説明

基板用のカセットの載置台

【課題】移載装置あるいはロードポート等の基板用カセットの載置台において、基板用の大形のカセットを該載置台に支持するとともに、簡単に振動を低減することが出来る機構を提供する。
【解決手段】複数本の桟18を底面に備えた基板用のカセットを載置するための載置台2であって、粘弾性体を備えた桟18の受台20が複数個、載置台2の本体に取り付けられ、受台20でカセットの底面を支持するように構成されていることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、移載装置あるいはロードポート等での、基板用のカセットの載置台に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ディスプレイ基板、プラズマパネルディスプレイ基板、太陽電池基板、等の基板用のカセットは多数の梁を備えたスケルトン状の構造をし、内部に基板を複数枚収容するようにされている。このようなカセットは大形の基板を搬送及び保管するために用いられる。基板を収容したカセットは重量物なので、載置台に載置すると、載置台が変形し振動が生じる。この振動は基板に悪影響を与える。これに対して、特許文献1(JP2008-24461A)は、載置台の振動を抑制するように、チルト制御を施すことを開示している。このためには載置台をチルトさせるチルト機構と、正確な制御とが必要である。これに対して発明者は、より簡便にカセットの振動を低減することを検討し、この発明に到った。なお特許文献2(JP2008-298065A)は、無人搬送車のスカラアームに防振ゲルを設けることを開示している。しかしながら特許文献2は、基板用のカセットを載置台で支持することを検討していない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】JP2008-24461A
【特許文献2】JP2008-298065A
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
この発明の基本的課題は、基板用の大形のカセットを載置台で支持する際に、簡単に振動を低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この発明は、複数本の梁を底面に備えた、基板用のカセットを載置するための載置台であって、粘弾性体を備えた梁の受台が複数個、載置台本体に取り付けられ、受台でカセットの底面を支持するように構成されていることを特徴とする。粘弾性体は例えば建築物等の構造体の防振用のものである。
【0006】
カセットを載置台に載置すると、カセットの重量で載置台は変形し、この時、カセットからの重力と載置台の弾性力とが釣り合う位置を越えて変形するため、振動が始まる。この発明では、カセットを粘弾性体を備えた受台で支持するので、載置台とカセットの振動のエネルギーを粘弾性体で熱に変換し、カセットと載置台の振動を小さくする。このように小さな粘弾性体で大きなカセットの振動を低減できる。
【0007】
好ましくは、粘弾性体は上下双方から少なくとも一対の金属板で挟み込まれ、下方の金属板は載置台本体に固定され、上方の金属板の上面側に梁の底面を支持する導電性樹脂のパッドが取り付けられ、さらにパッドを載置台本体に接地するアース線が設けられている。粘弾性体を上下双方から金属板で挟み込むことにより、載置台本体に簡単に取り付けることができる。一般に粘弾性体は絶縁体であるが、上方の金属板の上面側に導電性樹脂のパッドを設けてアースすると、カセットを確実にアースでき、静電気による基板へのパーティクルの付着と基板の損傷を防止できる。さらにカセットを台に載置する際に、導電性樹脂のパッドが梁の底面を支持するので、低衝撃でカセットを載置台に載置できる。
【0008】
さらに好ましくは、上方の金属板及びパッドは梁よりも幅広で、梁の左右の両外側で、左右一対の取付板がパッドの上面に押し当てられ、かつ左右一対の取付板は上方の金属板に締結されている。この明細書で梁の左右とは、梁の長手方向に水平面内で直角な方向での左右である。パッドは梁の底面から加わる力で摩耗するが、取付板を外すと簡単にパッドのみを交換できる。また取付板は梁の左右両外側にあって、梁とは接触しない。
【0009】
好ましくは、梁を両側から案内する一対のガイドからなるガイド部が、載置台本体に設けられている。このようにすると、梁はガイド部で案内されて、粘弾性体を備えた受台に載置され、カセットからの荷重は粘弾性体に所定のパターンで加わる。

【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】実施例の基板用のカセットの載置台の平面図
【図2】載置台上の受台を示す要部拡大平面図
【図3】載置台上の受台を示す要部拡大側面図
【図4】載置台上のガイドを示す要部拡大側面図
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下に本発明を実施するための最適実施例を示す。この発明の範囲は、特許請求の範囲の記載に基づき、明細書の記載とこの分野での周知技術とを参酌し、当業者の理解に従って定められるべきである。
【実施例】
【0012】
図1〜図4に、実施例の載置台2を示す。載置台2は液晶カセット16等を載置し、スカラアーム、スライドフォーク等の移載装置の一部として用いるが、自動倉庫での液晶カセット16等の棚として用いても良い。また液晶カセット16に代えて、プラズマパネルディスプレイ等の基板のカセットとしても良い。さらに粘弾性体を備えた受台20による制振に、特許文献1に記載の載置台2のチルト制御を併用しても良い。
【0013】
各図において、載置台2は例えば一対の金属製フレーム4,4を備え、フレーム4,4間はビーム5,6で接続されている。8はダブルアームのスカラアームで、載置台2はスカラアーム8の先端のハンドであるが、シングルアームのスカラアーム、あるいはスライドフォーク等に載置台2を取り付けても良い。10,10は個別のアーム、12は軸、14は載置台2の取付部で、スカラアーム8は例えばスタッカークレーンの昇降台、あるいは無人搬送車、ロードポート等に取り付ける。
【0014】
液晶カセット16(以下単に、カセット16)は、複数の柱(図示せず)と桟18,19等を結合した直方体状の形状をし、桟18,19及び図示しない柱等の部分以外は開放しており、スケルトン状の形状をしている。載置台2は、複数個の受台20,21によりカセット16の桟18,もしくは19を支持し、ガイド部22により桟18,19をガイドして、桟18を受台20,21の左右方向に対して位置決めする。
【0015】
受台20の構造を図2,図3に示し、受台21も同様である。26は板状もしくは層状の粘弾性体で、例えばアクリル樹脂等の構造物の防振用の粘弾性体である。粘弾性体26は上下両面を金属板24,25に接着されて挟み込まれ、下方の金属板24はビス34、あるいはボルト等でフレーム4に締結されている。導電性の樹脂パッド28が、例えば金属の取付板33と、ビス35,ボルト,ネジ等の締結具により、上方の金属板25に締結されている。樹脂パッド28はポリウレタン、ポリエチレン等の弾性材料から成り、カーボン等の導電性材料を混合して導電化されている。アース線32が、例えば金属板25にビス36等で取り付けられ、保護用のカバー30に設けた小孔を介して金属製のフレーム4に取り付けられてアースされている。なおカバー30は設けなくても良い。アース線32は導電性樹脂パッド28に導電性接着剤等で接着しても良い。
【0016】
粘弾性体26の左右の幅は桟18の左右の幅以上とし、例えば桟18の幅よりもやや大きくする。金属板25と樹脂パッド28の左右の幅は桟18の左右の幅よりも大きくし、桟18から左右の両外側に外れた位置に取付板33,33を配置して、ビス35等の締結具により、樹脂パッド28を挟み込んだ取付板33を金属板25に締結する。金属板24,25は剛性が必要なので金属とするが、取付板33は高い剛性は不要で、プラスチック板等でも良く、またアース線32をフレーム4に接続するための構成は任意である。
【0017】
受台21は、受台20と同じ構造で、例えばアース線32を設けていない点が異なる。これらの受台20,21の全てに粘弾性体26を設ける必要はなく、一部の受台20,21では、粘弾性体20,21に代えて、ウレタンゴム、エチレンプロピレンゴム等の弾性体、好ましくは導電性材料で導電化した弾性体を設けても良い。しかし粘弾性体26は複数個の受台20,21に設け、複数箇所で振動エネルギーを吸収する。またアース線32は全ての受台20,21に設ける必要はないが、複数個の受台20,21に設ける。
【0018】
図4に、ガイド部22の取り付けを示す。ガイド部22では、一対の金属ガイドが、桟18,19よりもやや大きな間隔を空けて、桟18等を案内するように配置されている。ガイドの上面にはテーパー面40が設けられて、桟18等をガイドする。23は、ガイド部22をフレーム4、ビーム5,6等に取り付ける取付板である。
【0019】
実施例の作用効果を示す。カセット16を載置台2に載置する際に、ガイド部22は桟18,19等をガイドし、受台20,2に対して所定の位置に載るようにガイドする。受台20,21の上面は導電性の樹脂パッド28で構成されているので、カセット16が載置台2に接触する際の衝撃が小さくなる。そしてカセット16からの荷重で、載置台2は変形し、カセット16と載置台2とが振動するが、この振動エネルギーを粘弾性体26で吸収し、振動を低減する。このため例えば制振用のチルト機構とチルト制御が不要になる。樹脂パッド28は桟18,19等に接触するので損耗するが、ビス35と取付板33とを外すと、容易に交換できる。またアース線32によりカセット16を確実にアースできる。

【符号の説明】
【0020】
2 載置台
4 フレーム
5,6 ビーム
8 ダブルアームのスカラアーム
10 アーム
12 軸
14 取付部
16 液晶カセット
18,19 桟
20,21 受台
22 ガイド部
23 取付板
24,25 金属板
26 粘弾性体
28 樹脂パッド
30 カバー
33 取付板
32 アース線
34〜36 ビス

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数本の梁を底面に備えた、基板用のカセットを載置するための載置台であって、
粘弾性体を備えた、前記梁の受台が複数個、載置台本体に取り付けられ、前記受台で前記カセットの底面を支持するように構成されていることを特徴とする、基板用のカセットの載置台。
【請求項2】
前記粘弾性体は上下双方から少なくとも一対の金属板で挟み込まれ、下方の金属板は前記載置台本体に固定され、上方の金属板の上面側に前記梁の底面を支持する導電性樹脂のパッドが取り付けられ、
さらに前記パッドを前記載置台本体に接地するアース線が設けられていることを特徴とする、請求項1の基板用のカセットの載置台。
【請求項3】
前記上方の金属板及び前記パッドは前記梁よりも幅広で、
前記梁の左右の両外側で、左右一対の取付板が前記パッドの上面に押し当てられ、かつ前記左右一対の取付板は前記上方の金属板に締結されていることを特徴とする、請求項2の基板用のカセットの載置台。
【請求項4】
前記梁を両側から案内する一対のガイドからなるガイド部が、前記載置台本体に設けられていることを特徴とする、請求項1〜3のいずれかの基板用のカセットの載置台。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−15371(P2012−15371A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−151215(P2010−151215)
【出願日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【出願人】(309031466)ムラテックオートメーション株式会社 (52)
【Fターム(参考)】