b、弾性嵌込体53及びタイバー20の断面を示すものである。
【0010】
前記センサ保持体2の中央部分には、図12に示すように、その外周面側に嵌込筒状ネジ体80用の受ネジ孔56を設けている。
【0011】
また、前記センサ保持体52の中央部分には、図12、図17に示すように、その内周面側から受ネジ孔56側に向けて設けた凹陥部に2個の貫通孔53aを設けた弾性嵌込体53を嵌装している。
【0012】
更に、前記センサ保持体52における前記受ネジ孔56と弾性嵌込体53が嵌め込まれる凹陥部との間の肉厚部分にも2個のケーブル挿入孔52aを設けている。
【0013】
そして、前記弾性嵌込体53の内周側端面に図13に示す歪センサ55を密着配置して、かつ、信号ケーブル55bを2個の貫通孔53a、2個のケーブル挿入孔52a、受ネジ孔56を経て外部に導出するように構成している。前記歪センサ55の外面には図示しない保護フィルムが貼り付けられる。
【0014】
次に、前記弾性嵌込体53について、図15乃至図18を参照して説明する。前記弾性嵌込体53は、例えばゴム材を用いて全体形状を例えば長楕円体状に形成している。
【0015】
この弾性嵌込体53に対して、既述したように直径0.7mm程度の2個の貫通孔53aを所定の間隔で穿設するとともに、この弾性嵌込体53における前記センサ保持体52の内周側に位置する端面(図15において上面)には、図15乃至図18に示すように、前記2個の半田付部54を当接させる細長矩形状の2個の受溝53bを前記2個の貫通孔53aに各々連通する状態に設けている。
【0016】
前記2個の受溝53bの寸法は、例えば長辺3.5mm、短辺1mm、深さ0.5mm程度に形成している。
【0017】
前記2本の信号ケーブル55bは、前記2個の貫通孔53a、2個のケーブル挿入孔52aを貫通し、かつ、前記センサ保持体52における前記受ネジ孔56の底部56a上において2個の貫通孔53aの開口位置でその一部が例えばろう付け等により固着され、接続部57を形成し、更に前記受ネジ孔56内を経て外部に導出している。
【0018】
上述した従来の型締力測定センサ51においては、前記2本構成の信号ケーブル55bにおける2箇所の半田付部54を細長矩形状の2個の受溝53bに単に当接させる構成であるため、図13に示すように、歪センサ55が弾性嵌込体53の端面に密着せず僅かに浮いた状態(隙間が生じた状態)となってしまい、歪センサ55の位置が不安定となり、この結果、図19に示すように、センサ保持体52やタイバー20から力(圧迫力:矢印で示す)が前記歪センサ55を構成するセンサ部に作用した場合、センサ部の位置ずれ、傾き、破損等が生じて型締力測定センサ51の耐久性が損なわれ、また、出力特性も悪化してしまうという問題を包含していた。
【0019】
また、従来の型締力測定センサ51においては、2本の信号ケーブル55bに関して前記センサ保持体52における前記受ネジ孔56の底部56a上において2個の貫通孔53aの開口位置でその一部が例えばろう付け等により固着され、接続部57を形成する構成としているので、2本の信号ケーブル55bに外力に対する余裕は無く、前記センサ保持体52やタイバー20から力(圧迫力)が前記歪センサ55を構成するセンサ部に作用した場合、2本の信号ケーブル55bにも直接力が作用し、この結果、図20、図21に示すように、2本の信号ケーブル55bにおける2箇所の半田付部54やその近傍部分が変形、破損等して断線状態になってしまうという不都合があった。
【0020】
特許文献1には、タイバーに対して側方から嵌脱自在なフレーム部材、このフレーム部材に組み込まれ突出端に保持したひずみセンサをタイバーに押圧するセンサ付勢手段等を備えた型締力検出装置が提案されている。
【0021】
しかし、この特許文献1の場合も、ひずみセンサ自体の位置の安定性や、ひずみセンサに接続した信号ケーブルの断線防止を考慮したものではない。
【特許文献1】特開2003−112344号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
本発明が解決しようとする問題点は、タイバーに作用する型締力を測定する歪センサを安定して保持することができて耐久性に優れ、かつ、出力特性も良好であり、更に、信号ケーブルの断線防止をも図った型締力測定センサが存在しない点である。
【課題を解決するための手段】
【0023】
本発明に係る型締力測定センサは、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、前記弾性嵌込体の端面に、前記半田付部分の膨出部を没入させる没入長溝を設けたことを最も主要な特徴とする。
【発明の効果】
【0024】
請求項1記載の発明によれば、弾性嵌込体の歪センサを密着させるための端面に、歪センサと信号ケーブルとの半田付部分における膨出部を没入させる没入長溝を設けたものであるから、歪センサを弾性嵌込体に対してその外面側が何等の膨らみの無い平坦な状態で密着配置し安定した状態で保持することができ、耐久性に優れ、かつ、出力特性も良好に維持できる型締力測定センサを提供できる。
【0025】
請求項2記載の発明によれば、請求項1記載の発明の効果を奏するとともに、センサ保持体内における信号ケーブルの配線経路の途中において、この信号ケーブルの一部を曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部を設けているので、タイバー側からの力を信号ケーブルの曲がり変形で緩衝することができ、信号ケーブルの断線を回避できる型締力測定センサを提供できる。
【0026】
請求項3記載の発明によれば、歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを弾性嵌込体に設けた貫通孔、前記中央部の肉厚部に設けたケーブル挿入孔を貫通させ、中央部外周側に設けた嵌込筒状ネジ体用の受ネジ孔を経てこの中央部より外部に導出するようにした構成の基に、請求項2記載の発明の場合と同様、歪センサの安定保持による耐久性の確保、出力特性の維持、信号ケーブルの断線回避を図ることができる型締力測定センサを提供できる。
【0027】
請求項4記載の発明によれば、弾性嵌込体の端面にテーパー状に拡開した2個の没入長溝を設けて半田付部分の2箇所の膨出部を各々没入させるとともに、配線経路の途中である受ネジ孔の底部に2本の信号ケーブルの各一部を曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部を設けた構成の基に、請求項3記載の発明の場合と同様、歪センサの安定保持による耐久性の確保、出力特性の維持、信号ケーブルの断線回避を図ることができる型締力測定センサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
本発明は、タイバーに作用する型締力を測定する歪センサを安定して保持することができて耐久性に優れ、かつ、出力特性も良好であり、更に、信号ケーブルの断線防止をも図った型締力測定センサを提供するという目的を有するものである。
【0029】
本発明は、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、前記弾性嵌込体の端面に設けた前記半田付部分の膨出部を没入させる没入長溝と、前記センサ保持体内における前記信号ケーブルの配線経路の途中において、この信号ケーブルの一部を曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部と、を有する構成により上記目的を実現した。
【実施例】
【0030】
以下に、本発明の実施例に係る型締力測定センサについて図面を参照して詳細に説明する。
【0031】
まず、図1乃至図11を参照して、本発明の実施例に係る型締力測定センサ1について説明する。
【0032】
本実施例に係る型締力測定センサ1は、図1に示すように、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に例えばストレンゲージからなる歪センサ5を保持した一方のセンサ保持体2と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に例えばストレンゲージからなる歪センサ5を保持した他方のセンサ保持体3とを、これらの一端側同士でヒンジ4を用いて開閉可能に連結して全体として楕円環状を呈する構成としている。
【0033】
そして、前記両センサ保持体2、3を、金型用の金型支持機構部(図示せず)に連結したタイバー20の外周に装着してタイバー20に作用する型締力を前記歪センサ5、5により測定するように構成している。なお、図1中、5aはセンサ保持体2、3の内周面に貼り付けた歪センサ5、5用の保護フィルム、5bは2本構成の信号ケーブルである。
【0034】
更に詳述すると、前記一方のセンサ保持体2は、両端面近傍に各端面まで貫通させた貫通ネジ孔6に連なるネジ挿入凹部7を設けるとともに、中央部に内周面に臨む前記歪センサ5を保持している。
【0035】
前記他方のセンサ保持体3は、両端面に各々前記一方のセンサ保持体2に設けた貫通ネジ孔6に対向する受ネジ孔8を設けるとともに中央部に内周面に臨む前記歪センサ5を保持している。
【0036】
このように構成した前記両センサ保持体2、3をタイバー20の外周に装着し、ヒンジ4側及び他端側である解放側の各対向端部において前記貫通ネジ孔6側から受ネジ孔8側に締め付けネジ10をねじ込み、タイバー20外周に縮め付け固定し、前記歪センサ5、5をタイバー20外周に密接させてこのタイバー20に作用する型締力を前記歪センサ5、5により測定するようになっている。
【0037】
前記ヒンジ4は、例えば略四角形で薄板状の弾性ゴム体9を止めネジ11を用いて前記両センサ保持体2、3の一端側同士を周方向(センサ保持体2、3の他端側が離隔し又は接近する方向)に開閉可能に連結するように構成している。
【0038】
次に、前記センサ保持体2における歪センサ5の保持構造について図2乃至図9をも参照して詳述する。
【0039】
図2は型締力測定センサ1を構成する前記歪センサ5及び信号ケーブル5bを拡大して示し、また、図3は前記センサ保持体2、歪センサ5、信号ケーブル5b、詳細は後述するゴム座のような弾性嵌込体12及びタイバー20の拡大断面を示すものである。
【0040】
前記歪センサ5は、図2に示すように、例えばフィルム状のセンサ保持板13aにストレンゲージのようなセンサ部13を設けるとともに、このセンサ部13に対して2本構成の信号ケーブル5bの端部を各々センサ保持板13aから外側に僅かに膨出する2箇所の半田付部14により接続して、前記センサ部13に生じる歪信号を2本構成の信号ケーブル5bを介して前記型締力測定センサ1の外部に設けた図示しない信号処理回路に伝送するように構成している。
【0041】
前記センサ保持体2の中央部分には、図3に示すように、その外周面側に嵌込筒状ネジ体15用の受ネジ孔16を設けている。
【0042】
また、前記センサ保持体2の中央部分には、図3に示すように、その内周面側から受ネジ孔16側に向けて設けた凹陥部に2個の貫通孔12aを設けた弾性嵌込体12を嵌装している。
【0043】
更に、前記センサ保持体2における前記受ネジ孔16と弾性嵌込体12が嵌め込まれる凹陥部との間の肉厚部分にも2個のケーブル挿入孔2aを設けている。そして、前記弾性嵌込体12の内周側端面に、図2に示す歪センサ5を密着配置し、かつ、信号ケーブル5bを2個の貫通孔12a、2個のケーブル挿入孔2a、受ネジ孔16を経て外部に導出するように構成している。前記歪センサ5の外面には前記保護フィルム5aが貼り付けられる。
【0044】
次に、前記弾性嵌込体12について、図6乃至図9を参照して説明する。前記弾性嵌込体12は、例えばゴム材を用いて全体形状が例えば幅16mm、奥行き6mm、高さ6mm程度の寸法を有する長楕円体状に形成している。
【0045】
この弾性嵌込体12に対して、既述したように直径0.7mm程度の2個の貫通孔12aを所定の間隔で穿設するとともに、この弾性嵌込体12における前記センサ保持体2の内周側に位置する端面(図6において上面)には、図6乃至図8に示すように、前記2個の半田付部14を没入させるための長楕円形状の2個の没入長溝12bを前記2個の貫通孔12aに各々連通する状態に設けている。
【0046】
前記2個の没入長溝12bの寸法は、例えば長辺3.5mm、短辺1mm、深さ0.5mm程度で、かつ、端面に向けて拡開するテーパ状に形成している。
【0047】
更に、前記2個の没入長溝12bにおける前記貫通孔12a側とは反対側の端部12cを半径0.5mm程度の円弧状に形成している。
【0048】
前記2個の没入長溝12bを上述した形状とすることにより、これら2個の没入長溝12bを弾性嵌込体12に密着配置した際に、図4に示すように、前記2箇所の半田付部14の膨出部分が前記2個の没入長溝12b内に没入し、これにより、前記歪センサ5は弾性嵌込体12に対してその外面側が何等の膨らみの無い平坦な状態で密着配置することができるようにしている。
【0049】
更に、前記2本の信号ケーブル5bに関しては、前記センサ保持体2の内部において緩衝接続部17を設けている。
【0050】
すなわち、図5に示すように、前記2本の信号ケーブル5bは前記2個の貫通孔12a、2個のケーブル挿入孔2aを貫通し、かつ、前記センサ保持体2における前記受ネジ孔16の底部16a上において一端例えば4mm乃至6mm程度底部16aに沿って曲げられ、この底部16aの面に対してその一部が例えばろう付け等により固着されて緩衝接続部17を形成し、更に前記受ネジ孔16内を経て外部に導出している。
【0051】
他方のセンサ保持体3側の歪センサ5を含む各要素も上述した場合と全く同様な構成としている。
【0052】
次に、上述した構成からなる本実施例に係る型締力測定センサ1の動作について、図10、図11及び表1をも参照し、前記歪センサ5の弾性嵌込体12に対する取り付け態様及び緩衝接続部17の作用を主にして説明する。
【0053】
本実施例に係る型締力測定センサ1によれば、上述したように前記歪センサ5の弾性嵌込体12に対する取り付け態様が、弾性嵌込体12に設けた前記2個の没入長溝12b内に前記前記歪センサ5の一部を構成する2箇所の半田付部14の膨出部分が没入し、歪センサ5の外面側(タイバー20側)が何等の膨らみの無い平坦な状態で密着するように構成しているので、前記歪センサ5を構成するセンサ部13を極めて安定した状態で保持することができる。
【0054】
この結果、本実施例に係る型締力測定センサ1により実際にタイバー20の歪を測定する際に、図10に示すように、センサ保持体2やタイバー20から力(圧迫力:矢印で示す)が前記歪センサ5を構成するセンサ部13に作用しても、センサ部13の位置ずれ、傾き、破損が無くなって耐久性に富み、歪検出性能に極めて優れた型締力測定センサ1を提供することができる。
【0055】
また、前記歪センサ5に接続した2本の信号ケーブル5bに関して、前記受ネジ孔16の底部16aの領域に上述したような緩衝接続部17を設けているので、例えば図11に示すように、前記タイバー20側から力(圧迫力:矢印で示す)が前記歪センサ5を構成するセンサ部13に作用した場合に、2本の信号ケーブル5bは、底部16aにおける緩衝接続部17の近傍における曲げ部分が余裕をもって浮き上がる状態に変形し、タイバー20側からの力を緩衝(開放)することになり、これにより、前記半田付部14やその近辺における2本の信号ケーブル5bの断線が確実に回避される。
【0056】
前記歪センサ5、弾性嵌込体12、緩衝接続部17を設けた2本の信号ケーブル5bを本実施例のセンサ保持体2、3に一対ずつ取り付けた構成のサンプル4種について、これらを各々タイバー20に密着させてタイバー20の歪を測定する試験を個々に繰り返し(300回)行った結果を下記表1に示す。なお、断線の確認は20回毎に行った。
【0057】
【表1】

【0058】
表1から明らかなように、300回の試験後いずれの場合もセンサ部(ストレンゲージ)の位置が安定しており、傾き、破損も無く、断線も無いことが判明した。また、前記歪センサ5の出力特性も良好であった。
【産業上の利用可能性】
【0059】
本発明は、上述した型締装置のタイバーの歪力測定用として用いる他、円柱又は円筒状の部材に作用する歪力を測定するための測定機器等用としても応用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0060】
【図1】本発明の実施例に係る型締力測定センサの概略正面図である。
【図2】本実施例に係る型締力測定センサを構成する歪センサ及び信号ケーブルを拡大して示す斜視図である。
【図3】本実施例に係る型締力測定センサを構成するセンサ保持体、歪センサ、信号ケーブル、弾性嵌込体及びタイバーの部分拡大断面図である。
【図4】本実施例に係る型締力測定センサにおける歪センサの弾性嵌込体に対する密着状態を示す部分断面図である。
【図5】本実施例に係る型締力測定センサにおける信号ケーブルの緩衝接続部を示す部分断面図である。
【図6】本実施例に係る型締力測定センサにおける弾性嵌込体のタイバー側に臨む端面側から見た斜視図である。
【図7】本実施例に係る型締力測定センサにおける弾性嵌込体のタイバー側に臨む端面側から見た平面図である。
【図8】本実施例に係る型締力測定センサにおける弾性嵌込体の正面図である。
【図9】本実施例に係る型締力測定センサにおける弾性嵌込体の側面図である。
【図10】本実施例に係る型締力測定センサにおける歪センサへの力の作用状態を示す説明図である。
【図11】本実施例に係る型締力測定センサにおける信号ケーブルの緩衝接続部による力の解放作用を示す説明図である。
【図12】従来の型締力測定センサを構成するセンサ保持体、歪センサ、信号ケーブル、弾性嵌込体及びタイバーの部分拡大断面図である。
【図13】従来の型締力測定センサにおける歪センサの弾性嵌込体に対する密着状態を示す部分断面図である。
【図14】従来の型締力測定センサにおける信号ケーブルの接続部を示す部分断面図である。
【図15】従来の型締力測定センサにおける弾性嵌込体のタイバー側に臨む端面側から見た斜視図である。
【図16】従来の型締力測定センサにおける弾性嵌込体のタイバー側に臨む端面側から見た平面図である。
【図17】従来の型締力測定センサにおける弾性嵌込体の正面図である。
【図18】従来の型締力測定センサにおける弾性嵌込体の側面図である。
【図19】従来の型締力測定センサにおける歪センサへの力の作用状態を示す説明図である。
【図20】従来の型締力測定センサにおける歪センサへの力の作用状態を示す断面図である。
【図21】従来の型締力測定センサにおける信号ケーブルの変形状態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0061】
1 型締力測定センサ
2 センサ保持体
3 センサ保持体
4 ヒンジ
5 歪センサ
5a 保護フィルム
5b 信号ケーブル
6 貫通ネジ孔
7 ネジ挿入凹部
8 受ネジ孔
9 弾性ゴム体
10 締め付けネジ
11 止めネジ
12 弾性嵌込体
12a 貫通孔
12b 没入長溝
12c 端部
13 センサ部
13a センサ保持板
14 半田付部
15 嵌込筒状ネジ体
16 受ネジ孔
16a 底部
17 緩衝接続部
20 タイバー

【特許請求の範囲】
【請求項1】
四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、
前記弾性嵌込体の端面に、前記半田付部分の膨出部を没入させる没入長溝を設けたことを特徴とする型締力測定センサ。
【請求項2】
四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体、前記中央部の肉厚部を貫通させてこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、
前記弾性嵌込体の端面に設けた前記半田付部分の膨出部を没入させる没入長溝と、
前記センサ保持体内における前記信号ケーブルの配線経路の途中において、この信号ケーブルの一部を、曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部と、
を有することを特徴とする型締力測定センサ。
【請求項3】
四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体に設けた貫通孔、前記中央部の肉厚部に設けたケーブル挿入孔を貫通させ、中央部外周側に設けた嵌込筒状ネジ体用の受ネジ孔を経てこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した信号ケーブルを前記弾性嵌込体に設けた貫通孔、前記中央部の肉厚部に設けたケーブル挿入孔を貫通させ、中央部外周側に設けた嵌込筒状ネジ体用の受ネジ孔を経てこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、
前記弾性嵌込体の端面に設けた前記半田付部分の膨出部を没入させる2個の各没入長溝と、
前記センサ保持体内における前記信号ケーブルの配線経路の途中である前記受ネジ孔の底部においてこの信号ケーブルの一部を、曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部と、
を有することを特徴とする型締力測定センサ。
【請求項4】
四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ長楕円体状の弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した2本の信号ケーブルを前記弾性嵌込体に設けた2個の貫通孔、前記中央部の肉厚部に設けた2個のケーブル挿入孔を貫通させ、中央部外周側に設けた嵌込筒状ネジ体用の受ネジ孔を経てこの中央部より外部に導出した一方のセンサ保持体と、四角棒状、かつ、半楕円環状で、中央部内周面に端面を臨ませて嵌め込んだ長楕円体状の弾性嵌込体の前記端面に歪センサを密着させるとともに、前記歪センサに端部を半田付接続した2本の信号ケーブルを前記弾性嵌込体に設けた2個の貫通孔、前記中央部の肉厚部に設けた2個のケーブル挿入孔を貫通させ、中央部外周側に設けた嵌込筒状ネジ体用の受ネジ孔を経てこの中央部より外部に導出した他方のセンサ保持体とを、これらの一端側同士でヒンジ結合により開閉可能に連結し、他端側の対向端部同士をネジ止め固定する構成とし、全体として楕円環状を呈する形状として、両センサ保持体をタイバーの外周に装着して前記タイバーに作用する型締力を前記歪センサにより測定する型締力測定センサであって、
前記弾性嵌込体の端面に設けた前記半田付部分の2箇所の各膨出部を没入させる長楕円形状でテーパー状に拡開した2個の各没入長溝と、
前記センサ保持体内における前記2本の信号ケーブルの配線経路の途中である前記受ネジ孔の底部においてこの2本の信号ケーブルの各一部を、曲がり余裕を持たせつつ固定保持する緩衝接続部と、
を有することを特徴とする型締力測定センサ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2009−148961(P2009−148961A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−328046(P2007−328046)
【出願日】平成19年12月19日(2007.12.19)
【出願人】(501431350)株式会社シスコ (12)
【Fターム(参考)】