説明

基板とマスクの位置合わせ構造

【課題】基板とマスクの位置合わせを短時間で精度よく行えるようにする。
【解決手段】縦横に配列された多数の矩形状の製品基板15を分割取りするための印刷対象の集合基板10と、集合基板10にパターン印刷するためのマスク20とを、位置合わせする基板とマスクの位置合わせ構造であって、集合基板10の表面には製品分割用の縦線11aと横線11bよりなるスナップライン11が設けられ、マスク20上にはスナップライン11の交差部11cに対して位置合わせされる位置合わせマーク21が設けられ、位置合わせマーク21は、スナップライン11の交差部11cを囲むようにスナップライン11の縦線11aと横線11bに対して共に斜めの関係となるライン21aからなる四角形の線形のマークである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、縦横に配列された多数の矩形状の製品基板を分割取りするための印刷対象の集合基板と、集合基板にパターン印刷するためのマスクとを、印刷に先だって位置合わせする基板とマスクの位置合わせ構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車の燃料タンクの液面レベルを検出するために用いられる燃料レベルセンサには抵抗基板が設けられている。この種の抵抗基板は、一般的に、セラミック基板上に印刷用のマスクを通して厚膜材料ペーストを印刷塗布してパターン形成することで製造されている。この抵抗基板を製造する場合、縦横に配列された多数の矩形状の製品基板を分割取りするための印刷対象の集合基板と、この集合基板にパターン印刷するためのマスクとを、印刷に先だって位置合わせする必要がある。
【0003】
集合基板とマスクの位置合わせは、特許文献1に記載されているように、基板上に設けられた位置合わせマークと、マスク上に設けられた位置合わせマークとを位置合わせすることにより行うのが一般的であるが、この抵抗基板の製造に際しては、コスト面などの理由により、集合基板に形成された基板分割用スナップライン(V溝)と、印刷用のマスク上に形成された位置合わせマークとを位置合わせすることより行っているのが現状である。
【0004】
図3は、従来の集合基板とマスクの位置合わせの仕方の説明図である。
図3(b)に示す集合基板10から縦横に配列された多数の矩形状の製品基板15を分割取りするようになっており、集合基板10の表面には、製品分割用の縦線11aと横線11bよりなるスナップライン(V溝)11が設けられている。一方、図3(a)に示したように、マスク30上には、集合基板10にマスク30を重ねた際に、製品基板15の四隅(すなわち、スナップライン11の交差部11cの近傍)に対応した位置に該製品基板15の各辺に沿って配置されるL字状マーク31aがそれぞれ設けられ、マスク30を集合基板10に重ねた際に、4個のL字状マーク31aよりなる位置合わせマーク31が、スナップライン11の交差部11cを囲むように構成されている。
【0005】
従って、集合基板10とマスク20との位置合わせ時には、図3(c)に示したように、集合基板10のスナップライン11が、マスク30上の位置合わせマーク31を構成する4個のL字状マーク31aの相互間の中央を通るように、集合基板10とマスク30を位置合わせしている。
【0006】
また、他の位置合わせマークの使用例として、図4(a)に示すように、製品基板15の四隅に対応した位置にそれぞれ三角形状マーク41aを配置することで、4個の三角形状マーク41aよりなる位置合わせマーク41を使用する場合や、図4(b)に示すように、製品基板15の四隅に対応した位置にそれぞれ四角形状マーク51aを配置することで、4個の四角形状マーク51aよりなる位置合わせマーク51を使用する場合などがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2001−237515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところで、従来では、印刷の段取り作業において、L字状マーク31a、三角形状マーク41aあるいは四角形状マーク51a等と該マーク31a,41a,51aの間にスナップライン11が位置するように位置合わせするので、位置合わせに時間がかかる上、位置合わせ精度をあまり高くすることができなかった。
【0009】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、基板とマスクの位置合わせを短時間で精度よく行うことのできる、基板とマスクの位置合わせ構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
前述した目的を達成するために、本発明に係る基板とマスクの位置合わせ構造は、下記(1)及び(2)を特徴としている。
(1) 縦横に配列された多数の矩形状の製品基板を分割取りするための印刷対象の集合基板と、該集合基板にパターン印刷するためのマスクとを、位置合わせする基板とマスクの位置合わせ構造であって、
前記集合基板の表面には、製品基板分割用の縦線と横線よりなるスナップラインが設けられ、
前記マスク上には、前記スナップラインの交差部に対して位置合わせされる位置合わせマークが設けられ、
前記位置合わせマークは、前記スナップラインの交差部を囲むように該スナップラインの縦線と横線に対して共に斜めの関係となるラインからなる四角形の線形のマークであること。
(2) 上記(1)の構成の位置合わせ構造において、前記位置合わせマークが正方形形状であること。
【0011】
上記(1)の構成の位置合わせ構造によれば、四角形の線形の位置合わせマークが、集合基板のスナップラインの交差部に対応するマスク上の位置に存在しているので、集合基板の上にマスクを重ねたとき、パターン部(インクが通過する穴)から集合基板の表面のスナップラインの位置を視覚的に捕らえやすくなる。そのため、目視による位置決めが容易にできるようになり、印刷前の段取り作業時間の短縮が図れる。また、マスク上に設けられた位置合わせマークの中心は、マーク上の互いに対向する2組の頂点をそれぞれ結ぶ対角線の交点であるので、スナップラインに対する位置ずれ状態を容易かつ正確に把握できる。つまり、集合基板上のスナップラインが、マスク上に設けられた位置合わせマークの各頂点を通るように位置決めし、その状態でなお、スナップラインの縦線や横線が、菱形の位置合わせマークの各辺に相当する斜めのラインと交差するとき、菱形のマークの頂点からその交差部までがずれ量となるので、即座にずれ量を視覚的に把握することができる。そのため、印刷のための位置合わせ精度を格段に向上させることができて、高性能な抵抗基板を提供可能となる。
上記(2)の構成の位置合わせ構造によれば、位置合わせマークを均等に認識できるので、集合基板とマスクとをより容易に位置合わせできる。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、基板とマスクの位置合わせを短時間で精度よく行うことができ、高性能な抵抗基板を提供することができる。
【0013】
以上、本発明について簡潔に説明した。更に、以下に説明される発明を実施するための形態を添付の図面を参照して通読することにより、本発明の詳細は更に明確化されるであろう。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明の実施形態の説明図であって、(a)はマスクの平面図、(b)は集合基板の平面図、(c)はマスクと集合基板を重ね合わせたときの(a)におけるA部と(b)におけるB部の位置合わせ状態を示す拡大図、(d)は(c)のId部の拡大図である。
【図2】菱形の位置合わせマークの辺に相当する斜めのラインと製品基板の四隅の関係を示す平面図である。
【図3】従来の集合基板とマスクの位置合わせの仕方の説明図であって、(a)はマスクの平面図、(b)は集合基板の平面図、(c)はマスクと集合基板を重ね合わせたときの(a)におけるC部と(b)におけるD部の位置合わせ状態を示す拡大図である。
【図4】(a)は従来の別の形状の位置合わせマークと集合基板上のスナップラインを位置合わせした状態を示す拡大図、(b)は従来のさらに別の形状の位置合わせマークと集合基板上のスナップラインを位置合わせした状態を示す拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、本発明の実施形態を図面を参照して説明する。
図1は実施形態の説明図であって、(a)はマスクの平面図、(b)は集合基板の平面図、(c)はマスクと集合基板を重ね合わせたときの(a)におけるA部と(b)におけるB部の位置合わせ状態を示す拡大図、(d)は(c)のId部の拡大図、図2は菱形の位置合わせマークの辺に相当する斜めのラインと製品基板の四隅の関係を示す平面図である。
【0016】
図1(b)に示した集合基板10は、縦横に配列された多数の矩形同形状の製品基板15を分割取りするための印刷対象物であり、集合基板10の表面には、製品基板15を分割するための縦線11aと横線11bよりなる格子状のスナップライン(V溝)11が形成されている。製品基板15は、図2に示したように、印刷パターン16の形成後、スナップライン11の位置でカットされることで、個別に製品化される。
【0017】
また、図1(a)に示したように、この集合基板10にパターン印刷するためのマスク20には、集合基板10のスナップライン11の交差部11cに対して位置合わせされる位置合わせマーク21が設けられている。
【0018】
この場合の位置合わせマーク21は、集合基板10から分割する矩形状の製品基板15の四隅に対応する位置(図2参照)に、スナップライン11の交差部11cを囲むように該スナップライン11の縦線11aと横線11bに対して共に斜めの関係となるライン21aからなる四角形の線形のマークが形成されている。本実施形態において、この位置合わせマーク21は、各ライン21aが直角に交わる正方形形状であることが好ましい。
【0019】
従って、印刷に先立って集合基板10とマスク20を重ねて位置合わせする際には、図1(c)に示したように、集合基板10上のスナップライン11が、マスク20上に設けられた四角形の位置合わせマーク21の各頂点を通るように位置決めすればよい。マスク20上に設けられた四角形の位置合わせマーク21の中心は、マーク21上の互いに対向する2組の頂点をそれぞれ結ぶ対角線の交点であることが明確であるので、その四角形の位置合わせマーク21の中心にスナップライン11の交差部11cを位置決めすることができる。
【0020】
また、スナップライン11の交差部11cが位置合わせマーク21の中に位置した状態で、図1(d)に示したように、スナップライン11の縦線11aや横線11bが、位置合わせマーク21の各辺に相当する斜めのライン21aと交差するときには、位置合わせマーク21の中心点とスナップライン11の交差部11cとのずれを視覚的に容易に把握することができる。マスク20の上からスナップライン11のずれが確認しやすいので、ずれの修正が容易であり、印刷のための位置合わせ精度を格段に向上させることができる。これにより、高性能な抵抗基板を提供することができるようになる。
【0021】
また、位置合わせマーク21は、集合基板10のスナップライン11の交差部11cに対応するマスク20上の位置に存在しているので、集合基板10の上にマスク20を重ねたとき、パターン部(インクが通過する穴)から集合基板10の表面のスナップライン11の位置を視覚的に捕らえやすくなる。そのため、目視による位置決めが容易にできるようになり、印刷前の段取り作業時間の短縮が図れる。
【0022】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
【0023】
例えば、マスクに設けられる位置合わせマークは、各辺が相等しい長さの四角形の線形状であればよく、菱形のマークでもよい。
【符号の説明】
【0024】
10 集合基板
11 スナップライン
11a 縦線
11b 横線
11c 交差部
15 製品基板
20 マスク
21 位置合わせマーク
21a ライン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
縦横に配列された多数の矩形状の製品基板を分割取りするための印刷対象の集合基板と、該集合基板にパターン印刷するためのマスクとを、位置合わせする基板とマスクの位置合わせ構造であって、
前記集合基板の表面には、製品基板分割用の縦線と横線よりなるスナップラインが設けられ、
前記マスク上には、前記スナップラインの交差部に対して位置合わせされる位置合わせマークが設けられ、
前記位置合わせマークは、前記スナップラインの交差部を囲むように該スナップラインの縦線と横線に対して共に斜めの関係となるラインからなる四角形の線形のマークであることを特徴とする基板とマスクの位置合わせ構造。
【請求項2】
前記位置合わせマークが、正方形形状であることを特徴とする請求項1に記載の基板とマスクの位置合わせ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−146779(P2012−146779A)
【公開日】平成24年8月2日(2012.8.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−3170(P2011−3170)
【出願日】平成23年1月11日(2011.1.11)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】