説明

基板上に多層コーティングを作成するための方法及び装置

固体担持体と、前記固体担持体上の複数の層と、を含む基板を作成するための方法であって、a)超臨界流体における単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液によって加熱された固体担持体又は既に蒸着された下敷層を含浸し、担持体上又は下敷層上に、一つ以上の金属酸化物の粒子、あるいは、一つ以上の金属酸化物の均一、均質な分散された粒子からなる均一、均質及び連続したフィルムを蒸着する段階と、b)担持体上又は下敷層上に、1つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の連続又は不連続なフィルム、あるいは、一つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子を、一つ以上の前駆体から、化学蒸着蒸着CVDによって、蒸着する段階と、を含んでいる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は基板上に複数の層を有する、多層コーティングを作るための方法に関し、ここで、これらの層又はフィルムは連続又は不連続な層、フィルムとし得る。本発明は特に薄層に関する。
本発明は方法を実施するための装置にも関する。
この方法及びこの装置は特に多層コーティング又は触媒システムのためのヘテロ構造を作るのに役立つ。
【背景技術】
【0002】
連続又は不連続な薄層を蒸着するためのこの方法及びこの装置は超臨界流体及び化学気相蒸着プロセス(CVD)を利用する。
【0003】
実際、一方では、超臨界流体の使用は材料の準備に関連して、特に、薄層及び金属酸化物のナノ粒子の合成のために発展してきている。超臨界媒体における材料の準備は粉末研磨、微粒化、ゾル−ゲルプロセス等のような幾つかの慣用の方法に対する別法であるように見える。これらの流体の使用は粉末の形態を制御し、かつ、合成温度を低下させるのに役立つ。より良い触媒の性能は超臨界流体を採用する方法によって作られた材料によって得られてきており、これはゾル−ゲルタイプの慣用の方法によって得られた粒子寸法における減少に帰するものである。
【0004】
粉末形態の粒子は、寸法的な連続性を有する材料を作るために一般的に処理され、例えば、焼結される。反応媒体として使用された超臨界流体は球状の一般的に100〜600nmの寸法をした、通常、サブミクロン寸法の集合体を形態で生じる小寸法を有する粉末を得るために役立つ。焼結後に、使用(非特許文献1参照)の良好な特性を有する30nmより小さいナノメートル寸法の結晶子から成る構造体を含んでいる。
【0005】
有機金属前駆体によって実行された超臨界媒体における含浸は薄層を作るための方法である。前駆体は超臨界流体に溶解し、かつ、混合物は、その後、基板と接触する。混合物の膨張は基板上に化合物の沈殿(物)を生じさせる。シリカのフィルム又はイットリウム、バリウム、及び銅(非特許文献2参照)の混合酸化物はこうして作られる。超臨界流体の搬送特性のおかげで、この技術はセラミック発泡体、ハニカムタイプモノリス等のような非常に複雑な幾何形状を有する微孔質の部分を覆う働きをする。表面上及び微孔質構造体内部の蒸着は、構造体及び分布の観点からのみならず、厚さの観点からも非常に均一である。二酸化チタン、二酸化ジルコニウム、二酸化セリウム、酸化バリウム、アルミナ等のような単一又は混合された酸化物から成り得る連続したフィルムの形態をしたウォッシュコートであり、意図した触媒用途に従って酸又は塩基の特性を与える。一般的に30nmより小さな寸法を有する結晶子は超臨界“SC”媒体において合成され、かつ、微孔質担持体上に連続した均一なフィルムの形態で蒸着される。これらの触媒システムは高比表面積を有し、かつ、しばしば、効果的である。
【0006】
特許文献1は、より高い活性を有する担持体金属触媒を作るための方法を記載している。
【0007】
この方法は以下のようである:
−超臨界流体において触媒金属塩類の溶液を形成するために、流体の臨界温度及び臨界圧力より上の温度及び圧力で超臨界流体内に、ニッケル、鉄、銅、コバルト、及び、貴金属のような触媒金属塩類を溶解させる段階と;
−特に、アルミナ又はジルコニアのようなセラミックの高表面積比を有する多孔質担持体を、超臨界流体における触媒金属塩の溶液によって、例えば、浸漬によって、接触させる段階と、
−前記担持体の全比表面を実質的に貫通するために超臨界流体における触媒金属の溶液に対して要求されている時間中前記臨界圧力及び温度で超臨界流体において触媒金属塩の溶液を維持する段階と;
−前記多孔質担持体の表面上の触媒金属塩のフィルムを蒸着し、かつ、超臨界流体を回復可能なガスに変換するために、流体の臨界圧力より下に前記溶液の温度又は圧力を降下させる段階と;を含んでいる。
【0008】
金属塩を有する多孔質担持体は金属塩の前記フィルムを純粋な金属のフィルムに変換するために還元雰囲気内で加熱することができる。金属塩を金属酸化物に変換するために金属塩を含んでいる多孔質担持体を焼くことも可能である。
【0009】
この方法では、高比表面積を有する多孔質担持体は、例えば、ここで詳細に説明する鋳造プロセスによって作られる。
【0010】
この文献に記載された方法は、担持体金属触媒を作るために少なくとも2つの分離し且つ別個の段階を含んでおり、すなわち、第一に、例えば、鋳造によって組み立てられる担持体を作る段階と、それから、超臨界媒体において実施された前記担持体の含浸の段階と、それから、随意に還元雰囲気内で還元する段階と、を含んでいる。
【0011】
これらの段階は異なるロケーション、異なるユニットで、実施され、超臨界流体を含んでいる段階は、圧力下で加熱された、特に閉じたチャンバ又はオートクレーブで実施される。基本的に異なる状態及び原理の下で作動する種々のユニット、装置間での担持体の多くの処理及び搬送操作は、従って、最終的な担持体触媒を得るために要求されている。
【0012】
この文献では、担持体金属触媒の作成に留意すべきであり、超臨界流体を含んでいる酸化担持体の作成に留意すべきではない。
【0013】
薄い金属層、連続又は不連続、あるいは分散されたナノ粒子の、蒸着する方法として知られているものは、化学気相蒸着プロセスである。これは、例えば、非特許文献4に記載されているように、有効な触媒ナノ材料の作成のために特に役立ってきた。非特許文献4は作成すなわち、流動床内でCVDによって担持体上に分散された1〜5nmの寸法のロジウムナノ粒子を記載している。ナノ粒子の担持体は、粒子蒸着の段階から顕著であり、及び異なる装置における別々の段階で作られる。
【0014】
上述したことから、特に、基板を作るための方法に対する必要性が存在するように見える。
−固体担持体;
−前記固体担持体上に一つ以上の金属酸化物の均一、均質、及び、連続したフィルム;
−連続又は不連続なフィルムを構成するか、あるいは、一つ以上の酸化物の前記均一、均質、及び、連続したフィルム上に分散された1つ以上の金属又は金属合金の粒子;を含んでおり、
この方法はとりわけ単純であり、信頼し得るものであり、この方法は限られた数の段階及び反応物質を含んでおり、この方法は限られた数の装置を使用し、この装置は清潔であり、かつ、汚染を出さないものであり、及び、この方法は複雑な形状を有する担持体に容易に適合可能である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0015】
【特許文献1】米国特許第916108号明細書
【非特許文献】
【0016】
【非特許文献1】J. Jung, M. Perrut, Journal of Supercritical Fluids, 20 (2001), 179-219.
【非特許文献2】F. Cansell, B. Chevalier, A. Demourgues, J. Etourneau, C. Even, V. Pessey, Journal of Materials Chemistry, 9 (1999), 67-75.
【非特許文献3】P. Serp, R. Feurer, R. Morancho, P. Kalck, Journal of Catalysis, 157 (1995), 294-300.
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0017】
本発明の目的は、とりわけ、この必要性を提供する方法を提供することである。
【0018】
本発明の更なる目的は、従来技術の欠点、欠陥及び不利点を有さないこうした方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
この目的及び他の課題は、本発明による方法により達成される。この方法は、固体担持体と、前記固体担持体上の複数の層と、を含む方法であって、
−担持体上又は下敷層上の、1つ以上の金属酸化物の粒子、あるいは、一つ以上の金属酸化物の分散された粒子、の均一、均質、及び連続したフィルムからなる少なくとも一つの層と、
−担持体上又は下敷層上の、一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金、あるいは、一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子、の連続又は断続したフィルムからなる少なくとも一つの層と、を含む方法において:
a)超臨界流体における単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液によって加熱された固体担持体又は既に蒸着された下敷層を含浸し、担持体上又は下敷層上に、一つ以上の金属酸化物の粒子、あるいは、一つ以上の金属酸化物の均一、均質な分散された粒子からなる均一、均質及び連続したフィルムを蒸着する段階と、
b)担持体上又は下敷層上に、1つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の連続又は不連続なフィルム、あるいは、一つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子を、一つ以上の前駆体から、化学気相蒸着CVDによって、蒸着する段階と、を含んでいる。
【0020】
担持体に基づき、段階a)に続き段階b)を連続して実行することができるか、あるいは、担持体に基づき、段階b)に続き段階a)を連続して実行することができる。
【0021】
段階a)又は段階b)、あるいは、段階a)に続く段階b)若しくは段階b)に続く段階a)の各々を1乃至10回繰り返して実行することができる。
【0022】
有機合成段階を段階a)及び/又は段階b)の後に実行することができる。
【0023】
本発明の好ましい実施形態では、基板は以下を含んで作成される。
−固体担持体;
−前記担持体上の一つ以上の金属酸化物;
−前記均一、均質、及び連続したフィルム上の、一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金の、ナノ粒子又は連続した又は不連続なフィルム;
前記方法は以下の連続した段階を含んでいる:
a)超臨界流体における単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液によって加熱された固体担持体を含浸し、担持体上に、一つ以上の金属酸化物の均一、均質及び連続したフィルムを蒸着する段階と、
b)1つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子又は連続又は不連続なフィルムを、一つ以上の前駆体から、化学気相蒸着CVDによって、蒸着する段階と、を含んでいる。
前記段階a)及び前記段階b)は同一のチャンバ、同一の反応路内で実行される。
【0024】
有機合成段階は、この好ましい実施形態の段階a)及び/又は段階b)の間及び/又は段階a)に続く段階b)の後に実行することができる。
【0025】
本発明による方法は、更に、二つの技術、すなわち、一方では、超臨界媒体(SC)内への含浸、他方では、化学気相蒸着(CVD)を結合した方法として規定することができる。
【0026】
上述した規定したような基板を作成するために超臨界媒体における含浸及び1つ且つ同一の反応炉、チャンバにおける化学蒸着は従来技術には記載も示唆もされていない。
【0027】
超臨界媒体だけにおける金属塩類による担持体を含浸させるための方法のみ又は化学蒸着蒸着CVDのみが記載されてきた。
【0028】
この方法は一つ且つ同一の反応炉において実行されるから、この方法は極めて簡素化されたものであり、担持体を一つの装置から別の装置への何れかの移送又は操作する必要はもはやない。この方法の持続時間及びこの方法の費用は極めて減じられ、そして、この方法のための設備の寸法も減じられる。
【0029】
本発明による方法は、触媒基板、特に多孔質な基板に蒸着された連続及び不連続な薄層を処理し、及びこれらの集積する観点から実際の改良を許容する。実際、基板を安定化させるための随時の加熱処理は現場の同一の反応炉で実施することもできる。
【0030】
本発明による方法は、前記方法の欠点の何れをも有すること無く、超臨界媒体における含浸及び化学蒸着蒸着のそれぞれの方法の利点を有している。2つの方法による純粋に相乗的な効果から生じる更なる利点さえ有している。
【0031】
超臨界媒体における含浸の段階に関して、本発明の記載には既に上述した利点を有する。
【0032】
さらにまた、この段階の間に、超臨界フェーズにおける流体の特別な搬送特性は、触媒のための濾過担持体のような稠密又は多孔質かである、単純又は複雑な幾何形状を有する、マトリックス又は固体担持体の効果的な含浸を可能にする。
【0033】
SC流体のこれらの特性は蒸着された粒子の厚さ、分布の観点からのみならず、構造の観点からも均一な作用層の蒸着層を生じさせる。触媒担持体の濾過壁のより深い含浸は体積の変換を促進し、かつ、比表面積を最適にする働きをする。
【0034】
化学気相蒸着CVDによって金属ナノ粒子を蒸着する段階に関しては、液体方法又は電気メッキによる慣用の含浸のようなプロセスと比較された技術の選択である、CVDプロセスによって慣用的に提供される全ての利点を有する。実際、CVD技術は、触媒担持体(発泡体、ハニカム構造体、セラミックス、ゼオライト等)のような複雑な幾何形状を有する部分を、高真空圧、すなわち、周囲の圧力から百パスカルまで、を要求しない装備によって
覆うことが可能であり、これは容易に産業上利用可能なプロセスである。さらにまた、環境維持及び特に空気と水に関して、CVD技術は電気メッキのような合成プロセスを汚染するのとは反対に“清浄な”技術である。
【0035】
さらにまた、CVDによるナノ粒子蒸着の段階の間中、動作状態の制御は、例えば、触媒のようなナノ粒子の形態、寸法、濃度、及び分散を調節するように働く。そして、これにより、ナノメートル寸法の粒子の極めて細かな分布を達成させる(<20nm)(すなわち、粒子間の距離は一般的に50nmより短い)。
【0036】
従って、これらの2つのSC及びCVD技術は部分の容積内に触媒金属を位置付ける容量を改善する一方で、他方では、触媒金属を装填する率、それ故に、装置のコスト、とりわけ、貴金属を使用するコストを極めて下げることを可能にする。
【0037】
純粋な乾燥した蒸気位相製品の回復及び超臨界流体における含浸技術の両方はクリーン技術である。何故なら、これらは、極めて少ないか又は或るケースではリサイクルすることができる有機溶媒を使用しないためである。このように、これら2つのクリーン技術を組み合わせた、本発明による方法はクリーンであり汚染を出さない方法である。
【0038】
本発明による方法を組み込んだ2つの技術は、相補的であり、かつ、本発明による方法は、これに応じて、これらの技術の組合せに由来する多数の驚くべき利点を有しており、これらは、前記2つの技術の各々によって独立して提供される単純な利点を超えて延在する。
【0039】
特に、本発明による方法は、ナノメートル寸法とされた粒子を大きな比表面積(超臨界流体又はSCFによって作られた)を有する均一な連続したフィルム上に極めて選択的に蒸着させる(CVDによって)。これらの技術は、ガス流出の処理のために使用される担持体のような複雑な幾何形状を覆うことに関して限定されておらず、そして、これらは、特に、セラミック発泡体又はハニカム構造体の形態をしている。
【0040】
これは本発明による方法が、これらの幾何形状に拘わらず、極めて複雑であっても、2次元又は3次元であっても、全ての種類の担持体を容易に実施することができる。
【0041】
これらの2つの技術の組合せは複雑な表面(2D)又は容積(3D)を有する構造体内で
特に完全な触媒システムを蒸着するために役立つ。
【0042】
これらの触媒は、例えば、連続した均一な薄いフィルム及び/又は、例えば、直径が1〜400nmであり、稠密且つ多孔質な担持体上に上手く浸漬された、ナノメートル寸法の粒子の形態をしている。
【0043】
最終的に、本発明による方法の根本的な利点は、1つ及び同一の反応器内で実施することは別にして、段階の各々の間中の超臨界流体による含浸又はCVDによるナノ粒子の蒸着、有利なことに等価であり得る、有機金属前駆体又は金属塩類の使用であり、これにより、貯蔵、移送、及びこれらの前駆体の反応器内への導入のために設けられるべき装置のかなりの簡素化を達成する。
【0044】
換言すれば、特に触媒蒸着の及び本発明の方法の慣用の方法間の差異は、好ましくは
同一の有機金属前駆体又は金属塩類を使用した二つのプロセスの結合及び一つ及び同一の
反応器における貴金属又は卑金属のナノ粒子のウォッシュコートに続く分散を作るために適していることである。
【0045】
本発明の方法は、単一のチャンバ内で、例えば、揮発性有機化合物VOC、窒素酸化物NOxの処理のために、あるいは、改質による水素の生成のために、空気処理の分野における直接的な用途を有する完全な触媒システムの組立を可能にするという利点を有している。
【0046】
固体担持体は稠密な担持体又は多孔質、あるいはより正確には、微孔質の担持体とし得る。
【0047】
多孔質担持体は、一般的に、例えば、数ppiから数十ppi(1インチ当たりの孔数)の多孔度を有するセラミック発泡体のような発泡体、及び/又は数cspi(平方インチ当たりのチャンネル数)から数百cspiを有するハニカム構造体を有する担持体を意味する。
【0048】
前記固体担持体は、セラミックス;スチールのような金属及び金属合金;ポリマー;ゼオライト;シリコン;ガラス;織物;及び、複数の上述した材料を含んでいる複合物;から選択された材料から構成し得る。
【0049】
セラミックスは好ましい材料である。
【0050】
この又はこれらのセラミックスは、セラミック酸化物、単一又は混合された、窒化物、及び、カーバイドから選択し得る。有利なことに、これらのセラミックスはコーディエライト(2Al.2SiO.5MgO)、シリコンカーバイト(SiC)、アルミナ/チタニウム二酸化物(Al)、アルミナ(Al)、及びシリカ(SiO)から選択し得る。
【0051】
上述したように、本発明による方法は、例えば、2次元又は3次元微孔質構造体のような複雑な幾何形状を有する担持体によって実施し得る。複雑な幾何形状は、制御された多孔度及び圧力降下を有する、変化した形状を有する担持体を意味する。
【0052】
例えば、これらの担持体は、発泡体、ハニカム、多孔質チューブ、細粒、ビーズ、あるいは、ファイバーの形態とし得る。
【0053】
担持体は、例えば、ハニカム又はセラミック発泡体、例えば、アルミナ/二酸化チタン発泡体、あるいは、ファイバーの形態とし得る。
【0054】
均一且つ連続したフィルム又は均一に分散された粒子の単数又は複数の金属酸化物はアルミニウム、バリウム、ジルコニウム、チタニウム、バナジウム、これらの金属が混合された酸化物、これらの酸化物の混合物、及び混合された酸化物、並びにゼオライトから選択することができる。
【0055】
均一且つ連続したフィルム又は均一に分散された粒子は、例えば、アルミナ、酸化セリウム−酸化ジルコニウム、酸化バリウム、ゼオライト、二酸化チタン/五酸化二バナジウム、及び、アルミナと、二酸化セリウムと、二酸化バリウムと、二酸化ジルコニウムとの混合物とし得る。
【0056】
段階a)の間に、フィルム又は分散された粒子が蒸着される担持体又は下敷層(既に蒸着された)は、一般的に、例えば、150〜400℃の温度に加熱される。
【0057】
段階a)の間に、単数又は複数の金属酸化物の前駆体は、一般的に、上述した有機金属前駆体及び金属塩類から選択される。金属の酸化物は均一且つ連続したフィルム又は段階a)の間に作成された均一に分散された粒子を構成する。
【0058】
有機金属前駆体は、金属アルコキシド、金属β−ジケトナート、及び金属カルボン酸キシレートから一般的に選択され、これらの金属は、該金属の酸化物がフィルム又は段階a)の間に作成された粒子を構成する。
【0059】
段階a)で作成し得るフィルムは、均一、均質、及び連続したフィルム、すなわち、該フィルムの幾何形状に拘わらず、担持体の表面を完全に覆い、担持体において何れも可能な空洞、空所、起伏部、中空部内にでさえ、覆っていない部分を残さない。
【0060】
段階a)の間に、作成し得るフィルムは、“薄い”フィルムとして一般的に限定し得るものであり、その厚さは一般的に50〜800nm、好ましくは80〜150nmである。
【0061】
超臨界流体は、流体がその臨界圧力Pcより高い圧力、かつ、その臨界温度Tcよりも高い温度で存在することを意味している。
【0062】
流体の温度及び圧力は、一般的に、それぞれ、100〜600℃、10〜50MPaである。
【0063】
使用される流体は、例えば、二酸化炭素、六フッ化硫黄、亜酸化窒素、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサン、のような1〜6の炭素原子を有する軽量アルカン(メタン列炭化水素)、メタノール、エタノール、イソプロパノール、及びブタノールのような1〜5の炭素原子を有するアルケン(エチレン族炭化水素)と、から選択することができる。
【0064】
超臨界状態を有する何れかの化合物を使用することは明らかに可能であり、これらは担持体及び前駆体を構成する単数又は複数の材料と互換性を残したままで使用される。
【0065】
二酸化炭素は、比較的使い易く、低廉であり、無毒であり、不燃性であるという利点を有するため好ましい。そして、二酸化炭素は臨界状態(7.3Mpaの臨界圧力Pc及び31.1℃の臨界温度Tc)に容易に近づき易いためである。
【0066】
さらにまた、超臨界流体は前駆体の優れた可溶性を供するように選択される。
【0067】
段階a)の間に、フィルムはゾルゲルプロセス及び/又は熱分解プロセスによって蒸着される。
【0068】
これらのプロセスはこの技術分野における当業者には周知なプロセスである。
【0069】
ゾルゲル及び/又は熱分解プロセスは、加水分解、重縮合、及び、超臨界流体媒体における有機金属の熱分解の複雑な反応機構を包含するプロセスである。
【0070】
さらになお、有機合成プロセスは独立して、かつ、段階a)後及び/又は段階b)後に実行することができる。
【0071】
有機合成プロセスの中でも、金属粒子をポリマーで被覆するために使用される、界面重縮合、乳化重合、及び分散重合のプロセスに関して言及する。
【0072】
有利なことに、段階a)の完了時且つ段階b)以前に、反応器は、担持体上に一つ以上の金属酸化物の均一且つ連続したフィルム又は分散された粒子が蒸着された該担持体の超臨界流体で浄化且つ清潔にされる。
【0073】
段階b)の間に蒸着された単数又は複数の金属は一般的に元素の周期律表のVIIIB族及びIB族の“貴金属”と呼ばれる金属と、銀及び銅及び窒素のような触媒作用を有する卑金属と、から選択される。そして、段階b)の間中に蒸着された単数又は複数の合金はこれらの金属を一緒にした合金及びこれらの金属と他の金属の合金から選択される。
【0074】
有利なことに、単数又は複数の金属は銀、ロジウム、プラチナ、パラジウム、イリジウム、銅、ニッケル、及び金から選択される。
【0075】
ナノ粒子又は連続した合金フィルムの場合、後者は好ましくは銀、銀、ロジウム、プラチナ、パラジウム、イリジウム、銅、ニッケル、及び金のような元素の周期表のVIIIB族及びIB族の貴金属及び卑金属の合金から選択される。
【0076】
従って、本発明によれば、銀/ロジウム、の二成分合金の粒子、銀/プラチナ/ロジウムの粒子又は三成分合金、あるいは、少なくとも一つの金属と、アルカリ金属、アルカリ土類金属又は希土類金属の酸化物のような少なくとも一つの酸化物と、を含んでいる複合粒子を作ることが可能である。
【0077】
さらにまた、本発明による方法によれば、粒子、あるいは、銀、プラチナ又は金のような単一の金属からもっぱら作られた連続又は不連続なフィルム、あるいは、合金、あるいは、幾つかの異なる粒子は同時に蒸着し得る。これらの各々は異なる金属又は合金から成る。
【0078】
段階b)間に、酸化反応ガス及び還元反応ガスを含んでいるガスの存在する場合に蒸着を実行し得る。
【0079】
ガスは、酸化反応ガスの容積比50%以上、好ましくは容積比70%以上、更に好ましくは容積比100%であり得る。
【0080】
このとき、蒸着は、特に銀の場合、分散された粒子の形態、あるいは、断続的なフィルムの形態で全体的に生じる。
【0081】
他のガス成分のために、特に銀の場合、蒸着はむしろ全体的に連続したフィルムの形態をしている。
【0082】
酸化反応ガスは酸素、二酸化炭素、オゾン、一酸化二窒素NO、及びこれらの混合物から選択し得る。
【0083】
還元反応ガスは水素、アンモニア、アルコール蒸気、炭化水素、及びこれらの混合物から選択し得る。
【0084】
その存在下で蒸着が行われるガスは酸化反応ガス及び還元反応ガス並びに不活性ガスの混合物とし得る。
【0085】
不活性ガスはアルゴン、窒素、ヘリウム、及びこれらの混合物から選択し得る。
【0086】
ガスが酸化ガス及び不活性ガスの混合物からなり、酸化ガスの流量の、不活性ガスの流量に対する比率が1より高い場合、担持体上に分散された、粒子、特に銀の蒸着、あるいは、断続的なフィルムが一般的に得られる。
【0087】
同一の前駆体を段階a)及び段階b)で使用し得る。
【0088】
段階b)では、前駆体は金属カルボン酸キシレート、β−ジケトナート、及び金属硝酸塩のような金属塩類のような金属化合物から一般的に選択される。
【0089】
単数又は複数の前駆体は有機溶剤内においてこれらの前駆体の溶液の形態で使用し得る。
【0090】
溶液中の単数又は複数の前駆体の濃度は0.01〜0.06mol/lとし得る。
【0091】
この溶剤は一般的に単数又は複数の前駆体の分解温度より低い蒸発温度を有する。
【0092】
溶剤は、標準圧力状態の下で周囲温度且つ200℃まで液体である有機化合物から選択される。
【0093】
従って、溶剤は、メシチレン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、n−オクタン、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセチルアセトン、エタノール、水、及び、これらの混合物から選択し得る。
【0094】
特に単数又は複数の前駆体が銀合金の前駆体である場合の溶液はアミン及び/又はニトリルを更に含み得る。
【0095】
段階b)では、蒸着は500℃以下の担持体温度、好ましくは300℃以下の温度、更に好ましくは250〜290℃の温度で得られる。
【0096】
段階b)では、周囲圧力又は真空下、好ましくは300〜1000Paの圧力で実行し得る。
【0097】
段階b)における蒸着の持続時間は一般的に2〜10分、好ましくは5〜30分である。
【0098】
段階b)における蒸着はプラズマ増進(強化)によって実行し得る。
【0099】
段階b)における蒸着が実行される状態に依存して、金属又は金属合金の連続したフィルムが得られるか、あるいは、前記蒸着が分散された、別々の粒子からなる場合、前記粒子は1〜400nm、好ましくは1〜100nm、さらに好ましくは5〜50nmの寸法と、
10〜500μm−2、好ましくは50〜200μm−2の濃度と、を有している。
【0100】
粒子の幾つかは不連続な、担持体の表面上に多孔質なフィルム、すなわち、酸化層を構成すべく結合し得る。
【0101】
有利なことに、段階a)の完了時、酸化層、あるいは、連続又は不連続なフィルム又は単数又は複数の金属合金の分散された粒子を安定させるために加熱処理が、例えば、400〜800℃で3時間実行される。
【0102】
本発明は請求項1に記載の方法を実施するための装置に更に関し、該装置は、
−固体担持体が配置されるチャンバ又は反応器と;
−流体を超臨界流体にもたらす装置と;
−1つ以上の酸化物前駆体を超臨界流体に溶解させる装置と;
−超臨界流体内の単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液を反応器に搬送する装置であって、前記担持体と接触するか又は既に蒸着された層と接触し、これにより、均一、均質、及び、一つ以上の金属酸化物の連続したフィルム又は均一に分散された粒子が前記担持体上又は前記層上に蒸着される、前記搬送する装置と;
−蒸着の完了時に超臨界流体を前記反応器から引き出し、該反応器を膨張させ、前記流体からの未反応前駆体を前記流体から分離し、及び、前記流体を前記反応器に再循環させる装置と;
−一つ以上の金属又は金属合金の一つ以上の前駆体を含んでいるガスを前記反応器に給送する装置と;
−前記担持体又は既に蒸着された層を加熱する装置と;
−前記反応器を真空下又は圧力下で配置する装置と;を含んでいる。
【0103】
この装置は該装置によって実行される方法に固有な全ての利点を有している。このことは既に上述してきた。特に、この装置は一つ及び同一の反応器内で、CVD及びFSC含浸によって幾つかの層の蒸着を実行するために役立つ。
【0104】
本発明を、添付の図を参照して以下の記載でより詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0105】
【図1】本発明による方法を実施するための設備の縦断面を示す流れ図である。
【図2】アルミナ−ジルコニア発泡体から成る多孔質セラミック担持体上に作られた酸化物である、アルミナ、二酸化セリウム、酸化バリウム、二酸化ジルコニウムの層を示す電子顕微鏡(SEM-FEG)によって撮影したマイクロ写真を示す図であって、実施例1(本発明による方法の段階1)の状態で20ppi(1インチ当たりの孔数)を有し、使用された拡大率は25000倍であり、及び、図2に示されたスケールは1.20μmであり、並びに、図中の暗い印は148nmと150nmの層厚を示している図である。
【図3】実施例1で作られた酸化層上に、実施例2の状態で、本発明による方法の段階2に従って作られた、プラチナナノ粒子を示す電子顕微鏡(SEM-FEG)によって撮影したマイクロ写真を示す図であって、使用された拡大率は50000倍であり、及び、図3に示されたスケールは1μmである図である。
【図4】実施例1で作られた酸化層上に、実施例2の状態で、本発明による方法の段階2に従って作られた、プラチナナノ粒子を示す電子顕微鏡(SEM-FEG)によって撮影したマイクロ写真を示す図であって、使用された拡大率は50000倍であり、及び、図4に示されたスケールは1μmである図である。
【図5】実施例2(図2、図3、及び図4)におけるMOCVDによって蒸着されたプラチナナノ粒子の蒸着のX解回折スペクトルを示す図であって、2θはX軸にプロットされ、X線の任意の強度はY軸にプロットされている図である。
【発明を実施するための形態】
【0106】
以下に続く発明の詳細な説明では、本発明による方法の好ましい実施形態が特に記載されており、この方法では、固体担持体上、及びこの好ましい実施形態を実施するために使用される設備上で、段階a)に続いて段階b)が連続して実行される。当業者であれば前記段階a)及び段階b)を逆になし、交互になし、及び/又は繰り返すために必要な調節を容易にすることができる。
【0107】
図1は、化学気相蒸着と超臨界媒体における蒸着のプロセスを結合した、本発明による方法を実施するための設備のフローチャートの縦断面を示す図である。
【0108】
こうした図は設備の一つを例示した実施形態を示すのみであり、説明のために描いたものであり、本発明を限定するものではない。
【0109】
設備は、担持体(2)が内部に配置されるオートクレーブ(1)を含み、本発明によるこのオートクレーブ、反応器は、含浸、超臨界媒体における蒸着のためのチャンバの役割、そして、次に、CVDチャンバの役割を遂行する。
【0110】
こうしたオートクレーブ、反応器、あるいは蒸着チャンバ(1)は本発明による方法の超臨界段階において加えられる圧力に耐えることができ、温度が自動的に制御される二重のジャケット(3)の形態をした加熱及び温度制御手段も設けられている。ジャケット(3)の内部には熱伝導体の回り、あるいは電気加熱抵抗器の回りを適切な冷媒が循環する。
【0111】
オートクレーブ、あるいは反応器(1)の容積は可変であり、蒸着が実施される担持体の容積に特に依存する。この容積は当業者によって容易に決定し得る。
【0112】
チャンバである反応器は、蒸着がなされる単数又は複数の担持体(2)を収容している。これらの担持体は好ましくは一つ以上の要素又は単数又は複数のグリッド(4)上に配置されるのが好ましい。
【0113】
担持体は何れの形状を有し得る。何故なら、本発明による方法は、非常に複雑な形状を有する基板上にさえ、酸化物の蒸着に続いて、例えば、銀粒子のような金属粒子の蒸着を可能にする。担持体は多孔質担持体から、あるいは稠密な非多孔質担持体から選択することができる。
【0114】
担持体は何れかの表面テクスチャーを有し得るものであり、粗く又は滑らかにすることができる。
【0115】
基板の寸法は限定されていない。その結果、大小基板は本発明による蒸着を受けることができる。
【0116】
担持体は種々の材料(無機、有機又は複合物)、採用された比較的低い蒸着温度によって熱に対して敏感である。
【0117】
担持体は、例えば、上述したような材料で作ることができる。
【0118】
図1では、示された設備は単一のチャンバ、反応器、オートクレーブ(1)、を含むのみであるが、設備は、例えば、直列に配置された、2〜10の複数のチャンバを含み得る。
【0119】
設備は、超臨界媒体において実行される、本発明による方法の第一段階を実施するようにより特別に構成された蒸着チャンバに接続された第一部分を含んでいる。
【0120】
従って、本発明による設備は二酸化炭素のような流体を超臨界状態にもたらし、そして、この流体をチャンバに搬送するための装置を含んでいる。
【0121】
図1において、流体は、例えば、再循環管路(5)から流れ出て、及び/又は、例えば、二酸化炭素(6)のような補償及び貯蔵タンクから随意に(圧縮装置(7)、ポンプ(8)及びバルブ(9)を介して)バルブ(10)を介して、例えば、温度を自動調節するように制御された二重のジャケットの形態をした温度制御手段が設けられた液化タンク(11)に入る。二重のジャケットの内部には適切な冷媒、熱伝導体、流体が循環している。
【0122】
二酸化炭素のような前記流体はこうして液化され、それから、例えば、ダイアフラム又はピストンタイプの圧縮ポンプ、あるいは、例えば、圧縮機のようなポンプ(12)によってチャンバである反応器(1)に向けて、汲み上げられ且つ圧縮される。
【0123】
前駆体は担持体の導入後反応器内に直に導入される。バルブ(15)が設けられた管路(15)は、超臨界流体及び前駆体が独立した反応器(図示せず)内で混合される場合には、これらの超臨界流体及び前駆体をチャンバ(1)内に導入するために設けられている。
【0124】
本発明による方法の段階a)である、超臨界媒体における含浸作用の完了時に、二酸化炭素のような流体の流れがチャンバ(1)から管路(16)を介して除去され、かつ、それから、オートクレーブである反応器(1)に接続され、かつ、例えば、直列に接続された2つのサイクロン式分離器(17、18)を含んでいる。これら2つのサイクロン式分離器(17、18)の各々の前に自動リリーフ弁(19、20)が置かれている。
【0125】
2つのサイクロン式分離機(17、18)が図1に示されているが、分離機の数、型式、及び連続性を変化し得ることは自明である。
【0126】
流体が被る膨張は一定温度で生じる。
【0127】
分離機(17、18)の各々では、一方では、液体の形態をした未反応の前駆体化合物の、他方では、例えば、二酸化炭素のようなガスの分離すなわち分解が生じる。
【0128】
前駆体化合物は、例えば、分離機の基部において、引き出され(21、22)、そして、回収され、そして、それから、随意には、例えば、遠心分離、定着又は液体/液体抽出のような新たな分離、抽出又は精製運転を受けるか、あるいは破壊される。
【0129】
二酸化炭素のような、分離から生じたガスは、剥離され、そして、次いで、流体循環装置に送られる。流体循環装置は、バルブ(23、24)に加えて、管路(5)、及び、例えば、熱を自動調節するチャンバの形態をした“冷却”熱交換器(25)(圧縮装置、液化装置)を基本的に含んでいる。ガスは、次いで、低温で液体貯蔵器(11)に送られる。液体貯蔵器(11)は,二酸化炭素のような流体を冷却し且つ液化する冷却剤によって維持されている。
【0130】
剥離装置(26)が流体再循環装置上に配置された還流コラム又は活性木炭コラム(26)によって図1に示されている。
【0131】
最終的に、設備は、プロセスの様々な部分に、特に圧力を制御するための制御装置(バルブ19、20の制御以外のためには図示していない)を含んでいる。この制御装置は圧力センサ、制御装置、及び空気圧制御されたニードルバルブから構成される制御回路を含んでいる。
【0132】
設備は蒸着チャンバ(1)に接続され、かつ、より詳細には、本発明による第2段階である、化学気相蒸着による、金属又は合金の連続又は不連続層、あるいは、金属又は金属合金の分散されたナノ粒子を蒸着する段階を実施するように構成された第2部分を含んでいる。
【0133】
より詳細には、本発明による第2段階を実施するために、単数又は複数の前駆体を含んでいる全体的に液体形態をした成分は、一般的に、蒸発装置又は蒸発器に第一に送られる。
【0134】
単数又は複数の前駆体を含んでいる成分は好ましくは溶媒における単数又は複数の前駆体の溶液の形態をしている。この溶液は、特に、当該前駆体が銀の前駆体である場合に、好ましくは溶液における前駆体の溶解を促進するためにニトリル及び/又はアミンを含んでいる。
【0135】
溶液中のアミン及び/又はニトリルの容積濃度は一般的に0.1%より高く、0.5%〜10%が好ましい。
【0136】
アミンは、一般的に、n−ヘキシルアミン、イソブチルアミン、ジセクブチルアミン、トリエチルアミン、ベンジルアミン、エタノールアミン、及び、ジイソプロピルアミン、ポリアミン、及びこれらの混合物から選択される。
【0137】
ニトリルは、一般的に、アセトニトリル、バレロニトリル、ベンゾニトリル、及びプロピオニトリル、並びにこれらの混合物から選択される。
【0138】
単数又は複数の前駆体は一般的に有機金属化合物又は金属硝酸塩のような金属塩類である。溶液は一つのみの前駆体を含み得る。この場合は、例えば、銀の有機金属化合物である。溶液が複数の前駆体を含む場合、これらの前駆体の一つは、このとき、例えば、銀の有機金属化合物のような、第一金属とし得る。そして、他の単数又は複数の前駆体は、例えば、基板上に、銀のような、この第一金属の合金、及びこの他の金属又はこれらの他の金属の合金を形成するために、第一金属とは異なる他の金属の有機金属化合物である。
【0139】
銀及び他の金属の両方の好ましい有機金属前駆体が、式M(O2CR)(ここでMは金属でありRは以下に規定される)を有する、金属アルコキシド、金属β−ジケトナート、及び金属カルボン酸キシレートから一般的に選択されることを示してきた。
【0140】
従って、好ましい銀前駆体は銀テトラメチルヘプタンジオレート及び金属カルボン酸キシレートのような金属β−ジケトナートから選択される。特に好ましい銀前駆体は、銀カルボン酸キシレートAg(OCR)(ここでRは好ましくは3〜7の炭素を有するアルキル族である)のような前駆体に直面する低揮発性の課題、及び有機金属前駆体に一般的に直面する汚濁の課題を克服するために役立つ銀ピバレートである。
【0141】
有利なことに、本発明によれば、同じ前駆物質がステップa)(FSC)及びステップb)(CVD)で使用され、これにより、反応物質貯蔵及び送給装置が簡素化される。
【0142】
蒸発装置の出口では、前駆体を含む、例えば、蒸発した溶液のような、成分が既に記載したチャンバ(1)内に導入される。チャンバは連続した層又は分散されたナノ粒子がその上で蒸着される担持体を含んでいる。
【0143】
気化装置に到達する以前に、溶液のような混合物は一般的に外界温度でタンク(27)内に維持される。
【0144】
前駆体成分は当業者には周知な種々の装置によって蒸発し得る。
【0145】
好ましい実施例によれば、Chem.Mat.13,3993(2001)に記載された“純粋又は溶液形態の液体前駆体の射出及び蒸発のための射出装置”との名称の元でJipelecによって販売された装置に言及し得る。一般的に蒸着チャンバ内の温度と混同され、かつ、蒸着温度として規定し得る、被覆されるべき担持体の温度は本発明によれば100〜800℃である。
【0146】
好ましくは、極めて低い温度、すなわち、500℃以下、好ましくは300℃以下、より好ましくは250〜290℃、例えば、280℃が使用される。
【0147】
こうした低温度は熱的にもろい基板上で、例えば、銀のような、金属又は合金粒子の蒸着を許容するという利点を有する。これは、より高い温度で生じる、他の方法によって実現可能ではなかったものであろう。
【0148】
この方法の段階b)に対する蒸着チャンバは閉じた反応器である既に上述したタンクから成り第一段階で使用されるが、この第一段階では、支配的な雰囲気は反応ガスと呼ばれるガスから成る。
【0149】
このガスは、例えば、通例(容積によって)、特に銀のような分散された粒子を蒸着するために特に所望される場合には酸化反応ガスを含み得る。しかしながら、反応ガスは水素のような還元ガスとし得る。
【0150】
蒸着チャンバ(1)における圧力はこのCVD段階において、例えば、15トール未満の圧力のような周囲圧力又は低圧力(真空圧下のチャンバ)とし得る。
【0151】
本発明による方法は有利なことにプラズマ増進支援によって実行し得る。
【0152】
プラズマ増進技術は、該技術では有機金属前駆体が低温度(PA又はPE−CVDと呼ばれる技術、すなわち、“プラズマ支援”又は“プラズマ増進化学気相蒸着”)を許容するという意味合いにおいて有機金属前駆体を使用する化学気相蒸着プロセスに対して相補的である。
【0153】
プラズマ励磁の種類は、例えば、低周波数(LF)、無線(RF)又はパルス付直流(パルス付DC)プラズマ励磁から選択し得る。
【0154】
プラズマ増進は更なる表面再構築の可能性を提供する働きをする。
【0155】
従って、冷たいプラズマは担持体の周りに随意に加え得る。プラズマが存在する場合に蒸着が行われる際に、担持体及び基板が、蒸発器内に広がっているのと同一温度に維持されるように、例えば、銀又は銀合金ような粒子を受け取るように構成することは十分である。プラズマがない場合、反応器壁上に、例えば、銀のような、金属の蒸着を防止するために、温度差が少なくとも20℃、好ましくは少なくとも50℃であるように、担持体を、蒸発器の温度より高い温度にすることが必要である。
【0156】
使用したガスが大多数酸化ガスから成る場合、このときは、この酸化ガスの使用によって生じる表面の変化及び粒子境界エネルギーは上述した比較的低い蒸着温度で、例えば、不連続フィルムのような銀又は銀合金のような、金属又は金属合金を作るために役立つ。
【0157】
既に述べたように、本発明の方法によって得られた蒸着は、この場合、ナノメートル寸法の金属島、すなわち、基板及び担持体の表面に上手く浸漬された、担持体が稠密又は多孔質であれ、例えば、触媒用途のための決定的な要因である、大きな作用表面を与える、
例えば、1〜400nmの寸法、直径を一般的に有する形態をした多孔質フィルムとして規定し得る。
【0158】
本発明の方法によって得られた、例えば、銀のナノ粒子又は銀合金のナノ粒子のような金属又は金属合金のナノ粒子の成分、形態、及び、特に、蒸着の多孔性は反応ガスの種類及び流量、前駆体の量、この場合に設定された、温度及び圧力、その存在によって蒸着が実行されるガスが常に酸化ガスの容積、特に、酸化ガスの流量/不活性ガスの流量の比率が1より大きいこと、のような多数のパラメータを調節することによって制御、調節することができる。
【0159】
本発明による方法の実施は金属、例えば、ナノ粒子が蒸着される担持体への良好な固着を有する、銀ベースのナノ粒子を得るために役立つ。ナノ粒子の寸法は処理されたパラメータ、かつ、特に、酸化ガスの流量/不活性ガスの流量の比率(常に1より大きいままである)、金属前駆体の流量、最終的に、実験の時間に従って変わる。一般的に、フィルムは非導電性を呈し、かつ、つや消し外観を有する。
【0160】
ガスに使用される酸化ガスの量が体積比50%以下である場合には、連続したフィルムを得ることが可能である。同様にして、還元ガスを含むガスが使用される場合、連続又は不連続な蒸着を得ることが可能である。
【0161】
本発明による方法を実施するために特に適切であり、かつ、以下の実施例で使用される設備は、化学気相蒸着チャンバと結合された、JIPELECによって販売された上述した“射出”タイプの蒸発装置を含んでいる。
【0162】
“射出”タイプの装置は4つの主要部を備えている;
−前駆体の単数又は複数の化学溶液を貯蔵するための単数又は複数のタンク(27);連続又は不連続なフィルム又は単一の金属から成るナノ粒子、単一のタンク(27)が設けられた場合;その有機金属前駆体の溶解が共通の溶媒内に実行できない場合、複数のタンクが使用される;
−単数又は複数のフィルタ(30)を装備した一つ以上の単数又は複数の送給管路(29)によって単数又は複数の液体貯蔵タンク(27)に接続された、例えば、ガソリン又はディーゼルエンジンタイプの1つ以上の射出器(28);
−射出器(28)内で最高点に達するベクトルガス(31)又は不活性ガス(例えば、窒素)を供給するための管路;
−及び、蒸発装置(32)(蒸発器)。
【0163】
被覆されるべき基板を含んでいる化学気相蒸着チャンバは、蒸発装置と、蒸着装置と、の間に導入された酸素のような酸化反応ガス給送装置と、汲み上げ及び圧力制御装置を含んでいる。前記圧力は真空圧下で作動されると減じられる。蒸発器は、加熱装置を装備した管路によって化学気相蒸着チャンバに接続されており、加熱装置は蒸発器と同一温度に維持されており、蒸発器はチャンバ内でガス分配器(33)に接続されている。
【0164】
化学気相蒸着装置及び該装置内部に配置された被覆されるべき基板は全体的に正の熱勾配を創出するために蒸発器の温度より高い温度でこの段階b)に維持される。単数又は複数の前駆体を含んでいる化学溶液は1又は2バールの圧力が加わった状態下で維持されたタンク内に導入され、例えば、それから、前記貯蔵器から、射出器を経て(圧力差によって)蒸発器内に送られる。蒸発器は真空圧下に維持されている。射出流量はマイクロソレノイドバルブとして考慮し得るものであり、かつ、コンピュータによって制御される射出器の周波数及び該射出器の開放時間を調節することによって制御される。
【0165】
化学反応は、酸素、水素又は二酸化炭素のような反応ガスを含んでいる反応ガスが存在する場合、かつ、全体的に2000Pa以下の圧力下で生じる。
【0166】
特に、(プラチナとし得るか又は銀及び、随意にはこれらの複数のような卑金属とし得る)及び本発明のナノ材料の形態(多数の上手く浸漬されたナノメータに寸法付けられた作動サイト)、(すなわち、例えば、銀又は銀合金のナノメータに寸法付けられた粒子が浸漬される複数の基板)、これらは電子工学、光学、及び、とりわけ、例えば、環境保護のために、触媒の分野において選択の候補に思える。
【0167】
従って、例えば、これらは、ガスフェーズ酸化(空気汚染制御)及び水フェーズ酸化(水汚染制御)のための直接的な用途を有するが、これらは水素浸透(燃料電池用ガス改質、水素付加/脱水素)のための薄膜として、あるいは燃料電池の分野における他の反応に触媒作用を加えるためにさえ、働くこともできる。
【0168】
本発明を、説明のために設定されたものであり限定のために設定されたものではない、以下の実施例を参照して説明する。
[実施例1]
この実施例では、20ppi(1インチあたりの孔数)を有するアルミナ−ジルコニア発泡体(アルミナ/二酸化チタン)から成る多孔質セラミック担持体上のアルミナ、二酸化セリウム、酸化バリウム、二酸化ジルコニウムから成る酸化物の層の蒸着が超臨界二酸化炭素媒体における含浸によって実行される。
【0169】
蒸着は、アルコール溶媒(ヘキシレングリコール又はイソプロパノール)に溶解した有機金属前駆体を含む化学溶液から実行される。溶液の最終的な成分は表1に与えられている。
【0170】
【表1】

【0171】
温度及び圧力状態はそれぞれ300℃及び30MPaに設定されている。反応物と担持体との間の反応器内の接触時間は1時間である。
【0172】
この試験の場合、高温で安定した均一な作用層が蒸着した状態で、ミクロポーラスマトリックスの完全な含浸が得られた(図2)。
【0173】
[実施例2]
【0174】
以下の蒸着状態に対して、プラチナナノ粒子が多孔質基板上に作成される(アルミナ−ジルコニア発泡体20ppi)。
【0175】
化学蒸着溶液は、溶媒(アセチルアセトン)に溶解した、プラチナの有機金属前駆体(アセチルアセトネート)を含んでいる。
【0176】
蒸発器及び基板の温度はそれぞれ220℃及び340℃に設定されている。その他の運転状態は以下の表2に与えられている。
【0177】
【表2】

【0178】
これらの2つの試験A及びBにおいて、立方構造体を有する結晶化した蒸着が得られる(図3及び図4参照:図3は試験Aに対応し、図4は試験Bに対応する)。直径が5〜20nmのプラチナナノ粒子を含んでおり;ナノ粒子の濃度はこの場合1012cm−2に近い。
【0179】
<実施例1及び2で得られた蒸着物の性質>
・電子顕微鏡による特性
実施例1(図2)で作成された酸化層の電子顕微鏡による特性が第一に実施される。
【0180】
実施例2(図3及び図4)のプラチナナノ粒子を含んでいる蒸着の電子顕微鏡による特性が次いで実施される。
【0181】
・X線回折スペクトロスコピーによる特性
特性は実施例2(実施例2と、図3及び図4で得られた蒸着)のプラチナナノ粒子の蒸着のX線回折スペクトロスコピーによって実施される。
【符号の説明】
【0182】
1 蒸着チャンバ
2 担持体
3 ジャケット
4 グリッド
5 再循環管路
6 二酸化炭素
7 圧縮装置
8 ポンプ
9 バルブ
10 バルブ
11 液化タンク
12 ポンプ
15 バルブ
16 管路
17、18 分離機
19、20 自動リリーフバルブ
23、24 バルブ
25 “冷却”熱交換機
26 剥離装置
27 タンク
28 射出器
29 送給管路
30 フィルタ
31 ベクトルガス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
固体担持体と、前記固体担持体上の複数の層と、を含む基板を作成する方法であって、
−前記担持体上又は下敷層上に、一つ以上の金属酸化物の粒子の均一、均質、及び連続したフィルム、あるいは、一つ以上の金属酸化物の分散された粒子の均一、均質、及び分散された粒子から成る少なくとも一つの層と、
−前記担持体上又は下敷層上に、一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金の連続した又は不連続なフィルム、あるいは、一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子の連続した又は不連続な分散されたナノ粒子から成る少なくとも一つの層と、を含む方法において:
前記方法は、
a)超臨界流体に、単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液によって加熱された前記担持体又は既に蒸着された下敷層を含浸し、前記担持体上又は前記下敷層上に、一つ以上の金属酸化物の粒子から成る均一、均質及び連続したフィルム、あるいは、一つ以上の金属酸化物の均一、均質及び分散された粒子を蒸着する段階と、
b)前記担持体上又は前記下敷層上に、一つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の連続した又は不連続なフィルム、あるいは、一つ以上の金属又は1つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子を、一つ以上の前駆体から、化学気相蒸着CVDによって、蒸着する段階と、を含む方法。
【請求項2】
段階a)に続いて段階b)が連続して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
段階b)に続いて段階a)が連続して実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記段階a)又は前記段階b)、あるいは、前記段階a)に続く前記段階b)若しくは前記段階b)に続く前記段階a)の各々が1乃至10回繰り返される、請求項1から請求項3までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項5】
有機合成段階が段階a)及び/又は段階b)の後に実行される、請求項1から請求項4までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項6】
a)超臨界流体に、前記金属酸化物の前駆体の溶液によって前記加熱された固体担持体を含浸し、前記担持体上に、一つ以上の金属酸化物の前記均一、均質及び連続したフィルムを蒸着する段階と、
b)一つ以上の前駆体から、化学蒸着蒸着CVDによって、前記均一、均質及び連続したフィルム上に分散された一つ以上の金属又は一つ以上の金属合金の分散されたナノ粒子又は連続した又は不連続なフィルムを蒸着する段階と、を含んでいる、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
有機合成段階が段階a)及び段階b)の間及び/又は段階a)に続いて段階b)の連続後に実行される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記有機合成が界面重縮合、乳化重合、及び分散重合から選択された方法によって実行される、請求項5または請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記固体担持体は稠密又は微孔質である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
前記担持体は、発泡体、特にセラミック、ハニカム、多孔質チューブ、あるいは細粒、バーミチェリ、あるいは、ビード若しくはファイバーの形態をしている、請求項1から請求項9までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項11】
前記固体担持体は、セラミックスから選択された一つ以上の金属;スチールのような金属及び金属合金;ポリマー;ゼオライト;シリコン;ガラス;織物;及びこれらの複合材料から成る、請求項1に記載の方法。
【請求項12】
前記セラミックスは単一又は混合された酸化セラミックス、窒化物、及びカーバイドから選択される、請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記セラミックスは、コーディエライト(2Al.2SiO.5MgO)、シリコンカーバイド(SiC)、アルミナ/二酸化チタン(Al/TiO)、アルミナ/ジルコニア(Al/ZrO)、二酸化チタン(TiO)、アルミナ(Al)、ジルコニア(ZrO)、及びシリカ(SiO)から選択される、請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記固体担持体はアルミナ/二酸化チタン(Al/TiO)の発泡体である、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記連続した又は不連続なフィルム又は前記均一に分散された粒子の単数又は複数の前記金属酸化物は、アルミニウム、セリウム、バリウム、ジルコニウム、チタニウム、バナジウム、これらの金属の混合された酸化物、これらの酸化物の混合物、及び混合された酸化物、並びにゼオライトから選択される、請求項1から請求項14までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項16】
単数又は複数の前記金属酸化物の単数又は複数の前記前駆体は有機金属化合物及び金属塩類から選択される、請求項1から請求項15までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項17】
前記有機金属前駆体は、金属アルコキシド、金属β−ジケトナート、金属カルボン酸キシレートから選択される、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記均一且つ連続したフィルムは50〜800nm、好ましくは80〜150nmの厚さを有している、請求項1から請求項17までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項19】
前記超臨界流体は、二酸化炭素、スルファヘキサフルオライド、窒素酸化物、二酸化一窒素、例えば、メタン、エタン、プロパン、ブタン、イソブタン、ペンタン、ヘキサンのような、1〜6の炭素原子を有する軽量アルカン、エチレン及びプロピレンのような1〜5の炭素原子を有するアルケン、及び、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノールのような或る有機液体から選択される、請求項1から請求項18までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項20】
段階a)において、前記流体の温度及び圧力は、それぞれ、100〜600℃及び10〜50MPaである、請求項1から請求項19までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項21】
段階a)の間、前記フィルムはゾルゲルプロセス及び/又は熱分解プロセスによって蒸着される、請求項1から請求項20までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
段階a)の完了且つ段階b)より前に、前記反応器は前記担持体を超臨界流体で洗浄することによって一掃且つ清掃される、請求項1から請求項21までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
段階b)間に蒸着された単数又は複数の前記金属は、元素周期表のVIIIB及びIB族の“貴金属”と呼ばれる金属、銀及び銅及びニッケルのような触媒作用を有する卑金属から選択され、段階b)間に蒸着された単数又は複数の合金はこれらの金属を一緒にした合金及びこれらの金属を他の金属と一緒にした合金から選択される、請求項1から請求項22までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
単数又は複数の金属は銀、ロジウム、プラチナ、パラジウム、イリジウム、銅、ニッケル、及び金から選択される、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記合金は、銀、ロジウム、プラチナ、パラジウム、イリジウム、銅、ニッケル、及び金のような元素周期表のVIIIB及びIB族の金属から選択される、請求項1から請求項24までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
段階b)における前記蒸着は、酸化反応ガス及び還元反応ガスが存在する場合に実施される、請求項1から請求項25までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
段階b)における前記蒸着は、体積比50%以上のガス、好ましくは前記酸化反応ガスの体積比70%以上のガス、さらに好ましくは前記酸化反応ガスの体積比100%以上のガスが存在する場合に実施される、請求項26に記載の方法。
【請求項28】
前記酸化反応ガスは酸素、二酸化炭素、オゾン、一酸化二窒素N2O、及びこれらの混合物から選択される、請求項26または請求項27に記載の方法。
【請求項29】
前記還元反応ガスは水素、アンモニア、アルコール蒸気、炭化水素、及びこれらの混合物から選択される、請求項26に記載の方法。
【請求項30】
前記ガスは、酸化反応ガス、還元反応ガス、及び不活性ガスの混合物からなる、請求項26から請求項29までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項31】
前記不活性ガスは、アルゴン、窒素、ヘリウム、及びこれらの混合物から選択される、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
前記ガスは、酸化反応ガス及び不活性ガスの混合物からなり、酸化反応ガスの流量の不活性ガスの流量に対する比率は1.0より高い、請求項30または請求項31に記載の方法。
【請求項33】
段階b)において、前記前駆体は有機化合物及び金属塩類から選択される、請求項1から請求項32までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項34】
段階b)において、前記前駆体は金属カルボン酸キシレート、及びβ−ジケトナートから選択された有機前駆体である、請求項33に記載の方法。
【請求項35】
前記金属塩類は金属硝酸塩から選択される、請求項33に記載の方法。
【請求項36】
段階b)の間、特に有機金属の単数又は複数の前記前駆体は有機溶媒内でこれらの前駆体の溶液の形態をして使用される、請求項1から請求項35までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項37】
前記溶液における単数又は複数の前駆体の濃度は0.01〜0.6mol/lである、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記溶媒は単数又は複数の前記前駆体の分解温度未満の蒸着温度を有する、請求項36または請求項37に記載の方法。
【請求項39】
前記溶媒は標準圧力状態において、200℃までの周囲温度で液体である有機化合物から選択される、請求項38に記載の方法。
【請求項40】
前記溶媒はメシチレン、シクロヘキサン、キシレン、トルエン、n−オクタン、イソプロパノール、テトラヒドロフラン、アセチルアセトン、エタノール、水、及びこれらの混合物から選択される、請求項39に記載の方法。
【請求項41】
前記溶液はアミン及び/又はニトリルを更に含んでいる、請求項36から請求項40までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項42】
段階b)の間に、前記蒸着は500℃以下の温度、好ましくは300℃以下の温度、更により好ましくは250〜290℃の担持体温度で実行される、請求項項1から請求項41までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項43】
段階b)の間に、前記蒸着は大気圧で実行される、請求項1から請求項41までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項44】
段階b)の間に、前記蒸着は真空下、好ましくは300〜1000Paの圧力で実行される、請求項1から請求項42までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項45】
段階b)における前記蒸着の持続時間は2〜90分の間、好ましくは5〜30分の間である、請求項1から請求項44までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項46】
前記蒸着はプラズマ増進によって実行される、請求項1から請求項45までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項47】
同一の前駆体が段階a)及び段階b)で使用される、請求項1から請求項46までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項48】
段階b)の間に、分散されたナノ粒子が蒸着される、請求項1から請求項47までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記ナノ粒子は1〜400ナノメートル、好ましくは1〜100ナノメートル、更により好ましくは5〜50ナノメートルの寸法を有している、請求項48に記載の方法。
【請求項50】
前記ナノ粒子は10〜500μm-2、好ましくは50〜200μm-2を有している、請求項48または請求項49に記載の方法。
【請求項51】
段階a)の完了時に、熱温度は、例えば、400〜800℃で実行される、請求項1から請求項50までのいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
請求項1に記載の方法を実施するための装置であって、
−固体担持体が配置されるチャンバ又は反応器と;
−流体を超臨界流体にもたらす装置と;
−1つ以上の酸化物前駆体を超臨界流体に溶解させる装置と;
−超臨界流体内の単数又は複数の金属酸化物の前駆体の溶液を反応器に搬送する装置であって、前記担持体と接触するか又は既に蒸着された層と接触し、これにより、均一、均質、及び、一つ以上の金属酸化物の連続したフィルム又は均一に分散された粒子が前記担持体上又は前記層上に蒸着される、前記搬送する装置と;
−蒸着の完了時に超臨界流体を前記反応器から引き出し、該反応器を膨張させ、前記流体からの未反応前駆体を前記流体から分離し、及び、前記流体を前記反応器に再循環させる装置と;
−一つ以上の金属又は金属合金の一つ以上の前駆体を含んでいるガスを前記反応器に給送する装置と;
−前記担持体又は既に蒸着された層を加熱する装置と;
−前記反応器を真空下又は圧力下で配置する装置と;を含んでいる装置。

【図1】
image rotate

【図5】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate


【公表番号】特表2010−526650(P2010−526650A)
【公表日】平成22年8月5日(2010.8.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−504727(P2010−504727)
【出願日】平成20年4月29日(2008.4.29)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055208
【国際公開番号】WO2008/135444
【国際公開日】平成20年11月13日(2008.11.13)
【出願人】(502124444)コミッサリア ア レネルジー アトミーク エ オ ゼネルジ ザルタナテイヴ (383)
【Fターム(参考)】