説明

基板移載方法及び基板移載装置

【課題】プラズマディスプレイパネルなどの製造工程において、基板の割れの有無を検知することにより、異常の早期発見による品質的なトラブルを減少させることを目的とする。
【解決手段】ペースト等が塗布されたガラス基板3を焼成炉2に搬入及び搬出する際に基板を移載させる基板移載装置において、ガラス基板3の一方の面に先端部が当接するとともにガラス基板3を搬送面から浮かせる昇降ピン7を有する昇降ユニット6を設け、かつ前記昇降ピン7の先端部に光学センサ8を設け、その光学センサ8によりガラス基板3を浮かせた際に、ガラス基板3が割れていた場合のガラス基板3の変化を検知するように構成したものである。ガラス基板3の割れの有無を検知することができ、割れが発生した異常なガラス基板3を次工程に移送する前に排出できるため、異常の早期発見による品質トラブルを減少させることができるとともに、設備の安定稼働を図ることが可能となる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、プラズマディスプレイパネルなどの製造工程において、ガラス基板を焼成炉などに搬入、または搬出する際に使用する基板移載方法及び基板移載装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、プラズマディスプレイパネルなどの製造工程において、ペースト等が塗布されたプラズマディスプレイパネル用のガラス基板を焼成する焼成炉として、特許文献1に記載されたような構造の焼成炉が使用されている。
【0003】
この特許文献1に記載された焼成炉は、焼成炉への基板の搬入、搬出する際に使用するガラス基板移載装置が焼成炉の片側に設置されており、ガラス基板移載装置から焼成炉に搬入されたガラス基板は、焼成後にガラス基板移載装置に戻るように構成されている。
【特許文献1】特開2005−38677号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
このような従来の製造装置においては、ガラス基板を搬送プレート上に載せて焼成炉内を搬送させてガラス基板の焼成を行うが、ガラス基板を焼成する際に、ガラス基板が焼成炉内を搬送されている間に加熱によってガラス基板に熱歪みが発生し、焼成の間にガラス基板が割れる場合が発生する。そして、ガラス割れがあると、割れたガラス基板が残されたままの搬送プレート上に、さらに新たなガラス基板が移載されることになり、品質的なトラブル発生の原因となっている。
【0005】
本発明は、このような問題を解決するためになされたもので、基板の割れの有無を検知することにより、異常の早期発見による品質的なトラブルを減少させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この目的を達成するために本発明は、基板を次の工程に移載させる際に、前記基板の一方の面に先端部が当接する昇降部材により基板を搬送面から浮かせる動作を行わせるように構成し、前記昇降部材により基板を浮かせた際、基板が割れていた場合の基板の変化を検知することを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、基板を次の工程に移載させる際に、前記基板の一方の面に先端部が当接する昇降部材により基板を搬送面から浮かせる動作を行わせるように構成し、前記昇降部材により基板を浮かせた際、基板が割れていた場合の基板の変化を検知することにより、焼成炉などから搬出されてきた搬送プレート上の基板の割れの有無を検知することができ、割れが発生した異常な基板を次工程に移送する前に排出できるため、異常の早期発見による品質トラブルを減少させることができるとともに、設備の安定稼働を図ることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
以下、本発明の一実施の形態による基板移載方法及び基板移載装置について、プラズマディスプレイパネルのガラス基板移載装置を例として、図1〜図3の図面を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施の形態におけるガラス基板移載装置をプラズマディスプレイパネルの焼成炉に設置した状態を示す構成図、図2はその装置において、要部を拡大して示す構成図である。
【0010】
図1、図2において、1はガラス基板移載装置であり、このガラス基板移載装置1は、焼成炉2の片側に設置され、ガラス基板3の搬入および搬出は、焼成炉2の同じ片側で行うように構成されている。このガラス基板移載装置1は、ガラス基板3を次の工程である焼成炉2に搬入する際に、炉内搬送プレート4上にガラス基板3を移載するための移載ハンド5と、焼成後に焼成炉2から搬出されてくるガラス基板3を、移載ハンド5で受け取るために炉内搬送プレート4上から浮かせるための昇降ユニット6とから構成されている。
【0011】
また、昇降ユニット6は、ガラス基板3を複数のポイントで支持するように昇降部材である複数本の昇降ピン7を有しており、この昇降ピン7は、昇降ユニット6の垂直方向に上下動することにより、先端部が炉内搬送プレート4に設けた貫通穴4aを貫通して炉内搬送プレート4より突出し、これによりガラス基板3の一方の面に昇降ピン7の先端部が当接してガラス基板3を搬送面から浮かせる動作を行う。この昇降ピン7の先端部には、ガラス基板3の面に照射される光の変化を検知する光学式検知センサである反射型の光学センサ8が設けられており、この光学センサ8により、昇降ピン7によりガラス基板3を浮かせた際、ガラス基板7が割れていた場合のガラス基板7の変化を検知するものである。
【0012】
焼成炉2は上下複数段(図示のものは2段)の構造を有し、上段には搬送ローラ9及び図示していないがヒータが設けられ、下段には搬出ローラ10が設けられている。また、焼成炉2の搬送終点側、すなわちガラス基板移載装置1とは反対側には、ガラス基板3を上段から下段へ移動させるための昇降装置11が設けられている。さらに、焼成炉2のガラス基板搬入側で、ガラス基板移載装置1との間には、ガラス基板3を下段から上段に移動させるための昇降装置12が設けられている。また、ガラス基板移載装置1および昇降装置11,12には、炉内搬送プレート4を移送させるための搬送ローラ13がそれぞれ設けられている。
【0013】
次に、このように構成された本発明のガラス基板移載装置を用いてガラス基板の焼成を行う方法、並びにガラス基板移載装置の動作について説明する。
【0014】
まず、図1および図2に示すようにガラス基板3は、移載ハンド5によって、前工程からガラス基板移載装置1に移送されてくる。そして、炉内搬送プレート4から突出して待機している昇降ピン7上に載せられる。この際、炉内搬送プレート4は図示していない位置決め機構によってあらかじめ位置決めされ、ガラス基板移載装置1にセットされている。また、移載ハンド5も炉内搬送プレート4に合わせて位置決めされている。
【0015】
次いで、昇降ピン7を降下させ、ガラス基板3を炉内搬送プレート4上に載置する。この時、割れが発生している場合には反射型光学センサ8で検知される。すなわち、ガラス基板3に割れがあると、図3(a)、(b)に示すように、複数本の昇降ピン7でガラス基板3を突き上げた時に、ガラス基板3の一部が昇降ピン7から外れて落下した状態となって傾くため、反射型光学センサ8とガラス基板3間が傾き、隙間が開くことによって、光線が正しく反射しなくなり、反射型光学センサ8の光量が大きく低下することで、割れ検知が可能となる。
【0016】
このように搬入前に異常が検知された場合には、直ちにガラス基板移載装置1を停止させ、焼成炉2に異常なガラス基板3が搬入されないように排出する。
【0017】
次いで、異常が検出されなかったガラス基板3を載置した炉内搬送プレート4は、ガラス基板移載装置1及び昇降装置12に設けられている搬送ローラ13によってガラス基板3を載置したまま、焼成炉2内に送り込まれ、搬送ローラ9の回転により焼成炉2内を搬送され、焼成処理が行われる。
【0018】
焼成の終了したガラス基板3は、炉内搬送プレート4ごと昇降装置11に達し、さらに昇降装置11によって降下され、焼成炉2内の下段に設けられた搬出ローラ10によって焼成炉2の搬入側に戻る。搬入側に戻ったガラス基板3は、炉内搬送プレート4とともに昇降装置12によって上昇され、元のガラス基板移載装置1に戻る。
【0019】
次いで、昇降ユニット6を上昇させて昇降ピン7でガラス基板3のみを突き上げる。この時、割れがあった場合は複数本の昇降ピン7の先端部内に配設された反射型光学センサ8で検知される。この場合の検知方法は、上述した搬入時と同じで、ガラス基板3に割れがあると、図3(a)、(b)に示すように、複数本の昇降ピン7でガラス基板3を突き上げた時に、ガラス基板3の一部が昇降ピン7から外れて落下した状態となって傾くため、反射型光学センサ8とガラス基板3間が傾き、隙間が開くことによって、光線が正しく反射しなくなり、反射型光学センサ8の光量が大きく低下することで、割れ検知が可能となる。
【0020】
搬入前および搬出後のいずれの場合においても、反射型光学センサ8が作動すると、昇降ユニット6は上昇動作中でも直ちに停止して下降動作に移り、異常のあったガラス基板3を再び炉内搬送プレート4上に戻すと同時に、ガラス基板移載装置1を停止させ、アラームを発する。アラームがあった場合は、異常のガラス基板3を載せた炉内搬送プレート4をガラス基板移載装置1から除外し、ガラス基板移載装置1にダメージを与えないようにする。除外する方法は、人手で行ってもよいし、あるいは検知センサからの信号に基づいて動作する排出機構を設けることによって、自動化することも可能である。
【0021】
一方、割れのない状態で搬出された焼成済みのガラス基板3は、移載ハンド5で次工程に移載される。
【0022】
以上のように本発明によれば、ガラス基板移載装置1の昇降ピン7の先端部内に配設した反射型光学センサ8によって、焼成炉2内から搬出されてきた炉内搬送プレート4上のガラス基板3の割れの有無を検知し、また炉内搬送プレート4にガラス基板3を載置する際のガラス基板3の割れの有無を検知する構成であり、その結果、割れが発生した異常なガラス基板3が載置された炉内搬送プレート4を焼成炉2に搬入する前に排出できるとともに、焼成炉2内で発生した異常なガラス基板3を次工程に移送する前に排出できるため、品質トラブルを減少させることができるとともに、異常の早期発見による設備の安定稼働を図ることが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0023】
以上のように本発明は、プラズマディスプレイパネルなどの品質及び生産性を高める上で有益な発明である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の一実施の形態におけるガラス基板移載装置を焼成炉に設置した状態を示す構成図
【図2】同装置の要部を拡大して示す構成図
【図3】(a)、(b)は本発明において、ガラス基板の割れを検知する一例を示す平面図及び側面図
【符号の説明】
【0025】
1 ガラス基板移載装置
2 焼成炉
3 ガラス基板
4 炉内搬送プレート
5 移載ハンド
6 昇降ユニット
7 昇降ピン
8 光学センサ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板を次の工程に移載させる際に、前記基板の一方の面に先端部が当接する昇降部材により基板を搬送面から浮かせる動作を行わせるように構成し、前記昇降部材により基板を浮かせた際、基板が割れていた場合の基板の変化を検知することを特徴とする基板移載方法。
【請求項2】
基板を次の工程に移載させる基板移載装置において、前記基板の一方の面に先端部が当接するとともに基板を搬送面から浮かせる昇降部材を設け、かつ前記昇降部材により基板を浮かせた際、基板が割れていた場合の基板の変化を検知する検知センサを設けたことを特徴とする基板移載装置。
【請求項3】
昇降部材の先端部に検知センサを配置したことを特徴とする請求項2に記載の基板移載装置。
【請求項4】
検知センサは、基板の昇降部材が当接する面に照射される光の変化を検知する光学式検知センサであることを特徴とする請求項3に記載の基板移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−91075(P2009−91075A)
【公開日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−261733(P2007−261733)
【出願日】平成19年10月5日(2007.10.5)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】