説明

基板接続構造

【課題】複数の基板間の電気的な接続を簡易な構成で行なうとともに、大電流の通電にも対応可能な基板接続構造を提供する。
【解決手段】カードエッジコネクタ40のハウジング内に、第1電子基板2の接点端子5,6と接触する複数の接点導体16,17を設けるとともに、第2電子基板7の接点端子10,11と接触する複数の接点導体18,19を設け、さらに、第1電子基板2の接点端子5,6に接する複数の接点導体の中の1個と、第2電子基板7の接点端子10,11に接する複数の接点導体の中の1個とを接続する接続導体20,21を設けた。このため、第1電子基板2と第2電子基板7とをそれぞれのハウジング15の挿入孔内に挿入するだけで、第1電子基板2と第2電子基板7とを電気的に接続できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子基板の端部が挿入されることにより、電子基板端部に形成された接点端子と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを用いた基板接続構造に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、回路基板を筐体内に収容する際に、回路基板を複数枚のリジッド基板により構成するとともに、それら複数枚の基板間をフレキシブル基板によって接続することにより、筐体内部の体積利用効率を高め、小型化を図ることを可能とした電子制御装置が知られている(特許文献1参照)。
【0003】
この電子制御装置では、シート状の部材を多層に積層して硬質となる部分をリジッド基板として複数形成するとともに、その複数のリジッド基板間に、リジッド基板よりも少ない枚数のシート状部材を積層して柔軟なフレキシブル基板を形成する。そして、このようにして形成した基板を筐体内に収容する際には、スペーサを順次重ね合わせるとともに、その間に各リジッド基板が配置されるように、フレキシブル基板を折り曲げる。これにより、複数のリジッド基板を筐体内において所定の間隔を保って配置することが可能となる。
【特許文献1】特開2005−229092号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述した従来技術のように、複数のリジッド基板間を、そのリジッド基板よりも積層数の少ないフレキシブル基板で接続するには、積層箇所に応じてシート状部材の積層枚数を異ならせたり、積層箇所に応じて厚さの異なる積層基板に均一に熱や圧力を加えてシート状部材同士を接合したりする必要が生じる。このため、従来技術に記載されたような構造の基板を製造するには手間がかかるとともに、製造コストが高くなってしまうという問題がある。
【0005】
さらに、フレキシブル基板は柔軟である必要があるため、そのフレキシブル基板に形成される導体も薄く形成しなければならない。すると、電源ラインのように比較的大きな電流を流す必要がある場合には、導体の幅を広げざるをえない。その結果、フレキシブル基板の幅も広がるので、十分に体格の小型化を図れない可能性も生じる。
【0006】
本発明は、上述した点に鑑みてなされたものであり、複数の基板間の電気的な接続を簡易な構成で行なうとともに、大電流の通電にも対応可能な基板接続構造を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、請求項1に記載の基板接続構造は、電子基板の端部が挿入されることにより、前記電子基板端部の基板平面上であって前記電子基板の挿入方向と直交する方向に配列された複数の接点端子と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを用いた基板接続構造であって、
前記電子基板はN枚(N≧2)の電子基板からなり、
前記カードエッジコネクタは、
前記N枚の電子基板の端部がそれぞれ挿入されるN個の挿入孔を有し、これらのN個の挿入孔に前記N枚の電子基板がそれぞれ挿入されたとき、前記N枚の電子基板が所定の間隔を隔てて互いの基板面同士が向かい合うように配置されるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記N枚の電子基板の端部が挿入されたときに、異なる電子基板の端部に形成された接点端子にそれぞれ接触して、当該異なる電子基板の接点端子同士を電気的に接続する接続導体と、を備え、
前記接続導体によって電気的に接続された接点端子を除く残りの接点端子を前記ハーネスと電気的に接続することを特徴とする。
【0008】
通常のカードエッジコネクタでは、例えば特開2003−178834号に記載されるように、電子回路基板そのものがオス端子の役割を果たし、その電子回路基板をカードエッジコネクタに挿入することにより、電子回路基板表面に形成された接点端子と、カードエッジコネクタ内に設けられたメス端子とが接触して電気的に導通する。電子回路基板の接点端子と接触する全てのメス端子には、外部に引き出されるハーネスが接続されている。このため、メス端子を介して、回路基板表面に形成された接点端子とハーネスとの電気的導通が確保される。
【0009】
請求項1に記載した基板接続構造では、上述したように、本来は、電子基板の基板表面に形成された接点端子とハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを利用して、複数の電子基板間の電気的接続を行なうようにしたものである。すなわち、カードエッジコネクタのハウジングにN枚の電子基板が挿入されるN個の挿入孔を設け、N枚の電子基板の端部がN個の挿入孔に挿入されたときに、異なる電子基板の端部に形成された接点端子にそれぞれ接触して、その異なる電子基板の接点端子同士を電気的に接続する接続導体を、カードエッジコネクタのハウジング内に配設した。
【0010】
このため、N枚の電子基板をそれぞれの挿入孔内に挿入するだけで、必要な電子基板間の電気的接続を行なうことができる。接続導体に接続される以外の接点端子はハーネスに電気的に接続されるので、カードエッジコネクタ本来の役割を阻害する虞もない。さらに、カードエッジコネクタのハウジング内では、フレキシブル基板に形成される導体に比較して、厚さが厚く断面積の大きな接続導体を配設することも容易である。このため、大電流を通電する必要がある場合にも、対応可能である。
【0011】
請求項2に記載の基板接続構造は、電子基板の端部が挿入されることにより、前記電子基板端部の基板平面上であって前記電子基板の挿入方向と直交する方向に配列された複数の接点端子と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを用いた基板接続構造であって、
前記電子基板は第1電子基板と第2電子基板とを含み、
前記カードエッジコネクタは、
前記第1電子基板の端部が挿入される第1挿入孔と、前記第2電子基板の端部が挿入される第2挿入孔とを有し、これらの第1挿入孔及び第2挿入孔に前記第1電子基板及び前記第2電子基板がそれぞれ挿入されたとき、前記第1電子基板と前記第2電子基板とは所定の間隔を隔てて互いの基板面同士が向かい合うように配置されるハウジングと、
前記ハウジング内において前記第1挿入孔に配置され、前記第1電子基板の端部が挿入されたときに、前記第1電子基板の複数の第1接点端子とそれぞれ接触する複数の第1接点導体と、
前記ハウジング内において前記第2挿入孔に配置され、前記第2電子基板の端部が挿入されたときに、前記第2電子基板の複数の第2接点端子とそれぞれ接触する複数の第2接点導体と、
前記ハウジング内に配設され、一端が、複数の前記第1接点導体の中の1個の第1接点導体と接続され、他端が、複数の前記第2接点導体の中の1個の第2接点導体に接続された接続導体と、を備え、前記接続導体に接続された第1及び第2接点導体を除く残りの第1及び第2接点導体が、前記ハーネスに接続されることを特徴とする。
【0012】
請求項2では、特に、複数の電子基板における第1電子基板と第2電子基板との電気的接続のための、カードエッジコネクタにおける構造を具体的に記述したものである。すなわち、カードエッジコネクタのハウジングに第1電子基板と第2電子基板とが挿入される挿入孔をそれぞれ設け、これらの挿入孔内に、第1電子基板の複数の第1接点端子とそれぞれ接触する複数の第1接点導体を設けるとともに、第2電子基板の複数の接点端子とそれぞれ接触する複数の第2接点導体を設ける。そして、複数の第1接点導体の中の1個の第1接点導体と、複数の第2接点導体の中の1個の第2接点導体とを接続する接続導体を、カードエッジコネクタのハウジング内に配設した。
【0013】
このため、第1電子基板と第2電子基板とをそれぞれの挿入孔内に挿入するだけで、第1電子基板と第2電子基板とを電気的に接続することができる。接続導体に接続される以外の第1接点導体と第2接点導体とはハーネスに接続されるので、カードエッジコネクタ本来の役割を阻害する虞もない。さらに、カードエッジコネクタのハウジング内では、フレキシブル基板に形成される導体に比較して、厚さが厚く断面積の大きな接続導体を配設することも容易である。このため、大電流を通電する必要がある場合にも、対応可能である。
【0014】
請求項3に記載したように、前記接続導体は、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面に垂直な方向において同じ位置に配置された第1接点導体と第2接点導体とを接続するものであることが好ましい。この場合、接続導体の長さを短くできるとともに、ハウジング内への配設も容易になるためである。
【0015】
請求項4に記載したように、前記第1接点端子は前記第1電子基板の基板両面に形成され、前記第2接点端子は前記第2電子基板の基板両面に形成されており、
前記接続導体は、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面に形成された第1接点端子と第2接点端子とにそれぞれ接触する第1接点導体と第2接点導体とを接続する第1接続導体と、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面とは反対側の各々の基板面に形成された第1接点端子と第2接点端子とにそれぞれ接触する第1接点導体と第2接点導体とを接続する第2接続導体とを含むことが好ましい。
【0016】
このような構成を採用すると、第1電子基板と第2電子基板との電気的接続経路を効率的に増やすことが可能になる。特に、請求項5に記載したように、第1接続導体と第2接続導体が、第1電子基板及び第2電子基板の基板面に垂直な方向においてそれぞれ同じ位置に配置された第1接点導体と第2接点導体とを接続するものである場合、残りの接点導体とハーネスとの接続を何ら阻害することなく、接続導体の数を増やすことができる。
【0017】
請求項6に記載したように、前記第1電子基板と前記第2電子基板の一方に、所定の電源電圧を発生する電源回路が設けられ、前記接続導体は、前記電源回路によって発生された電源電圧を他方の電子基板に伝送するための電源ラインとして用いられても良い。上述したように、カードエッジコネクタのハウジング内に配設される接続導体は、大電流の通電にも容易に対応可能なためである。
【0018】
請求項7に記載したように、前記ハウジングに挿入される端部以外の領域で、前記第1電子基板と前記第2電子基板との基板面にそれぞれ形成された第1接続端子と第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の表面の一端部には、前記第1電子基板の第1接続端子と接触する第1ランドが形成され、当該第1ランドを前記第1接続端子に当接させつつ、前記フレキシブル基板を前記第1電子基板の端面で折り曲げて、前記フレキシブル基板を前記第1電子基板の対向する2つの基板面に這わせた状態で、2つの基板面に這わせたフレキシブル基板を挟持して固定する第1のクリップと、
前記フレキシブル基板の表面の他端部には、前記第2電子基板の第2接続端子と接触する第2ランドが形成され、当該第2ランドを前記接続端子に当接させつつ、前記フレキシブル基板を前記第2電子基板の端面で折り曲げて、前記フレキシブル基板を前記第2電子基板の対向する2つの基板面に這わせた状態で、2つの基板面に這わせたフレキシブル基板を挟持して固定する第2のクリップと、を備えるように構成しても良い。
【0019】
第1電子基板と第2電子基板間で必要な接続経路を全てカードエッジコネクタのハウジング内に配設した接続導体によって確保しようとすると、カードエッジコネクタのハウジングの体格が大きくなってしまったり、ハーネスを介しての外部との接続本数が足りなくなったりする可能性があるためである。ただし、請求項7では、第1電子基板と第2電子基板との電気的接続にフレキシブル基板を用いながら、従来のように複雑な基板構造を採用するのではなく、フレキシブル基板を第1電子基板及び第2電子基板にクリップで挟んで固定するとの、非常に簡便な構成としている。従って、従来のように製造に手間がかかったり、製造コストが増加したりとの問題を回避できる。
【0020】
請求項8に記載したように、前記第1のクリップ及び前記第2のクリップが前記フレキシブル基板を挟持するために、当該フレキシブル基板に所定の圧力を掛けながら当接する当接部にはスリットが形成され、当該スリットによって分離された当接部が、それぞれ独自に弾性変形可能であることが好ましい。特にフレキシブル基板は、絶縁基板上にランドが形成されたり、その内層に導体パターンが形成されたりするので、基板の厚さが必ずしも一定ではなかったり、反りが生じている場合もある。このため、クリップの当接部が当接する箇所に段差等が生じてフレキシブル基板をクリップで押さえる圧力にバラツキが出ることも考えられる。このような場合でも、クリップの当接部にスリットを形成しておくことにより、スリットにより分離された当接部は、当接箇所の段差等に応じて各々独自に弾性変形できるので、フレキシブル基板を確実に固定することができる。
【0021】
請求項9に記載したように、前記フレキシブル基板には、前記第1電子基板に形成された複数の第1接続端子と接触する複数の第1ランドと、前記第2電子基板に形成された複数の第2接続端子と接触する複数の第2ランドと、前記複数の第1ランドと前記複数の第2ランドとをそれぞれ接続する複数の接続線とが形成され、
前記複数の接続線は、所定の間隔で前記フレキシブル基板に配列されており、隣接する接続線の第1ランドが接触する第1接続端子は、前記第1電子基板の対向する2の基板面に振り分けられ、隣接する接続線の第2ランドが接触する第2接続端子も、前記第2電子基板の対向する2の基板面に振り分けられていることが好ましい。
【0022】
このように構成すると、フレキシブル基板に形成されたランドは、一方の端部に位置する接続線から他方の端部に位置する接続腺に向かって、第1電子基板及び第2電子基板の一方の基板面の接続端子と他方の基板面の接続端子とに交互に接触するように配置される。このため、フレキシブル基板におけるランド間の距離や、第1電子基板及び第2電子基板における接続端子間の距離を確保しやすくなる。この結果、本来、接触すべきでないランドと接続端子とが接触してしまう事態が発生することを防止することができるとともに、ランド間の距離が広がるため第1電子基板及び第2電子基板とフレキシブル基板との位置を合わせることが容易になる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
以下、本発明の好ましい実施形態による基板接続構造について、図面に基づいて説明する。
【0024】
図1は、本実施形態における、カードエッジコネクタを利用した基板接続構造を示すものであって、後述する図4のI−I線に沿う部分の部分断面図である。図1に示すように、カードエッジコネクタ40のハウジング15には、は、第1電子基板2が挿入される挿入孔と、第2電子基板7が挿入される挿入孔とが設けられている。第1電子基板2と第2電子基板7とは、ほぼ同じ矩形状に形成され、それぞれカードエッジコネクタ40のハウジング15の挿入孔に挿入されたとき、第1電子基板2と第2電子基板7とは所定の間隔を隔てて互いの基板面2b、7a同士が向かい合うように配置される。
【0025】
第1電子基板2と第2電子基板7とは、電子基板用のハウジング1内に収納されており、そのハウジング1の端部には、カードエッジコネクタ40のハウジング15が嵌め込まれるカバー1aが形成されている。このカバー1a内に延びる第1電子基板2及び第2電子基板7の各々の端部の両基板面2a,2b,7a,7b上には、複数の接点端子5,6,10,11が第1電子基板2及び第2電子基板7の挿入方向と直交する方向に配列するように形成されている。また、カードエッジコネクタ40のハウジング15に挿入される端部と反対側の端部の両基板面2a,2b,7a,7b上にも、複数の接点端子(接続端子)3,4,8,9が第1電子基板2及び第2電子基板7の挿入方向と直交する方向に配列するように形成されている。
【0026】
カードエッジコネクタ40のハウジング15に挿入される端部と反対側の端部の両基板面2a,2b,7a,7b上に形成された第1電子基板2の複数の接続端子3,4と第2電子基板7の複数の接続端子8,9とは、例えばポリイミドやPEN(ポリエチレンナフタレート)、PET(ポリエチレンテレフタレート)などの樹脂を絶縁基材とするフレキシブル基板12によって電気的に接続されている。フレキシブル基板12の一方の端部は、フレキシブル基板12を第1電子基板2の端面で折り曲げて、第1電子基板2の対向する2つの基板面2a,2bに這わせた状態で、第1クリップ13により挟持されることにより第1電子基板2に固定されている。フレキシブル基板12の他方の端部は、フレキシブル基板12を第2電子基板7の端面で折り曲げて、第2電子基板7の対向する2つの基板面7a,7bに這わせた状態で、第2クリップ14により挟持されることにより第2電子基板7に固定されている。なお、フレキシブル基板12、第1及び第2クリップ13,14に関しては後に詳細に説明する。
【0027】
ハウジング15の第1電子基板2が挿入される挿入孔には、図1に示すように、第1電子基板2の基板面2a,2bに形成された複数の接点端子5,6のうち、各々の接点端子5,6の配列において両端に位置する接点端子5,6とそれぞれ接触する第1接点導体16及び第2接点導体17が配置されている。これらの第1接点導体16と第2接点導体17とは、第1電子基板2の両基板面2a,2bに形成された接点端子5,6に対応して、第1電子基板2を挟み込むようにハウジング15内に配置されている。同様に、ハウジング15の第2電子基板7が挿入される挿入孔には、第2電子基板7の基板面7a,7bに形成された複数の接点端子10,11のうち、各々の接点端子10,11の配列において両端に位置する接点端子10,11とそれぞれ接触する第3接点導体18及び第4接点導体19が第2電子基板7を挟み込むように配置されている。
【0028】
第1〜第4接点導体16〜19は、例えば銅合金などの導通性が良好な金属材料によって形成されている。具体的には、第1〜第4接点導体16〜19は、本体部と、その本体部に支持され、弾性変形により所定の接点圧力で第1及び第2電子基板2,7の接点端子5,6,10,11に接触する接点部とから構成される。なお、本体部には、接点部の過度の変形を防止するためのストッパが設けられている。また、図1には示されていないが、第1〜第4接点導体16〜19を安定的に固定保持するために、ハウジング15の内壁面等には突起15a,15b,30a,30b(図7(a)参照)が設けられており、その突起15a,15b,30a,30bが、第1〜第4接点導体16〜19の本体部に形成された孔部に嵌め込まれるようになっている。
【0029】
第1接点導体16と第4接点導体19とは、第1接続導体20を介して電気的に接続されている。これらの第1接点導体16、第4接点導体19及び第1接続導体20は一体的に形成されても良いし、第1接点導体16及び第4接点導体19を個別に製造し、後に第1接続導体20を各々の接点導体に溶接等によって接続しても良い。また、同様に、第2接点導体17と第3接点導体18も、第2接続導体21を介して電気的に接続されている。
【0030】
第1電子基板2が挿入される挿入孔と、第2電子基板7が挿入される挿入孔とを区画すべく、カードエッジコネクタ40のハウジング15内には、仕切部30が形成されている。第2接点導体17及び第3接点導体18の本体部が嵌合される、上述した突起30a、30bは、この仕切部30に形成される。また、第2接点導体17と第3接点導体18とを接続する第2接続導体21は、仕切部30の表面に密着するように配置される。このため、本体部の嵌合と相俟って、第2接点導体17、第3接点導体18及び第2接続導体21を仕切部30にしっかりと固定保持させることができる。
【0031】
第1接続導体20と第2接続導体21との間には、断面略コの字の絶縁材料からなるカバー24が配置されている。より詳細には、カバー24の内側凹部内に第2接続導体21を収容し、第1接続導体をカバー24の外側面に当接するようにカバー24が配置されている。これにより、第1接続導体20と第2接続導体との確実な絶縁を図ることができる。
【0032】
また、カバー24は、蓋部材25とともに第1接続導体20を挟持している。第1接続導体20に接続された第1及び第4接点導体16,19の本体部は、上述したように、ハウジング15の内壁面に形成された突起15a,15bに嵌合されている。従って、第1接点導体16、第4接点導体19及び第1接続導体20も、ハウジング15内において安定的に固定保持される。
【0033】
蓋部材25は、カードエッジコネクタ40のハウジング15に圧入されるもので、その圧入面には、例えばシリコンゴムなどからなるシール部材25aが設けられている。これにより、蓋部材25と、ハウジング15との隙間からハウジング15内に水分等が侵入することを防止している。
【0034】
上述したように、第1接続導体20は、第1電子基板2と第2電子基板7とが向かい合う基板面2b、7aに垂直な方向において、図1の奥行き方向に同じ位置に配置された第1接点導体16と第4接点導体19とを接続する。また、第2接続導体21も、第1電子基板2と第2電子基板7とが向かい合う基板面2b、7aに垂直な方向において、図1の奥行き方向に同じ位置に配置された第2接点導体17と第3接点導体18とを接続する。このため、各々の接続導体20,21の長さを短くできるとともに、ハウジング15内への配設も容易になる。
【0035】
さらに、第1接続導体20及び第2接続導体21は、第1電子基板2及び第2電子基板7の基板面2a,2b,7a,7bに垂直な方向において、それぞれ図1の奥行き方向に同じ位置に配置された第1接点導体16と第4接点導体19及び第2接点導体17と第3接点導体18を接続する。このため、第1及び第2の接続導体20,21に接続される第1〜第4接点導体16〜19以外の接点導体とハーネス34(図2参照)との接続を何ら阻害することなく、接続導体20,21の数を増やすことができる。なお、第1〜第4接点導体16〜19以外の接点導体とハーネス34に関しては、後に詳細に説明する。
【0036】
ハウジング15の外周面にも、シール部材33が環状に設けられている。このため、カードエッジコネクタ40のハウジング15が、電子基板用ハウジング1のカバー1aに嵌め込まれたとき、そのシール部材33により、カバー1aの内面とハウジング15の外面との隙間から水分等が侵入することを防止することができる。
【0037】
ハウジング15において、第1電子基板2が挿入される挿入孔となる空間に、第1接点導体16及び第2接点導体17の安定的な固定を補助するために、第1補助部材22が配置されている。また、ハウジング15において、第2電子基板が挿入される挿入孔となる空間に、第3接点導体18及び第4接点導体19の安定的な固定を補助するために、第2補助部材23が配置されている。第1及び第2補助部材22,23は、ともに、第1及び第2電子基板2、7を挿入するための貫通孔を底部に有する、一面が開口された箱型の部材である。そして、第1補助部材22の側壁内面及び底部内面が、第1及び第2接点導体16,17の本体部の側面及び一端面にそれぞれ当接し、第2補助部材23の側壁内面及び底部内面が、第3及び第4接点導体18,19の本体部の側面及び一端面にそれぞれ当接することにより、各々の接点導体16〜19の固定を補助している。
【0038】
次に、第1〜第4接点導体16〜19以外の接点導体とハーネス34、さらにそれらに関連する構成について、図2及び図3を参照して説明する。図2は、後述する図4のII−II線に沿った部分の部分断面図である。図3は、図2におけるIII−III線に沿う部分断面図である。
【0039】
ハウジング15の第1電子基板2が挿入される挿入孔には、図2に示すように、第1電子基板2の基板面2a,2bに形成された複数の接点端子5,6のうち、上述した第1接点導体16及び第2接点導体17と接触する、配列の両端に位置する接点端子5,6以外の接点端子5,6とそれぞれ接触する第5接点導体26及び第6接点導体27が第1電子基板2を挟み込むように配置されている。さらに、ハウジング15の第2電子基板7が挿入される挿入孔には、第2電子基板7の基板面7a,7bに形成された複数の接点端子10,11のうち、上述した第3接点導体18及び第4接点導体19と接触する、配列の両端に位置する接点端子10,11以外の接点端子10,11とそれぞれ接触する第7接点導体28及び第8接点導体29が第2電子基板7を挟み込むように配置されている。
【0040】
すなわち、ハウジング15の第1電子基板2が挿入される挿入孔と、第2電子基板7が挿入される挿入孔とは仕切部30によって仕切られており、第5及び第6接点導体26,27は、第1電子基板2が挿入される挿入孔内に配置され、第7及び第8接点導体28,29は、第2電子基板7が挿入される挿入孔内に配置されている。また、それぞれの挿入孔内において、第5接点導体26の収納位置と第6接点導体27の収納位置とを区画する区画部31と、第7接点導体28の収納位置と第8接点導体29の収納位置とを区画する区画部32とが設けられている。
【0041】
第5〜第8接点導体26〜29も、第1〜第4接点導体16〜19と同様に、例えば銅合金などの導通性が良好な金属材料によって形成されている。第5〜第8接点導体26〜29は、第1〜第4接点導体16〜19と同様の本体部及び接点部を有する。すなわち、図3に示すように、例えば第5接点導体26は、補助部材22に補助的に固定される本体部26aと、その本体部26aに支持され、弾性変形により所定の接点圧力で接点端子5に接触する接点部26bを備える。その他の第6〜第8接点導体27〜29も同様に構成される。さらに、第5〜第8接点導体26〜29は、図2に示すように、本体部及び接点部に加え、本体部から延びて、ハーネス34と圧入やかしめなどにより結合される結合部を備えている。
【0042】
第5〜第8接点導体26〜29に結合されたハーネス34には、シール35が取り付けられており、このシール35がハウジング15の端部に形成されたシール収納部に圧入される。これにより、ハーネス34とハウジング15との隙間からハウジング15内部に水分等が侵入することを防止している。なお、第5〜第8接点導体26〜29に結合されたハーネス34に取り付けられるシール35は、図2のIV−IV線に沿った部分断面図である図4に示すように、各々のハーネス34ごとに分離された個別シールとなっている。この個別シール35は、第5〜第8接点導体26〜29がハーネス34に結合される前に、ハーネス34に取り付けられる。このため、第5〜第8接点導体26〜29は、ハウジング15内に挿入されるとき、シール35に挿通される必要はない。この結果、第1及び第2電子基板2,7の接点端子5,6,10,11と接触する部分(接点部)が外側に露出している第5〜第8接点導体26〜29にシール35に含まれる油分が付着することを回避して、接続信頼性が低下することを防止できる。
【0043】
上述したように、本実施形態では、本来は、第1及び第2電子基板2,7の基板面2a,2b,7a,7bに形成された複数の接点端子5,6,10,11とハーネス34との電気的接続を行なうカードエッジコネクタ40を利用して、第1及び第2電子基板2,7間の電気的接続を行なうようにした。すなわち、第1電子基板2の基板面2a、2bに形成された複数の接点端子5、6の内、両端に位置する接点端子5、6と、第2電子基板7の基板面7a、7bに形成された複数の接点端子10、11の内、両端に位置する接点端子10、11とを電気的に接続するべく、カードエッジコネクタ40のハウジング15内に、第1〜第4接点導体16〜19と、第1及び第2の接続導体20,21を配設した。
【0044】
このため、第1電子基板2と第2電子基板7とをハウジング15のそれぞれの挿入孔内に挿入するだけで、上述した第1〜第4接点導体16〜19と、第1及び第2の接続導体20,21を介して第1電子基板2と第2電子基板7とを電気的に接続することができる。
【0045】
さらに、第1及び第2接続導体20,21に接続される第1〜第4接点導体16〜19以外の第5〜第8接点導体26〜29はハーネス34に接続されるので、カードエッジコネクタ40本来の役割を阻害する虞もない。また、カードエッジコネクタ40のハウジング15内では、フレキシブル基板に形成される導体に比較して、厚さが厚く断面積の大きな接続導体20,21を配設することも容易である。このため、大電流を通電する必要がある場合にも、対応可能である。従って、例えば第1電子基板2と第2電子基板7の一方に、各々の基板に形成された回路の動作電圧を発生する電源回路を設け、第1及び第2接続導体20,21を介して、電源回路によって発生された電源電圧を他方の電子基板に供給することも可能となる。
【0046】
ただし、第1電子基板2と第2電子基板7間で必要な電気的接続経路を全てカードエッジコネクタ40のハウジング15内に配設した接続導体20,21によって確保しようとすると、カードエッジコネクタ40のハウジング15の体格が大きくなってしまったり、ハーネス34を介しての外部との接続本数が足りなくなったりする可能性がある。
【0047】
そのため、本実施形態では、上述したように、カードエッジコネクタ40のハウジング15に挿入される端部と反対側の端部にフレキシブル基板12を取り付けて、第1電子基板2の複数の接続端子3,4と第2電子基板7の複数の接続端子8,9とをフレキシブル基板12を介して電気的に接続することとした。なお、フレキシブル基板12は、電源のような大電流信号ではなく、主として小電流の各種信号を伝送するために用いられる。
【0048】
本実施形態では、フレキシブル基板12は、第1クリップ13によって第1電子基板2に固定され、第2クリップ14によって第2電子基板7に固定される。換言すれば、第1電子基板2と第2電子基板7との電気的接続にフレキシブル基板12を用いながら、従来のように複雑な基板構造を採用するのではなく、フレキシブル基板12を第1電子基板2及び第2電子基板7にクリップ13,14で挟んで固定するとの、非常に簡便な構成としている。従って、従来のように製造に手間がかかったり、製造コストが増加したりとの問題を回避できる。
【0049】
図5に示すように、第1のクリップ13及び第2のクリップ14がフレキシブル基板12を挟持するために、フレキシブル基板12に所定の圧力を掛けながら当接する当接部13aにはスリットが形成されている。このスリットによって当接部13aが複数の当接部に分離されることにより、分離された各々の当接部13aがそれぞれ独自に弾性変形可能となる。フレキシブル基板12は、絶縁基板上にランドが形成されたり、その内層に導体パターンが形成されたりするので、基板の厚さが必ずしも一定ではなかったり、反りが発生している場合がある。このため、フレキシブル基板12において、第1クリップ13及び第2クリップ14の当接部が当接する箇所に段差等が生じていることも考えられる。このような場合でも、第1及び第2クリップ13,14の当接部にスリットを形成しておくことにより、スリットにより分離された当接部は、当接箇所の段差に応じて各々独自に弾性変形できるので、フレキシブル基板12を確実に固定することができる。
【0050】
また、フレキシブル基板12には、図6に示すように、接続線となる導体パターン12cが所定の間隔で形成されている。フレキシブル基板12は複数枚の絶縁フィルムを積層した多層基板として形成され、導体パターン12cは、それら複数枚の絶縁フィルム間に挟まれるように配置されている。このように、所定間隔で配列された導体パターン12cにおいて、隣接する導体パターン12cに接続されるランドとして、第1電子回路の基板面2aの接続端子3と接触するランド12aと基板面2bの接続端子4と接触するランド12bとが交互にフレキシブル基板12に形成されるとともに、それらのランド12a,12bに対応するように接続端子3,4が基板面2a,2bに振り分けて形成されている。このような構成は、第2電子基板7の基板面7a,7bの接続端子8,9、及びそれらに接触するフレキシブル基板12のランドに関しても同様である。
【0051】
このように構成すると、フレキシブル基板12に形成されたランド12a,12bは、配列の一方の端部に位置する導体パターン12cから他方の端部に位置する導体パターン12cに向かって、第1電子基板2及び第2電子基板7の一方の基板面2a,7aの接続端子3,8と他方の基板面2b、7bの接続端子4,9とに交互に接触する。このため、フレキシブル基板12におけるランド12a間及びランド12b間の距離や、第1電子基板2及び第2電子基板7における各々の接続端子3,4,8,9間の距離を確保しやすくなる。この結果、本来、接触すべきでないランド12a,12bと接続端子3,4,8,9とが接触してしまう事態が発生することを防止することができるとともに、ランド間の距離が広がるため第1電子基板2及び第2電子基板7とフレキシブル基板12との位置を合わせることが容易になる。
【0052】
次に、本実施形態のカードエッジコネクタ40の組付方法について、図7(a)〜(f)に基づいて説明する。なお、図7(a)は、組み付けが行なわれる前のカードエッジコネクタ40の各構成部品が示されている。
【0053】
まず、図7(b)に示すように、まず、補助部材22,23が、ハウジング15の第1電子基板2が挿入される挿入孔となる空間及び第2電子基板7が挿入される挿入孔となる空間にそれぞれ圧入される。すなわち、補助部材22,23は、ハウジング15の内壁と仕切部30とで挟持されることにより、ハウジング15内に固定される。
【0054】
次に、図7(c)に示すように、一体化された第2接点導体17、第3接点導体18及び第2接続導体21をハウジング15内に挿入して固定する。このとき、第2接点導体17の本体部の孔部は、仕切部30の突起部30aに嵌合し、第3接点導体18の本体部の孔部は、仕切部30の突起30bに嵌合する。さらに、第2及び第3接点導体17,18を連結する第2接続導体21は、仕切部30の後面に密着する。これにより、第2接点導体17、第3接点導体18及び第2接続導体21は、仕切部30にしっかりと固定保持される。
【0055】
次に、図7(d)に示すように、第2接続導体21を内側凹部に収容するように、カバー24を取り付ける。これにより、カバー24は、仕切部30に仮固定される。その後、図7(e)に示すように、一体化された第1接点導体16、第4接点導体19及び第1接続導体20をハウジング15内に挿入して固定する。このとき、第1接点導体16の本体部の孔部は、ハウジング15の内壁面の突起15aに嵌合し、第4接点導体19の本体部の孔部は、ハウジング15の内壁面の突起15bに嵌合する。そして、これらの第1接点導体16と第4設定導体19とを連結する第1接続導体20が、カバー24の外側面に当接する。従って、カバー24により、第1接続導体20と第2接続導体21との確実な絶縁を図ることができる。
【0056】
最後に、図7(f)に示すように、上述した第1〜第4接点導体16〜19、第1及び第2接続導体20,21、及びカバー24をハウジング15内に挿入して配置するために利用された開口を覆うために、蓋部材25がハウジング15に圧入される。これにより、第1接続導体20は、蓋部材25とカバー24とに挟持される。従って、一体化された第1接点導体16、第4接点導体19及び第1接続導体21も、ハウジング15内において安定的に固定保持される。
【0057】
なお、第5〜第8接点導体26〜29のハウジング15への挿入及び固定、さらにシール35のハウジング15への圧入は、上述した図7(c)〜(f)のいずれかの工程において、同時に実施される。
【0058】
以上、本発明の好ましい実施形態について説明したが、本発明は上述した実施形態に何ら制限されることなく、本発明の主旨を逸脱しない範囲において、種々変形して実施することができる。
【0059】
例えば、上述した実施形態では、第1電子基板2と第2電子基板7とを電気的に接続するべく、それぞれの基板2,7の複数の接点端子5,6,10,11の内、端部に位置する接点端子5,6,10,11を、第1〜第4接点端子16〜19と第1及び第2接続導体20,21を介して導通するようにした。しかしながら、第1電子基板2と第2電子基板7とを電気的に接続するための接点端子5,6,10,11は、必ずしも端部に位置する接点端子5,6,10,11である必要はなく、例えば配列の中央に位置する接点端子5,6,10,11を用いても良い。
【0060】
また、上述した実施形態では、第1〜第4接点導体16〜19と第1及び第2接続導体20,21をハウジング15内に配設することにより、第1電子基板2の基板面2aの接点端子5と第2電子基板7の基板面7bの接点端子11を接続するとともに、第1電子基板2の基板面2bの接点端子6と第2電子基板7の基板面7aの接点端子10を接続した。しかしながら、例えば、第1及び第2電子基板2、7の両基板面2a,2b,7a,7bの接点端子5,6,10,11ではなく、それぞれ一方の基板面の接点端子のみを接続するようにしても良い。この場合、第1電子基板2の基板面2aの接点端子5に対して、第2電子基板7の基板面7a,7bのいずれかの接点端子10,11、もしくは第1電子基板2の基板面2bの接点端子6に対して、第2電子基板7の基板面7a,7bのいずれかの接点端子10,11が導通されればよい。
【0061】
さらに、電気的に接続するために利用される第1電子基板2の接点端子5,6と第2電子基板7の接点端子10,11とは、各々の電子基板2,7の基板面2a,2b,7a,7bに垂直な方向において、必ずしも同じ位置に配置された接点端子でなくとも良い。
【0062】
また、上述した実施形態のように、第1電子基板2と第2電子基板7とを電気的に接続するための構成として、第1接点導体〜第4接点導体16〜19と第1及び第2の接続導体20,21を用いることにより、確実に、電気的な接続経路を確保することが可能であるが、より簡略化した構成を採用しても良い。例えば、上述した実施形態における第1接点導体16、第1接続導体20、及び第4接点導体19に相当する構成として、図8に示す形状に加工された第1金属部材116を用い、また、第2接点導体17、第2接続導体21、及び第3接点導体18に相当する構成として、図8に示す形状に加工された第2金属部材117を用いても良い。なお、図8において、第1金属部材116は、第1金属部材116を固定するための固定部材122,123に収容された状態で、ハウジング115内に配設されている。第1金属部材116と第2金属部材117との間には、絶縁材料からなるカバー124が設けられ、両者の絶縁が確保されている。また、第2金属部材117は、ハウジング115の一部をなす保持部130に取り付けられている。
【0063】
さらに、上述した実施形態では、カードエッジコネクタ40を利用して第1電子基板2と第2電子基板3との電気的接続を行なう例について説明した。しかしながら、電気的接続を行なう電子基板の枚数は3枚以上であっても良い。
【0064】
例えば、電子基板間の電気的接続のため図8に示すような金属部材を用いて、3枚の電子基板を対象として電気的接続を行なうための構成を、図9に示す。図9において、上方の挿入孔に挿入される電子基板を第1電子基板、中間の挿入孔に挿入される電子基板を第2電子基板、及び下方の挿入孔に挿入される電子基板を第3電子基板とすると、第1の金属部材216は、第1電子基板の接点端子と第3電子基板の接点端子とを電気的に接続し、第2金属部材217は、第1電子基板の接点端子と第2電子基板の接点端子とを電気的に接続し、第3金属部材218は、第2電子基板の接点端子と第3電子基板の接点端子とを電気的に接続する。
【0065】
なお、図9において、第1金属部材216は、第1金属部材216を固定するための固定部材222,223に収容された状態で、ハウジング215内に配設されている。第1金属部材216と第2金属部材217及び第3金属部材218との間には、絶縁を確保すべく、絶縁材料からなるカバー224が設けられている。また、第2金属部材217及び第3金属部材218は、ハウジング215の一部をなす保持部230,231にそれぞれ取り付けられている。
【図面の簡単な説明】
【0066】
【図1】実施形態における、カードエッジコネクタを利用した基板接続構造を示すものであって、図4のI−I線に沿う部分の部分断面図である。
【図2】カードエッジコネクタの構造を示す、図4のII−II線に沿った部分の部分断面図である。
【図3】図2におけるIII−III線に沿う部分断面図である。
【図4】図2のIV−IV線に沿った部分断面図である。
【図5】第1電子基板2に取り付けられた第1クリップ13を示した平面図である。
【図6】フレキシブル基板12の構成を示す図である。
【図7】(a)〜(f)は、カードエッジコネクタの組付方法を説明するための工程図である。
【図8】変形例について説明するための説明図である。
【図9】その他の変形例について説明するための説明図である。
【符号の説明】
【0067】
1…電子基板用ハウジング、2…第1電子基板、3,4…第1電子基板の接点端子(接続端子)、5,6…第1電子基板の接点端子、7…第2電子基板、8,9…第2電子基板の接点端子(接続端子)、10,11…第2電子基板の接点端子、12…フレキシブル基板、13…第1クリップ、14…第2クリップ、15…ハウジング、16…第1接点導体、17…第2接点導体、18…第3接点導体、19…第4接点導体、20…第1接続導体、21…第2接続導体、22,23…補助部材、24…カバー、25…蓋部材、26…第5接点導体、27…第6接点導体、28…第7接点導体、29…第8接点導体、30…仕切部、31,32…区画部、33…シール部材、34…ハーネス、35…シール、40…カードエッジコネクタ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子基板の端部が挿入されることにより、前記電子基板端部の基板平面上であって前記電子基板の挿入方向と直交する方向に配列された複数の接点端子と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを用いた基板接続構造であって、
前記電子基板はN枚(N≧2)の電子基板からなり、
前記カードエッジコネクタは、
前記N枚の電子基板の端部がそれぞれ挿入されるN個の挿入孔を有し、これらのN個の挿入孔に前記N枚の電子基板がそれぞれ挿入されたとき、前記N枚の電子基板が所定の間隔を隔てて互いの基板面同士が向かい合うように配置されるハウジングと、
前記ハウジング内に配置され、前記N枚の電子基板の端部が挿入されたときに、異なる電子基板の端部に形成された接点端子にそれぞれ接触して、当該異なる電子基板の接点端子同士を電気的に接続する接続導体と、を備え、
前記接続導体によって電気的に接続された接点端子を除く残りの接点端子を前記ハーネスと電気的に接続することを特徴とする基板接続構造。
【請求項2】
電子基板の端部が挿入されることにより、前記電子基板端部の基板平面上であって前記電子基板の挿入方向と直交する方向に配列された複数の接点端子と、外部に引き出されるハーネスとの電気的接続を行なうカードエッジコネクタを用いた基板接続構造であって、
前記電子基板は第1電子基板と第2電子基板とを含み、
前記カードエッジコネクタは、
前記第1電子基板の端部が挿入される第1挿入孔と、前記第2電子基板の端部が挿入される第2挿入孔とを有し、これらの第1挿入孔及び第2挿入孔に前記第1電子基板及び前記第2電子基板がそれぞれ挿入されたとき、前記第1電子基板と前記第2電子基板とは所定の間隔を隔てて互いの基板面同士が向かい合うように配置されるハウジングと、
前記ハウジング内において前記第1挿入孔に配置され、前記第1電子基板の端部が挿入されたときに、前記第1電子基板の複数の第1接点端子とそれぞれ接触する複数の第1接点導体と、
前記ハウジング内において前記第2挿入孔に配置され、前記第2電子基板の端部が挿入されたときに、前記第2電子基板の複数の第2接点端子とそれぞれ接触する複数の第2接点導体と、
前記ハウジング内に配設され、一端が、複数の前記第1接点導体の中の1個の第1接点導体と接続され、他端が、複数の前記第2接点導体の中の1個の第2接点導体に接続された接続導体と、を備え、
前記接続導体に接続された第1及び第2接点導体を除く残りの第1及び第2接点導体が、前記ハーネスに接続されることを特徴とする基板接続構造。
【請求項3】
前記接続導体は、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面に垂直な方向において同じ位置に配置された第1接点導体と第2接点導体とを接続するものであることを特徴とする請求項2に記載の基板接続構造。
【請求項4】
前記第1接点端子は前記第1電子基板の基板両面に形成され、前記第2接点端子は前記第2電子基板の基板両面に形成されており、
前記接続導体は、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面に形成された第1接点端子と第2接点端子とにそれぞれ接触する第1接点導体と第2接点導体とを接続する第1接続導体と、前記第1電子基板と前記第2電子基板とが向かい合う基板面とは反対側の各々の基板面に形成された第1接点端子と第2接点端子とにそれぞれ接触する第1接点導体と第2接点導体とを接続する第2接続導体とを含むことを特徴とする請求項2又は請求項3に記載の基板接続構造。
【請求項5】
前記第1接続導体と前記第2接続導体とは、前記第1電子基板及び前記第2電子基板の基板面に垂直な方向において、それぞれ同じ位置に配置された前記第1接点導体と前記第2接点導体とを接続することを特徴とする請求項4に記載の基板接続構造。
【請求項6】
前記第1電子基板と前記第2電子基板の一方に、所定の電源電圧を発生する電源回路が設けられ、前記接続導体は、前記電源回路によって発生された電源電圧を他方の電子基板に伝送するための電源ラインとして用いられることを特徴とする請求項2乃至請求項5のいずれかに記載の基板接続構造。
【請求項7】
前記ハウジングに挿入される端部以外の領域で、前記第1電子基板と前記第2電子基板との基板面にそれぞれ形成された第1接続端子と第2接続端子とを電気的に接続するフレキシブル基板と、
前記フレキシブル基板の表面の一端部には、前記第1電子基板の第1接続端子と接触する第1ランドが形成され、当該第1ランドを前記第1接続端子に当接させつつ、前記フレキシブル基板を前記第1電子基板の端面で折り曲げて、前記フレキシブル基板を前記第1電子基板の対向する2つの基板面に這わせた状態で、2つの基板面に這わせたフレキシブル基板を挟持して固定する第1のクリップと、
前記フレキシブル基板の表面の他端部には、前記第2電子基板の第2接続端子と接触する第2ランドが形成され、当該第2ランドを前記接続端子に当接させつつ、前記フレキシブル基板を前記第2電子基板の端面で折り曲げて、前記フレキシブル基板を前記第2電子基板の対向する2つの基板面に這わせた状態で、2つの基板面に這わせたフレキシブル基板を挟持して固定する第2のクリップと、を備えることを特徴とする請求項2乃至請求項6のいずれかに記載の基板接続構造。
【請求項8】
前記第1のクリップ及び前記第2のクリップが前記フレキシブル基板を挟持するために、当該フレキシブル基板に所定の圧力を掛けながら当接する当接部にはスリットが形成され、当該スリットによって分離された当接部が、それぞれ独自に弾性変形可能であることを特徴とする請求項7に記載の基板接続構造。
【請求項9】
前記フレキシブル基板には、前記第1電子基板に形成された複数の第1接続端子と接触する複数の第1ランドと、前記第2電子基板に形成された複数の第2接続端子と接触する複数の第2ランドと、前記複数の第1ランドと前記複数の第2ランドとをそれぞれ接続する複数の接続線とが形成され、
前記複数の接続線は、所定の間隔で前記フレキシブル基板に配列されており、隣接する接続線の第1ランドが接触する第1接続端子は、前記第1電子基板の対向する2の基板面に振り分けられ、隣接する接続線の第2ランドが接触する第2接続端子も、前記第2電子基板の対向する2の基板面に振り分けられていることを特徴とする請求項7又は請求項8に記載の基板接続構造。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−181801(P2009−181801A)
【公開日】平成21年8月13日(2009.8.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−19578(P2008−19578)
【出願日】平成20年1月30日(2008.1.30)
【出願人】(000004695)株式会社日本自動車部品総合研究所 (1,981)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】