説明

型締装置及び型厚調整方法

【課題】型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができ、型厚の調整の精度を高くすることができるようにする。
【解決手段】固定金型15が取り付けられた第1の固定部材と、第1の固定部材と対向させて配設され、可動金型16が取り付けられた第1の可動部材と、第1の可動部材の進退に伴って進退させられる第2の可動部材とを有する。そして、第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。この場合、前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって型厚の調整を行うようになっているので、型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができ、型厚の調整の精度を高くすることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、型締装置及び型厚調整方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、成形機、例えば、射出成形機は、射出装置、金型装置及び型締装置を備え、樹脂を射出装置の射出ノズルから射出して金型装置のキャビティ空間に充填し、固化させることによって成形品を得るようになっている。そして、前記金型装置は、固定金型及び可動金型を備え、前記型締装置を作動させ、固定金型に対して可動金型を進退させることによって、型閉じ、型締め及び型開きを行うことができる。
【0003】
前記型締装置は、前記固定金型が取り付けられた固定プラテン、前記可動金型が取り付けられた可動プラテン、電動式のモータ、該モータの出力軸に連結されたボールねじ軸、及び該ボールねじ軸と螺合させられるボールナットから成るボールねじ、前記ボールナットと連結されたクロスヘッド、該クロスヘッドと可動プラテンとの間に配設されたトグル機構等を備え、前記モータを駆動することによってクロスヘッドを前進させ、前記トグル機構を伸展させることによって型閉じ及び型締めを行うことができる。
【0004】
ところが、前記構成の型締装置においては、型締力を発生させるためにトグル機構を使用するようになっているので、可動プラテンに曲げモーメントが作用し、可動プラテンにおける金型取付面に歪みが発生してしまう。
【0005】
また、トグル機構を伸展させることによって型締めが行われるので、型締力を制御するのが困難になってしまう。
【0006】
そこで、電動式のモータ及び電磁石を備え、型閉じ及び型開きの動作にモータのトルクを、型締めの動作に電磁石の吸引力を利用した型締装置が提供されている(例えば、特許文献1参照。)。
【0007】
該型締装置においては、固定プラテンと所定の間隔を置いてリヤプラテンが配設され、、前記固定プラテンとリヤプラテンとの間に架設されたタイバーに沿って可動プラテンが進退自在に配設される。そして、前記リヤプラテンの後端面に電磁石が固定され、前記リヤプラテンの後方に吸着板が進退自在に配設されるとともに、吸着板と可動プラテンとの間に前記リヤプラテン及び電磁石を貫通させてリンク機構が配設され、該リンク機構をモータによって屈伸させることができるようになっている。
【0008】
したがって、該モータを駆動してリンク機構を伸展させることによって型閉じを行った後、前記電磁石を駆動して吸着板を吸着することにより、型締めを行うことができる。この場合、型締力を発生させるために電磁石を使用するので、可動プラテンに曲げモーメントが作用せず、前記金型取付面に歪みが発生することがなくなる。また、型締力を容易に制御することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特許第3190600号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、前記従来の型締装置においては、型厚を調整する際に、可動プラテン及び吸着板だけでなく、リヤプラテンを移動させる必要があるので、移動させる必要のある部品が多くなり、型厚の調整の精度が低くなってしまう。
【0011】
本発明は、前記従来の型締装置の問題点を解決して、型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができ、型厚の調整の精度を高くすることができる型締装置及び型厚調整方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
そのために、本発明の型締装置においては、固定金型が取り付けられた第1の固定部材と、該第1の固定部材と対向させて配設され、可動金型が取り付けられた第1の可動部材と、該第1の可動部材の進退に伴って進退させられる第2の可動部材とを有する。
【0013】
そして、前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、型締装置においては、固定金型が取り付けられた第1の固定部材と、該第1の固定部材と対向させて配設され、可動金型が取り付けられた第1の可動部材と、該第1の可動部材の進退に伴って進退させられる第2の可動部材とを有する。
【0015】
そして、前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。
【0016】
この場合、前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって型厚の調整が行われるので、型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができ、型厚の調整の精度を高くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明の第1の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図2】本発明の第1の実施の形態における金型装置及び型締装置の型開き時の状態を示す図である。
【図3】本発明の第2の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図4】本発明の第3の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図5】本発明の第4の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図6】本発明の第5の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図7】本発明の第6の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図8】図7のX−X断面図である。
【図9】図7のY−Y断面図である。
【図10】図7のZ−Z断面図である。
【図11】本発明の第7の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【図12】図11のA−A断面図である。
【図13】図11のB−B断面図である。
【図14】図11のC−C断面図である。
【図15】本発明の第8の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本実施の形態において、型締装置については、型閉じを行う際の可動プラテンの移動方向を前方とし、型開きを行う際の可動プラテンの移動方向を後方とし、射出装置については、射出を行う際のスクリューの移動方向を前方とし、計量を行う際のスクリューの移動方向を後方として説明する。
【0019】
図1は本発明の第1の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図2は本発明の第1の実施の形態における金型装置及び型締装置の型開き時の状態を示す図である。
【0020】
図において、10は型締装置、Frは射出成形機のフレーム、Gdは、該フレームFr上に敷設されてレールを構成し、型締装置10を支持するとともに、案内する第1の案内部材としての2本のガイド(図においては、2本のガイドGdのうちの1本だけを示す。)、11は、該ガイドGd上に載置され、前記フレームFr及びガイドGdに対して固定された第1の固定部材としての固定プラテンであり、該固定プラテン11と所定の間隔を置いて、かつ、固定プラテン11と対向させて第2の固定部材としてのリヤプラテン13が配設され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13との間に4本の連結部材としてのタイバー14(図においては、4本のタイバー14のうちの2本だけを示す。)が架設される。なお、前記リヤプラテン13は、タイバー14が伸縮するのに伴って、ガイドGdに対してわずかに移動することができるように前記ガイドGd上に載置される。
【0021】
なお、本実施の形態においては、固定プラテン11はフレームFr及びガイドGdに対して固定され、リヤプラテン13はガイドGdに対してわずかに移動することができるようになっているが、リヤプラテン13をフレームFr及びガイドGdに対して固定し、固定プラテン11をガイドGdに対してわずかに移動することができるようにすることができる。
【0022】
そして、前記タイバー14に沿って固定プラテン11と対向させて第1の可動部材としての可動プラテン12が型開閉方向に進退自在に配設される。そのために、前記可動プラテン12におけるタイバー14と対応する箇所にタイバー14を貫通させるための図示されないガイド穴が形成される。
【0023】
前記タイバー14の前端部には図示されない第1のねじ部が形成され、前記タイバー14は、前記第1のねじ部とナットn1とを螺合させることによって固定プラテン11に固定される。また、前記各タイバー14の後方の所定の部分には、タイバー14より外径が小さい第2の案内部材としてのガイドポスト21が、リヤプラテン13の後端面から後方に向けて突出させて、かつ、タイバー14と一体に形成される。そして、リヤプラテン13の後端面の近傍には図示されない第2のねじ部が形成され、前記固定プラテン11とリヤプラテン13とは、前記第2のねじ部とナットn2とを螺合させることによって連結される。本実施の形態においては、ガイドポスト21がタイバー14と一体に形成されるようになっているが、ガイドポスト21をタイバー14とは別体に形成することもできる。
【0024】
また、前記固定プラテン11には第1の金型としての固定金型15が、前記可動プラテン12には第2の金型としての可動金型16がそれぞれ固定され、前記可動プラテン12の進退に伴って固定金型15と可動金型16とが接離させられ、型閉じ、型締め及び型開きが行われる。なお、型締めが行われるのに伴って、固定金型15と可動金型16との間に複数の図示されないキャビティ空間が形成され、射出装置17の射出ノズル18から射出された成形材料としての図示されない樹脂が前記各キャビティ空間に充填される。また、固定金型15及び可動金型16によって金型装置19が構成される。
【0025】
そして、前記可動プラテン12と平行に配設された第2の可動部材としての吸着板22が、リヤプラテン13より後方において前記各ガイドポスト21に沿って進退自在に配設され、ガイドポスト21によって案内される。なお、前記吸着板22には、各ガイドポスト21と対応する箇所に、ガイドポスト21を貫通させるためのガイド穴23が形成される。該ガイド穴23は、前端面に開口させられ、ボールナットn2を収容する大径部24、及び吸着板22の後端面に開口させられ、ガイドポスト21と摺動させられる摺動面を備えた小径部25を備える。本実施の形態において、吸着板22は、ガイドポスト21によって案内されるようになっているが、吸着板22を、ガイドポスト21だけでなく、ガイドGdによって案内することもできる。
【0026】
ところで、前記可動プラテン12を進退させるために、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ28が、可動プラテン12とフレームFrとの間に配設される。前記リニアモータ28は、第1の駆動要素としての固定子29、及び第2の駆動要素としての可動子31を備え、前記固定子29は、前記フレームFr上において、前記ガイドGdと平行に、かつ、可動プラテン12の移動範囲に対応させて形成され、前記可動子31は、可動プラテン12の下端において、前記固定子29と対向させて、かつ、所定の範囲にわたって形成される。
【0027】
前記固定子29の長さをLpとし、可動子31の長さをLmとし、可動プラテン12のストロークをLstとしたとき、前記長さLmは、リニアモータ28による最大の推進力に対応させて設定され、前記長さLpは、
Lp>Lm+Lst
にされる。
【0028】
前記可動子31は、コア34及びコイル35を備える。そして、前記コア34は、固定子29に向けて突出させて、所定のピッチで形成された複数の磁極歯33を備え、前記コイル35は、各磁極歯33に巻装される。なお、前記磁極歯33は可動プラテン12の移動方向に対して直角の方向に、互いに平行に形成される。また、前記固定子29は、図示されないコア、及び該コア上に延在させて形成された図示されない永久磁石を備える。該永久磁石は、N極及びS極の各磁極を交互に、かつ、前記磁極歯33と同じピッチで着磁させることによって形成される。
【0029】
したがって、前記コイル35に所定の電流を供給することによってリニアモータ28を駆動すると、可動子31が進退させられ、それに伴って、可動プラテン12が進退させられ、型閉じ及び型開きを行うことができる。
【0030】
なお、本実施の形態においては、固定子29に永久磁石を、可動子31にコイル35を配設するようになっているが、固定子にコイルを、可動子に永久磁石を配設することもできる。その場合、リニアモータ28が駆動されるのに伴って、コイルが移動しないので、コイルに電力を供給するための配線を容易に行うことができる。
【0031】
ところで、前記可動プラテン12が前進させられて可動金型16が固定金型15に当接すると、型閉じが行われ、続いて、型締めが行われる。そして、型締めを行うために、リヤプラテン13と吸着板22との間に、第2の駆動部としての、かつ、型締め用の駆動部としての電磁石ユニット37が配設される。そして、リヤプラテン13及び吸着板22を貫通して延び、かつ、可動プラテン12と吸着板22とを連結する型締力伝達部材としてのロッド39が進退自在に配設される。該ロッド39は、型閉じ時及び型開き時に、可動プラテン12の進退に連動させて吸着板22を進退させ、型締め時に、電磁石ユニット37によって発生させられた型締力を可動プラテン12に伝達する。
【0032】
なお、固定プラテン11、可動プラテン12、リヤプラテン13、吸着板22、リニアモータ28、電磁石ユニット37、ロッド39等によって型締装置10が構成される。
【0033】
前記電磁石ユニット37は、リヤプラテン13側に形成された第1の駆動部材としての電磁石49、及び吸着板22側に形成された第2の駆動部材としての吸着部51から成り、該吸着部51は、前記吸着板22の前端面の所定の部分、本実施の形態においては、吸着板22において前記ロッド39を包囲し、かつ、電磁石49と対向する部分に形成される。また、リヤプラテン13の後端面の所定の部分、本実施の形態においては、前記ロッド39よりわずかに上方及び下方に、水平方向に延在させて二つの溝45が互いに平行に形成され、各溝45間に矩形の形状を有するコア46、及び他の部分にヨーク47が形成される。そして、前記コア46にコイル48が巻装される。
【0034】
なお、前記コア46及びヨーク47、並びに吸着板22は、強磁性体から成る薄板を積層することによって形成され、電磁積層鋼板を構成する。
【0035】
本実施の形態においては、リヤプラテン13とは別に電磁石49が、吸着板22とは別に吸着部51が形成されるが、リヤプラテン13の一部として電磁石を、吸着板22の一部として吸着部を形成することもできる。
【0036】
したがって、電磁石ユニット37において、前記コイル48に電流を供給すると、電磁石49が駆動され、吸着部51を吸着し、前記型締力を発生させることができる。
【0037】
そして、前記ロッド39は、後端部において吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて配設される。したがって、ロッド39は、型閉じ時に可動プラテン12が前進するのに伴って前進させられて吸着板22を前進させ、型開き時に可動プラテン12が後退するのに伴って後退させられて吸着板22を後退させる。
【0038】
そのために、前記リヤプラテン13の中央部分に、ロッド39を貫通させるための穴41、及び前記吸着板22の中央部分にロッド39を貫通させるための穴42が形成され、前記穴41の前端部の開口に臨ませて、ロッド39を摺動自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br1が配設される。また、前記ロッド39の後端部にねじ43が形成され、該ねじ43と、吸着板22に対して回転自在に支持されたナット44とが螺合させられる。
【0039】
ところで、型閉じが終了した時点で、吸着板22はリヤプラテン13に近接させられ、リヤプラテン13と吸着板22との間にギャップδが形成されるが、該ギャップδが小さくなりすぎたり、大きくなりすぎたりすると、吸着部51を十分に吸着することができず、型締力が小さくなってしまう。そして、最適なギャップδは、金型装置19の厚さが変化するのに伴って変化する。
【0040】
そこで、前記ナット44の外周面に図示されない大径のギヤが形成され、前記吸着板22に型厚調整用の駆動部としての図示されない型厚調整用モータが配設され、該型厚調整用モータの出力軸に取り付けられた小径のギヤと、前記ナット44の外周面に形成されたギヤとが噛合させられる。
【0041】
そして、金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータを駆動し、前記ナット44をねじ43に対して所定量回転させると、吸着板22に対するロッド39の位置が調整され、固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδを最適な値にすることができる。すなわち、可動プラテン12と吸着板22との相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われる。
【0042】
なお、前記型厚調整用モータ、ギヤ、ナット44、ロッド39等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤによって、型厚調整用モータの回転をナット44に伝達する回転伝達部が構成される。そして、ナット44及びねじ43によって運動方向変換部が構成され、該運動方向変換部において、ナット44の回転運動がロッド39の直進運動に変換される。この場合、ナット44によって第1の変換要素が、ねじ43によって第2の変換要素が構成される。
【0043】
次に、前記構成の型締装置10の動作及び型厚調整方法について説明する。
【0044】
前記金型装置19の交換に伴い、新しい金型装置19が取り付けられると、まず、金型装置19の厚さに対応させて吸着板22と可動プラテン12との間の距離が変更され、型厚調整が行われる。該型厚調整においては、固定金型15及び可動金型16をそれぞれ固定プラテン11及び可動プラテン12に取り付け、次に、可動金型16を後退させて、金型装置19を開いた状態に置く。
【0045】
続いて、距離調整工程で、リニアモータ28を駆動し、固定金型15に可動金型16を当接させて型タッチを行う。なお、このとき、型締力は発生させない。この状態で、型厚調整用モータを駆動してナット44を回転させ、リヤプラテン13と吸着板22との距離、すなわち、前記ギャップδを調整し、あらかじめ設定された値にする。
【0046】
このとき、リヤプラテン13と吸着板22とが接触してもコイル48が破損することがないように、また、コイル48がリヤプラテン13の表面から突出しないように、リヤプラテン13内にコイル48を埋め込む。この場合、リヤプラテン13の表面は、コイル48の損傷防止用のストッパとして機能する。なお、コイル48がリヤプラテン13の表面から突出している場合、リヤプラテン13と吸着板22との間、例えば、リヤプラテン13における吸着板22と対向する面、又は吸着板22におけるリヤプラテン13と対向する面に、図示されない接触防止用ストッパを配設し、リヤプラテン13と吸着板22とが接触してコイル48を破損させることがないようにする。
【0047】
その後、図示されない制御部の型開閉処理手段は、型開閉処理を行い、型閉じ時に、図2の状態において、コイル35に電流を供給する。続いて、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が前進させられ、図1に示されるように、可動金型16が固定金型15に当接させられる。このとき、リヤプラテン13と吸着板22との間、すなわち、電磁石49と吸着部51との間には、最適なギャップδが形成される。なお、型閉じに必要とされる力は、型締力と比較されて十分に小さくされる。
【0048】
続いて、前記型開閉処理手段は、型締め時に、前記コイル48に電流を供給し、吸着部51を電磁石49の吸着力によって吸着する。それに伴って、吸着板22及びロッド39を介して型締力が可動プラテン12に伝達され、型締めが行われる。さらに、前記ギャップδを形成するための図示されないギャップ調整用ストッパを配設することができる。なお、前記接触防止用ストッパをフレームFrに配設することもできる。
【0049】
また、前記型締力は図示されない荷重検出器によって検出され、検出された型締力は前記制御部に送られ、該制御部において、型締力が設定値になるようにコイル48に供給される電流が調整され、フィードバック制御が行われる。この間、射出装置17において溶融させられた樹脂が射出ノズル18から射出され、金型装置19の各キャビティ空間に充填される。なお、前記荷重検出器として、ロッド39上に配設されたロードセル、タイバー14の伸び量を検出するセンサ等を使用することができる。
【0050】
そして、各キャビティ空間内の樹脂が冷却されて固化すると、前記型開閉処理手段は、型開き時に、図1の状態において、前記コイル48に電流を供給するのを停止する。それに伴って、リニアモータ28が駆動され、可動プラテン12が後退させられ、図2に示されるように、可動金型16が後退限位置に置かれ、型開きが行われる。
【0051】
このように、本実施の形態においては、可動プラテン12及び吸着板22の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われるので、型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができ、型厚の調整の精度を高くすることができる。
【0052】
そして、電磁石49の吸着力によって吸着板22が前進させられ、型締力がロッド39及び可動プラテン12を介して可動金型16に伝達されるので、型締め時の型締装置10の応答性及び安定性を高くすることができる。
【0053】
また、型締力を発生させるためにトグル機構を使用する必要がないので、可動プラテン12に曲げモーメントが作用することがなく、可動プラテン12における金型取付面に歪みが発生することがない。
【0054】
さらに、ロッド39は型締力を伝達する機能を有するだけでなく、型厚を調整する機能も有するので、型締装置10の部品点数を少なくすることができ、型締装置10の構造を簡素化し、型締装置10を小型化することができる。
【0055】
また、コイル48に供給される電流を調整することによって型締力を容易に制御することができる。しかも、コイル35に電流を供給することによって可動プラテン12を進退させ、コイル48に電流を供給することによって型締力を発生させるようになっているので、型締装置10の応答性及び安定性を更に高くすることができる。
【0056】
そして、ロッド39を1箇所に配設すればよく、タイバー14ごとに配設する必要がないので、型締装置10のコストを低下させることができる。また、型厚を調整する際に移動させる必要のある部品を少なくすることができるので、型厚調整用のモータとして容量の小さいモータを使用することができる。したがって、型締装置10を更に小型化することができるだけでなく、型厚の調整の精度を高くすることができる。
【0057】
さらに、前記可動子31とロッド39とが軸方向においてオーバラップさせて配設されるので、型締装置10の軸方向寸法を小さくすることができ、型締装置10を小型化することができる。
【0058】
また、前記ロッド39が可動プラテン12、リヤプラテン13及び吸着板22の中央部分に配設されるので、直径を大きくすることができる。したがって、ねじ43のリードを十分に小さくすることができるので、ロッド39を介して型締力を伝達するときに、可動プラテン12において発生する反力がロッド39に加わっても、ロッド39が回転させられることはない。その結果、ロッド39の回転を阻止するためにブレーキを配設する必要がないので、型厚調整装置の構造を簡素化することができる。
【0059】
そして、リニアモータ28を駆動することによって型閉じが行われた後、電磁石ユニット37が駆動されて型締めが行われるが、型締めに伴って、可動プラテン12もわずかに前進させられる。このとき、リニアモータ28において可動子31がわずかに前進させられるが、電磁石ユニット37の駆動と同期させてリニアモータ28を駆動する必要はなく、コイル35に電流を供給するのを停止させ、リニアモータ28を非駆動(フリー)の状態にするだけでよい。したがって、リニアモータ28の駆動の制御を簡素化することができる。
【0060】
また、型締め時に、吸着板22が前進させられるのに伴って可動プラテン12を移動させるために、メカロック、シャッタ等のロック機構を配設する必要がないので、型締装置10の構造を簡素化することができるだけでなく、型閉じ時及び型開き時にリニアモータ28を無負荷で駆動することができる。したがって、型閉じ時及び型開き時に可動プラテン12を円滑に移動させることができる。
【0061】
さらに、本実施の形態においては、リニアモータ28が可動プラテン12とフレームFrとの間に配設されるので、型閉じ時に、リニアモータ28によって発生させられた推進力が、直接可動プラテン12に伝達される。したがって、可動プラテン12の位置の精度を高くすることができる。
【0062】
なお、本実施の形態においては、コア46及びヨーク47、並びに吸着板22の全体が電磁積層鋼板によって構成されるようになっているが、リヤプラテン13におけるコア46の周囲及び吸着部51を電磁積層鋼板によって構成するようにしてもよい。本実施の形態においては、リヤプラテン13の後端面に電磁石49が形成され、該電磁石49と対向させて、吸着板22の前端面に吸着部51が進退自在に配設されるようになっているが、リヤプラテン13の後端面に吸着部を、該吸着部と対向させて、吸着板22の前端面に電磁石を進退自在に配設することができる。
【0063】
また、本実施の形態においては、前記金型装置19に複数のキャビティ空間が形成され、複数個取りの成形を行うことができるようになっていて、可動プラテン12の後端面におけるロッド39の周囲に、各キャビティ空間ごとに図示されない複数のエジェクタ装置が配設されるようになっている。なお、前記金型装置19に一つのキャビティ空間が形成され、1個取りの成形を行う場合には、エジェクタ装置を可動プラテン12の後端面における中央部分に配設することが好ましい。その場合、ロッド39内にエジェクタ装置が配設される。
【0064】
また、本実施の形態においては、第1の駆動部としてリニアモータ28が配設されるようになっているが、該リニアモータ28に代えて電動式のモータ、油圧シリンダ等を配設することができる。なお、前記モータを使用する場合、モータを駆動することによって発生させられた回転の回転運動は、運動方向変換部としてのボールねじによって直進運動に変換され、可動プラテン12が進退させられる。
【0065】
次に、1個取りの成形を行うことができ、可動プラテン12の中央部分にエジェクタ装置を配設するようにした本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0066】
図3は本発明の第2の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【0067】
この場合、第1の可動部材としての可動プラテン12の後端面における中央部分にエジェクタ装置55が配設され、該エジェクタ装置55の周囲、すなわち、エジェクタ装置55より上方及び下方に複数の、本実施の形態においては、二つの型締力伝達部材としてのロッド39が配設される。該各ロッド39は、後端部においてナット44を介して第2の可動部材としての吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて配設され、型閉じ時に可動プラテン12が前進するのに伴って前進させられて吸着板22を前進させ、型開き時に可動プラテン12が後退するのに伴って後退させられて吸着板22を後退させる。
【0068】
また、前記各ロッド39の後端部にねじ43が形成され、該ねじ43とナット44とが螺合させられる。そして、該各ナット44の外周面に図示されない大径のギヤが形成され、前記吸着板22に型厚調整用の駆動部としての型厚調整用モータ56が配設され、該型厚調整用モータ56の出力軸57に取り付けられた小径のギヤg1と、前記各ギヤとが噛合させられる。
【0069】
前記金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータ56を駆動し、各ナット44を同期させてねじ43に対して所定量回転させると、吸着板22に対するロッド39の位置が調整され、第1の固定部材としての固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδ(図1)を最適な値にすることができる。
【0070】
なお、前記型厚調整用モータ56、ギヤg1、ナット44、ロッド39等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤg1及びナット44のギヤによって、型厚調整用モータ56の回転をナット44に伝達する回転伝達部が構成される。そして、吸着板22とロッド39との間に、ナット44及びねじ43によって運動方向変換部が構成され、該運動方向変換部において、ナット44の回転運動がロッド39の直進運動に変換される。この場合、ナット44によって第1の変換要素が、ねじ43によって第2の変換要素が構成される。
【0071】
次に、前記型厚調整装置において、運動方向変換部がロッド及び可動プラテン12によって形成されるようにした本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0072】
図4は本発明の第3の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【0073】
この場合、型締力伝達部材としてのロッド139において、後端部に小径部140が、前端部にねじ143が形成され、該ねじ143と第1の可動部材としての可動プラテン12の後端面に開口させて形成された穴144の内周面に形成された図示されないねじとが螺合させられ、ロッド139と可動プラテン12とが連結される。また、小径部140の後端部に大径のギヤg2が取り付けられ、小径部140の前端部に第2の可動部材としての吸着板22が連結される。
【0074】
そのために、第2の固定部材としてのリヤプラテン13の中央部分にロッド139を貫通させるための穴41が、前記吸着板22の中央部分に前記小径部140を貫通させるための穴142が形成され、前記穴41の前端部の開口に臨ませて、ロッド139を摺動自在に、かつ、回転自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br2が、前記穴142の前端部の開口に臨ませて、ロッド139を回転自在に支持するボールベアリング等の軸受部材Br3が配設される。
【0075】
そして、吸着板22に型厚調整用の駆動部としての型厚調整用モータ56が配設され、該型厚調整用モータ56の出力軸57に取り付けられた小径のギヤg1と、前記ギヤg2とが噛合させられる。
【0076】
また、金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータ56を駆動し、前記ロッド139を可動プラテン12に対して所定量回転させると、可動プラテン12に対するロッド139の位置が調整され、固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδ(図1)を最適な値にすることができる。
【0077】
なお、前記型厚調整用モータ56、ギヤg1、g2、ロッド139、可動プラテン12等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤg1、g2によって、型厚調整用モータ56の回転をロッド139に伝達する回転伝達部が構成される。そして、可動プラテン12とロッド139との間に、ねじ143及び穴144のねじによって運動方向変換部が構成され、該運動方向変換部において、ロッド139の回転運動が直進運動に変換される。この場合、ねじ143によって第1の変換要素が、穴144のねじによって第2の変換要素が構成される。
【0078】
本実施の形態においては、型厚調整用モータ56が吸着板22に取り付けられ、型厚調整用モータ56を駆動することによってロッド139を回転させるようになっているが、型厚調整用モータを可動プラテン12に取り付け、前記型厚調整用モータを駆動することによってロッド139を回転させることもできる。
【0079】
次に、前記型厚調整用モータをリヤプラテン13に取り付けるようにした本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、第3の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0080】
図5は本発明の第4の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【0081】
この場合、型締力伝達部材としてのロッド239は、後端部に小径部140が、前端部にねじ143が、中央部分にスプライン241が形成され、後端部において第2の可動部材としての吸着板22と連結させて、中央部分において前記スプライン241を介して大径のギヤg12とスプライン連結させて、前端部において第1の可動部材としての可動プラテン12と連結させて配設される。なお、前記ギヤg12は筒状部259を備え、該筒状部259は、スプラインナットとして機能し、内周面に図示されないスプラインが形成される。
【0082】
また、第2の固定部材としてのリヤプラテン13の中央部分にロッド239を貫通させるための穴41が、前記吸着板22の中央部分に前記小径部140を貫通させるための穴142が形成され、前記穴41の前端部の開口に臨ませて、ギヤg12を回転自在に支持するボールベアリング等の軸受部材Br5が、前記穴41の後端部の開口に臨ませて、ロッド239を摺動自在に、かつ、回転自在に支持するブッシュ等の軸受部材Br4が、前記穴142の前端部の開口に臨ませて、ロッド239を回転自在に支持するボールベアリング等の軸受部材Br3が配設される。また、前記ねじ143と、可動プラテン12の後端面に開口させて形成された穴144の内周面に形成された図示されないねじとが螺合させられる。
【0083】
そして、前記リヤプラテン13に型厚調整用の駆動部としての型厚調整用モータ256が配設され、該型厚調整用モータ256の出力軸257に取り付けられた小径のギヤg11と、前記ギヤg12とが噛合させられる。
【0084】
したがって、金型装置19の厚さに対応させて、型厚調整用モータ256を駆動し、前記ロッド239を可動プラテン12に対して所定量回転させると、可動プラテン12に対するロッド239の位置が調整され、第1の固定部材としての固定プラテン11及び可動プラテン12に対する吸着板22の位置が調整されて、ギャップδ(図1)を最適な値にすることができる。
【0085】
なお、前記型厚調整用モータ256、ギヤg11、g12、ロッド239、可動プラテン12等によって型厚調整装置が構成される。また、ギヤg11、g12によって、型厚調整用モータ256の回転をロッド239に伝達する回転伝達部が構成される。そして、前記型厚調整装置において、可動プラテン12とロッド239との間に、ねじ143及び穴144のねじによって運動方向変換部が構成され、ロッド239の回転運動が直進運動に変換される。この場合、ロッド239によって第1の変換要素が、可動プラテン12によって第2の変換要素が構成される。
【0086】
前記型厚調整用モータ256は、リヤプラテン13に取り付けられているので、型閉じ時及び型開き時に移動しない。したがって、吸着板22を円滑に進退させることができる。
【0087】
本実施の形態においては、型厚調整用モータ256がリヤプラテン13に取り付けられるようになっているが、型厚調整用モータを可動プラテン12に取り付けることもできる。
【0088】
次に、吸着板22とフロアFrとの間にリニアモータを配設するようにした本発明の第5の実施の形態について説明する。なお、第1の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0089】
図6は本発明の第5の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【0090】
この場合、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ128は、フレームFr上に、ガイドGdと平行に、かつ、第1の可動部材としての可動プラテン12及び第2の可動部材としての吸着板22の移動範囲に対応させて配設された第1の駆動要素としての固定子129、及び前記吸着板22の下端において、前記固定子129と対向させて、かつ、所定の範囲にわたって配設された第2の駆動要素としての可動子131を備える。前記固定子129の長さをLp1とし、可動子131の長さをLm1とし、可動プラテン12及び吸着板22のストロークをLst1としたとき、前記長さLm1は、リニアモータ128による最大の推進力に対応させて設定され、前記長さLp1は、
Lp1>Lm1+Lst1
にされる。
【0091】
すなわち、前記可動子131は、前記長さLm1を確保するために、前端を、吸着板22の前端面より所定の量だけ前方に突出させて、後端を、吸着板22の後端面より所定の量だけ後方に突出させて形成される。そして、前記固定子129は、前端を、可動プラテン12、吸着板22及び第2の金型としての可動金型16が前進限位置に置かれたときの前記コア34の前端より前方にわずかに突出させて、後端を、可動プラテン12、吸着板22及び可動金型16が後退限位置に置かれたときのコア34の後端より後方にわずかに突出させて形成される。
【0092】
また、吸着板22及び第2の固定部材としてのリヤプラテン13を貫通し、かつ、後端部において吸着板22と連結させて、前端部において可動プラテン12と連結させて型締力伝達部材としてのロッド39が配設される。
【0093】
したがって、型閉じ時及び型開き時に、前記リニアモータ128のコイル35に所定の電流を供給することによってリニアモータ128を駆動すると、第1の出力としての推進力が発生させられ、それに伴って、可動子131が進退させられ、前記推進力が吸着板22に型開閉力として出力される。そして、該型開閉力は、ロッド39を介して可動プラテン12に伝達され、該可動プラテン12が進退させられ、型閉じ及び型開きを行うことができる。
【0094】
また、型閉じが終了した後に、型締めを行うことができるように、リヤプラテン13と吸着板22との間に、第2の駆動部としての、かつ、型締め用の駆動部としての電磁石ユニット37が配設される。したがって、型締め時に、前記電磁石49のコイル48に所定の電流を供給することによって電磁石ユニット37を駆動すると、第2の駆動部材としての吸着部51に第2の出力としての推進力が発生させられ、該推進力が吸着板22に型締力として出力され、該型締力を可動プラテン12に伝達する。なお、第1の固定部材としての固定プラテン11、可動プラテン12、リヤプラテン13、連結部材としてのタイバー14、第2の案内部材としてのガイドポスト21、吸着板22、リニアモータ128、電磁石ユニット37、ロッド39等によって型締装置10が構成される。
【0095】
この場合、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力が、吸着板22に伝達された後、ロッド39を介して吸着板22と一体的に連結された可動プラテン12に伝達され、可動プラテン12の中央を押すので、可動プラテン12に傾きが形成されることがなくなる。したがって、型締めを行う際に、可動金型16を均一な型締力で押すことができる。
【0096】
次に、吸着板22とリニアモータ128との間にスライドベースを配設するようにした本発明の第6の実施の形態について説明する。なお、第5の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0097】
図7は本発明の第6の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図8は図7のX−X断面図、図9は図7のY−Y断面図、図10は図7のZ−Z断面図である。
【0098】
この場合、第1の固定部材としての固定プラテン11、第1の可動部材としての可動プラテン12及び第2の可動部材としての吸着板22は、被案内部材としてのガイドブロックGbを介して、案内部材としてのガイドGd上に載置されるのに対して、第2の固定部材としてのリヤプラテン13はフレームFrに固定される。したがって、連結部材としてのタイバー14が伸縮するのに伴って、固定プラテン11はガイドGdに対してわずかに移動する。
【0099】
また、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ128は、吸着板22とフレームFrとの間に配設され、吸着板22の下端に可動部材支持部としてのスライドベースSbを介して第2の駆動要素としての可動子131が取り付けられる。前記スライドベースSbは、可動子131の上面を覆って、長手方向に、前方に向けて延在させられる。そのために、前記リヤプラテン13の下端には、リニアモータ128、ガイドGd、ガイドブロックGb、スライドベースSb等を貫通させ、包囲する空間215が形成され、その結果、前記リヤプラテン13は空間215の両側に形成される脚部216を介してフレームFrに固定される。
【0100】
この場合、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力が、スライドベースSb及び吸着板22に伝達された後、ロッド39を介して吸着板22と一体的に連結された可動プラテン12に伝達され、可動プラテン12の中央を押すので、可動プラテン12に傾きが形成されることがなくなる。したがって、型締めを行う際に、可動金型16を均一な型締力で押すことができる。
【0101】
ところで、吸着板22の下端とスライドベースSbの後端とは、十分に強固に固定され、吸着板22及びスライドベースSbによって、剛体として機能する「L」字状の推進力伝達ユニットが構成される。したがって、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力が、スライドベースSbを介して吸着板22に伝達され、更にロッド39に伝達されるのに当たり、吸着板22に傾きが形成されるのを防止することができる。その結果、ロッド39を介して推進力を円滑に可動プラテン12に伝達することができる。
【0102】
次に、可動プラテン12とリニアモータ128との間にスライドベースSbを配設するようにした本発明の第7の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0103】
図11は本発明の第7の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図、図12は図11のA−A断面図、図13は図11のB−B断面図、図14は図11のC−C断面図である。
【0104】
この場合、第1の固定部材としての固定プラテン11、第1の可動部材としての可動プラテン12及び第2の可動部材としての吸着板22は、被案内部材としてのガイドブロックGbを介して、案内部材としてのガイドGd上に載置されるのに対して、第2の固定部材としてのリヤプラテン13はフレームFrに固定される。したがって、連結部材としてのタイバー14が伸縮するのに伴って、固定プラテン11はガイドGdに対してわずかに移動する。
【0105】
また、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ128は、可動プラテン12とフレームFrとの間に配設され、可動プラテン12の下端に可動部材支持部としてのスライドベースSbを介して第2の駆動要素としての可動子131が取り付けられる。前記スライドベースSbは、可動子131の上面を覆って、長手方向に、後方に向けて延在させられる。そのために、前記可動プラテン12の下端には、リニアモータ128、ガイドGd、ガイドブロックGb、スライドベースSb等を貫通させ、包囲する空間215が形成され、その結果、前記リヤプラテン13は空間215の両側に形成される脚部216を介してフレームFrに固定される。
【0106】
ところで、可動プラテン12の下端とスライドベースSbの前端とは、十分に強固に固定され、可動プラテン12及びスライドベースSbによって、剛体として機能する「L」字状の推進力伝達ユニットが構成される。したがって、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力が、スライドベースSbを介して可動プラテン12に伝達されるのに当たり、可動プラテン12に傾きが形成されるのを防止することができる。その結果、型締めを行う際に、可動金型16を均一な型締力で押すことができる。
【0107】
次に、可動プラテン12及び吸着板22とリニアモータ128との間にスライドベースを配設するようにした本発明の第8の実施の形態について説明する。なお、第6の実施の形態と同じ構造を有するものについては、同じ符号を付与することによってその説明を省略し、同じ構造を有することによる発明の効果については同実施の形態の効果を援用する。
【0108】
図15は本発明の第8の実施の形態における金型装置及び型締装置の型閉じ時の状態を示す図である。
【0109】
この場合、第1の固定部材としての固定プラテン11、第1の可動部材としての可動プラテン12及び第2の可動部材としての吸着板22は、被案内部材としてのガイドブロックGbを介して、案内部材としてのガイドGd上に載置されるのに対して、第2の固定部材としてのリヤプラテン13はフレームFrに固定される。したがって、連結部材としてのタイバー14が伸縮するのに伴って、固定プラテン11はガイドGdに対してわずかに移動する。
【0110】
また、第1の駆動部としての、かつ、型開閉用の駆動部としてのリニアモータ128は、可動プラテン12及び吸着板22とフレームFrとの間に配設され、可動プラテン12の下端と吸着板22の下端との間に架設された可動部材支持部としてのスライドベースSb1を介して第2の駆動要素としての可動子131が取り付けられる。前記スライドベースSb1は、可動子131の上面を覆って、長手方向に、可動プラテン12と吸着板22との間に延在させられる。そのために、前記リヤプラテン13の下端には、リニアモータ128、ガイドGd、ガイドブロックGb、スライドベースSb1等を貫通させ、包囲する空間215が形成され、その結果、前記リヤプラテン13は空間215の両側に形成される脚部216(図13)を介してフレームFrに固定される。
【0111】
ところで、可動プラテン12の下端とスライドベースSb1の前端との間、及び吸着板22の下端とスライドベースSb1の後端との間は固定され、可動プラテン12、吸着板22及びスライドベースSb1によって、剛体として機能する推進力伝達ユニットが構成される。したがって、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力がスライドベースSb1を介して吸着板22及び可動プラテン12に伝達されるのに当たり、吸着板22及び可動プラテン12に傾きが形成されるのを防止することができる。その結果、型締めを行う際に、可動金型16を均一な型締力で押すことができる。
【0112】
また、ロッド39を介して伝達された推進力は、可動プラテン12の中央を押すので、型締めを行う際に、可動金型16を均一な型締力で押すことができる。さらに、型閉じ時に、リニアモータ128によって発生させられた推進力が、直接可動プラテン12に伝達されることになるので、可動プラテン12の位置の精度を高くすることができる。
【0113】
なお、可動プラテン12の下端とスライドベースSb1の前端との間、又は吸着板22の下端とスライドベースSb1との間は、係脱自在に固定され、型閉じ、型締め及び型開きを行う際に係合されるのに対して、型厚調整を行う際には、可動プラテン12と吸着板22とを相対的に移動させることができるように、いずれか一方の係合が解除される。
【0114】
前記第1〜第5の実施の形態においては、固定プラテン11がフレームFrに固定され、リヤプラテン13がガイドGd上に載置されて移動させることができるようになっていて、第6〜第8の実施の形態においては、固定プラテン11がガイドGd上に載置されて移動させることができ、リヤプラテン13がフレームFrに固定されるようになっているが、固定プラテン11及びリヤプラテン13のうちのいずれか一方をフレームFrに固定し、他方をガイドGd上に載置して移動させることができる。
【0115】
なお、本発明は前記各実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【符号の説明】
【0116】
10 型締装置
11 固定プラテン
12 可動プラテン
13 リヤプラテン
22 吸着板
28、128 リニアモータ
39、139、239 ロッド
56、256 型厚調整用モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)固定金型が取り付けられた第1の固定部材と、
(b)該第1の固定部材と対向させて配設され、可動金型が取り付けられた第1の可動部材と、
(c)該第1の可動部材の進退に伴って進退させられる第2の可動部材とを有するとともに、
(d)前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われることを特徴とする型締装置。
【請求項2】
固定金型が取り付けられた第1の固定部材、該第1の固定部材と対向させて配設され、可動金型が取り付けられた第1の可動部材、及び該第1の可動部材の進退に伴って進退させられる第2の可動部材とを有する型締装置の型厚調整方法において、
前記第1、第2の可動部材の相対的な位置を変えることによって、型厚の調整が行われることを特徴とする型厚調整方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【公開番号】特開2010−173333(P2010−173333A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−112822(P2010−112822)
【出願日】平成22年5月17日(2010.5.17)
【分割の表示】特願2006−511238(P2006−511238)の分割
【原出願日】平成17年3月18日(2005.3.18)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】