説明

基板取出機構及びこれを備えた基板供給装置

【課題】 吸引作用を利用することなく基板を一枚ずつ取り出すことができる基板取出機構を提供すること。
【解決手段】 積層された複数枚の基板から最上位の基板を把持して取り出すための基板取出機構。この基板取出機構は、支持本体97に相互に対向して支持された第1及び第2アーム部材86,88と、第2アーム部材88を第1アーム部材86に対して近接及び離隔する方向に移動させるためのアーム駆動手段96と、第1及び第2アーム部材86,88に装着された第1及び第2把持部材98,110とを備えている。第1把持部材98には、上方に向けて第2アーム部材88側に傾斜する第1傾斜面102が設けられ、また第2把持部材88には、上方に向けて第1アーム部材86側に傾斜する第2傾斜面114が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、積層状態の基板を一枚ずつ把持して取り出す基板取出機構及びこの基板取出機構を備えた基板供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
基板供給装置として、載置ラックに積層状態に収容された基板をバキュームパッドで吸引して一枚ずつ取り出し、この取り出した基板を下流側に供給するようにしたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。この基板供給装置では、装置本体に昇降動自在に昇降台が支持され、この昇降台にバキュームパッドを備えた支持アームが取り付けられ、バキュームパッドが吸引源に接続されている。また、載置ラックの上方には一対の受取部材が配設され、この受取部材が支持位置とこの支持位置から後退する後退位置との間を移動自在に支持されている。
【0003】
この基板供給装置においては、吸引源からの吸引作用によってバキュームパッドが載置ラックに載置された積層状態の基板のうち最上位の基板を吸着し、かく吸着された基板が支持アームの上昇によって上方に持ち上げられる。このとき、一対の受取部材は後退位置に保持される。また、持ち上げた基板を一対の受取部材に載置支持するときには、一対の受取部材が支持位置に保持され、バキュームパッドの吸引作用を解除することによって、持ち上げた基板が一対の受取部材に載置支持される。一対の受取部材に関連して投入シリンダが設けられ、この投入シリンダが伸張することによって、一対の受取部材に支持された基板が下流側に供給される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−97593号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、このようなバキュームパッドの吸引作用を利用するものでは、次の通りの解決すべき問題がある。即ち、載置ラックから一枚ずつ取り出して供給する基板は多数の機種のものが存在し、それらの機種によってサイズが異なり、従って、サイズの異なる基板を供給するときには、基板を吸着するためのバキュームパッドの位置を調整する必要が生じる。また、基板の機種によって貫通穴の位置が異なり、この貫通穴の位置にバキュームパッドが位置すると基板を吸着することができなくなり、従って、このように貫通穴の部位にバキュームパッドが位置するときにも、バキュームパッドの位置を調整する必要がある。
【0006】
このバキュームパッドの位置調整は、装置本体内の狭いスペースにおいて行わなければならず、それ故に、その作業が煩雑であるとともに、その作業に時間を要し、基板の供給効率が低下する。
【0007】
本発明の目的は、吸引作用を利用することなく基板を一枚ずつ取り出すことができる基板取出機構を提供することである。
【0008】
また、本発明の他の目的は、吸引作用を利用することなく基板を一枚ずつ取り出して供給することができる基板供給装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の請求項1に記載の基板取出機構は、積層された複数枚の基板から最上位の基板を把持して取り出すための基板取出機構であって、支持本体に支持された第1アーム部材と、前記支持本体に前記第1アーム部材に対向して移動自在に支持された第2アーム部材と、前記第2アーム部材を前記第1アーム部材に対して近接及び離隔する方向に移動させるためのアーム駆動手段と、前記第1アーム部材に装着された第1把持部材と、前記第2アーム部材に装着された第2把持部材とを備え、前記第1把持部材における前記第2把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第2アーム部材側に傾斜する第1傾斜面を有する第1傾斜把持部が設けられ、また前記第2把持部材における前記第1把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第1アーム部材側に傾斜する第2傾斜面を有する第2傾斜把持部が設けられていることを特徴とする。
【0010】
また、本発明の請求項2に記載の基板取出機構では、前記第2アーム部材には、前記第1アーム部材に向けて下方に傾斜して延びる移動支持軸が移動自在に支持され、前記移動支持軸に前記第2把持部材が取り付けられ、更に、前記第2把持部材に関連して、これを前記第1把持部材側に弾性的に偏倚する弾性偏倚手段が設けられていることを特徴とする。
【0011】
また、本発明の請求項3に記載の基板供給装置は、基板を積層状態に載置する載置ラックと、前記載置ラックに載置された基板を取り出して載置支持するための基板取出機構とを備え、前記基板取出機構は、前記基板を載置支持する載置支持手段と、前記載置ラックに載置された積層状態の基板のうち最上位の基板を前記載置支持手段に取り出すための基板把持機構とを備え、前記載置支持手段は、相互に対向して配設された一対の載置支持部材を備え、前記一対の載置支持部材は、前記基板を載置支持するための支持位置と前記支持位置から後退する後退位置との間を移動自在に構成され、前記基板把持機構は、相互に対向して配設された第1及び第2アーム部材と、第2アーム部材を前記第1アーム部材に対して近接及び離隔する方向に移動させるためのアーム駆動手段と、前記第1アーム部材に装着された第1把持部材と、前記第2アーム部材に装着された第2把持部材とを備え、前記第1把持部材における前記第2把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第2アーム部材側に傾斜する第1傾斜面を有する第1傾斜把持部が設けられ、また前記第2把持部材における前記第1把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第1アーム部材側に傾斜する第2傾斜面を有する第2傾斜把持部が設けられ、前記基板把持機構の前記第1及び第2把持部材の間に把持された前記基板を前記載置支持手段に移動させるときには、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材は前記後退位置に保持され、前記基板把持機構の前記第1及び第2把持部材の間に把持された前記基板を前記載置支持手段に載置支持するときには、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材は前記支持位置に保持されることを特徴とする。
【0012】
また、本発明の請求項4に記載の基板供給装置では、前記載置支持手段に関連して、前記基板を押し出すためのプッシャ手段が設けられ、前記プッシャ手段は、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材に載置支持された前記基盤を下流側に押し出すことを特徴とする。
【0013】
また、本発明の請求項5に記載の基板供給装置では、前記基板を積層状態に載置する前記載置ラックと前記基板を上下方向に間隔をおいて支持するマガジンラックとが選択的に用いられるように構成され、このことに関連して、前記載置ラック及び前記マガジンラックとが選択的に位置付けられる基板供給部を備えた昇降ユニットが装置本体に昇降自在に設けられ、前記基板把持機構の前記第1及び第2載置支持部材は前記昇降ユニットに前記支持位置と前記後退位置との間を移動自在に支持され、前記基板把持機構の前記第1及び第2アーム部材は前記装置本体に上下方向に移動自在に装着された把持ユニットに取り付けられ、前記基板供給部に前記マガジンラックを位置付けたときには、前記把持ユニットは上方に移動した上昇位置に保持され、前記昇降ユニットが昇降動して前記マガジンラックに収容された前記基板が前記プッシャ手段によって下流側に押し出され、また前記基板供給部に前記載置ラックを位置付けたときには、前記基板把持機構の前記一対の載置支持部材が前記プッシャ手段に対応する位置に位置付けられ、前記把持ユニットが上下動して前記載置ラックに載置された前記基板が前記一対の載置支持部材に載置支持され、この載置支持された基板が前記プッシャ手段によって下流側に押し出されることを特徴とする。
【0014】
更に、本発明の請求項6に記載の基板供給装置では、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材の一方は、それらの他方に対して近接及び離隔する方向に間隔調整自在に装着され、前記把持ユニットは前記第2アーム部材の移動方向に対して垂直な方向に位置調整自在に支持されていることを特徴とする。
【発明の効果】
【0015】
本発明の請求項1に記載の基板取出機構によれば、第1アーム部材に第1把持部材が装着され、第2アーム部材に第2把持部材が装着され、第2アーム部材が第1アーム部材に対向して移動自在に支持されている。そして、第1アーム部材に第1傾斜把持部を有する第1把持部材が装着され、第2アーム部材に第2傾斜把持部を有する第2把持部材が装着されているので、第2アーム部材を第1アーム部材に近接する方向に移動すると、第1把持部材の第1傾斜把持部と第2把持部材の第2傾斜把持部とが積層状態の基板のうち最上位の基板に作用し、この最上位の基板を確実に取り出すことができる。尚、第2アーム部材の移動とともに、第1アーム部材を第2アーム部材に対して近接及び離隔する方向に移動させるようにすることもできる。
【0016】
また、本発明の請求項2に記載の基板取出機構によれば、第2アーム部材には、第1アーム部材に向けて下方に傾斜して延びる移動支持軸が移動自在に支持され、この移動支持軸に第2把持部材が取り付けられているので、第2アーム部材が第1アーム部材に近接する方向に移動して第2把持部材の第2傾斜把持部が最上位の基板に作用すると、最上位の基板は第1及び第2把持部材間に把持されて第2把持部材によって持ち上げられるようになり、積層状態の基板を確実に分離して取り出すことができる。
【0017】
また、本発明の請求項3に記載の基板供給装置によれば、基板取出機構は、基板を載置支持する載置支持手段と、載置ラックに載置された積層状態の基板のうち最上位の基板を載置支持手段に取り出すための基板把持機構とを備え、載置支持手段は、支持位置と後退位置との間を移動自在に装着された一対の載置支持部材を備え、基板把持機構は、第1及び第2アーム部材と、第1及び第2アーム部材に装着された第1及び第2把持部材とを備え、第1及び第2把持部材に第1及び第2傾斜把持部が設けられているので、第2アーム部材を第1アーム部材に近接する方向に移動すると、第1把持部材の第1傾斜把持部と第2把持部材の第2傾斜把持部とが、載置ラックに載置された積層状態の基板のうち最上位の基板に作用し、この最上位の基板を載置ラックから取り出すことができる。そして、第1及び第2把持部材の間に把持された基板を載置支持手段に移動させるときには、一対の載置支持部材が後退位置に保持されるので、この一対の載置支持部材間を通してその上方に基板を持ち上げることができ、また、基板を載置支持手段に載置支持するときには、一対の載置支持部材が支持位置に保持されるので、上方に持ち上げた基板を一対の載置支持部材に載置することができる。
【0018】
また、本発明の請求項4に記載の基板供給装置によれば、載置支持手段に関連してプッシャ手段が設けられているので、このプッシャ手段によって、一対の載置支持部材に載置支持された基盤を下流側に押し出すことができる。
【0019】
また、本発明の請求項5に記載の基板供給装置によれば、基板を積層状態に載置する載置ラックと基板を上下方向に間隔をおいて支持するマガジンラックとが選択的に用いられるように構成されている。このことに関連して、基板供給部を備えた昇降ユニットが装置本体に昇降自在に設けられ、基板把持機構の第1及び第2載置支持部材はこの昇降ユニットに支持され、また基板把持機構の第1及び第2アーム部材は装置本体に上下方向に移動自在である把持ユニットに取り付けられている。基板供給部にマガジンラックを位置付けたときには、把持ユニットは上方に移動した上昇位置に保持され、昇降ユニットが昇降動してマガジンラックに収容された基板がプッシャ手段によって下流側に押し出される。また、基板供給部に載置ラックを位置付けたときには、基板把持機構の一対の載置支持部材がプッシャ手段に対応する位置に位置付けられ、把持ユニットが上下動して載置ラックに載置された基板が一対の載置支持部材に載置支持され、この載置支持された基板がプッシャ手段によって下流側に押し出され、このようにマガジンラック及び載置ラックの双方に適用することができる。
【0020】
更に、本発明の請求項6に記載の基板供給装置によれば、載置支持手段の一対の載置支持部材の一方が間隔調整自在に装着され、また把持ユニットが位置調整自在に構成されているので、各種サイズの基板に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に従う基板供給装置の一実施形態を簡略的に示す正面図。
【図2】図1の基板供給装置を簡略的に示す左側面図。
【図3】基板供給装置において、昇降ユニットが上昇したときの状態を示す簡略左側面図。
【図4】昇降ユニットが上昇したときの状態を示す簡略背面図。
【図5】昇降ユニットが上昇したときの状態を示す簡略正面図。
【図6】図1の基板供給装置における把持ユニットを示す簡略正面図。
【図7】基板の取り出しに際し、把持ユニットが下降した状態を示す図。
【図8】把持ユニットの第1及び第2把持部材が最上位の基板に作用したときの状態を示す図。
【図9】図8に示す状態から更に第2把持部材を第1把持部材側に移動させた状態を示す図。
【図10】第1及び第2把持部材間に基板を把持した状態を示す図。
【図11】図1の基板供給装置において、マガジンラックの最上位に収容された基板を押し出す状態を示す図。
【図12】マガジンラックの最下位に収容された基板を押し出す状態を示す図。
【図13】マガジンラックを取り出すときの状態を示す図。
【図14】載置ラックを載置供給部に位置付けた状態を示す図であって、図14(a)はその正面図、図14(b)はその左側面図。
【図15】把持ユニットが加工した状態を示す図であって、図15(a)はその正面図、図15(b)はその左側面図。
【図16】第1及び第2把持部材間に基板を把持するときの状態を示す図であって、図16(a)はその正面図、図16(b)はその左側面図。
【図17】第1及び第2把持部材間に基板を把持して上方に持ち上げた状態を示す図であって、図17(a)はその正面図、図17(b)はそいの左側面図。
【図18】持ち上げた基板を一対の載置支持部材に載置支持した状態を示す図であって、図18(a)はその正面図、図18(b)はその左側面図。
【図19】一対の載置支持部材に支持された基板を下流側に押し出す状態を示す図であって、図19(a)はその正面図、図19(b)はその左側面図。
【図20】載置ラックに収容された最後の基板を下流側に押し出す状態を示す図であって、図20(a)はその正面図、図20(b)はその左側面図。
【図21】載置ラックを取り出すときの状態を示す図であって、図21(a)はその正面図、図21(b)はその左側面図。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、添付図面を参照して、本発明に従う基板供給装置の一実施形態を説明する。図1及び図2において、図示の基板供給装置は、工場の床面などに設置される装置本体2を備え、この装置本体2に昇降ユニット4が昇降動自在に装着されている。この形態では、装置本体2はベース部材6を備え、このベース部材6の四角部に脚部8が設けられ、この脚部8が床面などに載置される。
【0023】
ベース部材6の背面部に支持フレーム10が設けられ、この支持フレーム10に昇降動機構12が設けられ、ベース部材6の前面側、即ち支持フレーム10の前側に昇降ユニット4が配設されている。昇降ユニット4は昇降テーブル14を備え、この昇降テーブル12にラック搬入・排出機構15及び基板取出機構16が設けられている。ラック搬入・排出機構15及び基板取出機構16については、後述する。
【0024】
図3及び図4をも参照して、昇降機構12は一対の取付ブラケット18,19を備え、一方の取付ブラケット18は支持フレーム10の底部に取り付けられ、他方の取付ブラケット19は支持フレーム10の上部に取り付けられ、これら取付ブラケット18,19間にねじ軸20が回転自在に支持されている。また、このねじ軸20の両側にはスライド軸21,23が設けられ、かかるスライド軸21,23の一端部が一方の取付ブラケット18に固定され、それらの他端部が他方の取付ブラケット19に固定されている。このねじ軸20にはボールナット22が装着され、また、スライド軸21,23にはスライドブロック25,27が移動自在に装着され、これらボールナット22及びスライドブロック25,27が昇降ユニット4の昇降テーブル14に固定されている。
【0025】
また、他方の取付ブラケット18には取付部材24が装着され、この取付部材24に昇降駆動源としての電動モータ26が取り付けられ、この電動モータ26の出力プーリ29が駆動ベルト28を介してねじ軸20に固定された伝達プーリ31に駆動連結されている。
【0026】
このように構成されているので、電動モータ26が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転すると、その駆動力が出力プーリ29、駆動ベルト28及び伝達プーリ31を介してねじ軸20に伝達されて回動され、これによってボールナット22とともに昇降ベース14(即ち、昇降ユニット4)が矢印30(又は32)で示す上方(又は下方)に上昇(又は下降)され、この上昇(又は下降)の際には、一対のスライドブロック25,27がスライド軸21,23に案内されながら移動する。
【0027】
次に、昇降ユニット4のラック搬入・排出機構15について説明する。図示のラック搬入・排出機構15は、昇降テーブル14に回転自在に支持された駆動軸34及び従動軸36を有し、かかる駆動軸34及び従動軸36に軸方向に間隔をおいて一対のプーリ38,40(図1において駆動軸34及び従動軸36に装着された一方のプーリを示し、図2及び図3において従動軸36に装着された一対のプーリを示す)が装着され、駆動軸34の一対のプーリ38と従動軸36の一対のプーリ40との間に搬送ベルト42,44が巻き掛けられている。この形態では、駆動軸34に関連して、搬送駆動源としての電動モータ46が設けられ、かかる電動モータ46の出力プーリ48が伝達ベルト50を介して駆動軸34に駆動連結されている。
【0028】
このように構成されているので、電動モータ46が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転すると、その駆動力が出力プーリ48及び伝達ベルト50を介して駆動軸34に伝達されて回動され、これによって搬送ベルト42,44の上側走行部が、図1において左側(又は右側)である下流側(又は上流側)に移動される。
【0029】
このラック搬送・排出機構15に関連して、その上流側にラック送給機構52が設けられている。このラック送給機構52は、上述したラック搬入・排出機構15と略同様の構成を有し、送給フレーム54に回転自在に支持された回転軸56,58を有し、かかる回転軸56,58に軸方向に間隔をおいて一対のプーリ60,62(図1において一方のみ示す)が装着され、上流側の回転軸56の一対プーリ60と下流側の回転軸58の一対のプーリ62との間に搬送ベルト63(図1において一方のみ示す)が巻き掛けられ、例えば駆動源としての電動モータ(図示せず)の出力側が回転軸56(又は58)に駆動連結される。このように構成されているので、電動モータ(図示せず)が回転すると、一対の搬送ベルト63の上側走行部が下流側(図1において左側)に移動される。
【0030】
次に、図1〜図3とともに図5及び図6を参照して、図示の基板取出機構16について説明すると、この基板取出機構16は、基板を把持して取り出すための基板把持機構64と、把持した基板を載置支持するための載置支持手段66とを備えている。図示の基板把持機構64は把持ユニット68を備え、かかる把持ユニット68が支持軸70を介して昇降ブロック72に取り付けられている。また、昇降テーブル14には第1柱状部材73が設けられ、かかる柱状部材73に上下方向に延びるスライドベアリング74が設けられ、かかるスライドベアリング74に昇降ブロック72が昇降動自在に取り付けられている。また、支持軸70に関連して、昇降駆動手段76が設けられている。この昇降駆動手段76は、昇降駆動源としての電動モータ78と、第1柱状部材73に支持軸80を介して回転自在に支持されたプーリ82とを有し、電動モータ78の出力プーリ83とプーリ82との間に伝達ベルト84が巻き掛けられ、かかる伝達ベルト84の一部が支持軸70に連結固定されている。このように構成されているので、電動モータ78が所定方向(又は所定方向と反対方向)に回転すると、これに連結固定された支持軸70が一体的に移動し、把持ユニット68がスライドベアリング74に沿って上昇(又は下降)される。
【0031】
把持ユニット68には、基板の搬送方向(図1、図5及び図6において左右方向、図2及び図3において紙面に垂直な方向)に間隔をおいて配設された第1及び第2アーム部材86,88と、第1及び第2アーム部材86,88を移動させるための第1及び第2アーム駆動手段90,92とを備え、第1及び第2アーム駆動手段90,92が空圧シリンダ機構94,96から構成されている。空圧シリンダ機構94,96は把持ユニット68のユニット本体97に取り付けられ、これら空圧シリンダ機構94,96の出力側に第1及び第2アーム部材86,88が取り付けられている。
【0032】
このように構成されているので、一方の空圧シリンダ機構94が例えば伸張すると、第1アーム部材86は第2アーム部材88から離隔する方向に図6に実線で示す開放位置に移動し、この空圧シリンダ機構94が例えば収縮すると、第1アーム部材86は第2アーム部材88に近接する方向に図6に一点鎖線出示す位置に移動する。また、他方の空圧シリンダ機構96が例えば伸張すると、第2アーム部材88は第1アーム部材86から離隔する方向に図6に実線で示す開放位置に移動し、この空圧シリンダ機構96が収縮すると、第2アーム部材88は第1アーム部材に近接する方向に図6に一点鎖線で示す方向に位置に移動する。
【0033】
この形態では、第1アーム部材86の先端部には第1把持部材98が装着されている。この第1把持部材98は、第2アーム部材88と対向する部位に、基板Pを後述する如く把持するための第1把持部100が設けられ、この第1把持部100は上方に向けて第2アーム部材88側(図6において右側)に傾斜する第1傾斜面102を有している。また、第2アーム部材88の先端部には支持ブロック104が固定され、この支持ブロック104に移動支持軸106が移動自在に支持されている。この移動支持軸106は第1アーム部材86(図6において左側)に向けて下方に延び、その一端部(基部)には拡大径部108が設けられ、その他端部(先端部)に第2把持部材110が装着されている。この第2把持部材110は、第1アーム部材86と対向する部位に、基板Pを後述する如く把持するための第2把持部112が設けられ、この第2把持部112は上方に向けて第1アーム部材86側(図6において左側)に傾斜する第2傾斜面114を有している。
【0034】
更に、移動支持軸106を被嵌して支持ブロック104と第2把持部材110との間に、弾性偏倚手段を構成するコイルばね116が介在されている。このコイルばね116は第2把持部材110を第1アーム部材86側に弾性的に偏倚し、移動支持軸106の拡大経部108が支持ブロック104に当接することによって、図6に実線で示す把持作用位置に保持される。
【0035】
この基板把持機構64による基板Pの把持は、次のようにして行われる。図6とともに図7〜図10を参照して、積層状態の基板Pから最上位のものを取り出すときには、図7に示すように、把持ユニット68が後述する如く下降され、第1及び第2アーム部材86,88の第1及び第2最上位の基板Pに対応する位置に位置付けられる。この下降移動は、例えば第1アーム部材86に検知センサ(図示せず)を設け、かかる検知センサが最上位の基板Pを検知するまで行われる。
【0036】
このように下降した後、図8に示すように、空圧シリンダ機構94,96が収縮される。かくすると、第1アーム部材86の第1把持部材98が最上位の基板Pの一端部に作用するとともに、第2アーム部材88の第2把持部材110がこの基板Pの他端部に作用する。このとき、第1把持部材98の第1把持部98が第2把持部材110に向けて上方に傾斜する第1傾斜面102を有するとともに、第2把持部材110が第1把持部材98に向けて上方に傾斜する第2傾斜面114を有するので、第1把持部材98の第1把持部100及び第2把持部材110の第2把持部112が最上位の基板Pのみに作用し、この基板Pの両端部を挟持するようになる。
【0037】
図8に示す状態から更に空圧シリンダ機構96が収縮されると、図9に示すように、移動支持軸106が第1アーム部材86に向けて下方に傾斜して延びているので、この移動支持軸106がコイルばね116の弾性偏倚力に抗して斜め上方に移動され、かかる移動に伴う弾性力が最上位の基板Pに作用する。このように作用すると、最上位の基板Pの端部(第2把持部材110が作用する端部)が少し持ち上げられ、これによって、最上位の基板Pが残りの積層状態の基板Pから確実に分離され、かくして,最上位の基板Pが第1及び第2把持部材86,88間に挟持され、複数枚の基板Pの誤挟持を確実に防止することができる。
【0038】
このように基板Pを挟持すると、図10に示すように、把持ユニット68が後述する如く上昇され、かくして、積層状態の基板Pから最上位の基板Pを分離して取り出すことができる。
【0039】
尚、この形態では、基板Pを第1及び第2把持部材86,88間に把持する際に、第2把持部材88によって基板Pの端部を幾分持ち上げるようにしているが、この第2把持部材86に関連して、空気吹付手段(図示せず)を設け、この空気吹付手段からの空気を最上位の基板Pと積層状態の残りの基板Pとの間の間隙に吹き付けるようにしてもよく、このように空気を吹き付けることによって、最上位の基板Pをより一層確実に分離することができる。
【0040】
また、この形態では、空圧シリンダ機構に94,96によって第1及び第2アーム部材86,88を移動させているが、第1アーム部材86を固定的に設け、空圧シリンダ機構96によって第2アーム部材96のみを移動させるようにしてもよい。
【0041】
次に、基板取出機構16の載置支持手段66について説明する。再び図2及び図3を参照して、図示の載置支持手段66は支持軸122を有し、この支持軸122の一端部が昇降ユニット4の第1柱状部材73の上端部に固定され、その他端部が、昇降ユニット4の昇降テーブル14に第1柱状部材73と対向して取り付けられた第2柱状部材124の上端部に固定されている。載置支持手段66は、更に、第1及び第2載置支持部材126,128を有し、第1及び第2載置支持部材126,128は相互に対向して配設され、図2及び図3において紙面に垂直な方向に直線状に延びている。
【0042】
この形態では、支持軸122に取付ブロック130,132が軸方向に移動自在に支持され、例えば固定用ねじ(図示せず)を螺着することによって、支持軸122の所定位置に位置調整自在に固定される。このように位置調整自在とすることによって、後の記載から理解されるように、幅方向(図2及び図3において左右方向)の大きさが異なる基板Pにも対応することができ、種々の大きさに基板Pに適用することが可能となる。尚、このような第1及び第2載置支持部材126,128の位置調整とともに、把持ユニット68も幅方向(図2及び図3において左右方向)に位置調整自在に構成するのが望ましい。
【0043】
取付ブロック130,132には、載置支持用駆動源としての空圧シリンダ機構134,136が取り付けられ、一方の空圧シリンダ機構134の出力部に第1支持アーム138が装着され、この第1支持アーム138の先端部に、第2載置支持部材128側に突出するように第1載置支持部材126が取り付けられている。また、他方の空圧シリンダ機構136の出力部に第2支持アーム140の先端部に、第1載置支持部材126側に突出するように第2載置支持部材128が取り付けられている。
【0044】
このように構成されているので、空圧シリンダ機構134,136が伸張したときには、第1及び第2支持アーム138,140が相互に近接する方向に移動し、それらの先端部に取り付けられた第1及び第2載置支持部材126,128は、図18〜図20に示す支持位置に位置付けられ、この状態においては、第1及び第2載置支持部材126,128間の間隔は、載置支持される基板Pの幅よりも幾分小さい。また、空圧シリンダ機構134,136が収縮したときには、図2及び図3(更に、図14〜図17及び図21)に示す後退位置に位置し、この後退位置は上記支持位置から両側に後退し、第1及び第2載置支持部材126,128間の間隔は、この基板Pの幅よりも大きく、かかる間隔を通しての基板Pの上方への移動が許容される。
【0045】
再び図1に戻って、この実施形態では、ラック送給機構52の上方にラック送出機構152が配設されている。このラック送出機構152は、上述したラック送給機構52と同様の構成を有し、送出フレーム154に回転自在に支持された回転軸156,158を有し、かかる回転軸156,158に軸方向に間隔をおいて一対のプーリ160,162(図1において一方のみ示す)が装着され、上流側の回転軸156の一対プーリ160と下流側の回転軸158の一対のプーリ162との間に搬送ベルト163(図1において一方のみ示す)が巻き掛けられ、例えば駆動源としての電動モータ(図示せず)の出力側が回転軸156(又は158)に駆動連結される。このように構成されているので、電動モータ(図示せず)が回転すると、一対の搬送ベルト163の上側走行部が下流側(図1において右側)に移動される。
【0046】
この形態では、更に、ラック送出機構152の下側にプッシャ手段166が配設されている。図示のプッシャ手段166は空圧シリンダ機構167から構成され、この空圧シリンダ機構167の出力部に押圧部材168が装着されている。空圧シリンダ機構167が収縮すると、押圧部材168は図1(図11及び図13、図14〜図18及び図21)に示す後退位置に移動し、装置本体2の外側に位置する。また、この空圧シリンダ機構167が伸張すると、押圧部材168は図12、図19及び図20で示す突出位置に移動し、装置本体2内に突出して後述する如く基板Pに作用して下流側に押し出す。
【0047】
この実施形態では、次に説明するように、基板Pが積層状態に収容される載置ラック172(図14〜図21参照)と、基板Pが上下方向に間隔をおいて収容されるマガジンラック174(図1及び図2、図11〜図13参照)とが選択的に使用可能なように構成されている。そして、例えばマガジンラック174を用いたときには,図11〜図13に示すように作動してマガジンラック174に収容された基板Pが一枚ずつ下流側に送給され、また例えば載置ラック172に収容された基板Pを用いたときには、図14〜図21で示すように作動して載置ラック172に収容された基板Pが最上位側から一枚ずつ取り出されて下流側に送給される。マガジンラック174では、その両側壁に上下方向に所定間隔をおいて載置部(図示せず)が設けられ、これら載置部に基板Pが載置収容されるのに対し、載置ラック172ではこのような載置部が存在せず、基板Pは積層状態に積み重ねられる。尚、載置ラック172では、その前壁に第1アーム部材86などの移動を許容する切欠き(図示せず)が設けられるとともに、その側壁に支持軸70の移動を許容する切欠き(図示せず)が設けられる。
【0048】
次いで、図1及び図2とともに、図11〜図13を参照して、マガジンラック174に収容された基板Pの送給動作について説明する。マガジンラック174に収容された基板Pから供給するときには、図1に示すように、送給すべき基板Pが収容されたマガジンラック174をラック送給機構52の一対の搬送ベルト63上に載置する。このマガジンラック174の載置は、作業者の手作業でもって、或いは自動供給装置(図示せず)でもって行うことができる。
【0049】
このようにマガジンラック174を載置すると、ラック送給機構52の電動モータ(図示せず)が作動されるとともに、ラック搬入・排出機構15の電動モータ46が所定方向に回動され、このマガジンラック174は、ラック送給機構52の一対の搬送ベルト63によってラック搬入・排出機構15に送給され、またラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44によって下流側に送給されて装置本体2内の基板供給部S(図1に示す位置)に送給される。例えば、基板供給部Sにラック検知手段(図示せず)を設け、このラック検知手段がマガジンラック174を検知すると、ラック送給機構52の電動モータ及びラック搬入・排出機構15の電動モータ46の作動が作動停止し、このようにしてマガジンラック174の基板供給部Sへの搬入位置付けが行われる。尚、このマガジンラック174を用いるときには、把持ユニット68は、図1〜図3及び図11〜図13に示す上昇位置に保持され、このマガジンラック174に当接などすることがない。
【0050】
このマガジンラック174の搬入位置付けの後に、図11に示すように、基板Pを送給するためのマガジンラック174の上昇が行われる。このマガジンラック174の上昇は、昇降ユニット14全体を上昇することによって行われる。即ち、昇降機構12の電動モータ26が所定方向に回動され、この回動が駆動ベルト28を介してねじ軸20に伝達され、このねじ軸20及びボールナット22の作用によって昇降テーブル14がマガジンラック174とともに上昇される。例えば、プッシャ手段166に関連して基板検知手段(図示せず)を設け、この基板検知手段がマガジンラック174に収容された基板Pを検知すると、昇降機構12の電動モータ26の作動が作動停止し、このようにしてマガジンラック174の上昇が行われる。かく上昇した状態では、送給すべき基板Pは、プッシャ手段166の押圧部材168に対向する位置に位置付けられる。
【0051】
その後、プッシャ手段166の空圧シリンダ機構167が伸張する。かくすると、図11に示すように、空圧シリンダ機構167の出力部に装着された押圧部材168が突出位置まで移動してマガジンラック174内の基板Pに作用して押し出し、これによって、送給すべき基板Pが矢印182で示す下流側に送給され、このようにして所定の基板Pを下流側に送給することができる。
【0052】
このように基板Pが送給された後は、プッシャ手段166の空圧シリンダ機構167が収縮されて押圧部材168が後退位置に移動し、この状態にて昇降機構12の電動モータ26が作動して所定方向に回動され、昇降ユニット4が上述したと同様にして幾分上昇され、このようにして、マガジンラック174内の次の基板Pがプッシャ手段166の押圧部材168に対向する位置に位置付けられる。そして、プッシャ手段166の空圧シリンダ機構167が伸張され、その押圧部材168によって、次の基板Pの下流側の送給が行われ、このようにしてマガジンラック174に収容された基板Pの全てが送給されるまで、上述した送給動作が繰り返し行われ、最後の基板Pを送給するときには、図12に示す状態となる。
【0053】
このようにして全ての基板Pの送給が終了すると、図13に示すように、昇降機構12の電動モータ26が再び作動して所定方向に回動され、昇降ユニット4が上述したと同様にして幾分上昇され、このようにして、ラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44がラック送出機構152の搬送ベルト163と対向する位置まで上昇される。
【0054】
その後、ラック搬入・排出機構15の電動モータ46が作動されて所定方向と反対方向に回動されるとともに、ラック送出機構152の電動モータ(図示せず)が作動され、このマガジンラック174は、ラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44によってラック送出機構152に送給され、またラック送出機構152の一対の搬送ベルト163によって更に矢印184で示す下流側に排出され、かくして、基板Pの送給が終了したマガジンラック174が装置本体2外に排出され、このようにしてマガジンラック174に収容された基板Pの送給が繰り返し行われる。尚、排出されたマガジンラック174の取出しは、作業者の手作業でもって、或いは自動取出装置(図示せず)でもって行うことができる。
【0055】
次に、主として図14〜図21を参照して、載置ラック172に収容された基板Pの送給動作について説明する。載置ラック172に収容された基板Pから供給するときには、図14に示すように、送給すべき基板Pが収容された載置ラック172をラック送給機構52の一対の搬送ベルト63上に載置する。このように載置ラック172を載置すると、上述したと同様に、ラック送給機構52の電動モータ(図示せず)が作動されるとともに、ラック搬入・排出機構15の電動モータ46が所定方向に回動され、この載置ラック172は、ラック送給機構52の一対の搬送ベルト63及びラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44によって装置本体2内の基板供給部S(図1に示す位置)に送給される。このとき、把持ユニット68は、上述した上昇位置に保持され、載置支持手段66の第1及び第2載置支持部材126,128は、上述した後退位置に保持される。
【0056】
この載置ラック172の搬入位置付けの後に、載置ラック172に載置された基板Pの取り出しが次のようにして行われる。即ち、昇降駆動手段76の電動モータ78が作動されて所定方向と反対方向に回転され、図15に示すように、伝達ベルト84を介して把持ユニット68が所定位置(第1及び第2把持部材98,110が最上位の基板Pに対応する位置)まで下降される。
【0057】
次いで、図16に示すように、基板把持機構64の空圧シリンダ機構94,96が収縮される。かくすると、第1アーム部材86の第1把持部材98が最上位の基板Pの一端部に作用するとともに、第2アーム部材88の第2把持部材110がこの基板Pの他端部に作用し、上述した如くして、積層状態の基板Pのうち最上位の基板Pを挟持し、この最上位の基板Pが残りの積層状態の基板Pから分離される。最上位の基板Pの挟持は、図7〜図10を参照して説明した通りにして行われる。
【0058】
基板Pの把持の後、図17に示すように、昇降駆動手段76の電動モータ78が作動されて所定方向に回転され、図17に示すように、伝達ベルト84を介して把持ユニット68が上述した上昇位置まで上昇される。この上昇時には、基板把持機構64の第1及び第2把持部材98,110に挟持された基板Pは、上記後退位置に保持された第1及び第2載置支持部材126,128の間を通してそれらの上方に移動される。
【0059】
その後、図18に示すように、載置支持手段66の空圧シリンダ機構134,136が伸張され、第1及び第2支持アーム138、140が相互に近接する方向に移動され、第1及び第2載置支持部材126、128が上述した支持位置に位置付けられる。また、昇降駆動手段76の電動モータ78が作動されて所定方向と反対方向に回転され、伝達ベルト84を介して把持ユニット68が下降され、第1及び第2把持部材98,110に挟持された基板Pが載置支持手段66の第1及び第2載置支持部材126,128に載置支持される。かく載置支持されると、基板把持機構64の空圧シリンダ機構94,96が伸張され、第1及び第2アーム部材86,88の第1及び第2把持部材98、110が上述した後退位置に位置付けられる。この載置支持状態においては、第1及び第2載置支持部材126,128に支持された基板Pの両側に第1及び第2支持アーム138,140が存在するので、この基板Pの両側への移動が拘束され、基板Pは第1及び第2載置支持部材126,128に確実に載置支持される。尚、第1及び第2把持部材98、110が上述した後退位置に位置付けられた後、昇降駆動手段76の電動モータ78が作動されて所定方向に回転され、上述したようにして把持ユニット68が上記上昇位置に上昇される。
【0060】
次いで、図19に示すように、プッシャ手段166の空圧シリンダ機構167が伸張され、その押圧部材168が上記突出位置に移動し、この押圧部材168によって、載置支持手段66の第1及び第2載置支持部材126,128間に支持された基板Pが矢印186で示す下流側に押し出され、かくして、基板Pが載置ラック172から取り出されて下流側に送給される。基板Pの送給の後、プッシャ手段166の空圧シリンダ機構167が収縮され、その押圧部材168が上記後退位置に戻る。
【0061】
載置ラック172に収容された基板Pの送給は、全ての基板Pが送給されるまで繰り返し行われ、最後の基板Pを下流側に押し出すときには、図20に示す状態となる。
【0062】
そして、全ての基板Pの送給が終了すると、図21に示すように、昇降機構12の電動モータ26が作動して所定方向に回動され、昇降ユニット4が上述したようにして上昇され、ラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44がラック送出機構152の搬送ベルト163と対向する位置まで上昇される。
【0063】
その後、上述した同様に、ラック搬入・排出機構15の電動モータ46が作動されて所定方向と反対方向に回動されるとともに、ラック送出機構152の電動モータ(図示せず)が作動され、この載置ラック172は、ラック搬入・排出機構15の搬送ベルト42,44及びラック送出機構152の一対の搬送ベルト163によって更に矢印188で示す下流側に排出され、このようにして、基板Pの送給が終了した載置ラック172が装置本体2外に排出される。
【0064】
以上、本発明に従う基板供給装置の実施形態について説明したが、本発明はかかる実施形態に限定されるものではなく、本発明の範囲を逸脱することなく種々の変形乃至修正が可能である。
【0065】
例えば、図示の実施形態では、基板Pを積層状態に載置する載置ラック172と、基板Pを所定の間隔をおいて支持するマガジンラック174とを適用可能に構成しているが、このような構成に限定されず、載置ラック172のみが適用可能なように構成することもでき、このような場合、図11〜図13に示すような作動は不要となる。
【0066】
また、例えば、図示の実施形態では、ラック送給機構52及び搬入・排出機構15を設けて載置ラック172(及びマガジンラック174)を装置本体2の基板供給部Sに搬入し、更にラック送出機構152をも設けて載置ラック172(及びマガジンラック174)をラック送出機構152から排出するようにしているが、例えば、ラック送出機構152を省略し、ラック送給機構52及び搬入・排出機構15を搬入方向に移動させて載置ラック172(及びマガジンラック174)を基板供給部Sに搬入し、またこれらを利用し、搬入・排出機構15及びラック送給機構52を排出方向に移動させて載置ラック172(及びマガジンラック)を装置本体2外に排出するようにしてもよい。或いは、搬入・排出機構15、ラック送給機構52及びラック送出機構152の全てを省略し、作業者の手作業又は搬入・排出装置を用いて載置ラック172(及びマガジンラック174)を直接的に装置本体2の基板供給部Sに位置付けるようにしてもよい。
【0067】
また、図示の実施形態では、基板載置支持手段66の取付ブロック130,132の位置を手動で位置調整して種々の基板Pに対応可能に構成しているが、自動的に位置調整して種々の基板Pに対応するようにすることもできる。この場合、一方の取付ブロック130(又は132)を支持軸122に固定的に設けるとともに、他方の取付ブロック132(又は130)を支持軸122に滑動自在に装着し、このこの取付ブロック132(又は130)を、例えば電動モータと組み合わされたラック及びピニオンを用いて位置調整自在に構成することもでき、このように構成したときには、例えば、基板Pの幅寸法を入力することによって電動モータが所定回動して取付ブロック132(又は13)を所望位置に位置付けるようにすることもできる。尚、この場合、把持ユニット68(即ち、第1及び第2アーム部材86,88の第1及び第2把持部材98,110の位置も、基板Pの幅寸法に対応させて位置調整自在に構成することが好ましく、その位置付けは、例えば取付ブロック132(又は130)と同様にして自動的に行うことができる。
【符号の説明】
【0068】
2 装置本体
4 昇降ユニット
12 昇降機構
14 昇降テーブル
15 搬入・排出機構
16 基板取出機構
52 ラック送給機構
64 基板把持機構
66 載置支持手段
68 把持ユニット
86,88 アーム部材
90,92 アーム駆動手段
98,110 把持部材
138,140 支持アーム
152 ラック送出機構
166 プッシャ手段
172 載置ラック
174 マガジンラック
P 基板
S 基板供給部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
積層された複数枚の基板から最上位の基板を把持して取り出すための基板取出機構であって、支持本体に支持された第1アーム部材と、前記支持本体に前記第1アーム部材に対向して移動自在に支持された第2アーム部材と、前記第2アーム部材を前記第1アーム部材に対して近接及び離隔する方向に移動させるためのアーム駆動手段と、前記第1アーム部材に装着された第1把持部材と、前記第2アーム部材に装着された第2把持部材とを備え、前記第1把持部材における前記第2把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第2アーム部材側に傾斜する第1傾斜面を有する第1傾斜把持部が設けられ、また前記第2把持部材における前記第1把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第1アーム部材側に傾斜する第2傾斜面を有する第2傾斜把持部が設けられていることを特徴とする基板取出機構。
【請求項2】
前記第2アーム部材には、前記第1アーム部材に向けて下方に傾斜して延びる移動支持軸が移動自在に支持され、前記移動支持軸に前記第2把持部材が取り付けられ、更に、前記第2把持部材に関連して、これを前記第1把持部材側に弾性的に偏倚する弾性偏倚手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の基板取出機構。
【請求項3】
基板を積層状態に載置する載置ラックと、前記載置ラックに載置された基板を取り出して載置支持するための基板取出機構とを備え、前記基板取出機構は、前記基板を載置支持する載置支持手段と、前記載置ラックに載置された積層状態の基板のうち最上位の基板を前記載置支持手段に取り出すための基板把持機構とを備え、前記載置支持手段は、相互に対向して配設された一対の載置支持部材を備え、前記一対の載置支持部材は、前記基板を載置支持するための支持位置と前記支持位置から後退する後退位置との間を移動自在に構成され、前記基板把持機構は、相互に対向して配設された第1及び第2アーム部材と、第2アーム部材を前記第1アーム部材に対して近接及び離隔する方向に移動させるためのアーム駆動手段と、前記第1アーム部材に装着された第1把持部材と、前記第2アーム部材に装着された第2把持部材とを備え、前記第1把持部材における前記第2把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第2アーム部材側に傾斜する第1傾斜面を有する第1傾斜把持部が設けられ、また前記第2把持部材における前記第1把持部材と対向する部位には、上方に向けて前記第1アーム部材側に傾斜する第2傾斜面を有する第2傾斜把持部が設けられ、前記基板把持機構の前記第1及び第2把持部材の間に把持された前記基板を前記載置支持手段に移動させるときには、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材は前記後退位置に保持され、前記基板把持機構の前記第1及び第2把持部材の間に把持された前記基板を前記載置支持手段に載置支持するときには、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材は前記支持位置に保持されることを特徴とする基板供給装置。
【請求項4】
前記載置支持手段に関連して、前記基板を押し出すためのプッシャ手段が設けられ、前記プッシャ手段は、前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材に載置支持された前記基盤を下流側に押し出すことを特徴とする請求項3に記載の基板供給装置。
【請求項5】
前記基板を積層状態に載置する前記載置ラックと前記基板を上下方向に間隔をおいて支持するマガジンラックとが選択的に用いられるように構成され、このことに関連して、前記載置ラック及び前記マガジンラックとが選択的に位置付けられる基板供給部を備えた昇降ユニットが装置本体に昇降自在に設けられ、前記基板把持機構の前記第1及び第2載置支持部材は前記昇降ユニットに前記支持位置と前記後退位置との間を移動自在に支持され、前記基板把持機構の前記第1及び第2アーム部材は前記装置本体に上下方向に移動自在に装着された把持ユニットに取り付けられ、前記基板供給部に前記マガジンラックを位置付けたときには、前記把持ユニットは上方に移動した上昇位置に保持され、前記昇降ユニットが昇降動して前記マガジンラックに収容された前記基板が前記プッシャ手段によって下流側に押し出され、また前記基板供給部に前記載置ラックを位置付けたときには、前記基板把持機構の前記一対の載置支持部材が前記プッシャ手段に対応する位置に位置付けられ、前記把持ユニットが上下動して前記載置ラックに載置された前記基板が前記一対の載置支持部材に載置支持され、この載置支持された基板が前記プッシャ手段によって下流側に押し出されることを特徴とする請求項4に記載の基板供給装置。
【請求項6】
前記載置支持手段の前記一対の載置支持部材の一方は、それらの他方に対して近接及び離隔する方向に間隔調整自在に装着されていることを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の基板供給装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【公開番号】特開2011−3641(P2011−3641A)
【公開日】平成23年1月6日(2011.1.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−144179(P2009−144179)
【出願日】平成21年6月17日(2009.6.17)
【出願人】(501020730)ワイエス株式会社 (5)
【Fターム(参考)】