説明

基板検査装置及び基板検査方法

【課題】基板検査装置のフットプリントを低く抑える。
【解決手段】液晶パネルユニット10を固定する検査ステージ20に対向して撮像手段40を設ける。検査ステージ20は、撮像手段40の中心軸Cを通る線型軸Yに沿って平行移動させ及びその線形軸Y上に設けた回転軸D周りに回転移動させる2軸のステージ駆動手段21を備え、ステージ制御手段22によって制御される。撮像手段40はその中心軸C周りに回転できるようカメラ駆動手段41を備え、その回転がカメラ制御手段42によって制御される。ステージ制御手段22は前記2軸の各移動によりパネルユニット10から画像を取得しようとするショット位置を撮像手段40の中心軸C上に位置合せする機能を有し、カメラ制御手段42は撮像手段40を回転させて、各ショット位置におけるパネルユニット10の液晶電極端子11の向きに対して撮像手段40が常に一定の向きとなるように方位合せする機能を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶基板の電極とドライバICの電極との接続部分の導通状態を検査する基板検査装置及びその基板検査方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶基板の周縁部に駆動用のドライバICを実装した液晶表示パネル(以下、「パネルユニット」という)において、ドライバICのIC電極は、液晶基板側に設けた液晶電極端子と、異方性導電体を介して接続されている。
【0003】
ドライバICは、「TAB(Tape Automated Bonding、以下「TAB」と記す)」、「COG(Chip On Glass、以下「COG」と記す)」などの方式で液晶基板に実装され、その実装の際に、液晶基板とドライバICとの対向する端子同士を導通状態で接続させるために、異方性導電シート(AnisotropicConductive Film、以下「ACF」と記す)、あるいは異方性導電接着材等の異方性導電体が用いられている。
異方性導電体として用いられるACFは、ACF粒子を分散させているバインダ層の表面に接着剤層が積層されシート状に形成されたものである。熱を加えてバインダ層材料を溶かした後に熱硬化させることにより、ACFは熱圧着機能を発揮する。
【0004】
一般に、ACF4は、予め液晶基板側かドライバIC2側に貼付され、本願の実施形態の説明図である図2(a)に示すように、液晶基板1側に設けた液晶電極端子とドライバIC2のIC電極同士が対向する位置に位置決めされた後に、ACF熱圧着機等の加圧ツールが、図中に矢印に示すように、その液晶電極端子11とIC電極12との重畳領域を押圧し加熱する。
【0005】
この押圧・加熱により、ACF4内の導電粒子4aは,対向する液晶電極端子11とIC電極12との間で押さえられ、その導電粒子4を介して液晶電極端子11とIC電極12とは電気的に導通接続される(同じく図2(b)参照)。
【0006】
この導通接続が適切であるためには、熱圧着工程において、液晶基板1の液晶電極端子11とドライバIC2のIC電極12との間にACF4が均一に充填されるとともに、その液晶電極端子11とIC電極12との間が適度な圧力、温度、及び時間で圧着される必要がある。
【0007】
しかし、その液晶電極端子11とIC電極12との間への接着材の過度な残存、気泡等の発生、導電膜のはがれ等により、均一に充填、圧着できない場合が生じ得る。また、液晶基板1に付着した異物が圧着箇所に混入して、液晶電極端子11とIC電極12との間の圧着不良が発生する場合もある。
さらに、ACF4による接続状態は、経時変化するACF4の硬化特性、限られたタクト時間に対して調整された温度、圧力、加圧時間、圧力分布などの圧着条件によって左右される。前記パラメータは相互に絡み合っているために、その最適化は簡単では無く、実装工程での製品不良が発生する原因となっている。
【0008】
そこで、その液晶電極端子11とIC電極12とが適切に導通しているかどうかを、前記圧着箇所の画像により検査する基板検査装置が用いられる。
【0009】
基板検査装置は、前記異方性導電体4を介して圧着させる前記液晶電極端子11と前記IC電極12との重畳領域の画像を、撮像手段40により、透明な液晶基板1の裏面(前記液晶電極端子11を設けた面の反対側の面)側から取得する。
その撮像手段40により取得した画像を、基板検査装置に備えた画像処理手段51によって適宜の画像処理を施し、同じく基板検査装置に備えた判定手段52は、その処理結果を元に前記圧着状態の良否を判定する。
【0010】
圧着状態の良否の判定は、前記圧着の際に、液晶電極端子11が多数の導電粒子4aによって押さえられた部分が圧痕5となって、その圧痕5が画像上で濃淡となって現れることに着目し、前記重畳領域内における画像の濃淡データに基づいて行う。
具体的には、液晶電極端子11に生じた圧痕5の強さに関する圧痕強度検査、その圧痕5の数に関する導電粒子数検査、圧痕5の分布に関する導電粒子分布長検査、リード長検査、前記液晶電極端子11と前記IC電極12との実装ずれ検査などのデータに基づいて行う(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【0011】
【特許文献1】特開2005−227217号公報
【特許文献2】特開2005−222058号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記重畳領域における圧着箇所の画像を取得する際に、パネルユニット10は、例えば、図10に示すように検査ステージ20上に載置、固定されて、適宜の駆動手段によって、そのパネルユニット10面方向に沿ってX軸、Y軸の2軸方向への移動、及びその面方向に直交するZ軸方向への移動、及びその面方向に直交する回転軸θ周りに回転移動可能とされた条件にて圧着箇所の画像を取得する。
【0013】
駆動手段が、検査ステージ20及びパネルユニット10を前記X軸、Y軸及び回転方向θへ移動させることにより、固定の撮像手段40の中心軸C上の視界内に撮影の対象となるショット位置を位置合せする。
【0014】
つぎに、そのショット位置における画像の取得領域に対し焦点合せを行う。焦点合せは、基板検査装置が備えるオートフォーカス装置31により前記駆動手段を動作させ、検査ステージ20及びパネルユニット10をZ軸方向へ移動させて行う。
【0015】
その位置合せ及び焦点合せの後、前記撮像手段40によりパネルユニット10の周縁部における前記重畳領域から圧着箇所の画像を取得し、前記位置合せと画像の取得を繰り返して、必要なショット位置の画像を順次取得していく。
【0016】
しかし、特に、大面積基板、例えば対角40〜100インチ程度の大きなパネルユニット10の場合、検査ステージ20及びパネルユニット10は、X軸、Y軸方向へ大きな移動距離が必要となる。
例えば図10に示すように、液晶基板1の周縁部の複数の辺に沿って、複数のドライバIC2(TAB)が実装されている一般的なパネルユニット10を想定する。
【0017】
前記複数の辺のうち、「ソース辺10x」と呼ばれる長辺に実装されたドライバIC2の実装状態を検査するためには、検査ステージ20及びパネルユニット10を最大で、図中に示すA位置からB位置まで移動させる必要がある。また、「ゲート辺10y」と呼ばれる短辺に実装されたドライバIC2の実装状態を検査するためには、検査ステージ20及びパネルユニット10を最大で、図中に示すC位置からD位置まで移動させる必要がある。
【0018】
このように、ドライバIC2の実装状態の検査に必要とされる空間は、図10(a)に示すように、パネルユニット10の長辺方向の幅Wxに、図中右側へのX軸方向最大ストローク長(移動距離)Sx/2≒Wx/2と、図中左側へのX軸方向最大ストローク長(移動距離)Sx/2≒Wx/2とを加えた長さLx以上となる。
あるいは、図10(b)に示すように、パネルユニット10の短辺方向の幅Wyに、図中右側へのY軸方向最大ストローク長(移動距離)Sy/2≒Wy/2と、図中左側へのY軸方向最大ストローク長(移動距離)Sy/2≒Wy/2とを加えた長さLy以上を必要とする。
【0019】
近年の液晶TV基板のように、パネルユニット10のサイズ(矩形型基板の対角線寸法)は増大する傾向があるので、それに伴って、検査ステージ20のX軸、Y軸方向への前記各ストローク長Sx,Syも増大する傾向にある。このため、基板検査装置の平面寸法(以下、「フットプリント」と称する)の増加を招いている。
また、そのパネルユニット10のサイズの増大に伴う前記フットプリントの増加により、検査タクトタイムも増加する傾向にある。
【0020】
フットプリントの増加は、その基板検査装置を設置するクリーンルーム内のスペースを増大させ、また、検査タクトタイムの増加は、パネルユニット10の製造コストの増大を招くために好ましくない。
【0021】
そこで、この発明は、基板検査装置のフットプリントを低く抑えることを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
上記の課題を解決するために、この発明は、液晶基板にドライバICを実装したパネルユニットを固定する検査ステージと、前記検査ステージに対向して設けられた撮像手段とを備え、前記パネルユニットは、前記液晶基板の周縁部に直線状に並列して設けた液晶電極端子と前記ドライバICに設けたIC電極とが異方性導電体を介して導通可能に圧着されたものであり、その検査ステージに固定された前記パネルユニットの前記圧着箇所の画像を前記撮像手段によって取得する基板検査装置において、前記検査ステージは前記パネルユニットを前記撮像手段の中心軸を通る線型軸に沿って平行移動させ、その線形軸上に設けた回転軸周りに回転移動させる2軸のステージ駆動手段を備え、それら2軸の各移動がステージ制御手段によって制御されるとともに、前記撮像手段は、その撮像手段の向きを前記中心軸周りに回転させるカメラ駆動手段を備え、その回転がカメラ制御手段によって制御されるようになっており、前記ステージ制御手段は、前記検査ステージの前記2軸の各移動により、前記パネルユニットから画像を取得しようとするショット位置を前記撮像手段の中心軸上に位置合せする機能を有する構成を採用した。
【0023】
このようにすれば、1本の線型軸に沿う平行移動及び1本の回転軸周りの回転移動からなる2軸の移動を併用することにより、ドライバICの実装状態の検査に必要なパネルユニットの移動量、すなわち、検査ステージのストローク長を低く抑え、基板検査装置のフットプリントを低く抑えることができる。
【0024】
また、前記ショット位置が前記撮像手段の中心軸上に位置合せされた状態において、前記カメラ制御手段は、前記撮像手段の中心軸周りの回転により、その各ショット位置における前記液晶電極端子の向きに対して、前記撮像手段が常に一定の向きとなるように方位合せする機能を有する構成を採用し得る。
【0025】
前記カメラ制御手段により前記撮像手段の方位合せが行われていることにより、撮像手段によって取得される画像は、前記各ショット位置における前記液晶電極端子の向きに対して常に一定である。このため、パネルユニットが回転移動しても、撮像手段によって取得された画像における液晶電極端子の向きは一定となり、その取得した画像において液晶電極端子の向きの補正を要しない。
【0026】
なお、カメラ制御手段による前記撮像手段の方位合せは、検査ステージの回転移動角度が、常に撮像手段の回転角度と同じになるように別々に独立して設定することにより、制御することもできるが、例えばそのカメラ制御手段による前記撮像手段の方位合せを、前記ステージ制御手段による前記パネルユニットの回転移動に連動して制御されるようにした構成を採用し得る。このように、両者を連動して制御すれば、装置の構成及び制御に必要な情報の構成を簡素化し得る。
【0027】
また、前記基板検査装置は、前記撮像手段により取得した画像を処理する画像処理手段と、その処理結果を元に前記圧着状態の良否を判定する判定手段とを備え、前記圧着状態の良否の判定は、前記異方性導電体を介して圧着させる前記液晶電極端子と前記IC電極との重畳領域内における前記異方性導電体の圧痕強度検査、導電粒子数検査、導電粒子分布長検査、リード長検査、前記液晶電極端子と前記IC電極との実装ずれ検査、及び前記重畳領域内の一つの検査領域を複数の領域に分割した後におけるその各分割検査領域に対する圧痕強度検査、導電粒子数検査から選択される単一の又は複数の検査項目である構成を採用し得る。
【0028】
撮像手段によって取得された各ショット位置の画像は、液晶電極端子の向きが全て一定であり向きの補正を要しない状態で取得されている。
このため、重畳領域内における前記各項目の検査、すなわち、圧痕強度検査、導電粒子数検査、導電粒子分布長検査、リード長検査、前記液晶電極端子と前記IC電極との実装ずれ検査、及び前記重畳領域内の一つの検査領域を複数の領域に分割した後におけるその各分割検査領域に対する圧痕強度検査、導電粒子数検査を行うに際し、その検査対象となる重畳領域、検査領域の設定、あるいはその検査領域に基づく分割検査領域設定が速やかに可能となる。
なお、前記重畳領域の設定には、例えば、取得した画像に予め用意したマスク画像等を重ねて前記重畳領域以外の部分の画像を遮る等の手段を採用することができる。
【0029】
また、前記パネルユニットは、前記液晶基板の周縁部に直線状に並列して設けた液晶電極端子と前記ドライバICに設けたIC電極とが異方性導電体を介して導通可能に圧着されたものをその検査対象としており、例えば、前記ドライバICがTAB又はCOGにより前記液晶基板に実装されたものが挙げられる。
【0030】
さらに、上記の課題を解決するために、この発明は、以下の基板検査方法を採用することができる。
すなわち、その構成は液晶基板にドライバICを実装したパネルユニットを検査ステージに固定し、前記検査ステージに対向して撮像手段を設け、前記パネルユニットは、前記液晶基板の周縁部に直線状に並列して設けた液晶電極端子と前記ドライバICに設けたIC電極とが異方性導電体を介して導通可能に圧着されたものであり、その検査ステージに固定された前記パネルユニットの前記圧着箇所の画像を前記撮像手段によって取得する基板検査方法において、前記検査ステージを前記撮像手段の中心軸を通る線型軸に沿って平行移動させ、その線形軸上に設けた回転軸周りに回転移動させることにより、前記パネルユニットから画像を取得しようとするショット位置を前記撮像手段の中心軸上に位置合せする基板検査方法である。
【0031】
また、前記撮像手段をその中心軸周りに回転させることにより、前記ショット位置における前記液晶電極端子11に対する前記撮像手段の向きが常に一定となるように方位合せした後、そのショット位置における前記圧着箇所の画像を前記撮像手段によって取得することを特徴とする基板検査方法である。
【発明の効果】
【0032】
この発明は、以上のように1本の線型軸に沿う平行移動及び1本の回転軸周りの回転移動からなる2軸の移動を併用することにより、ドライバICの実装状態の検査に必要なパネルユニットの移動量、すなわち、Y軸のストロークを短縮し線型制御のうち1軸(X軸)が不要となることにより検査装置全体のフットプリントを低く抑えることができる。
また、Y軸のストロークを短縮し、線型制御のうち1軸(X軸)が不要となることにより、検査基板から画像を取得する撮像手段のショット位置への移動時間が短縮し、検査のタクトタイムを短縮する効果を奏する。
【0033】
また、前記カメラ制御手段により前記撮像手段の方位合せが行われていることにより、撮像手段によって取得される画像は、前記各ショット位置における前記液晶電極端子の向きに対して常に一定である。このため、パネルユニットが回転移動しても、撮像手段によって取得された画像における液晶電極端子の向きは一定であり、その取得した画像において液晶電極端子の向きの補正を必要としない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0034】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。矩形(長方形)の液晶基板1にドライバIC2を実装したパネルユニット10が、基板検査装置が備える水平な検査ステージ20上に固定できるようになっている。
【0035】
前記パネルユニット10は、図1に示すように、前記液晶基板1の周縁部に多数のドライバIC(TAB)2が実装されている。
各ドライバIC(TAB)2は、前記液晶基板1の周縁部の3方の辺のうち、TFTのソース側となる「ソース辺10x」と呼ばれる長辺と、TFTのゲート側となる「ゲート辺10y,10y’」と呼ばれる各短辺にそれぞれ複数個実装されている。
【0036】
「ソース辺10x」と「ゲート辺10y,10y’」には、それぞれ直線状に並列して設けた多数の液晶電極端子11;11x,11y,11y’が設けられており、その液晶電極端子11;11x,11y,11y’に対して,液晶を駆動させる機能を有するドライバIC2のIC電極12;12x,12y,12y’が、それぞれACF4を介して導通可能に圧着されている。
【0037】
前記ソース辺10xに設けられた液晶電極端子11は、図1に示すように、同一の長さの電極11x,11x・・・が同一の間隔で平行に並列して設けられている。また、ゲート辺10y,10y’ に設けられた各液晶電極端子11も、図中に示すように、同一の長さの電極11y,11y・・・;11y’,11y’・・・が、それぞれ同一の間隔で平行に並列して設けられている。
【0038】
ACF4を介して行う液晶基板1の液晶電極端子11;11x,11y,11y’とドライバIC2のIC電極12;12x,12y,12y’同士の圧着に関しては、従来例で説明した内容と同様であるので、説明を省略する(図2(a)(b)参照)。
【0039】
この液晶電極端子11とIC電極12との重畳領域の画像を、前記撮像手段40により、透明な液晶基板1を夾んでその裏面側、すなわち、前記液晶電極端子11を設けた面の反対側の面側から取得できるようになっている(図3(a)(b)参照)。
【0040】
前記検査ステージ20は、前記パネルユニット10を、前記撮像手段40の鉛直方向の中心軸Cを通る水平な線型軸Yに沿って平行移動させ及びその線形軸Y上に設けた鉛直方向の回転軸D周りに回転移動させる2軸のステージ駆動手段21を備えている。
なお、その回転軸Dは、前記検査ステージ20が線形軸Yに沿って移動するのに伴って、その移動量だけ同方向に移動する。
【0041】
また、前記撮像手段40は、微分干渉顕微鏡30を備えたカメラであり、その撮像手段40の中心軸Cが、前記検査ステージ20の面方向に対して直交する方向(前記鉛直方向)に固定されてその位置で動かないようになっている。
また、その撮像手段40は、その撮像手段40の向きを前記中心軸C周りに回転させるカメラ駆動手段41を備えている。
【0042】
基板検査装置が備える制御システム50は、パソコン、画像キャプチャボード、入出力ボード、モータ制御ボード、制御盤等で構成され、図5に示すように、その制御システム50に接続されたユーザインターフェース60を備えている。ユーザインターフェース60は、モニタ61、キーボード・マウス62、及び操作盤(タッチパネル)63を備える。
【0043】
また、制御システム50には、前記撮像手段40により取得した画像が入力されるように入力部54が備えられており、さらに、その入力された画像を処理する画像処理手段51と、その処理結果を元に前記圧着状態の良否を判定する判定手段52とを備える。さらに、その制御システム50には、前記画像処理手段51及び判定手段52にて処理した内容及び判定した内容を保存する記憶手段53を備えている。
【0044】
前記検査ステージ20の前記2軸の各移動を制御するステージ駆動手段21は、その制御システム50が備えるステージ制御手段22によって、その動作が制御されるようになっている。なお、ステージ制御手段22は、制御システム50に入力された必要な制御情報に基づいて、前記PCや制御盤等が協働して機能する。
また、撮像手段40の前記中心軸C周りの回転を制御するカメラ駆動手段41は、同じく、前記制御システム50が備えるカメラ制御手段42によって、その動作が制御されるようになっている。このカメラ制御手段42についても、制御システム50に入力された必要な制御情報に基づいて、前記PCや制御盤等が協働して機能する。
【0045】
前記撮像手段40は、前記制御システム50が備えるオートフォーカス制御手段35によって、撮像手段40が画像を取得する際に自動的に焦点を合致させるオートフォーカス装置31を備えている。
このオートフォーカス装置31による機能は、前記ステージ駆動手段21が前記検査ステージ20をその面方向に直交するZ軸方向に昇降させる機能によって発揮される。また、その昇降が、図5に示すオートフォーカス制御BOX32と連動して前記ステージ制御手段22で制御されるようになっている。なお、オートフォーカス照明光源33、同軸照明光源34等の動作も、オートフォーカス制御手段35によって制御可能である。
【0046】
また、前記ステージ制御手段22は、前記検査ステージ20の前記線型軸Yに沿う平行移動及び回転軸D周りの回転移動からなる2軸の移動により、前記パネルユニット10から画像を取得しようとするショット位置を前記撮像手段40の中心軸C上に位置合せする機能を有する。
【0047】
この位置合せ機能について詳しく説明する。例えば、図4に示すパネルユニット10のゲート辺10yの検査を想定する。
【0048】
先ず、図4(a)に示すように、ゲート辺10yの右端に設定したショット位置(パネルユニット10から画像を取得しようとする重畳領域が存在するエリア)を、前記撮像手段40の中心軸C上に位置合せする。この位置合せは、前記検査ステージ20上にパネルユニット10を固定した後、前記ステージ制御手段22が検査ステージ20を前記線型軸Yに沿う平行移動及び回転軸D周りの回転移動からなる2軸の移動を制御することにより行う。
【0049】
この状態で、撮像手段40によりそのショット位置の画像を取得し、つぎに、ステージ駆動手段21を動作させて、図4(b)に示すように、検査ステージ20を中心軸D周りの反時計回りに角度α1−2だけ回転させ、次なるショット位置を前記線型軸Y上に位置させる。
この図4(b)に示す状態において、さらにステージ駆動手段21を動作させて、検査ステージ20を、線型軸Yに沿ってδ1−2だけ撮像手段40に近づく方向へ平行移動させ、図4(c)に示すように、次なるショット位置を前記撮像手段40の中心軸C上に来るように位置合せする。
【0050】
そして、前記カメラ駆動手段41を動作させて、前記撮像手段40を中心軸C周りに前記角度α1−2と同一の角度だけ同一方向(反時計回り)に回転させ、その状態で、撮像手段40によりそのショット位置の画像を取得する。
この回転により、図4(c)に示すショット位置において得られる画像上での液晶電極端子11の向きは、図4(a)に示すショット位置で得られた画像上での液晶電極端子11の向きと同一となる。また、その画像上における各液晶電極端子11の位置、特に、各液晶電極端子11の長さ方向に対する位置が同一となる。
【0051】
さらに、ステージ駆動手段21を動作させて、図4(d)に示すように、検査ステージ20を中心軸D周りの反時計回りに角度α2−3だけ回転させ、ゲート辺10yの中央に設定したショット位置を前記線型軸Y上に位置させる。
この図4(d)に示す状態において、さらにステージ駆動手段21を動作させて、検査ステージ20を、線型軸Yに沿ってδ2−3だけ撮像手段40に近づく方向へ平行移動させ、図4(e)に示すように、ゲート辺10yの中央に設定したショット位置を前記撮像手段40の中心軸C上に来るように位置合せする。
【0052】
そして、前記カメラ駆動手段41を動作させて、前記撮像手段40を中心軸C周りに前記角度α2−3と同一の角度だけ同一方向(反時計回り)に回転させ、その状態で、撮像手段40によりそのショット位置の画像を取得する。
この回転により、図4(e)に示すゲート辺10yの中央に設定したショット位置において得られる画像上で、液晶電極端子11の向きは、図4(a)に示すショット位置で得られた画像上での液晶電極端子11の向きと同一となる。また、その画像上における各液晶電極端子11の位置、特に、各液晶電極端子11の長さ方向に対する位置が同一となる。
【0053】
さらに、次なるショット位置の画像を取得する際には、この動作を繰り返し行っていく。また、他のゲート辺10y’やソース辺10xについて画像を取得する場合も同様である。
なお、ステージ駆動手段21による検査ステージ20の平行移動、回転移動、カメラ駆動手段41による撮像手段40の回転は、上記のように、それぞれ、時間の経過とともに順を追って動作するようにしてもよいが、上記の動作の一部又は全部が同時に並行して動作するようにしてもよい。
【0054】
これらのステージ駆動手段21、カメラ駆動手段41、及びオートフォーカス装置31の各動作は、それぞれ、制御システム50が備える前記ステージ制御手段22、カメラ制御手段42、及びオートフォーカス制御手段35がその制御を担うが、それらの制御は、予めユーザインターフェース60から制御システム50へ入力された制御情報によって自動的に実行される。
【0055】
この基板検査装置によれば、あるいは、この基板検査装置を用いた基板検査方法を採用すれば、1本の線型軸Yに沿う平行移動及び1本の回転軸D周りの回転移動からなる2軸の移動を併用することにより、ドライバIC2の実装状態の検査に必要なパネルユニット10の移動量、すなわち、検査ステージ20のストローク長を低く抑え、基板検査装置のフットプリント低下を実現することができる。
また、検査ステージ20の移動時間(回転時間)、移動距離(回転距離)を最適化することにより、その各移動方向へのストロークを短くし、検査タクトタイムを短縮することができる。
さらに、検査ステージ20の平面方向への移動が線型軸Y方向のみへの平行移動で足りるため、従来例が備えていたX軸、Y軸方向への2軸線型制御のうち、1軸(X軸)が不要となるという利点がある。
【0056】
なお、前記カメラ駆動手段41及び前記カメラ制御手段42による前記撮像手段40の回転は、省略することもできる。
撮像手段40の回転を省略した構成とすると、検査ステージ20の回転移動とともに、撮像手段40に対する液晶電極端子11の向きは各ショット位置によって変化し、その結果、取得した画像内において液晶電極端子11の向きは様々となる。
このため、実装状態の良否の判定に必要であれば、画像処理手段51においてその向きを補正する画像処理を施すことができる。
【実施例】
【0057】
以下、この発明の実施例について説明する。
図6に、この実施形態のフローを示す。図7は、この発明の基板検査装置を用いて行う基板検査の手順を、8つのステップ(S1〜S8)に基づき説明するものである。
【0058】
ここでは、被検査体である液晶表示装置のパネルユニット10として、いわゆる大画面のものを対象とし、TAB2の圧着枚数は、TFTのソース辺10x、TFTのゲート辺10y,10y’の合計3辺にそれぞれ複数枚実装されている。なお、図7では、理解がしやすいようにTAB2の図示を省略し、液晶基板1に設けられる液晶電極端子11のみを模式的に表している。
【0059】
(ステップS1)
OLBボンダーを通過したパネルユニット10が、吸着装置を備えた搬送装置等によって平面視円形の検査ステージ20上に搬入され、その検査ステージ20上にパネルユニット10が固定される(図6に示す工程71参照)。図7(a)では、パネルユニット10のソース辺10xが撮像手段40から最も遠い位置になるように配置されている。
前記ステージ制御手段22、カメラ制御手段42、及びオートフォーカス制御手段35を制御するために必要な各制御情報は、既にユーザインターフェース60を通じて入力されている(同工程72参照)。
【0060】
このとき、その検査ステージ20に対向して設けたアライメント用撮像手段(図示せず)にて、予めパネルユニット10に設けたマーキングの位置を測定する。そのアライメント用撮像手段からの信号により、検査ステージ20を線型軸Y方向(Y軸方向)へ並行移動、鉛直方向(Z軸方向)へ昇降、回転軸D周りへ回転移動させてパネルユニット10の初期設定(位置合せ)を行なう。このアライメント用撮像手段と検査ステージ20の動きにより、正確に被検査体の測定領域を特定させる。
【0061】
(ステップS2)
ステップS1の操作を終了した後、ステップS2では、図7(a)に鎖線で示すように、検査ステージ20とともにパネルユニット10を図中の矢印Ya方向、すなわち線型軸Yに沿ってソース辺10xが撮像手段40から遠ざかる方向へ平行移動させる。その後、図7(b)に鎖線で示すように、検査ステージ20とともにパネルユニット10の回転軸Dを反時計回りに角度θbだけ回転移動させる。
これらの平行移動及び回転移動により、最初に検査の目標となるゲート辺10yが撮像手段40側に配置させることができ、そのゲート辺10yの端部に設定されたショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程73,74参照)。ここで、撮像手段40を中心軸C周りに回転させることにより、その撮像手段40の向きを画像を取得するのに適正な向きに調整し、その後、ショット位置の画像を取得する(同工程75,76参照)。
【0062】
(ステップS3)
ステップS2の操作を終了した後、ステップS3では、図7(c)に鎖線で示すように、検査ステージ20とともにパネルユニット10をさらに反時計回りに角度θcだけ回転移動させる。
【0063】
(ステップS4)
その後、検査ステージ20とともにパネルユニット10を図7(d)の矢印Yd方向、すなわち線型軸Yに沿ってゲート辺10yが撮像手段40に近づく方向へ平行移動させる。
これらの平行移動及び回転移動により、ゲート辺10yの中央に設定された次なるショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程74参照)。
【0064】
さらに、撮像手段40を、前記検査ステージの回転角度θcと同じ角度だけ反時計回りに回転させる(同工程75参照)。この撮像手段40の回転と前記検査ステージ20の回転移動とは、予め入力された制御情報に基づいて前記ステージ制御手段22とカメラ制御手段42とが連動して制御されるようになっている。すなわち、検査ステージ20と撮像手段40との向きが同期制御した条件で各ショット位置の撮影をすることができる(同工程76参照)。
【0065】
なお、この実施例では、ゲート辺10yから2箇所のショット位置を設定する抽出検査として、すなわち各ショット位置はパネルユニット10の周縁部に沿って断続的に設定された状態を説明しているが、各ショット位置をパネルユニット10の周縁部に沿って連続的に設定して、すべての液晶電極端子11とIC電極12との実装状態を検査する全数検査とすることもできる。ゲート辺10yに設定されたすべてのショット位置において画像を取得すれば、次なる辺の検査に移行する(同工程77参照)。
【0066】
(ステップS5)
次に、ソース辺10xに設定された各ショット位置の画像を取得していく。ステップS4の操作を終了した後、ステップS5では、図7(e)に示すように、検査ステージ20とともにパネルユニット10を反時計回りにさらに角度θe回転移動させる。
その後、検査ステージ20とともにパネルユニット10を図7(e)の矢印Ye方向、すなわち線型軸Yに沿ってゲート辺10yが撮像手段40から遠ざかる方向へ平行移動させる。
これらの平行移動及び回転移動により、ソース辺10xに設定された次なるショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程74参照)。
【0067】
さらに、撮像手段40を、前記検査ステージ20の回転角度θeと同じ角度だけ反時計回りに回転させ、その状態で撮影して画像を取得する(同工程75,76参照)。この撮像手段40の回転と前記検査ステージ20の回転移動とは、前述のように、前記ステージ制御手段22とカメラ制御手段42とが連動して制御されるようになっている。すなわち、検査ステージ20と撮像手段40との向きが同期制御した条件で各ショット位置の撮影をすることができる。
【0068】
(ステップS6)
ステップS5の操作を終了した後、図7(f)に示すように、ステップS6では検査ステージ20を反時計回りにさらに角度θfだけ回転移動させる。ゲート辺10xに設定された次なるショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程74参照)。
さらに、撮像手段40を、前記検査ステージ20の回転角度θfと同じ角度だけ反時計回りに回転させ、その状態で撮影して画像を取得する(同工程75,76参照)。
【0069】
(ステップS7)
ステップS6の操作を終了した後、図7(g)に示すように、ステップS7では検査ステージ20を反時計回りにさらに角度θgだけ回転移動させる。ソース辺10xの中央に設定されたショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程74参照)。
さらに、撮像手段40を、前記検査ステージ20の回転角度θeと同じ角度だけ反時計回りに回転させ、その状態で撮影して画像を取得する(同工程75,76参照)。
【0070】
(ステップS8)
ステップS7の操作を終了した後、図7(h)に示すように、ステップS8では検査ステージ20を反時計回りにさらに角度θhだけ回転移動させる。ゲート辺10xの反対側の端部に設定されたショット位置が撮像手段40の中心軸C上に位置し、そのショット位置を撮像手段40が画像を取得できる視界内に収めることができる(同工程74参照)。
さらに、撮像手段40を、前記検査ステージ20の回転角度θhと同じ角度だけ反時計回りに回転させ、その状態で撮影して画像を取得する(同工程75,76参照)。
【0071】
ステップS8の操作を終了した後、さらなるショット位置の撮影を行う場合、あるいは他方のゲート辺10y’の検査を行う場合は、上記動作を繰り返し行う。設定された全ての辺、全てのショット位置において画像取得を完了した後、検査ステージ20とともにパネルユニット10を図7(a)に示す状態に戻せば初期状態に復帰する(同工程77,78,79参照)。パネルユニット10を検査ステージ20から離脱させ、次なる被検査体となるパネルユニット10をその検査ステージ20上に載置し固定する(同工程80参照)。
【0072】
次に、前記撮像手段40により取得した画像の処理、及びその処理結果を元に行う液晶電極端子11とIC電極12との圧着状態の良否の判定について説明する。これらの処理、及び判定は、設定されたすべてのショット位置の画像を取得してから行ってもよいし、前記画像の取得と並行して行ってもよい。
【0073】
この圧着状態の良否の判定は、前記液晶電極端子11と前記IC電極12との重畳領域内に設定された検査領域における前記異方性導電体4の圧痕強度検査、導電粒子数検査、導電粒子分布長検査、リード長検査、前記液晶電極端子11と前記IC電極12との実装ずれ検査、及び前記重畳領域の検査領域を複数の領域に分割した後におけるその各分割検査領域に対する圧痕強度検査、導電粒子数検査等が挙げられる。
これらのすべての検査項目を実行してもよいし、これらの項目群の中から選択される単一の又は複数の検査項目を実行してもよい。
【0074】
撮像手段40によって取得された画像(画像データ)は、自動的に制御システム50の入力部54に入力される(図5参照)。入力された画像は、前記制御システム50が備える画像処理手段51で、例えば、マスク画像を被せる処理、あるいは2値化処理などの適宜の画像処理が施され、その処理結果に基づき、同じく前記制御システム50が備える判定手段52において、処理画像から得られる各種数値を、予め設定された良否判定基準値と比較してその圧着状態の良否が判定される。また、それらの処理した内容及び判定した内容は記憶手段53に保存される。
【0075】
(検査項目1)導電粒子数検査
図8(a)は、導電粒子数検査を説明する図である。図中に示すように、液晶電極端子11とIC電極12との重畳領域に設定された矩形の検査エリア内において、圧痕5の数、すなわち、液晶電極端子11を変形させる程度に充分に圧着した導電粒子数を自動計数する。粒子数が設定された許容値未満の場合は導電粒子数不良と判定する。これらの設定値は、端子タイプ毎に登録できる。
【0076】
(検査項目2)粒子分布長検査
図8(b)は、粒子分布長検査を説明する図である。粒子分布長検査とは、液晶電極端子11とIC電極12との重畳領域における導電粒子の分布距離を「粒子分布長」と定義し、その分布距離と予め設定された基準値とを比較することにより「粒子分布長」の良否判定を行うものである。粒子分布長が一定の長さ以下であれば、粒子分布長不良と判定する。
【0077】
(検査項目3)リード長検査
図8(c)は、リード長検査を説明する図である。端子パターンを撮影し画像処理を行う。リードの長さ(液晶電極端子11とIC電極12との重複部分の長さ)を「リード長」と定義する。リード長の測定値と予め設定された基準値とを比較することにより「リード長」の良否判定を行う。
【0078】
(検査項目4)分割圧痕強度検査
図8(d)は、分割圧痕強度検査(2×4分割の場合の例)を説明する図である。図中に示すように、液晶電極端子11とIC電極12との重畳領域に設定された矩形の検査エリア内において、その検査領域を、例えば2行×4列の8個の領域に分割し、その各分割検査領域に対する、圧痕強度検査、導電粒子数検査等を行うものである。
【0079】
例えば、導電粒子数検査においては、各分割検査領域内の圧痕の個数がそれぞれ所定個数以上の場合に良品と判断し、所定個数未満の分割検査領域がある場合に不良品と判断する手法を採用することができる。
また、圧痕強度検査においては、各分割検査領域内の圧痕強度を評価する。各分割検査領域内の圧痕強度がそれぞれ設定された基準値以上の場合に良品と判断し、基準値未満の分割検査領域がある場合に不良品と判断する手法を採用することができる。
【0080】
また、検査領域内に異物が混入した場合、その部分の凹凸が大きくなる。このため、異物が混入した分割検査領域と混入していない分割検査領域とを比較した場合に、両者の圧痕強度は大きく異なるものとなる。
そこで、このような傾向に着目し、検査領域を複数の分割検査領域に分割して、それぞれの分割検査領域で圧痕強度を算出することにより、基準値以上の圧痕強度を有する分割検査領域の発見、あるいは隣接する分割検査領域同士の圧痕強度の比較により、異物の混入の有無を検査することができる。
【0081】
(検査項目5)実装ずれ検査
図9は、実装ずれ検査を説明する図である。実装ずれ検査は、圧痕5群の検出座標に基づく中心座標Rと、マスタデータにおける端子領域(TAB領域)の理論上の中心座標Rとを比較して、液晶電極端子11とIC電極12との実装状態での位置ずれを検査するものである。
【0082】
TAB等のドライバIC2側に設けたダミーバンプ(図示せず)の画像と、予め設定した液晶基板1のパネルパターンとの相対位置関係に基づいて、ドライバIC2の実装ずれの有無を判断する。圧痕5群の検出座標に基づく中心座標Rと、マスタデータにおける端子領域(TAB領域)の理論上の中心座標Rとのずれ量が一定の基準値を越えれば不良品と判断する。
【0083】
圧痕5群の検出座標に基づく中心座標Rは、画像データにおいて圧痕5群を示す各粒毎の検出座標から検出する。
【0084】
具体的な構成は、画像データにおける検査領域内に存在する複数の圧痕5を示す各粒毎の検出座標から、前記検査領域内の上下左右の端に位置する圧痕5を特定する。
その特定された上下の端に位置する各圧痕5の検出座標の上下方向の中央値、及び左右の端に位置する各圧痕5の検出座標の左右方向の中央値により、検査領域内に存在する圧痕群5の中心座標Rを算定する。
また、全ての圧痕5の検出座標から圧痕5群の重心座標を算出し、その重心座標を前記中心座標Rとしてもよい。
【0085】
この実施例において、例えば、46インチ液晶パネルを被検査体とした場合、線型軸Y方向への検査ステージ20のフットプリントは、図10に示す従来例の55%に短縮できる。また、線型軸Y方向のみへの平行移動で足りるため、従来例が備えていた線型制御のうち1軸(X軸)が不要となる。
なお、検査対象となる液晶基板1、パネルユニット10としては、液晶TV用のパネルにTABを実装した基板以外にも、ACFを用いた各種実装基板、例えば携帯電話、カーナビ、ノートPC用液晶、液晶モニター等のCOG(Chip On Glass)実装基板も本発明の適用が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0086】
【図1】液晶基板とドライバICとの実装状態を示す平面図
【図2】(a)は、液晶基板とドライバICとの実装状態を示す断面図、(b)は、その要部拡大図
【図3】パネルユニットと撮像手段との位置関係を示す説明図
【図4】検査ステージと撮像手段の動作を示す説明図
【図5】基板検査装置の構成図
【図6】検査時のフロー図
【図7】検査装置の制御原理を示す説明図
【図8(a)】導電粒子数検査の説明図
【図8(b)】粒子分布長検査の説明図
【図8(c)】リード長検査の説明図
【図8(d)】分割圧痕強度検査の説明図
【図9】実装ずれ検査の説明図
【図10】従来例の説明図
【符号の説明】
【0087】
1 液晶基板
2 ドライバIC(TAB)
4 異方性導電体(ACF)
4a 導電粒子
5 圧痕
10 パネルユニット
11 液晶電極端子
12 IC電極
20 検査ステージ
21 ステージ駆動手段
22 ステージ制御手段
30 微分干渉顕微鏡
31 オートフォーカス装置
32 オートフォーカス制御BOX
33 オートフォーカス照明光源
34 同軸照明光源
35 オートフォーカス制御手段
40 撮像手段
41 カメラ駆動手段
42 カメラ制御手段
50 制御システム
51 画像処理手段
52 判定手段
53 記憶手段
54 入力部
60 ユーザインターフェース
61 モニタ
62 キーボード・マウス
63 操作盤(タッチパネル)
C 中心軸
D 回転軸
Y 線型軸
理論上の中心座標
圧痕群の検出座標に基づく中心座標
X軸方向へのストローク長
Y軸方向へのストローク長

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶基板1にドライバIC2を実装したパネルユニット10を固定する検査ステージ20と、前記検査ステージ20に対向して設けられた撮像手段40とを備え、前記パネルユニット10は、前記液晶基板1の周縁部に直線状に並列して設けた液晶電極端子11と前記ドライバIC2に設けたIC電極12とが異方性導電体4を介して導通可能に圧着されたものであり、その検査ステージ20に固定された前記パネルユニット10の前記圧着箇所の画像を前記撮像手段40によって取得する基板検査装置において、
前記検査ステージ20は、前記パネルユニット10を前記撮像手段40の中心軸Cを通る線型軸Yに沿って平行移動させ、その線形軸Y上に設けた回転軸D周りに回転移動させる2軸のステージ駆動手段21を備え、それら2軸の各移動がステージ制御手段22によって制御されるとともに、前記撮像手段40は、その撮像手段40の向きを前記中心軸C周りに回転させるカメラ駆動手段41を備え、その回転がカメラ制御手段42によって制御されるようになっており、
前記ステージ制御手段22は、前記検査ステージ20の前記2軸の各移動により、前記パネルユニット10から画像を取得しようとするショット位置を前記撮像手段40の中心軸C上に位置合せする機能を有することを特徴とする基板検査装置。
【請求項2】
前記ショット位置が前記撮像手段40の中心軸C上に位置合せされた状態において、前記カメラ制御手段42は、前記撮像手段40の中心軸C周りの回転により、その各ショット位置における前記液晶電極端子11の向きに対して、前記撮像手段40が常に一定の向きとなるように方位合せする機能を有することを特徴とする請求項1に記載の基板検査装置。
【請求項3】
前記基板検査装置は、前記撮像手段40により取得した画像を処理する画像処理手段51と、その処理結果を元に前記圧着状態の良否を判定する判定手段52とを備え、前記圧着状態の良否の判定は、前記異方性導電体4を介して圧着させる前記液晶電極端子11と前記IC電極12との重畳領域内における前記異方性導電体4の圧痕強度検査、導電粒子数検査、導電粒子分布長検査、リード長検査、前記液晶電極端子11と前記IC電極12との実装ずれ検査、及び前記重畳領域内の一つの検査領域を複数の領域に分割した後におけるその各分割検査領域に対する圧痕強度検査、導電粒子数検査から選択される単一の又は複数の検査項目であることを特徴とする請求項1又は2に記載の基板検査装置。
【請求項4】
液晶基板1にドライバIC2を実装したパネルユニット10を検査ステージ20に固定し、前記検査ステージ20に対向して撮像手段40を設け、前記パネルユニット10は、前記液晶基板1の周縁部に直線状に並列して設けた液晶電極端子11と前記ドライバIC2に設けたIC電極12とが異方性導電体4を介して導通可能に圧着されたものであり、その検査ステージ20に固定された前記パネルユニット10の前記圧着箇所の画像を前記撮像手段40によって取得する基板検査方法において、
前記検査ステージ20を前記撮像手段40の中心軸Cを通る線型軸Yに沿って平行移動させ、その線形軸Y上に設けた回転軸D周りに回転移動させることにより、前記パネルユニット10から画像を取得しようとするショット位置を前記撮像手段40の中心軸C上に位置合せすることを特徴とする基板検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図8(c)】
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【図8(d)】
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【公開番号】特開2009−8572(P2009−8572A)
【公開日】平成21年1月15日(2009.1.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−171383(P2007−171383)
【出願日】平成19年6月29日(2007.6.29)
【出願人】(597147038)テクノス株式会社 (9)
【Fターム(参考)】