説明

基板と静電クランプとの間の電荷の除去

【解決手段】 基板を取り外す前および取り外している間に、基板から蓄積電荷をより効率的に除去する静電クランプを開示する。現時点においては、注入処理後に基板から電荷を除去するべく用いられているメカニズムはリフトピンおよびグラウンドピンのみである。本開示は、グラウンドへの低抵抗経路が1以上追加されているクランプを説明する。このように追加されたコンジットによって、基板をクランプから取り外す前および取り外す間に、蓄積電荷を放散させる。基板114の裏面から十分に電荷を取り出すので、基板がクランプに張り付いてしまうという問題を抑制できる。この結果、基板の破損が減る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、基板操作に関する。特に、基板を操作する装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
電子デバイスは、さまざまな処理が施された基板を用いて形成され得る。処理の1つに、本来の基板の電気的特性を変化させるべく不純物またはドーパントを注入する処理が含まれ得る。例えば、シリコンウェハ等の基板の電気的特性を変化させるべく、不純物またはドーパントとして、荷電イオンが、基板に注入される場合がある。不純物を基板に注入する処理として、イオン注入処理が挙げられ得る。
【0003】
イオン注入装置を用いて、基板に対してイオン注入処理またはその他の変更処理を実行する。従来のイオン注入装置を示すブロック図を図1に示す。従来のイオン注入装置は、電源101によってバイアスが印加され得るイオン源102を備えるとしてよい。当該イオン注入装置は、コントローラ120によって制御されるとしてよい。操作者は、ユーザインターフェースシステム122を介してコントローラ120と通信する。イオン源102は通常、ソース筐体(不図示)として知られる真空チャンバ内に配置されている。イオン注入装置100はさらに、イオン10を通過させる一連のビームライン素子を備えるとしてよい。一連のビームライン素子は、例えば、引出電極104、90度のマグネットの分析部106、第1の減速(D1)ステージ108、70度のマグネットのコリメータ部110、および、第2の減速(D2)ステージ112を含むとしてよい。光ビームを操作する一連の光レンズと同様に、ビームライン素子は、基板支持部116上に載置されている基板またはウェハ114にイオンビーム10を向ける前に、イオンビーム10を操作および集束することができる。
【0004】
動作について説明すると、基板操作ロボット(不図示)が基板114を基板支持部116上に載置する。基板支持部116は、「ロプラット(roplat)」と呼ばれる装置(不図示)によって1以上の次元で移動させることが可能である(例えば、並進、回転、および、傾斜させることが可能である)。一方、イオンは、イオン源102で生成されて、引出電極104によって引き出される。引き出されたイオン10は、ビーム状態でビームライン素子に沿って進み、基板114上に注入される。イオンの注入が完了すると、基板操作ロボットは基板114を基板支持部116およびイオン注入装置100から取り外すとしてよい。
【0005】
図2Aおよび図2Bを参照すると、イオン注入処理時に処理対象物支持部116が基板114を支持する様子を示すブロック図である。図2Aに図示するように、処理対象物支持部116は、封止リング202と、基板114と接触する複数の突出部204とを有するとしてよい。封止リングは、幅が約0.25インチで高さが5ミクロンの環状リングであってよい。突出部204は、直径が約1ミルで高さが5ミクロンであってよい。また、処理対象物支持部116はさらに、少なくとも1つの冷却領域206を有するとしてよい。注入処理時には、冷却ガスが冷却領域206に供給されて、基板114が過熱しないようにするとしてよい。処理対象物支持部116は、この冷却ガスを冷却領域206まで流入させるための、ガス用のチャネルおよびコンジットを有するとしてよい。処理対象物支持部116はさらに、矢印で示す方向に処理対象物支持部116から基板114を押して離すように動く複数のリフトピン208を有するとしてよい。リフトピン208は、図2Bに示すように、処理対象物支持部116内に退避させ得る。また、処理対象物は通常、複数のグラウンドピン205と接触している。
【0006】
処理対象物支持部116は、形状が円筒状であってよく、上面が円形で、ディスク形状の基板を保持する。言うまでもなく、他の形状も可能である。基板114を効率よく定位置で保持するべく、大半の処理対象物支持部は通常、静電力を利用する。処理対象物支持部116は、上面に強力な静電力を発生させることによって、静電クランプまたは静電チャックとして機能し、基板114は機械的な固定素子を利用することなく定位置に保持され得る。このような構成とすることによって、基板に対する注入処理が完了した後で基板を固定状態から開放する必要がないので、汚染が最小限に抑えられ、機械的に固定する際にウェハが損傷してしまう事態が回避され、サイクルタイムが改善される。この種のクランプは通常、クーロン力またはジョンソン−ラベック力という2種類の力のうち片方を利用して基板を定位置に保持する。
【0007】
図2Aに示すように、クランプ116は従来、複数の層で構成されている。第1の層または最上層210は、基板114に接触し、短絡回路を発生させることなく静電界を生成しなければならないので、電気的に絶縁性の材料、または、半導体材料、例えば、アルミナから形成される。一部の実施形態によると、この層の厚みは約4ミルである。クーロン力を利用する実施形態では、最上層210は、結晶質および非晶質の誘電材料を用いて形成するのが通常であるが、抵抗率が通常、1014Ω−cmを超える。ジョンソン・ラベック力を利用する実施形態では、最上層は、半導体材料で形成され、体積抵抗率が通常は、1010から1012Ω−cmの範囲内である。「非導電性」という用語は、上記の範囲の何れか一方を満たし、何れか一方の種類の力を生成するのに適切な材料を意味するべく利用される。クーロン力は、交流電圧(AC)源または定電圧(DC)源によって生成され得る。
【0008】
この層の真下には、静電界を形成する電極を含む伝導層212が設けられている。この伝導層212は、銀等の導電材料を用いて形成される。この層の内部には、所望の形状およびサイズの電極を形成するべくプリント配線基板内で実施されるものと同様の処理が実行されて、パターンが形成される。この伝導層212の下方には、第2の絶縁層214が設けられる。第2の絶縁層214は、下方部分220から伝導層212を分離するために設けられる。
【0009】
下方部分220は、処理対象物支持部116全体の温度を許容範囲内に維持するべく、熱伝導率が高い金属または合金で形成されることが好ましい。多くの場合、この下方部分220にはアルミニウムが用いられる。
【0010】
最初に、リフトピン208は低位置にある。そして、基板操作ロボット250が基板114を処理対象物支持部116の上方の位置まで持ってくる。リフトピン208はそして、高位置(図2Aを参照のこと)まで駆動されて、基板操作ロボット250から基板114を受け取るとしてよい。この後、図2Bに示すように、基板操作ロボット250は処理対象物支持部116から離れ、リフトピン208が処理対象物支持部116内へと退避して、処理対象物支持部116の封止リング202および突出部204を基板114と接触させるとしてよい。また、グラウンドピン205は通常時から基板114に接触している。この後、リフトピン208がこの退避した位置にある状態で、注入処理が行なわれるとしてよい。注入処理の後、基板114は、静電力によって定位置に保持されていた処理対象物支持部116から取り外される。この後、図2Aに示すように、リフトピン208は高位置まで延びて、基板114を持ち上げて、処理対象物支持部116のエッジ202および突出部204から基板114を離すとしてよい。リフトピン208は、絶縁性または導電性のいずれかであるので、基板114から残留電荷が除去されない場合がある。基板操作ロボット250はこの後、基板114の下方に配置され、高位置にある注入処理が完了した基板114を取得する。この後、リフトピン208を降下させて、基板114を注入装置から取り出すようにロボット250を駆動するとしてよい。
【0011】
従来のイオン注入装置100では、処理対象物支持部116から基板114を取り外す過程において問題が発生し得る。基板114を処理対象物支持部116に固定して取り外すという動作を複数回繰り返した後、基板の114のうち処理対象物支持部116に固定された面に損傷が発生する場合がある。このような損傷が発生する理由としては、基板114および処理対象物支持部116の最上層210の上に蓄積された静電電荷に起因して発生する放電が考えられる。静電電荷は、グラウンドピン205に対して(アーク)放電されるか、または、処理対象物支持部116の表面に直接放電されるとしてよい。
【0012】
従来、基板114は、金属製のリフトピン208またはグラウンドピン205と接触することによって接地されていた。また、基板114は従来、プラズマフラッドガン(PFG)を用いて接地されていた。リフトピン208またはグラウンドピン205と基板114のうち静電電荷を持つ領域との間の接触は時間が短く面積も小さいので、リフトピン208およびグラウンドピン205が基板114から静電電荷を効果的に取り出すことができない事態が発生し得る。このため、静電クランプを改良して電荷を除去できるようにすることが求められている。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0013】
先行技術に係る問題は、本開示の装置および方法によって解決される。取り外す前に基板から蓄積電荷をより効率よく除去する静電クランプを開示する。現時点において、リフトピンおよびグラウンドピンは、注入処理後に基板から電荷を除去するための用いられる唯一の機構である。本開示は、グラウンドに対する低抵抗コンジットが1以上追加されているクランプについて説明している。このようにコンジットを追加することによって、クランプから基板を取り外す間に、蓄積電荷を放散させることができる。基板の裏面から十分に電荷を取り出すことによって、基板がクランプに張り付いてしまうという問題は抑制できる。この結果、基板の破損が減る。一部の実施形態によると、このようなグラウンド経路は間欠的で、静電力が生成されている場合は存在しない。
【図面の簡単な説明】
【0014】
本開示をより深く理解していただくべく、添付図面について説明する。添付図面では、同様の素子は同様の参照番号を割り当てている。図面は、本開示を限定するものと解釈されるのではなく、例示するものと解釈されたい。
【図1】従来のイオン注入システムを示す図である。
【図2A】リフトピンが延びた状態で基板を支持している処理対象物支持部を示すブロック図である。
【図2B】リフトピンが退避した状態で基板を支持している処理対象物支持部を示すブロック図である。
【図3】静電クランプの実施形態を示す上面図である。
【図4】図3の実施形態を示す断面図である。
【図5】静電クランプの第2の実施形態を示す上面図である。
【図6】図5の実施形態を示す断面図である。
【図7】図6の実施形態を示す断面図であり、基板がクランプに張り付いている様子を示す。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本開示では、処理済みの基板を操作する装置および方法の複数の実施形態を紹介する。説明の便宜上、本開示は、ビームラインイオン注入装置によって処理される基板を操作する装置および方法に重点を置く。しかし、当業者であれば、他の種類の処理システム、例えば、プラズマ浸漬イオン注入(PIII)システム、プラズマドーピング(PLAD)システム、エッチングシステム、光学処理システム、および、化学気相成長(CVD)システム等にも本開示は等しく適用が可能であると認めるであろう。このように、本開示の範囲は、本明細書に記載する具体的な実施形態に限定されるものではない。
【0016】
本明細書に記載する実施形態は、基板および静電クランプの最上層について、グラウンドまでの経路の信頼性を高め、抵抗を小さくする。基板の一部は、どのような方法で、または、どの方向に基板が静電クランプから取り外されるかには関わらず、グラウンドに接触する。基板の裏面から十分に電荷を取り出すので、基板の静電クランプへの「張り付き」および基板の破損を抑制することができる。
【0017】
図3は、静電クランプ(または「クランプ」)300の実施形態を示す上面斜視図である。静電クランプ300は、処理対象物支持部の一例である。クランプ300は、外環部または封止リング301を有する。一例を挙げると、リング301は、幅が約0.25インチであってよい。図示していないが、クランプ300の上面には突出部が設けられているとしてよい。リフトピン302は、基板の処理が完了した後、クランプ300から基板を持ち上げるために利用される。図4に示すように、封止リング301はグラウンドに接続されている。封止リング301は高抵抗率材料で形成されているので、封止リング301の周囲には互いに離間させて複数の接続部310を設ける必要があるとしてよい。この接続部310は、封止可能であり、銅等の導電性材料で形成されており、抵抗が非常に低いとしてよい。他の実施形態によると、グラウンドへの接続部310は、炭素膜等の半導体材料で形成されるとしてよい。一部の実施形態によると、封止リング301をグラウンドに接続するために用いられる材料の抵抗率は、約10Ω−cmであってよい。
【0018】
図4は、図3のクランプ300を示す断面図である。上述したように、静電クランプ300の下方部分320は通常、金属を材料とし、グラウンドに接続されている。このため、一部の実施形態では、封止リング301をクランプ300の下方部分320に接続することによって、封止リング301をグラウンドに接続している。接続部310は、封止リング301の全周に沿って導電性または半導性のコーティングを塗布することによって形成することができる。この結果、封止リング301は下方部分320と連続的に接触する。別の実施形態では、リング301と下方部分302との間の接続部310は、全周に沿っては設けられない。代わりに、複数の別個の接続部310が下方部分320と封止リング301との間に設けられる。一部の実施形態によると、炭素膜を封止リング301の周囲に塗布して、下方部分320に接続する。他の材料、例えば、水性コロイドグラファイト懸濁液であるAguadag(登録商標)塗料、または、炭素系材料もまた利用され得る。
【0019】
図4は封止リング301が接続部310によって静電クランプ300の下方部分320に接続されている様子を示しているが、その他のグラウンド接続も可能で、本開示の範囲に含まれる。図4は、可能な実施形態の1つを示しているに過ぎない。例えば、封止リング301は、静電クランプ300の下方部分320以外を用いて、グラウンドに接続するとしてもよい。
【0020】
上述したように、静電クランプ300の最上層304は非導電性材料を用いて形成されており、当該材料の抵抗率は10Ω−cmと1015Ω−cmの範囲内である。抵抗率がこの範囲の下限値近傍の場合、封止リング301をグラウンドに接続する接続部310によって、基板114および静電クランプ300の最上層304の上の蓄積電荷が十分に除去されるとしてよい。言い換えると、最上層304の抵抗率は、最上層304および基板114の上に蓄積された電荷を、グラウンドに接続されている封止リング301に流入させるまでに十分低い。
【0021】
また、封止リング301の接地(つまり、グラウンドへの受動的接続)が静電クランプ300の固定力に与える影響は最小限に抑えられることが試験により分かっている。これは、上面304の抵抗率が一般的に高いので、接地された封止リング301の影響を限定的にするためである。しかし、一部の実施形態では、封止リング301は間欠的にグラウンドに接続される(つまり、グラウンドへの能動的接続)としてもよい。例えば、スイッチ等のデバイスを用いて、電極306が能動的に静電界を生成している間は、接続部310によるグラウンドへの接続を中断するとしてもよい。言い換えると、このようなスイッチは封止リング301とグラウンドとの間に直列で接続されており、スイッチを駆動することでグラウンドへの接続をオンまたはオフとする。電極306が動作していない場合は、接続部310によるグラウンド接続を再び実行するとしてよい。この変形例によれば、確実に、クランプ300の上面304の接地が静電クランプの固定力に与える影響が最小限に抑えられるか、または、無くなる。
【0022】
他の実施形態によると、最上層304の抵抗率は、1012Ω−cmを超えるなど大きいとしてもよい。このような実施形態によると、封止リング301の接地では、基板114および最上層304の上の蓄積電荷を引き出すのには不十分である場合がある。言い換えると、最上層304の抵抗率が高過ぎるので、蓄積電荷は自由に封止リング301に流入できない。このような実施形態では、最上層304の上(または内部)に導電性または半導性のコンジットを設けるとしてよい。このコンジットは、蓄積電荷が封止リング301に流入しやすくするように構成されている。
【0023】
図5は、静電クランプ(または「クランプ」)400の第2の実施形態を示す上面斜視図である。一部の実施形態によると、クランプ400は、図4と同様の断面形状を持ち、非導電性の最上層、導電層、絶縁層、および、下方部分から構成されるとしてよい。上述したように、静電クランプ400は、幅が約0.25インチの外環部または封止リング401を有する。一実施形態によると、封止リング401は、図3の封止リング301に対応するとしてよい。上述したように、封止リング401は、グラウンド接続部403を用いてグラウンドに接続されている。静電クランプ400はさらに、リフトピン430およびグラウンドピン405を有する。静電クランプ400はさらに、静電クランプ400の上面のさまざまな箇所から封止リング401に延在する複数のコンジット402を有する。図5には6個のコンジット402を図示しているが、利用するコンジット402の数は増減させるとしてよく、本実施形態は6つのコンジット402を備える構成のみに限定されるものではない。さらに、コンジット402のパターンは、図5に図示しているもの以外のパターンが可能である。コンジット402は、電荷を封止リング401に流入させる。
【0024】
さらに、図5のコンジット402は、放射状のスポークとして図示されている。しかし、コンジット402の構成としては、他のパターンも可能である。コンジット402は、静電クランプ400の上面上の箇所とグラウンドとの間に(現在の技術水準よりも)低抵抗の経路を形成できるように配置されるとしてよい。
【0025】
コンジット402は、例えば、炭素またはSiCを材料として生成するとしてよい。コンジット402は、当業者に公知の他の導電性材料を成膜させて生成するとしてもよい。一部の実施形態によると、コンジット402は、化学気相成長(CVD)法で静電クランプ400の上面に塗布される。このようなコンジット402は、グラウンドに対する抵抗を低減するために設けられる。しかし、コンジット402は抵抗率がゼロではない。例えば、一部の実施形態によると、コンジット402は、抵抗率が10Ω−cmと10Ω−cmとの間である。
【0026】
図6は、静電クランプ400の一実施形態を示す断面図である。基板114は、静電クランプ400上に載置されている。この位置では、グラウンドピン405は通常、基板114と接触するとしてよい。基板114が封止リング401と直接接触していない場合、コンジット402(図6では網掛け部分で表している)は、基板114から封止リング401へと電荷を搬送することができる。基板114がリング401およびコンジット402と接触している場合、搬送される電荷が増加するとしてよい。図6には1つのコンジット402を図示しているが、設けるコンジット402の数はこれに限定されないとしてよい。さらに、図6ではコンジット402はクランプ400の上面から突出するものとして図示されているが、コンジット402はクランプ400の上面内に埋設されているとしてもよい。
【0027】
図7は、図6に示した実施形態をさらに示す断面図であり、基板が封止リングに張り付いた様子を示す。リフトピン430を用いて、基板114を持ち上げている。リフトピン430が上昇すると、グラウンドピン405と基板114との間の接続が断絶される。接地されている封止リング401に接続されているので、放電は発生しないとしてよい。コンジット402により上面から電荷が除去されるので、基板を取り外す前に基板上に蓄積される電荷量が最小限に抑えられる。
【0028】
静電電荷のために基板114がクランプ400に張り付くと、コンジット402によって電荷はグラウンドに通過することができる。例えば、図5に図示したパターンのコンジット402を利用することで、基板114がクランプ400に張り付くか否かに関わらず、電荷はグラウンドに通過することができる。このため、張り付きおよび基板114の損傷が抑制される。
【0029】
静電クランプ400の上部に低抵抗のコンジットを設けることによって、基板114を静電クランプ400に保持する静電力が低減されるとしてよい。上述したように、場合によっては、静電力が生成されている間は、導管402のグラウンド接続をスイッチを用いて断続させるのが有益な場合もある。このような構成は、接続部403が構築する封止リング401とグラウンドとの間を接続を中断することで実現することができる。他の実施形態によると、コンジット402と封止リング401との間にはスイッチが配設されており、静電力が生成されている間はコンジット402と封止リング401との間の接続を中断するとしてよい。
【0030】
本開示の範囲は、本明細書に記載した具体的な実施形態に限定されるものではない。本明細書に記載したもの以外にも、本開示の他のさまざまな実施形態および変形例が存在するが、上記の説明および添付図面から当業者には明らかである。こういった他の実施形態および変形例は、本開示の範囲内に入るものとする。また、本明細書では特定の目的を実現するための特定の環境における特定の実施例を参照して本開示を説明したが、当業者であれば、本開示の有用性は記載した内容に限定されるものではなく、本開示は任意のさまざまな目的を実現するべく任意のさまざまな環境において実施しても有益であると認めるであろう。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を操作するクランプであって、
非導電性材料で形成され、前記基板と接触する最上層と、
前記最上層の周囲を取り囲む外環リングと、
前記外環リングとグラウンドとの間を接続する接続部と
を備えるクランプ。
【請求項2】
前記接続部は、炭素膜を含む請求項1に記載のクランプ。
【請求項3】
前記最上層の下方に配置されている下方部分をさらに備え、
前記下方部分は、金属を含むと共に接地されており、
前記接続部は、前記外環リングと前記下方部分との間を接続している請求項1に記載のクランプ。
【請求項4】
前記接続部と直列に接続されているスイッチをさらに備え、
前記スイッチを駆動することによって前記接続部による接続は中断される請求項1に記載のクランプ。
【請求項5】
前記最上層の下方に配置されている電極をさらに備え、
前記電極は、前記基板を保持するための静電力を生成する請求項1に記載のクランプ。
【請求項6】
前記静電力が生成されている期間は、前記接続部による接続を中断する請求項5に記載のクランプ。
【請求項7】
前記最上層上に配設されるコンジットをさらに備え、
前記コンジットは、前記最上層よりも抵抗率が低い請求項1に記載のクランプ。
【請求項8】
前記コンジットは、前記外環リングに接続されている請求項7に記載のクランプ。
【請求項9】
前記コンジットと前記外環リングとの間に直列に接続されているスイッチをさらに備え、
前記コンジットと前記外環リングとの間の前記接続部による接続は、前記スイッチを駆動することによって中断される請求項8に記載のクランプ。
【請求項10】
前記最上層の下方に配置されている電極をさらに備え、
前記電極は、前記基板を保持するための静電力を生成し、
前記コンジットと前記外環リングとの間の前記接続部による接続は、前記静電力が生成されている期間中は中断される請求項9に記載のクランプ。
【請求項11】
基板を保持し、処理して、クランプから取り外す方法であって、
前記基板が前記クランプの上面と接触するように前記クランプ上に前記基板を配置する段階と、
前記クランプ内の電極を用いて、前記基板を保持するための静電力を生成する段階と、
前記静電力が発生している間に前記基板に対して、前記基板上に電荷を発生させるような処理を実施する段階と、
前記電極の動作を停止して、前記静電力の発生を停止する段階と、
前記電荷をグラウンドに流入させる段階と、
前記基板を前記クランプから取り外す段階と
を備える方法。
【請求項12】
前記電荷は、前記静電力の発生が停止されている場合に、グラウンドに流入する請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記電荷は、前記クランプの前記上面の周囲に設けられている環状リングを介して、グラウンドに流入する請求項11に記載の方法。
【請求項14】
前記電荷は、前記環状リングをグラウンドに接続している炭素膜を介して流入する請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記電荷は、前記クランプの前記上面上に設けられているコンジットを介して流入し、前記コンジットは、前記クランプの前記上面よりも抵抗率が低い
請求項11に記載の方法。
【請求項16】
前記電荷は、前記コンジットから前記上面に沿って設けられている外環リングへと流入する
請求項15に記載の方法。

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2012−524417(P2012−524417A)
【公表日】平成24年10月11日(2012.10.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−506205(P2012−506205)
【出願日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際出願番号】PCT/US2010/031170
【国際公開番号】WO2010/120983
【国際公開日】平成22年10月21日(2010.10.21)
【出願人】(500324750)バリアン・セミコンダクター・エクイップメント・アソシエイツ・インコーポレイテッド (88)
【Fターム(参考)】