説明

基板処理装置ならびに基板処理装置におけるグラフ描画周期決定方法およびグラフ描画方法

【課題】空きリソースの不足の発生を防止することができる、基板処理装置ならびに基板処理装置におけるグラフ描画周期決定方法およびグラフ描画方法を提供する。
【解決手段】基板処理装置1では、データ収集部22により、薬液流量などのデータが一定のデータ収集周期DTで取得される。この取得されたデータは、データバッファ21に一時的に記憶される。データバッファ21からデータを読み出す周期に一致するグラフ描画周期GTは、コンピュータ2のリソースの使用状況の一例であるCPU使用率に基づいて決定される。そして、その決定されたグラフ描画周期GTでデータバッファ21からデータが読み出され、データの時間変化を示すグラフが操作パネル3のディスプレイ31に描画される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板に対する処理のために使用される基板処理装置ならびに基板処理装置におけるグラフ描画周期決定方法およびグラフ描画方法に関する。処理の対象となる基板には、たとえば、半導体ウエハ、液晶表示装置用基板、プラズマディスプレイ用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスク用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板などが含まれる。
【背景技術】
【0002】
半導体装置の製造などに用いられる基板処理装置には、コンピュータが備えられており、その稼働中は常に、コンピュータにより各部の状態が監視されている。たとえば、基板に対する処理中には、コンピュータにより、基板に供給される薬液の流量などのデータが一定のデータ収集周期で収集される。そして、薬液の流量が予め定める閾値以下に低下するなどの異常が発生すると、アラームが出力されたり、危険な場合には、処理が緊急に停止されたりする。これにより、基板に対する処理の品質の低下が防止され、基板処理装置が危険な状態に陥ることが防止されている。
【0003】
また、基板処理装置には、ディスプレイを含む操作パネルが設けられている。そして、一定のデータ収集周期で取得される薬液の流量などのデータは、操作パネルのディスプレイにグラフで表示されるようになっている。このグラフは、コンピュータによりデータが取得される度に再描画(更新)される。これにより、基板処理装置のユーザは、ディスプレイに表示されるグラフを見ることによって、基板処理装置の現在の状態をリアルタイムで確認することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平11−118528号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、グラフの再描画の際には、新たに取得されたデータと過去に取得されたデータとを比較して、最適なグラフ軸の描画範囲(スケール)が決定され、コンピュータのリソースが多く費やされる場合がある。グラフの再描画にコンピュータのリソースが多く費やされると、データの取得やアラーム出力、緊急停止制御のための空きリソースが不足し、それらの動作のリアルタイム性が損なわれるおそれがある。
【0006】
本発明の目的は、空きリソースの不足の発生を防止することができる、基板処理装置ならびに基板処理装置におけるグラフ描画周期決定方法およびグラフ描画方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記の目的を達成するための請求項1記載の基板処理装置は、ディスプレイと、所定のデータを一定のデータ取得周期で取得するデータ取得手段と、前記データ取得手段により取得された前記データを一時的に記憶するデータバッファと、少なくとも前記データ取得手段を実現するコンピュータのリソースの使用状況に基づいて、前記データバッファから前記データを読み出す周期を決定する周期決定手段と、前記周期決定手段で決定された周期で、前記データバッファから前記データを読み出し、前記データの時間変化を示すグラフを前記ディスプレイに描画するグラフ描画手段とを備えている。
【0008】
この基板処理装置では、データ取得手段により、所定のデータが一定のデータ取得周期で取得される。この取得されたデータは、データバッファに一時的に記憶される。データバッファからデータを読み出す周期は、少なくともデータ取得手段を実現するコンピュータのリソースの使用状況に基づいて決定される。そして、その決定された周期でデータバッファからデータが読み出され、データの時間変化を示すグラフがディスプレイに描画される。
【0009】
データが取得される度にグラフが描画されるのではなく、コンピュータのリソースの使用状況に基づいて決定された周期でグラフが描画されるので、空きリソースの不足を防止することができる。すなわち、コンピュータの空きリソースが少ないときには、グラフの描画の周期が長い周期に設定されることにより、グラフの描画に使用されるリソースを低減することができ、空きリソースを増やすことができるので、空きリソースの不足の発生を防止することができる。
【0010】
請求項2に記載のように、基板処理装置が、ユーザがユーザ設定周期を入力するために、ユーザにより操作される操作部をさらに備える場合、周期決定手段は、コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を設定し、当該システム設定周期と操作部から入力されるユーザ設定周期とを比較して、ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、ユーザ設定周期をデータバッファからデータを読み出す周期に決定し、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、システム設定周期をデータバッファからデータを読み出す周期に決定することが好ましい。
【0011】
ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、ユーザが設定するユーザ設定周期でグラフがディスプレイに描画され、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、グラフがシステム設定周期で描画されるので、コンピュータの空きリソースがグラフの描画のために不足することを防止できる。
請求項3に記載のグラフ描画周期決定方法は、コンピュータを備える基板処理装置において、所定のデータの時間変化を示すグラフをディスプレイに描画する周期を決定する方法であって、前記コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を設定するシステム設定周期設定ステップと、ユーザによる操作部の操作により入力されるユーザ設定周期を取得するユーザ設定周期取得ステップと、前記システム設定周期設定ステップで設定されたシステム設定周期と前記ユーザ設定周期取得ステップで取得されたユーザ設定周期とを比較して、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期よりも長い場合には、前記ユーザ設定周期を前記グラフを描画する周期に決定し、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期以下である場合には、前記システム設定周期を前記グラフを前記ディスプレイに描画する周期に決定する周期決定ステップとを含む。
【0012】
このグラフ描画周期決定方法によれば、コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期が設定される。また、ユーザによる操作部の操作により入力されるユーザ設定周期が取得される。そして、システム設定周期とユーザ設定周期とが比較されて、ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、ユーザ設定周期がグラフを描画する周期に決定され、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、システム設定周期がグラフをディスプレイに描画する周期に決定される。
【0013】
そのため、ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、グラフの描画の周期がユーザにより設定されたユーザ設定周期とされ、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、グラフの描画の周期がシステム設定周期にされるので、画像形成装置のコンピュータの空きリソースがグラフの描画のために不足することを防止できる。
請求項4に記載のグラフ描画方法は、コンピュータを備える基板処理装置において、所定のデータの時間変化を示すグラフをディスプレイに描画する方法であって、前記データを一定のデータ取得周期で取得するデータ取得ステップと、前記データ取得ステップで取得された前記データをデータバッファに一時的に記憶させるデータバッファステップと、前記コンピュータのリソースの使用状況に基づいて、前記データバッファから前記データを読み出す周期を決定する周期決定ステップと、前記周期決定ステップで決定された周期で、前記データバッファから前記データを読み出し、前記グラフを前記ディスプレイに描画するグラフ描画ステップとを含む。
【0014】
このグラフ描画方法によれば、所定のデータが一定のデータ取得周期で取得される。この取得されたデータは、データバッファに一時的に記憶される。データバッファからデータを読み出す周期は、コンピュータのリソースの使用状況に基づいて決定される。そして、その決定された周期でデータバッファからデータが読み出され、データの時間変化を示すグラフがディスプレイに描画される。
【0015】
データが取得される度にグラフが描画されるのではなく、コンピュータのリソースの使用状況に基づいて決定された周期でグラフが描画されるので、空きリソースの不足を防止することができる。すなわち、コンピュータの空きリソースが少ないときには、グラフの描画の周期が長い周期に設定されることにより、グラフの描画に使用されるリソースを低減することができ、空きリソースを増やすことができるので、空きリソースの不足の発生を防止することができる。
【0016】
請求項5に記載のように、グラフ描画方法が、コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を設定するシステム設定周期設定ステップと、ユーザによる操作部の操作により入力されるユーザ設定周期を取得するユーザ設定周期取得ステップとをさらに含む場合、周期決定ステップでは、システム設定周期設定ステップで設定されたシステム設定周期とユーザ設定周期取得ステップで取得されたユーザ設定周期とが比較されて、ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、ユーザ設定周期がデータバッファからデータを読み出す周期に決定され、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、システム設定周期がデータバッファからデータを読み出す周期に決定されることが好ましい。
【0017】
ユーザ設定周期がシステム設定周期よりも長い場合には、ユーザが設定するユーザ設定周期でグラフがディスプレイに描画され、ユーザ設定周期がシステム設定周期以下である場合には、グラフがシステム設定周期で描画されるので、コンピュータの空きリソースがグラフの描画のために不足することを防止できる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の要部の構成を示すブロック図である。
【図2】図2は、図1に示す描画周期調整部におけるグラフ描画周期の決定方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】図3は、CPU使用率に応じたシステム設定周期の一例を示す表である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下では、本発明の実施の形態を、添付図面を参照して詳細に説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る基板処理装置の要部の構成を示すブロック図である。
基板処理装置1は、半導体装置の製造工場などに設置され、半導体ウエハなどの基板に対する処理のために使用される。基板処理装置1における処理の方式は、とくに限定されず、基板を1枚ずつ処理する枚葉式であってもよいし、複数枚の基板を一括して処理するバッチ式であってもよい。枚葉式が採用される場合、基板処理装置1は、たとえば、基板を保持するための基板保持機構、基板保持機構に対して1枚の基板を受け渡しするためのロボットなどを備える。バッチ式が採用される場合、基板処理装置1は、たとえば、複数枚の基板を一括して保持する基板保持機構、基板保持機構により保持された基板を一括して収容する処理槽などを備える。基板に対する処理としては、基板を洗浄する洗浄処理、基板の表面上の薄膜を除去するためのエッチング処理、基板を加熱/冷却する熱処理、基板の表面上に膜を形成するための膜形成処理などが例示される。以下の説明においては、基板処理装置1では、処理室内に1枚の基板が収容されて、薬液および純水を用いてその基板を洗浄する枚葉式の洗浄処理が行われるものとする。
【0020】
基板処理装置1は、コンピュータ2と、ユーザが操作可能な位置に配置される操作パネル3と、ユーザが視認可能な位置に配置される警報ランプ4とを備えている。
コンピュータ2は、CPUおよびメモリなどをハードウェア構成として備えている。メモリの記憶領域の一部は、データを一時的に記憶しておくためのデータバッファ21として使用される。
【0021】
操作パネル3には、ディスプレイ31や、ディスプレイ31に表示される画面上でボタンを押下したり数値などを入力したりするための入力デバイス(図示せず)が設けられている。ディスプレイ31には、後述する各データの時間変化を示すグラフが表示(描画)される。そして、ユーザは、入力デバイスを操作することにより、そのディスプレイ31へのグラフの描画の周期をユーザ設定周期UTとしてコンピュータ2に入力することができるようになっている。
【0022】
また、基板処理装置1は、コンピュータ2がプログラムを実行することにより実現される機能処理部を備えている。この機能処理部には、データ収集部22、ガス漏れ監視部23、緊急停止制御部24、薬液流量監視部25、アラーム出力部26、CPU使用率演算部27、描画周期調整部28およびグラフ描画処理部29が含まれる。
データ収集部22は、基板処理装置1の各部に配置されたセンサ類から、基板に供給される薬液の流量および温度、処理室内からの排気流量などのデータを一定のデータ収集周期DT(たとえば、100msec)で収集する。そして、データ収集部22は、その収集したデータをデータバッファ21に格納するとともに、排気流量のデータをガス漏れ監視部23に入力し、薬液流量のデータを薬液流量監視部25に入力する。
【0023】
ガス漏れ監視部23は、データ収集部22から入力される排気流量のデータを常に監視している。そして、ガス漏れ監視部23は、処理室からの排気の流量が予め定める流量以下に低下すると、処理室または処理室に接続された排気配管系からのガス漏れが生じていると判断し、緊急停止制御部24に緊急停止指令信号を入力する。
緊急停止制御部24は、ガス漏れ監視部23からの緊急停止指令信号の入力に応答して、基板処理装置1の各部の動作を緊急に停止させる。
【0024】
薬液流量監視部25は、データ収集部22から入力される薬液流量のデータを常に監視している。そして、薬液流量監視部25は、基板に供給される薬液の流量が予め定める流量以下に低下すると、薬液の供給系に異常が発生していると判断し、アラーム出力部26にアラーム出力信号を入力する。
アラーム出力部26は、薬液流量監視部25からのアラーム出力信号の入力に応答して、基板への薬液の供給を停止するとともに、警報ランプ4を点灯させる。
【0025】
CPU使用率演算部27は、コンピュータ2のリソースの使用状況の一例であるCPU使用率を演算し、その演算したCPU使用率を描画周期調整部28に入力する。
描画周期調整部28には、CPU使用率演算部27からのCPU使用率に加えて、ユーザが操作パネル3を操作して入力するユーザ設定周期UTがメモリを介して入力されるようになっている。描画周期調整部28は、CPU使用率およびユーザ設定周期UTに基づいて、操作パネル3のディスプレイ31へのグラフの描画の周期(グラフ描画周期)GTを決定する。このグラフ描画周期GTの具体的な決定方法については、後に詳述する。そして、描画周期調整部28は、グラフ描画周期GTごとに、データバッファ21に蓄積されているデータを読み出し、その読み出したデータをグラフ描画処理部29に入力する。すなわち、データバッファ21には、グラフ描画周期GTの1周期の間にデータ収集部22に収集された各データが蓄積されており、描画周期調整部28は、そのデータバッファ21に蓄積された1周期分の各データをグラフ描画処理部29に入力する。
【0026】
なお、データバッファ21に蓄積可能なデータ量には限界があるので、グラフ描画周期GTは、グラフ描画周期GTの1周期の間にデータ収集部22に収集されるデータ量がデータバッファ21に蓄積可能な最大のデータ量を超えるような長い周期には設定されない。したがって、ユーザ設定周期UTがそのような長い周期に設定された場合、その設定は無効にされる。
【0027】
グラフ描画処理部29は、描画周期調整部28からデータが入力されると、その入力されたデータと過去に入力されたデータとを比較して、最適なグラフ軸の描画範囲(スケール)を決定し、その最適なスケールでデータの時間変化を示すグラフをディスプレイ31に描画する。なお、グラフの表示形態としては、ユーザが操作パネル3の入力デバイスを操作して、ディスプレイ31の画面を切り替えることにより、各データのグラフが順に1つずつ表示されてもよいし、すべてのデータのグラフがディスプレイ31の1画面にまとめて表示されてもよい。
【0028】
図2は、描画周期調整部28におけるグラフ描画周期の決定方法を示すフローチャートである。図3は、CPU使用率に応じたシステム設定周期の一例を示す表である。
基板処理装置1の電源がオンされると、データ収集周期DTが取得される(ステップS1)。
また、操作パネル3から入力されるユーザ設定周期UTが取得される(ステップS2)。なお、このユーザ設定周期UTの取得とは、操作パネル3から入力されてメモリに保存されているユーザ設定周期UTがメモリから読み出されることを意味する。
【0029】
さらに、CPU使用率演算部27からCPU使用率が取得される(ステップS3)。
そして、CPU使用率に応じたシステム設定周期STが演算される(ステップS4)。
具体的には、図3に示すように、CPU使用率が0%以上20%未満である場合には、データ収集周期DTを10倍することによりシステム設定周期ST=DT×10が算出される。CPU使用率が20%以上30%未満である場合には、データ収集周期DTを20倍することにより、システム設定周期ST=DT×20が算出される。CPU使用率が30%以上50%未満である場合には、データ収集周期DTを50倍することによりシステム設定周期ST=DT×50が算出される。CPU使用率が50%以上である場合には、データ収集周期DTを100倍することによりシステム設定周期ST=DT×100が算出される。
【0030】
たとえば、データ収集周期DTが100msecである場合において、CPU使用率が0%以上20%未満である場合には、システム設定周期STが1sec(=1000msec)と算出され、CPU使用率が20%以上30%未満である場合には、システム設定周期STが2sec(=2000msec)と算出され、CPU使用率が30%以上50%未満である場合には、システム設定周期STが5sec(=5000msec)と算出され、CPU使用率が50%以上である場合には、システム設定周期STが10sec(=10000msec)と算出される。
【0031】
つづいて、ユーザ設定周期UTとシステム設定周期STとが比較され、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期STよりも長いか否かが判断される(ステップS5)。
ユーザ設定周期UTがシステム設定周期STよりも長い場合には(ステップS5のYES)、ユーザ設定周期UTがグラフ描画周期GTに決定される(ステップS6)。
一方、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期ST以下である場合には(ステップS5のNO)、システム設定周期STがグラフ描画周期GTに決定される(ステップS7)。
【0032】
こうしてグラフ描画周期GTが決定されると、負荷監視タイマがリセットされる(ステップS8)。そして、負荷監視タイマによる計時が新たに開始される。負荷監視タイマは、たとえば、コンピュータ2のメモリ内に設けられるRAMカウンタとクロックを発生する発振器とにより構成することができる。
負荷監視タイマによる計測時間が予め定める時間(たとえば、60sec)に達すると、タイマイベントが発生する。タイマイベントが発生すると(ステップS9のYES)、ユーザ設定周期UTおよびCPU使用率が再取得され(ステップS2,S3)、グラフ描画周期GTが再決定される(ステップS4〜S7)。グラフ描画周期GTが再決定されると、負荷監視タイマが一旦リセットされた後に再スタートされる。
【0033】
グラフ描画周期GTの決定からタイマイベントが発生するまでの間は、基板処理装置1の電源がオフされたか否かが繰り返し調べられ(ステップS10)、電源がオフされると、このグラフ描画周期GTの決定のための処理が終了する。
以上のように、基板処理装置1では、データ収集部22により、薬液流量などのデータが一定のデータ収集周期DTで取得される。この取得されたデータは、データバッファ21に一時的に記憶される。データバッファ21からデータを読み出す周期に一致するグラフ描画周期GTは、コンピュータ2のリソースの使用状況の一例であるCPU使用率に基づいて決定される。そして、その決定されたグラフ描画周期GTでデータバッファ21からデータが読み出され、データの時間変化を示すグラフが操作パネル3のディスプレイ31に描画される。
【0034】
データが取得される度にグラフが描画されるのではなく、コンピュータ2のCPU使用率に基づいて決定されたグラフ描画周期GTでグラフが描画されるので、空きリソースの不足を防止することができる。すなわち、コンピュータ2の空きリソースが少ないときには、グラフ描画周期GTが長い周期に設定されることにより、グラフの描画に使用されるリソースを低減することができ、空きリソースを増やすことができるので、空きリソースの不足の発生を防止することができる。
【0035】
具体的には、グラフ描画周期GTの決定に際しては、コンピュータ2のCPU使用率に応じたシステム設定周期STが演算される。また、ユーザによる操作パネル3の操作により入力されるユーザ設定周期UTが取得される。そして、システム設定周期STとユーザ設定周期UTとが比較されて、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期STよりも長い場合には、ユーザ設定周期UTがグラフ描画周期GTに決定され、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期ST以下である場合には、システム設定周期STがグラフ描画周期GTに決定される。
【0036】
そのため、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期STよりも長い場合には、グラフ描画周期GTをユーザが所望するユーザ設定周期UTとすることができ、ユーザ設定周期UTがシステム設定周期ST以下である場合には、グラフ描画周期GTがシステム設定周期STにされるので、コンピュータ2の空きリソースがグラフの描画のために不足することを防止できる。その結果、データの取得やアラーム出力、緊急停止制御にコンピュータ2のリソースを使用することができ、それらの動作のリアルタイム性を確保することができる。
【0037】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、他の形態で実施することもできる。
たとえば、CPU使用率をコンピュータのリソースの使用状況の一例として取り上げたが、リソースの使用状況の他の例として、コンピュータのメモリ(物理メモリ)の使用率、メモリの未使用容量などを挙げることができる。また、CPUによる処理中のプロセス数も、リソースの使用状況を間接的に表す。
【0038】
また、システム設定周期がデータ収集周期の整数倍に設定される例を取り上げたが、システム設定周期は、データ収集周期よりも長ければ、データ収集周期の整数倍でなくてもよい。
その他、特許請求の範囲に記載された事項の範囲で種々の設計変更を施すことが可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 基板処理装置
2 コンピュータ
3 操作パネル(操作部)
21 データバッファ
22 データ収集部(データ取得手段)
28 描画周期調整部(周期決定手段)
29 グラフ描画処理部(グラフ描画手段)
31 ディスプレイ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対する処理のために使用される基板処理装置であって、
ディスプレイと、
所定のデータを一定のデータ取得周期で取得するデータ取得手段と、
前記データ取得手段により取得された前記データを一時的に記憶するデータバッファと、
少なくとも前記データ取得手段を実現するコンピュータのリソースの使用状況に基づいて、前記データバッファから前記データを読み出す周期を決定する周期決定手段と、
前記周期決定手段で決定された周期で、前記データバッファから前記データを読み出し、前記データの時間変化を示すグラフを前記ディスプレイに描画するグラフ描画手段とを含む、基板処理装置。
【請求項2】
ユーザがユーザ設定周期を入力するために、ユーザにより操作される操作部をさらに含み、
前記周期決定手段は、前記コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を決定し、当該システム設定周期と前記操作部から入力されるユーザ設定周期とを比較して、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期よりも長い場合には、前記ユーザ設定周期を前記データバッファから前記データを読み出す周期に決定し、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期以下である場合には、前記システム設定周期を前記データバッファから前記データを読み出す周期に決定する、請求項1に記載の基板処理装置。
【請求項3】
コンピュータを備える基板処理装置において、所定のデータの時間変化を示すグラフをディスプレイに描画する周期を決定する方法であって、
前記コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を設定するシステム設定周期設定ステップと、
ユーザによる操作部の操作により入力されるユーザ設定周期を取得するユーザ設定周期取得ステップと、
前記システム設定周期設定ステップで設定されたシステム設定周期と前記ユーザ設定周期取得ステップで取得されたユーザ設定周期とを比較して、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期よりも長い場合には、前記ユーザ設定周期を前記グラフを描画する周期に決定し、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期以下である場合には、前記システム設定周期を前記グラフを前記ディスプレイに描画する周期に決定する周期決定ステップとを含む、グラフ描画周期決定方法。
【請求項4】
コンピュータを備える基板処理装置において、所定のデータの時間変化を示すグラフをディスプレイに描画する方法であって、
前記データを一定のデータ取得周期で取得するデータ取得ステップと、
前記データ取得ステップで取得された前記データをデータバッファに一時的に記憶させるデータバッファステップと、
前記コンピュータのリソースの使用状況に基づいて、前記データバッファから前記データを読み出す周期を決定する周期決定ステップと、
前記周期決定ステップで決定された周期で、前記データバッファから前記データを読み出し、前記グラフを前記ディスプレイに描画するグラフ描画ステップとを含む、グラフ描画方法。
【請求項5】
前記コンピュータのリソースの使用状況に応じたシステム設定周期を設定するシステム設定周期設定ステップと、
ユーザによる操作部の操作により入力されるユーザ設定周期を取得するユーザ設定周期取得ステップとをさらに含み、
前記周期決定ステップでは、前記システム設定周期設定ステップで設定されたシステム設定周期と前記ユーザ設定周期取得ステップで取得されたユーザ設定周期とが比較されて、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期よりも長い場合には、前記ユーザ設定周期が前記データバッファから前記データを読み出す周期に決定され、前記ユーザ設定周期が前記システム設定周期以下である場合には、前記システム設定周期が前記データバッファから前記データを読み出す周期に決定される、請求項4に記載のグラフ描画方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−224974(P2010−224974A)
【公開日】平成22年10月7日(2010.10.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−72731(P2009−72731)
【出願日】平成21年3月24日(2009.3.24)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】