説明

基板上に耐摩耗性被覆を施すための組成物

【課題】 改善された安定性を有し、基板に塗布されて硬化した時に基板上に耐摩耗性被覆を形成する組成物を提供する。
【解決手段】 エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物、並びに多官能化合物、を含む水−有機溶媒混合物を含み、前記多官能化合物は、多官能カルボン酸、多官能無水物、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され、前記エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が約0.1:1から5:1の間で存在し、かつ、前記エポキシ官能シランと前記四官能シランを加水分解するのに十分な量の水を含むことを特徴とする組成物である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被覆組成物に関し、それに限定するものでは無いが特に、硬化した時に高い耐摩耗性を有する実質的に透明な被覆を提供する被覆組成物に関する。1つの観点では、本発明は改善された安定性を有する被覆組成物に関し、その被覆組成物は、有効な量のエポキシ官能シランと、四官能シランと、多官能カルボン酸、多官能無水物及びそれらの混合物などの多官能化合物と、を含む水−有機溶媒混合物から得られる。
【背景技術】
【0002】
従来技術には、基板に塗布され硬化した時に、基板に対して透明な耐摩耗性被覆を提供する多くの組成物が存在する。そのような被覆は、基板に耐摩耗性表面を提供することが非常に望まれ、究極的にはガラスに匹敵する耐摩耗性表面を提供するという究極の目標を伴う高分子基板についてとりわけ有用である。従来技術の組成物は改善された耐摩耗性を有する透明な被覆組成物を提供してきたが、そのような従来技術の組成物は一般的にガラスに比べると劣っている。従って、改善された安定性を有すると共に、高分子基板などの基板に塗布されて硬化した時に透明で高い耐摩耗性を有する被覆を提供する改善された組成物について長期にわたる要求が存在してきた。本発明は、そのような組成物、及びそのような組成物を製造して基板に塗布するプロセスに向けられている。
【発明の開示】
【0003】
本発明は、種々の基板に塗布され硬化した時に優秀な耐摩耗性を有する透明被覆を形成する、改善された安定性を有する組成物を提供する。広く、本発明の被覆組成物は、その組成物の全固形分に基づいて約10〜約99.9重量パーセントのエポキシ官能シラン及び四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物の混合物、並びに、多官能カルボン酸、多官能無水物及びそれらの組み合わせからなるグループから選択されたその組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約30重量パーセントの多官能化合物を含む水−有機溶媒混合物を含む。エポキシ官能シランと四官能シランは、約0.1:1〜約5:1のモル比で水−有機溶媒混合物中に存在する。本発明の被覆組成物はさらに、その組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約50重量パーセントの1つ以上のシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物の混合物と、及び/又は、その組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約50重量パーセントの固体と等価なある量のコロイドシリカ又は金属酸化物又はそれらの組み合わせを含むことができる。
【0004】
本発明の目的は、硬化時に透明な被覆を形成する改善された安定性の被覆組成物を提供することにある。本発明の更なる目的は、硬化時に改善された耐摩耗性を有する透明な被覆を提供する安定的な被覆組成物を提供することにある。
【0005】
本発明の他の目的、長所及び特徴は、添付の請求の範囲との関連で以下の詳細な説明を読むことにより明確になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0006】
本発明は、種々の基板に塗布し、硬化した時に実質的に透明な耐摩耗性被覆を形成する改善された安定性の被覆組成物に関し、その耐摩耗性被覆は、後に説明する振動砂試験(Oscillating Sand Test)(ASTM F735-81)の変形に従って試験した時にバイエル数(Bayer number)が少なくとも5である。
【0007】
被覆した基板の耐摩耗性試験については、テイバー(Taber)試験(ASTM D-4060)、タンブル(Tumble)試験、及び振動砂試験(ASTM F735-81)を含む多数の定量的試験方法のいずれをも使用することができる。さらに、耐摩耗性測定に使用可能な、スチールウール試験及びイレイサー(Eraser)試験を含む多数の定性的試験が存在する。スチールウール試験及びイレイサー試験では、サンプルが被覆された基板を再現可能な条件下(一定の負荷、周波数、その他)でスクラッチする。次に、スクラッチされた試験用サンプルを標準サンプルと比較及び評価する。これらの試験方法の半定量的応用は、被覆された基板上のスクラッチをヘーズゲインとして測定するための分光光度計又は比色計などの機器の使用を伴う。
【0008】
バイエル試験、テイバー試験、スチールウール試験、イレイサー試験、タンブル試験、その他のいずれにより測定されたにせよ、基板上の硬化した被覆の測定された耐摩耗性は、部分的に硬化温度及び硬化時間の関数である。一般的に、より高い温度とより長い硬化時間がより高い測定耐摩耗性を生じる。時にはプロセス及び/又は機器の制限により最適な硬化温度と硬化時間未満が使用されるものの、通常は硬化温度と硬化時間は基板との適合性について選択される。被覆厚さ及び基板の性質などの他の変量も測定される耐摩耗性に影響を与えることは当業者に理解されるであろう。一般的に、各種の基板及び各被覆組成物について、最適な被覆厚さが存在するであろう。最適な硬化温度、硬化時間、被覆厚さ、その他は、当業者が容易に経験的に決定できる。
【0009】
眼の産業においては、振動砂試験が現在では最も広く使用されかつ受け入れられている耐摩耗性測定方法である。振動砂試験の最初のASTM適用は平らな高分子シートの試験であったので、その試験は眼のレンズへの使用のために必然的に修正された。現在は眼のレンズに塗布した場合にこの試験についてASTMにより認められた基準(又は他の産業の基準)は存在しないので、実際上は振動砂試験の多数の基礎的な変更が存在する。
【0010】
振動砂試験の1つの特定の変更においては、被覆されたサンプルレンズと被覆されていない基準レンズとを受容するようにサンドクレードルが変形される。典型的には、基準レンズとして、以下ADCレンズと呼ぶポリ(ジエチルグリコール−ビスアリルカーボネイト)レンズが使用される。そのレンズは、固定のストローク、周波数及び継続時間でクレ一ドルが前後に振動する時に、砂又は合成的に作られた金属酸化物のいずれかである研磨材のベッドがレンズを横切って前後に流れるようにクレードル内に配置される。
【0011】
本発明の被覆組成物の耐摩耗性を決定するために使用される試験方法中では、研磨材として、PA、ベンサレム(Bemsalem)フォードロード1463のCGM社が販売する商業的に入手可能な砂を使用した。この試験では、4つのレンズに適合した9 5/16インチ(約23.6cm)×6 3/4インチ(約17.1cm)のクレードル内に877グラムのふるいにかけた砂(体積600ml)を入れた。砂は#5のメッシュのふるい(A.S.T.M.E.-11仕様)にかけられ、#6のメッシュのふるい上に収集された。典型的には2つのADCレンズと2つの被覆レンズである4つのレンズの各セットが、毎分300ストロークの周波数で4インチのストローク(ストロークの方向はクレードルの9 5/16インチの長さと一致する)に合計3分間かけられた。次に、レンズのクレードルを180度回転してし再配置し、さらに3分間の試験を行った。クレードルの再配置は、振動メカニズム中のあらゆる不整合性の影響を減少させるために使用された。使用されたADC基準レンズは、フロリダ州セントピータースバーグのエッシラー(Essilor)オブアメリカ社を通じて購入したサイラー(Silor)70mmプラノFSVレンズであった。
【0012】
次に、ガードナー(Gardner)XL-835比色計でレンズ上に生じたヘーズを測定した。各レンズについてのヘーズゲインは、レンズ上の初期ヘーズと試験後のヘーズとの差として決定された。次に、被覆したサンプルレンズのヘーズゲインに対するADC基準レンズのヘーズゲインの比を、結果として得られる被覆材料の耐摩耗性として報告した。1を超える比は、被覆していないADC基準レンズより大きい耐摩耗性を提供する被覆を示す。この比は一般的にバイエル比、数、又は値と呼ばれる。バイエル数が大きいほど、被覆の耐摩耗性は高い。上述の振動砂試験方法を使用して試験した時に、ポリカーボネート又はADCレンズ上に被覆された本発明の被覆組成物を硬化させることにより作られた被覆は、5を超えるバイエル数を生じることが示された。被覆されたサンプルを試験するために、ADCレンズ上に被覆されたサンプル被覆は120℃で3時間で硬化された。ポリカーボネートレンズ上に被覆されたサンプルは129℃で4時間で硬化された。
【0013】
当業者は以下のことを理解するであろう:(a)エポキシ官能シラン、四官能シラン、エポキシ官能基を含まないシラン添加物、及び多官能成分を含むここに記述する被覆システムは、初期(incipient)シラン及び被覆システムが形成される多官能成分を指す。(b)エポキシ官能シラン、四官能シラン、及びエポキシ官能基を含まないシラン添加物が水−溶媒混合物と組み合わせられると、部分的又は完全に加水分解した種が生じる。(c)結果として生じる、完全に又は部分的に加水分解した種は組み合わさって、多官能オリゴマーシロキサン種の混合物を形成する。(d)これらのオリゴマーは、ペンダントヒドロキシ及びペンダントアルコキシを含むことも含まないこともあり、酸化シリコンシロキサン結合及び酸化シリコン多官能成分結合を含む酸化シリコン系からなるであろう。(e)これらは、温度、pH、含水率、触媒濃度、その他を含む多くの因子に依存する構造的変化を受ける動的オリゴマー懸濁液である。
【0014】
本発明の被覆組成物は、その組成物の全固形分に基づいて約10〜約99.9重量パーセントのエポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物の混合物、並びに、多官能カルボン酸、多官能無水物及びそれらの組み合わせからなるグループから選択されたその組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約30重量パーセントの多官能化合物を含む水−有機溶媒混合物を含む。エポキシ多官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物の混合物を提供するために使用されるエポキシ官能シランの量と四官能シランの量は大きく変化し、一般的に被覆組成物、被覆組成物を硬化することにより形成される被覆、並びに被覆組成物が塗布される基板の最終用途において望まれる性質に依存する。しかし、一般的に、水−溶媒混合物中に約0.1:1〜約5:1のモル比でエポキシ官能シランと四官能シランが存在する場合に望ましい結果が得られる。より望ましくは、エポキシ官能シラン及び四官能シランが約0.1:1〜約3:1のモル比で水−溶媒混合物中に存在する。
【0015】
水−有機溶媒混合物中の水の存在が、その混合物のシラン成分の加水分解生成物を生成するために必要であるが、その実際の量は大きく変化しうる。本質的には、ある物に塗布し硬化した時に、先に説明した方法を使用した場合に少なくとも5のバイエル数を有する実質的に透明な被覆を提供するような、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物の実質的に均質な被覆混合物を提供するために、十分な水が必要である。この水の量は経験的に決定出来ることが当業者には理解されるであろう。
【0016】
本発明の被覆組成物の水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物と適応性を有するあらゆる溶媒又は溶媒の組み合わせとすることができる。例えば、水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、アルコール、エーテル、グリコール又はグリコールエーテル、ケトン、エステル、グリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物とすることができる。適切なアルコールは式ROHで示すことができ、ここでRは約1〜約10の炭素原子を含むアルキル基である。本発明の適用において有用なアルコールの例は、メタノール、エタノール、プロパノール、イソプロパノール、ブタノール、イソブタノール、セカンダリブタノール、ターシャルブタノール、シクロヘキサノール、ペンタノール、オクタノール、デカノール、及びそれらの混合物である。
【0017】
適切なグリコール、エーテル、グリコールエーテルは、式R3−(OR2x−OR1で示され、ここでxは0、1、2、3又は4であり、R1は水素又は1〜約10の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は1〜約10の炭素原子を含むアルキレン基又はその組み合わせである。
【0018】
上に定義した式を有し、本発明の被覆組成物の水−有機溶媒混合物の溶媒成分として使用可能なグリコール、エーテル、及びグリコールエーテルの例は、ジ−n−ブチルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールメチルエーテル、トリプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、トリプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル、ジエチレングリコールブチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールエチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ブチレングリコール、ジブチレングリコール、トリブチレングリコール、及び、それらの混合物である。上記に加えて、テトラヒドロフラン及びジオキサンなどの環状エーテルが水−有機溶媒混合物のために適切なエーテルである。
【0019】
水−有機溶媒混合物に適切なケトンの例は、アセトン、ジアセトンアルコール、メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン、及びそれらの混合物である。
水−有機溶媒混合物に適切なエステルの例は、エチルアセテート、n−プロピルアセテート、n−ブチルアセテート、及びそれらの組み合わせである。
【0020】
水−有機溶媒混合物に適切なグリコールエーテルアセテートの例は、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテルアセテート、エチル3−エトキシプロピオナート、エチレングリコールエチルエーテルアセテート、及びそれらの組み合わせである。
【0021】
本発明の被覆組成物の形成に有用なエポキシ官能シランは、被覆組成物の四官能シランと多官能成分に適合性を有し、かつ、先に説明した試験方法を使用した場合、硬化時に少なくとも約5のバイエル数を有する実質的に透明な耐摩耗性被覆を作る被覆組成物を提供するあらゆるエポキシ官能シランとすることができる。
【0022】
一般的に、そのようなエポキシ官能シランは、式R3Si(OR44-xで示される。ここで、xは1、2又は3である整数である。H、または、1〜約10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、かつ少なくともR3の1つはエポキシ基を有するものである。R4は、H、1〜約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、−Si(OR53-y6y基、又はそれらの組み合わせであり、yは0、1、2、又は3の整数である。R5は、H、1〜約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、別の−Si(OR53-y6y基、又はそれらの組み合わせである。R6は、H、または、1から約10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、またRはエポキシ基を有し得るものである。
【0023】
そのようなエポキシ官能シランの例は、グリシドオキシ(glycidoxy)−メチルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリヒドロキシシラン、3−グリシドオキシプロピルジメチルヒドロキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルジメトキシメチルシラン、3−グリシドオキシプロピルジメチルメトキシシラン、3−グリシドオキシプロピルトリブトキシシラン、1,3−ビス(グリシドオキシプロピル)テトラメチルジシロキサン、1,3−ビス(グリシドオキシプロピル)テトラメトキシジシロキサン、1,3−ビス(グリシドオキシプロピル)−1,3−ジメチル−1,3−ジメトキシジシロキサン、2,3−エポキシプロピルトリメトキシシラン、3,4−エポキシブチルトリメトキシシラン、6,7−エポキシヘプチルトリメトキシシラン、9,10−エポキシデシルトリメトキシシラン、1,3−ビス(2,3−エポキシプロピル)テトラメトキシジシロキサン、1,3−ビス(6,7−エポキシヘプチル)テトラメトキシジシロキサン、2−(3,4−エポキシシタロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、その他である。
【0024】
本発明の被覆組成物の形成に有用な四官能シランは、式Si(OR74により示され、R7は、H、1〜約5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテル、(OR7)カルボキシル酸塩、−Si(OR83基であってR8がH、1〜約5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテルであるもの、(OR7)カルボキシル酸塩、又は他の−Si(OR83基、及びそれらの組み合わせである。式Si(OR74で示される四官能シランの例は、テトラメチルオルトシリケート、テトラエチルオルトシリケート、テトラプロピルオルトシリケート、テトライソプロピルオルトシリケート、テトラブチルオルトシリケート、テトライソブチルオルトシリケート、テトラキス(メトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシプロポキシ)シラン、テトラキス(エトキシエトキシ)シラン、テトラキス(メトキシエトキシエトキシ)シラン、トリメトキシエトキシシラン、ジメトキシジエトキシシラン、トリエトキシメトキシシラン、ポリ(ジメトキシシロキサン)、ポリ(ジエトキシシロキサン)、ポリ(ジメトキシジエトキシシロキサン)、テトラキス(トリメトキシシロキシ)シラン、テトラキス(トリエトキシシロキシ)シラン、その他である。四官能シランのための上述のR7及びR8置換基に加えて、R7及びR8を酸素と共に得る(OR7)及び(OR6)をカルボキシレート基とすることができる。カルボキシレート基を伴う四官能シランの例は、シリコンテトラセテート(silicontetracetate)、シリコンテトラプロピオナート、及びシリコンテトラブチラートである。
【0025】
本発明の被覆組成物の形成において使用可能な多官能化合物は、あらゆる多官能カルボン酸、多官能無水物、及びそれらの組み合わせであって、被覆組成物のエポキシ官能シラン及び四官能シランと適合性を有し、かつ、エポキシ官能シラン及び四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物とに相互作用して、先に説明した試験方法を使用した場合、硬化した時に少なくとも5のバイエル数を有する実質的に透明な耐摩耗性被覆を作る被覆組成物を提供することができるものである。
【0026】
本発明の組成物中の多官能化合物として使用可能な多官能カルボン酸は、オキシコハク酸、アコニット酸(シス、トランス)、イタコン酸、エチレンコハク酸、マロン酸、グルタル酸、アジビン酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、シクロヘキシルエチレンコハク酸、1,3,5ベンゼントリカルボン酸、1,2,4,5ベンゼンテトラカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸、1,1シクロヘキサンジ酢酸、1,3−シクロヘキサンジ酢酸、1,3,5−シクロヘキサントリカルボン酸、及び、フマル酸及びマレイン酸などの不飽和二塩基酸、並びにそれらの組み合わせを含む。
【0027】
本発明の被覆組成物中の多官能化合物として使用可能な多官能無水物は、無水コハク酸、無水イタコン酸、無水グルタル酸、無水トリメリト酸、無水ピロメリト酸、無水フタル酸、及び無水マレイン酸、並びにそれらの組み合わせなどの上述の二塩基酸の環状無水物を含む。
【0028】
エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物の間の相互作用の性質、並びにそのような相互作用が硬化した被覆の耐摩耗性に与える影響は完全に理解されているわけではない。しかし、多官能化合物がシランに対して単なる加水分解触媒以上の働きを有すると考えられる。この点、多官能化合物がシランへのエポキシ多官能性に対して特定の働きを有することを提案することができる。エポキシ基のカルボン酸との反応は周知であり、酸性条件下でも塩基性条件下でも生じる。また、多官能化合物のカルボキシル基はマトリクス中のケイ素原子に対してある働きを有する可能性が高く、そのような相互作用は残余のアルコキシド基及び水酸基との正常な交換反応により、又はその代わりに、ケイ素原子のある超原子価状態による場合がある。多官能化合物に伴う実際の相互作用は、現実には、上述の可能性の全ての組み合わせでありえ、その結果は高度な橋かけマトリクス(crosslinked matrix)であろう。そうして、そのマトリクスは、多官能化合物に伴う延びた結合を通じて促進される。
【0029】
これらの可能な相互作用、例えば酢酸などの非多官能化合物により作られた被覆は、多官能化合物を通じて得られる同様の高い安定性及び耐摩耗性を示さない。この場合、非多官能性の酸は、被覆組成物中でシランについての加水分解触媒として同様の有用性を有するであろうが、多官能化合物で可能となると予測される延びた結合を提供することはできないであろう。
【0030】
また、本発明の被覆組成物は、性能と溶液の安定性の両面において、エージングに関して非常に安定的である。被覆組成物のエージングは、粘性の段階的な増加により特徴付けることができ、それはいずれは処理の制限により被覆組成物を使用不能とする。エージングの研究により、本発明の被覆組成物は、5℃又はそれ以下で保存されると、3〜4ヶ月の使用可能な保管寿命を有することが示されている。この期間中に、硬化した被覆の耐摩耗性は時間が経つにつれて大きく劣化することはない。さらに、そのような研究により、被覆組成物の安定性は、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物の相対的濃度に依存することが示されている。一般的に、エポキシ官能シランと多官能化合物の高い濃度が被覆混合物の安定性の増加に寄与している。よって、硬化した被覆に高い耐摩耗性を提供することに加え、多官能化合物は被覆組成物の全体的な安定性に寄与している。
エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物の特徴的な組み合わせが作る被覆組成物はそのような被覆組成物を硬化させることにより得られる高い耐摩耗性の被覆の主たる基礎となるが、被覆組成物はさらに、(a)被覆組成物の安定性を高め、(b)被覆組成物により得られる硬化した被覆の耐摩耗性を増加させ、(c)被覆組成物の処理を促進させ、及び、(d)被覆組成物から得られる硬化した被覆の他の望ましい性質を提供する、他の物質を含むことができる。
【0031】
本発明の被覆組成物は、さらに、被覆組成物の全固形分の重量に基づいて約0.1〜約50重量パーセントの1つ以上のシラン添加物(即ち、三官能シラン、二官能シラン、一官能シラン、及びそれらの混合物)の加水分解生成物と部分縮合物の混合物を含むことができる。本発明の被覆被覆化合物に取り入れることが可能なシラン添加物は、式R9xSi(OR104-xを有し、ここでxは1、2又は3の数であり、R9は、H、1〜約10の炭素原子を含むアルキル基、多官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキエーテル(alky ether)基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1〜約10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、及びそれらの組み合わせである。上に定義した式により示されるシラン添加物の例は、メチルトリメトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、プロピルトリメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、イソブチルトリメトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、デシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルトリメトキシシラン、シクロヘキシルメチルトリメトキシシラン、3−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリメトキシシラン、3−シアノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、2−クロロエチルトリメトキシシラン、フェネチルトリメトキシシラン、3−メルカプトプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、3−イソシアノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、4−(2−アミノエチルアミノメチル)フェネチルトリメトシキシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、2−クロロエチルトリエトキシシラン、3−クロロプロピルトリエトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、プロピルトリエトキシシラン、ブチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、デシルトリエトキシシラン、シクロヘキシルトリエトキシシラン、クロロヘキシルメチルトリエトキシシラン、3−メタクリルオキシ−プロピルトリエトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、[2−(3−シクロヘキセニル)エチルトリエトキシシラン、3−シアノプロピルトリエトキシシラン、3−メトキシプロピルトリメトキシシラン、3−エトキシプロピルトリメトキシシラン、3−プロポキシプロピルトリメトキシシラン、3−メトキシエチルトリメトキシシラン、3−エトキシエチルトリメトキシシラン、3−プロポキシエチルトリメトキシシラン、2−[メトキシ−(ポリエチレンオキシ)プロピル]ヘプタメチルトリシロキサン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)エチル]トリエトキシシラン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)エチル]トリメトキシシラン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)プロピル]トリメトキシシラン、[メトキシ(ポリエチレンオキシ)エチル]トリエトキシシランである。
【0032】
シラン添加物の選択、及び被覆組成物に取り入れるそのようなシラン添加物の量は、促進し、若しくは被覆組成物又は硬化した被覆組成物に加えたい特定の性質に依存する。例えば、二官能シランジメチル−ジメトキシシランをシラン添加物として使用し、その組成物の全固形分に基づいて約10%又はそれ未満の量を被覆組成物に入れた場合、結果として生じる硬化した被覆の耐摩耗性に大きな影響を与えることなく、被覆組成物のエージング中の粘性の増加を大きく減少させることができる。
【0033】
ある特定の応用では、コロイドシリカを被覆組成物に加えることが有益である。コロイドシリカは、Nalcoag(登録商標、イリノイ州ネイパービル、ナルコケミカル社)、Nyacol(登録商標、マサチュセッツ州、アッシュランド、Nyacolプロダクト社)、Snowtex(登録商標、日本、東京、ニッサンケミカル工業)、Ludox(登録商標、デラウェア、ウィルミントン、デュポン社)、及びHighlink OG(登録商標、ノースカロライナ州、シャーロット・ヘキストセラネーズ(Heochst Celanese)を含む異なる多数の商標名称のもとに商業的に入手可能である。
【0034】
コロイドシリカは粒子状シリカの水又は有機溶媒分散体であり、種々の製品は主として粒子サイズ、シリカ濃度、pH、安定化イオンの有無、溶媒の構造(makeup)、その他において異なる。異なるコロイドシリカの選択により、実質的に異なる製品性質が得られることが当業者には理解されるであろう。
【0035】
被覆組成物に添加されると、コロイドシリカは反応性物質と考えられる。シリカの表面はシリコンが結合したヒドロキシルにより覆われ、それらのいくつかはデプロトネート(deprotonate)され、それらは被覆組成物中の物質と相互作用可能になる。これらの相互作用の範囲は、溶媒構造、pH、濃度、及びイオン強度を含む種々の要因により規定される。製造プロセスはさらにこれらの相互作用に影響を与える。従って、コロイドシリカを被覆の形成に異なる方法で加え、異なる結果を得ることができることが当業者に理解される。
【0036】
本発明の被覆組成物においては、種々の異なる方法によりコロイドシリカを被覆組成物に加えることができる。ある例では、反応シーケンスの最終工程でコロイドシリカを加えることが望ましい。別の例では、反応シーケンスの最初の工程でコロイドシリカを加える。さらに別の例では、シーケンスの中間工程でコロイドシリカを加えることができる。
本発明の被覆組成物へのコロイドシリカの添加は、硬化した被覆組成物の耐摩耗性をさらに高めることができ、被覆組成物の全体の安定性にさらに寄与することができることがわかった。最も重要な結果は、水性塩基性コロイドシリカ、即ち、pHが7より大きいコロイドシリカの水性混合物の使用により達成された。
【0037】
その場合、高いpHはナトリウム陽イオンなどの安定化対イオンの高い濃度により達成される。塩基性コロイドシリカを含む本発明の被覆組成物から形成された硬化した被覆は、本発明の触媒作用を与えた被覆組成物(即ち、加水分解生成物と、エポキシ官能シラン、四官能シラン、多官能化合物と、水酸化ナトリウムなどの触媒の組成物)のそれに匹敵する耐摩耗性を示したが、コロイドシリカを含む被覆組成物は、コロイドシリカを含まない触媒作用を与えた組成物に対して高い安定性を有する。
【0038】
同様に、本発明の被覆組成物に金属酸化物を添加することもできる。そのような添加は、あらゆるコロイドシリカの添加の代わりに、又はそれに加えて行うことができる。金属酸化物は、耐摩耗性、屈折率、帯電防止、反射防止、耐候性、その他の硬化した被覆の特定の性質を提供し又は高めるために本発明の被覆に添加することができる。コロイドシリカに当てはまるのと同種の考察が金属酸化物の添加により一般的に当てはまるであろうことが当業者に理解されるであろう。
【0039】
本発明の被覆組成物において使用可能な金属酸化物の例は、シリカ、酸化ジルコニウム、チタニア、セリア、酸化スズ、及びそれらの混合物である。
【0040】
本発明の被覆組成物に入れられるコロイドシリカの量は、大きく変化し、一般的には被覆組成物により作られた硬化した被覆の望ましい性質、並びに被覆組成物の望ましい安定性に依存するであろう。同様に、本発明の被覆組成物に入れられる金属酸化物の量も、大きく変化し、一般的に被覆組成物により作られた硬化した被覆の望ましい性質、並びに被覆組成物の望ましい安定性に依存するであろう。
【0041】
コロイドシリカ及び/又は金属酸化物を添加した時、組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約50重量パーセントのコロイドシリカ及び/又は金属酸化物の固体を本発明の被覆組成物に添加することが望ましい。コロイドシリカ及び/又は金属酸化物は一般的に直径2〜150ミリミクロンの範囲内の粒子サイズ、より望ましくは約2〜50ミリミクロンの範囲内の粒子サイズを有するであろう。
【0042】
触媒は本発明の不可欠な成分では無いが、触媒の添加は、耐摩耗性、並びに安定性、着色容量、装飾(cosmetics)、耐腐食性、耐水性、その他を含む被覆の他の性質に影響しうる。使用される触媒の量は広く変化するが、それが存在するときは、一般的に組成物の全固形分に基づいて約0.1〜約10重量パーセントを提供するのに十分な量であろう。
【0043】
本発明の被覆組成物に入れることができる触媒の例は、(i)金属アセチルアセトネート(acetylacetonate)、(ii)ジアミド、(iii)イミダゾール、(iv)アミン及びアンモニウム塩、(v)有機スルホン酸及びそれらのアミン塩、(vi)カルボン酸のアルカリ金属塩、(vii)アルカリ金属水酸化物、及び、(viii)フッ化物塩である。よって、そのような触媒の例は、群(i)としてアルミニウム、亜鉛、鉄及びコバルトアセチルアセトナートなどの化合物;群(ii)としてジシアンジアミド;群(iii)として2−メチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、及び、1−シアノエチル−2−プロピルイミダゾールなどの化合物;群(iv)としてベンジルジメチルアミン及び1,2−ジアミノシクロヘキサンなどの化合物;群(v)としてトリフロロメタンスルホン酸などの化合物;群(vi)として酢酸ナトリウムなどの化合物;群(vii)として水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなどの化合物;群(viii)としてテトラn−ブチルアンモニウムフッ化物、その他である。
【0044】
効果的な量の平滑(leveling)剤又は流量制御剤を組成物に入れて、基板表面上で組成物をより均一に広げ又は水平にし、基板と実質的に均一な接触を提供することができる。平滑剤又は流量制御剤の量は広く変化することができるが、一般的には平滑剤又は流量制御剤の約10〜約5,000ppmを組成物に提供するのに十分な量である。被覆組成物及び基板と適合性を有し、基板上の被覆組成物を水平にすることができ、被覆成物と基板の間の湿潤を促進するあらゆる従来から商業的に入手可能な平滑剤又は流量制御剤を使用することができる。平滑剤及び流量制御剤の使用は従来技術において良く知られており、“被覆添加剤ハンドブック”のページ119〜145(レオナルドJカルボ編、マルセルデッカー発行)に記載されている。
【0045】
本発明の被覆組成物に入れることができるそのような平滑剤又は流量制御剤の例は、ロームアンドハース(Rohm and Haas)のTRITON X-100、X-405、N-57などの有機ポリエステル、Dow CorningのPaint Additive 3、Paint Additive 29、Paint Additive 57、又はOsi SpecialitiesのSILWET L-77及びSILWET L-7600などのシリコン、並びに3M社のFLUORAD FC-171、FLUORAD FC-430及びFLUORAD FC-431などのフッ素表面活性剤を含む。
【0046】
加えて、被覆組成物又は被覆組成物を硬化させることにより作られる被覆の有用性を高めるために、本発明の被覆組成物に他の添加物を添加することもできる。例えば、必要であれば、紫外線吸収剤、酸化防止剤、その他を本発明の被覆組成物に入れることができる。本発明の被覆組成物は、硬化した時に、高い耐摩耗性を有する実質的に透明な被覆を作る安定的な被覆組成物を提供する種々のプロセスにより作ることができる。例えば、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物を水−有機溶媒溶液中に加え、改善された安定性を有する被覆組成物を作るのに有効なある時間にわたり攪拌することができる。硬化した時、そのような被覆組成物は、先に説明した試験方法を使用した時に約6〜約8の範囲内のバイエル数を有する。
【0047】
しかし、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物を含む水−有機溶媒混合物に触媒を入れることにより、そのような被覆組成物から作られる硬化した被覆のバイエル数は増加し、先に説明した試験方法を使用した場合に約8〜約15の範囲内となる。
エポキシ官能シランの水性水解物を多官能化合物の溶液に混ぜ、四官能シランと組み合わせると、硬化した時に、既に説明した試験方法を使用した場合に約7のバイエル数を有する被覆組成物が生成される。
【0048】
多官能化合物又は他の酸及び水−有機混合物の存在中で四官能シラン水解物を生成し、エポキシ官能成分をこの混合物に加える時、硬化した時に、既に説明した試験方法を使用した場合に約7のバイエル値を提供する被覆組成物が得られる。
四官能シランと多官能化合物の混合物を加水分解し、有効な量の水酸化ナトリウムで処理し、次にエポキシ官能シランの水性水解物と混ぜると、その結果得られる硬化した被覆組成物は、先に説明した試験方法を使用した時に約14のバイエル数を有する。
【0049】
上記より、本発明の被覆組成物を作るために種々の方法を使用することができ、そのような組成物は硬化した時に改善された耐摩耗性を有することが当業者には明らかである。さらに、その被覆組成物は、その有用性を高める望ましい安定性を有する。しかし、そのような組成物の製造方法を変更することにより、例えば安定性及び耐摩耗性、即ちバイエル数、などの製品の性質が影響を受ける。
【0050】
本発明の組成物は、連続的な表面フィルムを形成する従来の方法、例えば、流し塗り、スプレー塗装、カーテン被覆、浸し塗り、スピン被覆、ロール被覆、その他により固体基板に塗布することができる。組成物と適合性を有する、プラスチック材料、木、紙、金属、印刷面、皮、ガラス、セラミクス、ガラスセラミクス、鉱物ベースの材料、及び織物などのあらゆる基板に組成物で被覆することができる。その組成物は、アクリルポリマー、ポリ(エチレンテレフタレート)、ポリカーボネート、ポリアミド、ポリイミド、アクリロニトリル−スチレンのコポリマー、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエンコポリマー、塩化ポリビニル、ブチラート、ポリエチレン、その他などのシート又はフィルム状の合成有機ポリマー基板のための被覆として特に有用である。これらの組成物で被覆した透明ポリマー材料は、窓、天窓及びウィンドシールドなどの平坦又は湾曲したクロージャーに、特に運送設備に有用である。アクリル又はポリカーボネートの眼のレンズなどのプラスチックレンズも本発明の組成物により被覆することができる。
【0051】
適切な形成、塗布条件及び基板の前処理(プライマーの使用を含む)の選択により、本発明の被覆組成物を実質的に全ての固体表面に接着することができる。
【0052】
先に説明した試験方法を使用して少なくとも5のバイエル数を有する耐摩耗性被覆は、50℃〜200℃の範囲内の温度で、約5分〜約18時間の加熱硬化により得ることができる。被覆厚さは特定の適用手法により変化させることができるが、約0.35〜20ミクロン、より望ましくは約1〜10ミクロンの厚さを有する被覆が一般的に使用される。
【実施例】
【0053】
本発明をさらに説明するために、以下の例を挙げる。しかし、それらの例は説明目的のみのものであり、本発明の範囲を限定するものと解釈してはならない。
【0054】
以下の例に従って作られた被覆組成物を硬化させることにより作られた被覆の耐摩耗性は、先に示したように振動砂試験方法(ASTM F735-81)を使用して決定された。
【0055】

手順
A.エッチングしたポリ(ジエチレングリコール−ビス−アリルカーボネート)レンズ(ADCレンズと呼ぶ)を被覆及び試験に使用した。ADCレンズを、プロピレングリコールメチルエーテル及び水を含む10%の水酸化カリウム水溶液に約10分間の間接触させてエッチングした。プロピレングリコールメチルエーテル及び水は、体積比1:1で水酸化カリウム水溶液中に存在した。被覆組成物によるレンズの被覆は、毎分6インチ(約15.2cm)の引き出し速度(withdrawal rate)で浸漬被覆によりレンズをエッチングして達成した。次に、被覆されたレンズを120℃で3時間硬化させた。先に説明した振動砂試験の変形を使用してレンズを試験し、各被覆についてバイエル数を決定した。
【0056】
B.下塗りしたポリカーボネートレンズ(PCレンズと呼ぶ)を被覆及び試験に使用した。PCレンズは、SDCプライマーXF-1107(カリフォルニア、アナハイムSDC被覆社から商業的に入手可能)により毎分2インチ(約5.1cm)の引き出し速度で下塗りし、次に30分空気乾燥して約0.5ミクロンの下塗りを施した。被覆組成物によるレンズの被覆は、毎分18インチ(約45.7cm)の引き出し速度で下塗りしたレンズを浸漬被覆することにより達成した。次に被覆されたレンズを130℃で4時間硬化させた。先に説明した振動砂試験方法の変形を使用してレンズを試験し、各被覆についてバイエル数を決定した。
【0057】
例1A
464グラムの3−グリシドオキシ(glycidoxy)プロピルトリメトキシシランを767グラムの脱イオン水に攪拌しながらゆっくりと加えた。水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約1時間攪拌した。次に、767グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中に溶解した69.6グラムのイタコン酸を水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に流し加えた。次にその混合物を30分攪拌し、次に1021グラムのテトラエチルオルソシリケートをゆっくりと加えて結果としての添加剤を作り、それを一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0058】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約6.7のバイエル数を有すると決定した。
【0059】
例1B
例1Aからの380グラムの被覆組成物を0.9グラムのベンジルジメチルアミンで処理し、約2時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0060】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.3ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約8.3のバイエル数を有すると決定した。
【0061】
例1C
例1Aからの380グラムの被覆組成物を、1.2グラムの水酸化ナトリウムの19%水溶液で処理し、被覆組成物を作った。
【0062】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.4ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約10.5のバイエル数を有すると決定した。
【0063】
例1B〜1Cは、例1Aの被覆組成物での、触媒の任意的使用を示し、触媒を被覆組成物に入れた場合、耐摩耗性が改善された。
【0064】
例2A
A)496グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを820グラムの脱イオン水に加えた。水−3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約1時間攪拌した。
【0065】
B)上記のステップAからの319グラムの水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に、200グラムのプロピレングリコールメチルエーテルと18.2グラムのグルタル酸を加え、約15分間攪拌して添加剤を作った。264.5グラムのテトラエチルオルソシリケートをこの添加剤に加え、約17時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0066】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約7.9のバイエル数を有すると決定した。
【0067】
例2B
例2Aからの400グラムの被覆組成物を0.9グラムのベンジルジメチルアミンで処理し、約6時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0068】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約12.2のバイエル数を有すると決定した。
【0069】
例3A
200グラムのプロピレングリコールメチルエーテルと13.7グラムの無水コハク酸を、例2A(ステップA)の319グラムの水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に加え、約15分間攪拌させて添加剤を作った。その添加剤に、264.5グラムのテトラエチルオルソシリケートを加え、約17時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0070】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約6.2のバイエル数を有すると決定した。
【0071】
例3B
例3Aからの400グラムの被覆組成物を0.9グラムのベンジルジメチルアミンで処理し、約6時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0072】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約14.4のバイエル数を有すると決定した。
【0073】
例4A(比較例)
116グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを191.8グラムの脱イオン水にゆっくりと加えた。次に水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約1時間攪拌した。次に、191.8グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の16グラムの酢酸を、水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に流し加えた。次に混合物を約15分間攪拌し、255.3グラムのテトラエチルオルソシリケートをゆっくりと加えて結果物の添加剤を作り、それを約17時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0074】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約4.4のバイエル数を有すると決定した。
【0075】
例1A、2A及び3Aに対して例4Aを比較すると、被覆組成物を先に説明した振動砂試験の変形を使用して試験した時に少なくとも5のバイエル数を得るために、多官能化合物が重要であることがわかる。
【0076】
例5
378グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを653グラムの脱イオン水に加え、約18時間攪拌した。プロピレングリコールメチルエーテル中のイタコン酸の12重量パーセント溶液30.8グラムを、98.5グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に攪拌しながら加えた。次に100.8グラムのテトラ−n−プロピルオルソシリケートを加えた。
【0077】
その混合物を12時間攪拌し、19グラムのプロピレングリコールメチルエーテルを加えて被覆組成物を作った。被覆組成物を5℃で7日間エージングした。
【0078】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約8.6のバイエル数を有すると決定した。
【0079】
例5は、テトラエチルオルソシリケート以外の四官能シランの使用を示し、四官能シランについての本発明の一般性を示した。
【0080】
例6A(比較例)
116グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを191.8グラムの脱イオン水に加えた。水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約1時間攪拌した。191.8グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の17.4グラムのイタコン酸を流し加え、約15分間攪拌して添加物を作った。216.6グラムのNalco N-1042コロイドシリカを加え、約17時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0081】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約3.0のバイエル数を有すると決定した。
【0082】
例6B(比較例)
0.9グラムのベンジルジメチルアミンを380グラムの例6Aの被覆組成物に加え、約2時間攪拌させて被覆組成物を作った。
【0083】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約2.4のバイエル数を有すると決定した。
【0084】
例6A及び6Bは、先に説明した振動砂試験の変形を使用して被覆組成物を試験した場合、硬化した被覆で少なくとも5のバイエル数を得ることに関して、本発明の被覆組成物中における四官能シランの存在の重要性を示している。
【0085】
例7
118.5グラムのテトラエチルオルソシリケートを、攪拌中の9.1グラムのイタコン酸、100.9グラムの水及び100.9グラムのプロピレングリコールメチルエーテルに滴下して加え、水−有機溶媒混合物を作った。その水−有機溶媒混合物を4時間攪拌した。67.2グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを滴下して加え、約14時間攪拌して添加剤を作った。0.27グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の0.03グラムのシリコン平滑剤(ミシガン州ミッドランドのDow CorningからのPA-57)を加え、被覆組成物を作った。
【0086】
手順Bに従って、下塗りされたPCレンズに被覆組成物を塗布し、硬化した被覆を得た。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、下塗りしたPCレンズが約6.4のバイエル数を有すると決定した。
【0087】
例8
86.1グラムのテトラエチルオルソシリケートを、攪拌中の10.6グラムのイタコン酸、112.5グラムの水及び112.5グラムのプロピレングリコールメチルエーテルに滴下して加え、水−有機溶媒混合物を作った。その水−有機溶媒混合物を4時間攪拌した。78.3グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを滴下して加え、約14時間攪拌して添加剤を作った。0.27グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の0.03グラムのシリコン平滑剤(PA-57)を加え、被覆組成物を作った。
【0088】
手順Bに従って、下塗りされたPCレンズに被覆組成物を塗布し、厚さ約5.3ミクロンの硬化した被覆を得た。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、下塗りしたPCレンズが約5.3のバイエル数を有すると決定した。
【0089】
例9
74.8グラムのテトラエチルオルソシリケートを、攪拌中の9.1グラムのイタコン酸、114.6グラムの水及び114.6グラムのプロピレングリコールメチルエーテルに滴下して加え、水−有機溶媒混合物を作った。その水−有機溶媒混合物を4時間攪拌した。84.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを滴下して加え、約14時間攪拌して添加剤を作った。0.27グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の0.03グラムのシリコン平滑剤(PA-57)を加え、被覆組成物を作った。
【0090】
手順Bに従って、下塗りされたPCレンズに被覆組成物を塗布し、硬化した被覆を得た。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、下塗りしたPCレンズが約5.4のバイエル数を有すると決定した。
【0091】
以下の例10A〜12Eは、改善された耐摩耗性を有する本発明の組成物の形成中に使用できるプロセスの変形を示す。
【0092】
例10A
116.0グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、255.3グラムのテトラエチルオルソシリケート、17.4グラムのイタコン酸、及び191.8グラムのプロピレングリコールメチルエーテルを、攪拌しつつ1つの混合物に結合した。191.8グラムの水を加えて結果物としての混合物を作った。次にその混合物を17時間攪拌し、被覆組成物を作った。
【0093】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約7.5のバイエル数を有すると決定した。
【0094】
例10B
例10Aからの380グラムの被覆組成物に0.9グラムのベンジルジメチルアミンを加え、約6時間攪拌した。
【0095】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約10.7のバイエル数を有すると決定した。
【0096】
例11
45.4グラムのイタコン酸、723.1グラムのプロピレングリコールメチルエーテルを攪拌しつつ結合し、結果物としての混合物を作った。次に375.4グラムの脱イオン水を加えて水−有機溶媒添加物を作った。726.1グラムのテトラエチルオルソシリケートを添加物に加え、24時間攪拌した。次に329.6グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを加えて被覆組成物を作った。
【0097】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約1.5ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約7.4のバイエル数を有すると決定した。
【0098】
例12A
A) 188.9グラムのテトラエチルオルソシリケートを、212グラムの脱イオン水、86.7グラムのプロピレングリコールメチルエーテル及び11.8グラムのイタコン酸の混合物に加え、結果物としての混合物を18時間攪拌して5℃で貯蔵した。
【0099】
B)476.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを273.7グラムの脱イオン水に加え、結果物としての混合物を18時間攪拌して5℃で貯蔵した。
【0100】
C)上記ステップBで作った混合物67.4グラムを、上記ステップAで作った混合物250グラムに加えて被覆組成物を作った。その被覆組成物を24時間攪拌した。
【0101】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約1.3ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約9.3のバイエル数を有すると決定した。
【0102】
例12B
10.34mlの0.105モル水酸化ナトリウム水溶液を、上記の例12Aからの混合物A250グラムに加え、最終的なpHを3.4とした。その混合物を18時間攪拌した。次に67.4グラムの混合物B(例12A)をこの混合物に加えて添加剤を作った。その添加剤を24時間攪拌した。次にその添加剤の163.9グラムのアリコートを37.3グラムのプロピレングリコールメチルエーテルで希釈して被覆組成物を作った。
【0103】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.4ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約13.9のバイエル数を有すると決定した。
【0104】
例12C
1312.1グラムのテトラエチルオルソシリケートを、82.1グラムのイタコン酸、639.1グラムの水及び1005グラムのプロピレングリコールメチルエーテルの混合物に加え、水−有機溶媒混合物を作った。この混合物を18時間攪拌した。例12Aの混合物B115.4グラムを364.6グラムのその水−有機溶媒混合物に加えた。その混合物を18時間攪拌して被覆組成物を作った。
【0105】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約8.7のバイエル数を有すると決定した。
【0106】
例12D
ベンジルジメチルアミンを、例12Cに記載した被覆組成物に滴下して加え、pH値4.2の被覆組成物を得た。
【0107】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約1.8ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約10.1のバイエル数を有すると決定した。
【0108】
例12E
1モルの水酸化ナトリウム水溶液を、例12Cに記載した被覆組成物に滴下して加え、pH値3.6の被覆組成物を得た。
【0109】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約1.7ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約10.3のバイエル数を有すると決定した。
【0110】
例12D〜12Eは、例12Cの完全に形成された被覆に伴う触媒の使用を示す。
【0111】
例13
例1に記載された手順に続いて、61.4グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、96.4グラムの水、88.7グラムのプロピレングリコールメチルエーテル、9.2グラムのイタコン酸、及び128.3グラムのテトラエチルオルソシリケートを混ぜて1つの添加剤とした。この添加剤に、13グラムのNalco1115コロイドシリカを注ぎ加え、一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0112】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約1.9ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約9.8のバイエル数を有すると決定した。
【0113】
例14
例1に記載された手順に続いて、61.9グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、87.2グラムの水、87.1グラムのプロピレングリコールメチルエーテル、9.3グラムのイタコン酸、及び116.1グラムのテトラエチルオルソシリケートを混ぜて1つの添加剤とした。この添加剤に、38.7グラムのNalco 1115コロイドシリカを注ぎ加え、一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0114】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.0ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約12.6のバイエル数を有すると決定した。
【0115】
例15
例1に記載された手順に続いて、61.2グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、75.8グラムの水、83.7グラムのプロピレングリコールメチルエーテル、9.2グラムのイタコン酸、及び101グラムのテトラエチルオルソシリケートを混ぜて1つの添加剤とした。この添加剤に、64.7グラムのNalco 1115コロイドシリカを注ぎ加え、一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0116】
手順Aに従って、エッチングされたADCレンズに被覆組成物を塗布し、約2.1ミクロンの厚さの硬化した被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約11のバイエル数を有すると決定した。
【0117】
例16
17.4グラムのイタコン酸、106グラムの水、及び225.9グラムのプロピレングリコールメチルエーテルを合わせて混合物を作った。223.3グラムのテトラエチルオルソシリケートを、攪拌しながらその混合物に滴下して加え、第1の添加剤を作った。次に第1の添加剤を約2時間攪拌した。61.4グラムのNalco 1115コロイドシリカを注ぐことにより迅速に加え、第2の添加剤を作った。次に第2の添加剤を約15分攪拌し、116グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを滴下して加え、結果としての第3の添加剤を作り、それを約14時間攪拌した。0.5グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中の0.06グラムのシリコン平滑剤(PA−57)を加えて被覆組成物を作った。
【0118】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約11.6のバイエル数を有すると決定した。
【0119】
例17
153.1グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを、一定速度で攪拌している181.1グラムのNalco 1115コロイドシリカ、100.5グラムの水、及び5グアムのイタコン酸にゆっくりと加えた。次に水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を1時間攪拌した。324.4グラムのプロピレングリコールメチルエーテルと、追加の16グラムのイタコン酸を加えた。次に220グラムのテトラエチルオルソシリケートをその混合物に加え、続いて別の50グラムのプロピレングリコールメチルエーテルを加え、次に一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0120】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約2.4ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約13.6のバイエル数を有すると決定した。
【0121】
例18
153.1グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを、一定速度で攪拌している90.5グラムのLudox HS-30コロイドシリカ(デラウェア州、ウィルミンストン、デュポン社)、190グラムの水、及び5グラムのイタコン酸の混合物にゆっくりと加えた。次に3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約2時間攪拌した。次に325.4グラムのプロピレングリコールメチルエーテルと追加の16グラムのイタコン酸を3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物に加え、さらに1時間攪拌して添加剤を作った。その添加物の390グラムのアリコートに、一定速度で攪拌しつつ110グラムのテトラエチルオルソシリケートを加えた。結果としての混合物を一晩攪拌して被覆組成物を作った。
【0122】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約2.4ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約8.4のバイエル数を有すると決定した。
【0123】
例19
132.0グラムのテトラエチルオルソシリケートを、114.0グラムのイソプロパノールと114グラムの脱イオン水の混合物中の12.6グラムのイタコン酸溶液に加えた。その混合物を3時間攪拌した。54.3グラムのLudox HS-30コロイドシリカを加え、追加の80グラムのイソプロパノールを加えた。次に91.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランをこの混合物に加え、約18時間攪拌した。75ppmのシリコン平滑剤(PA-57)を加えて被覆組成物を作った。
【0124】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約3.0ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約7.9のバイエル数を有すると決定した。
【0125】
例13〜19は、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物から形成される本発明の組成物にコロイドシリカを加え、硬化時に改善された耐摩耗性を有する組成物を作ることを示した。
【0126】
また、例16〜19は、異なる2種類の塩基性コロイドシリカの使用、及び混合シーケンスにおける可能な変形を示した。
【0127】
例20
18.9グラムのメチルトリメトキシシランを、一定速度で攪拌中の56.3グラムの水に加えた。次に19.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランをこの溶液にゆっくりと加え、約1時間攪拌した。56.3グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中に予め溶解された4.5グラムのイタコン酸を混合物に加え、さらに1時間攪拌した。81.3グラムのテトラエチルオルソシリケートをゆっくり加え、さらに2時間攪拌し、次にその混合物を常温で一晩放置した。次に1.4グラムのベンジルジメチルアミンを結果物としての生成物に加え、被覆組成物を作った。
【0128】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約3.4ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約10.8のバイエル数を有すると決定した。
【0129】
例20は、エポキシ官能シラン、四官能シラン及び多官能化合物から形成される本発明の組成物にシラン添加物を加えることを示す。
【0130】
例21
18.9グラムのメチルトリメトキシシランを、一定速度で攪拌中の33.5グラムのNalco 1042コロイドシリカにゆっくりと加えた。19.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランをこの溶液にゆっくりと加え、約1時間攪拌した。56.3グラムのプロピレングリコールメチルエーテル中に予め溶解された4.5グラムのイタコン酸をこの混合物に加えた。この混合物を、さらに1時間攪拌して、40.7グラムのテトラエチルオルソシリケートをゆっくりと加えて添加剤を作り、それを追加の2時間攪拌し、次に常温で一晩放置した。1.4グラムのベンジルジメチルアミンをその添加剤に加え、被覆組成物を作った。
【0131】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約3.3ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約6.6のバイエル数を有すると決定した。
【0132】
例22
例21に概説した手順に続いて、16.8グラムのNalco 1042コロイドシリカ、18.9グラムのメチルトリメトキシシラン、19.8グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、4.5グラムのイタコン酸、56.3グラムのプロピレングリコールメチルエーテル、61.0グラムのテトラエチルオルソシリケート、及び1.4グラムのベンジルジメチルアミンを合わせて被覆組成物を作った。
【0133】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約3.1ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約9.9のバイエル数を有すると決定した。
【0134】
例23
37.7グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシランを、一定速度で攪拌中の82.1グラムの水にゆっくりと加えた。
【0135】
次に水−3-グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン混合物を約1時間攪拌した。96.6グラムのプロピレンメチルグリコールエーテル中に予め溶解した5.2グラムのイタコン酸をその混合物に加えた。次にその溶液をさらに2時間攪拌し、0.54グラムのジメチルジメトキシシランを加えた。次にこの混合物を30分攪拌し、77.4グラムのテトラエチルオルソシリケートをその混合物に加えて添加剤を作り、次にさらに2時間攪拌し、常温で一晩放置した。0.6グラムのベンジルジメチルアミンをその添加剤に加え、被覆組成物を作った。
【0136】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約3.1ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約11.5のバイエル数を有すると決定した。
【0137】
例24
例23に概説した手順に続いて、37.7グラムの3−グリシドオキシプロピルトリメトキシシラン、82.1グラムの水、5.2グラムのイタコン酸、96.6グラムのプロピレングリコールメチルエーテル、2.7グラムのジメチルジメトキシシラン、77.4グラムのテトラメチルオルソシリケート、及び0.6グラムのベンジルジメチルアミンを合わせて被覆組成物を作った。
【0138】
手順Aに従って被覆組成物をエッチングされたADCレンズに塗布し、約2.6ミクロンの厚さの硬化被覆を作った。次に被覆したレンズを先に説明した振動砂試験方法の変形に供し、この例に示す手順を使用して作った被覆組成物を被覆した、エッチングしたADCレンズが約8.6のバイエル数を有すると決定した。
【0139】
請求の範囲によって規定される本発明の精神及び視野から外れることなく、ここに記載した種々の成分、要素及びアセンブリの構成及び動作において変更が可能であり、個々に記載された方法のステップ又はステップのシーケンスにおける変更が可能である。
【0140】
本発明は以下のものを含むものである。
1.改善された安定性を有し、基板に塗布されて硬化した時に基板上に耐摩耗性被覆を提供する組成物において、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物、並びに多官能化合物、を含む水−有機溶媒混合物を含み、 多官能化合物は、多官能カルボン酸、多官能無水物、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され、 エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が約0.1:1から約5:1の間で存在する組成物。
2.エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物は、水−有機溶媒混合物中に、被覆組成物の全固形分に基づいて約10から約99.9重量パーセントの量で存在し、 多官能化合物は、水−有機溶媒混合物中に、被覆組成物の全固形分に基づいて約0.1から約30重量パーセントの量で存在する上記1に記載の組成物。
3.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、アルコール、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、エステル、ケトン、グリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物からなるグループから選択される上記1又は2に記載の組成物。
4.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、一般式ROHを有するアルコールであり、Rは1から約10の炭素原子を有するアルキル基である上記1乃至3のいずれかに記載の組成物。
5.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、式R1−(OR2x−OR1(式中、xは0、1、2、3、又は4の整数であり、R1はH又は1から10の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は1から10の炭素原子を有するアルキレン基及びその組み合わせである。)を有するグリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの混合物からなるグループから選択されるものである上記1又は2に記載の組成物。
6.エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が、約0.1:1から約3:1で存在する上記1乃至5のいずれかに記載の組成物。
7.エポキシ官能シランは、式R3xSi(OR4)4-xで示され、xは1、2又は3の整数であり、 R3は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、かつ少なくともR3の1つはエポキシ基を有するものであり、 R4は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、−Si(OR53-y6y基、及びそれらの組み合わせであり、 yは、0、1、2又は3の整数であり、 R5は、H、または、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、別の−Si(OR53-y6y基、及びその組み合わせであり、 R6は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせである上記1乃至6のいずれかに記載の組成物。
8.四官能シランは、式Si(OR74で示され、R7は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテル、(OR7)としてのカルボキシル酸塩、−Si(OR83基(ここでR8はH、1から5の炭素数を有するアルキル基及びそれらのエーテル、(OR8)としてのカルボキシル酸塩、別の−Si(OR83基、及びそれらの組み合わせである。)及びそれらの組み合わせである上記1乃至7のいずれかに記載の組成物。
9.水−有機溶媒混合物中に存在する水の量は、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物との実質的に均質な混合物を提供するのに十分な量である上記1乃至8のいずれかに記載の組成物。
10.水−有機溶媒混合物の溶媒成分の少なくとも一部は、エポキシ官能シランと四官能シランの加水分解中に生成される上記1乃至9のいずれかに記載の組成物。
11.組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む上記1乃至10のいずれかに記載の組成物。
12.有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約10重量パーセントである上記11に記載の組成物。
13.水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物をさらに含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである上記1乃至12のいずれかに記載の組成物。
14.水−有機溶媒混合物は、さらに、水成−有機溶媒混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む上記1乃至13のいずれかに記載の組成物。
15.水−有機溶媒混合物は、さらに、組成物中の全固形分組成物に基づいて約0.1から約50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカを含む上記1乃至14のいずれかに記載の組成物。
16.基板と、 基板の少なくとも1つの表面上に形成される実質的に透明な耐摩耗性被覆であって、被覆は、基板表面上に塗布された、水−有機溶媒混合物を含む被覆組成物を硬化することにより形成され、水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約10から約99.9重量パーセントのエポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物であって、エポキシ官能シランは四官能シランに対して0.1:1から5:1のモル比で存在する、加水分解生成物及び部分縮合物と、エポキシ官能シラン及び四官能シランと適合性を有する水−有機溶媒混合物の有機溶媒成分と、組成物の全固形分に基づいて0.1から30重量パーセントの多官能化合物であって、多官能カルボン酸、多官能無水物及びそれらの混合物からなるグループから選択される多官能化合物と、を含む物品。
17.エポキシ官能シランは、四官能シランに対して、約0.1:1から約3:1のモル比で存在する上記16に記載の物品。
18.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、アルコール、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、エステル、ケトン、グリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物からなるグループから選択される上記16又は17に記載の物品。
19.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、一般式ROHを有するアルコールであり、Rは1から約10の炭素原子を有するアルキル基である上記16乃至18のいずれかに記載の物品。
20.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、、式R1−(OR2x−OR1(式中、xは0、1、2、3、又は4の整数であり、R1はH又は1から10の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は1から10の炭素原子を有するアルキレン基及びその組み合わせである。)を有するグリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの混合物からなるグループから選択されるものである上記16又は17に記載の物品。
21.エポキシ官能シランは、式R3xSi(OR4)4-xで示され、xは1、2又は3の整数であり、R3は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、かつ少なくともR3の1つはエポキシ基を有するものであり、 R4は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、−Si(OR53-y6y基、及びそれらの組み合わせであり、 yは、0、1、2又は3の整数であり、 R5は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、別の−Si(OR53-y6y基、及びその組み合わせであり、 R6は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせである上記16乃至20のいずれかに記載の物品。
22.四官能シランは、式Si(OR74で示され、R7は、H、1から5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテル、(OR7)としてのカルボキシル酸塩、−Si(OR83基(ここでR8はH、1から5の炭素数を有するアルキル基及びそれらのエーテル、(OR8)としてのカルボキシル酸塩、別の−Si(OR83基、及びそれらの組み合わせである。)及びそれらの組み合わせである上記16乃至21のいずれかに記載の物品。
23.水−有機溶媒混合物中に存在する水の量は、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物との実質的に均質な混合物を提供するのに十分な量である上記16乃至22のいずれかに記載の物品。
24.水−有機溶媒混合物の溶媒成分の少なくとも一部は、エポキシ官能シランと四官能シランの加水分解中に生成される上記16乃至23のいずれかに記載の物品。
25.組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む上記16乃至24のいずれかに記載の物品。
26.有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約10重量パーセントである上記25に記載の物品。
27.水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物をさらに含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである上記16乃至26のいずれかに記載の物品。
28.水−有機溶媒混合物は、さらに、水成−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む上記16乃至27のいずれかに記載の物品。
29.水一有機溶媒混合物は、さらに、組成物中の全固形分組成物に基づいて約0.1から約50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカを含む上記16乃至28のいずれかに記載の物品。
30.基板は、プラスチック、木、セラミクス、ガラスセラミクス、ガラス、鉱物ベースの材料、皮、紙、織物、及び金属材料から作られる上記16乃至29のいずれかに記載の物品。
31.基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法において、基板の少なくとも1つの表面に、水−有機溶媒混合物を含む有効な量の被覆組成物を塗布して基板上に実質的に均一な被覆を設ける工程であって、水−有機溶媒混合物は、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物、並びに多官能化合物を含み、、多官能化合物は、多官能カルボン酸、多官能無水物及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され、エポキシ官能シランは四官能シランに対して約0.1:1から約5:1のモル比で存在する工程と、及び被覆組成物を硬化させて、実質的に透明な耐摩耗性被覆を基板に設ける工程と、を有する方法。
32.エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物は、被覆組成物の全固形分に基づいて約10から約99.9重量パーセントの量で水−有機溶媒混合物中に存在し、多官能化合物は被覆組成物の全固形分に基づいて約0.1から約30重量パーセントで水−有機溶媒混合物中に存在する上記31に記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
33.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、一般式ROHを有するアルコールであり、Rは1から約10の炭素原子を有するアルキル基である上記31又は32に記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
34.水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、式R1−(OR2x−OR1(式中、xは0、1、2、3、又は4の整数であり、R1はH又は1から10の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は1から10の炭素原子を有するアルキレン基及びその組み合わせである。)を有するグリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの混合物からなるグループから選択されるものである上記31又は32に記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
35.エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が、約0.1:1から約3:1で水−有機溶媒混合物中に存在する上記31乃至34のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
36.水−有機溶媒混合物中のエポキシ官能シランは、式R3xSi(OR4)4-xで示され、xは1、2又は3の整数であり、R3は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、かつ少なくともR3の1つはエポキシ基を有するものであり、 R4は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、−Si(OR53-y6y基、及びそれらの組み合わせであり、 yは、0、1、2又は3の整数であり、 R5は、H、1から約5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、別の−Si(OR53-y6y基、及びその組み合わせであり、 R6は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせである上記31乃至35のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
37.水−有機溶媒混合物中の四官能シランは、式Si(OR74で示され、R7は、H、1から5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテル、(OR7)としてのカルボキシル酸塩、−Si(OR83基(ここでR8はH、1から5の炭素数を有するアルキル基及びそれらのエーテル、(OR8)としてのカルボキシル酸塩、別の−Si(OR83基、及びそれらの組み合わせである。)及びそれらの組み合わせである上記31乃至36のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
38.水−有機溶媒混合物中に存在する水の量は、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物との実質的に均質な混合物を提供するのに十分な量である上記31乃至37のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
39.水−有機溶媒混合物の溶媒成分の少なくとも一部は、エポキシ官能シランと四官能シランの加水分解中に生成される上記31乃至38のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
40.水−有機溶媒混合物は、組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む上記31乃至39のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
41.有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約10重量パーセントである上記40に記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
42.水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物をさらに含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである上記31乃至41のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
43.水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む上記31乃至42のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
44.水−有機溶媒混合物は、さらに、組成物中の全固形分組成物に基づいて約0.1から約50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカを含む上記31乃至43のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
45.基板は、プラスチック、木、セラミクス、ガラスセラミクス、ガラス、鉱物ベースの材料、皮、紙、織物、及び金属材料から作られる上記31乃至44のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
46.実質的に透明な耐摩耗性被覆の基板への接着を促進するために基板を処理する工程をさらに有する上記31乃至45のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
47.実質的に透明な耐摩耗性被覆を基板上に設けるために水−有機溶媒混合物を硬化させる工程は、水−有機溶媒混合物の被覆を塗布された基板を、被覆を硬化させるのに有効な時間にわたり約50℃から約200℃度の温度に加熱することにより達成され、少なくとも5のバイエル数を有する実質的に透明で実質的に均一な耐摩耗性被覆を基板に設ける上記31乃至46のいずれかに記載の基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法。
48.改善された安定性を有し、基板上に塗布され硬化した時に基板に耐摩耗性被覆を提供する組成物であって、水−有機溶媒混合物を含む組成物。
49.基板と、基板の少なくとも1つの表面上に形成された実質的に透明な耐摩耗性被覆であって、基板の表面に塗布された、水−有機溶媒混合物を含む被覆組成物を硬化させることにより形成される被覆と、を有する物品。
50.実質的に透明な耐摩耗性被覆を基板に設ける方法であって、水−有機溶媒混合物を含む有効な量の被覆組成物を基板の少なくとも1つの表面に塗布して基板上に被覆を設ける工程を有する方法。
51.実質的に透明な耐摩耗性被覆を基板に設ける方法であって、 水−有機溶媒混合物を含む有効な量の被覆組成物を基板の少なくとも1つの表面上に硬化させて基板上に被覆を設ける工程を有する方法。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
改善された安定性を有し、基板に塗布されて硬化した時に基板上に耐摩耗性被覆を提供する組成物であって、当該組成物は
エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物、並びに多官能化合物、を含む水−有機溶媒混合物を含み、
前記多官能化合物は、多官能カルボン酸、多官能無水物、及びそれらの組み合わせからなるグループから選択され、
前記エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が約0.1:1から5:1の間で存在し、かつ、
前記エポキシ官能シランと前記四官能シランを加水分解するのに十分な量の水を含み、
さらに、必要に応じて、以下の(i)〜(vii)の1ないしそれ以上を含むことを特徴とする、組成物:
(i) 触媒;
(ii) 前記水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物(式中、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から約10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである。)の加水分解生成物と部分縮合物との混合物をさらに含む;
(iii) 前記水−有機溶媒混合物は、平滑剤をさらに含む;
(iv) 前記水−有機溶媒混合物は組成物中の全固形分組成物に基づいて0.1から50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカをさらに含む;
(v) シリカ、ジルコニア、セリア、酸化スズおよびこれらの混合物から選択されてなる金属酸化物;
(vi) 紫外線吸収剤;および
(vii) 酸化防止剤。
【請求項2】
エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物は、水−有機溶媒混合物中に、被覆組成物の全固形分に基づいて10から99.9重量パーセントの量で存在し、
多官能化合物は、水−有機溶媒混合物中に、被覆組成物の全固形分に基づいて0.1から30重量パーセントの量で存在する請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、アルコール、エーテル、グリコール、グリコールエーテル、エステル、ケトン、グリコールエーテルアセテート、及びそれらの混合物からなるグループから選択される請求項1又は2に記載の組成物。
【請求項4】
水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、一般式ROHを有するアルコールであり、Rは1から10の炭素原子を有するアルキル基である請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
【請求項5】
水−有機溶媒混合物の溶媒成分は、式R1−(OR2x−OR1(式中、xは0、1、2、3、又は4の整数であり、R1はH又は1から10の炭素原子を含むアルキル基であり、R2は1から10の炭素原子を有するアルキレン基及びその組み合わせである。)を有するグリコール、エーテル、グリコールエーテル、及びそれらの混合物からなるグループから選択されるものである請求項1乃至3のいずれかに記載の組成物。
【請求項6】
エポキシ官能シランは、四官能シランに対するモル比が、約0.1:1から約3:1で存在する請求項1乃至5のいずれかに記載の組成物。
【請求項7】
エポキシ官能シランは、式R3xSi(OR4)4-xで示され、
xは1、2又は3の整数であり、
3は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせであって、かつ少なくともR3の1つはエポキシ基を有するものであり、
4は、H、1から5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、−Si(OR53-y6y基、及びそれらの組み合わせであり、
yは、0、1、2又は3の整数であり、
5は、H、1から5の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基、別の−Si(OR53-y6y基、及びその組み合わせであり、
6は、H、または、1から10の炭素原子を有するアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、若しくはアルキルエーテル、あるいはそれらの組み合わせである請求項1乃至6のいずれかに記載の組成物。
【請求項8】
四官能シランは、式Si(OR74で示され、R7は、H、1から5の炭素原子を含むアルキル基及びそのエーテル、(OR7)としてのカルボキシル酸塩、−Si(OR83基(ここでR8はH、1から5の炭素数を有するアルキル基及びそれらのエーテル、(OR8)としてのカルボキシル酸塩、別の−Si(OR83基、及びそれらの組み合わせである。)及びそれらの組み合わせである請求項1乃至7のいずれかに記載の組成物。
【請求項9】
水−有機溶媒混合物中に存在する水の量は、エポキシ官能シランおよび四官能シランの加水分解生成物と部分縮合物との実質的に均質な混合物を提供するのに十分な量である上記1乃至8のいずれかに記載の組成物。
【請求項10】
水−有機溶媒混合物の溶媒成分の少なくとも一部は、エポキシ官能シランと四官能シランの加水分解中に生成される請求項1に記載の組成物。
【請求項11】
組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む請求項1に記載の組成物。
【請求項12】
有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約10重量パーセントである請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて0.1から50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示される加水分解生成物とシラン添加物の部分縮合物との混合物をさらに含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである請求項11又は12に記載の組成物。
【請求項14】
水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む請求項11乃至13のいずれかに記載の組成物。
【請求項15】
水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物をさらに含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである請求項1に記載の組成物。
【請求項16】
水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む請求項15に記載の組成物。
【請求項17】
水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物を含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせであり、
さらに、組成物中の全固形分組成物に基づいて約0.1から約50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項18】
組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む請求項17に記載の組成物。
【請求項19】
有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて0.1から10重量パーセントである請求項18に記載の組成物。
【請求項20】
水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む請求項17乃至19のいずれかに記載の組成物。
【請求項21】
水−有機溶媒混合物は、さらに、組成物中の全固形分組成物に基づいて0.1から50重量パーセントのシリカを組成物に提供するための有効な量のコロイドシリカを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項22】
水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む請求項21に記載の組成物。
【請求項23】
組成物を硬化させることにより作られる被覆に高められた耐摩耗性を与えるための有効な量の触媒をさらに含む請求項22または23に記載の組成物。
【請求項24】
有効な量の触媒は、組成物の全固形分に基づいて0.1から10重量パーセントである請求項23に記載の組成物。
【請求項25】
水−有機溶媒混合物は、組成物の全固形分に基づいて約0.1から約50重量パーセントの、式R9xSi(OR104-xで示されるシラン添加物の加水分解生成物と部分縮合物との混合物を含み、xは1、2又は3の整数であり、R9はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、官能性アルキル基、アルキレン基、アリール基、アルキルエーテル基及びそれらの組み合わせであり、R10はH、1から10の炭素原子を含むアルキル基、アセチル基及びそれらの組み合わせである請求項23または24に記載の組成物。
【請求項26】
水−有機溶媒混合物は、さらに、水−有機混合物を基板上に広げると共に水−有機溶媒混合物と基板との実質的に均一な接触を提供するための有効な量の平滑剤を含む請求項1に記載の組成物。
【請求項27】
基板と、
基板の少なくとも1つの表面上に形成される実質的に透明な耐摩耗性被覆であって、基板表面上に塗布された請求項1〜26のいずれかに記載の組成物を硬化することにより形成されてなる被覆とを含む物品。
【請求項28】
基板上に実質的に透明な耐摩耗性の被覆を設ける方法であって、
基板の少なくとも1つの表面に、請求項1〜26のいずれかに記載の組成物の有効量を適用し、そして、この被覆組成物を硬化させて、実質的に透明な耐摩耗性の被覆を基板に設けることを特徴とする方法。

【公開番号】特開2008−208379(P2008−208379A)
【公開日】平成20年9月11日(2008.9.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−133660(P2008−133660)
【出願日】平成20年5月21日(2008.5.21)
【分割の表示】特願平10−544383の分割
【原出願日】平成10年4月16日(1998.4.16)
【出願人】(508152423)エスディーシー コーティングス,インコーポレイテッド (1)
【Fターム(参考)】