説明

基板処理装置、基板処理方法および記憶媒体

【課題】基板処理装置の硫酸再生装置における供給槽および蒸発槽での突沸を防止すること。
【解決手段】基板処理装置は、被処理基板Wを硫酸を用いて処理する基板処理部60と、基板処理部60で用いられた廃硫酸を再生するための硫酸再生装置1と、を備えている。硫酸再生装置1は、廃硫酸を収容する蒸発槽15a,15bと、蒸発槽15a,15b内の廃硫酸を加熱する加熱部17a,17bと、蒸発槽15a,15bに廃硫酸を供給する供給槽10と、供給槽10と蒸発槽15a,15bとを連結する供給管12a,12bと、供給槽10から蒸発槽15a,15bへ供給される廃硫酸の量を調整するための流量調整部13a,13bと、を備えている。蒸発槽15a,15bには、蒸発槽15a,15b内の圧力を減圧する第一減圧部24が設けられている。供給槽10には、供給槽10内の圧力を蒸発槽15a,15b内の圧力よりも高くする圧力調整部11が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、廃硫酸を再生する硫酸再生装置を備えた基板処理装置および基板処理方法、並びに、当該基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、廃硫酸を収容する蒸留槽と、蒸留槽に収容された廃硫酸を加熱する加熱部と、を備えた硫酸再生装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。しかしながら、このように一つの蒸発槽で一気に廃硫酸の再生処理を行うと、廃硫酸に含まれた過酸化水素が分解することによって、液面が揺れて突沸が生じるおそれがある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平08−091811号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本開示は、基板処理装置の硫酸再生装置における供給槽および蒸発槽での突沸を防止することができる基板処理装置および基板処理方法、並びに、当該基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示による基板処理装置は、
被処理基板を硫酸を用いて処理する基板処理部と、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生するための硫酸再生装置と、を備え、
前記硫酸再生装置が、
前記廃硫酸を収容する蒸発槽と、
前記蒸発槽内に収容された前記廃硫酸を加熱する加熱部と、
前記廃硫酸を収容するとともに、前記蒸発槽に該廃硫酸を供給する供給槽と、
前記供給槽と前記蒸発槽とを連結する供給管と、
前記供給管に設けられ、前記供給槽から前記蒸発槽へ供給される前記廃硫酸の量を調整するための流量調整部と、
前記蒸発槽に設けられ、該蒸発槽内の圧力を減圧する第一減圧部と、
前記供給槽に設けられ、該供給槽内の圧力を前記蒸発槽内の圧力よりも高くする圧力調整部と、を有する。
【0006】
本開示による基板処理装置において、
前記供給槽から前記蒸発槽へ前記廃硫酸が供給される際に、該廃硫酸によって該供給槽と該蒸発槽との間の気体の流れが遮断されてもよい。
【0007】
本開示による基板処理装置において、
前記圧力調整部は、前記供給槽に設けられて外部と繋がった圧力調整管であってもよい。
【0008】
本開示による基板処理装置において、
前記圧力調整部は、前記供給槽内の圧力を高くする加圧部であってもよい。
【0009】
本開示による基板処理装置は、
前記蒸発槽に連結され、該蒸発槽において濃縮された硫酸を受ける製品受給槽と、
前記製品受給槽に連結され、該製品受給槽内を減圧するための第二減圧部と、をさらに備えてもよい。
【0010】
本開示による基板処理装置において、
前記蒸発槽から前記製品受給槽に前記濃縮された硫酸が移される際に、該製品受給槽内が前記第二減圧部によって減圧されてもよい。
【0011】
本開示による基板処理装置は、
前記蒸発槽に連結され、該蒸発槽において濃縮された硫酸を受ける複数の製品受給槽と、
前記製品受給槽の各々に連結され、該製品受給槽内を減圧するための第二減圧部と、をさらに備え、
前記蒸発槽から前記製品受給槽の少なくとも一つに前記濃縮された硫酸が移される際に、該濃縮された硫酸が移される製品受給槽内が前記第二減圧部によって減圧され、該濃縮された硫酸が移されない製品受給槽内は減圧されなくてもよい。
【0012】
本開示による基板処理装置において、
前記供給槽と前記蒸発槽の間に、該供給槽から該蒸発槽へ供給される前記廃硫酸の量を調整するための流量調整部が設けられてもよい。
【0013】
本開示による基板処理装置において、
前記基板処理部は、過酸化水素を含有する廃硫酸を用いて前記被処理基板を処理し、
前記基板処理部に、前記廃硫酸に含まれる前記過酸化水素を分解して除去する脱気部が連結され、
前記供給槽は、前記脱気部で前記過酸化水素が除去された廃硫酸を収容してもよい。
【0014】
本開示による基板処理装置において、
前記基板処理部は、過酸化水素を含有する廃硫酸を用いて前記被処理基板を処理し、
前記基板処理部に、前記廃硫酸に含まれる前記過酸化水素を分解して除去する脱気部が連結され、
前記脱気部は、前記過酸化水素を含有した前記廃硫酸を収容する脱気槽と、該過酸化水素を含有した該廃硫酸を加熱する加熱部とを有し、
前記供給槽は前記脱気槽であってもよい。
【0015】
本開示による基板処理方法は、
被処理基板を硫酸を含有する処理液を用いて処理することと、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生することと、を備え、
廃硫酸を再生することは、
供給槽から蒸発槽に廃硫酸を供給することと、
前記蒸発槽内に収容された廃硫酸を、減圧下で加熱することと、を有し、
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸の流量が調整されるとともに、前記供給槽内の圧力が前記蒸発槽内の圧力よりも高くなっている。
【0016】
本開示による基板処理方法において、
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸によって該供給槽と該蒸発槽との間の気体の流れが遮断されてもよい。
【0017】
本開示による記憶媒体は、
基板処理装置に基板処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記基板処理方法が、
被処理基板を硫酸を含有する処理液を用いて処理することと、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生することと、を備え、
廃硫酸を再生することは、
供給槽から蒸発槽に廃硫酸を供給することと、
前記蒸発槽内に収容された廃硫酸を、減圧下で加熱することと、を有し、
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸の流量が調整されるとともに、前記供給槽内の圧力が前記蒸発槽内の圧力よりも高くなっている方法である。
【発明の効果】
【0018】
本発明によれば、供給槽と蒸発槽とを連結する供給管に流量調整部が設けられているので、蒸発槽に少しずつ廃硫酸が供給される。このため、蒸発槽で突沸が生じることを防止することができる。また、供給槽内の圧力を蒸発槽内の圧力よりも高くする圧力調整部が設けられているので、供給槽での突沸を防止することができる。さらに、蒸発槽内の圧力が減圧されるので、常圧下で行うより低温で廃硫酸内の水分を蒸発させることができ、廃硫酸を効率良く濃縮することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の第1の実施の形態による基板処理装置の構成を示す図。
【図2】本発明の第1の実施の形態の変形例による基板処理装置の構成の一部を示す拡大図。
【図3】本発明の第1の実施の形態による基板処理装置における信号の流れを説明するための図。
【図4】本発明の第2の実施の形態による基板処理装置の構成を示す図。
【図5】本発明の第2の実施の形態の変形例による基板処理装置の構成の一部を示す拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
第1の実施の形態
以下、本発明に係る硫酸再生装置の第1の実施の形態について、図面を参照して説明する。ここで、図1乃至図3は本発明の第1の実施の形態を示す図である。
【0021】
図1に示すように、硫酸再生装置1は、廃硫酸を収容する蒸発槽15a,15bと、蒸発槽15a,15b内に収容された廃硫酸を加熱するための加熱部17a,17bと、を有する蒸発部5を備えている。また、硫酸再生装置1は、蒸発槽15a,15bに廃硫酸を供給する供給槽10と、蒸発槽15a,15bと供給槽10との間に配置された供給管12a,12bも備えている。なお、本実施の形態では、蒸発槽が二つ設けられている態様を用いて説明しているが、あくまでも一例であり、蒸発槽は一つだけであってもよいし、三つ以上設けられていてもよい。
【0022】
図1に示すように、蒸発槽15a,15bには、蒸発槽15a,15b内の圧力を減圧する第一減圧部である真空ポンプ24が排気管18を介して連結されている。また、排気管18には、蒸発槽15a,15bから蒸発する水蒸気を冷却して水に変える熱交換器16が設けられている。なお、熱交換器16で生成された水は、排水管19を介して、外部へ排出される。
【0023】
また、供給槽10には、外部と繋がっており、供給槽10内の圧力を外部と概ね等しい圧力にする圧力調整管11が設けられている。なお、本実施の形態では、この圧力調整管11が、供給槽10内の圧力を蒸発槽15a,15b内の圧力よりも高くする圧力調整部を構成している。ところで、圧力調整部としては、このような圧力調整管11には限られず、図2に示すように供給槽10内の圧力を高くする加圧部11’なども用いることができる。
【0024】
また、図1に示すように、供給管12a,12bには、供給管12a,12bの開閉を切り換えるための開閉バルブ14a,14bと、この開閉バルブ14a,14bの下流側に設けられたオリフィス13a,13bが設けられている。なお、このオリフィス13a,13bが、供給槽10から蒸発槽15a,15bへ供給される廃硫酸の量を調整する流量調整部を構成している。ところで、オリフィス13a,13bとしては、開度が固定されている固定オリフィスや、開度が変更可能な可変オリフィスやエアオペバルブなどを用いることができる。なお、オリフィス13a,13bとして固定オリフィスを用いる場合であっても、供給槽10と蒸発槽15a,15bとの間の圧力差を一定に維持することで、蒸発槽15a,15bへ供給される廃硫酸の量を一定にすることができる。
【0025】
また、蒸発槽15a,15bには、開閉バルブ22a,22bの設けられた供給管21を介して水分が蒸発された後の濃縮された硫酸(以下、「濃縮硫酸」とも言う。)を受ける製品受給槽である製品槽20a,20bが複数(本実施の形態では2つ)設けられている。製品槽20a,20bの各々には、上記の真空ポンプ24が、開閉バルブ27a,27bの設けられた排気管28を介して設けられている。そして、蒸発槽15a,15bから製品槽20a,20bのうちの一つ(例えば製品槽20a)に濃縮硫酸が移される際には開閉バルブ27aが開けられており、濃縮硫酸が供給される製品槽20a内が真空ポンプ24によって減圧されるように構成されている。他方、このように製品槽20aに濃縮硫酸が移される際には開閉バルブ27bは閉じられており、製品槽20b内は真空ポンプ24によって減圧されないように構成されている。ところで、製品槽20a,20bの各々には、製品槽20a,20b内を常圧に戻すためのリーク弁25a,25bが設けられている。
【0026】
本実施の形態では、蒸発槽15a,15b内の圧力を減圧する第一減圧部と、製品槽(製品受給槽)20a,20b内を減圧するための第二減圧部が、同じ真空ポンプ24からなっているが、これに限られることはなく、第一減圧部と第二減圧部が別個の例えば真空ポンプからなってもよい。
【0027】
また、供給槽10には、使用済みの硫酸過水(過酸化水素を含有した廃硫酸)を加熱することで過酸化水素を分解して除去する脱気部70が、開閉バルブ77の設けられた連結管79を介して連結されている。そして、この脱気部70は、使用済みの硫酸過水を収容する脱気槽71と、脱気槽71内の使用済みの硫酸過水を循環させるための循環管78と、循環管78に設けられて脱気槽71内に収容されている使用済みの硫酸過水に駆動力を与えるポンプなどの駆動部73と、循環管内で循環する使用済みの硫酸過水を加熱する加熱部72と、を有している。なお、この脱気部70は、廃硫酸が過酸化水素を含有している場合にのみ必要なものであり、硫酸再生装置1で再生される廃硫酸に過酸化水素が含有されていない場合には、特に設ける必要はない。この点、本実施の形態では、廃硫酸に過酸化水素が含有されている態様(すなわち、使用済みの硫酸過水)を用いて説明する。
【0028】
また、製品槽20a,20bの各々には、加熱されて濃縮された濃縮硫酸を冷却するための冷却部30が連結管29を介して連結されている。なお、この連結管29には、連結管29内の濃縮硫酸に駆動力を付与するためのポンプなどの駆動部23が設けられている。
【0029】
冷却部30は、濃縮硫酸を収容するための冷却槽31と、冷却槽31内に収容された濃縮硫酸に駆動力を付与して排出するためのポンプなどの駆動部33と、を有している。また、冷却槽31の周縁には、冷却水を流すための配管(図示せず)が設けられており、この配管内に冷却水を流すことによって、冷却槽31に収容された濃縮硫酸が冷却されるようになっている。なお、本実施の形態では、冷却槽が二つ設けられている態様を用いて説明しているが、あくまでも一例であり、冷却槽は一つだけであってもよいし、三つ以上設けられていてもよい。
【0030】
また、冷却部30には、後述する基板処理部60に供給する処理液を準備する処理液生成部50が連結管39を介して連結されている。この処理液生成部50は、処理液の材料となる硫酸水溶液を収容する処理液槽51と、処理液槽51内の硫酸水溶液を循環させるための循環管58と、循環管58に設けられて処理液槽51内に収容されている硫酸水溶液に駆動力を与えるポンプなどの駆動部53と、循環管58内で循環する硫酸水溶液を加熱する加熱部52と、を有している。なお、循環管58には、後述する基板処理部60に処理液である硫酸過水を供給するための処理液供給管59が設けられている。この処理液供給管59は、複数ある基板処理部60の各々に対応して設けられている。
【0031】
また、処理液槽51には、濃硫酸(例えば98%の濃度からなる濃硫酸)と純水(DIW)とを混合するプレ混合部40が、開閉バルブ47の設けられた連結管49を介して連結されている。このプレ混合部40は、濃硫酸と純水が供給される混合槽41と、混合槽41内の濃硫酸と純水を循環させるための循環管48と、循環管48に設けられて混合槽41内に収容されている濃硫酸と純水に駆動力を与えるポンプなどの駆動部43と、を有している。なお、本実施の形態では、混合槽が二つ設けられている態様を用いて説明しているが、あくまでも一例であり、混合槽は一つだけであってもよいし、三つ以上設けられていてもよい。
【0032】
また、処理液供給管59の各々には、開閉バルブ57の下流側で、硫酸水溶液に過酸化水素水を供給することで硫酸過水を生成する過酸化水素水供給部56が連結されている。なお、この過酸化水素水供給部56は、一つの過酸化水素水供給部56から枝分かれして各処理液供給管59に連結されてもよいし、処理液供給管59の各々に別個の過酸化水素水供給部56が設けられてもよい。
【0033】
また、処理液供給管59の下流側には、処理液供給管59から供給される硫酸過水によって被処理基板Wを処理するための基板処理部60が設けられている。なお、処理液供給管59および基板処理部60の各々は複数個(例えば20個)設けられている。そして、処理液供給管59の各々に設けられた開閉バルブ57を開閉することで、生成された硫酸過水が各基板処理部60に適宜供給されるようになっている。なお、被処理基板Wとしては、例えばウエハやガラス基板などを挙げることができる。
【0034】
また、基板処理部60には、基板処理部60で用いた使用済みの処理液である硫酸過水を排出するための排液管69が設けられており、この排液管69を介して、使用済みの硫酸過水が脱気槽71へ排出されることとなる。なお、本実施の形態では、脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72のセットが二つ設けられており、一セットの脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72を用いて使用済みの硫酸過水に含有された過酸化水素を分解している際には、他のセットの脱気槽71に、基板処理部60で用いた使用済みの硫酸過水が排液管69を介して排出されるようになっている。なお、二つある脱気槽71のいずれに使用済みの硫酸過水を排出するかの選択は、排液管69に設けられた三方弁74を切り換えることによって行われる。
【0035】
また、図3に示すように、オリフィス13a,13b、開閉バルブ14a,14b,22a,22b,27a,27b,47,57,77、加熱部17a,17b,52,72、駆動部23,33,43,53,73、真空ポンプ24、三方弁74などには、これらを制御する制御部80が接続されている。
【0036】
ところで、本実施の形態においては、後述する基板処理方法を基板処理装置に実行させるためのコンピュータプログラムが記憶媒体86に格納されている(図3参照)。そして、基板処理装置は、当該記憶媒体86を受け付けるコンピュータ85も備えている。そして、制御部80は、コンピュータ85からの信号を受けて、基板処理装置自身を制御するように構成されている。なお、本願において記憶媒体86とは、例えば、CD、DVD、MD、ハードディスク、RAMなどを意味している。
【0037】
次に、このような構成からなる本実施の形態の作用および効果について説明する。
【0038】
(処理液の供給)
最初に、処理液である硫酸過水を被処理基板Wに供給するまでの過程について説明する。
【0039】
まず、混合槽41に、98%の濃度の濃硫酸と純水(DIW)が供給される。次に、混合槽41内に収容されている濃硫酸と純水に駆動部43によって駆動力が付与され、濃硫酸と純水が循環管48で循環されることで互いに混合される。なお、このとき連結管49に設けられた開閉バルブ47は閉じられている。
【0040】
このようにして濃硫酸と純水が混合された後、制御部80からの信号を受けて開閉バルブ47が開けられ、連結管49を介して処理液槽51内に、濃硫酸と純水が混合されることで生成された硫酸水溶液が供給されて、処理液槽51内に収容される。
【0041】
次に、処理液槽51内に収容された硫酸水溶液に、駆動部53から駆動力が付与されて、硫酸水溶液が循環管58で循環される。なおこの際、硫酸水溶液が適切な温度になるよう、加熱部52が制御部80によって制御されている。
【0042】
被処理基板Wに硫酸過水を供給して処理する際には、制御部80からの信号を受けて開閉バルブ57が開けられる。そして、処理液生成部50から供給される硫酸水溶液に過酸化水素水供給部56から過酸化水素水が加えられて硫酸過水が生成される。そして、このようにして生成された硫酸過水が被処理基板Wに供給されて、当該被処理基板Wが硫酸過水で処理される。
【0043】
(処理液の再生)
次に、被処理基板Wを処理する際に用いられた処理液である硫酸過水から濃縮硫酸を生成するまでの過程について説明する。
【0044】
被処理基板Wを処理する際に用いられた使用済みの硫酸過水が、排液管69を介して脱気槽71まで送られて、当該脱気槽71に収容される。
【0045】
次に、脱気槽71に収容された使用済みの硫酸過水が、駆動部73から駆動力を受けて、循環管78内で循環される。このように循環管78内で使用済みの硫酸過水が循環されている間に、加熱部72によって使用済みの硫酸過水が加熱される。そして、使用済みの硫酸過水が加熱されることで、使用済みの硫酸過水に含有された過酸化水素が分解されて、水と酸素となる。なお、このとき連結管79に設けられた開閉バルブ77は閉じられている。ところで、本実施の形態では、上述のように、脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72のセットが二つ設けられている。そして、一セットの脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72を用いて使用済みの硫酸過水に含有された過酸化水素を分解している際には、他のセットの脱気槽71に、基板処理部60で用いた使用済みの硫酸過水が排液管69を介して排出されることとなる。このため、基板処理部60で用いられた使用済みの硫酸過水を脱気槽71で常に回収することができる。
【0046】
脱気部70で使用済みの硫酸過水に含まれた過酸化水素が分解された後、連結管79に設けられた開閉バルブ77が開けられて、供給槽10に過酸化水素の除去された廃硫酸が送られる。この際、開閉バルブ14a,14bは閉じられている。
【0047】
供給槽10に過酸化水素の除去された廃硫酸が送られて当該供給槽10に貯留された後、開閉バルブ14a,14bが開けられて、供給槽10から蒸発槽15a,15bへ廃硫酸が供給される。この際、蒸発槽15a,15b内の圧力は真空ポンプ24によって減圧されている。他方、供給槽10は圧力調整管11によって外部に連通されていることから、供給槽10内の圧力は外部の圧力と概ね等しくなっている。
【0048】
ところで、本実施の形態では、わずかな開度のオリフィス13a,13bを介して蒸発槽15a,15bに少しずつ廃硫酸を供給することができ、蒸発槽15a,15bに急激に廃硫酸を供給することを防止することができるので、蒸発槽15a,15bで廃硫酸が突沸することを防止することができる。
【0049】
また、本実施の形態では、わずかな開度のオリフィス13a,13b内を廃硫酸が通過しているので、この廃硫酸によって供給槽10と蒸発槽15a,15bとの間の気体の流れが遮断されており、供給槽10を外部の圧力と概ね等しくしつつ、蒸発槽15a,15bを減圧することができる。そしてこのように、供給槽10が外部の圧力と概ね等しく維持されているので、高い温度の廃硫酸が供給槽10に供給されても廃硫酸が突沸することを防止することができる。さらに、供給槽10は内面が凹凸形状からなってもよい。このように内面が凹凸形状からなっている場合には、供給槽10の内面の表面積を増やすことができ、突沸が生じることをより確実に防止することができる。また、供給槽10内には、沸騰石のような部材を入れてもよく、このように沸騰石のような部材を入れることで、突沸が生じることをより確実に防止することができる。
【0050】
なお、このように供給槽10内で廃硫酸が突沸することを防止する方法として供給槽10に供給される廃硫酸の温度を下げることも考えられるが、このように供給槽10に供給される廃硫酸の温度を下げると蒸発槽15a,15bに供給する際の廃硫酸も冷却されてしまうことから、蒸発槽15a,15bで廃硫酸内の水分を除去するのに余分なエネルギーが必要となり、効率が悪くなってしまう。これに対して、本実施の形態によれば、そのような余分なエネルギーは不要である点で有益である。
【0051】
また、オリフィス13a,13bとして開度が変更可能な可変オリフィスやエアオペバルブなどを用いた場合には、廃硫酸が流れる流路の幅を適宜調整することができる。このため、オリフィス13a,13b内を流れる廃硫酸によって供給槽10と蒸発槽15a,15bとの間での気体の流れを確実に遮断することができ、供給槽10を外部の圧力と概ね等しくしつつ蒸発槽15a,15bを減圧することを確実に達成することができる。
【0052】
また、本実施の形態では、減圧下で蒸発槽15a,15b内の廃硫酸を加熱することができるので、常圧下で行うより低温で廃硫酸内の水分を蒸発させることができ、廃硫酸を効率良く濃縮することができる。なお、蒸発した水分は、熱交換器16で冷却された後、排水管19を介して外部へ排出される。
【0053】
なお、供給槽10内の廃硫酸が全て蒸発槽15a,15bに供給された後、制御部80からの信号を受けて開閉バルブ14a,14bが閉じられる。
【0054】
上記のように水分が除去されて廃硫酸が濃縮された後、この濃縮硫酸は製品槽20a,20bの一つに供給される(本実施の形態では、以下、製品槽20aに濃縮硫酸が供給される態様を用いて説明する。)。この際、開閉バルブ22aが開けられ開閉バルブ22bは閉じられている。また、開閉バルブ27aが開けられており、濃縮硫酸が供給される製品槽20a内は真空ポンプ24によって減圧されている。このため、減圧された蒸発槽15a,15bから製品槽20aへの濃縮硫酸の移動をスムーズに行うことができる。なおこの際には、開閉バルブ27bは閉じられており、製品槽20b内は真空ポンプ24によって減圧されていない。
【0055】
蒸発槽15a,15bで生成された濃縮硫酸の全てが製品槽20aに貯留された後、開閉バルブ27aが閉じられて真空ポンプ24によって製品槽20a内が減圧されなくなる。その後、リーク弁25aが開けられて製品槽20a内は常圧に戻される。なお、開閉バルブ27aが閉じられた後、その代わりに、開閉バルブ27bが開けられて製品槽20bが減圧され始める。そして、その後、開閉バルブ22bが開けられて、減圧された製品槽20bに新たに生成された濃縮硫酸が供給されて貯留されることとなる。この際には、開閉バルブ22aは閉じられている。
【0056】
製品槽20a内の濃硫酸は、駆動部23から駆動力を受けて、製品槽20aから冷却槽31へ送られる。なお、冷却槽31の周縁には、冷却水を流すための配管が設けられており、この配管内に冷却水を流すことによって、冷却槽31に収容された濃縮硫酸が冷却される。そして、このように冷却槽31で濃縮硫酸が冷却された後、当該濃縮硫酸は、駆動部33からの駆動力を受けて処理液槽51へ送られる。そして、処理液槽51と循環管58で、このようにして再生された濃縮硫酸と、プレ混合部40から供給される濃硫酸と純水の混合液とが混合される。
【0057】
本実施の形態によれば、一つの製品槽20aから冷却槽31へ濃縮硫酸が供給されている間に、もう一つの製品槽20bが減圧されて、当該製品槽20bに新たに生成された濃縮硫酸が供給される。このため、蒸発槽15a,15bで生成される濃縮硫酸を停止させることなく製品槽20bへ供給することができるので、硫酸を再生するために必要な時間を短縮することができる。
【0058】
ところで、圧力調整部として、図2に示すように供給槽10内の圧力を高くする加圧部11’を用いた場合には、圧力調整部として圧力調整管11を用いた場合よりも供給槽10内の圧力をより高くすることができるので、供給槽10内で廃硫酸が突沸することをより確実に防止することができる。なお、加圧部11’は例えば窒素などの不活性ガスを供給槽10内に供給することで、供給槽10内の圧力を高く(例えば0.3MPaほどに)するように構成されている。
【0059】
また、このような加圧部11’を設けることで供給槽10内の圧力を自在に調整することができ、蒸発槽15a,15b内に供給される廃硫酸の流量を調整することができる。なお、オリフィス13a,13bとして固定オリフィスを用いた場合には、開度を調整することができないので、加圧部11’による圧力調整で蒸発槽15a,15b内に供給される廃硫酸の流量を調整することは有益である。
【0060】
第1の実施の形態の変形例
供給槽10から蒸発槽15a,15bへの廃硫酸の流れと、蒸発槽15a,15bから製品槽20a,20bへの濃縮硫酸の流れが、上記で述べた第1の実施の形態と異なる変形例について、以下説明する。なお、上記の第1の実施の形態と記載が重複する部分については、適宜省略しつつ説明する。
【0061】
より具体的には、本変形例では、開閉バルブ14a,14bは常に開状態になっており、供給槽10に貯留されている廃硫酸の量が一定量以上になると、供給槽10から蒸発槽15a,15bへ常に廃硫酸が流れ続けるように構成されている。(なお、再生する廃硫酸の量が少ないときは、二つの開閉バルブ14a,14bのうちいずれか一方は閉じられることとなる。)
【0062】
また、開閉バルブ22a,22bのいずれか一つ(例えば開閉バルブ22a)は常に開状態になっており、蒸発槽15a,15bに貯留されている濃縮硫酸の量が一定量以上になると、蒸発槽15a,15bから製品槽20a,20bのいずれか一つ(例えば製品槽20a)へ常に濃縮硫酸が流れ続けるように構成されている。ところで、上記のように開閉バルブ14a,14bを開けておくと、供給槽10から蒸発槽15a,15bへ、濃縮前の廃硫酸が常に流れ込むことになるが、硫酸の比重が水よりも重いことと、蒸発槽15a,15bの底面に供給管21が連結されて蒸発槽15a,15bの底面から製品槽20aへ濃縮硫酸が送られることから、水の混じらない濃縮硫酸を製品槽20aへ供給することができる。
【0063】
なお、本変形例でも上記の第1の実施の形態と同様、一つの製品槽20aに濃縮硫酸が貯留された後、一つの製品槽20aから冷却槽31へ濃縮硫酸が供給されている間に、もう一つの製品槽20bが減圧されて、当該製品槽20bに新たに生成された濃縮硫酸が供給されるように構成されている。
【0064】
ところで、このような変形例でも、当然、上記の第1の実施の形態と同様の効果を奏することができる。
【0065】
第2の実施の形態
次に、図4および図5により、本発明の第2の実施の形態について説明する。
【0066】
第1の実施の形態は、脱気槽71と供給槽10とが別体を構成する態様であったが、本実施の形態では、脱気部70の脱気槽71が供給槽を構成している。そして、脱気槽71には、圧力調整部として外部に連通された圧力調整管76が設けられている。第2の実施の形態において、その他の構成は、第1の実施の形態と略同一の態様となっている。
【0067】
図4および図5に示す第2の実施の形態において、図1乃至図3に示す第1の実施の形態と同一部分には同一符号を付して詳細な説明は省略する。
【0068】
以下、処理液を再生する際の本実施の形態の作用および効果について説明する。なお、第1の実施の形態と記載が重複する部分については、適宜省略しつつ説明する。
【0069】
ところで、本実施の形態における処理液を供給する際の作用および効果は、第1の実施の形態と同様であるので省略する。
【0070】
基板処理部60で被処理基板Wを処理する際に用いられた使用済みの硫酸過水が、排液管69を介して脱気槽71まで送られて、当該脱気槽71に収容される。
【0071】
ところで、本実施の形態でも、脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72のセットが二つ設けられている。そして、一セットの脱気槽71、循環管78、駆動部73および加熱部72を用いて使用済みの硫酸過水に含有された過酸化水素を分解している際には、他のセットの脱気槽71に、基板処理部60で用いた使用済みの硫酸過水が排液管69を介して排出されることとなる。このため、基板処理部60で用いられた使用済みの硫酸過水を脱気槽71で常に回収することができる。
【0072】
脱気槽71に収容された使用済みの硫酸過水は、駆動部73から駆動力を受けて、循環管78内で循環される。このように循環管78内で使用済みの硫酸過水が循環されている間に、加熱部72によって使用済みの硫酸過水が加熱され、この使用済みの硫酸過水に含有された過酸化水素が分解されて、水と酸素となる。なお、このとき連結管79に設けられた開閉バルブ77は閉じられている。
【0073】
脱気部70で使用済みの硫酸過水に含まれた過酸化水素が分解された後、連結管79に設けられた開閉バルブ77が開けられて、脱気槽71から蒸発槽15a,15bへ廃硫酸が供給される。この際、蒸発槽15a,15b内の圧力は真空ポンプ24によって減圧されている。他方、脱気槽71は圧力調整管76によって外部に連通されていることから、脱気槽71内の圧力は外部の圧力と概ね等しくなっている。
【0074】
ところで、本実施の形態でも、わずかな開度のオリフィス13a,13bを介して蒸発槽15a,15bに少しずつ廃硫酸を供給することができ、蒸発槽15a,15bに急激に廃硫酸を供給することを防止することができるので、蒸発槽15a,15bで廃硫酸が突沸することを防止することができる。
【0075】
また、わずかな開度のオリフィス13a,13b内を廃硫酸が通過しているので、この廃硫酸によって脱気槽71と蒸発槽15a,15bとの間の気体の流れが遮断されており、脱気槽71を外部の圧力と概ね等しくしつつ、蒸発槽15a,15bを減圧することができる。そしてこのように、脱気槽71が外部の圧力と概ね等しく維持されているので、高い温度の廃硫酸が脱気槽71に供給されても廃硫酸が突沸することを防止することができる。さらに、脱気槽71は内面が凹凸形状からなってもよい。このように内面が凹凸形状からなっている場合には、脱気槽71の内面の表面積を増やすことができ、突沸が生じることをより確実に防止することができる。また、脱気槽71内には、沸騰石のような部材を入れてもよく、このように沸騰石のような部材を入れることで、突沸が生じることをより確実に防止することができる。
【0076】
また、オリフィス13a,13bとして開度が変更可能な可変オリフィスやエアオペバルブなどを用いた場合には、廃硫酸が流れる流路の幅を適宜調整することができる。このため、オリフィス13a,13b内を流れる廃硫酸によって脱気槽71と蒸発槽15a,15bとの間での気体の流れを確実に遮断することができ、脱気槽71を外部の圧力と概ね等しくしつつ蒸発槽15a,15bを減圧することを確実に達成することができる。
【0077】
また、本実施の形態では、減圧下で蒸発槽15a,15b内の廃硫酸を加熱することができるので、常圧下で行うより低温で廃硫酸内の水分を蒸発させることができ、廃硫酸を効率良く濃縮することができる。
【0078】
なお、脱気槽71の廃硫酸が全て蒸発槽15a,15bに供給された後、制御部80からの信号を受けて開閉バルブ14a,14bが閉じられる。
【0079】
上記のように水分が除去されて廃硫酸が濃縮された後、この濃縮硫酸は製品槽20a,20bの一つに供給される(本実施の形態では、以下、製品槽20aに濃縮硫酸が供給される態様を用いて説明する。)。この際、開閉バルブ22aが開けられ開閉バルブ22bは閉じられている。また、開閉バルブ27aが開けられており、濃縮硫酸が供給される製品槽20a内は真空ポンプ24によって減圧されている。このため、減圧された蒸発槽15a,15bから製品槽20aへの濃縮硫酸の移動をスムーズに行うことができる。なおこの際には、開閉バルブ27bは閉じられており、製品槽20b内は真空ポンプ24によって減圧されていない。
【0080】
蒸発槽15a,15bで生成された濃縮硫酸の全てが製品槽20aに貯留された後、開閉バルブ27aが閉じられて真空ポンプ24によって製品槽20a内が減圧されなくなる。その後、リーク弁25aが開けられて製品槽20a内は常圧に戻される。なお、開閉バルブ27aが閉じられた後、その代わりに、開閉バルブ27bが開けられて製品槽20bが減圧され始める。そして、その後、開閉バルブ22bが開けられて、減圧された製品槽20bに新たに生成された濃縮硫酸が供給されて貯留されることとなる。この際には、開閉バルブ22aは閉じられている。
【0081】
製品槽20a内の濃硫酸は、駆動部23から駆動力を受けて、製品槽20aから冷却槽31へ送られる。そして、冷却槽31で濃縮硫酸が冷却された後、当該濃縮硫酸は、駆動部33からの駆動力を受けて処理液槽51へ送られる。そして、処理液槽51と循環管58で、このようにして再生された濃縮硫酸と、プレ混合部40から供給される濃硫酸と純水の混合液とが混合される。
【0082】
本実施の形態によっても、一つの製品槽20aから冷却槽31へ濃縮硫酸が供給されている間に、もう一つの製品槽20bが減圧されて、当該製品槽20bに新たに生成された濃縮硫酸が供給されるようになっている。このため、蒸発槽15a,15bで生成される濃縮硫酸を停止させることなく製品槽20bへ供給することができるので、硫酸を再生するために必要な時間を短縮することができる。
【0083】
ところで、圧力調整部として、図5に示すように脱気槽71内の圧力を高くする加圧部76’を用いた場合には、圧力調整部として圧力調整管76を用いた場合よりも脱気槽71内の圧力をより高くすることができるので、脱気槽71内で廃硫酸が突沸することをより確実に防止することができる。
【0084】
また、このような加圧部76’を設けることで脱気槽71内の圧力を自在に調整することができ、蒸発槽15a,15b内に供給される廃硫酸の流量を調整することができる。
【0085】
また、本実施の形態においても、第1の実施の形態の変形例と同様の構成をとることができる。より具体的には、開閉バルブ14a,14bが常に開状態になっており、脱気槽71に貯留されている廃硫酸の量が一定量以上になると、脱気槽71から蒸発槽15a,15bへ常に廃硫酸が流れ続けるように構成されてもよい。また、開閉バルブ22a,22bのいずれか一つが常に開状態になり、蒸発槽15a,15bに貯留されている濃縮硫酸の量が一定量以上になると、蒸発槽15a,15bから製品槽20a,20bのいずれか一つへ常に濃縮硫酸が流れ続けるように構成されてもよい。
【符号の説明】
【0086】
1 硫酸再生装置
5 蒸発部
10 供給槽
11 圧力調整管(圧力調整部)
11’ 加圧部(圧力調整部)
12a,12b 供給管
13a,13b オリフィス
15a,15b 蒸発槽
17a,17b 加熱部
20a,20b 製品槽(製品受給槽)
24 真空ポンプ(減圧部)
27a,27b 開閉バルブ
30 冷却部
40 プレ混合部
50 処理液生成部
56 過酸化水素水供給部
60 基板処理部
70 脱気部
80 制御部
85 コンピュータ
86 記憶媒体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理基板を硫酸を用いて処理する基板処理部と、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生するための硫酸再生装置と、を備え、
前記硫酸再生装置は、
前記廃硫酸を収容する蒸発槽と、
前記蒸発槽内に収容された前記廃硫酸を加熱する加熱部と、
前記廃硫酸を収容するとともに、前記蒸発槽に該廃硫酸を供給する供給槽と、
前記供給槽と前記蒸発槽とを連結する供給管と、
前記供給管に設けられ、前記供給槽から前記蒸発槽へ供給される前記廃硫酸の量を調整するための流量調整部と、
前記蒸発槽に設けられ、該蒸発槽内の圧力を減圧する第一減圧部と、
前記供給槽に設けられ、該供給槽内の圧力を前記蒸発槽内の圧力よりも高くする圧力調整部と、を有することを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
前記供給槽から前記蒸発槽へ前記廃硫酸が供給される際に、該廃硫酸によって該供給槽と該蒸発槽との間の気体の流れが遮断されることを特徴とする請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
前記圧力調整部は、前記供給槽に設けられて外部と繋がった圧力調整管であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項4】
前記圧力調整部は、前記供給槽内の圧力を高くする加圧部であることを特徴とする請求項1または2のいずれかに記載の基板処理装置。
【請求項5】
前記蒸発槽に連結され、該蒸発槽において濃縮された硫酸を受ける製品受給槽と、
前記製品受給槽に連結され、該製品受給槽内を減圧するための第二減圧部と、
をさらに備えたことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項6】
前記蒸発槽から前記製品受給槽に前記濃縮された硫酸が移される際に、該製品受給槽内が前記第二減圧部によって減圧されていることを特徴とする請求項5に記載の基板処理装置。
【請求項7】
前記蒸発槽に連結され、該蒸発槽において濃縮された硫酸を受ける複数の製品受給槽と、
前記製品受給槽の各々に連結され、該製品受給槽内を減圧するための第二減圧部と、をさらに備え、
前記蒸発槽から前記製品受給槽の少なくとも一つに前記濃縮された硫酸が移される際に、該濃縮された硫酸が移される製品受給槽内が前記第二減圧部によって減圧され、該濃縮された硫酸が移されない製品受給槽内は減圧されないことを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項8】
前記基板処理部は、過酸化水素を含有する廃硫酸を用いて前記被処理基板を処理し、
前記基板処理部に、前記廃硫酸に含まれる前記過酸化水素を分解して除去する脱気部が連結され、
前記供給槽は、前記脱気部で前記過酸化水素が除去された廃硫酸を収容することを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項9】
前記基板処理部は、過酸化水素を含有する廃硫酸を用いて前記被処理基板を処理し、
前記基板処理部に、前記廃硫酸に含まれる前記過酸化水素を分解して除去する脱気部が連結され、
前記脱気部は、前記過酸化水素を含有した前記廃硫酸を収容する脱気槽と、該過酸化水素を含有した該廃硫酸を加熱する加熱部とを有し、
前記供給槽は前記脱気槽であることを特徴とする請求項1乃至7のいずれか1項に記載の基板処理装置。
【請求項10】
被処理基板を硫酸を含有する処理液を用いて処理することと、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生することと、を備え、
廃硫酸を再生することは、
供給槽から蒸発槽に廃硫酸を供給することと、
前記蒸発槽内に収容された廃硫酸を、減圧下で加熱することと、を有し、
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸の流量が調整されるとともに、前記供給槽内の圧力が前記蒸発槽内の圧力よりも高くなっていることを特徴とする基板処理方法。
【請求項11】
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸によって該供給槽と該蒸発槽との間の気体の流れが遮断されることを特徴とする請求項10に記載の基板処理方法。
【請求項12】
基板処理装置に基板処理方法を実行させるためのコンピュータプログラムを格納した記憶媒体において、
前記基板処理方法は、
被処理基板を硫酸を含有する処理液を用いて処理することと、
前記基板処理部で用いられた廃硫酸を再生することと、を備え、
廃硫酸を再生することは、
供給槽から蒸発槽に廃硫酸を供給することと、
前記蒸発槽内に収容された廃硫酸を、減圧下で加熱することと、を有し、
前記供給槽から前記蒸発槽に前記廃硫酸を供給する際に、該廃硫酸の流量が調整されるとともに、前記供給槽内の圧力が前記蒸発槽内の圧力よりも高くなっている方法であることを特徴とする記憶媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−80048(P2012−80048A)
【公開日】平成24年4月19日(2012.4.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−226762(P2010−226762)
【出願日】平成22年10月6日(2010.10.6)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】