基板形センサ、変位センサ装置及び転がり軸受装置
【課題】軽量・コンパクトで簡素な構造のセンサ及びこれを備えた変位センサ装置を提供する。
【解決手段】金属製の検出対象物(例えば回転体12)の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサ10であって、全体として所定の立体形状(例えば円筒状)を成すフレキシブルプリント基板2と、このフレキシブルプリント基板2を支持し、かつ、当該立体形状を維持する支持部11と、フレキシブルプリント2基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が検出対象物と対向するコイル3とを備えたものとする。
【解決手段】金属製の検出対象物(例えば回転体12)の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサ10であって、全体として所定の立体形状(例えば円筒状)を成すフレキシブルプリント基板2と、このフレキシブルプリント基板2を支持し、かつ、当該立体形状を維持する支持部11と、フレキシブルプリント2基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が検出対象物と対向するコイル3とを備えたものとする。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物の変位を検出する変位センサ装置に関し、特に、そのセンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の分野において、走行の際の運転制御を行うために、車輪に作用する荷重の情報が必要とされている。かかる情報を得るため、車輪用の転がり軸受装置(ハブユニット)に変位センサ装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような転がり軸受装置においては、車体側の固定軌道輪に転動体を介して、可動軌道輪である内軸が回転自在に支持され、この内軸に車輪が取り付けられる。複数個(一対二組で軸方向へ二列に設けられる。)の変位センサ装置は、内軸の端部の外周に対向して設けられており、車輪に荷重が作用した際に発生する内軸の径方向・軸方向の変位を、インダクタンスの変化として出力する。そして、これらの変位センサ装置に接続された信号処理回路は、インダクタンスの変化に基づいて、変位を示す信号を生成し、当該信号をECU(電子制御ユニット)に提供する。これによってECUは、車輪に作用する荷重を求めることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−127253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の変位センサ装置におけるセンサ(検知部)としては、積層鋼板にコイルを巻回したものが使用される。具体的には、リング状に形成された積層鋼板の周方向90度ごとに合計4個のコイルを巻回したものを1セットとして、これが、軸方向に2セット設けられる。すなわち、全体で、積層鋼板2リングと、コイル8個が必要であった。しかしながら、このようなセンサの構造は、体積・重量が大きく、構成部品数も多いので、材料コストが高く、組立工数も多くなる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、軽量・コンパクトで簡素な構造のセンサ及びこれを備えた変位センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサであって、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルとを備えたものである。
【0007】
上記のように構成された基板形センサにおいては、コイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法(コイルの中心線方向の寸法、以下同様。)の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、検出対象物の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイルの導電部と検出対象物との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。検出対象物の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0008】
一方、本発明は、金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、前記コイルのインダクタンス及び前記コイルと前記検出対象物との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路とを備えたものである。
【0009】
上記のように構成された変位センサ装置においては、コイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、検出対象物の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイルの導電部と検出対象物との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成して交流信号で駆動することができる。検出対象物の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0010】
また、上記変位センサ装置において、検出対象物は回転体であり、コイルは、回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられていてもよい。
この場合、回転体の径方向への変位を正確に検出することができる。
【0011】
また、上記変位センサ装置において、支持部は円筒状であり、その円筒面の片面に、展開された状態では平面状であるフレキシブルプリント基板が、円筒状に丸められた状態で密着している構成としてもよい。
この場合、支持部によって、フレキシブルプリント基板を円筒状に保持することができる。
【0012】
また、上記変位センサ装置において、支持部は金属製であってもよい。
この場合、機械的強度を容易に確保することができるので、例えば樹脂製に比べて薄肉の支持部とすることができる。このことは、コンパクト化に寄与する。なお、支持部が金属製であっても、高周波信号でLC回路を駆動することにより、変位検出に影響がないことが確認された。
【0013】
一方、本発明は、金属製の回転体の径方向及び軸方向への変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、円筒状の支持部と、前記支持部の円筒面の片面に密着している円筒状のフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板上で、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられ、その各々は、導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向する径方向変位検出用のコイルと、前記フレキシブルプリント基板上で、螺旋を描くように周方向に巻回される一対の軸方向変位検出用のコイルと、前記各コイルのインダクタンス及び前記各コイルと前記回転体との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路とを備えたものである。
【0014】
上記のように構成された変位センサ装置においては、径方向変位検出用のコイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、当該コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、回転体の表面に自在に近接させることができる。近接によって、当該コイルの導電部と回転体との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成して交流信号で駆動することができる。回転体の径方向の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。さらに、一対の軸方向変位検出用のコイルをそれぞれ、回転体に設けられたターゲットに対向させれば、軸方向への変位も同様にして検出することができる。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0015】
また、上記変位センサ装置において、フレキシブルプリント基板は、展開された状態では平面状であり、円筒状に丸められた状態で、支持部の円筒面の片面に密着しているものであり、かつ、展開された状態でのフレキシブルプリント基板上の2箇所にはそれぞれ、一端から他端へ複数条の導電ラインが形成されており、丸められた状態では、一端における複数条の導電ラインと他端における複数条の導電ラインとが互いに1条ずれて接続されることによって、軸方向変位検出用のコイルが形成されている構造であってもよい。
この場合、展開された状態で単純な形状の導電ラインを容易に形成することができ、フレキシブルプリント基板を丸めることで軸方向変位検出用のコイルを形成することができる。
【0016】
また、本発明は、回転体を回転自在に支持し、当該回転体の変位を非接触で検出するための基板形センサを搭載した転がり軸受装置であって、当該基板形センサは、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記回転体と対向するコイルとを備えたものである。
この場合、基板形センサを搭載しつつも、コンパクトな転がり軸受装置を提供することができる。特に、従来は搭載不可能であった転がり軸受装置の内外輪間のような狭い場所にも、基板形センサを搭載することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機能を集約した、軽量・コンパクトで簡素な構造の基板形センサ及び変位センサ装置を提供することができる。また、このような基板形センサを搭載した転がり軸受装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の基板形センサの基本的要素となる平面コイルの原理を説明する図である。この平面コイル1は、(a)に示すように、フレキシブルプリント基板(FPC)2上に、導電部を渦巻状に形成して成るコイル3を設けたものである。このような平面コイル1は、例えば、銅やアルミニウム等の金属箔が貼着されたフレキシブルプリント基板からエッチングを行って、渦巻のパターンを残すことにより製作することができる。なお、コイル3の渦巻中心の端部は、例えばスルーホールで裏面へ導出することができる。コイル3は、渦巻のターン数(渦を巻いている回数)、コイルの断面積、コイルの長さ等に依存するインダクタンスLを有するが、ターン数は2乗で関与するため、最も支配的な要素である。従って、ターン数を確保することによって、所望のインダクタンスを得ることが可能である。
【0019】
(b)は、平面コイル1を、変位の検出対象物4と近接対向させた状態を示す斜視図である。検出対象物4は金属製(例えば鉄系金属)であり、導電性を有する。コイル3のインダクタンスは、この検出対象物4によって影響を受ける。また、交流信号に対して、コイル3のパターンと検出対象物4との間に、パターン面積や相互間の距離に依存したキャパシタンスが現れる。従って、このような平面コイル1は、等価的に、(c)に示すような並列のLC回路となる。ここで、インダクタンスLやキャパシタンスCの値は、検出対象物4と平面コイル1とのギャップによって変化する。
【0020】
上記ギャップが増大すると、交流信号に対するインダクタンスL及びキャパシタンスCが共に低下し、逆に、ギャップが減少すると、インダクタンスL及びキャパシタンスCが共に上昇する。従って、ギャップの変化により、LC回路の自己共振周波数f(=1/(2π(L・C)1/2))が変化する。
図2は、LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。周波数特性は、例えば自己共振周波数f1でピークとなる実線の曲線であるが、自己共振周波数が低下してf2になると、周波数特性は破線の曲線となる。この結果、LC回路に一定の発振周波数f0を供給している場合において、LC回路の出力(振幅)は、V1からV2に変化する。このようにして、ギャップの変化を出力の変化として検出することができる。
【0021】
図3は、コイル3の巻き方の他の例(実用的な例)を示す斜視図である。この例では、フレキシブルプリント基板2の表裏両面に、コイル3が設けられ、スルーホールの導電路5を介して互いに接続されている。なお、図を見易くするために2つのコイル3を互いに上下に引き離して表しているが、実際には、薄いフレキシブルプリント基板2を挟んで背中合わせになっている。
【0022】
2つのコイル3は、同じ方向(例えば上方)から見ると互いに逆の渦巻であるが、電流という視点から見ると、同じ方向に巻いている。すなわち、仮に、上のコイル3の外側の巻端から電流が流れ込むとすると、電流は右巻きに渦の中心へ向かい、下のコイル3に抜けると、今度は、右巻きに渦の外側へ向かい、下のコイル3の外側の巻端に達する。従って、電流は常に右巻きに流れており、右巻きのターン数が累積される。電流が逆に流れるときは、電流は常に左巻きに流れ、左巻きのターン数が累積される。このようにして、厚さ方向には極めて薄い平面コイル1でありながら、コイル3は全体として多くのターン数を確保することができる。従って、所望のインダクタンスを容易に得ることができる。
【0023】
次に、上記のような平面コイル1を、平面にとどまらせず、曲面に適用した本願発明の第1実施形態に係る変位センサ装置について説明する。
図4の(a)は、変位センサ装置に用いられる基板形センサ10の展開図である。この基板形センサ10においては、フレキシブルプリント基板2上に、4個のコイル3(総称符号)が2段に、合計8個設けられている。なお、図ではコイル3を簡略化して同心円のように描いているが、実際は、図1や図3に示したような渦巻である(以下、同様。)。
【0024】
ここで、各コイル個別の符号は、後述の回転体の軸方向をY方向とした場合に、Y方向に直交し、かつ、互いに直交するX方向・Z方向に対応し、数字はY軸上の組番号、+、−はX,Z方向の組を表している。すなわち、変位を検出するためのコイルの組み合わせは、以下のようになる。
X方向変位:(X1+,X1−)、(X2+,X2−)
Z方向変位:(Z1+,Z1−)、(Z2+,Z2−)
各コイル3における2つの巻端(図示せず。)は、フレキシブルプリント基板2の表裏両面の導電路6を経て、端子電極部2aに導出されている。
【0025】
このような基板形センサ10を円筒状に丸めると、(b)に示すようになり、コイルX1+及びX1−、並びに、X2+及びX2−は、それぞれ、X方向に2個1組の存在となる。また、コイルZ1+及びZ1−、並びに、Z2+及びZ2−は、それぞれ、Z方向に2個1組の存在となる。また、上段側及び下段側の各4個のコイルは、周方向の位相90度ごとに配置されている。
【0026】
図5は、丸めた状態のフレキシブルプリント基板2を支持し、かつ、その円筒形状を維持すべく、円筒状の支持部11(基板形センサ10の一部材)の内周面上に取り付ける状態を示す斜視図である。内周面にフレキシブルプリント基板2を固定するには、例えば、耐熱樹脂接着剤を使用することができる。支持部11は、樹脂製であってもよいが、ここでは金属製とする。金属製の場合、機械的強度を容易に確保することができるので、樹脂製に比べて薄肉の支持部とすることができる。このことは、コンパクト化に寄与する。なお、支持部が金属製であっても、高周波信号(100kHz〜500kHz)でLC回路を駆動することにより、変位検出に影響がないことが確認された。
【0027】
支持部11の内周面に固定されたフレキシブルプリント基板2の内側には、径方向の微小な隙間を確保して、検出対象物としての回転体12が挿入される。この回転体12とは例えば自動車の車軸である。その場合、支持部11は転がり軸受装置の固定輪に取り付けられ、可動輪に回転体(車軸)12が取り付けられている。そして、上記の隙間は、転がり軸受装置によって維持される。
【0028】
図6の(a)は、支持部11の図示を省略して、フレキシブルプリント基板2の内側に回転体12が挿通されている状態を示している。(b)は、これを回転体12の軸方向から見た図である。フレキシブルプリント基板2と回転体12の表面との間には径方向へのギャップ(例えば3mm程度)があり、このギャップの変化によって、前述のインダクタンスL,キャパシタンスCが変化する。従って、車輪に荷重が作用した際に発生する車軸の径方向の変位を、前述の出力の変化として検出することができる。
【0029】
図7は、変位センサ装置20の回路構成の一例を示す回路図である。変位センサ装置20は、基板形センサ10に搭載されたコイル3の他、信号処理回路17を備えている。各コイルは前述のように等価的にはLC回路であり、発振回路13から抵抗14を介して所定の発振周波数f0の交流信号が供給される。LC回路の出力はインピーダンス変換を行うバッファ回路(電圧フォロワ回路)15を経て、差動増幅回路16に入力される。
【0030】
差動増幅回路16は、対を成す2つのLC回路からの信号電圧の差をとることで信号の線形化を行い、かつ、増幅を行う。線形化によって、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。すなわち、軸方向に直交する方向にコイルを2個1組で設け、出力の差をとることで、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。差動増幅後の信号は、X方向の2出力(X1,X2)と、Z方向の2出力(Z1,Z2)として出力される。これらの4出力に基づいて、ECU(図示せず。)は車輪に作用する荷重を求める。また、同じ方向の2出力に基づいて、モーメント荷重を求めることができる。
なお、信号処理回路17は、基板形センサ10とは別に設けられるが、フレキシブルプリント基板2の空きスペースに実装することも可能である。
【0031】
以上のように、第1実施形態に係る基板形センサ10及び変位センサ装置20によれば、コイル3のインダクタンスを、フレキシブルプリント基板2上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板2は変形容易であり、回転体12の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイル3の導電部と回転体12との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。
また、1つの基板に必要数のコイル3を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
【0032】
次に、第2実施形態に係る変位センサ装置について説明する。
図8の(a)は、当該変位センサ装置に用いられる基板形センサ10の展開図である。図4との違いは、Y方向(軸方向)の変位検出用のコイルが追加された点である。すなわち、展開された状態を示す(a)において、第1実施形態と同様の径方向変位検出用となる8個のコイル3に対して上下方向(Y方向)の外側の2箇所にはそれぞれ、左右の一端から他端へ複数条(この図では4条)の導電ラインY+,Y−(総称符号7)が形成されている。これらの導電ラインY+,Y−はフレキシブルプリント基板2の長手方向に完全に平行ではなく、左端と右端とで1条分ずれるように斜めになっている。従って、(b)に示すように丸めると、拡大図部分に示すように、1条ずれて突き合わせた形となる。この状態で各導電ラインY+,Y−の端部同士を互いに接続すると、螺旋を描くように周方向に巻回される上下一対の軸方向変位検出用のコイル7が出来上がる。
【0033】
上記のような第2実施形態の基板形センサ10は、第1実施形態と同様に、円筒状の支持部11(図5参照。)に取り付けることができる。支持部11の内周面に固定された基板形センサ10の内側には、径方向の微小な隙間を確保して、検出対象物としての回転体が挿入される。
【0034】
図9は、このような基板形センサ10を用いてY方向の変位検出を行う構成を示す斜視図である。この場合、回転体12にはY方向の変化をつけるターゲットが必要であり、例えば図示のような段差によって、ターゲットとすることができる。一対のコイル7はそれぞれ、上下の段差部の周りに配置される。これにより、回転体12のY方向の変位は、コイル7に関与するインダクタンスL及びキャパシタンスCに影響を与えるので、同様に、LC回路の出力の変化として検出することができる。
【0035】
図10は、第2実施形態に係る変位センサ装置20の回路構成の一例を示す回路図である。この回路では、図7の回路構成に加えて、Y方向の変位検出を行うために、信号処理回路17にバッファ回路15及び差動増幅回路16が追加されている。これにより、Y方向の出力Yが得られる。
【0036】
以上のように、第2実施形態に係る基板形センサ10及び変位センサ装置20によれば、第1実施形態と同様の作用効果の他、Y方向の変位検出を行うことができる。また、そのためのコイル7は、丸められたフレキシブルプリント基板2上の周方向への巻回によってターン数を確保することができる。
また、1つの基板に必要数の径方向変位検出用のコイル3及び軸方向の変位検出用のコイル7を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
【0037】
なお、上記各実施形態に係る基板形センサ10は、円筒状の支持部11に取り付けられるものとしたが、円筒に限らず、多角形状の角筒(例えばボックス状の4角筒)である支持部に取り付けることも可能である。
また、上記各実施形態に係る基板形センサ10は、円筒状の支持部11の内周面に取り付けられるものとしたが、内周面に限らず、回転体が外周側にある場合には、支持部の外周面に取り付けることも可能である。
【0038】
上記各実施形態に係る基板形センサ10又は変位センサ装置20は、例えば、自動車の車輪を回転自在に支持する転がり軸受装置に搭載することができる。
図11は、転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。このハブユニット100は車両に取り付けられるものであり、取り付けた状態では、図11における右側が車両のアウター側(車両の外側)であり、左側が車両のインナー側(車両の内側)である。図11において、ハブユニット100の中心軸Cに沿った方向をY方向とし、これに直交する紙面に垂直な方向をX方向とし、Y方向及びX方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向とする。従って、このハブユニット100が自動車に取り付けられた状態においてX方向は車輪の前後水平方向となり、Y方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z方向は上下方向となる。
【0039】
このハブユニット100は、主たる構造部分として、外輪101、内軸102、内輪部材103、ナット104、及び、転動体105を備えている。外輪101は、筒状部101aと、この筒状部101aの一部の外周面から径方向外方へ伸びたフランジ部101bとを有している。このフランジ部101bは、車体側の固定部材(図示せず。)に固定され、これによってハブユニット100が車体に固定される。内軸102は、外輪101内に挿通される主軸部102aと、車両アウター側にあって径方向外方へ延びるフランジ部102bとを有している。このフランジ部102bが、車輪のホイールやブレーキディスクの取付部となる。なお、主軸部102aは、前述の回転体12(図5,図9)に相当する部分である。
【0040】
内軸102の車両インナー側には、筒状の内輪部材103が外嵌され、さらに、内軸102の端部に形成された雄ねじ部102dにナット104が螺着されることにより、内輪部材103が内軸102に固定されている。転動体105は、周方向に複数個配置された玉からなる複列の構成となっている。各列の玉は保持器(図示せず。)によって周方向に所定間隔で保持されている。
このハブユニット100において、外輪101は、車体側の固定部材に固定される固定軌道輪である。また、内軸102と内輪部材103とは、外輪101に転動体105を介して回転自在に支持された回転軌道輪である。外輪101、内軸102及び内輪部材103は、互いに同軸(中心軸C)に配置されている。
【0041】
このように構成されたハブユニット100において、図5の基板形センサ10又は図9の基板形センサ10を、支持部11(図5)と共に、外輪101の内周面上に取り付けることにより、内軸102の変位を検出することができる。
この場合、基板形センサ10等を搭載しつつも、コンパクトなハブユニット100を提供することができる。すなわち、従来は搭載不可能であった転がり軸受装置の内外輪間のような狭い場所にも、基板形センサを搭載することができるようになる。
【0042】
なお、本発明の基板形センサや変位センサ装置は、転がり軸受装置に限らず種々の装置の変位検出に用いることができる。また、ターゲットを周期的に検出すれば、変位検出に基づいて速度検出や回転数検出も行うことができる。
また、本発明の基板形センサや変位センサ装置における検出対象物は回転体に限られるものではなく、軸動型の機器や、往復動の機器等、種々の機器における変位検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の基板形センサの基本的要素となる平面コイルの原理を説明する図である。
【図2】LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図3】コイルの巻き方の他の例(実用的な例)を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る変位センサ装置に用いられる基板形センサの展開図及び円筒状に丸めた状態の斜視図である。
【図5】丸めた状態のフレキシブルプリント基板を、円筒状の支持部の内周面上に取り付ける状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は、支持部の図示を省略して、フレキシブルプリント基板の内側に回転体が挿通されている状態を示し、(b)は、これを回転体の軸方向から見た図である。
【図7】第1実施形態に係る変位センサ装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【図8】第2実施形態に係る変位センサ装置に用いられる基板形センサの展開図及び円筒状に丸めた状態の斜視図である。
【図9】図8の基板形センサを用いてY方向の変位検出を行う構成を示す斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る変位センサ装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【図11】転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 フレキシブルプリント基板
3 コイル
7 コイル
10 基板形センサ
11 支持部
12 回転体(検出対象物)
17 信号処理回路
20 変位センサ装置
100 ハブユニット(転がり軸受装置)
【技術分野】
【0001】
本発明は、検出対象物の変位を検出する変位センサ装置に関し、特に、そのセンサの構造に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、自動車の分野において、走行の際の運転制御を行うために、車輪に作用する荷重の情報が必要とされている。かかる情報を得るため、車輪用の転がり軸受装置(ハブユニット)に変位センサ装置が設けられている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このような転がり軸受装置においては、車体側の固定軌道輪に転動体を介して、可動軌道輪である内軸が回転自在に支持され、この内軸に車輪が取り付けられる。複数個(一対二組で軸方向へ二列に設けられる。)の変位センサ装置は、内軸の端部の外周に対向して設けられており、車輪に荷重が作用した際に発生する内軸の径方向・軸方向の変位を、インダクタンスの変化として出力する。そして、これらの変位センサ装置に接続された信号処理回路は、インダクタンスの変化に基づいて、変位を示す信号を生成し、当該信号をECU(電子制御ユニット)に提供する。これによってECUは、車輪に作用する荷重を求めることができる。
【0004】
【特許文献1】特開2007−127253号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記のような従来の変位センサ装置におけるセンサ(検知部)としては、積層鋼板にコイルを巻回したものが使用される。具体的には、リング状に形成された積層鋼板の周方向90度ごとに合計4個のコイルを巻回したものを1セットとして、これが、軸方向に2セット設けられる。すなわち、全体で、積層鋼板2リングと、コイル8個が必要であった。しかしながら、このようなセンサの構造は、体積・重量が大きく、構成部品数も多いので、材料コストが高く、組立工数も多くなる。
かかる従来の問題点に鑑み、本発明は、軽量・コンパクトで簡素な構造のセンサ及びこれを備えた変位センサ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサであって、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルとを備えたものである。
【0007】
上記のように構成された基板形センサにおいては、コイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法(コイルの中心線方向の寸法、以下同様。)の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、検出対象物の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイルの導電部と検出対象物との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。検出対象物の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0008】
一方、本発明は、金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、前記コイルのインダクタンス及び前記コイルと前記検出対象物との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路とを備えたものである。
【0009】
上記のように構成された変位センサ装置においては、コイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、検出対象物の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイルの導電部と検出対象物との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成して交流信号で駆動することができる。検出対象物の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0010】
また、上記変位センサ装置において、検出対象物は回転体であり、コイルは、回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられていてもよい。
この場合、回転体の径方向への変位を正確に検出することができる。
【0011】
また、上記変位センサ装置において、支持部は円筒状であり、その円筒面の片面に、展開された状態では平面状であるフレキシブルプリント基板が、円筒状に丸められた状態で密着している構成としてもよい。
この場合、支持部によって、フレキシブルプリント基板を円筒状に保持することができる。
【0012】
また、上記変位センサ装置において、支持部は金属製であってもよい。
この場合、機械的強度を容易に確保することができるので、例えば樹脂製に比べて薄肉の支持部とすることができる。このことは、コンパクト化に寄与する。なお、支持部が金属製であっても、高周波信号でLC回路を駆動することにより、変位検出に影響がないことが確認された。
【0013】
一方、本発明は、金属製の回転体の径方向及び軸方向への変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、円筒状の支持部と、前記支持部の円筒面の片面に密着している円筒状のフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板上で、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられ、その各々は、導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向する径方向変位検出用のコイルと、前記フレキシブルプリント基板上で、螺旋を描くように周方向に巻回される一対の軸方向変位検出用のコイルと、前記各コイルのインダクタンス及び前記各コイルと前記回転体との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路とを備えたものである。
【0014】
上記のように構成された変位センサ装置においては、径方向変位検出用のコイルのインダクタンスを、フレキシブルプリント基板上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、当該コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板は変形容易であり、回転体の表面に自在に近接させることができる。近接によって、当該コイルの導電部と回転体との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成して交流信号で駆動することができる。回転体の径方向の変位は、インダクタンス及びキャパシタンスの等価的な変化に基づくLC回路の自己共振特性に基づいて検出可能である。さらに、一対の軸方向変位検出用のコイルをそれぞれ、回転体に設けられたターゲットに対向させれば、軸方向への変位も同様にして検出することができる。
また、1つの基板に必要数のコイルを設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板に必要な機能を集約することができる。
【0015】
また、上記変位センサ装置において、フレキシブルプリント基板は、展開された状態では平面状であり、円筒状に丸められた状態で、支持部の円筒面の片面に密着しているものであり、かつ、展開された状態でのフレキシブルプリント基板上の2箇所にはそれぞれ、一端から他端へ複数条の導電ラインが形成されており、丸められた状態では、一端における複数条の導電ラインと他端における複数条の導電ラインとが互いに1条ずれて接続されることによって、軸方向変位検出用のコイルが形成されている構造であってもよい。
この場合、展開された状態で単純な形状の導電ラインを容易に形成することができ、フレキシブルプリント基板を丸めることで軸方向変位検出用のコイルを形成することができる。
【0016】
また、本発明は、回転体を回転自在に支持し、当該回転体の変位を非接触で検出するための基板形センサを搭載した転がり軸受装置であって、当該基板形センサは、全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記回転体と対向するコイルとを備えたものである。
この場合、基板形センサを搭載しつつも、コンパクトな転がり軸受装置を提供することができる。特に、従来は搭載不可能であった転がり軸受装置の内外輪間のような狭い場所にも、基板形センサを搭載することができる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、機能を集約した、軽量・コンパクトで簡素な構造の基板形センサ及び変位センサ装置を提供することができる。また、このような基板形センサを搭載した転がり軸受装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
図1は、本発明の基板形センサの基本的要素となる平面コイルの原理を説明する図である。この平面コイル1は、(a)に示すように、フレキシブルプリント基板(FPC)2上に、導電部を渦巻状に形成して成るコイル3を設けたものである。このような平面コイル1は、例えば、銅やアルミニウム等の金属箔が貼着されたフレキシブルプリント基板からエッチングを行って、渦巻のパターンを残すことにより製作することができる。なお、コイル3の渦巻中心の端部は、例えばスルーホールで裏面へ導出することができる。コイル3は、渦巻のターン数(渦を巻いている回数)、コイルの断面積、コイルの長さ等に依存するインダクタンスLを有するが、ターン数は2乗で関与するため、最も支配的な要素である。従って、ターン数を確保することによって、所望のインダクタンスを得ることが可能である。
【0019】
(b)は、平面コイル1を、変位の検出対象物4と近接対向させた状態を示す斜視図である。検出対象物4は金属製(例えば鉄系金属)であり、導電性を有する。コイル3のインダクタンスは、この検出対象物4によって影響を受ける。また、交流信号に対して、コイル3のパターンと検出対象物4との間に、パターン面積や相互間の距離に依存したキャパシタンスが現れる。従って、このような平面コイル1は、等価的に、(c)に示すような並列のLC回路となる。ここで、インダクタンスLやキャパシタンスCの値は、検出対象物4と平面コイル1とのギャップによって変化する。
【0020】
上記ギャップが増大すると、交流信号に対するインダクタンスL及びキャパシタンスCが共に低下し、逆に、ギャップが減少すると、インダクタンスL及びキャパシタンスCが共に上昇する。従って、ギャップの変化により、LC回路の自己共振周波数f(=1/(2π(L・C)1/2))が変化する。
図2は、LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。周波数特性は、例えば自己共振周波数f1でピークとなる実線の曲線であるが、自己共振周波数が低下してf2になると、周波数特性は破線の曲線となる。この結果、LC回路に一定の発振周波数f0を供給している場合において、LC回路の出力(振幅)は、V1からV2に変化する。このようにして、ギャップの変化を出力の変化として検出することができる。
【0021】
図3は、コイル3の巻き方の他の例(実用的な例)を示す斜視図である。この例では、フレキシブルプリント基板2の表裏両面に、コイル3が設けられ、スルーホールの導電路5を介して互いに接続されている。なお、図を見易くするために2つのコイル3を互いに上下に引き離して表しているが、実際には、薄いフレキシブルプリント基板2を挟んで背中合わせになっている。
【0022】
2つのコイル3は、同じ方向(例えば上方)から見ると互いに逆の渦巻であるが、電流という視点から見ると、同じ方向に巻いている。すなわち、仮に、上のコイル3の外側の巻端から電流が流れ込むとすると、電流は右巻きに渦の中心へ向かい、下のコイル3に抜けると、今度は、右巻きに渦の外側へ向かい、下のコイル3の外側の巻端に達する。従って、電流は常に右巻きに流れており、右巻きのターン数が累積される。電流が逆に流れるときは、電流は常に左巻きに流れ、左巻きのターン数が累積される。このようにして、厚さ方向には極めて薄い平面コイル1でありながら、コイル3は全体として多くのターン数を確保することができる。従って、所望のインダクタンスを容易に得ることができる。
【0023】
次に、上記のような平面コイル1を、平面にとどまらせず、曲面に適用した本願発明の第1実施形態に係る変位センサ装置について説明する。
図4の(a)は、変位センサ装置に用いられる基板形センサ10の展開図である。この基板形センサ10においては、フレキシブルプリント基板2上に、4個のコイル3(総称符号)が2段に、合計8個設けられている。なお、図ではコイル3を簡略化して同心円のように描いているが、実際は、図1や図3に示したような渦巻である(以下、同様。)。
【0024】
ここで、各コイル個別の符号は、後述の回転体の軸方向をY方向とした場合に、Y方向に直交し、かつ、互いに直交するX方向・Z方向に対応し、数字はY軸上の組番号、+、−はX,Z方向の組を表している。すなわち、変位を検出するためのコイルの組み合わせは、以下のようになる。
X方向変位:(X1+,X1−)、(X2+,X2−)
Z方向変位:(Z1+,Z1−)、(Z2+,Z2−)
各コイル3における2つの巻端(図示せず。)は、フレキシブルプリント基板2の表裏両面の導電路6を経て、端子電極部2aに導出されている。
【0025】
このような基板形センサ10を円筒状に丸めると、(b)に示すようになり、コイルX1+及びX1−、並びに、X2+及びX2−は、それぞれ、X方向に2個1組の存在となる。また、コイルZ1+及びZ1−、並びに、Z2+及びZ2−は、それぞれ、Z方向に2個1組の存在となる。また、上段側及び下段側の各4個のコイルは、周方向の位相90度ごとに配置されている。
【0026】
図5は、丸めた状態のフレキシブルプリント基板2を支持し、かつ、その円筒形状を維持すべく、円筒状の支持部11(基板形センサ10の一部材)の内周面上に取り付ける状態を示す斜視図である。内周面にフレキシブルプリント基板2を固定するには、例えば、耐熱樹脂接着剤を使用することができる。支持部11は、樹脂製であってもよいが、ここでは金属製とする。金属製の場合、機械的強度を容易に確保することができるので、樹脂製に比べて薄肉の支持部とすることができる。このことは、コンパクト化に寄与する。なお、支持部が金属製であっても、高周波信号(100kHz〜500kHz)でLC回路を駆動することにより、変位検出に影響がないことが確認された。
【0027】
支持部11の内周面に固定されたフレキシブルプリント基板2の内側には、径方向の微小な隙間を確保して、検出対象物としての回転体12が挿入される。この回転体12とは例えば自動車の車軸である。その場合、支持部11は転がり軸受装置の固定輪に取り付けられ、可動輪に回転体(車軸)12が取り付けられている。そして、上記の隙間は、転がり軸受装置によって維持される。
【0028】
図6の(a)は、支持部11の図示を省略して、フレキシブルプリント基板2の内側に回転体12が挿通されている状態を示している。(b)は、これを回転体12の軸方向から見た図である。フレキシブルプリント基板2と回転体12の表面との間には径方向へのギャップ(例えば3mm程度)があり、このギャップの変化によって、前述のインダクタンスL,キャパシタンスCが変化する。従って、車輪に荷重が作用した際に発生する車軸の径方向の変位を、前述の出力の変化として検出することができる。
【0029】
図7は、変位センサ装置20の回路構成の一例を示す回路図である。変位センサ装置20は、基板形センサ10に搭載されたコイル3の他、信号処理回路17を備えている。各コイルは前述のように等価的にはLC回路であり、発振回路13から抵抗14を介して所定の発振周波数f0の交流信号が供給される。LC回路の出力はインピーダンス変換を行うバッファ回路(電圧フォロワ回路)15を経て、差動増幅回路16に入力される。
【0030】
差動増幅回路16は、対を成す2つのLC回路からの信号電圧の差をとることで信号の線形化を行い、かつ、増幅を行う。線形化によって、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。すなわち、軸方向に直交する方向にコイルを2個1組で設け、出力の差をとることで、回転体12の径方向への変位を正確に検出することができる。差動増幅後の信号は、X方向の2出力(X1,X2)と、Z方向の2出力(Z1,Z2)として出力される。これらの4出力に基づいて、ECU(図示せず。)は車輪に作用する荷重を求める。また、同じ方向の2出力に基づいて、モーメント荷重を求めることができる。
なお、信号処理回路17は、基板形センサ10とは別に設けられるが、フレキシブルプリント基板2の空きスペースに実装することも可能である。
【0031】
以上のように、第1実施形態に係る基板形センサ10及び変位センサ装置20によれば、コイル3のインダクタンスを、フレキシブルプリント基板2上に形成された渦巻のターン数によって確保することができるので、コイルの厚さ寸法の増大を抑制することができる。
また、フレキシブルプリント基板2は変形容易であり、回転体12の表面に自在に近接させることができる。近接によって、コイル3の導電部と回転体12との間にキャパシタンスが現れるので、別途、回路部品としてのコンデンサを用意することなく、LC回路を構成することができる。
また、1つの基板に必要数のコイル3を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
【0032】
次に、第2実施形態に係る変位センサ装置について説明する。
図8の(a)は、当該変位センサ装置に用いられる基板形センサ10の展開図である。図4との違いは、Y方向(軸方向)の変位検出用のコイルが追加された点である。すなわち、展開された状態を示す(a)において、第1実施形態と同様の径方向変位検出用となる8個のコイル3に対して上下方向(Y方向)の外側の2箇所にはそれぞれ、左右の一端から他端へ複数条(この図では4条)の導電ラインY+,Y−(総称符号7)が形成されている。これらの導電ラインY+,Y−はフレキシブルプリント基板2の長手方向に完全に平行ではなく、左端と右端とで1条分ずれるように斜めになっている。従って、(b)に示すように丸めると、拡大図部分に示すように、1条ずれて突き合わせた形となる。この状態で各導電ラインY+,Y−の端部同士を互いに接続すると、螺旋を描くように周方向に巻回される上下一対の軸方向変位検出用のコイル7が出来上がる。
【0033】
上記のような第2実施形態の基板形センサ10は、第1実施形態と同様に、円筒状の支持部11(図5参照。)に取り付けることができる。支持部11の内周面に固定された基板形センサ10の内側には、径方向の微小な隙間を確保して、検出対象物としての回転体が挿入される。
【0034】
図9は、このような基板形センサ10を用いてY方向の変位検出を行う構成を示す斜視図である。この場合、回転体12にはY方向の変化をつけるターゲットが必要であり、例えば図示のような段差によって、ターゲットとすることができる。一対のコイル7はそれぞれ、上下の段差部の周りに配置される。これにより、回転体12のY方向の変位は、コイル7に関与するインダクタンスL及びキャパシタンスCに影響を与えるので、同様に、LC回路の出力の変化として検出することができる。
【0035】
図10は、第2実施形態に係る変位センサ装置20の回路構成の一例を示す回路図である。この回路では、図7の回路構成に加えて、Y方向の変位検出を行うために、信号処理回路17にバッファ回路15及び差動増幅回路16が追加されている。これにより、Y方向の出力Yが得られる。
【0036】
以上のように、第2実施形態に係る基板形センサ10及び変位センサ装置20によれば、第1実施形態と同様の作用効果の他、Y方向の変位検出を行うことができる。また、そのためのコイル7は、丸められたフレキシブルプリント基板2上の周方向への巻回によってターン数を確保することができる。
また、1つの基板に必要数の径方向変位検出用のコイル3及び軸方向の変位検出用のコイル7を設けることができ、それによって、僅か1枚のフレキシブルプリント基板2に必要な機能を集約することができる。
【0037】
なお、上記各実施形態に係る基板形センサ10は、円筒状の支持部11に取り付けられるものとしたが、円筒に限らず、多角形状の角筒(例えばボックス状の4角筒)である支持部に取り付けることも可能である。
また、上記各実施形態に係る基板形センサ10は、円筒状の支持部11の内周面に取り付けられるものとしたが、内周面に限らず、回転体が外周側にある場合には、支持部の外周面に取り付けることも可能である。
【0038】
上記各実施形態に係る基板形センサ10又は変位センサ装置20は、例えば、自動車の車輪を回転自在に支持する転がり軸受装置に搭載することができる。
図11は、転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。このハブユニット100は車両に取り付けられるものであり、取り付けた状態では、図11における右側が車両のアウター側(車両の外側)であり、左側が車両のインナー側(車両の内側)である。図11において、ハブユニット100の中心軸Cに沿った方向をY方向とし、これに直交する紙面に垂直な方向をX方向とし、Y方向及びX方向の双方に直交する鉛直方向をZ方向とする。従って、このハブユニット100が自動車に取り付けられた状態においてX方向は車輪の前後水平方向となり、Y方向は車輪の左右水平方向(軸方向)となり、Z方向は上下方向となる。
【0039】
このハブユニット100は、主たる構造部分として、外輪101、内軸102、内輪部材103、ナット104、及び、転動体105を備えている。外輪101は、筒状部101aと、この筒状部101aの一部の外周面から径方向外方へ伸びたフランジ部101bとを有している。このフランジ部101bは、車体側の固定部材(図示せず。)に固定され、これによってハブユニット100が車体に固定される。内軸102は、外輪101内に挿通される主軸部102aと、車両アウター側にあって径方向外方へ延びるフランジ部102bとを有している。このフランジ部102bが、車輪のホイールやブレーキディスクの取付部となる。なお、主軸部102aは、前述の回転体12(図5,図9)に相当する部分である。
【0040】
内軸102の車両インナー側には、筒状の内輪部材103が外嵌され、さらに、内軸102の端部に形成された雄ねじ部102dにナット104が螺着されることにより、内輪部材103が内軸102に固定されている。転動体105は、周方向に複数個配置された玉からなる複列の構成となっている。各列の玉は保持器(図示せず。)によって周方向に所定間隔で保持されている。
このハブユニット100において、外輪101は、車体側の固定部材に固定される固定軌道輪である。また、内軸102と内輪部材103とは、外輪101に転動体105を介して回転自在に支持された回転軌道輪である。外輪101、内軸102及び内輪部材103は、互いに同軸(中心軸C)に配置されている。
【0041】
このように構成されたハブユニット100において、図5の基板形センサ10又は図9の基板形センサ10を、支持部11(図5)と共に、外輪101の内周面上に取り付けることにより、内軸102の変位を検出することができる。
この場合、基板形センサ10等を搭載しつつも、コンパクトなハブユニット100を提供することができる。すなわち、従来は搭載不可能であった転がり軸受装置の内外輪間のような狭い場所にも、基板形センサを搭載することができるようになる。
【0042】
なお、本発明の基板形センサや変位センサ装置は、転がり軸受装置に限らず種々の装置の変位検出に用いることができる。また、ターゲットを周期的に検出すれば、変位検出に基づいて速度検出や回転数検出も行うことができる。
また、本発明の基板形センサや変位センサ装置における検出対象物は回転体に限られるものではなく、軸動型の機器や、往復動の機器等、種々の機器における変位検出を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明の基板形センサの基本的要素となる平面コイルの原理を説明する図である。
【図2】LC回路の周波数特性の一例を示すグラフである。
【図3】コイルの巻き方の他の例(実用的な例)を示す斜視図である。
【図4】第1実施形態に係る変位センサ装置に用いられる基板形センサの展開図及び円筒状に丸めた状態の斜視図である。
【図5】丸めた状態のフレキシブルプリント基板を、円筒状の支持部の内周面上に取り付ける状態を示す斜視図である。
【図6】(a)は、支持部の図示を省略して、フレキシブルプリント基板の内側に回転体が挿通されている状態を示し、(b)は、これを回転体の軸方向から見た図である。
【図7】第1実施形態に係る変位センサ装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【図8】第2実施形態に係る変位センサ装置に用いられる基板形センサの展開図及び円筒状に丸めた状態の斜視図である。
【図9】図8の基板形センサを用いてY方向の変位検出を行う構成を示す斜視図である。
【図10】第2実施形態に係る変位センサ装置の回路構成の一例を示す回路図である。
【図11】転がり軸受装置の一種であるハブユニットの断面図である。
【符号の説明】
【0044】
2 フレキシブルプリント基板
3 コイル
7 コイル
10 基板形センサ
11 支持部
12 回転体(検出対象物)
17 信号処理回路
20 変位センサ装置
100 ハブユニット(転がり軸受装置)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサであって、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと
を備えたことを特徴とする基板形センサ。
【請求項2】
金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、
前記コイルのインダクタンス及び前記コイルと前記検出対象物との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。
【請求項3】
前記検出対象物は回転体であり、
前記コイルは、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられている請求項1又は2記載の変位センサ装置。
【請求項4】
前記支持部は円筒状であり、その円筒面の片面に、展開された状態では平面状である前記フレキシブルプリント基板が、円筒状に丸められた状態で密着している請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
【請求項5】
前記支持部は金属製である請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
【請求項6】
金属製の回転体の径方向及び軸方向への変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
円筒状の支持部と、
前記支持部の円筒面の片面に密着している円筒状のフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板上で、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられ、その各々は、導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向する径方向変位検出用のコイルと、
前記フレキシブルプリント基板上で、螺旋を描くように周方向に巻回される一対の軸方向変位検出用のコイルと、
前記各コイルのインダクタンス及び前記各コイルと前記回転体との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板は、展開された状態では平面状であり、円筒状に丸められた状態で、前記支持部の円筒面の片面に密着しているものであり、かつ、
展開された状態での前記フレキシブルプリント基板上の2箇所にはそれぞれ、一端から他端へ複数条の導電ラインが形成されており、丸められた状態では、一端における複数条の導電ラインと他端における複数条の導電ラインとが互いに1条ずれて接続されることによって、前記軸方向変位検出用のコイルが形成されている請求項6記載の変位センサ装置。
【請求項8】
回転体を回転自在に支持し、当該回転体の変位を非接触で検出するための基板形センサを搭載した転がり軸受装置であって、当該基板形センサは、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記回転体と対向するコイルと
を備えたことを特徴とする転がり軸受装置。
【請求項1】
金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置に用いられる基板形センサであって、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと
を備えたことを特徴とする基板形センサ。
【請求項2】
金属製の検出対象物の変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向するコイルと、
前記コイルのインダクタンス及び前記コイルと前記検出対象物との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。
【請求項3】
前記検出対象物は回転体であり、
前記コイルは、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられている請求項1又は2記載の変位センサ装置。
【請求項4】
前記支持部は円筒状であり、その円筒面の片面に、展開された状態では平面状である前記フレキシブルプリント基板が、円筒状に丸められた状態で密着している請求項1〜3のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
【請求項5】
前記支持部は金属製である請求項1〜4のいずれか1項に記載の変位センサ装置。
【請求項6】
金属製の回転体の径方向及び軸方向への変位を非接触で検出する変位センサ装置であって、
円筒状の支持部と、
前記支持部の円筒面の片面に密着している円筒状のフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板上で、前記回転体の軸方向に直交する方向に2個1組で設けられ、その各々は、導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記検出対象物と対向する径方向変位検出用のコイルと、
前記フレキシブルプリント基板上で、螺旋を描くように周方向に巻回される一対の軸方向変位検出用のコイルと、
前記各コイルのインダクタンス及び前記各コイルと前記回転体との間に現れるキャパシタンスによって構成されるLC回路を交流信号で駆動したときの出力信号を抽出する信号処理回路と
を備えたことを特徴とする変位センサ装置。
【請求項7】
前記フレキシブルプリント基板は、展開された状態では平面状であり、円筒状に丸められた状態で、前記支持部の円筒面の片面に密着しているものであり、かつ、
展開された状態での前記フレキシブルプリント基板上の2箇所にはそれぞれ、一端から他端へ複数条の導電ラインが形成されており、丸められた状態では、一端における複数条の導電ラインと他端における複数条の導電ラインとが互いに1条ずれて接続されることによって、前記軸方向変位検出用のコイルが形成されている請求項6記載の変位センサ装置。
【請求項8】
回転体を回転自在に支持し、当該回転体の変位を非接触で検出するための基板形センサを搭載した転がり軸受装置であって、当該基板形センサは、
全体として所定の立体形状を成すフレキシブルプリント基板と、
前記フレキシブルプリント基板を支持し、かつ、前記立体形状を維持する支持部と、
前記フレキシブルプリント基板上の複数箇所において導電部を渦巻状に形成して成り、渦巻面が前記回転体と対向するコイルと
を備えたことを特徴とする転がり軸受装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−117307(P2010−117307A)
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−292143(P2008−292143)
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年5月27日(2010.5.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月14日(2008.11.14)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】
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