説明

基板処理装置

【目的】 プラズマ処理装置の処理速度に合わせて、他の処理装置における処理速度も速くすることができる基板処理装置を提供する。
【構成】 基板処理装置は、一対のカセット1,1、搬入搬出装置2、一対の洗浄装置(液体供給装置)3,3、ハンドリングロボット4、冷却装置5、一対のロードロック室6,6及び一対のアッシング装置(プラズマ処理装置)7,7が配置されている。冷却装置5は、冷媒が循環するクールプレート51とこのクールプレート51に基板Wを載置する昇降ピン52を備えている。特にクールプレート51は上下2段とされ、各クールプレート51に形成した貫通穴53に昇降ピン52を挿通するとともに、各昇降ピン52を共通の支持部材54に取り付け、シリンダユニットを駆動して支持部材54を昇降せしめることで、2枚の基板Wを同時に昇降動せしめるようにしている。また、カップ31とチャック2からなる洗浄装置3も冷却装置5と同様に多段式となっている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は半導体ウェーハ等の基板に対しアッシングなどのプラズマ処理から洗浄などの液体処理に至るまでの一連の処理を行なう基板処理装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1〜3に開示されるように、半導体ウェーハやガラス基板などの基板に対し、アッシングやエッチングなどのプラズマ処理を行った後、冷却や洗浄をプラズマ処理装置の近傍に配置した装置によっておこなっている。
【0003】
即ち、特許文献1には、搬送受渡し用ロボットの周囲に、ロードロック室とプラズマ処理装置としてエッチング装置及びアッシング装置を配置し、更にこれらから離れた箇所に洗浄装置を配置したレイアウトが示されている。
【0004】
特許文献2には、インデクサロボットとプロセッサロボットを互いに直交する方向に移動可能に設け、インデクサロボットの移動方向に沿ってカセットを配置し、プロセッサロボットの移動方向に沿ってプラズマ処理装置及び複数の液相処理装置を配置したレイアウトが示されている。
【0005】
特許文献3には、搬送ロボットの周囲にアッシング用のプラズマ処理装置、冷却装置、表面スクラバー及び裏面スクラバーを配置したレイアウトが開示されている。
【特許文献1】特開平11−003925号公報
【特許文献2】特開2003−115525号公報
【特許文献3】特開2003−257945号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
上述した特許文献1〜3に開示される装置によれば、アッシングなどのプラズマ処理から洗浄に至るまでの処理を連続して行なうことが出来る。しかしながら、
アッシングやエッチングに要する時間は、冷却や洗浄に要する時間よりも通常短いため、処理全体としてのスループットは最善とは言えない。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決すべく本発明に係る基板処理装置は、基板に対しプラズマ処理を施すプラズマ処理装置と、このプラズマ処理が終了した基板を冷却する冷却装置と、冷却後の基板に洗浄液等を供給する液体供給装置とを備え、且つ前記冷却装置および液体供給装置を多段式とした。
【0008】
前記冷却装置としては、複数段のクールプレートと、これら複数段のクールプレートに対し同時に基板を昇降動せしめる昇降ピンを備えた構成が考えられる。
【0009】
前記液体供給装置としては、各段毎に液体供給ノズル、基板の周囲を囲むカップ及び基板を保持して回転せしめるチャックを備え、前記カップとチャックは分離され、全てのカップは一体的に昇降可能となるように昇降部材に支持され、また全てのチャックは固定部材に支持されるとともに上下方向に配置された駆動軸から回転駆動力が分岐して伝達される構成が考えられる。
【0010】
尚、各装置のレイアウトとしては、搬送ロボットを中心に配置し、この搬送ロボットの周囲に前記プラズマ処理装置、冷却装置及び液体供給装置を配置するのが好ましく、更に本発明に係る基板処理装置はアッシング処理に特に有効である。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、プラズマ処理装置と、このプラズマ処理が終了した基板を冷却する冷却装置と、冷却後の基板に洗浄液等を供給する液体供給装置とを備えた基板処理装置において、プラズマ処理よりもタクトタイムの遅い冷却および液体供給を行なう装置を多段式としたので、占有面積をそのままにして、最も処理速度の速いプラズマ処理装置にタクトタイムを合わせることができ、最速のスループットを実現することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下に本発明の実施例を添付図面に基づいて説明する。図1は本発明に係る基板処理装置の全体平面図であり、図の左側から右側に向かって順に、一対のカセット1,1、搬入搬出装置2、一対の洗浄装置(液体供給装置)3,3、ハンドリングロボット4、冷却装置5、一対のロードロック室6,6及び一対のアッシング装置(プラズマ処理装置)7,7が配置されている。
【0013】
前記搬入搬出装置2はレール21に3軸ロボット22が走行可能に取り付けられ、一方のカセット1内の未処理基板Wを取り出しストックポイント4’を介してハンドリングロボット4に受け渡すとともに、処理済の基板Wをハンドリングロボット4からストックポイント4’を介して受取り、他方のカセット1に受け渡す。
【0014】
前記ハンドリングロボット4は360°回転可能な基台上に、伸縮自在なアーム4aを2本備え、前記3軸ロボット22から受け取った未処理基板Wを一対のロードロック室6のうちの一方のロードロック室6内に配置されているロボット61に受け渡す。
【0015】
そして、ロボット61はロードロック室6の背面側に配置されるアッシング装置7内に未処理基板Wを搬入する。アッシング装置7は図2に示すように、ベース71にテーブル72が下方から臨む開口73を形成し,この開口73を覆うようにベース71上にチャンバー74を固着し、このチャンバー74の周囲に高周波電源に接続される誘導コイル75を巻回し、この誘導コイル75とチャンバー74との間に静電シールド76を設け、更にチャンバー74の天井部には反応ガス導入口77をつなげている。
【0016】
上記アッシング装置7内でアッシング処理された基板Wは200℃程度まで温度が上昇しているので、直ちに洗浄すると、温度分布のばらつきが生じる。そこで、前記ロボット61及びハンドリングロボット4によって処理後の基板Wを冷却装置5に送り込んで、強制的に室温(23℃前後)まで冷却する。
【0017】
冷却装置5は図3に示すように、冷媒が循環するクールプレート51とこのクールプレート51に基板Wを載置する昇降ピン52を備えている。特にこの実施例にあってはクールプレート51を上下2段とし、各クールプレート51に形成した貫通穴53に昇降ピン52を挿通するとともに、各昇降ピン52を共通の支持部材54に取り付け、図示しないシリンダユニットを駆動して支持部材54を昇降せしめることで、2枚の基板Wを同時に昇降動せしめるようにしている。
【0018】
つまり、本実施例の場合、一対のアッシング装置7,7にて2枚の基板Wを同時に処理するので、冷却装置5においても2枚の基板Wを同時に冷却するようにしている。
【0019】
しかしながら、前記したように冷却処理に必要な時間はアッシング処理に要する時間よりも長い。そこで、全体効率を考慮すると、図4(a)に示すように、クールプレート51を上下4段とし、2枚づつ合計4枚を同時に或いは若干時間をずらせて冷却処理する構成、或いは同図(b)に示すように、クールプレート51を上下6段とし、2枚づつ合計6枚を同時に或いは若干時間をずらせて冷却処理する構成も可能である。
【0020】
次に液体処理装置(液体供給装置)3の構造を図5〜図7に基づいて説明する。ここで、図5は液体処理装置の側面図、図6は液体処理装置の拡大断面図、図7は液処理装置の別実施例を示す図6と同様の図である。
【0021】
液体処理装置3は基板Wの周囲を囲むカップ31と基板Wを保持して回転せしめるチャック32とからなり、カップ31はチャック32に対して昇降可能とされている。尚、カップ31の数は2つとしたが前記クールプレートと同様にこれ以上でもよい。
【0022】
各カップ31は昇降部材33に支持されている。昇降部材33はシリンダユニット34の駆動によって支柱35に沿って昇降動する。また昇降部材33には水平方向のアーム36を設け、このアーム36に前記カップ31を固着している。また、アーム36には洗浄液供給ノズル37が取り付けられ、この洗浄液供給ノズル37の先端は前記チャック32の中心と一致している。尚、洗浄液供給ノズル37はアーム36ではなく、チャック32を固定している側の部材に固定してもよい。
【0023】
カップ31の上端開口には上方に伸びる筒状部38が一体的に形成され、カップ31内には温調部材39が配置され、またカップ31の底面にはドレイン穴40が開口し、このドレイン穴40に図示しない廃液パイプが接続されている。
【0024】
一方、チャック32は固定部材41に支持されている。固定部材41は上下方向の空洞状支柱42と水平方向に伸びる空洞状アーム43からなり、空洞状支柱42内には図示しないモータにて回転せしめられる駆動軸44が上下方向に配置されている。
【0025】
駆動軸44は各段ごとに分割され、分割された駆動軸44はユニバーサルジョイント45にて連結され、且つベアリング46で回転自在に支持されている。また、分割された駆動軸44には駆動プーリ47が固着され、チャック32の軸には被動プーリ48が固着され、これら駆動プーリ47と被動プーリ48間に張設されたタイミングベルト49が前記水平アーム43内に収納されている。
【0026】
以上において、シリンダユニット34を縮めて上下のカップ31を同時に15mm程度下降せしめる。この操作によりチャック32の上端面がカップ31の上端よりも若干上になる。この状態でチャック32に基板Wを載置し吸引固着する。
【0027】
この後、シリンダユニット34を伸ばし上下のカップ31を一体的に上昇させ、基板Wをカップ31内に収める。この状態で、洗浄液供給ノズル37から基板Wの表面中央に現像液を滴下するとともにモータ(図示せず)を駆動し、駆動軸44およびタイミングベルト49を介してチャック32(基板W)を回転させ、洗浄液を基板Wの表面に行き渡らせる。
【0028】
図7は別実施例を示す図であり、この実施例は前記筒状部38と温調部材39とを省略し、その代わりチャック32の外周部に整流板32aを設けている。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】本発明に係る基板処理装置の全体平面図
【図2】本発明に係る基板処理装置の一部を構成するプラズマ処理装置を示す図
【図3】本発明に係る基板処理装置の一部を構成する冷却装置の側面図
【図4】(a)及び(b)は冷却装置の別実施例の側面図
【図5】本発明に係る基板処理装置の一部を構成する液体処理装置の側面図
【図6】液体処理装置の拡大断面図
【図7】液処理装置の別実施例を示す図6と同様の図
【符号の説明】
【0030】
1…カセット
2…搬入搬出装置
21…レール
22…3軸ロボット
3…洗浄装置(液体供給装置)
31…カップ
32…チャック
32a…整流板
33…昇降部材
34…シリンダユニット
35…支柱
36…水平方向のアーム
37…洗浄液供給ノズル
38…筒状部
39…温調部材
40…ドレイン穴
41…固定部材
42…空洞状支柱
43…空洞状アーム
44…駆動軸
45…ユニバーサルジョイント
46…ベアリング
47…駆動プーリ
48…被動プーリ
49…タイミングベルト
4…ハンドリングロボット
4a…アーム
4’…ストックポイント
5…冷却装置
51…クールプレート
52…昇降ピン
53…貫通穴
54…支持部材
6…ロードロック室
61…ロードロック室内のロボット
7…アッシング装置(プラズマ処理装置)
71…ベース
72…テーブル
73…開口
74…チャンバー
75…誘導コイル
76…静電シールド
77…反応ガス導入口、
W…基板。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板に対しプラズマ処理を施すプラズマ処理装置と、このプラズマ処理が終了した基板を冷却する冷却装置と、冷却後の基板に洗浄液等を供給する液体供給装置とを備えた基板処理装置において、前記冷却装置および液体供給装置は多段式であることを特徴とする基板処理装置。
【請求項2】
請求項1に記載の基板処理装置において、前記冷却装置は複数段のクールプレートと、これら複数段のクールプレートに対し同時に基板を昇降動せしめる昇降ピンを備えていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項3】
請求項1に記載の基板処理装置において、前記液体供給装置は、各段毎に液体供給ノズル、基板の周囲を囲むカップ及び基板を保持して回転せしめるチャックを備え、前記カップとチャックは分離され、全てのカップは一体的に昇降可能となるように昇降部材に支持され、また全てのチャックは固定部材に支持されるとともに上下方向に配置された駆動軸から回転駆動力が分岐して伝達されることを特徴とする基板処理装置。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3に記載の基板処理装置において、この基板処理装置は搬送ロボットが中心に配置され、この搬送ロボットの周囲に前記プラズマ処理装置、冷却装置及び液体供給装置が配置されていることを特徴とする基板処理装置。
【請求項5】
請求項1乃至請求項4に記載の基板処理装置において、前記プラズマ処理はアッシング処理であることを特徴とする基板処理装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−41356(P2006−41356A)
【公開日】平成18年2月9日(2006.2.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−221782(P2004−221782)
【出願日】平成16年7月29日(2004.7.29)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】