基板収容器
【課題】内部空間の雰囲気を仕切ることによって、相互汚染が生じるのを抑制することができる基板収容器を提供する。
【解決手段】FOUP1に仕切り板DP1を装着すると、収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができる。したがって、内部空間5の仕切られた各雰囲気を使い分けることにより、基板の相互汚染を抑制することができる。また、特殊なFOUP1ではなく、規格化された標準的なFOUP1を用いることができるので、コストの上昇を仕切り板DP1に相当する分だけですませることができる。したがって、FOUP1内における内部空間5の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【解決手段】FOUP1に仕切り板DP1を装着すると、収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができる。したがって、内部空間5の仕切られた各雰囲気を使い分けることにより、基板の相互汚染を抑制することができる。また、特殊なFOUP1ではなく、規格化された標準的なFOUP1を用いることができるので、コストの上昇を仕切り板DP1に相当する分だけですませることができる。したがって、FOUP1内における内部空間5の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を複数枚収容する基板収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、密閉した雰囲気に複数枚の基板を収容して搬送するための基板収容器が挙げられる。この基板収容器は、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれている。このFOUPは、FOUP本体と、開口部と、支持溝と、蓋とを備えている。FOUP本体は、一側面に開口部を備え、内部空間に多段の支持溝が形成されている。複数枚の基板が開口部から多段の支持溝に載置されて収納されると、蓋が開口部に取り付けられる。そして、複数枚の基板は、FOUPごと所望の場所へ搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のFOUPを用いると、FOUP内の僅かな内部空間の清浄度を高めることにより、工場全体を高清浄度のクリーンルーム化した場合と同様の効果を得ることができる。したがって、クリーンルーム全体を高清浄度化するのに要する設備投資やその維持費を削減して、効率的に生産を行うことができる。また、FOUPの蓋を開放した状態で、窒素ガスを各基板に吹き付けて、各基板に付着している汚染物質を除去することも行われる。
【0004】
ところで、多くの基板を同時に収容して搬送できるように、一般的にFOUPは、例えば、25枚の基板を水平姿勢で積層して収容できるように構成されている。しかし、最近では、半導体デバイスの多様化に起因して、多品種少量生産の要望も増えている。そのような場合には、異なるデバイス用の基板が同一のFOUP内に混在されて搬送されることもある。また、25枚の内部空間のうち、半分程度(例えば、12枚の基板)だけを使うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−327911号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のFOUPは、異なる種類の基板が混在すると、FOUP内において異種の基板の間で汚染が生じる相互汚染の恐れがある。例えば、銅を用いている基板から銅被膜の破片等が、アルミニウム配線の基板に付着すると、銅が基板上のデバイスに致命的な欠陥を与える恐れがある。
【0007】
また、FOUPの内部空間の半分程度を同種の基板で使用する場合、基板が処理前に汚染されていると、たとえ処理によって基板を清浄化したとしても、FOUPの内部空間が汚染されているので、基板をFOUPに戻した際に、FOUPを介しての基板の相互汚染が生じる恐れがある。したがって、従来のFOUPでは、たとえ窒素ガスを吹き付けるようにして、処理前の基板から汚染物を除去するようにしても基板の相互汚染を避けられない恐れがある。
【0008】
なお、上記のような問題を回避するために、例えば、異種の基板や異なる金属材料を用いた基板を別々のFOUPで搬送することが考えられる。しかし、このような手法によると、FOUPの個数が増大するのでコストアップにつながり、さらにFOUPの保管スペースも増大する別異の問題が生じる。また、基板をFOUPから取り出して処理している間に、FOUPを洗浄することも考えられる。しかし、FOUPの洗浄時間が基板の処理時間より長くなる場合には、処理済の基板にFOUP待ちの時間が生じるので、スループットが低下するという別異の問題が生じることになる。したがって、上記の問題を解決することにはならない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内部空間の雰囲気を仕切ることによって、基板の相互汚染が生じるのを抑制することができる基板収容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、複数枚の基板を収容する基板収容器において、内部空間を有する収容器本体と、前記収容器本体に形成され、前記内部空間に連通した開口部と、前記収容器本体の内壁に設けられ、基板の端縁下面を当接支持する複数の支持溝と、前記開口部に着脱自在の蓋と、前記複数の支持溝に着脱自在に装着されて、前記内部空間を複数の雰囲気に仕切る仕切り板と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、仕切り板を支持溝に装着すると、収容器本体の内部空間を複数の雰囲気に仕切ることができる。したがって、内部空間を、異なる雰囲気ごとに使い分けることにより、収容器本体における基板の相互汚染を抑制することができる。
【0012】
また、仕切り板は支持溝に着脱自在であり、特殊な基板収容器でなく、規格化された標準的な基板収容器を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇を仕切り板に相当する分だけですませることができる。したがって、内部空間の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【0013】
なお、ここでいう「雰囲気を仕切る」とは、部材で空間を完全に分離するのではなく、空間の相互間で気体が容易に行き来するのを抑制する程度に空間を分けることをいう。
【0014】
また、本発明において、前記仕切り板は、ダミー基板であることが好ましい(請求項2)。仕切り板を特殊な材料で構成することなく、処理する基板と同種のダミー基板とするので、仕切り板からの汚染を容易に低コストで抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成されていることが好ましい(請求項3)。基板とは異なる板状部材で仕切り板を構成するので、仕切り板を基板収容器の内部空間に応じた形状にすることができる。したがって、仕切り板の形状を変えることにより、内部空間の気流を適切に抑制できるので、基板相互間の汚染をさらに抑制することができる。
【0016】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、前記板状部材は、内部空間の内壁に当接する端面と、内部空間の内壁から離間した端面とを備えていることが好ましい(請求項4)。基板とは異なる板状部材で仕切り板を構成し、板状部材は、端面が内部空間の内壁に当接する部分と、端面が内部空間の内壁から離間する部分とを有する。したがって、板状部材の形状に応じて、雰囲気を仕切る度合いを所望の度合いにすることができる。
【0017】
なお、ここでいう「内部空間の内壁」とは、基板収容器の内側で内部空間を形成する面であり、内部空間の内壁に設けられた部材を含む。
【0018】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、前記板状部材は、周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えていることが好ましい(請求項5)。周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えた板状部材で仕切り板を構成するので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。したがって、基板の相互汚染の抑制度合いを高くすることができる。
【0019】
なお、ここでいう「内部空間の内壁」とは、基板収容器の内側で内部空間を形成する面であり、内部空間の内壁に設けられた部材を含む。
【0020】
また、本発明において、前記板状部材は、縦断面形状が起伏状に構成されていることが好ましい(請求項6)。板状部材の縦断面形状を起伏状にするので、仕切り板の上方に載置された基板からパーティクルが落下したとしても、山谷部分でパーティクルが移動しづらくできる。したがって、落下したパーティクルが搬送中に仕切り板を移動して、他の基板を汚染するような相互汚染を抑制することができる。
【0021】
また、本発明において、前記板状部材は、平面視で中心部に一つの貫通穴が形成されていることが好ましい(請求項7)。平面視で中心部に一つの貫通穴を形成してあるので、板状部材の軽量化を図ることができる。貫通穴は、板状部材の中心部にだけ形成されているので、基板の端面と支持溝との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通穴を通してパーティクルが落下することによる相互汚染は抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通穴の大きさを変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0022】
また、本発明において、前記板状部材は、平面視で中心領域に複数個の小さな貫通孔が形成されていることが好ましい(請求項8)。複数個の小さな貫通孔により板状部材の軽量化を図ることができる。貫通孔は、平面視で板状部材の中心領域にのみ形成されているので、基板の端面と支持溝との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通孔からパーティクルが落下することによる相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔の大きさや数を変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0023】
また、本発明において、前記仕切り板は、複数枚の板状部材と、前記複数の支持溝の間隔で前記各板状部材を支持する支持部材とを備え、前記複数枚の板状部材は、複数個の小さな貫通孔が形成されており、前記複数個の小さな貫通孔は、平面視で、前記板状部材ごとに異なる領域に形成されていることが好ましい(請求項9)。複数枚の板状部材を支持部材で離間させて仕切り板が構成されているので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。さらに、複数枚の板状部材は複数個の貫通孔が形成されているので、板状部材が複数であっても重量の増加を抑制することができる。その上、各板状部材の貫通孔は、平面視で板状部材ごとに異なる領域に形成されているので、パーティクル等が上から下に落下しづらくできる。したがって、貫通孔を介しての基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔の大きさや数を変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0024】
また、本発明において、前記収容器本体は、前記内部空間の圧力と外部圧力とを一定に保つ機能を備えた吸入部と排気部とを備え、前記吸入部から不活性ガスを圧入されるとともに、前記排気部から前記内部空間内の気体が強制的に排気されることが好ましい(請求項10)。吸入部から内部空間に不活性ガスを圧入し、排気部から内部空間の気体を強制的に排気することにより、内部空間を不活性ガスで満たすことができる。その際、仕切り板で内部空間を仕切っているので、不活性ガスの使用量を低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板収容器によれば、仕切り板を装着すると、収容器本体の内部空間を複数の雰囲気に仕切ることができる。したがって、内部空間を、異なる雰囲気ごとに使い分けることにより、収容器本体における基板の相互汚染を抑制することができる。
【0026】
また、仕切り板は支持溝に着脱自在であり、規格化された標準的な基板収容器を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇は、仕切り板だけですむ。したがって、内部空間の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係るFOUPの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】実施例1に係る仕切り板を示す平面図である。
【図3】実施例1に係る仕切り板を示す正面図である。
【図4】実施例2に係る仕切り板を示す平面図である。
【図5】実施例3に係る仕切り板を示す平面図である。
【図6】実施例4に係る仕切り板を示す正面図である。
【図7】第1の変形例を示す平面図である。
【図8】第2の変形例を示す平面図である。
【図9】第3の変形例を示す平面図である。
【図10】第3の変形例を示す縦断面図である。
【図11】FOUPの変形例を示す一部破断縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る基板収容器としてFOUP(Front Opening Unified Pod)を例にとって以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るFOUPの概略構成を示す縦断面図であり、図2は、実施例1に係る仕切り板を示す平面図であり、図3は、実施例1に係る仕切り板を示す正面図である。
【0030】
本発明における「基板収容器」に相当するFOUP1は、複数枚の基板Wを水平姿勢で積層して収納可能に構成されている。FOUP1は、収容器本体3を備えている。この収容器本体3は、内部空間5を備え、内部空間5の正面側には開口部7を備えている。収容器本体3は、例えば、ポリカーボネートなどで成形加工によって製造されている。内部空間5のうち、開口部7の両側面には、基板Wを載置するための支持部9が設けられている。また、内部空間5の奥側には、当接部11が設けられている。
【0031】
支持部9は、例えば、25枚の基板Wを載置できるように、25個の支持溝13を備えている。支持溝13は、上向き面にて基板Wの下面を当接して基板Wを水平姿勢に支持する。支持部9の奥側に位置する当接部11は、基板Wの後側端面が当接し、基板Wの水平位置を固定する。
【0032】
FOUP1の上面には、搬送機構(図示省略)が把持するための把持部15を備えている。なお、図3では、図示の関係上、把持部15を省略している。
【0033】
開口部7は、蓋17が着脱可能に構成されている。この蓋17は、ロードポート(図示省略)にFOUP1が載置された状態で、ロードポートが備える開閉機構(図示省略)によって開口部7に装着されたり、取り外されたりする。蓋17が開口部7に装着されると、FOUP1の内部空間5が外部の雰囲気と遮断される。
【0034】
支持部9のうち、例えば、高さ方向の中央部付近にある一つの支持溝13には、仕切り板DP1が載置されている。この仕切り板DP1は、基板Wと同種の基板であってデバイスが形成されていないダミー基板である。例えば、図3のように支持部9の高さ方向における中央部(上から13段目、下から13段目)に仕切り板DP1を載置する。
【0035】
このように仕切り板DP1を載置すると、仕切り板DP1によって上部の第1の空間SP1の雰囲気と、下部の第2の空間SP2の雰囲気とを分離することができる。仕切り板DP1は、内部空間5を二つの空間SP1,SP2に分離するが、分離したい空間の大きさに応じて支持部9の任意の位置に載置することができる。
【0036】
なお、分離された二つの空間SP1,SP2は、次のように使い分かればよい。例えば、第2の空間SP2に洗浄処理前の基板Wを収容し、第1の空間SP1に洗浄処理後の基板Wを収容するようにFOUP1の内部空間5を使い分ける。このようにすると、第2の空間SP2から搬出された基板Wは、洗浄処理により清浄化された後、第1の空間SP1に戻されるので、第2の空間SP2の支持溝13に付着している恐れのあるパーティクル等が洗浄処理後の基板Wに再付着するのを抑制できる。
【0037】
なお、パーティクル等が落下して下方に移動することを考慮すると、上述した使い分けが好適であるものの、第1の空間SP1に洗浄処理前の基板Wを収容し、第2の空間SP2に洗浄処理後の基板Wを収容するようにしてもよい。このようにしても、仕切り板DP1により雰囲気が遮断されているので、洗浄処理前に載置されていた元の支持溝13に洗浄処理後の基板Wを戻す場合に比較して相互汚染を抑制できる。
【0038】
また、例えば、第2の空間SP2に銅配線を形成した基板Wを収容し、第1の空間SP1にアルミニウム配線を形成した基板Wを収容するようにFOUP1の内部空間5を使い分けてもよい。このようにすると、第2の空間SP2に収容された基板Wからの銅被膜の破片等が第1の空間に収容された基板Wに付着することを抑制できる。なお、銅は他の基板Wに付着すると、デバイスの性能を低下させて致命的な欠陥を生じる恐れがある。
【0039】
このように本実施例は、FOUP1に仕切り板DP1を装着すると、収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができる。したがって、内部空間5の仕切られた各雰囲気を使い分けることにより、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0040】
また、特殊なFOUP1ではなく、規格化された標準的なFOUP1を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇を仕切り板DP1に相当する分だけですませることができる。したがって、FOUP1内における内部空間5の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【0041】
また、仕切り板DP1を特殊な材料で構成することなく、処理する基板Wと同種のダミー基板としているので、仕切り板DP1からの汚染を容易に低コストで抑制することもできる。また、仕切り板DP1が破損した場合には、容易に他のダミー基板で代用することができる利点もある。
【実施例2】
【0042】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図4は、実施例2に係る仕切り板を示す平面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは平面図だけを参照して説明する。
【0043】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材21を仕切り板DP2として用いている点において上述した実施例1と相違する。
【0044】
板状部材21の材料としては、例えば、ポリカーボネート製の薄板が挙げられる。材料としては、ポリカーボネートに限定されるものではなく、基板Wに悪影響を与えないものであれば他のものでもよい。また、板状部材21の厚さは、支持溝13に載置でき、かつ、支持溝13に載置した際に湾曲して、下方の基板Wに接触しない強度を備えている。板状部材21は、内部空間5の内壁に当接する端面eg1と、内部空間5の内壁に当接せず離間した端面eg2とを有する。なお、ここでいう内部空間5の内壁は、内部空間5の内壁に設けられた支持部9や当接部11を含む。
【0045】
具体的には、左右の端面eg1及び後側の端面eg1は、支持溝13または当接部11に当接し、後側の角部にあたる端面eg2は、内部空間5のうち奥側角の内壁から離間している。これは、FOUP1の奥側の形状が異なるものであっても板状部材21が仕切り板DP2として載置できるようにするためである。なお、板状部材21は、その前側の端面eg3の位置が、蓋17が開口部7に装着された際に、蓋17で強く押圧されない寸法にしてある。蓋17が開口部7に装着されると、基板Wを蓋17で押し込み、基板Wの後側端面を当接部11に押し当てることにより、基板WをFOUP1内で固定するが、この動作を妨げないようにするためである。
【0046】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0047】
また、本実施例は、基板Wとは異なる板状部材21で仕切り板DP2を構成し、板状部材21は、内部空間5の内壁に当接する端面eg1と、内部空間5の内壁から離間する端面eg2とを有する。したがって、板状部材21の形状に応じて、雰囲気を仕切る度合いを所望の度合いにすることができる。
【0048】
また、本実施例の仕切り板DP2は、固定的にFOUP1に取り付けることも可能であるので、仕切り板DP2の装着忘れによる基板の相互汚染を防止することができる。
【実施例3】
【0049】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。
図5は、実施例3に係る仕切り板を示す平面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは平面図だけを参照して説明する。
【0050】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材21を仕切り板DP3として用いている点において上述した実施例1と相違し、上述した実施例2と似た構成である。
【0051】
板状部材23の材料や厚み等は、上述した実施例2と同様である。板状部材23は、周囲が内部空間5の内壁に当接する端面eg4を有する。なお、ここでいう内部空間5の内壁は、内部空間5の内壁に設けられた支持部9や当接部11を含む。
【0052】
具体的には、左右及び後側の端面eg4は、内部空間5の内壁や、当接部11、支持部9に当接している。また、板状部材23は、その前側の端面eg5の位置が、蓋17で押圧されない寸法にしてあるのは上述した実施例2と同様の理由による。
【0053】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0054】
また、内部空間5のうち開口部7を除いた面に当接する端面を備えた板状部材23で仕切り板DP3を構成するので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。したがって、基板の相互汚染の抑制度合いを高くすることができる。
【0055】
また、本実施例の仕切り板DP3は、固定的にFOUP1に取り付けることも可能であるので、仕切り板DP3の装着忘れによる相互汚染を防止することができる。
【実施例4】
【0056】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。
図6は、実施例4に係る仕切り板を示す正面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは正面図だけを参照して説明する。
【0057】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材25を仕切り板DP4として用いている点において上述した実施例1と相違している。
【0058】
板状部材25は、縦断面形状が図6の一部拡大図に示すように起伏状に形成されている。なお、平面図は省略してあるが、板状部材25は、その端面を上述した実施例2または実施例3のようにすればよい。板状部材25の起伏状断面における山谷部分の高さは、支持溝13に載置できる高さである。さらに、板状部材25は、支持溝13に載置した際に湾曲して、下方の基板Wに接触しない強度を備えている。起伏状の形状は、図6のような正弦波状に限定されるものではなく、矩形波、三角波、脈流状であってもよい。
【0059】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0060】
また、板状部材25の縦断面形状を起伏状に構成しているので、仕切り板DP4の上方に載置された基板Wからパーティクルが落下したとしても、山谷部分でパーティクルが移動しづらくできる。したがって、落下したパーティクルが搬送中に仕切り板DP4を移動して、他の基板Wを汚染するような相互汚染を抑制することができる。
【0061】
<第1の変形例>
ここで図7を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図7は、第1の変形例を示す平面図である。なお、以下の説明においては、仕切り板DP2aだけを示して説明する。
【0062】
この仕切り板DP2aは、上述した実施例2における仕切り板DP2に一つの貫通穴31を設けたものである。一つの貫通穴31は、平面視で板状部材21aの中心部に形成されている。
【0063】
この第1の変形例は、平面視で中心部に一つの貫通穴31を形成してあるので、板状部材21aの軽量化を図ることができる。貫通穴31は、板状部材21aの中心部にだけ形成されているので、基板Wの下面と支持溝13との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通穴31を通してパーティクルが落下することによる基板の相互汚染は抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも貫通穴31を通して不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通穴31の形状や位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。なお、ここでいう中心部とは、板状部材21aの中心及び中心に近い部分をいう。
【0064】
<第2の変形例>
ここで図8を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図8は、第2の変形例を示す平面図である。なお、以下の説明においては、仕切り板DP2bだけを示して説明する。
【0065】
この仕切り板DP2bは、上述した実施例2における仕切り板DP2に複数個の貫通穴33を設けたものである。ここでは、一例として、25個の貫通孔33が、平面視で板状部材21bの中心領域に形成されている。
【0066】
この第2の変形例は、複数個の小さな貫通孔33により板状部材21bの軽量化を図ることができる。複数個の小さな貫通孔33は、平面視で板状部材21bの中心領域にのみ形成されているので、基板Wの端面と支持溝13との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通孔33からパーティクルが落下することによる基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔33の形状と数と位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0067】
<第3の変形例>
ここで図9,図10を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図9は、第3の変形例を示す平面図であり、図10は、第3の変形例を示す縦断面図である。
【0068】
この仕切り板DP2cは、三枚の板状部材21b、21c、21dを備えている。板状部材21bは、平面視で中央領域に複数個の貫通孔33を形成されている。また、板状部材21cは、平面視で奥側に複数個の貫通孔33を形成され、板状部材21dは、平面視で手前側に複数個の貫通孔33を形成されている。仕切り板DP2cは、図10に示すように、下から板状部材21d、板状部21b、板状部材21cの順で配置され、支持部材35によって離間して支持されている。この離間距離は、支持溝13の間隔に設定されている。したがって、三枚の板状部材21b、21c、21dを備えた仕切り板DP2cであっても、支持部9に装着することができる。
【0069】
この第3の変形例によると、3枚の板状部材21b、21c、21dを支持部材35で離間させて仕切り板DP2cが構成されているので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。さらに、3枚の板状部材21b、21c、21dは複数個の貫通孔33が形成されているので、板状部材21b、21c、21dが3枚であっても重量の増加を抑制することができる。その上、各板状部材21b、21c、21dの貫通孔33は、平面視で板状部材ごとに異なる領域に形成されているので、パーティクル等が上から下に落下しづらくできる。したがって、貫通孔33を介しての基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。
【0070】
なお、板状部材21b、21c、21dの三枚で仕切り板DP2cを構成するのではなく、二枚の板状部材や、4枚以上の板状部材で仕切り板DP2cを構成してもよい。また、貫通孔33の形状と数と位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0071】
<FOUPの変形例>
ところで、上述したFOUP1は、次のような構成であってもよい。ここで、図11を参照する。図11は、FOUPの変形例を示す一部破断縦断面図である。
【0072】
このFOUP1は、収容器本体3の底部に圧入部41と排気部43とを備えている。圧入部41と排気部43とは、内部空間5の圧力と外部圧力とを一定に保つブレスフィルタ(図示省略)を備え、FOUP1の搬送中に大気圧が変化してもFOUP1の収縮や膨張を防ぐことができる。また、圧入部41からパーティクルが内部空間5に侵入するのを防止する。
【0073】
FOUP1が載置されるロードポート(図示省略)は、ガス供給部51と強制排気部53とを備えている。ガス供給部51は、気体を所定の圧力で供給する機能を有する。気体としては、不活性ガス、例えば、窒素ガスが挙げられる。強制排気部53は、真空ポンプや真空イジェクタ(Vacuum ejector)によって、内部空間5内の気体を強制的に排出する機能を有する。
【0074】
FOUP1は、ガス供給部51から窒素ガスを供給されるとともに、強制排気部53により内部空間5の気体が排出される、いわゆる窒素ガスパージが行われることがある。この窒素ガスパージは、FOUP1内の基板Wが搬送される際に、水分やケミカルガスによる汚染から保護するために行われる。
【0075】
このような窒素ガスパージを行う場合、上述した実施例1〜4は、内部空間5を仕切り板DP1〜4で仕切っているので、窒素ガスの使用量を低減することができる。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0077】
(1)上述した各実施例1〜4では、第1の空間SP1と第2の空間SP2の二つに内部空間5を仕切ることを例示した。しかし、本発明は、二枚以上の仕切り板によって内部空間5を三つ以上に仕切るようにしてもよい。
【0078】
(2)上述した各実施例1〜4及び第1〜第3変形例では、既存のFOUP1に仕切り板を取り付けるように説明したが、複数の支持溝13のうちのいずれかに代えて仕切り板を一体的に形成した支持部9を採用してもよい。これにより仕切り板の装着忘れによる基板の相互汚染を防止できる。
【符号の説明】
【0079】
1 … FOUP
3 … 収容器本体
5 … 内部空間
7 … 開口部
9 … 支持部
13 … 支持溝
17 … 蓋
21 … 板状部材
DP1 … 仕切り板
SP1 … 第1の空間
SP2 … 第2の空間
【技術分野】
【0001】
本発明は、半導体ウエハ、液晶ディスプレイ用基板、プラズマディスプレイ用基板、有機EL用基板、FED(Field Emission Display)用基板、光ディスプレイ用基板、磁気ディスク用基板、光磁気ディスク用基板、フォトマスク用基板、太陽電池用基板(以下、単に基板と称する)を複数枚収容する基板収容器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の装置として、密閉した雰囲気に複数枚の基板を収容して搬送するための基板収容器が挙げられる。この基板収容器は、FOUP(Front Opening Unified Pod)と呼ばれている。このFOUPは、FOUP本体と、開口部と、支持溝と、蓋とを備えている。FOUP本体は、一側面に開口部を備え、内部空間に多段の支持溝が形成されている。複数枚の基板が開口部から多段の支持溝に載置されて収納されると、蓋が開口部に取り付けられる。そして、複数枚の基板は、FOUPごと所望の場所へ搬送される(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような構成のFOUPを用いると、FOUP内の僅かな内部空間の清浄度を高めることにより、工場全体を高清浄度のクリーンルーム化した場合と同様の効果を得ることができる。したがって、クリーンルーム全体を高清浄度化するのに要する設備投資やその維持費を削減して、効率的に生産を行うことができる。また、FOUPの蓋を開放した状態で、窒素ガスを各基板に吹き付けて、各基板に付着している汚染物質を除去することも行われる。
【0004】
ところで、多くの基板を同時に収容して搬送できるように、一般的にFOUPは、例えば、25枚の基板を水平姿勢で積層して収容できるように構成されている。しかし、最近では、半導体デバイスの多様化に起因して、多品種少量生産の要望も増えている。そのような場合には、異なるデバイス用の基板が同一のFOUP内に混在されて搬送されることもある。また、25枚の内部空間のうち、半分程度(例えば、12枚の基板)だけを使うこともある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−327911号公報(図1、図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような構成を有する従来例の場合には、次のような問題がある。
すなわち、従来のFOUPは、異なる種類の基板が混在すると、FOUP内において異種の基板の間で汚染が生じる相互汚染の恐れがある。例えば、銅を用いている基板から銅被膜の破片等が、アルミニウム配線の基板に付着すると、銅が基板上のデバイスに致命的な欠陥を与える恐れがある。
【0007】
また、FOUPの内部空間の半分程度を同種の基板で使用する場合、基板が処理前に汚染されていると、たとえ処理によって基板を清浄化したとしても、FOUPの内部空間が汚染されているので、基板をFOUPに戻した際に、FOUPを介しての基板の相互汚染が生じる恐れがある。したがって、従来のFOUPでは、たとえ窒素ガスを吹き付けるようにして、処理前の基板から汚染物を除去するようにしても基板の相互汚染を避けられない恐れがある。
【0008】
なお、上記のような問題を回避するために、例えば、異種の基板や異なる金属材料を用いた基板を別々のFOUPで搬送することが考えられる。しかし、このような手法によると、FOUPの個数が増大するのでコストアップにつながり、さらにFOUPの保管スペースも増大する別異の問題が生じる。また、基板をFOUPから取り出して処理している間に、FOUPを洗浄することも考えられる。しかし、FOUPの洗浄時間が基板の処理時間より長くなる場合には、処理済の基板にFOUP待ちの時間が生じるので、スループットが低下するという別異の問題が生じることになる。したがって、上記の問題を解決することにはならない。
【0009】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであって、内部空間の雰囲気を仕切ることによって、基板の相互汚染が生じるのを抑制することができる基板収容器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、このような目的を達成するために、次のような構成をとる。
すなわち、請求項1に記載の発明は、複数枚の基板を収容する基板収容器において、内部空間を有する収容器本体と、前記収容器本体に形成され、前記内部空間に連通した開口部と、前記収容器本体の内壁に設けられ、基板の端縁下面を当接支持する複数の支持溝と、前記開口部に着脱自在の蓋と、前記複数の支持溝に着脱自在に装着されて、前記内部空間を複数の雰囲気に仕切る仕切り板と、を備えていることを特徴とするものである。
【0011】
[作用・効果]請求項1に記載の発明によれば、仕切り板を支持溝に装着すると、収容器本体の内部空間を複数の雰囲気に仕切ることができる。したがって、内部空間を、異なる雰囲気ごとに使い分けることにより、収容器本体における基板の相互汚染を抑制することができる。
【0012】
また、仕切り板は支持溝に着脱自在であり、特殊な基板収容器でなく、規格化された標準的な基板収容器を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇を仕切り板に相当する分だけですませることができる。したがって、内部空間の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【0013】
なお、ここでいう「雰囲気を仕切る」とは、部材で空間を完全に分離するのではなく、空間の相互間で気体が容易に行き来するのを抑制する程度に空間を分けることをいう。
【0014】
また、本発明において、前記仕切り板は、ダミー基板であることが好ましい(請求項2)。仕切り板を特殊な材料で構成することなく、処理する基板と同種のダミー基板とするので、仕切り板からの汚染を容易に低コストで抑制することができる。
【0015】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成されていることが好ましい(請求項3)。基板とは異なる板状部材で仕切り板を構成するので、仕切り板を基板収容器の内部空間に応じた形状にすることができる。したがって、仕切り板の形状を変えることにより、内部空間の気流を適切に抑制できるので、基板相互間の汚染をさらに抑制することができる。
【0016】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、前記板状部材は、内部空間の内壁に当接する端面と、内部空間の内壁から離間した端面とを備えていることが好ましい(請求項4)。基板とは異なる板状部材で仕切り板を構成し、板状部材は、端面が内部空間の内壁に当接する部分と、端面が内部空間の内壁から離間する部分とを有する。したがって、板状部材の形状に応じて、雰囲気を仕切る度合いを所望の度合いにすることができる。
【0017】
なお、ここでいう「内部空間の内壁」とは、基板収容器の内側で内部空間を形成する面であり、内部空間の内壁に設けられた部材を含む。
【0018】
また、本発明において、前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、前記板状部材は、周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えていることが好ましい(請求項5)。周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えた板状部材で仕切り板を構成するので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。したがって、基板の相互汚染の抑制度合いを高くすることができる。
【0019】
なお、ここでいう「内部空間の内壁」とは、基板収容器の内側で内部空間を形成する面であり、内部空間の内壁に設けられた部材を含む。
【0020】
また、本発明において、前記板状部材は、縦断面形状が起伏状に構成されていることが好ましい(請求項6)。板状部材の縦断面形状を起伏状にするので、仕切り板の上方に載置された基板からパーティクルが落下したとしても、山谷部分でパーティクルが移動しづらくできる。したがって、落下したパーティクルが搬送中に仕切り板を移動して、他の基板を汚染するような相互汚染を抑制することができる。
【0021】
また、本発明において、前記板状部材は、平面視で中心部に一つの貫通穴が形成されていることが好ましい(請求項7)。平面視で中心部に一つの貫通穴を形成してあるので、板状部材の軽量化を図ることができる。貫通穴は、板状部材の中心部にだけ形成されているので、基板の端面と支持溝との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通穴を通してパーティクルが落下することによる相互汚染は抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通穴の大きさを変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0022】
また、本発明において、前記板状部材は、平面視で中心領域に複数個の小さな貫通孔が形成されていることが好ましい(請求項8)。複数個の小さな貫通孔により板状部材の軽量化を図ることができる。貫通孔は、平面視で板状部材の中心領域にのみ形成されているので、基板の端面と支持溝との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通孔からパーティクルが落下することによる相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔の大きさや数を変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0023】
また、本発明において、前記仕切り板は、複数枚の板状部材と、前記複数の支持溝の間隔で前記各板状部材を支持する支持部材とを備え、前記複数枚の板状部材は、複数個の小さな貫通孔が形成されており、前記複数個の小さな貫通孔は、平面視で、前記板状部材ごとに異なる領域に形成されていることが好ましい(請求項9)。複数枚の板状部材を支持部材で離間させて仕切り板が構成されているので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。さらに、複数枚の板状部材は複数個の貫通孔が形成されているので、板状部材が複数であっても重量の増加を抑制することができる。その上、各板状部材の貫通孔は、平面視で板状部材ごとに異なる領域に形成されているので、パーティクル等が上から下に落下しづらくできる。したがって、貫通孔を介しての基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔の大きさや数を変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0024】
また、本発明において、前記収容器本体は、前記内部空間の圧力と外部圧力とを一定に保つ機能を備えた吸入部と排気部とを備え、前記吸入部から不活性ガスを圧入されるとともに、前記排気部から前記内部空間内の気体が強制的に排気されることが好ましい(請求項10)。吸入部から内部空間に不活性ガスを圧入し、排気部から内部空間の気体を強制的に排気することにより、内部空間を不活性ガスで満たすことができる。その際、仕切り板で内部空間を仕切っているので、不活性ガスの使用量を低減することができる。
【発明の効果】
【0025】
本発明に係る基板収容器によれば、仕切り板を装着すると、収容器本体の内部空間を複数の雰囲気に仕切ることができる。したがって、内部空間を、異なる雰囲気ごとに使い分けることにより、収容器本体における基板の相互汚染を抑制することができる。
【0026】
また、仕切り板は支持溝に着脱自在であり、規格化された標準的な基板収容器を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇は、仕切り板だけですむ。したがって、内部空間の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】実施例1に係るFOUPの概略構成を示す縦断面図である。
【図2】実施例1に係る仕切り板を示す平面図である。
【図3】実施例1に係る仕切り板を示す正面図である。
【図4】実施例2に係る仕切り板を示す平面図である。
【図5】実施例3に係る仕切り板を示す平面図である。
【図6】実施例4に係る仕切り板を示す正面図である。
【図7】第1の変形例を示す平面図である。
【図8】第2の変形例を示す平面図である。
【図9】第3の変形例を示す平面図である。
【図10】第3の変形例を示す縦断面図である。
【図11】FOUPの変形例を示す一部破断縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
本発明に係る基板収容器としてFOUP(Front Opening Unified Pod)を例にとって以下に説明する。
【実施例1】
【0029】
以下、図面を参照して本発明の実施例1を説明する。
図1は、実施例1に係るFOUPの概略構成を示す縦断面図であり、図2は、実施例1に係る仕切り板を示す平面図であり、図3は、実施例1に係る仕切り板を示す正面図である。
【0030】
本発明における「基板収容器」に相当するFOUP1は、複数枚の基板Wを水平姿勢で積層して収納可能に構成されている。FOUP1は、収容器本体3を備えている。この収容器本体3は、内部空間5を備え、内部空間5の正面側には開口部7を備えている。収容器本体3は、例えば、ポリカーボネートなどで成形加工によって製造されている。内部空間5のうち、開口部7の両側面には、基板Wを載置するための支持部9が設けられている。また、内部空間5の奥側には、当接部11が設けられている。
【0031】
支持部9は、例えば、25枚の基板Wを載置できるように、25個の支持溝13を備えている。支持溝13は、上向き面にて基板Wの下面を当接して基板Wを水平姿勢に支持する。支持部9の奥側に位置する当接部11は、基板Wの後側端面が当接し、基板Wの水平位置を固定する。
【0032】
FOUP1の上面には、搬送機構(図示省略)が把持するための把持部15を備えている。なお、図3では、図示の関係上、把持部15を省略している。
【0033】
開口部7は、蓋17が着脱可能に構成されている。この蓋17は、ロードポート(図示省略)にFOUP1が載置された状態で、ロードポートが備える開閉機構(図示省略)によって開口部7に装着されたり、取り外されたりする。蓋17が開口部7に装着されると、FOUP1の内部空間5が外部の雰囲気と遮断される。
【0034】
支持部9のうち、例えば、高さ方向の中央部付近にある一つの支持溝13には、仕切り板DP1が載置されている。この仕切り板DP1は、基板Wと同種の基板であってデバイスが形成されていないダミー基板である。例えば、図3のように支持部9の高さ方向における中央部(上から13段目、下から13段目)に仕切り板DP1を載置する。
【0035】
このように仕切り板DP1を載置すると、仕切り板DP1によって上部の第1の空間SP1の雰囲気と、下部の第2の空間SP2の雰囲気とを分離することができる。仕切り板DP1は、内部空間5を二つの空間SP1,SP2に分離するが、分離したい空間の大きさに応じて支持部9の任意の位置に載置することができる。
【0036】
なお、分離された二つの空間SP1,SP2は、次のように使い分かればよい。例えば、第2の空間SP2に洗浄処理前の基板Wを収容し、第1の空間SP1に洗浄処理後の基板Wを収容するようにFOUP1の内部空間5を使い分ける。このようにすると、第2の空間SP2から搬出された基板Wは、洗浄処理により清浄化された後、第1の空間SP1に戻されるので、第2の空間SP2の支持溝13に付着している恐れのあるパーティクル等が洗浄処理後の基板Wに再付着するのを抑制できる。
【0037】
なお、パーティクル等が落下して下方に移動することを考慮すると、上述した使い分けが好適であるものの、第1の空間SP1に洗浄処理前の基板Wを収容し、第2の空間SP2に洗浄処理後の基板Wを収容するようにしてもよい。このようにしても、仕切り板DP1により雰囲気が遮断されているので、洗浄処理前に載置されていた元の支持溝13に洗浄処理後の基板Wを戻す場合に比較して相互汚染を抑制できる。
【0038】
また、例えば、第2の空間SP2に銅配線を形成した基板Wを収容し、第1の空間SP1にアルミニウム配線を形成した基板Wを収容するようにFOUP1の内部空間5を使い分けてもよい。このようにすると、第2の空間SP2に収容された基板Wからの銅被膜の破片等が第1の空間に収容された基板Wに付着することを抑制できる。なお、銅は他の基板Wに付着すると、デバイスの性能を低下させて致命的な欠陥を生じる恐れがある。
【0039】
このように本実施例は、FOUP1に仕切り板DP1を装着すると、収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができる。したがって、内部空間5の仕切られた各雰囲気を使い分けることにより、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0040】
また、特殊なFOUP1ではなく、規格化された標準的なFOUP1を用いることができるので、既存の装置に容易に適用できるとともに、コストの上昇を仕切り板DP1に相当する分だけですませることができる。したがって、FOUP1内における内部空間5の雰囲気を容易に低コストで分離することができる。
【0041】
また、仕切り板DP1を特殊な材料で構成することなく、処理する基板Wと同種のダミー基板としているので、仕切り板DP1からの汚染を容易に低コストで抑制することもできる。また、仕切り板DP1が破損した場合には、容易に他のダミー基板で代用することができる利点もある。
【実施例2】
【0042】
次に、図面を参照して本発明の実施例2を説明する。
図4は、実施例2に係る仕切り板を示す平面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは平面図だけを参照して説明する。
【0043】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材21を仕切り板DP2として用いている点において上述した実施例1と相違する。
【0044】
板状部材21の材料としては、例えば、ポリカーボネート製の薄板が挙げられる。材料としては、ポリカーボネートに限定されるものではなく、基板Wに悪影響を与えないものであれば他のものでもよい。また、板状部材21の厚さは、支持溝13に載置でき、かつ、支持溝13に載置した際に湾曲して、下方の基板Wに接触しない強度を備えている。板状部材21は、内部空間5の内壁に当接する端面eg1と、内部空間5の内壁に当接せず離間した端面eg2とを有する。なお、ここでいう内部空間5の内壁は、内部空間5の内壁に設けられた支持部9や当接部11を含む。
【0045】
具体的には、左右の端面eg1及び後側の端面eg1は、支持溝13または当接部11に当接し、後側の角部にあたる端面eg2は、内部空間5のうち奥側角の内壁から離間している。これは、FOUP1の奥側の形状が異なるものであっても板状部材21が仕切り板DP2として載置できるようにするためである。なお、板状部材21は、その前側の端面eg3の位置が、蓋17が開口部7に装着された際に、蓋17で強く押圧されない寸法にしてある。蓋17が開口部7に装着されると、基板Wを蓋17で押し込み、基板Wの後側端面を当接部11に押し当てることにより、基板WをFOUP1内で固定するが、この動作を妨げないようにするためである。
【0046】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0047】
また、本実施例は、基板Wとは異なる板状部材21で仕切り板DP2を構成し、板状部材21は、内部空間5の内壁に当接する端面eg1と、内部空間5の内壁から離間する端面eg2とを有する。したがって、板状部材21の形状に応じて、雰囲気を仕切る度合いを所望の度合いにすることができる。
【0048】
また、本実施例の仕切り板DP2は、固定的にFOUP1に取り付けることも可能であるので、仕切り板DP2の装着忘れによる基板の相互汚染を防止することができる。
【実施例3】
【0049】
次に、図面を参照して本発明の実施例3を説明する。
図5は、実施例3に係る仕切り板を示す平面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは平面図だけを参照して説明する。
【0050】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材21を仕切り板DP3として用いている点において上述した実施例1と相違し、上述した実施例2と似た構成である。
【0051】
板状部材23の材料や厚み等は、上述した実施例2と同様である。板状部材23は、周囲が内部空間5の内壁に当接する端面eg4を有する。なお、ここでいう内部空間5の内壁は、内部空間5の内壁に設けられた支持部9や当接部11を含む。
【0052】
具体的には、左右及び後側の端面eg4は、内部空間5の内壁や、当接部11、支持部9に当接している。また、板状部材23は、その前側の端面eg5の位置が、蓋17で押圧されない寸法にしてあるのは上述した実施例2と同様の理由による。
【0053】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0054】
また、内部空間5のうち開口部7を除いた面に当接する端面を備えた板状部材23で仕切り板DP3を構成するので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。したがって、基板の相互汚染の抑制度合いを高くすることができる。
【0055】
また、本実施例の仕切り板DP3は、固定的にFOUP1に取り付けることも可能であるので、仕切り板DP3の装着忘れによる相互汚染を防止することができる。
【実施例4】
【0056】
次に、図面を参照して本発明の実施例4を説明する。
図6は、実施例4に係る仕切り板を示す正面図である。なお、FOUP1の概略構成は、上述した実施例1と同様であるので、ここでは正面図だけを参照して説明する。
【0057】
本実施例に係るFOUP1は、基板Wとは異なる板状部材25を仕切り板DP4として用いている点において上述した実施例1と相違している。
【0058】
板状部材25は、縦断面形状が図6の一部拡大図に示すように起伏状に形成されている。なお、平面図は省略してあるが、板状部材25は、その端面を上述した実施例2または実施例3のようにすればよい。板状部材25の起伏状断面における山谷部分の高さは、支持溝13に載置できる高さである。さらに、板状部材25は、支持溝13に載置した際に湾曲して、下方の基板Wに接触しない強度を備えている。起伏状の形状は、図6のような正弦波状に限定されるものではなく、矩形波、三角波、脈流状であってもよい。
【0059】
本実施例によると、上述した実施例1と同様に収容器本体3の内部空間5を複数の雰囲気(上記の第1の空間SP1,第2の空間SP2)に仕切ることができるので、基板の相互汚染を抑制することができる。
【0060】
また、板状部材25の縦断面形状を起伏状に構成しているので、仕切り板DP4の上方に載置された基板Wからパーティクルが落下したとしても、山谷部分でパーティクルが移動しづらくできる。したがって、落下したパーティクルが搬送中に仕切り板DP4を移動して、他の基板Wを汚染するような相互汚染を抑制することができる。
【0061】
<第1の変形例>
ここで図7を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図7は、第1の変形例を示す平面図である。なお、以下の説明においては、仕切り板DP2aだけを示して説明する。
【0062】
この仕切り板DP2aは、上述した実施例2における仕切り板DP2に一つの貫通穴31を設けたものである。一つの貫通穴31は、平面視で板状部材21aの中心部に形成されている。
【0063】
この第1の変形例は、平面視で中心部に一つの貫通穴31を形成してあるので、板状部材21aの軽量化を図ることができる。貫通穴31は、板状部材21aの中心部にだけ形成されているので、基板Wの下面と支持溝13との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通穴31を通してパーティクルが落下することによる基板の相互汚染は抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも貫通穴31を通して不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通穴31の形状や位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。なお、ここでいう中心部とは、板状部材21aの中心及び中心に近い部分をいう。
【0064】
<第2の変形例>
ここで図8を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図8は、第2の変形例を示す平面図である。なお、以下の説明においては、仕切り板DP2bだけを示して説明する。
【0065】
この仕切り板DP2bは、上述した実施例2における仕切り板DP2に複数個の貫通穴33を設けたものである。ここでは、一例として、25個の貫通孔33が、平面視で板状部材21bの中心領域に形成されている。
【0066】
この第2の変形例は、複数個の小さな貫通孔33により板状部材21bの軽量化を図ることができる。複数個の小さな貫通孔33は、平面視で板状部材21bの中心領域にのみ形成されているので、基板Wの端面と支持溝13との摺動によってパーティクルが発生しても、貫通孔33からパーティクルが落下することによる基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。さらに、貫通孔33の形状と数と位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0067】
<第3の変形例>
ここで図9,図10を参照して、上述した実施例2の変形例について説明する。図9は、第3の変形例を示す平面図であり、図10は、第3の変形例を示す縦断面図である。
【0068】
この仕切り板DP2cは、三枚の板状部材21b、21c、21dを備えている。板状部材21bは、平面視で中央領域に複数個の貫通孔33を形成されている。また、板状部材21cは、平面視で奥側に複数個の貫通孔33を形成され、板状部材21dは、平面視で手前側に複数個の貫通孔33を形成されている。仕切り板DP2cは、図10に示すように、下から板状部材21d、板状部21b、板状部材21cの順で配置され、支持部材35によって離間して支持されている。この離間距離は、支持溝13の間隔に設定されている。したがって、三枚の板状部材21b、21c、21dを備えた仕切り板DP2cであっても、支持部9に装着することができる。
【0069】
この第3の変形例によると、3枚の板状部材21b、21c、21dを支持部材35で離間させて仕切り板DP2cが構成されているので、雰囲気の分離度合いを高くすることができる。さらに、3枚の板状部材21b、21c、21dは複数個の貫通孔33が形成されているので、板状部材21b、21c、21dが3枚であっても重量の増加を抑制することができる。その上、各板状部材21b、21c、21dの貫通孔33は、平面視で板状部材ごとに異なる領域に形成されているので、パーティクル等が上から下に落下しづらくできる。したがって、貫通孔33を介しての基板の相互汚染を抑制できる。また、不活性ガスなどを注入する際に、仕切られた複数の雰囲気にも不活性ガスを送り込むことができる。
【0070】
なお、板状部材21b、21c、21dの三枚で仕切り板DP2cを構成するのではなく、二枚の板状部材や、4枚以上の板状部材で仕切り板DP2cを構成してもよい。また、貫通孔33の形状と数と位置を適宜に変えることにより、不活性ガスの気流を調整することができる。
【0071】
<FOUPの変形例>
ところで、上述したFOUP1は、次のような構成であってもよい。ここで、図11を参照する。図11は、FOUPの変形例を示す一部破断縦断面図である。
【0072】
このFOUP1は、収容器本体3の底部に圧入部41と排気部43とを備えている。圧入部41と排気部43とは、内部空間5の圧力と外部圧力とを一定に保つブレスフィルタ(図示省略)を備え、FOUP1の搬送中に大気圧が変化してもFOUP1の収縮や膨張を防ぐことができる。また、圧入部41からパーティクルが内部空間5に侵入するのを防止する。
【0073】
FOUP1が載置されるロードポート(図示省略)は、ガス供給部51と強制排気部53とを備えている。ガス供給部51は、気体を所定の圧力で供給する機能を有する。気体としては、不活性ガス、例えば、窒素ガスが挙げられる。強制排気部53は、真空ポンプや真空イジェクタ(Vacuum ejector)によって、内部空間5内の気体を強制的に排出する機能を有する。
【0074】
FOUP1は、ガス供給部51から窒素ガスを供給されるとともに、強制排気部53により内部空間5の気体が排出される、いわゆる窒素ガスパージが行われることがある。この窒素ガスパージは、FOUP1内の基板Wが搬送される際に、水分やケミカルガスによる汚染から保護するために行われる。
【0075】
このような窒素ガスパージを行う場合、上述した実施例1〜4は、内部空間5を仕切り板DP1〜4で仕切っているので、窒素ガスの使用量を低減することができる。
【0076】
本発明は、上記実施形態に限られることはなく、下記のように変形実施することができる。
【0077】
(1)上述した各実施例1〜4では、第1の空間SP1と第2の空間SP2の二つに内部空間5を仕切ることを例示した。しかし、本発明は、二枚以上の仕切り板によって内部空間5を三つ以上に仕切るようにしてもよい。
【0078】
(2)上述した各実施例1〜4及び第1〜第3変形例では、既存のFOUP1に仕切り板を取り付けるように説明したが、複数の支持溝13のうちのいずれかに代えて仕切り板を一体的に形成した支持部9を採用してもよい。これにより仕切り板の装着忘れによる基板の相互汚染を防止できる。
【符号の説明】
【0079】
1 … FOUP
3 … 収容器本体
5 … 内部空間
7 … 開口部
9 … 支持部
13 … 支持溝
17 … 蓋
21 … 板状部材
DP1 … 仕切り板
SP1 … 第1の空間
SP2 … 第2の空間
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数枚の基板を収容する基板収容器において、
内部空間を有する収容器本体と、
前記収容器本体に形成され、前記内部空間に連通した開口部と、
前記収容器本体の内壁に設けられ、基板の端縁下面を当接支持する複数の支持溝と、
前記開口部に着脱自在の蓋と、
前記複数の支持溝に着脱自在に装着されて、前記内部空間を複数の雰囲気に仕切る仕切り板と、
を備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、ダミー基板であることを特徴とする基板収容器。
【請求項3】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項4】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、
前記板状部材は、内部空間の内壁に当接する端面と、内部空間の内壁から離間した端面とを備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項5】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、
前記板状部材は、周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、縦断面形状が起伏状に構成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項7】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、平面視で中心部に一つの貫通穴が形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項8】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、平面視で中心領域に複数個の小さな貫通孔が形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項9】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、複数枚の板状部材と、前記複数の支持溝の間隔で前記各板状部材を支持する支持部材とを備え、
前記複数枚の板状部材は、複数個の小さな貫通孔が形成されており、
前記複数個の小さな貫通孔は、平面視で、前記板状部材ごとに異なる領域に形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板収容器において、
前記収容器本体は、前記内部空間の圧力と外部圧力とを一定に保つ機能を備えた吸入部と排気部とを備え、
前記吸入部から不活性ガスを圧入されるとともに、前記排気部から前記内部空間内の気体が強制的に排気されることを特徴とする基板収容器。
【請求項1】
複数枚の基板を収容する基板収容器において、
内部空間を有する収容器本体と、
前記収容器本体に形成され、前記内部空間に連通した開口部と、
前記収容器本体の内壁に設けられ、基板の端縁下面を当接支持する複数の支持溝と、
前記開口部に着脱自在の蓋と、
前記複数の支持溝に着脱自在に装着されて、前記内部空間を複数の雰囲気に仕切る仕切り板と、
を備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項2】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、ダミー基板であることを特徴とする基板収容器。
【請求項3】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項4】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、
前記板状部材は、内部空間の内壁に当接する端面と、内部空間の内壁から離間した端面とを備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項5】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、基板とは異なる板状部材で構成され、
前記板状部材は、周囲が内部空間の内壁に当接する端面を備えていることを特徴とする基板収容器。
【請求項6】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、縦断面形状が起伏状に構成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項7】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、平面視で中心部に一つの貫通穴が形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項8】
請求項3から5のいずれかに記載の基板収容器において、
前記板状部材は、平面視で中心領域に複数個の小さな貫通孔が形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項9】
請求項1に記載の基板収容器において、
前記仕切り板は、複数枚の板状部材と、前記複数の支持溝の間隔で前記各板状部材を支持する支持部材とを備え、
前記複数枚の板状部材は、複数個の小さな貫通孔が形成されており、
前記複数個の小さな貫通孔は、平面視で、前記板状部材ごとに異なる領域に形成されていることを特徴とする基板収容器。
【請求項10】
請求項1から9のいずれかに記載の基板収容器において、
前記収容器本体は、前記内部空間の圧力と外部圧力とを一定に保つ機能を備えた吸入部と排気部とを備え、
前記吸入部から不活性ガスを圧入されるとともに、前記排気部から前記内部空間内の気体が強制的に排気されることを特徴とする基板収容器。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2012−199302(P2012−199302A)
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−61155(P2011−61155)
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年10月18日(2012.10.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年3月18日(2011.3.18)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】
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